説明

サリチル酸誘導体

本発明は、NO供与部分を有するO-アシルサリチル酸誘導体(I)、それらの製造方法およびそれらを含む医薬組成物に関連している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NO供与部分を有するO-アシルサリチル酸誘導体、それらの製造方法およびそれらを含む医薬組成物に関連している。
【背景技術】
【0002】
WO 95/30641は、ニトロオキシ基を有する部分が、エステル結合を介してカルボキシ基と結合している、アセチルサリチル酸誘導体を開示している。これらの化合物は、アセチルサリチル酸と比較してより低い胃腸毒性で抗炎症、鎮痛および抗血栓活性を有する。
【0003】
Endresら、Eur.J.Med.Chem. 34 (1999), 895-901は、サリチル酸のフェノール基が、エステル結合を介してONO2基を有するアルキル鎖と結合している、O-アシルサリチル酸エステルを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の研究は、これらの化合物のNOを放出する能力を示しているが、具体的な薬理学的性質を報告していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、NO供与部分を有する新規なO-アシルサリチル酸誘導体に関する。これらは、胃の障害および出血の危険性の減少と共に、抗炎症、鎮痛、解熱、抗血栓活性および血管拡張、血小板-抗凝集作用を有する。
【0006】
本発明の化合物は、血小板凝集により引き起こされる血栓性の心血管系イベント、血栓症、および血栓性もしくは血栓塞栓性の脳梗塞、心筋の虚血、心筋梗塞、狭心症、一過性脳虚血発作、可逆性虚血性神経障害を含む、それに続く虚血性臨床徴候、ならびにあらゆる血管床(内臓、腎臓、大動脈、末梢等)におけるあらゆる同様の血栓性イベントを予防および治療するために用いることができる。
【0007】
本発明は、リウマチ熱、インフルエンザまたはその他のウイルス感染に関連する症状、感冒、腰痛および頸痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫および挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、リウマチ性関節炎、変形性関節疾患(骨関節炎)を含む関節炎、痛風および強直性脊椎炎、滑液包炎、やけど、外傷を含む種々の状態、外科手術および歯科手術後の疼痛、発熱および炎症の除去に有用である。
【0008】
本発明の化合物は、単独またはGoodman and Gilman's, The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition, p. 687-716に記載されているようなNSAIDとの組み合わせで用いられ得る。
【0009】
本発明の化合物は、癌、特に大腸癌、膀胱癌および前立腺癌のような、胃腸および泌尿生殖器の器官に悪影響を及ぼす癌の予防および治療に役立つ。
【0010】
本発明の目的は、一般式(I):
【化1】

[式中、
Dは-ONO2または
【化2】

(ここで、Vは-CH2-、-O-、-S-または-NH-であり;Uは、-OHもしくは-NH2で任意に置換されていてもよいC1-C10アルキルであるか、アリール、C1-C10アルコキシ、アリールオキシ、C1-C10チオアルキル、チオアリール、ハロゲン、ジ-C1-C10(アルキルアミノ)、ジアリールアミノ、アリールC1-C10(アルキルアミノ)、C1-C10(アルキルスルホキシ)、アリールスルホキシ、C1-C10(アルキルスルホン)、アリールスルホン、-CN、-NO2、-NHCOR0、-COR0、-COOR0、-CON(R0)(R1)(ここで、R0およびR1は、同一または異なって、H、アルキルまたはアリールである)である)であり;
【0011】
Xは次の意味:
a) ハロゲン原子、-OH、-COOH、-ONO2またはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖状のC1-C20アルキレン;
b) 直鎖または分枝鎖状のC1-C10アルキル基で任意に置換されていてもよいC5-C7シクロアルキレン基;
【0012】
c)
【化3】

(ここで、
Yは、直鎖もしくは分枝鎖状のC1-C20アルキレン、または-CH=CH-(CH2)n2-(ここで、n2は0〜10の整数である)であり;
RはH、C1-C5アルキル、-COOH、または-OR'(ここで、R'はHまたはC1-C3アルキル基である)であり;
ZはO、-C(O)O-または-OC(O)-であり;
nは0または1であり;
n1は0または1であり;
【0013】
X1は、ハロゲン原子、-OH、-COOH、-ONO2からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖状のC1-C20アルキレンであるか、またはX1は式(III):
【化4】

(ここで、
n3は0〜5の整数であり;
n4は1〜5の整数である)
の基であり;
ここで、式(I)の基Dは、式(II)のX1基、および式(III)の-(CH2)n4-基に結合している);
【0014】
d)
【化5】

(ここで、
n5は1〜20の整数であり;
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり;
n6は0〜20の整数であり;
n7は1〜20の整数であり;
ここで、式(I)の基Dは-(CH2)n7-基に結合している);
【0015】
e)
【化6】

(ここで、
QはOまたはSであり;
n8は1〜6の整数であり;
n9は1〜10の整数であり;
n10は1〜10の整数である);
【0016】
f)
【化7】

(ここで、
n11は0〜10の整数であり;
n12は1〜10の整数であり;
R1、R2、R3、R4は同一または異なって、Hまたは直鎖もしくは分枝鎖状のC1-C4アルキルであり;
ここで、式(I)のD基は
【化8】

に結合しており;
【0017】
Wは、窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、ヘテロ環式、飽和、不飽和または芳香族の5または6員環であり、次の:
【化9−1】

【化9−2】

から選択される)
を有する2価の基である]
の化合物、およびその医薬的に許容される塩または立体異性体である。
【0018】
上記のように、本発明は、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびそれらの立体異性体も含む。
医薬的に許容される塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアルミニウム水酸化物のような無機塩基との塩、またはリジン、アルギニン、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、ピペリジンおよびその他の許容される有機アミンのような有機塩基、あるいは例えばWermuth, C.G. and Stahl, P.H.Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use - A Handbook Verlag Helvetica Chimica Acta, 2002 [ISBN 3-906390-26-8]に報告されているような塩基との塩のいずれかである。
【0019】
本発明の化合物は、それらが分子中に塩形成性の1個の窒素原子を含むとき、アセトニトリル、テトラヒドロフランのような有機溶媒中、対応する有機または無機酸との反応により対応する塩に変換され得る。
有機酸の例は、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸である。無機酸の例は、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸である。硝酸との塩が好ましい。
【0020】
1以上の不斉炭素原子を有する本発明の化合物は、光学的に純粋なエナンチオマー、純粋なジアステレオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、エナンチオマーのラセミ混合物、ラセミ化合物またはラセミ化合物混合物として存在することができる。式(I)の化合物の可能な全ての異性体、立体異性体およびある特定の異性体に富んだ混合物を含むそれらの混合物も本発明の範囲内である。
【0021】
「アリール基」の用語は、フェニル、ナフチル等を含む、1または2個の芳香環を有する単環または2環式の炭素環を意味する。アリール基は、無置換であるか、または分枝鎖もしく直鎖状のC1-C5アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロゲン原子およびニトロから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換され得る。
【0022】
本明細書中で使用される「C1-C12アルコキシ」の用語は、分枝鎖または直鎖を意味し、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ等のような、好ましくは1〜10の炭素原子を有する。
【0023】
本明細書で使用される「C1-C20アルキレン」の用語は、分枝鎖または直鎖状のC1-C20の炭化水素鎖を意味し、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、ペンチレン、n-ヘキシレン等のような、好ましくは1〜10の炭素原子を有する。
【0024】
本明細書で使用される「C1-C10アルキル」の用語は、1〜10の炭素原子を含む分枝鎖または直鎖状のアルキル基を意味し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル等を含む。
【0025】
本明細書で使用される「C1-C5」アルキルの用語は、1〜5の炭素原子を含む分枝鎖または直鎖状のアルキル基を意味し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル等を含む。
【0026】
本明細書で使用される「C1-C4」アルキルの用語は、1〜4の炭素原子を含む分枝鎖または直鎖状のアルキル基を意味し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチルを含む。
【0027】
本明細書で使用される「シクロアルキレン」の用語は、5〜7の炭素原子を有する環を意味し、限定されないが、直鎖または分枝鎖状の(C1-C10)アルキル、好ましくはCH3のような側鎖で任意に置換されていてもよい、シクロペンチレン、シクロヘキシレンを含む。
【0028】
本明細書で使用される「ハロゲン」の用語は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。
【0029】
式(I)の好ましい化合物は、Xが:
a) ハロゲン原子、-OH、-COOH、-ONO2またはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖状のC1-C10アルキレン;
【0030】
c)
【化10】

(ここで、
Yは、直鎖または分枝鎖状のC1-C6アルキレン、または-CH=CH-(CH2)n2-(ここで、n2は0または1である)であり;
RはH、-CH3、-COOH、または-OR'(ここで、R'はHまたは-CH3である)であり;
ZはO、-OC(O)-であり;
nは0または1であり;
n1は0または1であり;
X1は、ハロゲン原子、-OH、-COOH、-ONO2からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖状のC1-C10アルキレンであるか、または
【0031】
X1は、式(III):
【化11】

(ここで、
n3は0または1であり;
n4は1である)
の基であり;
ここで、式(I)の基Dは、式(II)のX1基、および式(III)の-(CH2)n4-基に結合している);
【0032】
d)
【化12】

(ここで、n5は1〜10の整数であり;
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり;
n6は0〜10の整数であり;
n7は1〜10の整数であり;
ここで、式(I)の基Dは-(CH2)n7-基に結合している);
【0033】
e)
【化13】

(ここで、
Qは-O-または-S-であり;
n8は1〜4の整数であり;
n9は1〜6の整数であり;
n10は1〜6の整数である);
【0034】
f)
【化14】

(ここで、
n11は0〜4の整数であり;
n12は1〜4の整数であり;
R1、R2、R3、R4はHであり;
【0035】
ここで、式(I)のD基は
【化15】

に結合しており;
Wは、
【化16】

から選択されるヘテロ環である)
である化合物である。
【0036】
式(I)の最も好ましい化合物は、Xが:
a) 1以上の-ONO2基で任意に置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖状のC1-C10アルキレン;
【0037】
c)
【化17】

[ここで、
Yは、直鎖または分枝鎖状のC1-C6アルキレン、または-CH=CH-(CH2)n2-(ここで、n2は0または1である)であり;
RはHまたは-OR'(ここで、R'はCH3である)であり;
ZはOまたは-OC(O)-であり;
n1は0または1であり;
【0038】
X1は、1以上の-ONO2基で任意に置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖状のC1-C6アルキレンであるか、またはX1は式(III):
【化18】

(ここで、
n3は0または1であり;
n4は1である)の基であり;
ここで、式(I)の基Dは、式(II)のX1基、および式(III)の-(CH2)n4-基に結合している];
【0039】
d)
【化19】

(ここで、n5は1〜5の整数であり;
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり;
n6は0〜5の整数であり;
n7は1〜5の整数であり;
ここで、式(I)の基Dは-(CH2)n7-基に結合している);
【0040】
e)
【化20】

(ここで、
QはOであり;
n8は1または2であり;
n9は1〜4の整数であり;
n10は1〜2の整数である)
である化合物である。
【0041】
特に好ましい化合物は、次の群:
【化21−1】

【0042】
【化21−2】

【0043】
【化21−3】

【0044】
【化21−4】

から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物である。
【0045】
前で定義された式(I)の化合物は、式(VIII):
【化22】

(ここで、XおよびDは前で定義されたとおりである)
の化合物の酸化を含む方法によって製造され得る。
【0046】
アルデヒド基のカルボン酸への酸化は、式(VIII)の化合物を、酢酸等のような適当な有機溶媒中、0〜80℃の温度で、1分〜72時間、過マンガン酸カリウム、亜塩素酸ナトリウムまたは亜塩素酸ナトリウム/H2O2のような適当な酸化剤と反応させることによって行なわれ得る。
【0047】
DがONO2である一般式(VIII)の化合物は、一般式(IX):
【化23】

(式中、D'は塩素、臭素、ヨウ素、トシレート、メシレート、トリフルオロメタンスルホネート等またはOHである)
の化合物をニトロ化(nitrating)することによって得ることができる。
【0048】
D'が塩素、臭素、ヨウ素、トシレート、メシレート、トリフルオロメタンスルホネート等であるとき、式(IX)の化合物は、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルのような適当な非プロトン性有機溶媒、好ましくはアセトニトリル中、硝酸銀と反応させる。
【0049】
あるいは、D'がヒドロキシ基である一般式(IX)の化合物は、酢酸のような適当な溶媒中での硝酸との反応により、DがONO2である一般式(VIII)の化合物に変換され得る。
最後に、それらはN-ブロモスクシンイミド(NBS)、トリフェニルホスフィン(Ph3P)およびAgNO3の作用により得ることできる。
【0050】
一般式(IX)の化合物は、オルトサリチル酸アルデヒドを、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンのような適当な塩基の任意の存在下、ジクロロメタンもしくは1,2ジクロロエタンのようなハロゲン化溶媒、またはトルエン、クロロベンゼンのような炭化水素のような適当な溶媒中、適当に活性化されたカルボン酸または式(X):
D'-X-CO-L (X)
(ここで、LはハロゲンまたはComprehensive Organic Transformations : A Guide to Functional Group Preparations by Richard C. Larock second edition 1999に例の物質として報告されているようなアシル活性化基である)
のアシルハライドと反応させることにより得ることができる。
【0051】
あるいは、式(VIII)の化合物は、サリチル酸アルデヒド(salicylic aldehyde)と式(X)の化合物との反応に対する前記の方法後に、オルトサリチル酸アルデヒドを、適当に活性化されたカルボン酸または式(XI):
D-X-CO-L (XI)
(ここで、Dは前で定義されたとおりであり、Lはハロゲンまたは例えばComprehensive Organic Transformations : A Guide to Functional Group Preparations by Richard C. Larock second edition 1999に報告されているようなアシル活性化基である)
のアシルハライドと反応させることにより得ることができる。
【0052】
あるいは、DがONO2である式(I)の化合物は、前記の方法に従って、サリチル酸を、前で定義された式(XI)の化合物と反応させることにより得ることができる。
【0053】
式(X)または式(XI)の化合物は、周知の反応により、式(XII)または(XIII):
D'-X-CO-COOH (XII)
D-X-CO-COOH (XIII)
(ここで、D'およびDは前で定義されたとおりである)
の対応する酸から得ることができる。
【0054】
DがONO2である式(XIII)の化合物は、式(XII)の化合物による、式(IX)の化合物に対する前記のニトロ化によって製造することができる。
式(XI)の化合物は、市販されているか、または当分野で周知の方法により製造することができる。
【0055】
Dが
【化24】

である式(XIII)の化合物は、0℃〜25℃の温度でアセトン中、Jones試薬での酸化、次いで、Pharm. Res. 2001, 18, 157にCenaらにより報告されている方法により、対応するアルコールから製造される。
【0056】
あるいは、Xが次の式(XIV):
-X'-(CHONO2)-CH2- (XIV)
(ここで、X'は直鎖または分枝鎖状のC1-C18アルキルである)
を有するONO2基により置換された直鎖または分枝鎖状のC1-C20アルキルである式(I)の化合物は、式(XV):
【化25】

の化合物の酸化により製造することができる。
【0057】
好適な酸化剤は、0〜80℃の温度で1分〜72時間の酢酸等のような適当な有機溶媒中の過マンガン酸カリウム、亜塩素酸ナトリウムまたは亜塩素酸ナトリウム/H2O2である。
【0058】
式(XV)の化合物は、アセトニトリル中、-20℃〜80℃の温度で、ヨウ素および硝酸銀との処理により、式(XVI)の化合物から製造することができる。
【化26】

【0059】
式(XV)の化合物は、サリチル酸アルデヒドと式(XVII):
【化27】

(ここで、X'およびLは前で定義されたとおりである)
との反応により製造することができる。
【0060】
式(XVII)の化合物は、式(XVIII):
【化28】

の対応する酸から得ることができる。
【0061】
式(XVIII)の化合物は、公知の化合物であるか、または当分野で周知の方法により得ることができる。
前記のように、本発明の目的は、医薬の分野で通常用いられる無毒性の佐剤および/または担体と一緒に、式(I)の本発明の化合物を少なくとも1つ含む医薬組成物でもある。
【0062】
投与されるべき活性成分の1日用量は、単回量であり得るか、またはその日を通して投与することができるいくつかのより少ない量に分けられた有効量であり得る。通常、全1日用量は好ましくは50〜500 mgの量であってよい。本発明の化合物および/または本発明の医薬組成物によって、前記の疾病を治療するための用法および投与回数は、例えば、患者の年齢、体重、性別および病状を含む種々の因子、ならびに疾病の重篤度、投与経路、薬理学的考慮および他の薬剤との併用療法によって選択されるであろう。ある場合には、上記の範囲以下もしくはそれ以上および/またはより多い回数の用量レベルが適当であり、必然的にこれは医師により判断され、その病状に依存するであろう。
【0063】
本発明の化合物は、慣用の無毒性の医薬的に許容される担体、佐剤および賦形剤を含んでいてもよい所望の製剤の形態で、経口、非経口、直腸または局所的に、吸入または噴霧によって投与され得る。局所投与は、経皮パッチまたはイオン導入装置のような経皮投与の使用をも含み得る。本明細書で使用される「非経口」の用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または点滴法を含む。
【0064】
例えば無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液のような注射可能な製剤は、当分野で公知の適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて製剤化され得る。無菌の注射可能な製剤は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶剤の、溶液または懸濁液でもあり得る。許容される媒体および溶剤には、水、リンゲル溶液および等張食塩水がある。さらに、無菌の不揮発性油が、溶剤または懸濁化媒体として慣用的に使用される。この目的のために、合成のモノまたはジグリセライドを含むあらゆる無刺激の不揮発性油が使用され得るし、さらにオレイン酸のような脂肪酸が、注射可能な製剤の製造において使用され得る。
【0065】
医薬の直腸投与用坐剤は、活性成分をカカオ脂およびポリエチレングリコールのような適当な無刺激性の賦形剤と混合することにより製造することができる。
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤およびゲル剤を含み得る。そのような固体剤形において、活性化合物は、ショ糖、乳糖またはデンプンのような不活性な希釈剤の少なくとも1つと混合され得る。そのような剤形は、慣例のように、不活性な希釈剤の他に追加物質、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤をも含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤において、その剤形は緩衝剤をも含み得る。さらに、錠剤および丸剤は腸溶コーティングにより製造することができる。
【0066】
経口投与用の液体剤形は、当分野で一般的に使用される水のような不活性希釈剤を含む、医薬的に許容される乳液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルを含み得る。そのような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤などのような佐剤をも含み得る。
【実施例】
【0067】
実験方法
融点はBuchi540装置で測定され、非補正である。化合物は、通常、質量分析(Finnigan-Mat TSQ-700スペクトロメータ、70 eV、直接導入)でチェックされた。1H-、プロトンデカップル13C-NMRスペクトルは、Bruker AC-300スペクトロメータで記録された。次の略語がピークの多重性を示すために用いられる:s=シングレット;d=ダブレット;t=トリプレット;qt=カルテット;qn=クインテット;se=セクステット;m=マルチプレット。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(Merck Kiesekgel 60、230-400メッシュ ASTM)で行なわれた。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、層の厚さ0.25 mmの5×20 cmプレートで行なわれた。分析スケールのHPLCは、ダイオードアレーUV検出器(Shimazu LC10A)を用いて行なわれた。分取スケールのHPLCは、Varian Prostarで行なわれた。溶出液は、合成手順中に示される。
【0068】
実施例1
方法a
2-{[3-(ニトロオキシ)プロパノイル]オキシ}安息香酸(化合物1)
N2下、r.t.で撹拌して、乾燥THF(20 mL)中の3-(ニトロオキシ)プロピオン酸(3.0 g, 22.2 mmol; J. Org. Chem. 1956, 21, 367-368)の溶液に、SOCl2(2.43 mL, 33.3 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌をr.t.で3時間続けた。そのようにして得られたアシルクロライドの溶液を、乾燥THF(40 mL)中のサリチル酸(3.07 g, 22.2 mmol)および乾燥ピリジン(2.7 mL, 33.3 mmol)の撹拌溶液に、N2下、0℃に保って、ゆっくりと加えた。混合物をr.t.に達するままにして、撹拌を一晩続けた。混合物をEt2O(90 mL)で希釈し、HCl 2M(60 mL)で2回洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH 97/3 v/v)により、部分的に精製した。そのようにして得られた固体の生成物(2 g)をトルエンから結晶化した。
収率 46%
mp 86-88℃(トルエンから)
TLC:Rf=0.45 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/01 v/v/v
【0069】
方法b
2-ホルミルフェニル 3-(ニトロオキシ)プロピオネート
N2下、r.t.で撹拌して、乾燥CH2Cl2(40 mL)中の3-(ニトロオキシ)プロピオン酸(3.9 g, 28.9 mmol)の溶液に、SOCl2(2.53 mL, 34.6 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌をr.t.で2時間続けた。そのようにして得られたアシルクロライドの溶液を、乾燥CH2Cl2(40 mL)中のサリチル酸アルデヒド(2.5 mL, 23.1 mmol)および乾燥ピリジン(3.5 mL, 43.3 mmol)の撹拌溶液に、N2下、0℃に保って、ゆっくりと加えた。混合物を室温に達するままにして、撹拌を5時間けた。混合物を2M HCl(3×60 mL)で洗浄し、合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 90/10 v/v)により精製して、黄白色の油状物(1.3 g)として標記化合物を得た。
収率 23%
TLC:Rf=0.48 PE/EtOAc 80/20 v/v
【0070】
2-{[3-(ニトロオキシ)プロパノイル]オキシ)}安息香酸(化合物1)
CH2Cl2(13 mL)中の2-ホルミルフェニル 3-(ニトロオキシ)プロパノエート(0.30 g, 1.25 mmol)の撹拌溶液に、CH3COOH(72μL)およびNaClO2(0.40 g, 4.38 mmol)を加えた。混合物をr.t.で24時間撹拌し、次いで、H2O(10 mL)で2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物をPE/トルエン 40/60 v/vにより結晶化して、白色の固体(33 mg)として標記化合物を得た。
収率 30%
mp 86-88℃ (PE/トルエン 40/60 v/v)
TLC:Rf=0.45 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/01 v/v/v
【0071】
1H-NMR (CDCl3) δ 3.09 (2H, t, J=6.4 Hz), 4.87 (2H, t, J=6.4 Hz), 7.16 (1H, d, Arom), 7.39 (1H, t, Arom), 7.65 (1H, t, Arom), 8.16 (1H, d, Arom), 10.0 (1H, s vvbr). 13C-NMR (CDCl3) δ 32.2, 67.6, 121.8, 123.9, 126.6, 132.7, 135.2, 150.8, 168.3, 169.8 . MS (CI) m/z 256 (M+1)+.
【0072】
実施例2
方法a
2-{[5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノイル]オキシ}安息香酸(化合物7)
N2下、r.t.で撹拌して、乾燥THF(20 mL)中の5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサン酸(1.00 g, 4.2 mmol; Lazzarato et al. J. Med. Chem. 2005, 48(5), 1322)の溶液に、SOCl2(370μL, 5.04 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌をr.t.で6時間続けた。そのように得られたアシルクロライド溶液を、乾燥THF(20 mL)中のサリチル酸(0.58 g, 4.20 mmol)および乾燥ピリジン(510μL, 6.30 mmol)の撹拌溶液に、N2下、0℃に保って、ゆっくりと加えた。混合物をr.t.に達するままにして、次いで一晩撹拌した。混合物をEt2O(50 mL)で希釈し、2M HCl(45 mL)で2回洗浄した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物を分取HPLC(Lichrospher 250-25 C18, CH3CN/H2O/TFA 50/50/0.1, 流量39 mL/分, λ 224 nm, 注入2.5 mL, 溶液75 mg/mL)により精製して、白色の固体(472 mg)として標記化合物を得た。
収率 31%
m.p. 101.5-102.5℃ (トルエンから)
TLC:Rf=0.44 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/01 v/v/v
【0073】
方法b
2-ホルミルフェニル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノエート
N2下、r.t.で撹拌して、乾燥CH2Cl2(15 mL)中の5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサン酸(1.30 g, 5.46 mmol)の溶液に、SOCl2(477μL, 6.55 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌をr.t.で2時間続けた。そのように得られたアシルクロライドの溶液を、乾燥CH2Cl2(10 mL)中のサリチルアルデヒド(465μL, 4.37 mmol)および乾燥ピリジン(660μL, 8.19 mmol)の撹拌溶液に、N2下、0℃に保って、ゆっくりと加えた。反応をr.t.に達するままにして、次いで2.5時間撹拌した。次に、混合物を2M HCl(3×12 mL)で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 80/20 v/v)により精製して、黄白色の油状物(1 g)として標記化合物を得た。
収率 56%
TLC:Rf=0.69 PE/EtOAc 80/20 v/v
【0074】
2-{[5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノイル]オキシ}安息香酸(化合物7)
0℃に保って、アセトン(20 mL)中の2-ホルミルフェニル 5,6-ビス(ニトロオキシ)ヘキサノエート(1.00 g, 2.92 mmol)の撹拌溶液に、KMnO4(0.69 g, 4.38 mmol)を加えた。反応をr.t.に達するままにして、3時間後に反応は終了した(TLC検出、溶離液 石油エーテル/EtOAc 70/30 v/v)。シュウ酸を加え、混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2(20 mL)で希釈した。有機層をH2O(20 mL)で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をPE/トルエン 50/50 v/vで結晶化して、白色の固体(580 mg)として標記化合物を得た。
【0075】
収率 72%
m.p. 101.5-102.5℃ (PE/トルエン 50/50 v/vから)
TLC. Rf=0.44 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/01 v/v/v
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.73-1.86 (4H, m), 2.64 (2H, t, J=6.0 Hz), 4.73 (1H, dd, AMX様系), 4.96 (1H, dd, AMX様系), 5.46 (1H, m, AMX様系), 7.19 (1H, d, Arom), 7.39 (1H, t, Arom), 7.64 (1H, t, Arom),7.93 (1H, d, Arom), 13.3 (1H, s br). 13C-NMR (DMSO-d6) δ 19.5, 27.5, 32.8, 71.7, 80.0, 123.7, 123.9, 126.0, 131.3, 133.7, 150.0, 165.5, 171.2 . MS (CI) m/z 359 (M+1)+.
【0076】
実施例3
3-{[5-オキシド-4-(フェニルスルホニル)-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル]オキシ}プロパン酸
0℃に冷却して、アセトン(150 mL)中の3-{[5-オキシド-4-(フェニルスルホニル)-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル]オキシ}プロパン-1-オール(5.6 g, 18.65 mmol; Cena et al. Pharm. Res. 2001, 18, 157)の撹拌溶液に、Jones試薬 2.5 M (19 mL, 46.62 mmol)の溶液を加えた。混合物をr.t.に達するままにして、4時間撹拌した。iPrOH(10 mL)を加え、混合物を減圧下に濃縮した。残渣をEtOAc(150 mL)に溶解し、NaHCO3の飽和溶液(3×20 mL)で抽出した。水層をHCL 6Mで酸性化し、EtOAc(50 mL)で2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、白色の固体(3.64 g)として標記化合物を得た。
【0077】
収率 65%
m.p. 142-143℃ (トルエンから)
TLC:Rf=0.38 CH2Cl2/EtOAc 95/5 v/v
1H-NMR (DMSO-d6) δ 2.81 (2H, t, J=5.8 Hz), 4.59 (2H, t, J=5.8 Hz), 7.72-8.01 (5H, m, Arom), 12.63 (1H, s br). 13C-NMR (DMSO-d6) δ 33.3, 67.4, 110.5, 128.3, 130.1, 136.3, 137.3, 158.8, 171.5 . MS (CI) m/z 315 (M+1)+.
【0078】
2-[(3-{[5-オキシド-4-(フェニルスルホニル)-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル]オキシ}プロパノイル)オキシ]安息香酸(化合物11)
N2下、r.tで撹拌して、乾燥THF(20 mL)中の3-{[5-オキシド-4-(フェニルスルホニル)-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル]オキシ}プロパン酸(1.20 g, 3.82 mmol)の溶液に、SOCl2(334 μL, 4.58 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌をr.t.で7時間続けた。そのようにして得られたアシルクロライドの溶液を、窒素下、0℃に保って、乾燥THF(20 mL)中のサリチル酸(0.53 g, 3.82 mmol)および乾燥Py(463 μL, 5.73 mmol)の撹拌溶液にゆっくりと加えた。混合物をr.t.に達するままにして、次いで一晩撹拌した。混合物をEtO2(50 mL)で希釈し、HCL 2M (50 mL)で2回洗浄した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物を分取HPLC(Lichrospher 250-25 C18, CH3CN/H2O/TFA 50/50/0.1, 流量39 mL/分, λ 224 nm, 注入4 mL, 溶液51 mg/mL)により精製して、白色の固体として標記化合物を得た。
【0079】
収率 32%
mp 169-170℃ (トルエンから)
TLC:Rf=0.27 PE/EtOAc/HCOOH 60/40/0.1 v/v/v
1H-NMR (DMSO-d6) δ 3.17 (2H, t, J=6.0 Hz), 4.74 (2H, t, J=6.0 Hz), 7.23-8.01 (9H, m, Arom), 13.16 (1H, s br). 13C-NMR (DMSO-d6) δ 33.3, 66.6, 110.4, 123.6, 123.7, 126.3, 128.1, 129.8, 131.5, 133.9, 136.0, 137.1, 149.8, 158.6, 165.4, 168.6 . MS (CI) m/z 435 (M+1)+.
【0080】
実施例4
2-ホルミルフェニル 4-ブロモブタノエート
N2下、r.t.で撹拌して、乾燥CH2Cl2(40 mL)中の4-ブロモ酪酸(3.00 g, 18.0 mmol)の溶液に、SOCl2(1.60 mL, 21.6 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌をr.t.で3時間続けた。そのようにして得られたアシルクロライドの溶液を、乾燥CH2Cl2(40 mL)中のサリチル酸アルデヒド(1.73 mL, 14.4 mmol)および乾燥ピリジン(2.20 mL, 27.0 mmol)の撹拌溶液に、N2下、0℃に保って、ゆっくりと加えた。反応をr.t.に達するままにして、2時間後に終了した。混合物をHCl 2M (3×30 mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 90/10 v/v)により精製して、黄白色の油状物(3.54 g)として標記化合物を得た。
【0081】
収率 80%
TLC:Rf=0.67 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.34-2.36 (2H, m), 2.87-2.92 (2H, m), 3.55-3.60 (2H, m), 7.18 (1H, d, Arom), 7.43 (1H, t, Arom), 7.66 (1H, t, Arom), 7.88 (1H, d, Arom), 10.1 (1H, s br). 13C-NMR (CDCl3) δ 27.4, 32.3, 32.5, 123.5, 126.5, 132.0, 134.8, 151.0, 171.0, 188.9 . MS (CI) m/z 271/273 (M+1)+.
【0082】
2-ホルミルフェニル 4-(ニトロオキシ)ブタノエート
CH3CN(150 mL)中の2-ホルミルフェニル 4-ブロモブタノエート(5.00 g, 18.4 mmol)およびAgNO3(7.83 g, 46.0 mmol)の溶液を70℃で7時間撹拌した。混合物を濾過し、減圧下に濃縮した。残渣をCH2Cl2(50 mL)およびH2O(50 mL)で処理した。分離後、水層をCH2Cl2(50 mL)で2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過して、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 90/10 v/v)により精製して、黄白色の油状物(3.88 g)として標記化合物を得た。
【0083】
収率 84%
TLC:Rf=0.50 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.17-2.27 (2H, m), 2.82 (2H, t, J=7.1 Hz), 4.61 (2H, t, J=6.2 Hz), 7.18 (1H, d, Arom), 7.44 (1H, t, Arom), 7.56 (1H, t, Arom), 7.87 (1H, d, Arom), 10.0 (1H, s). 13C-NMR (CDCl3) δ 22.1, 30.1, 71.8, 123.5, 126.7, 132.7, 134.9, 150.6, 170.8, 189.1 . MS (CI) m/z 254 (M+1)+.
【0084】
2-{[4-(ニトロオキシ)ブタノイル]オキシ}安息香酸(化合物2)
0℃に保って、アセトン(100 mL)中の2-ホルミルフェニル 4-(ニトロオキシ)ブタノエート(3.5 g, 13.8 mmol)の撹拌溶液に、KMnO4(3.28 g, 20.7 mmol)を加えた。反応をr.t.に達するままにして、3時間後に終了した(TLC検出、溶離剤 PE/EtOAc 70/30 v/v)。シュウ酸を加え、混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2(50 mL)で希釈した。有機層をH2O(50 mL)および食塩水(50 mL)で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、濾過して、減圧下に濃縮した。そのようにして得られた粗生成物をPE/トルエン 50/50 v/vで結晶化して、白色の固体(1.93 g)として標記化合物を得た。
【0085】
収率 52%
m.p. 70.5-71.5℃ (PE/トルエン 50/50 v/vから)
TLC:Rf=0.41 PE/EtOAc/HCOOH 60/40/0.1 v/v/v)
1H-NMR (DMSO-d6) δ 2.05 (2H, q, J=6.0 Hz), 2.71 (2H, t, J=6.0 Hz), 4.63 (1H, d, J=6.0 Hz), 7.21 (1H, d, Arom), 7.39 (1H, t, Arom), 7.65 (1H, t, Arom), 7.94 (1H, d, Arom), 13.13 (1H, s). 13C-NMR (DMSO-d6) δ 21.4, 29.7, 72.6, 123.7, 123.8, 126.1, 131.3, 133.8, 150.0, 165.5, 170.9 . MS (CI) m/z 270 (M+1)+.
【0086】
実施例5
2-ホルミルフェニル 5-ブロモペンタノエート
N2下、r.t.で撹拌して、乾燥CH2Cl2(20 mL)中の5-ブロモペンタン酸(3.0 g, 16.6 mmol;J. Am, Chem. Soc. 1947, 69, 2466)の溶液に、SOCl2(1.45 mL, 19.9 mmol)および数滴の乾燥DMFを加え、撹拌を1時間続けた。そのようにして得られたアシルクロライドの溶液を、乾燥CH2Cl2(30 mL)中のサリチル酸アルデヒド(1.60 mL, 13.3 mmol)および乾燥Py(2.00 mL, 24.9 mmol)の溶液に、N2下、0℃で撹拌して、ゆっくりと加えた。反応をr.t.に達するままにして、2時間後に終了した。混合物をHCl 2M (30 mL)で2回洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 90/10 v/v)により精製して、黄白色の油状物(2.66 g)として標記化合物を得た。
【0087】
収率 57%
TLC:Rf=0.56 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.91-2.05 (4H, m), 2.70 (2H, t, J=6.8 Hz), 3.48 (2H, t, J=6.3 Hz), 7.18 (1H, d, Arom), 7.40 (1H, t, Arom), 7.64 (1H, t, Arom), 7.88 (1H, d, Arom), 10.1 (1H, s). 13C-NMR (CDCl3) δ 23.2, 31.9, 32.9, 33.1, 123.5, 126.5, 128.2, 131.7, 135.3, 151.3, 171.4, 188.8 . MS (CI) m/z 285/287 (M+1)+.
【0088】
2-ホルミルフェニル 5-(ニトロオキシ)ペンタノエート
CH3CN(100 mL)中の2-ホルミルフェニル 5-ブロモペンタノエート(2.66 g, 9.33 mmol)およびAgNO3(4.75 g, 23.3 mmol)の溶液を70℃で4時間撹拌した。混合物を濾過し、減圧下に濃縮した。残渣をCH2Cl2(50 mL)およびH2O(50 mL)に溶解した。分離後、水層をCH2Cl2(50 mL)で2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc 90/10 v/v)により精製して、黄白色の油状物(1.9 g)として標記化合物を得た。
【0089】
収率 64%
TLC:Rf=0.46 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.88-1.95 (4H, m), 2.75 (2H, t), 4.55 (2H, t), 7.19 (1H, d, Arom), 7.43 (1H, t, Arom), 7.66 (1H, t, Arom), 7.89 (1H, d, Arom), 10.1 (1H, s). 13C-NMR (CDCl3) δ 20.9, 26.2, 33.3, 72.7, 123.5, 126.5, 128.0, 132.2, 135.4, 151.0, 171.2, 188.9 . MS (CI) m/z 268 (M+1)+.
【0090】
2-{[5-(ニトロオキシ)ペンタノイル]オキシ}安息香酸(化合物3)
0℃で撹拌して、アセトン(50 mL)中の2-ホルミルフェニル 5-(ニトロオキシ)ペンタノエート(1.90 g, 7.11 mmol)の溶液に、KMnO4(1.68 g, 10.7 mmol)を加えた。反応をr.t.に達するままにして、1時間後に終了した(TLC検出、溶離剤 石油エーテル/EtOAc 70/30 v/v)。シュウ酸を加え、混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2(50 mL)で希釈した。有機層をH2O(50 mL)および食塩水(50 mL)で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、濾過して、減圧下に濃縮した。粗生成物をPE/トルエン 70/30 v/vで結晶化して、白色の固体(1.12 g)として標記化合物を得た。
【0091】
収率 56%
m.p. 48.5-50.5℃ (PE/トルエン 70/30 v/vから)
TLC:Rf=0.40 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/0.1 v/v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.89 (4H, m), 2.66 (2H, m), 4.47 (2H, m), 7.12 (1H, d, Arom), 7.37 (1H, t, Arom), 7.63 (1H, t, Arom), 8.12 (1H, d, Arom), 12.1 (1H, s br). 13C-NMR (CDCl3) δ 20.9, 26.3, 33.5, 73.0, 122.2, 124.1, 126.4, 132.7, 135.2, 151.3, 170.5, 171.7 . MS (CI) m/z 284 (M+1)+.
【0092】
実施例6
2-ホルミルフェニル 6-ボロモヘキサノエート
N2下、r.t.で撹拌して、乾燥CH2Cl2(20 mL)中の6-ブロモヘキサン酸(3.0 g, 15.4 mmol)の溶液に、SOCl2(1.35 mL, 18.5 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌をr.t.で3時間続けた。そのようにして得られたアシルクロライドの溶液を、乾燥CH2Cl2(30 mL)中のサリチル酸アルデヒド(1.64 mL, 12.3 mmol)および乾燥Py(1.90 mL, 23.1 mmol)の溶液に、N2下、0℃で撹拌して、ゆっくりと加えた。反応をr.t.に達するままにして、1.5時間後に終了した。混合物をHCl 2M (3×30 mL)で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 90/10 v/v)により精製して、黄白色の油状物(3.36 g)として標記化合物を得た。
【0093】
収率 68%
TLC:Rf=0.59 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.57-1.65 (2H, m), 1.78-1.83 (2H, m), 1.89-1.97 (2H, m), 2.70 (2H, t, J=7.5 Hz), 3.44 (2H, t, J=6.7 Hz), 7.19 (1H, d, Arom), 7.39 (1H, t, Arom), 7.64 (1H, t, Arom), 7.88 (1H, d, Arom), 10.10 (1H, s). 13C-NMR (CDCl3) δ 23.8, 27.6, 32.4, 33.5, 34.0, 123.5, 126.4, 128.1, 131.0, 135.3, 151.5, 171.7, 188.8 . MS (CI) m/z 299/301 (M+1)+.
【0094】
2-ホルミルフェニル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノエート
CH3CN(100 mL)中の2-ホルミルフェニル 6-ブロモヘキサノエート(3.2 g, 10.6 mmol)およびAgNO3(5.4 g, 26.5 mmol)の溶液を70℃で4時間撹拌した。混合物を濾過し、減圧下に濃縮した。残渣をCH2Cl2(50 mL)およびH2O(50 mL)に溶解した。分離後、水層をCH2Cl2(50 mL)で2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 90/10 v/v)により精製して、黄白色の油状物(2.63 g)として標記化合物を得た。
【0095】
収率 80%
TLC:Rf=0.54 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.52-1.62 (2H, m), 1.77-1.89 (4H, m), 2.68 (2H, t, J=7.4 Hz), 4.49 (2H, t, J=6.5 Hz), 7.17 (1H, d, Arom), 7.41 (1H, t, Arom), 7.64 (1H, t, Arom), 7.88 (1H, d, Arom), 10.10 (1H, s). 13C-NMR (CDCl3) δ 24.1, 25.1, 26.5, 33.7, 73.0, 123.5, 126.5, 128.1, 131.7, 135.3, 151.3, 171.6, 188.9 . MS (CI) m/z 282 (M+1)+.
【0096】
2-{[6-(ニトロオキシ)ヘキサノイル]オキシ}安息香酸(化合物4)
0℃で撹拌して、アセトン(70 mL)中の2-ホルミルフェニル 6-(ニトロオキシ)ヘキサノエート(2.3 g, 8.18 mmol)の溶液に、KMnO4(1.9 g, 12.3 mmol)を加えた。反応をr.t.に達するままにして、2時間後に終了した(TLC検出、溶離剤 PE/EtOAc 80/20 v/v)。シュウ酸を加え、混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2(100 mL)で希釈した。有機層をH2O(50 mL)および食塩水(50 mL)で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、濾過して、減圧下に濃縮した。粗生成物をPE/トルエン 75/25 v/vで結晶化して、白色の固体(1.9 g)として標記化合物を得た。
【0097】
収率 82%
m.p. 68.0-70.0℃ (PE/トルエン 75/25 v/vから)
TLC:Rf=0.40 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/0.1 v/v/v
1H-NMR (DMSO-d6) δ 1.41-1.77 (6H, m), 2.60 (2H, t, J=7.3 Hz), 4.55 (2H, t, J=6.0 Hz), 7.20 (1H, d, Arom), 7.39 (1H, t, Arom), 7.65 (1H, t, Arom), 7.94 (1H, d, Arom), 13.10 (1H, s). 13C-NMR (DMSO-d6) δ 23.5, 24.4, 25.7, 33.1, 73.6, 123.7, 124.1, 126.0, 131.3, 133.7, 150.0, 165.6, 171.5 . MS (CI) m/z 286 (M+1)+.
【0098】
実施例7
2-ホルミルフェニル 2,2-ジメチル-3-(ニトロオキシ)プロパノエート
N2下、r.t.で撹拌して、乾燥CH2Cl2(10 mL)中の2,2-ジメチル-3-(ニトロオキシ)プロパン酸(0.98 g, 6.00 mmol; Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 2002, 8, 363-366)の溶液に、SOCl2(530μL, 7.20 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌を1週間かけて続けた。そのようにして得られたアシルクロライドの溶液を、乾燥CH2Cl2(12 mL)中のサリチル酸アルデヒド(640μL, 4.80 mmol)および乾燥Py(730μL, 9.00 mmol)の溶液に、N2下、0℃で撹拌して、ゆっくりと加えた。反応をr.t.に達するままにして、1週間後に終了した。混合物をHCl 2M (3×10 mL)で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 90/10 v/v)により精製して、黄白色の油状物(800 mg)として標記化合物を得た。
収率 45%
TLC:Rf=0.34 PE/EtOAc 90/10 v/v
【0099】
2-{[2,2-ジメチル-3-(ニトロオキシ)プロパノイル]オキシ}安息香酸(化合物5)
0℃で撹拌して、アセトン(30 mL)中の2-ホルミルフェニル2,2-ジメチル-3-(ニトロオキシ)プロパノエート(0.80 g, 2.99 mmol)の溶液に、KMnO4(0.71 g, 4.48 mmol)を加えた。反応をr.t.に達するままにして、4時間後に終了した(TLC検出、溶離剤 PE/EtOAc 70/30 v/v)。シュウ酸を加え、混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2(40 mL)で希釈した。有機層をH2O(20 mL)および食塩水(20 mL)で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、濾過して、減圧下に濃縮した。粗生成物をPE/トルエン 75/25 v/vで結晶化して、白色の固体(371 mg)として標記化合物を得た。
【0100】
収率 61%
m.p. 95.0-96℃ (PE/トルエン 75/25 v/vから)
TLC:Rf=0.58 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/0.1 v/v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.47 (6H, s), 4.67 (2H, s), 7.10 (1H, d, Arom), 7.37 (1H, t, Arom), 7.64 (1H, t, Arom), 8.13 (1H, d, Arom), 12.1 (1H, s vvbr). 13C-NMR (CDCl3) δ 22.3, 42.5, 77.5, 122.2, 123.8, 126.5, 132.6, 135.1, 150.9, 170.2, 172.8 . MS (CI) m/z 284 (M+1)+.
【0101】
実施例8
2-ホルミルフェニル ペンテ-4-エノエート
N2下、r.t.に保って、乾燥CH2Cl2(20 mL)中の4-ペンテン酸(3.0 mL, 29.4 mmol)の撹拌溶液に、SOCl2(2.6 mL, 35.3 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌をr.t.で3時間続けた。そのようにして得られたアシルクロライドの溶液を、乾燥CH2Cl2(30 mL)中のサリチル酸アルデヒド(3.1 mL, 23.5 mmol)および乾燥Py(3.6 mL, 44.1 mmol)の撹拌溶液に、N2下、0℃に保って、ゆっくりと加えた。温度をr.t.に達するままにして、反応を1時間後に終了した。混合物をHCl 2M (3×30 mL)で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過して、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 95/5 v/v)により精製して、黄白色の油状物(4.1 g)として標記化合物を得た。
収率 65%
TLC:Rf=0.52 PE/EtOAc 90/10 v/v
【0102】
2-ホルミルフェニル 4,5-ビス(ニトロオキシ)ペンタノエート
CH3CN(100 mL)中の2-ホルミルフェニル ペンテ-4-エノエート(2.0 g, 9.79 mmol)およびAgNO3(1.66 g, 9.79 mmol)の撹拌溶液に、-15℃に保って、ヨウ素(2.48 g, 9.79 mmol)を少しずつ加えた。添加の終了後、撹拌を1時間続けた。次いで、AgNO3(3.32 g, 19.6 mmol)を加え、混合物を70℃で20時間加熱した。冷却後、混合物をセライト(登録商標)で濾過した。濾液を減圧下に濃縮し、水(50 mL)に溶解し、EtOAc(4×50 mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 90/10 v/v)により精製して、黄白色の油状物(2.1 g)として標記化合物を得た。
【0103】
収率 53%
TLC:Rf=0.47 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.10-2.27 (2H, m), 2.87 (2H, t, J=6.9 Hz), 4.57 (1H, dd, AMX様系), 4.86 (1H, dd, AMX様系), 5.52 (1H, m), 7.17 (1H, d, Arom), 7.46 (1H, t, Arom), 7.64 (1H, t, Arom), 7.85 (1H, d, Arom), 9.98 (1H, s). 13C-NMR (CDCl3) δ 24.2, 29.2, 71.1, 78.0, 123.5, 126.8, 127.8, 133.7, 135.5, 150.1, 170.6, 189.5 . MS (CI) m/z 329 (M+1)+.
【0104】
2-{[4,5-ビス(ニトロオキシ)ペンタノイル]オキシ}安息香酸(化合物6)
0℃に保って、アセトン(60 mL)中の2-ホルミルフェニル 4,5-ビス(ニトロオキシ)ペンタノエート(2.0 g, 6.09 mmol)の撹拌溶液に、KMnO4(1.44 g, 9.14 mmol)を加えた。反応をr.t.に達するままにして、1時間後に終了した(TLC検出、溶離剤 PE/EtOAc 70/30 v/v)。シュウ酸を加え、混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2(50 mL)で希釈した。有機層をH2O(50 mL)および食塩水(50 mL)で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、濾過して、減圧下に濃縮した。粗生成物をPE/トルエン 45/55 v/vで結晶化して、白色の固体(1.85 g)として標記化合物を得た。
【0105】
収率 89%
m.p. 92.5-93.0℃ (PE/トルエン 45/55 v/vから)
TLC:Rf=0.40 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/0.1 v/v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.13-2.25 (2H, m), 2.83 (2H,t, J=6.0 Hz), 4.54 (1H, dd, AMX様系)、4.84 (1H, dd, AMX様系), 5.50 (1H, m), 7.13 (1H, d, Arom), 7.40 (1H, t, Arom), 7.66 (1H, t, Arom), 8.14 (1H, d, Arom), 11.0 (1H, s vvbr). 13C-NMR (CDCl3) δ 24.6, 29.8, 71.4, 78.2, 122.0, 124.2, 126.9, 133.0, 135.6, 151.3, 169.9, 171.2 . MS (CI) m/z 345 (M+1)+.
【0106】
実施例9
5,6-ジニトロオキシヘプタン酸
CH3CN(20 mL)中の6-ヘプタン酸(1.06 mL, 7.80 mmol)およびAgNO3(1.32 g, 7.80 mmol)の撹拌溶液に、-15℃に保って、ヨウ素(1.98 g, 7.80 mmol)を少しずつ加えた。添加の終了後、撹拌を30分間続けた。次いで、AgNO3(2.64 g, 15.40 mmol)を加え、混合物を80℃で12時間加熱した。冷却後、混合物をセライト(登録商標)で濾過した。濾液を減圧下に濃縮し、水(20 mL)に溶解し、CH2Cl2(3×20 mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、黄色の油状物(1.74 g)として標記化合物を得た。
【0107】
収率 88%
TLC:Rf=0.35 PE/EtOAc/HCOOH 80/20/0.1 v/v/v
1H-MNR (CDCl3) δ 1.50-1.55 (2H, m), 1.67-1.80 (4H, m), 2.41 (2H, t, J=7.1 Hz), 4.48 (1H, dd, AMX様系), 4.76 (1H, dd, AMX様系), 5.26-5.33 (1H, m). 13C-NMR (CDCl3) δ 24.0, 24.3, 27.4, 33.5, 71.2, 78.6, 179.5 . MS (CI) m/z 253 (M+1)+.
【0108】
2-ホルミルフェニル ヘプテ-6-エノエート
N2下、r.t.に保って、乾燥CH2Cl2(10 mL)中の5,6-ジニトロオキシヘプタン酸(1.00 g, 3.96 mmol)の撹拌溶液に、SOCl2(350μL, 4.75 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌をr.t.で2時間続けた。そのようにして得られたアシルクロライドの溶液を、乾燥CH2Cl2(10 mL)中のサリチル酸アルデヒド(340μL, 3.17 mmol)および乾燥Py(480μL, 5.94 mmol)の撹拌溶液に、N2下、0℃に保って、ゆっくりと加えた。反応をr.t.に達するままにして、撹拌を18時間続けた。混合物をHCl 2M (2×15 mL)で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮し、粗生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 85/15 v/v)により精製して、黄白色の油状物(654 mg)として標記化合物を得た。
【0109】
収率 58%
TLC:Rf=0.51 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.55-1.67 (2H, m), 1.80-1.90 (4H, m), 2.71 (2H, t, J=7.2 Hz), 4.50 (1H, dd, AMX様系), 4.78 (1H, dd, AMX様系), 5.29-5.37 (1H, m), 7.17 (1H, d, Arom), 7.43 (1H, t, Arom), 7.65 (1H, t, Arom), 7.87 (1H, d, Arom), 10.1 (1H, s). 13C-NMR (CDCl3) δ 24.0, 24.3, 29.0, 33.4, 71.2, 79.0, 119.9, 123.5, 128.1, 132.2, 135.4, 151.0, 171.4, 189.0 . MS (CI) m/z 357 (M+1)+.
【0110】
2-{[6,7-ビス(ニトロオキシ)ヘプタノイル]オキシ}安息香酸(化合物8)
0℃に保って、アセトン(15 mL)中の2-ホルミルフェニル 6,7-ビス(ニトロオキシ)ヘプタノエート(0.65 g, 1.82 mmol)の撹拌溶液に、KMnO4(0.43 g, 2.73 mmol)を加えた。混合物をr.t.に達するままにして、反応を2時間後に終了した(TLC検出、溶離剤 PE/EtOAc 70/30 v/v)。シュウ酸を加え、混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2(15 mL)で希釈した。有機層をH2O(50 mL)および食塩水(50 mL)で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、濾過して、減圧下に濃縮した。粗生成物を分取HPLC(Lichrospher 250-25 C18, CH3CN/H2O/TFA 60/40/0.1, 流量39 mL/分, λ 224 nm, 注入2 mL, 溶液100 mg/mL)により精製して、白色の固体(349 mg)として標記化合物を得た。
【0111】
収率 89%
TLC:Rf=0.40 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/0.1 v/v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 1.55-1.86 (4H, m), 2.67 (2H, t, J=6.0 Hz), 4.47 (1H, dd, AMX様系), 4.74 (1H, dd, AMX様系), 5.30 (1H, m), 7.13 (1H, d, Arom), 7.38 (1H, t, Arom), 7.65 (1H, t, Arorm), 8.11 (1H, d, Arom), 8.49 (1H, s br). 13C-NMR (CDCl3) δ 23.9, 24.3, 29.0, 33.6, 71.1, 78.9, 121.8, 124.0, 126.4, 132.5, 135.3, 151.1, 170.0, 172.2 . MS (CI) m/z 373 (M+1)+.
【0112】
実施例10
{4-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]フェニル}酢酸
CH3CN(60 mL)中の[4-(アリルオキシ)フェニル]酢酸(2.00 g, 10.4 mmol;J. Chem. Soc. Perk. Trans. 1, 1985, 1629-1633)およびAgNO3(1.77 g, 10.4 mmol)の撹拌溶液に、-15℃に保って、ヨウ素(2.64 g, 10.4 mmol)を少しずつ加えた。添加の終了後、混合物を1時間撹拌し、次いで、AgNO3(3.54 g, 20.8 mmol)を加え、混合物を20時間還流した。冷却後、混合物をセライト(登録商標)で濾過した。濾液を減圧下に濃縮し、水(50 mL)に溶解し、EtOAc(3×50 mL)で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/EtOAc 85/15 v/v)で精製して、黄色の油状物として標記の化合物を得た。化合物(2.12 g)は、次の合成工程に直ぐに用いられた。
【0113】
収率 63%
TLC:Rf=0.48 CH2Cl2/EtOAc/HCOOH 85/15/0.1 v/v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 3.60 (2H, s), 4.22 (2H, m), 4.77 (1H, dd, AMX様系), 4.91 (1H, dd, AMX様系), 5.59 (1H, m), 6.86 (2H, d, Arom), 7.22 (2H, d).
【0114】
2-[({4-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]フェニル}アセチル)オキシ]安息香酸(化合物9)
N2下、r.t.で撹拌して、乾燥CH2Cl2(20 mL)中の{4-[2,3-ビス(ニトロオキシ)プロポキシ]フェニル}酢酸(2.00 g, 6.33 mmol)の溶液に、数滴の乾燥DMFおよびSOCl2(555μL, 7.60 mmol)を加えた。溶液をr.t.で2時間撹拌した。
N2下、0℃で撹拌して、乾燥CH2Cl2(30 mL)中のサリチル酸(612 mg, 4.43 mmol)の溶液に、乾燥Py(768μL, 9.50 mmol)を加え、前で製造されたアシルクロライドの溶液をゆっくりと加えた。混合物をr.t.に達するままにして、2時間撹拌した。混合物をHCl 2M (40 mL)で2回洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 60/40 v/v)により部分的に精製し、次いで分取HPLC(Lichrospher 250-25 C18, CH3CN/H2O/TFA 50/50/0.1, 流量39 mL/分, λ 224 nm, 注入3 mL, 溶液65 mg/mL)により精製して、黄白色の固体(280 mg)として標記化合物を得た。
【0115】
収率 17%
mp 94.5-95.0℃ (PE/トルエン 50/50 v/vから)
TLC:Rf=0.31 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/0.1 v/v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 3.87 (2H, s), 4.16 (2H, m), 4.70 (1H, dd, AMX様系), 4.84 (1H, dd, AMX様系), 5.25 (1H, m), 6.84 (2H, d, Arom), 7.11 (1H, d, Arom), 7.28 (2H, d, Arom), 7.37 (1H, t, Arom), 7.62 (1H, t, Arom), 8.09 (1H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 40.2, 64.7, 68.9, 76.7, 114.7, 122.3, 123.9, 126.3, 126.8, 130.9, 132.4, 134.9, 151.1, 156.8, 170.0, 170.4 . MS (CI) m/z 437 (M+1)+.
【0116】
実施例11
[4-(3-ニトロオキシプロポキシ)フェニル]酢酸
CH3CN(20 mL)中の[4-(3-ボロモプロポキシ)フェニル]酢酸(1.20 g, 4.39 mmol; Chem. Pharm. Bull. 1998, 46(1), 53-68)およびAgNO3(1.50 g, 8.79 mmol)の溶液を70℃で8時間撹拌した。混合物を濾過し、減圧下に濃縮した。残渣をCH2Cl2(40 mL)およびH2O(40 mL)に溶解した。分離後、有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物を熱iPr2O(10 mL)に溶解し、冷PE(40 mL)で再沈殿し、白色の固体(690 mg)として標記化合物を得た。
【0117】
収率 62%
TLC:Rf=0.33 PE/EtOAc 70/30
1H-NMR (CDCl3) δ 2.20 (2H, qi), 3.58 (2H, s), 4.05 (2H, t), 4.66 (2H, t), 6.85 (2H, d, Arom), 7.19 (2H, d, Arom). 13C-NMR (CDCl3) δ 27.0, 40.1, 63.5, 70.0, 114.6, 125.8, 130.5, 157.7, 178.2 . MS (CI) m/z 256 (M+1)+.
【0118】
2-ホルミルフェニル [4-(3-ニトロオキシプロポキシ)フェニル]アセテート
N2下、r.t.に保って、乾燥CH2Cl2(4 mL)中の[4-(3-ニトロオキシプロポキシ)フェニル]酢酸(0.40 g, 1.57 mmol)の撹拌溶液に、SOCl2(140μL, 1.88 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌をr.t.で2時間続けた。そのようにして得られたアシルクロライドの溶液を、乾燥CH2Cl2(5 mL)中のサリチル酸アルデヒド(135μL, 1.26 mmol)および乾燥Py(190μL, 2.35 mmol)の撹拌溶液に、N2下、0℃に保って、ゆっくりと加えた。反応をr.t.に達するままにして、撹拌を26時間続けた。混合物をHCl 2M (2×15 mL)で洗浄した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮し、粗生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc 90/10 v/v)により精製して、黄色の油状物(90 mg)として標記化合物を得た。
【0119】
収率 20%
TLC:Rf=0.33 PE/EtOAc 80/20 v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.22 (2H, qi), 3.91 (2H, s), 4.10 (2H, t), 4.68 (2H, t), 6.90 (2H, d, Arom), 7.15 (1H, d, Arom), 7.32 (2H, d, Arom), 7.38 (1H, t, Arom), 7.61 (1H, t, Arom), 7.86 (1H, d, Arom), 9.97 (1H, s). 13C-NMR (CDCl3) δ 27.0, 40.3, 63.3, 70.0, 114.8, 123.4, 125.5, 126.5, 128.1, 130.6, 130.9, 135.3, 151.7, 157.9, 170.0, 188.6 . MS (CI) m/z 360 (M+1)+.
【0120】
2-[({4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]フェニル}アセチル)オキシ]安息香酸(化合物10)
0℃に保った、CH3CN(640μL)中の2-ホルミルフェニル [4-(3-ニトロオキシプロポキシ)フェニル]アセテート(0.09 g, 0.24 mmol)の溶液に、H2O(425μL)中のKH2PO4(0.03 g)の溶液およびH2O2 35% (25μL, 0.26 mmol)を加え、H2O(425μL)中のNaClO2(0.04 g, 0.33 mmol)の溶液を滴下した。1時間後に反応を終了した。過剰のH2O2を分解するためにNa2SO3を加えた。HCl 6Mで酸性化後、混合物をH2O(10 mL)で希釈し、CH2Cl2(15 mL)で2回抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、粗生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(CH3CN/H2O/TFA 50/50/0.1)により精製して、白色の固体(48 mg)として標記化合物を得た。
収率 53%
mp 81.1-83.0℃ (トルエンから)
TLC:Rf=0.30 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/0.1 v/v/v
【0121】
2-[({4-[3-(ニトロオキシ)プロポキシ]フェニル}アセチル)オキシ]安息香酸(化合物10)
N2下、r.t.で撹拌して、乾燥CH2Cl2(5 mL)中の[4-(3-ニトロオキシプロポキシ)フェニル]酢酸(0.26 g, 1.00 mmol)の溶液に、数滴の乾燥DMFおよびSOCl2(87μL, 1.20 mmol)を加えた。溶液をr.t.で3.5時間撹拌した。N2下、0℃で撹拌して、乾燥CH2Cl2(5 mL)中のサリチル酸(97 mg, 0.70 mmol)の溶液に、乾燥Py(120μL, 1.50 mmol)を加え、前で製造されたアシルクロライドの溶液をゆっくりと加えた。混合物をr.t.に達するままにして、18時間撹拌した。混合物をHCl 2M (10 mL)で2回洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CH3CN/H2O/TFA 40/60/0.1 RP18)により精製して、白色の固体(129 mg)として標記化合物を得た。
【0122】
収率 49%
mp 81.1-83.0℃ (トルエンから)
TLC:Rf=0.30 PE/EtOAc/HCOOH 70/30/0.1 v/v/v
1H-NMR (CDCl3) δ 2.14 (2H, m), 3.87 (2H, s), 4.00 (2H, t), 4.62 (2H, t), 6.84 (2H, d, Arom), 7.10 (1H, d, Arom), 7.27 (2H, d, Arom), 7.34 (1H, t, Arom), 7.60 (1H, t, Arom), 8.11 (1H, d, Arom), 9.72 (1H, s ブロード). 13C-NMR (CDCl3) δ 26.9, 40.2, 63.5, 70.0, 114.6, 122.3, 123.9, 125.8, 126.2, 130.8, 132.4, 134.8, 151.2, 157.7, 169.9, 170.5 . MS (CI) m/z 376 (M+1)+.
【0123】
実施例12
3-{[5-オキシド-4-フェニル-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル]オキシ}プロパン酸
0℃に冷却して、アセトン(150 mL)中の3-{[5-オキシド-4-フェニル-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル]オキシ}プロパン-1-オール(5.00 g, 21.2 mmol; Lolli et al. J. Med. Chem. 2001, 44, 3463)の撹拌溶液に、Jones試薬 2.5 M (21.0 mL, 52.9 mmol)の溶液を加えた。混合物をr.t.に達するままにして、18時間撹拌した。iPrOH(15 mL)を加え、混合物を減圧下に濃縮した。残渣をEtOAc(50 mL)に溶解し、NaHCO3の飽和溶液(50 mL)で抽出した。水層をHCL 6Mで酸性化し、EtOAc(3×100 mL)で2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、白色の固体(3.1 g)として標記化合物を得た。
【0124】
収率 59%
m.p. 136.5-137.0℃ (トルエンから)
TLC:Rf=0.31 CH2Cl2/EtOAc 95/5 v/v
1H-NMR (DMSO-d6) δ 3.01 (2H, t, J=6.0 Hz), 4.78 (2H, t, J=6.0 Hz), 7.41-7.50 (3H, m, Arom), 8.05-8.07 (2H, m, Arom), 11.41 (1H, s vvbr). 13C-NMR (DMSO-d6) δ 33.3, 66.7, 107,3, 121.9, 125.7, 128.8, 129.3, 161.9, 171.6 . MS (CI) m/z 251 (M+1)+.
【0125】
2-[(3-{[5-オキシド-4-フェニル-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル]オキシ}プロパノイル)オキシ]安息香酸(化合物12)
N2下、r.t.で撹拌して、乾燥CH2Cl2(5 mL)中の3-{[5-オキシド-4-フェニル-1,2,5-オキサジアゾール-3-イル]オキシ}プロパン酸(0.50 g, 2.00 mmol)の溶液に、SOCl2(175μL, 2.40 mmol)および数滴の乾燥DMFを加えた。撹拌をr.t.で18時間続けた。そのようにして得られたアシルクロライドの溶液を、乾燥CH2Cl2(5 mL)中のサリチル酸(0.20 g, 1.40 mmol)および乾燥Py(240μL, 3.00 mmol)の撹拌溶液に、N2下、0℃に保って、ゆっくりと加えた。混合物をr.t.に達するままにして、次いで5時間撹拌した。混合物をHCl 2M (15 mL)で2回洗浄した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物を分取HPLC(Lichrospher 250-25 C18, CH3CN/H2O/TFA 50/50/0.1, 流量39 mL/分, λ 224 nm, 注入4 mL, 溶液50 mg/mL)により部分的に精製して、白色の固体(310 mg)として標記化合物を得た。
【0126】
収率 61%
mp 152.0-153.9℃ (トルエンから)
TLC:Rf=0.34 PE/EtOAc/HCOOH 60/40/0.1 v/v/v
1H-NMR (DMSO-d6) δ 3.27 (2H, t, J=6.0 Hz), 4.80 (2H, t, J=6.0 Hz), 7.14-8.07 (9H, m, Arom), 13.16 (1H, s br). 13C-NMR (DMSO-d6) δ 33.9, 66.5, 107.9, 122.3, 124.1, 124.2, 126.6, 126.7, 129.3, 131.1, 131.9, 134.3, 150.3, 162.4, 165.8, 169.4 . MS (CI) m/z 371 (M+1)+.
【0127】
加水分解実験
酸性媒体(pH 1)中での加水分解
アセトニトリル中の各化合物の溶液(10 mM)を、前もって37℃に加熱したHCl 0.1 Mに加え、化合物の最終濃度は250μMになった。得られた溶液を37±0.5℃に維持し、適当な時間の間隔で反応溶液の20μL分割量をRP-HPLCで分析した。
【0128】
ヒト血清中での加水分解
アセトニトリル中の各化合物の溶液(10 mM)を、前もって37℃に加熱したヒト血清(Sigma)に加え、化合物の最終濃度は250μMになった。得られた溶液を37±0.5℃でインキュベートし、適当な時間の間隔で反応混合物の500μLを抜き取り、血清のタンパク質を取り除くために0.1%トルフルオロ酢酸を含むアセトニトリル750μLに加えた。試料を超音波処理し、渦巻き(vortexed)、次いで2150 gで10'間遠心分離した。透明な上澄み液を0.45μmのPTFEフィルター(Alltech)で濾過し、RP-HPLCで分析した。
【0129】
逆相HPLCは、残ったサリチル酸エステルおよびサリチル酸の分離と定量を可能にした。
HPLC分析は、クオータナリーポンプ(G1311A
モデル)、メンブラン脱気剤(degasser)(G1379A)、HP1100システムに一体化されたダイオード-アレー検出器(DAD)(G1315Bモデル)を備えたHP 1100クロマトグラフシステム(Agilent Technologies, Palo Alto, CA, USA)を用いて行なわれた。データ分析は、HP ChemStationシステム(Agilent Technologies)を用いてなされた。分析カラムは、Nucleosil 100-5C18 Nautilus(250×4.6 mm, 粒子サイズ5μm)(Macherey-Nagel)であった。移動相は、0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル/水(55/45)からなり、流速は1.2 mL/分であった。注入容量は20μLであった(Rheodyne, Cotati, CA)。カラム流出液は、600 nmの波長を基準として、226 nm(サリチル酸エステルに対して)および240 nm(サリチル酸に対して)でモニターされた。定量は、同じ条件下でクロマトグラフされた標準品とピーク面積を比較することによりなされた。
【0130】
全てのエステルの加水分解は、1次の反応速度論に従った;加水分解に対する観測された擬1次速度定数(Kobs)は、時間に対する残ったサリチル酸エステルのパーセントの自然対数の直線プロットの傾きから計算され、対応する半減期(t1/2)は:
t1/2=0.693/Kobs
から得られた。
【0131】
結果を表1に示す。
【表1】

【0132】
抗炎症活性
カラゲニン(カルボキシメチルセルロース1%中の1%カラゲニン懸濁液の0.1 ml)の足裏下注射により、足浮腫を意識のあるラットに誘発した。カラゲニン注射後直ぐに、化合物または媒体(CMC, 1%)を、異なるラットのグループに10 ml/kgの量で胃内に投与した。カラゲニン注射直前およびその後3時間に、足容積をプレチスモメータ(Basile, Comerio, Italy)で測定した。足浮腫は、続くカラゲニン後の測定から最初の排水量(volume displacement)(投薬前)を差し引くことにより、各ラットで測定された。浮腫は、各動物に対して、注射前の値と比較した足の容積の増加パーセントで表された。得られた結果を、平均±SEMとして表2に示す。統計分析が、ANOVAを用い、次いでNewman Keulsテストにより行なわれた。
【0133】
ガストロレシブ(gastrolesive)活性
雄性Wistarラット、体重180-200(Harlan, S. Pietro al Natisone, Italy)を、一定の室温(25±1℃)と湿度(60±5%)で、人工的に12:12時間の明/暗サイクルで、格子床を有する吊り下げたステンレス鋼ケージに別個に収容した。実験前24時間、水以外、食餌は与えなかった。ラットのグループ(n=8-10)に、アスピリン(アセチルサリチル酸)120 mg/kgまたは試験下の化合物の等モル用量を胃内ルートで与えた。化合物の投与後3時間にラットを屠殺した。屠殺後直ぐに、胃を取り出し、小彎に沿って開き、胃を実体顕微鏡下の平面(flat plate)に置いて、粘膜損傷の検査のための試験を行なった。粘膜分泌腺を試験し、それぞれ個々の出血損傷をその最も長い長さに沿って測定した(<1 mm:評価=1;1-2 mm:評価=2;>2 mm:それらの最も長い長さによる評価)。
それぞれの胃に対して、損傷の長さを合計し、全体の総計を得、損傷インデックスとした。得られた結果を、平均±SEMとして表2に示す。統計分析が、ANOVAを用い、次いでNewman Keulsテストにより行なわれた。
【0134】
【表2】

* P<0.005対コントロール;** P<0.001対コントロール # P<0.001対アセチルサリチル酸。値は、1グループ当り6〜9匹のラットからの平均±SEMである。
足浮腫容積および胃損傷は、処置3時間後に測定された。
【0135】
シクロオキシゲナーゼ タイプIへの阻害効果
このクラスの化合物のシクロオキシゲナーゼ タイプ-I(COX1)活性への阻害効果の程度とタイプは、休止(resting)RAW 264.7マクロファージで評価された。酵素の基質としてアラキドン酸(1μM)が用いられ、インキュベート緩衝液中に放出されたPGE2の程度が、酵素活性のインデックスとして用いられた。
【0136】
阻害のタイプ(不可逆的対可逆的)は、細胞の試験化合物への30分間の曝露、続いて直接または広範な洗浄後のいずれかで基質を加え、次いでさらに15分間インキュベートすることによって、休止状態で測定された。残留活性(洗浄をしないで記録されたものに対して5%未満の差)の存在が、化合物の阻害効果の不可逆性のインデックスとして見なされた。
【0137】
シクロオキシゲナーゼ タイプIIへの阻害効果
代わって、COX2への阻害活性は、このタンパク質と100μMの不可逆的遮断剤、アスピリン(ASA)で前処理されたRAW 264.7マクロファージに16時間適用された1μg/mLの細菌内毒素、リポポリサッカライド(LPS)および10 ng/mLのインターフェロンγ(INFγ)とのインキュベーション後に分析された。酵素の基質としてアラキドン酸が役目を果たし、PGE2生成の程度がCOX2活性のインデックスとして見なされた。
【0138】
サリチル酸のニトロ-アシル誘導体のこの新しいクラスに属する化合物は、予測されずに、アセチルサリチル酸(ASA)よりも強力であり、なお不可逆的な様式でそれらの活性を維持していた(表3)。
【0139】
【表3】

【0140】
血小板凝集への阻害効果
血小板は、血栓の主な成分である。血小板凝集は、Chrono-Log血小板凝集計を用いてPRPで測定された。血小板はアラキドン酸(1 mM)で刺激された。アセチルサリチル酸(ASA)および本発明の化合物の阻害活性が、PRPに本化合物をアラキドン酸刺激の5分前に加えることによって試験された。サリチル酸のニトロ-アシル誘導体のこの新しいクラスに属する化合物は、血小板凝集を阻害することに対して、アセチルサリチル酸(ASA)よりも予測されずに強力であった(表4)。
【0141】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、
Dは-ONO2または
【化2】

(ここで、Vは-CH2-、-O-、-S-または-NH-であり;Uは、-OHもしくは-NH2で任意に置換されていてもよいC1-C10アルキルであるか、アリール、C1-C10アルコキシ、アリールオキシ、C1-C10チオアルキル、チオアリール、ハロゲン、ジ-C1-C10(アルキルアミノ)、ジアリールアミノ、アリールC1-C10(アルキルアミノ)、C1-C10(アルキルスルホキシ)、アリールスルホキシ、C1-C10(アルキルスルホン)、アリールスルホン、-CN、-NO2、-NHCOR0、-COR0、-COOR0、-CON(R0)(R1)(ここで、R0およびR1は、同一または異なって、H、アルキルまたはアリールである)である)であり;
Xは次の意味:
a) ハロゲン原子、-OH、-COOH、-ONO2またはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖状のC1-C20アルキレン;
b) 直鎖または分枝鎖状のC1-C10アルキル基で任意に置換されていてもよいC5-C7シクロアルキレン基;
c)
【化3】

(ここで、
Yは、直鎖もしくは分枝鎖状のC1-C20アルキレン、または-CH=CH-(CH2)n2-(ここで、n2は0〜10の整数である)であり;
RはH、C1-C5アルキル、-COOH、または-OR'(ここで、R'はHまたはC1-C3アルキル基である)であり;
ZはO、-C(O)O-または-OC(O)-であり;
nは0または1であり;
n1は0または1であり;
X1は、ハロゲン原子、-OH、-COOH、-ONO2からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい直鎖または分枝鎖状のC1-C20アルキレンであるか、またはX1は式(III):
【化4】

(ここで、
n3は0〜5の整数であり;
n4は1〜5の整数である)
の基であり;
ここで、式(I)の基Dは、式(II)のX1基、および式(III)の-(CH2)n4-基に結合している);
d)
【化5】

(ここで、
n5は1〜20の整数であり;
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり;
n6は0〜20の整数であり;
n7は1〜20の整数であり;
ここで、式(I)の基Dは-(CH2)n7-基に結合している);
e)
【化6】

(ここで、
Qは0またはSであり;
n8は1〜6の整数であり;
n9は1〜10の整数であり;
n10は1〜10の整数である);
f)
【化7】

(ここで、
n11は0〜10の整数であり;
n12は1〜10の整数であり;
R1、R2、R3、R4は同一または異なって、Hまたは直鎖もしくは分枝鎖状のC1-C4アルキルであり;
ここで、式(I)のD基は
【化8】

に結合しており;
Wは、窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、ヘテロ環式、飽和、不飽和または芳香族の5または6員環であり、次の:
【化9】

から選択される)
を有する2価の基である]
の化合物、およびその医薬的に許容される塩または立体異性体。
【請求項2】
Xが:
a) ハロゲン原子、-OH、-COOH、-ONO2またはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖状のC1-C10アルキレン;
c)
【化10】

(ここで、
Yは、直鎖または分枝鎖状のC1-C6アルキレン、または-CH=CH-(CH2)n2-(ここで、n2は0または1である)であり;
RはH、-CH3、-COOH、または-OR'(ここで、R'はHまたは-CH3である)であり;
ZはO、-OC(O)-であり;
nは0または1であり;
n1は0または1であり;
X1は、ハロゲン原子、-OH、-COOH、-ONO2からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖状のC1-C10アルキレンであるか、またはX1は、式(III):
【化11】

(ここで、
n3は0または1であり;
n4は1である)
の基であり;
ここで、式(I)の基Dは、式(II)のX1基、および式(III)の-(CH2)n4-基に結合している);
d)
【化12】

(ここで、n5は1〜10の整数であり;
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり;
n6は0〜10の整数であり;
n7は1〜10の整数であり;
ここで、式(I)の基Dは-(CH2)n7-基に結合している);
e)
【化13】

(ここで、
Qは-O-または-S-であり;
n8は1〜4の整数であり;
n9は1〜6の整数であり;
n10は1〜6の整数である);
f)
【化14】

(ここで、
n11は0〜4の整数であり;
n12は1〜4の整数であり;
R1、R2、R3、R4はHであり;
ここで、式(I)のD基は
【化15】

に結合しており;
Wは、
【化16】

から選択されるヘテロ環である)
である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Xが:
a) 1以上の-ONO2基で任意に置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖状のC1-C10アルキレン;
c)
【化17】

[ここで、
Yは、直鎖または分枝鎖状のC1-C6アルキレン、または-CH=CH-(CH2)n2-(ここで、n2は0または1である)であり;
RはHまたは-OR'(ここで、R'はCH3である)であり;
ZはOまたは-OC(O)-であり;
nは0または1であり;
n1は0または1であり;
X1は、1以上の-ONO2基で任意に置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖状のC1-C6アルキレンであるか、またはX1は式(III):
【化18】

(ここで、
n3は0または1であり;
n4は1である)の基であり;
ここで、式(I)の基Dは、式(II)のX1基、および式(III)の-(CH2)n4-基に結合している];
d)
【化19】

(ここで、n5は1〜5の整数であり;
Z1は-C(O)O-または-OC(O)-であり;
n6は0〜5の整数であり;
n7は1〜5の整数であり;
ここで、式(I)の基Dは-(CH2)n7-基に結合している);
e)
【化20】

(ここで、
QはOであり;
n8は1または2であり;
n9は1〜4の整数であり;
n10は1〜2の整数である)
である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
次の群:
【化21−1】

【化21−2】

【化21−3】

【化21−4】

【化21−5】

から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
式(VIII):
【化22】

(ここで、XおよびDは請求項1で定義されたとおりである)
の化合物の酸化を含む、請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項6】
医薬として使用するための、請求項1〜4に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項7】
抗炎症、抗血栓および抗血小板活性を有する医薬を製造するための、請求項1〜4に記載の化合物の使用。
【請求項8】
炎症、疼痛、発熱および心血管疾患の治療用医薬を製造するための、請求項1〜4に記載の化合物の使用。
【請求項9】
癌の予防または治療用医薬を製造するための、請求項1〜4に記載の化合物の使用。
【請求項10】
大腸癌、膀胱癌、前立腺癌の治療用医薬を製造するための、請求項9に記載の化合物の使用。
【請求項11】
医薬的に許容される担体と医薬的に有効な量の請求項1〜4で定義された一般式(I)の化合物および/またはその塩もしくは立体異性体とを含む医薬組成物。

【公表番号】特表2009−516719(P2009−516719A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541695(P2008−541695)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068417
【国際公開番号】WO2007/060112
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【住所又は居所原語表記】Taissounieres HB4,1681 route des Dolines−BP313,06560 Sophia Antipolis−Valbonne,France
【Fターム(参考)】