説明

サンドイッチパネル、及びその製造方法

【課題】射出成形によって枠体を設けた場合に、一部の発泡材が溶けたり、又、表面材や裏面材の一部が座屈したりすることの無いサンドイッチパネルを提供することである。
【解決手段】表面材、裏面材、及び前記表面材と前記裏面材との間に設けられた発泡材を有するサンドイッチパネルにおいて、
前記サンドイッチパネルの周縁部に設けられた枠体と、
前記枠体の内側に対応する位置であって、前記発泡材の表面を覆うように設けられた硬化樹脂体とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサンドイッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
表面材と裏面材との間に発泡樹脂が充填された構造のサンドイッチパネルが各種の分野で使用されている。例えば、棚や床あるいは壁材と言った建材、断熱パネルとか騒音吸収(遮断)パネル、更には航空機の機体材、或いはケース板として用いられている。そして、従来からも、各種のサンドイッチパネルが提案されている。
【特許文献1】特開2006−328809号公報
【特許文献2】特開2006−305999号公報
【特許文献3】特開2006−305750号公報
【特許文献4】特開2006−299757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、これまでのサンドイッチパネルの基本構造は、上述した通り、表面材と裏面材との間に発泡樹脂が充填された構造である。
【0004】
しかしながら、この構造のものでは、発泡樹脂材が露出しているので、この発泡樹脂材によって摺動特性が悪い。例えば、桟の上を滑らそうとしても、その動きが余り良くない。
【0005】
そこで、サンドイッチパネルの周縁部に枠を取り付けることが考えられるに至った。すなわち、射出成形手段でサンドイッチパネルの周縁部に枠を設けることを考えた。
【0006】
ところで、枠を射出成形手段で設けた場合、不良品が、しばしば、発生するに至った。すなわち、図4に示される如く、充填されている発泡樹脂体13が射出された溶融樹脂によって溶融したり、或いは座屈を起こし、不良品となっていた。尚、図4中、11は表面材、12は裏面材、13は表面材11と裏面材12との間に充填された発泡樹脂体である。14は、表面材11や裏面材12の周縁部に射出成形で設けられた枠体である。
【0007】
従って、本発明が解決しようとする課題は、前記の問題点を解決することである。すなわち、射出成形によって枠体を設けた場合に、一部の発泡材が溶けたり、又、表面材や裏面材の一部が座屈したりすることの無いサンドイッチパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題は、表面材、裏面材、及び前記表面材と前記裏面材との間に設けられた発泡材を有するサンドイッチパネルにおいて、
前記サンドイッチパネルの周縁部に設けられた枠体と、
前記枠体の内側に対応する位置であって、前記発泡材の表面に設けられた硬化樹脂体
とを具備することを特徴とするサンドイッチパネルによって解決される。
【0009】
特に、上記のサンドイッチパネルであって、硬化樹脂体は、表面材と裏面材との間から露出した発泡材の表面を覆う如く、前記表面材と前記裏面材とで構成される開口端がシールされるように設けられてなるサンドイッチパネルによって解決される。
【0010】
又、上記のサンドイッチパネルであって、硬化樹脂体が熱硬化性、光硬化性、及び/又は触媒硬化性樹脂で構成されてなることを特徴とするサンドイッチパネルによって解決される。
【0011】
又、上記のサンドイッチパネルであって、枠体が射出成形により設けられてなることを特徴とするサンドイッチパネルによって解決される。
【0012】
又、サンドイッチパネルの製造方法において、
表面材と裏面材との間に発泡材を充填する発泡材充填工程と、
前記発泡材充填工程の後、表面材と裏面材との間から露出している発泡材の表面を覆うように該表面材と該裏面材とで構成される開口端に硬化性樹脂を設ける硬化性樹脂配設工程と、
前記硬化性樹脂配設工程の後、前記表面材と前記裏面材との周縁部に樹脂を供給して枠体を設ける枠体構成工程
とを具備することを特徴とするサンドイッチパネルの製造方法によって解決される。
【0013】
又、上記のサンドイッチパネルの製造方法であって、硬化性樹脂配設工程が熱硬化性、光硬化性、及び/又は触媒硬化性樹脂を供給して硬化させる工程であることを特徴とするサンドイッチパネルの製造方法によって解決される。
【0014】
又、上記のサンドイッチパネルの製造方法であって、枠体は熱可塑性樹脂を射出成形することにより構成されることを特徴とするサンドイッチパネルの製造方法によって解決される。
【0015】
又、上記のサンドイッチパネルの製造方法であって、表面材と裏面材とで構成される開口端面に対向したゲート位置から熱可塑性樹脂を射出成形することにより枠体が構成されることを特徴とするサンドイッチパネルの製造方法によって解決される。
【0016】
又、表面材および/または裏面材が繊維強化プラスチックで構成されてなる上記本発明によって解決される。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、枠体がサンドイッチパネルの周縁部に設けられてなるので、損傷し易い発泡樹脂が外部に露出しておらず、損傷し難く、耐久性に富む。しかも、枠体の存在によって、サンドイッチパネルの摺動性が向上する。
【0018】
ところで、上述の如きの大きな特長を奏する枠体を射出成形で設けようとすると、表面材や裏面材が部分的に座屈を起こしていたものの、表面材と裏面材とで構成される開口端に硬化樹脂体を設けたので、当該箇所が硬化樹脂体で補強されることになり、機械的強度の向上が図れ、枠体を射出成形で構成した場合でも、座屈などの問題が解決され、優秀なサンドイッチパネルが歩留まり良く得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のサンドイッチパネルは、表面材と、裏面材と、前記表面材と前記裏面材との間に設けられた発泡材とを具備する。かつ、前記表面材と裏面材(サンドイッチパネル)の周縁部に設けられた枠体を具備する。更に、前記枠体の内側に対応する位置であって、前記発泡材の表面に設けられた硬化樹脂体を具備する。
【0020】
本発明のサンドイッチパネルの製造方法は、表面材と裏面材との間に発泡材を充填する発泡材充填工程を具備する。かつ、前記発泡材充填工程の後、表面材と裏面材との間から露出している発泡材の表面を覆うように該表面材と該裏面材とで構成される開口端に硬化性樹脂を設ける硬化性樹脂配設工程を具備する。更に、前記硬化性樹脂配設工程の後、前記表面材と前記裏面材との周縁部に樹脂を供給して枠体を設ける枠体構成工程を具備する。
【0021】
本発明で用いられる表面材や裏面材は、特に繊維強化プラスチックで構成される。ここで、強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、有機高弾性率繊維(例えば、米国デュポン(株)社製のポリアラミド繊維「ケブラー」)、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維などの高強度、高弾性率繊維などが挙げられる。そして、これらの中から、単独で、或いは複数併用して用いるようにしても良い。尚、これ等の中でも、高い剛性を保持したまま軽量性が確保される為、弾性率と密度との比である比弾性率が高い炭素繊維の使用が好ましい。例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、セルロース系、炭化水素による気相成長系炭素繊維、黒鉛繊維などを用いることができ、これらを2種類以上併用してもよい。これ等の他にも、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ビニロン繊維などの合成繊維、更には有機天然繊維などを用いることが出来る。強化繊維としては連続した強化繊維や不連続の強化繊維を使用でき、両者を組み合わせても良い。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を使用できる。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ナイロン樹脂、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂などがある。好ましくは、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で熱または光や電子線などの外部からのエネルギーにより硬化して、少なくとも部分的に三次元硬化物を形成する樹脂である。
【0022】
上記の如きの繊維、特に炭素繊維強化プラスチック材からなる表面材と裏面材との間に、発泡体が設けられる。この発泡体は、例えばテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロプロピルビニルエーテル共重合体等のテトラフルオロエチレン−アルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン−ペルフルオロブチルエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等の熱可塑性フッ素樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン改質ポリエチレン系樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン(低密度、中密度、又は高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂や、その他のオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のオレフィン系モノマーと他のビニル系モノマーとの共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が適宜用いられて構成される。尚、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロブタン等の脂肪族環化水素類、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、メチルクロライド、メチレンクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素類などの発泡剤が、適宜、用いられる。そして、見かけ密度が0.03〜1.4g/cm、特に0.05〜1.2g/cmの範囲内にある発泡樹脂が得られるので、これが発泡体として用いられる。
【0023】
サンドイッチパネルは、当初より、目的とする所定の大きさのものが作製されても良い。しかしながら、先ず、目的とする所定の大きさのものよりも大きな平面板を作製し、この後で、所定の大きさにカットすることによって、目的とする大きさのサンドイッチパネルを作製するようにしても良い。そして、このようにしたならば、サンドイッチパネルの製作コストは低廉なものになる。しかしながら、このようにして作製されたサンドイッチパネルの周側面は、発泡樹脂が外部に露出したものとなっている。
【0024】
本発明では、上記した表面材と裏面材との間に発泡体が設けられたサンドイッチパネルの周側面(周縁部)が覆われるように(表面材と裏面材とで構成される開口部がシールされるように)、即ち、表面材と裏面材との間に設けられた発泡体が覆われるように硬化樹脂体(密実樹脂体:非発泡樹脂体)が設けられる。つまり、硬化樹脂体でシールされるように硬化性樹脂が供給・硬化される。この硬化樹脂体は、例えば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、或いは触媒硬化性樹脂で構成される。ここで、硬化性樹脂は、最初は、通常、液状の低分子化合物(プレポリマーと呼ばれることがある。)であるが、熱または触媒あるいは紫外線等の作用によって、化学変化を起こして架橋構造を生成しながら高分子の三次元網目構造を呈する樹脂となるものである。従って、必ずしも、加熱を必要としない。具体的には、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ケイ素樹脂、アルキド樹脂、アリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、イミド樹脂等が代表的なものとして挙げられる。本発明に用いる熱硬化性樹脂として代表的なフェノール樹脂としては、特に限定されず、市販されているものが適宜用いられる。例えば、フェノール類とホルマリンとを、フェノール類とホルムアルデヒドのモル比が、0.5〜1.0となるような配合比率で仕込んで得られるノボラック型フェノール樹脂やレゾール型フェノール樹脂を適宜用いることが出来る。エポキシ樹脂も、適宜、各種のものを用いることが出来る。例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ブロム化ビスフェノールA系、或いはノボラックグリシジルエーテル系等のクリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のクリシジルエステル型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートあるいはテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエンあるいはエポキシ大豆油等の線状脂肪族型エポキシ樹脂、更には3,4エポキシ−6メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレートあるいは3,4エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート等の脂環族型エポキシ樹脂などが適宜用いられる。そして、必要に応じて、硬化剤が用いられる。硬化剤としては、前記した熱硬化性樹脂と反応して硬化可能なものであれば如何なるものでも良く、エポキシ樹脂を例に取れば、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、酸無水物系(例えば、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、無水フタル酸誘導体等)、フェノールノボラック樹脂、ポリメルカプタン等の重付加型硬化剤、芳香族第3アミン、イミダゾール化合物、ルイス酸錯体等の触媒型硬化剤などが挙げられる。又、必要に応じて硬化促進剤を用いることも出来る。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を例に取れば、硬化促進剤の具体例としては、例えばベンジルジメチルアミン(BDMA)、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−s−トリアジン、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等のアミン系化合物、及びその塩化合物、トリフェニルホスフィン、トリス−(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン系化合物、及びその塩化合物、或いはオクチル酸スズ等の有機金属塩が挙げられる。尚、上記にあっては、サンドイッチパネルの周側面(周縁部)が覆われるように(表面材と裏面材とで構成される開口部がシールされるように)、即ち、表面材と裏面材との間に設けられた発泡体が覆われるように硬化樹脂体が設けられるようにした。しかしながら、これは、完全なシール形態でなくても良い。すなわち、硬化樹脂体を設ける意味は、枠体を設けるに際して、枠体構成材料である樹脂によって発泡体が損傷を受け、これによって表面材や裏面材が変形するのを防止する為である。従って、全域をシールしなくても良い。例えば、スポット的に設けるのみでも良い場合が有る。但し、スポット的に設ける場合には、やはり、硬化樹脂体が設けられていない箇所において、発泡体が損傷を受ける恐れも考えられるから、サンドイッチパネルの周側面(周縁部)の全域に亘って硬化樹脂体が設けられることが非常に好ましい。尚、ここで、硬化樹脂体とは、発泡樹脂体のようなものでは無く、機械的強度が大きな密実な樹脂体のことを意味している。
【0025】
そして、表面材と裏面材との間に発泡体が設けられたサンドイッチパネルの周縁部が覆われるように(表面材と裏面材とで構成される開口部がシールされるように)、即ち、表面材と裏面材との間に設けられた発泡体が覆われるように硬化樹脂体が設けられた後で、該サンドイッチパネルの周縁部に枠体が設けられる。特に、射出成形により枠体が構成される。中でも、熱可塑性樹脂を射出成形することにより枠体が構成される。射出成形に際しては、表面材と裏面材とで構成される開口端面に対向したゲート口から熱可塑性樹脂が注入・充填され、枠体が構成される。熱可塑性樹脂としては、例えばポリアミド樹脂、変性フェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などのアクリル樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、さらにはエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1‐ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレン/一酸化炭素/ジエン共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルエーテルエラストマー、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエステルアミドエラストマー、ポリエステルエステルエラストマーなどの各種エラストマー類などが適宜用いられる。
【0026】
以下、具体的な実施例を挙げて説明する。
図1〜図3は本発明のサンドイッチパネルの説明図である。
【0027】
先ず、図1に示される如く、上記した繊維強化プラスチック、例えば炭素繊維強化プラスチックで構成された表面板1と裏面板2との間に、発泡材料を充填し、発泡体(発泡樹脂の原料である樹脂はポリカーボネート)3が設けられたサンドイッチパネル4を作製する。尚、このサンドイッチパネル4は、予め、大面積のものが作製された後、所定の大きさのものに切断されたものである。
【0028】
そして、このサンドイッチパネル4の端面部(表面板1と裏面板2との開口部:発泡体3の露出面部)に上記した硬化性樹脂材料を塗布して硬化させ、図2に示される如く、発泡体3の露出面部および表面板1や裏面板2の端面部を硬化樹脂で覆う(シールする)。すなわち、サンドイッチパネル4の側面部が密実な硬化樹脂体5で構成されることになる。つまり、密実な硬化樹脂体5によって発泡体3が補強されたことになり、表面板1や裏面板2に対して押し込むような力が作用しても、それに耐えられるようになっている。
【0029】
次に、硬化樹脂体5で側面部が覆われたサンドイッチパネル4を、金型内に配置し、上記した熱可塑性樹脂(ポリアセタール)をゲートから注入し、射出成形により断面略コ字状のポリアセタール製の枠6を設ける(図3参照)。尚、この時、サンドイッチパネル4の側面部に設けられた硬化樹脂体5に対向する如くに設けられたゲート口から樹脂が注入される。尚、この注入された溶融樹脂は、硬化樹脂体5に衝突しても、発泡体3に接触することは無い。従って、発泡体3が枠6の構成樹脂である溶融樹脂によって熱損傷を受ける恐れが無い。この為、表面板1や裏面板2が座屈を起こす恐れも無い。そして、溶融樹脂が硬化樹脂体5に衝突しても、硬化樹脂体5は耐熱性および機械的強度に富むものであるから、硬化樹脂体5が損傷を受けることは無い。
【0030】
上記のような本発明に対して、側面部が硬化樹脂体5で覆われないサンドイッチパネルを金型に配置して枠を射出成形により設けようとした場合には、射出成形時に50〜100Kg/cmの圧力が作用する為、図4に示される如きの座屈などが起きるようになり、又、発泡体が熱損傷を受け、優秀なサンドイッチパネルの製造歩留まりは低いものであった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明になるサンドイッチパネルの製造工程図
【図2】本発明になるサンドイッチパネルの製造工程図
【図3】本発明になるサンドイッチパネルの概略断面図
【図4】従来のサンドイッチパネルの概略断面図
【符号の説明】
【0032】
1 表面板
2 裏面板
3 発泡体
4 サンドイッチパネル
5 硬化樹脂体
6 枠

代 理 人 宇 高 克 己

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面材、裏面材、及び前記表面材と前記裏面材との間に設けられた発泡材を有するサンドイッチパネルにおいて、
前記サンドイッチパネルの周縁部に設けられた枠体と、
前記枠体の内側に対応する位置であって、前記発泡材の表面に設けられた硬化樹脂体
とを具備することを特徴とするサンドイッチパネル。
【請求項2】
硬化樹脂体は、表面材と裏面材との間から露出した発泡材の表面を覆う如く、該表面材と該裏面材とで構成される開口端がシールされるように設けられてなることを特徴とする請求項1のサンドイッチパネル。
【請求項3】
硬化樹脂体は、熱硬化性、光硬化性、及び/又は触媒硬化性樹脂で構成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2のサンドイッチパネル。
【請求項4】
枠体は、射出成形により設けられてなることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかのサンドイッチパネル。
【請求項5】
サンドイッチパネルの製造方法において、
表面材と裏面材との間に発泡材を充填する発泡材充填工程と、
前記発泡材充填工程の後、表面材と裏面材との間から露出している発泡材の表面を覆うように該表面材と該裏面材とで構成される開口端に硬化性樹脂を設ける硬化性樹脂配設工程と、
前記硬化性樹脂配設工程の後、前記表面材と前記裏面材との周縁部に樹脂を供給して枠体を設ける枠体構成工程
とを具備することを特徴とするサンドイッチパネルの製造方法。
【請求項6】
硬化性樹脂配設工程は、熱硬化性、光硬化性、及び/又は触媒硬化性樹脂を供給して硬化させる工程であることを特徴とする請求項5のサンドイッチパネルの製造方法。
【請求項7】
枠体は熱可塑性樹脂を射出成形することにより構成されることを特徴とする請求項5又は請求項6のサンドイッチパネルの製造方法。
【請求項8】
表面材と裏面材とで構成される開口端面に対向したゲート位置から熱可塑性樹脂を射出成形することにより枠体が構成されることを特徴とする請求項5〜請求項7いずれかのサンドイッチパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−200985(P2008−200985A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39190(P2007−39190)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000236609)フドー株式会社 (12)
【出願人】(507055800)株式会社湘南数理研究所 (1)
【Fターム(参考)】