説明

サレデュタントとおよびセロトニン再取込みの選択的阻害剤またはセロトニン/ノルエピネフリン再取込みの阻害剤とを組み合わせて含有する医薬組成物

本発明の目的は、(S)−(−)−N−[4−(4−アセトアミド−4−フェニルピペリジン−1−イル)−2−(3,4−ジクロロフェニル)ブチル]−N−メチルベンズアミドまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、セロトニン再取込みのための選択的阻害剤とまたはセロトニン/ノルエピネフリン再取込みの阻害剤と組み合わせて含有する医薬組成物である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
以下化合物Aと称する、国際一般名がサレデュタントである式:
【0002】
【化1】

の(S)−(−)−N−[4−(4−アセトアミド−4−フェニルピペリジン−1−イル)−2−(3,4−ジクロロフェニル)ブチル]−N−メチルベンズアミドおよび医薬として許容できるこの塩は、ニューロキニンAのNK受容体の強力および選択的非ペプチドアンタゴニストとして評されており(Life Science、1992、50(15)、PL101−PL106)、特許EP0474561または特許US5236921に従って調製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第0474561号明細書
【特許文献2】米国特許第5236921号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Life Science、1992、50(15)、PL101−PL106
【発明の概要】
【0005】
本発明の主題は、(S)−(−)−N−[4−(4−アセトアミド−4−フェニルピペリジン−1−イル)−2−(3,4−ジクロロフェニル)ブチル]−N−メチルベンズアミドまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、選択的セロトニン再取込み阻害剤とまたはセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤と組み合わせて含む医薬組成物である。
【0006】
前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸二水素塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、グリコン酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、またはパラトルエンスルホン酸塩など、医薬として許容できる従来の無機酸または有機酸との塩である。
【0007】
「選択的セロトニン再取込み阻害剤」(SSRI)という用語は、例えば:
−特許US4314081に従って調製することができ、以下化合物Bと称する、国際一般名がフルオキセチンである式:
【0008】
【化2】

の(±)−N−メチル−3−フェニル−3−[4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]プロパン−1−アミンおよび医薬として許容できるこの塩;
−特許US4136193に従って調製することができる、国際一般名がシタロプラムである1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−5−カルボニトリルおよび医薬として許容できるこの塩;
−特許EP0347066または特許US4943590に従って調製することができる、国際一般名がエスシタロプラムであるS−(+)−1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラン−5−カルボニトリルおよび医薬として許容できるこの塩;
−特許US3912743および特許US4007196に従って調製することができる、国際一般名がパロキセチンであるトランス−(−)−3−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルオキシ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)ピペリジンおよび医薬として許容できるこの塩;
−特許US4536518に従って調製することができる、国際一般名がセルトラリンである(1S)−シス−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−N−メチル−1−ナフタレンアミンおよび医薬として許容できるこの塩;
−特許US4085225に従って調製することができる、国際一般名がフルボキサミンである5−メトキシ−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ペンタノンO−(2−アミノエチル)オキシムおよび医薬として許容できるこの塩;
などの化合物を意味すると理解される。
【0009】
「セロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤」(SNRI)という用語は、例えば:
−特許EP0112669に従って調製することができる、国際一般名がベンラファキシンである1−[2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)エチル]シクロへキサン−1−オールおよび医薬として許容できるこの塩;
−特許EP0273658に従って調製することができる、国際一般名がデュロキセチンである−(+)−(S)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(チオフェン−2−イル)プロパン−1−アミンおよび医薬として許容できるこの塩;
−特許US4478836に従って調製することができる、国際一般名がミルナシプランである−(1R,2R)−2−(アミノメチル)−N,N−ジエチル−1−フェニルシクロプロパン−1−カルボキサミドおよび医薬として許容できるこの塩;
などの化合物を意味すると理解される。
【0010】
驚くべきことに、選択的セロトニン再取込み阻害剤とのまたはセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤とのサレデュタントの組合せが、単独で使用される各化合物の薬理効果、特に抗うつ効果を有意に高めることがここで判明した。
【0011】
したがって、こうした組合せを含む医薬組成物は、大うつ病性障害、抵抗性うつ病性障害、気分変調性障害、不特定のうつ病性障害、双極I型障害、双極II型障害、循環病、不特定の双極性障害、一般的な病状による気分障害、物質により誘発された気分障害、不特定の気分障害から選択される気分障害;不安発作、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス状態、急性ストレス状態、全般性不安障害、または物質により誘発された不安障害から選択される不安障害の予防および治療を意図する薬物の製造において有用であり得る。
【0012】
特に、こうした組合せを含む医薬組成物は、大うつ病性障害の予防および治療を意図する薬物の製造において有用であり得る。
【0013】
また特に、こうした組合せを含む医薬組成物は、大うつ病性障害に伴う性機能不全の治療を意図する薬物の製造において有用であり得る。
【0014】
「性機能不全」という用語は、アメリカ精神医学会によりDSM−IV−TR、精神疾患の診断および統計マニュアル、第4版テキスト改訂版(ワシントンDC、2000)617−654ページで定義された通りの任意の病理を意味すると理解され、性欲の障害(すなわち、障害:性欲における低下、および障害:性的嫌悪)、性的興奮の障害(すなわち、女性の性的興奮障害および男性の勃起障害)、オルガスム障害(すなわち、女性のオルガスム障害、男性のオルガスム障害および早漏)、疼痛性障害(すなわち、性交疼痛症および膣痙)、一般的な病状による性機能不全、物質により誘発された性機能不全、および不特定の性機能不全の障害が挙げられる。
【0015】
したがって、この態様の1つによると、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、選択的セロトニン再取込み阻害剤またはセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤と組み合わせて、および少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0016】
特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、選択的セロトニン再取込み阻害剤と組み合わせて、および少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0017】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、フルオキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、セルトラリンおよびフルボキサミンから選択される選択的セロトニン再取込み阻害剤または医薬として許容できるこれらの塩の一種と組み合わせて、および少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0018】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、フルオキセチンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0019】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、シタロプラムまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0020】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、エスシタロプラムまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0021】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、パロキセチンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0022】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、セルトラリンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0023】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、フルボキサミンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0024】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、セロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0025】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、ベンラファキシン、デュロキセチン、およびミルナシプランから選択されるセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤または医薬として許容できるこれらの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0026】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、ベンラファキシンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0027】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、デュロキセチンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0028】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、ミルナシプランまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物である。
【0029】
この別の態様によると、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種の、選択的セロトニン再取込み阻害剤とまたはセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤との組合せである。
【0030】
特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種の、フルオキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、セルトラリンおよびフルボキサミンから選択される選択的セロトニン再取込み阻害剤または医薬として許容できるこれらの塩の1種との組合せである。
【0031】
また特に、本発明の一主題は、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種の、ベンラファキシン、デュロキセチンおよびミルナシプランから選択されるセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤または医薬として許容できるこれらの塩の1種との組合せである。
【0032】
この別の態様によると、本発明の一主題は、大うつ病性障害、抵抗性うつ病性障害、気分変調性障害、不特定のうつ病性障害、双極I型障害、双極II型障害、循環病、不特定の双極性障害、一般的な病状による気分障害、物質により誘発された気分障害、不特定の気分障害から選択される気分障害;不安発作、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス状態、急性ストレス状態、全般性不安障害、または物質により誘発された不安障害から選択される不安障害の予防および治療を意図する薬物の製造において、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、選択的セロトニン再取込み阻害剤とまたはセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤もしくは医薬として許容できるこれらの塩の1種と組み合わせて含む医薬組成物の使用である。
【0033】
特に、本発明の一主題は、大うつ病性障害の予防および治療を意図する薬物の製造において、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、選択的セロトニン再取込み阻害剤とまたはセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤もしくは医薬として許容できるこれらの塩の1種と組み合わせて含む医薬組成物の使用である。
【0034】
また特に、本発明の一主題は、大うつ病性障害に伴う性機能不全の治療を意図する薬物の製造において、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、選択的セロトニン再取込み阻害剤とまたはセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤もしくは医薬として許容できるこれらの塩の1種と組み合わせて含む医薬組成物の使用である。
【0035】
また特に、本発明の一主題は、大うつ病性障害、抵抗性うつ病性障害、気分変調性障害、不特定のうつ病性障害、双極I型障害、双極II型障害、循環病、不特定の双極性障害、一般的な病状による気分障害、物質により誘発された気分障害、不特定の気分障害から選択される気分障害;不安発作、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス状態、急性ストレス状態、全般性不安障害、または物質により誘発された不安障害から選択される不安障害の予防および治療を意図する薬物の製造において、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、エスシタロプラムまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせて含む医薬組成物の使用である。
【0036】
また特に、本発明の一主題は、大うつ病性障害の予防および治療を意図する薬物の製造において、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、エスシタロプラムまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせて含む医薬組成物の使用である。
【0037】
また特に、本発明の一主題は、大うつ病性障害に伴う性機能不全の治療を意図する薬物の製造において、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、エスシタロプラムまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせて含む医薬組成物の使用である。
【0038】
また特に、本発明の一主題は、大うつ病性障害、抵抗性うつ病性障害、気分変調性障害、不特定のうつ病性障害、双極I型障害、双極II型障害、循環病、不特定の双極性障害、一般的な病状による気分障害、物質により誘発された気分障害、不特定の気分障害から選択される気分障害;不安発作、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス状態、急性ストレス状態、全般性不安障害、または物質により誘発された不安障害から選択される不安障害の予防および治療を意図する薬物の製造において、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、パロキセチンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせて含む医薬組成物の使用である。
【0039】
また特に、本発明の一主題は、大うつ病性障害の予防および治療を意図する薬物の製造において、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、パロキセチンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせて含む医薬組成物の使用である。
【0040】
また特に、本発明の一主題は、大うつ病性障害に伴う性機能不全の治療を意図する薬物の製造において、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、パロキセチンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせて含む医薬組成物の使用である。
【0041】
この別の態様によると、本発明の一主題は、大うつ病性障害、抵抗性うつ病性障害、気分変調性障害、不特定のうつ病性障害、双極I型障害、双極II型障害、循環病、不特定の双極性障害、一般的な病状による気分障害、物質により誘発された気分障害、不特定の気分障害から選択される気分障害;不安発作、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス状態、急性ストレス状態、全般性不安障害、または物質により誘発された不安障害から選択される不安障害の予防および治療を意図する薬物の製造における、サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種の、選択的セロトニン再取込み阻害剤またはセロトニン/ノルエピネフリン阻害剤もしくは医薬として許容できるこれらの塩の1種との組合せの使用である。
【0042】
賦形剤は、医薬品形態および所望の投与方法に従って、当業者に既知の通常の賦形剤から選択される。
【0043】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所的、局所性、気管内、鼻腔内、経皮的または直腸の投与のための本発明の医薬組成物において、有効成分は従来の医薬品賦形剤との混合物として単位投与形態で、上記の障害または疾患の予防または治療のため、動物およびヒトに投与することができる。
【0044】
適当な単位投与形態には、錠剤、軟または硬ゼラチンカプセル剤、粉末、顆粒および経口の液剤または懸濁液などの経口形態、舌下、口腔内、気管内、眼内または鼻腔内の投与形態、吸入による投与のための形態、局所的、経皮的、皮下、筋肉内または静脈内の投与形態、直腸投与形態および移植片が含まれる。局所適用に対し、本発明による化合物は、クリーム、ゲル、軟膏剤またはローションで使用することができる。
【0045】
本発明の医薬組成物において、有効成分または複数の有効成分は、投与単位として一般に配合される。投与単位は、連日投与に対して1日当たり1回または複数回で、投与単位当たり2.5mgから500mg、有利には10mgから250mg、好ましくは10mgから150mgを含む。これらの投与量は平均的状況の例であるが、投与量の増減が適当である特別の場合もあり得、こうした投与量も本発明の範囲内となる。標準的手法に従って、各患者に適当な投与量は、投与の方法、ならびに該患者の年齢、重量、および反応により医師によって決定される。
【0046】
本発明の別の態様によると、本発明による化合物Aおよび他の有効成分は、同時に、別々に投与するか、または時間をかけて伝搬させることができる。
【0047】
「同時使用」という用語は、全く同一の医薬品形態に含まれる本発明による組成物の化合物の投与を意味すると理解される。
【0048】
「別々の使用」という用語は、各々が別々の医薬品形態内に含まれる本発明による組成物の2つの化合物の同時の投与を意味すると理解される。
【0049】
「時間をかけて伝搬させる使用」という用語は、医薬品形態内に含まれる本発明による組成物の第一化合物、次いで別の医薬品形態内に含まれる本発明による組成物の第二化合物の経時投与を意味すると理解される。
【0050】
この「時間をかけて伝搬させる使用」の場合、本発明による組成物の第一化合物の投与と本発明による同一組成物の第二化合物の投与との間に経過した時間は、通常、24時間を越えることはない。
【0051】
本発明による組成物の構成化合物をただ1つ、または上記した使用の各種タイプに用いることができる2種の化合物の組合せのいずれかを含む単位医薬品形態は、例えば、経口、経鼻、非経口または経皮的な投与に適当であり得る。
【0052】
したがって、「別々の使用」および「時間をかけて伝搬させる使用」の場合、2つの別の医薬品形態が、同一の投与経路、または(経口および経皮的、または経口および経鼻、または非経口および経皮的などの)異なる投与経路を意図してよい。
【0053】
本発明は、したがって、本発明による前記化合物Aおよび他の有効成分を、別々の区分で、および類似または異なる包装で、同時に、別々に投与するか、または時間をかけて伝搬させることを意図する、本発明による化合物Aおよび他の有効成分を含むキットにも関する。
【0054】
具体的に、および言外の制限を伴うことなく、化合物Aの、およびフルオキセチン(化合物B)の本発明による組合せの薬理効果における増強が、動物で実証されている。
【0055】
さらに具体的に、化合物Aの、および選択的セロトニン再取込み阻害剤の本発明による組合せの効果は、臨床研究中に調査されている。
【実施例1】
【0056】
インビボラット試験DRL−72s(低反応率分化強化72秒)を、C.Louis et al.によってNeuropsychopharmacology、2006、1−8に記載されている技術に従って使用する。
【0057】
化合物A単独の、化合物B単独の、および化合物A+化合物Bの組合せを腹腔内投与後、ラットにより押される全回数に対して得られる報酬(強化押下げ)の百分率に関して、対照(溶媒単独)と比較した効果。
【0058】
あらかじめ、DRL−72s試験における化合物A単独の、および化合物B単独の最小活性用量を決定した。すなわち:
−化合物A:腹腔内10mg/kg;
−化合物B:腹腔内5mg/kg。
【0059】
本研究には、化合物A単独の弱活性用量、ならびに化合物B単独の、および化合物A+化合物Bの活性用量を選択した。
【0060】
化合物A単独は3mg/kgの用量で、および化合物B単独は2.5mg/kgの用量で、0.1%(v/v)Tween80(登録商標)を含む0.9%(重量/容量)塩化ナトリウム水溶液中に溶解し、1ml/kgの最終容量で腹腔内に投与した。
【0061】
組合せは、化合物A(3mg/kg)の、次いで化合物B(2.5mg/kg)の2回の同時投与により腹腔内に投与した。
【0062】
化合物の用量は、遊離塩基の形態で表す。
【0063】
試験の必要条件として、溶媒(対照)の効果と比較した化合物A単独の効果、化合物B単独の効果、および化合物A+化合物Bの組合せの効果を、各動物で測定する。
【0064】
各ラット(n=8)は、したがって、時間をかけて伝搬する4種の注入、すなわち、溶媒(対照)、化合物A単独、化合物B単独、および化合物A+化合物Bの組合せを与えられる。
【0065】
得られた結果を表Iに示し、試験の所要時間(1時間)に押された全回数に対して得られた報酬の百分率として、平均値±SEM(平均値の標準誤差)の形態で表す。
【0066】
【表1】

【0067】
得られた結果は:
−化合物Aは、3mg/kgの用量で単独投与され、対照に対して得られた報酬の百分率数を僅かに変更するだけであり、さらに、この増加は統計的に有意ではない;
−化合物Bは、2.5mg/kgの用量で単独投与され、対照に対して得られた報酬の百分率数を変更することはない;
−化合物Aおよび化合物Bの組合せは、対照に対して得られた報酬の百分率数を顕著に増加させ、この増加は統計的に有意である;
ことを示している。
【0068】
したがって、本発明による化合物Aおよび化合物Bの組合せは、予想外に、この試験における動物の行動にプラス効果を示しており、治療用途のための組合せの抗うつ潜在能力を立証することを可能にしている。
【実施例2】
【0069】
エスシタロプラムとのサレデュタントの本発明による組合せの効果は、1日1回のエスシタロプラムの一定用量と組み合わせて1日1回のサレデュタントの一定用量を受ける群を、エスシタロプラムの一定用量と組み合わせてサレデュタントの偽薬を受ける群、およびエスシタロプラムの偽薬と組み合わせてサレデュタントの偽薬を受ける別の群と比較する、多中心性、無作為抽出、二重盲検の8週続く臨床研究中に評価する。
【0070】
これらの臨床研究は、精神疾患の診断および統計マニュアル、第4版、テキスト改訂版(DSM−IV−TR)の基準により定義された大うつ病性障害を示し、精神疾患簡易構造化面接法(MINI)、Lecrubier Y.et al.、Bur.Psychiatr.、1997、12、224−231の基準により確証された成人男性または成人女性の患者に行なう。
【0071】
17項目を含むハミルトンうつ病評価尺度(HAM−D)での総合得点における、最終来診(56日目の予定)と最初の来診(治療開始前)との間の変化を、偽薬群に対して測定する。ハミルトンうつ病評価尺度は、Hamilton M.、J.Neurol.Neurosurg.Psychiatry、1960、23、56−62により定義されている。
【0072】
14項目を含むCSFQ(Changes in Sexual Functioning Questionnaire)の総合得点における、最終来診(56日目の予定)と最初の来診(治療開始の前)との間の変化も、偽薬群に対して測定する。CSFQは、Clayton AH et al.、Psychopharmacol Bull.、1997、33、731−745により定義されている。
【実施例3】
【0073】
パロキセチンとのサレデュタントの本発明による組合せの効果は、1日1回のパロキセチンの一定用量と組み合わせて1日1回のサレデュタントの一定用量を受ける群を、パロキセチンの一定用量と組み合わせてサレデュタントの偽薬を受ける群、およびパロキセチンの偽薬と組み合わせてサレデュタントの偽薬を受ける別の群と比較する、多中心性、無作為抽出、二重盲検の8週続く臨床研究中に評価する。
【0074】
これらの臨床研究は、精神疾患の診断および統計マニュアル、第4版、テキスト改訂版(DSM−IV−TR)の基準により定義された大うつ病性障害を示し、精神疾患簡易構造化面接法(MINI)、Lecrubier Y.et al.、Bur.Psychiatr.、1997、12、224−231の基準により確証された成人男性または成人女性の患者に行なう。
【0075】
17項目を含むハミルトンうつ病評価尺度(HAM−D)での総合得点における、最終来診(56日目の予定)と最初の来診(治療開始前)との間の変化を、偽薬群に対して測定する。ハミルトンうつ病評価尺度は、Hamilton M.、J.Neurol.Neurosurg.Psychiatry、1960、23、56−62により定義されている。
【0076】
14項目を含むCSFQ(Changes in Sexual Functioning Questionnaire)の総合得点における、最終来診(56日目の予定)と最初の来診(治療開始の前)との間の変化も、偽薬群に対して測定する。CSFQは、Clayton AH et al.、Psychopharmacol Bull.、1997、33、731−745により定義されている。
【実施例4】
【0077】
サレデュタント30mgを含む硬ゼラチンカプセル
(塩基として表される)サレデュタント 30.0mg
ラクトース一水和物(200メッシュ) 400.0mgまでの適量
クロスカルメロースナトリウム 8.0mg
ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
精製水* 適量
400.0mgまで充填されるサイズ0の不透明の硬ゼラチンカプセル用
*湿式造粒後、乾燥時に蒸発させる。
【実施例5】
【0078】
サレデュタント100mgを含む硬ゼラチンカプセル
(塩基として表される)サレデュタント 100.0mg
ラクトース一水和物(200メッシュ) 400.0mgまでの適量
クロスカルメロースナトリウム 8.0mg
ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
精製水* 適量
400.0mgまで充填されるサイズ0の不透明の硬ゼラチンカプセル用
*湿式造粒後、乾燥時に蒸発させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、選択的セロトニン再取込み阻害剤とまたはセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む医薬組成物。
【請求項2】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、選択的セロトニン再取込み阻害剤と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、フルオキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、セルトラリンおよびフルボキサミンから選択される選択的セロトニン再取込み阻害剤または医薬として許容できるこれらの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、フルオキセチンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、シタロプラムまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、エスシタロプラムまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、パロキセチンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、セルトラリンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項9】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、フルボキサミンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項10】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、セロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、ベンラファキシン、デュロキセチンおよびミルナシプランから選択されるセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤または医薬として許容できるこれらの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項1または請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、ベンラファキシンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、デュロキセチンまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種を、ミルナシプランまたは医薬として許容できるこの塩の1種と組み合わせておよび少なくとも1種の医薬として許容できる賦形剤も含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
サレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種の、選択的セロトニン再取込み阻害剤とのまたはセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤との組合せ。
【請求項16】
請求項15に記載のサレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種の、フルオキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、セルトラリンおよびフルボキサミンから選択される選択的セロトニン再取込み阻害剤または医薬として許容できるこれらの塩の1種との組合せ。
【請求項17】
請求項15に記載のサレデュタントまたは医薬として許容できるこの塩の1種の、ベンラファキシン、デュロキセチンおよびミルナシプランから選択されるセロトニン/ノルエピネフリン再取込み阻害剤または医薬として許容できるこれらの塩の1種との組合せ。
【請求項18】
大うつ病性障害、抵抗性うつ病性障害、気分変調性障害、不特定のうつ病性障害、双極I型障害、双極II型障害、循環病、不特定の双極性障害、一般的な病状による気分障害、物質により誘発された気分障害、不特定の気分障害から選択される気分障害;不安発作、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス状態、急性ストレス状態、全般性不安障害、または物質により誘発された不安障害から選択される不安障害の予防および治療を意図する薬物の製造における、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項19】
大うつ病性障害の予防および治療のための、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
大うつ病性障害に伴う性機能不全の治療のための、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
大うつ病性障害、抵抗性うつ病性障害、気分変調性障害、不特定のうつ病性障害、双極I型障害、双極II型障害、循環病、不特定の双極性障害、一般的な病状による気分障害、物質により誘発された気分障害、不特定の気分障害から選択される気分障害;不安発作、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス状態、急性ストレス状態、全般性不安障害、または物質により誘発された不安障害から選択される不安障害の予防および治療を意図する薬物の製造における、請求項6に記載の医薬組成物の使用。
【請求項22】
大うつ病性障害の予防および治療のための、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
大うつ病性障害に伴う性機能不全の治療のための、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
大うつ病性障害、抵抗性うつ病性障害、気分変調性障害、不特定のうつ病性障害、双極I型障害、双極II型障害、循環病、不特定の双極性障害、一般的な病状による気分障害、物質により誘発された気分障害、不特定の気分障害から選択される気分障害;不安発作、広場恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス状態、急性ストレス状態、全般性不安障害、または物質により誘発された不安障害から選択される不安障害の予防および治療を意図する薬物の製造における、請求項7に記載の医薬組成物の使用。
【請求項25】
大うつ病性障害の治療および予防のための、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
大うつ病性障害に伴う性機能不全の治療のための、請求項25に記載の使用。

【公表番号】特表2009−545573(P2009−545573A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522301(P2009−522301)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001314
【国際公開番号】WO2008/017753
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】