説明

サンプル抽出および取り扱いのための方法および装置

S/TEM分析のためにサンプルを抽出および取り扱うための改善された方法および装置。本発明の好適な実施形態は、マイクロマニピュレータと、真空圧を用いてマイクロプローブ先端をサンプルに付着させる中空マイクロプローブとを使用する。小さな真空圧をマイクロプローブ先端を通してラメラに印加することによって、ラメラをより確実に保持することができ、静電力だけを用いるよりも、ラメラの配置をより正確に制御することができる。勾配の付いた先端を有し、その長手軸線周囲に回転させることも可能なプローブを用いることによって、抽出されたサンプルをサンプル・ホルダ上に平坦に置くことができる。これによってサンプルの配置および配向を正確に制御することが可能になるので、分析の予測可能性および処理能力が大幅に増大される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は共に参照により本願明細書に援用する2006年10月20日出願の米国特許仮出願第60/853,183号および2007年5月4日出願の米国特許仮出願第60/927,719号からの優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は透過型電子顕微鏡および走査透過型電子顕微鏡のためのサンプルの抽出および取り扱いに関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路の作製などの半導体製造は一般に、フォトリソグラフィの使用を伴う。その上に回路が形成される通常はシリコン・ウェハである半導体基板は、放射に露光されたときに溶解性を変えるフォトレジストなどの材料で被覆される。放射源と半導体基板との間に位置決めされるマスクまたはレチクルなどのリソグラフィ・ツールは、基板のどの領域が放射に露光されるかを制御するために影を投影する。露光後、フォトレジストは、以降のエッチングまたは拡散プロセスの間にウェハの部分を保護する、ウェハ上にパターン形成されたフォトレジストの層を残して露光された領域あるいは露光されていない領域から取り除かれる。
【0004】
フォトリソグラフィ・プロセスによって、多くの場合「チップ(chips)」と呼ばれる複数の集積回路デバイスまたは電子機械的デバイスを、各ウェハ上に形成することができる。次いでウェハは、それぞれ単一の集積回路デバイスまたは電子機械デバイスを含む個別のダイに切り分けられる。最終的に、これらダイは追加の工程を経て、個別の集積回路チップまたは電子機械デバイスにパッケージングされる。
【0005】
製造プロセスの間、露光および焦点の変動は、パターンの寸法が許容可能な範囲内にあるかどうかを決定するために、リソグラフィ・プロセスによって作製されたパターンを連続して監視または測定することを必要とする。プロセス制御と呼ばれることが多いそのような監視の重要性は、パターン・サイズがより小さくなると、特に最小フィーチャ(feature)のサイズが、リソグラフィ・プロセスによって利用可能な解像度の限界に近づくときに相当増大する。いっそう高いデバイス密度を達成するために、ますます小さいフィーチャのサイズが必要である。これには、相互接続ラインの幅および間隔、コンタクト・ホールの間隔および直径、ならびに様々なフィーチャの角部および縁部などの表面幾何形状を含むことがある。ウェハ上のフィーチャは、三次元構造であり、完全な特徴付けは、ラインまたはトレンチの頂部幅のまさに表面寸法ではなく、フィーチャの完全な三次元プロファイル(profile)を描写しなければならない。プロセス・エンジニアは、作製プロセスを微細に調整し、所望のデバイス幾何形状が得られることを確実にするために、そのような表面フィーチャの臨界寸法((critical dimensions)CD)を正確に測定することができなければならない。
【0006】
一般に、CD測定は走査電子顕微鏡(SEM)などの機器を使用して行われる。走査電子顕微鏡(SEM)では、一次電子ビームが、観察されるべき表面を走査する微細なスポットに集束される。二次電子が、一次ビームが当たったときに表面から放出される。二次電子が検出され、画像が形成され、画像の各点での輝度がビームが表面の対応するスポットに当たるときに検出される二次電子の数によって決定される。しかし、フィーチャがますますより小さくなり続けると、測定すべきフィーチャが通常のSEMによって提供される解像度に対して小さすぎる点になる。
【0007】
透過型電子顕微鏡(TEM)は、観察者がナノメートルのオーダで非常に小さいフィーチャを見ることを可能にする。材料の表面を撮像するだけのSEMとは対照的に、TEMはサンプルの内部構造の分析も可能にする。TEMでは、幅広のビームがサンプルに当たり、サンプルを通って伝導する電子がサンプルの画像を形成するために集束される。サンプルは、一次ビームにおける多くの電子が、サンプルを通って移動して反対側のサイトで出ることを可能にするために十分に薄くなければならない。ラメラとも呼ばれるサンプルは一般に厚さ100nm未満である。
【0008】
走査透過型電子顕微鏡(STEM)では、一次電子ビームは微細なスポットに集束され、スポットはサンプル表面にわたって走査される。加工物を通って伝導される電子は、サンプルの離れた側の電子検出器によって収集され、画像の各点の強度は一次ビームが表面の対応する点に当たるときに収集された電子の数に対応する。
【0009】
サンプルは透過型電子顕微鏡(TEMまたはSTEMのいずれか)で観察するために非常に薄くなければならないので、サンプル調製は繊細で時間がかかる作業になることがある。本明細書で使用される場合、用語「TEM」は、TEMまたはSTEMを指し、TEMのためのサンプルの調製とは、STEMで観察するためにサンプルを調製することも含むものと理解されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「S/TEM」も、TEMおよびSTEMの両方を指す。
【0010】
TEM試験片を調製するためのいくつかの技術が知られている。これらの技術は、へき開、化学研磨、機械研磨、または広帯域ビームの低エネルギ・イオン・ミリング、あるいは上記の1つまたは複数の組合せを含むことができる。これら技法の欠点は、それら技術が、部位に特定的ではなく、多くの場合、出発材料をますます小さい片に分割する必要があり、それによって元のサンプルの多くが破壊されることである。
【0011】
一般に「リフト・アウト」法と呼ばれる他の技法は、基板の周囲の部品を破壊または損傷することなく、基板またはバルク・サンプルからサンプルを切断するために集束イオン・ビームを使用する。このような技法は集積回路作製に用いられるプロセスの結果のほか、物理科学または生物科学に一般的な材料の分析に有用である。これらの技術を用いて、任意の配向(例えば、断面または平面図のいずれか)でサンプルを分析することができる。いくつかの技法は、TEMで直接使用するために十分に薄くサンプルを抽出し、他の技法は、観察前に追加の薄化することを必要とする「チャンク」または大きなサンプルを抽出する。また、これら「リフト・アウト」試験片は、TEM以外の他の分析ツールによって直接解析されてもよい。サンプルがFIBシステムの真空チャンバ内で基板から抽出される技法は一般に、「原位置」法と呼ばれる。(サンプル除去のために、ウェハ全体が他のツールに搬送されるときに)サンプルを真空チャンバの外側で取り出すことは、一般に、「外位置」法と呼ばれる。
【0012】
抽出前に十分に薄化されたサンプルは多くの場合搬送され、観察のために電子を透過する薄いフィルムで被覆された金属格子(グリッド(grid))上に設置される。図1Aは先行技術のTEM格子10上に設置されたサンプルを示す。一般的なTEM格子10は銅、ニッケル、または金から作製される。寸法は変動しうるが、一般的な格子は、例えば、直径3.05mmを有してもよく、サイズ90×90μm2のセル14と幅35μmのバー13とから構成される中間部分12を有してもよい。衝突する電子ビームの電子はセル14を通過することができるが、バー13によって阻止される。中間部分12は縁部16によって囲繞されている。縁部の幅は0.225mmである。縁部16には配向マーク18を除き、セルがない。電子を透過する薄い支持フィルムの厚さ15は、試料キャリア全体にわたって均一であり、約20nmの値である。分析すべきTEMサンプルはセル14内に配置または設置される。
【0013】
例えば、一般に用いられる外位置サンプル調製技法の1つにおいては、タングステンなどの材料の保護層22が、電子ビームまたはイオン・ビーム蒸着を用いて図2に示すようにサンプル表面21の対象領域上に堆積される。次に、図3−4に示すように、対応する大きなビーム・サイズと共に、高いビーム電流を用いる集束イオン・ビームを用いて、対象領域の前部および後部から離れて多量の材料がミリングされる。ミリングされた2つの矩形24と25の間に残っている材料が、対象領域を含んだ薄い垂直のサンプル・セクション20を形成する。対象領域の裏側にミリングされた溝25は前溝24より小さい。このより小さい裏溝は主に時間を節約するためのものだけでなく、完成したサンプルがミリングされたより大きな溝内に平坦に倒れて、微細加工の作業中に試験片を除去することを困難にし得ることも防止する。
【0014】
図5に示すように、試験片が所望の厚さに達すると、ステージが傾斜され、U字形の切込み26が、サンプルをタブ28によってサンプル上部の両側に吊るした状態で、サンプル・セクション20の周囲に部分的に沿ってある角度で作製される。小さなタブ28によって、サンプルが完全にFIB研磨された後で、最少量の材料を自由にミリングすることが可能になるので、再堆積するアーチファクトが薄いサンプルの上に蓄積する可能性が低減される。次いで、徐々に微細になるビーム・サイズを用いてサンプル・セクションがさらに薄化される。最終的に、タブ28を切断して、薄化したラメラ27を完全に切り離す。材料の最終タブが切り離されると、ラメラ27は、溝の中で僅かに動いたり倒れたりするのが観察されうる。完成し、分離されたラメラ27を図6に示す。
【0015】
次いで、完成したラメラ27を含んだウェハがFIBから取り出され、マイクロマニピュレータを装備した光学顕微鏡の下に置かれる。マイクロマニピュレータに取り付けられたプローブは、ラメラの上に位置決めされ、ラメラと接触するように注意深く下降される。図7に示すように、静電力がラメラ27をプローブ先端28に引き付ける。次いで、ラメラが取り付けられた先端28は一般に、図8に示すようにTEM格子10まで移動され、ラメラがバー13間のセル14の1つの格子上に置かれるまで下降される。
【0016】
観察前に追加の薄化を必要とするサンプルは一般に、直接TEMサンプル・ホルダに設置される。図1Bは部分的に円形の3mmのリングを備える一般的なTEM試料ホルダ31を示す。いくつかの用途では、サンプル30がイオン・ビーム堆積または接着剤によってTEM試料ホルダのフィンガー(finger)32に取り付けられる。TEM(図示せず)においては電子ビームがサンプル31を通ってサンプル下で検出器までの自由経路を有するように、サンプルはフィンガー32から延在する。TEMサンプルは一般に、TEM格子の平面が電子ビームに対して直角の状態で、TEMのサンプル・ホルダ上に水平に設置され、サンプルが観察される。
【0017】
一般的な原位置抽出技法は、Mooreへの米国特許第6,570,170号に記載されている。該特許は「U」字形の切込みを作製し、次いで、サンプルをアンダーカットして切り離すべく「U」の見えない側からある角度でサンプルを切り込むことによってサンプルを引き出すことを説明している。サンプルが切り離された後、FIB誘導化学蒸着によってプローブがサンプルに取り付けられ、リフト・アウトされる。このプロセスによって一般には、略楔形で約10×5×5μmのサイズのチャンク・タイプのサンプルが得られる。このステップの順序を図9−図10に示す。
【0018】
次いで、チャンクが、取り付けられたマイクロプローブによってTEMサンプル・ホルダへ搬送され、図11に示すように、(再度、FIB誘導CVDを用いて)試料ホルダに直接取り付けられる。次いで、プローブが取り付けられたサンプルの端部が図12に示すように切り離される。この時点で、サンプルが取り付けられたTEM試料ホルダは一般に、別のFIBシステムへ搬送され、そこでサンプルは電子を透過する薄い区間に薄化される。次いで、サンプルはTEMまたはSTEMの電子ビームを用いて撮像することができる。
【0019】
残念ながら、そういった先行技術のサンプル抽出方法を用いたTEMサンプルの調製には多くの欠点がある。そういった方法は一般に、非常に時間がかかるとともに、大きな労力が要る。CD測定には多くの場合、特定のプロセスを十分に特徴付けかつ認定するには、ウェハ上の異なる場所からの多数のサンプルが必要となる。いくつかの場合、例えば、所与のウェハから15−50個のTEMサンプルを分析することが望ましい。既知の方法を用いて非常に多くのサンプルを抽出し、測定しなければならない場合、1つのウェハからそのサンプルを処理するための総時間は数日または数週間にもなることがある。TEM分析によって発見することができる情報には非常に価値があるが、TEMサンプルを製作し、測定するプロセス全体は従来非常に大きな労力を要し、時間がかかるので、この種の分析を製造工程管理に用いることは実用的ではなかった。
【0020】
具体的には、上記外位置法は非常に信頼できるものではなく、オペレータにはかなりの経験が必要となる。熟練のオペレータであっても、成功するのは約90%しかない。ラメラ部位を位置決めするのには時間がかかり、難しいことがあるので、サンプルまたはプローブ先端を損傷させないように、抽出プローブを非常に注意して適所へ移動しなければならない。ラメラが完全に切り離されると、それは予測不能に動くことがある。例えば、ラメラが溝内で倒れたり、またはいくつかの場合には、実際に、静電力によって押し上げられて、溝の外に押し出されたりすることがある。この動きのために、抽出プローブを用いてラメラを配置および/または拾い上げることが困難になることがある。プローブとサンプルとの間の静電引力も、多少予測不可能である。いくつかの場合、ラメラはプローブ先端に留まらない恐れがある。むしろ、ラメラはプローブの異なる部分へ跳ね上がることがある。他の場合には、サンプルが移動されている間に、ラメラが落下することもある。ラメラがTEM格子までうまく搬送される場合、プローブ先端ではなく格子支持フィルムにラメラを付着させるのが困難になることがある。ラメラは多くの場合プローブ先端にくっつくので、本来フィルムの上に拭い取らなければならない。その結果、ラメラがTEM格子へ搬送されるときに、ラメラの正確な配置または配向を制御することは実質的に不可能である。
【0021】
上記原位置法はより予測可能で、信頼できるものであるが、非常に時間がかかる。マイクロプローブをサンプルに取り付けるステップ、サンプルを試料ホルダに取り付けるステップ、およびマイクロプローブを切り離すステップによってかなりの時間が取られる。サンプルもまたFIB装置内部でTEM格子まで移動され、それに取り付けられるが、これはより貴重なFIBの時間を必要とする。
【0022】
サンプル抽出および搬送のプロセスを高速化すれば、半導体ウェハをより迅速に製造ラインに戻すことを可能にすることによって、時間および潜在的な収益の点で大きな利点が得られる。サンプルの取り出しおよび搬送のプロセスの完全または部分的自動化は、プロセスを高速化するだけでなく、オペレータおよび技術者に要求される技能レベルも低減されるので人件費が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/853,183号
【特許文献2】米国特許仮出願第60/927,719号
【特許文献3】米国特許第6,570,170号
【特許文献4】米国特許第6,963,068号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
サンプル製作、抽出、および測定を含むTEMサンプル分析のための改善された方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0025】
したがって、本発明の目的はTEMサンプル分析のための改善された方法を提供することである。本発明の好適な実施形態は、TEMサンプルを製作および分析するプロセスを労力のより少ないものにし、TEM分析の処理能力を増大させるために、TEMサンプル抽出および取り扱いを部分的または完全に自動化する改善された方法を提供する。
【0026】
上記は、以下の本発明の詳細な説明がよりよく理解できるように、本発明の特徴と技術的利点をむしろ広く概説したものである。本発明の追加の特徴と利点を以下に記載する。開示された概念と特定の実施の形態が、本発明と同じ目的を実行するための他の構造を改変または設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって認められるべきである。そのような同等の構成が添付の特許請求の範囲に記載された発明の精神と範囲を逸脱しないことも当業者によって理解されるべきである。
【0027】
本発明ならびにその利点をさらに完全に理解するために、ここで添付図面に関連してなされた以下の説明を参照することにする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】一般的な先行技術のTEM格子を示す図である。
【図1B】一般的な先行技術のTEM試料ホルダを示す図である。
【図2】先行技術の外位置サンプル調製技法におけるステップを示す図である。
【図3】先行技術の外位置サンプル調製技法におけるステップを示す図である。
【図4】先行技術の外位置サンプル調製技法におけるステップを示す図である。
【図5】先行技術の外位置サンプル調製技法におけるステップを示す図である。
【図6】先行技術の完成され分離されたラメラを示す顕微鏡写真である。
【図7】先行技術のプローブおよび静電引力を用いたラメラの搬送を示す図である。
【図8】先行技術のプローブおよび静電引力を用いたラメラの搬送を示す図である。
【図9】先行技術のチャンク・タイプTEMサンプルの一般的な原位置リフト・アウトにおけるステップを示す図である。
【図10】先行技術のチャンク・タイプTEMサンプルの一般的な原位置リフト・アウトにおけるステップを示す図である。
【図11】図10〜13のサンプルを先行技術のTEM試料ホルダに取り付けるプロセスを示す図である。
【図12】図10〜13のサンプルを先行技術のTEM試料ホルダに取り付けるプロセスを示す図である。
【図13】本発明の抽出に適した薄化したラメラ・サンプルを示す図である。
【図14】本発明の外位置サンプル抽出装置を示す図である。
【図15】本発明の外位置サンプル抽出装置を用いたサンプル抽出におけるステップを示すフローチャートである。
【図16】トップダウン照明を用いるときの光ビームの可能な経路を示す光路図の一例を示す図である。
【図17】斜照明を用いたときの光ビームの可能な経路を示す光路図の一例を示す図である。
【図18】本発明の勾配の付いたプローブを示す図である。
【図19A】本発明に従ってプローブ先端を下降させて抽出すべきサンプルと接触させるステップを示す図である。
【図19B】本発明に従ってプローブ先端を下降させて抽出すべきサンプルと接触させるステップを示す図である。
【図20】本発明に従ってプローブ先端を移動させて抽出すべきサンプルと接触させるステップを示す図である。
【図21】本発明に従ってプローブ先端を移動させて抽出すべきサンプルと接触させるステップを示す図である。
【図22】本発明に従って抽出されたサンプルをTEM格子へ搬送するステップを示す図である。
【図23】本発明に従って抽出されたサンプルをTEM格子へ搬送するステップを示す図である。
【図24】本発明に従って抽出されたサンプルをTEM格子へ搬送するステップを示す図である。
【図25】本発明に従って抽出されたサンプルをTEM格子へ搬送するステップを示す図である。
【図26】本発明に従って改変されたチャンク・タイプのサンプルを製作および抽出するステップを示すフローチャートである。
【図27】本発明に従って改変されたチャンク・タイプのサンプルを基板から分離するステップを示す図である。
【図28】本発明に従って改変されたチャンク・タイプのサンプルを基板から分離するステップを示す図である。
【図29】本発明に従って基板から抽出されたサンプルを示す図である。
【図30】図29のサンプルに取り付けられたプローブを示すである。
【図31】本発明の好適な実施形態のTEMサンプル・ホルダに取り付けられたサンプルを示す図である。
【図32】本発明の好適な実施形態のTEMサンプル・ホルダに取り付けられたサンプルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の好適な実施形態は、TEMサンプル抽出および取り扱いのための完全または部分的に自動化されたプロセスを提供する。処理効率を改善し労力をより削減することにより、問題解決あるいは処理の改善のための迅速なフィードバックをプロセス・エンジニアに提供して、S/TEMをベースにした測定を、ウェハ作製施設においてより良く利用することが可能になる。
【0030】
本発明の好適な方法または装置は多数の新規な態様を有しており、本発明は、異なる目的のために、異なる方法または装置において具現化することができるので、すべての態様がすべての実施形態において存在している必要はない。また、説明される実施形態の多くの態様は別個に特許可能であり得る。
【0031】
本発明の好適な実施形態では、最初に1以上のラメラをウェハまたは他の基板上に形成する。多数のラメラが自動化された外位置プロセスを用いて作成可能であるのが好ましく、このプロセスでは、(参照により本願に援用される)Blackwoodらによる「Method for S/TEM Sample Analysis」についての米国特許仮出願第60/853,183号に記載されているように、ラメラが除去前に適所で薄化される。図4−8を参照して上述のサンプル・ミリングプロセスを用いて、1以上のラメラをウェハまたは他の基板上の異なる部位に形成することができる。ラメラは図6に示すように基板から完全に分離されないことが好ましい。あるいは、図13に示すように、各ラメラは、ラメラ27を適所に保持する少なくとも一の端部において材料の小さなタブ26を残した状態で部分的に分離される。これはラメラの両側のミリングされた空洞内でラメラが倒れる(これにより、プローブを用いてラメラを位置決めおよび抽出することがいっそう困難になることがある)のを防ぐのを助ける。
【0032】
所望のラメラが形成されると、ウェハ全体を本願明細書に記載の別個の完全または部分的に自動化された外位置抽出ツールまで搬送することができる。当該分野では周知のように、ウェハはマルチ・ウェハ・キャリアおよび自動搭載ロボットによってサンプル抽出ツールまで搬送されることが好ましいが、ウェハは手動で搬送することもできる。各ウェハの各ラメラ場所についてのx−y座標を含む全ラメラ部位のリストをラメラをミリングするのに用いられるFIBシステムから抽出ツールに搬送することができる。次いで、サンプル抽出ツールは機械的ステージを用いて各ラメラ部位まで移動する。ラメラは静電/圧力マニピュレータを用いて抽出され、TEM格子の上に置かれる。このラメラ抽出プロセスは完全に自動化されることが好ましい。あるいは、抽出プロセスは完全または部分的に手動で制御することができる。
【0033】
図14は本発明に係る外位置サンプル抽出ツール110(以下、「Ex−Situ Plucker」または「ESP」という)の好適な実施形態を示すブロック図である。好適な実施形態では、ESPはサンプルの外位置抽出用の独立したツールである。ESPは、機械的ステージ112を有するTEM試験片抽出器、ビデオ・フィード115を有する光学顕微鏡114、およびサンプル抽出用の(本願明細書ではマイクロプローブとも呼ぶ)プローブ117を備える。図18も参照すると、プローブ116は約45°に傾斜した平坦な先端部を有する円筒形中空管を備えることが好ましく、サンプルをプローブ先端まで引き上げるために、中空管を真空にすることができる。プローブ116はプローブの円筒(長手方向)軸線がウェハ(基板)上面に対して約45°の角度になるように配向されている。被抽出サンプルが垂直のサンプル面を有する場合、この配向によって、プローブもサンプル面に対して45°に配向される。プローブ116は45°に勾配の付いた表面を有する引き伸ばされた1mmのホウケイ酸塩管を備えることが好ましい。適したプローブは、外径10−12μmの長くて薄いマイクロキャピラリを製作するためにNarishige PC−10などのマイクロピペット・プラーを用いて先端が改変された標準的なホウケイ酸塩マイクロピペットを用いることによって製造可能である。
【0034】
好適な一実施形態では、ESPは、統合されかつ単一の制御地点(例えば、コントロールPC)118を介して制御される以下の構成要素を備える:XYZR機械的基板ステージ112上に設置されたウェハ・ホルダ122、プローブ・ホルダおよびモータと、マイクロプローブをプローブの円筒(長手)軸線周囲で回転させることのできるXYZプローブ・ステージとを含んだナノマニピュレータ・システム117、回転可能TEM格子ホルダ120、TEM格子回転コントローラ121、任意の別個の格子ステージ(図示せず)(ウェハ・ホルダおよびTEM格子ホルダは共に1つの機械的ステージ上に設置可能である)、(付着性を最小化するために可能な限り粗くされた)45°の平坦な先端を有する引っ張り微細加工されたマイクロピペット・プローブ116、湿度および温度の影響を最小化するための任意の制御された環境(図示せず)、プローブ116中に真空を印加するための1以上の真空ポンプ124または他の装置、圧縮空気源などの空圧源123、基板を撮像するためのレンズ113を有する光学顕微鏡114、斜角から基板を照明して撮像および/またはマシン・ベースのパターン認識を促進するのに用いられる光学システム126(光ファイバ束127を用いる)、動作/接触センサおよびコントローラ128、空気流または真空センサ130、および防振台132。
【0035】
図14の好適な実施形態では、ESPはサンプルの抽出および操作を実施するためのソフトウェアを用いるコンピュータ・ステーション118に動作可能に接続(または一体化)されている。コンピュータ・ステーション118は、適したソフトウェアを介して、ラメラを製作するのに用いられるFIBシステムから抽出すべきサンプルのためのx−y座標を受け取ることができる。次いで、サンプルが抽出され、TEM格子へ搬送されたら、各ラメラの場所を対応するTEM格子場所と一致させることができる(一般に、1個のセルに対して1個のラメラ)。これによって、最終的なTEM結果が元のウェハ上の特定のサンプル部位と自動的に再び適合され得るように、プロセス全体を通してデータ追跡が可能となる。コンピュータ・ステーション118はまた、サンプル・ステージおよび格子ステージを位置決めするためおよびマイクロプローブを位置決めするために、ステージ・コントローラおよびマイクロマニピュレータ・コントローラに動作可能に接続されることも好ましい。
【0036】
小さな真空圧をマイクロプローブ先端を通してラメラに印加することによって、ラメラは、先行技術のように静電力だけを用いるよりも、はるかに正確に制御可能になる。ラメラは確実に適所に保持され、先行技術のように簡単には落下しない。(以下でより詳細に述べるように)プローブ先端とサンプルとの間の静電引力を最小化すれば、プローブ先端に付着し続けるのではなく、サンプルが置かれた場所に正確に留まる可能性が非常に高くなる。静電引力を用いて(全体として、または真空圧と併せて)サンプルをプローブ先端に付着させる場合であっても、マイクロプローブ上の角度の付いた勾配は、プローブ先端をその長手軸線周囲に180°回転させる能力を伴って、ラメラをTEM格子フィルム上に平坦に配置させ、これがサンプルとTEM格子フィルムとの間の引力を最大化しやすくするので、サンプルをフィルムに付着させ、それが置かれた位置に留まらせる。(TEMステージをサンプル間で頻繁に調節しなくてもよいので)これによってサンプルの配置および配向を正確に制御することが可能になるので、分析の予測可能性および処理能力が大幅に増大される。
【0037】
図15はウェハから多数のサンプルを抽出する際の本発明によるステップを示すフローチャートである。これらのステップはコンピュータ可読命令を介してコンピュータ・ステーション118によって自動的に実行および制御されるのが好ましいが、完全または部分的に手動で制御することも可能である。
【0038】
ステップ201では、ミリングされているが抽出されていないサンプルを含んだウェハがESPウェハ・ホルダ132内に搭載される。好適な実施形態では、サンプルは図4−8を参照して上述したように製作されているが、ラメラは基板から部分的にだけ分離され、ラメラを適所に保持する材料の小さなタブを両側に残したままにするのが好ましい。ウェハ・ホルダ132がXYZR機械的基板ステージ上に設置されている。ウェハは既知の方法を用いて自動的または手動的に整列可能である。
【0039】
ウェハ基板が整列された後、ステップ202では、ESPはサンプルを製作するのに用いられるFIBシステムからインポートされた位置データを用いてサンプル部位まで移動することができる。ESP光学顕微鏡114を用いて、基板がサンプル部位で撮像される。正確なサンプルの場所および配向が決定され、プローブが適所に移動される。図20−21も参照すると、(図14および19A−Bに示すように、プローブは一般に、プローブ131の円筒軸線と基板表面の平面との交差が鋭角132を成すように下方に傾斜されるが)サンプル・ステージはプローブの配向がラメラ面に対して概ね直角になるように回転される。すなわち、プローブの円筒軸線はサンプル表面に対して直角の平面内にある。このプロセスは、手動制御を用いてプローブおよび/または基板を移動させてプローブ先端をサンプルの裏側のミリングされた空洞に位置決めするサンプル部位を観察しているオペレータによって実行可能である。好適な実施形態では、このプロセスはマシンをベースにした画像認識を用いて自動的に実行することができる。
【0040】
サンプルの位置決めおよび格子整列を促進するために、斜照明および明視野照明の両方が使用されるべきである。抽出すべきラメラを位置決めするためにラメラ空洞を撮像するのに、斜照明が使用されるべきである。図14、19A、および20も参照し、ラメラ自身がX−Y平面329にあるものと仮定すると、照明272は、基板332の表面から反射する光が光学顕微鏡114のレンズ113の受光角に入らないように、ラメラ350のX−Y平面に対して直角の平面に、基板表面に対して鋭角130に方向付けられるのが好ましい。照明は基板表面に対して約20°の角度で方向付けられるのがさらに好ましい。
【0041】
レンズの受光角度に入る光は非常に少ないので、ラメラ空洞の壁に角度が付いているために、トップダウン照明による空洞内では像コントラストが非常に悪い。図16および17に示すように、空洞内では多数の反射が起こるので、その信号量は空洞内の壁の角度に大きく依存し、これらは用途毎に著しく変動しうる。その結果、いくつかの場合には、照明は上記90°の角度以外の角度に方向付けられる必要があり得る。好適な実施形態では、照明角度はオペレータによって手動で、または自動的に調整可能であるべきである。明視野照明を用いてアライメント・マークおよびTEM格子を撮像することができる。
【0042】
残念ながら、ラメラは時に、空洞から見つからないか、不適切に位置決めされる恐れがある。そういった場合、ラメラが存在するか否かを迅速に判断することができることが重要である。図16では、点線265はラメラが存在しないトップダウン照明を表す。図16に示すように、トップダウン照明がラメラ空洞262内にあり、ラメラが存在しない状態では、光線264は多数の反射を生じ、レンズ(図示せず)の受光角度266には再度入らない。同様に、ラメラ268が空洞262内にある場合、光線(実線264で示す)も受光角度266外の角度で反射する。したがって、トップダウン照明を用いれば、(ラメラ268の存在の有無にかかわらず)ラメラ空洞262全体は暗く見える。
【0043】
しかし、斜照明を用いる場合、より多くの反射光がレンズに入る。図17に示すように、点線170はラメラが存在しない斜照明を示す。この場合、光線は2つの空洞側壁から反射し、レンズに入る。したがって、ラメラが存在しない場合、空洞262の左半分はより明るく見える。線172はラメラ268が適所に存在する斜照明を表す。この場合、反射光はレンズから逃げやすく、(ラメラ268自身の上部は見えるが)空洞262は暗く見える。したがって、斜照明を用いれば、ラメラがまだ空洞内にあるか否かおよびラメラがほぼ期待された位置にあるか否かを容易に判断可能である。空洞壁の傾斜およびラメラ面の傾斜に応じて、適した照明角度がウェハ平面に対して、かつウェハに対して直角の軸線に対して調整してサンプルの場所を最適化し得る。
【0044】
例えば、基板表面に対して適した斜角で設置された光ファイバ束を用いて斜照明を提供することができる。抽出すべきサンプルが一方の側から来る照明および他方側から来るプローブと位置決め可能なように、照明源はプローブおよびナノマニピュレータの反対に設置されることが好ましい。照明源はプローブと同じ平面に設置されることも好ましい。その結果、ラメラ面がプローブに対して直角になるようにサンプル・ステージを回転させることで、照明源に対してサンプルも適切に位置決めされる。
【0045】
ステップ204では、サンプル抽出プローブは抽出すべきサンプル上の適所へ移動される。図19Aに示すように、サンプルを抽出するために、ESPプローブ先端330は、所望のプローブ取り付け部位に対して大まかに直角になるように、一般には図20−21に示すサンプルの中央になるように配向される。図18−19Bに示すように、ESPプローブ先端330は、約45°の角度134で勾配が付いていることも好ましく、ESPプローブ全体はウェハ上面(点線333で示す)に対して約45°の角度132で配向される。抽出すべきサンプルが垂直のサンプル面を有する場合、サンプル面(点線で示す)に対するプローブ116の角度133も45°になる。その結果、この勾配付きのプローブ面はサンプル面に対して実質的に平行になる。このプローブの内壁を点線317で示す。
【0046】
サンプルを抽出するために、ステップ206では、ESPプローブは図19Aに示すようなサンプル面351の1つに隣接する矩形領域324のようなサンプル面の前方の空洞内へ下降される。図19Aの矢印320はプローブが適所に下降されるときの運動方向を示す。
【0047】
真空がより強力な引っ張り力をラメラ上に及ぼすように、プローブ先端はできるだけ大きなものであるべきである一方で、プローブ面がサンプル側に接触してサンプルがプローブ先端へ引き込まれるような十分な深さまで、サンプル面の前方の空洞に収まるようにプローブ先端は十分小さなものでなければならない。本発明のサンプル構造上の適したプローブ接触を図13の点線の円52で示す。
【0048】
当業者であれば、プローブの内径が、真空が印加されるときに管を通る気流に大きな影響を及ぼすことを認識する。内径が大きいと、より強力な吸引が可能となる。しかし、内径はサンプルがプローブ内部に引き込まれないように、抽出すべきサンプルの最小寸法よりも小さいことが望ましい。好適な実施形態では、以下に示すように、サンプルとプローブとの間の表面接触を最小化するため、ひいては、サンプルとプローブとの間の静電引力または他の引力を最小化するために、プローブ先端は粗くした面を有する。
【0049】
図20−21も参照すると、ステップ208では、次いでプローブ116はサンプル面351に向かって(点線116’で示す位置へ)移動され、開いているプローブ先端中に真空が印加される。図20の矢印322は、サンプルと接触するためにプローブ116が前方に移動されるときの運動方向を示す。矢印318は真空が印加されたときの空気流の方向を示す。ステップ210では、プローブ先端がサンプル面351と接触すると、プローブ116は前方に僅かに押されて、サンプルと基板との間に残っている連結を分断することができる。サンプルを完全に分離するためには、矢印319に示すようにプローブを前後に動かすことが必要になることがある。
【0050】
サンプルは静電力とプローブ先端中に及ぼされる真空圧との組合せによって、プローブ先端に対して保持される。いくつかの実施形態では、プローブは静電力のみによって適所に保持可能である。真空圧を用いてサンプルを適所に保持する場合、プローブ先端がサンプルとプローブ先端との間の静電引力を最小化するようになされることが好ましい。例えば、プローブ先端は、サンプルとプローブとの間の表面接触を最小化するために粗くした表面を有することもできるし、静電引力を低減させる材料で被覆することもできる。静電引力を最小化することにより、サンプルを解放し、サンプルを所望の場所により正確に配置することが容易になる。
【0051】
また、いくつかの実施形態では、導電性コーティングを有するプローブを用いて、プローブ先端がサンプルといつ接触するかを接触センサが決定しやすくすることができる。サンプル接触は、プローブ先端中に印加される真空の圧力変動を監視するためにフロー・センサを用いることによって決定されてもよい。
【0052】
ステップ212では、次いで、サンプルが基板の上方で安全になるまで、サンプルをウェハから離れる方に上昇させることができる。図22−23に示すように、ステップ214では、次いでプローブを矢印402で示すように180°回転させて、水平のドロップオフ位置にサンプルを配置する。回転後、サンプル面は基板表面に対して平行な平面にある。上記のように、ESPプローブ先端116は約45°の角度で勾配が付けられるのが好ましく、ESPプローブ全体はサンプル面に対して約45°の角度に配向される。このことによって、サンプル抽出のために、勾配の付いたプローブ先端を垂直のサンプル面に対して実質的に平行することが可能になり、回転後に水平の支持フィルムに対して実質的に平行にすることも可能になる。当業者は勾配の角度およびプローブ全体の角度は変更可能であることを認識する。しかし、2つの角度の合計は一般に、約90°になるべきであり、そこではサンプルは実質的に垂直な面を有する。例えば、60°の勾配を使用する場合、プローブは(サンプル面に対して)約30°の角度で配向されるべきである。45°以外の角度を用いる場合、TEM格子を傾斜させて、プローブが回転された後にサンプルをTEM格子上に平坦に配置できるようにしなければならないことがある。別の好適な実施形態では、TEM格子などのサンプル・ホルダは垂直に設置されてもよい。この場合、回転は必要なく、(プローブ先端によって垂直に保持された)サンプルはサンプル・ホルダ上に直接置かれてもよい。
【0053】
ステップ216では、次いで、TEM格子ホルダが顕微鏡の光学視野の中央に位置するようにESPステージが移動される。TEM格子ホルダは、TEM格子を回転させることによって格子がウェハ・ステージのXY軸線と整列できるように、回転ステージ上に設置されることが好ましい。好ましくは、45°でない勾配/プローブ配向を用いる場合、ステージを傾斜させることもできる。サンプルの位置決めの配向誤差に対処するために、適した方向に格子を回転させることもできる。ステップ218では、プローブは、サンプルが所望のTEM格子セルの上方に位置するように位置決めされる。ステップ220では、プローブ116はサンプル327が図31−32に示すように格子支持フィルム13と接触するまで下降される。線404はサンプル327が支持フィルム13上に配置されるときのプローブ116の運動方向を示す。接触は適切な接触センサが決定することも、既知の位置および較正データに基づいて自動的に制御することもできる。TEM格子に使用されるこの特別なフィルムは、滑らかで均一な表面を有するフィルムであることが好ましい。ラメラとフィルムとの間の良好な表面接触を確保してラメラの搬送および正確な位置決めを促進するためには、より堅固な表面が良い。
【0054】
多くの場合、プローブ先端を通る真空が印加されたままであっても、サンプルがTEM格子表面上に置かれると、ラメラはフィルム表面に付着する。ステップ222では、プローブ先端からのサンプルの解放を促進するために、真空圧は場合によっては停止される。いくつかの実施形態では、任意のステップ223において、プローブ先端に付着したままのサンプルの解放を強制するために、真空圧を僅かに過度の圧力に変化させることができる。
【0055】
次いで、図25に示すようにステップ224では、次いでプローブはTEM格子上方の安全な距離まで移動される。線408はサンプルが解放された後のプローブの運動方向を表す。抽出すべき他のサンプルがある場合、ステップ202−224に記載したプロセスが繰り返される。全サンプルが抽出されると、ウェハは製造ラインに戻される。
【0056】
本発明は先行技術に対して多数の大きな利点を提供する。一般的なTEMサンプル調製方法を用いると、高度に訓練された熟練のオペレータは、TEM分析に適した1つのサンプルのラメラを形成し抽出するのに約3時間かかる。トップダウンSEMまたはCD−SEM分析のような現行のインライン測定技法のためには、ウェハにわたって20もの異なる部位を測定する必要があることがある。先行技術のTEMサンプル調製方法を用いると、異なる20の部位から適したTEMサンプルを調製するのに実に約60時間かかる。抽出および搬送は、TEMサンプルを製作および抽出するのに必要な時間の大部分を占める。しかし、本発明を用いれば、TEMサンプル調製プロセスが著しく改善される。本発明は分析のためにサンプルを抽出してSTEMへ搬送するのに必要な時間を大きく低減することができる。(参照により本願に援用される)Blackwoodらによる「Method for S/TEM Sample Analysis」についての米国特許仮出願第60/853,183号に記載の改善されたサンプル製作方法と一緒に本発明を使用することにより、ウェハ表面上の異なる20の部位をサンプリングするのに必要な時間が約6時間まで低減される。
【0057】
また、大半のTEMサンプル調製は手動で行わなければならないので、このプロセスには大きな労力がかかり、高度な技能を有するオペレータの使用が必要となる(これは当然、労働コストが高くなる)。本発明によって得られるTEM分析の処理能力および再現性の増大によって、半導体ウェハ上の集積回路などの物体のTEMをベースにした測定をインライン・プロセス制御に使用することができる。例えば、本発明によるTEM分析をウェハ作製施設に利用して、問題解決あるいは処理の改善のための迅速なフィードバックをプロセス・エンジニアに提供することも考えられる。TEMでしか測定できない非常に小さなフィーチャのためのこの種のプロセス制御は、先行技術のTEMサンプル調製方法を用いては不可能である。
【0058】
本発明の好適な実施形態は、上記サンプル抽出ツールを、原位置技法によって一般に用いられるような「チャンク・タイプ」サンプルと一緒に使用することを可能にする改良されたサンプル構造も提供する。図10−21を参照して上述したように、一般的な1つの原位置抽出技法は、FIB蒸着を用いてプローブ先端をサンプルに取り付け、サンプルをTEMサンプル・ホルダに搬送してさらに薄化することによって、基板から楔形サンプルを抽出するステップを含む。
【0059】
TEM分析のためのチャンク型サンプルのこのタイプの原位置抽出用にデザインされた統合型の装置の一組は、本発明の譲受人であるFEI社から入手可能なUltraview(商標)システムである。参照により本願に援用するAsselbergsらによる「Method for the manufacture and transmissive irradiation of a sample,and particle−optical System」についての米国特許第6,963,068号には、Ultraview(商標)システムの各種態様が記載されている。Ultraview(商標)システムは、サンプル抽出用のインライン・デュアル・ビーム(SEM/FIB)システム(例えば、FEI社のExpida(商標)シリーズ)、サンプル薄化およびSEM/STEM撮像のための研究室ベースの小型チャンバ・デュアル・ビーム・システム(例えば、FEI社のStrata(商標)シリーズ)、および原子分解能像用のTEM(例えば、FEI社のTecnai(商標)シリーズ)を統合したものである。チャンバの真空を壊すことなく1つの装置から別の装置にTEM格子を搬送するための密閉された搬送カプセル。格子はインライン・デュアル・ビーム・システムから抽出可能な密閉された搬送カプセル内に置かれる。次いで、ウェハの製造プロセス継続中に、カプセルおよびサンプルを研究室へ搬送してさらに処理することができる。次いで、サンプルは研究室内で小型チャンバ・デュアル・ビーム・システムに搬送され、そこでサンプルはSTEMまたはTEM撮像前に最終厚までミリングされる。
【0060】
本発明の好適な実施形態は、上記ESPツールを用いた抽出のための適した表面を提供する1以上の垂直「ウィング」を有する改良されたサンプル構造を使用する。この改良されたサンプル構造はFEI Ultraview(商標)システムのような既存の自動化されたサンプル取り扱いシステムに適合する。所望のサンプルがFIBシステムを用いてミリングされたら、(チャンク・タイプサンプルに慣習的であるように)サンプルを原位置で抽出するよりも、基板はESPへ搬送されることが好ましく、そこでサンプルが抽出され、TEMサンプル・ホルダ上に搭載される。
【0061】
図26は本発明の好適な実施形態による1以上のサンプルを製作するステップを示すフローチャートである。まず、ステップ501では、半導体ウェハなどの基板がデュアル・ビームFIBシステム内に搭載される。当該分野では周知のように、ウェハはマルチ・ウェハ・キャリアおよび自動搭載ロボットによって搬送されることが好ましいが、ウェハは手動で搬送することもできる。
【0062】
ステップ502では、基板から抽出すべき(対象のフィーチャを含む)サンプルの場所が決定される。例えば、基板は半導体ウェハまたはその一部であってよく、抽出すべき部分にはTEMを用いて観察すべき集積回路の一部を含みうる。イオン・ビームを配向し、抽出すべきサンプルの正確な場所を位置決めを支援するために、1以上の基準(fiducial)マーク644が基板にミリングされうる。
【0063】
所望のサンプルが位置決めされると、ステップ504では、イオン・ビーム646を用いて、所望のサンプル・セクション652を囲繞する(かつ対象のフィーチャを含む)U字形の溝をミリングする。以下で議論されるサンプル・「ウィング」を製作できるように、この溝は先行技術に用いられる溝よりも若干幅広であることが好ましい。溝が少なくとも部分的にサンプルをアンダーカットするように、FIBはサンプル表面(例えば、45°)に対して傾斜されるのが好ましい。
【0064】
ステップ506では、FIBミリングを用いて、対象のフィーチャの位置から好ましくは約5−10μm離して(フィーチャの正確な位置が分かっている場合には、サンプル・ミリングは対象のフィーチャのより近くで可能であるが)、チャンク・タイプの中央区間652の一端に薄いサンプル・セクションまたはウィング650を形成する。上記のように、ESPサンプル抽出ツールを用いてサンプルを抽出するために、ウィング650の垂直面を用いることができる。ステップ508では、以下にも議論されるように、中央サンプル・セクションの他端上に任意の第2のウィングを形成し、最終的にはそれを用いてサンプルをTEMサンプル・ホルダ上に固定することができる。楔形中央区間652のサイズが大きくなっていることで、対象のフィーチャがサンプルに含まれることを確実にするのに役立つ。
【0065】
図27は2つのウィング650が形成された後の本発明の好適な実施形態のサンプルの図を示す。好適な実施形態では、各ウィングはFIBを用いてチャンク・タイプの中央区間652の両側にある隣接する2つの矩形空洞654および656を切断することによって形成され、隣接する2つの矩形の各セットの間に残る材料が、実質的に垂直な面を有する2つの薄いサンプル・セクションを形成する。隣接する矩形内でミリングすることによって形成された空洞は、深さ5−8μmおよび幅5−8μmであることが好ましい。FIBは、矩形がミリングされるときにはサンプル表面に対して実質的に直角であることが好ましい。各ウィングの両方からきて、厚さ約2μmの粗いウィングを残す一般的な断面ミリング・パターンを用いることができる。場合によっては、ステップ508では、次いで、両側にクリーニング用の断面ミリングを行ってウィングを約100nmまでさらに薄化することができる。好適な実施形態では、最終的なウィング区間は厚さ約100nm×幅10−20μm×深さ5−8μになる。
【0066】
好適な実施形態では、ウィングの一方は、上記自動サンプル抽出システム用のプローブ先端のための取り付け場所として使用することができる。他方のウィングはTEMサンプル・ホルダへ取り付けるためのクランプ場所として働き得る。サンプルをTEMサンプル・ホルダ上に設置するのに用いられる方法に応じて、第2のTEMサンプル・ホルダ取り付けウィングを必ずしも形成しなくてもよい。いくつかの実施形態では、TEMサンプル・ホルダ取り付けに用いられるウィングは異なる形状であってもよくかつ/または異なる寸法のプローブ取り付け用ウィングを有しうる。他の実施形態では、サンプルは実質的には、ウィングをまったく有さない例えば厚さ5−10μmの非常に厚いラメラとして形成可能である。
【0067】
ステップ510では、サンプルの切り離しを完了するために、FIBをサンプル表面に対して(例えば約45°まで)再び傾斜し、次いでサンプルを180°回転させ、最初のU字形溝の上部に沿って溝をミリングする。図27は上部溝658がほぼ完全にミリングされたサンプルを示す。図28は本発明に従って完成され、抽出されたサンプルの好適な実施形態を示し、約10μm(長さ)×5μm(幅)である中央区間652と長さ約10μm×深さ5−8μmである2つのウィング650とを有する。
【0068】
(対象のフィーチャがより大きな楔形中央区間内に含まれるので)1以上のサンプル・ウィングをミリングするのに高い精度が必要ないため、サンプルの分離を迅速に達成することができ、ウェハをより迅速に製造ラインへ戻すことが可能となる。1以上のウィングを形成するには、先行技術のように純粋に楔形のサンプルを形成することに比べて、追加で5−10分のFIBミリングだけでよい。以下で議論されるように、本発明のサンプル構造は、サンプルがTEMフィンガー格子へ搬送されるときに、サンプルの配向を保持するのに役立つ。
【0069】
抽出すべき追加のサンプルがある場合、FIBシステムは各追加のサンプル部位まで移動し、ステップ502−510に記載したプロセスを繰り返すことができる。ステップ516では、ミリングが所望のサンプルの場所のすべてにおいて完了すると、ウェハは、上で詳細に記載したESPサンプル抽出ツールなどのサンプル抽出ツールへ搬送される。当該分野では周知のように、(サンプルがすべてミリングされた)ウェハは、マルチ・ウェハ・キャリアおよび自動搭載ロボットによってESPへ搬送されることが好ましいが、ウェハは手動で搬送することもできる。
【0070】
ステップ518では、ESPプローブは抽出すべきサンプルまで移動する。サンプル抽出ツールは各サンプル部位まで移動するのに機械的ステージを用いることが好ましい。ステップ520では、プローブが好ましくは上記のように真空圧を用いて図29および図30に示すサンプル・ウィングのうちの1つのサンプル・ウィング上の垂直面に取り付けられ、このプローブを用いて、図9に示す先行技術のTEMフィンガー格子などのTEMサンプル・ホルダへサンプルが搬送される。いくつかの実施形態では、TEMサンプル・ホルダはFEI社のUltraview(商標)サンプル搬送カプセルに適合する。サンプル抽出プロセスは完全自動化されることが好ましい。あるいは、抽出プロセスは完全または部分的に手動で制御可能である。サンプル・ホルダを適した方向に回転させて、サンプルの位置決めの配向誤差に対処することもできる。サンプルは、取り付けの安全性を改善し、サンプルの適切な配向を維持するのを支援するように働く垂直ウィングの形状を用いて、糊または接着剤などの任意の適した方法によってTEMサンプル・ホルダ上の適所に保持することができる。
【0071】
サンプルがホルダに取り付けられると、プローブは切り離されて、ウェハに戻り、別のサンプルを抽出することができる。全サンプルが抽出されると、ステップ524では、ウェハは製造ラインに戻される。ステップ526では、さらなる薄化および分析のために、サンプルはTEMサンプル・ホルダを用いて第2のデュアル・ビームFIBへ搬送される。サンプルの薄化が完了した後、ステップ528では、次いで、撮像のためにサンプルをS/TEMへ搬送することができる。
【0072】
好適な一実施形態では、図31に示すように、ノッチ762をTEMフィンガー格子上の1以上のフィンガー32の上に形成することができる。プローブを用いて垂直ウィング650をノッチ762内に滑り込ませることができ、そこで、(ウィングとノッチとの間に密着嵌合を必要とする)摩擦によって、またはUV硬化接着剤または糊などの他の手段によってプローブを適所に保持可能である。サンプルを位置決めすることおよび/またはサンプルが適所に移動されるときにプローブがフィンガー格子に接触するのを阻止することを容易にするために、いくつかの実施形態では、サンプル上面の点線764で示した領域にプローブ先端を取り付けることができる。プローブ先端をサンプルの水平面に取り付けるために、勾配の付いた先端がサンプルの上部と平行になるように、プローブを(プローブの円筒軸線周囲に)180°回転させることができる。次いで、先端がサンプルと接触し、真空が印加されてプローブ先端に対してサンプルを保持するように、プローブを下降することができる。
【0073】
図32に示す好適な実施形態では、ウィング650の垂直面がTEMフィンガー格子上のフィンガー32の1つの側に対して配置されるように、プローブを用いてサンプルを位置決めすることができる。既知の方法を用いて少量のUV硬化接着剤または糊をフィンガー側壁の点線763で示した領域に塗布することができ、UV光源を用いて糊を硬化させ、サンプルを適所に保持することができる。この実施形態では、垂直ウィング650はフィンガー32の垂直側壁に対して確実に保持されるので、サンプルの配向は正確に制御可能であることを当業者は認識する。いくつかの実施形態では、対象のフィーチャに対するウィング650の側壁の角度を変化させることによって配向を変更することができる。
【0074】
本発明は、広範な応用可能性を有し、上記実施例において説明されかつ示されるような多数の利点を提供することができる。上記実施形態は、特定の用途に応じて大きく変わり、必ずしもすべての実施形態が、すべての利点を提供し、本発明によって達成可能であるすべての目的を満たすものでもない。例えば、好適な実施形態では、マイクロメートル以下のスポットに集束されるガリウム・イオンのビームを生成するために、TEMサンプルはガリウム液体金属イオン源を用いて製作される。こういった集束イオン・ビーム・システムは、例えば、本願の譲受人であるFEI社から市販されている。しかし、前記説明の大半はFIBミリングの使用に向けられたものであるが、所望のTEMサンプルを処理するのに用いられるミリングビームは、例えば、電子ビーム、レーザ・ビーム、または、例えば液体金属イオン源もしくはプラズマ・イオン源からの集束されたあるいは整形されたイオン・ビーム、あるいは任意の他の荷電粒子ビームを含むことができる。また、上記本発明は、die−to−dieまたはcell−to−cell式のADR(Automatic Defect Reviewing)により欠陥を識別することのできる自動欠陥検査(ADR)技法と共に用いることができる。欠陥を含んだサンプルを作製し、ミリング用の基準を用いて、または用いずに除去することができる。さらに、前記説明の多くは半導体ウェハに関するものであるが、本発明は任意の適切な基板または表面に適用することができる。また、前記説明の大半は厚さ100nm未満の略矩形形状のラメラに向けられたものであるが、本発明は他の厚さを有するラメラおよび他の形状を有するサンプルと共に使用することができる。添付図面は本発明をわかりやすくしようとするためのものであって、特に指示しない限り、原寸大ではない。
【0075】
本発明ならびにその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義された発明の精神と範囲を逸脱することなく種々の変更、代替、改変が本明細書の実施形態になされうることが理解されるべきである。さらに、本願の範囲は明細書に記載されたプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法および工程の特定の実施の形態に制限されることを意図するものではない。当業者であれば本発明の開示から容易に理解できるので、上記に記載された対応する実施の形態と実質的に同じ機能を実行しまたは実質的に同じ結果を得る既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法および工程は本発明に従って利用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法および工程をその範囲内に含めることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦なサンプル面を有するサンプルを基板から抽出するための装置であって、
1以上のステージ・コントローラに接続された、基板用の可動ステージと、
真空源に接続された中空管を含み、その先端が開放されているマイクロプローブと、
前記マイクロプローブに接続され、1以上のマイクロマニピュレータ・コントローラに接続されたマイクロマニピュレータと、
可動ステージ上にも設けられ、前記抽出されたサンプルを保持するサンプル・ホルダと、
撮像装置と、
真空を前記マイクロプローブ先端中に印加できるように前記マイクロプローブに接続された真空源とを備えた装置。
【請求項2】
前記マイクロプローブがほぼ平坦な先端部を有し、平坦な表面が前記マイクロプローブの円筒軸線に対して斜めになった先端角で角度付けされており、前記マイクロプローブが、前記マイクロプローブの前記円筒軸線が前記基板表面に対して斜めのプローブ角になるように、かつ勾配の付いた前記プローブ先端が前記サンプル面に対して実質的に平行になるように、配向されており、かつ、前記マイクロマニピュレータが前記マイクロプローブを前記マイクロプローブの前記円筒軸線周囲で回転させることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
コンピュータ可読命令を保持するメモリを有するコンピュータをさらに備え、前記コンピュータが前記ステージ・コントローラ、前記マイクロマニピュレータ・コントローラ、および前記撮像装置に動作可能に接続されており、
前記コンピュータ可読命令が、
(a)サンプル部位が前記撮像装置の視野内に入るように、前記ステージを移動させる命令と、
(b)前記サンプル部位を撮像する命令と、
(c)前記サンプル位置を位置決めする命令と、
(d)前記マイクロプローブが前記サンプル面に対して直角になるように前記ステージを回転させる命令と、
(e)前記マイクロプローブ先端表面が前記サンプル表面に対して平行になるように、前記マイクロプローブをその円筒軸線周囲で回転させる命令と、
(f)前記マイクロプローブ先端を移動させて前記サンプル面と接触させる命令と、
(g)サンプルが取り付けられた前記マイクロプローブ先端を前記基板から離れる方に上昇させる命令と、
(h)前記サンプル・ホルダが前記撮像装置の視野内に入るように前記ステージを移動させる命令と、
(i)前記マイクロプローブをその円筒軸線周囲で回転させて、前記サンプルを前記サンプル・ホルダに対して所望の配向にする命令と、
(j)前記サンプルが前記サンプル・ホルダ上の所望の位置に配置されるように、前記マイクロプローブを移動させる命令とを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記撮像装置が光学顕微鏡を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記サンプル・ホルダがTEM格子である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
光が前記基板表面に向けられるが、前記基板表面から反射する光が前記光学顕微鏡の受光角度に入らないように、前記基板表面に対して斜角に位置決めされた光源をさらに備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記マイクロプローブの前記円筒軸線が前記サンプル面に対して直角になるように前記ステージを回転させるように、また前記光源からの照明も前記サンプル面に対して直角に方向付けられるように前記光源を位置決めするように、前記光源が前記マイクロプローブの前記円筒軸線と同じ垂直平面内に概ね位置決めされた、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プローブ角が45°であり、前記先端角が45°であり、第1の回転角が180°である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記マイクロプローブのほぼ平坦な先端が、前記プローブ先端と前記サンプルとの間の静電引力を最小化するために粗くした面を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記マイクロプローブが導電性材料で被覆され、前記マイクロプローブが表面といつ接触するかを検出する接触センサをさらに備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記マイクロプローブ先端中に印加される前記真空の圧力変動を監視することによってサンプル接触を決定する空気流センサをさらに備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記可動ステージがおよび前記マイクロマニピュレータが、イオン・ビーム・システム内部に配置されていない、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
基板からラメラを抽出する方法であって、
抽出すべき前記ラメラを有する前記基板を可動ステージ上に配置するステップと、
真空源に接続された中空管を含み、その先端が開放されているマイクロプローブを移動させて前記ラメラと接触させるステップと、
真空が前記サンプルを前記マイクロプローブ先端に対して保持するように前記真空を前記マイクロプローブ先端中に印加するステップと、
サンプルが取り付けられた前記マイクロプローブを前記基板から離れる方に上昇させるステップと、
前記サンプルがサンプル・ホルダ上の所望の位置と接触するように前記マイクロプローブを移動させるステップと、
解放された前記サンプルから離れるように前記マイクロプローブを移動させるステップと
を含む方法。
【請求項14】
前記プローブ先端を移動させて前記ラメラと接触させるステップが、前記プローブ先端が前記ラメラと接触するまで前記プローブ先端を移動させ、次いで、前記プローブを前方に移動させて前記サンプルを押しやり、前記ラメラと前記基板との間に残っている連結を分断するステップとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルがサンプル・ホルダ上の所望の位置と接触するように前記マイクロプローブを移動させるステップが、前記サンプルがサンプル・ホルダ上の所望の位置と接触するように前記マイクロプローブを移動させ、次いで、前記サンプルが前記マイクロプローブ先端から解放されるように、前記マイクロプローブ先端中の前記真空を停止させるステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記サンプルが前記サンプル・ホルダ上の所望の位置に配置された後、前記マイクロプローブ中に正圧を印加するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ラメラが実質的に垂直なサンプル面を有しており、マイクロプローブを移動させて前記ラメラと接触させるステップが、
前記基板を円筒軸線を有するマイクロプローブに対して位置決めし、前記円筒軸線が前記サンプル面に対して直角である平面にあるようにするステップであり、前記マイクロプローブがマイクロマニピュレータに接続され、かつ、前記プローブの前記円筒軸線周囲で回転することのできるプローブ・ステージ上に設置されており、前記マイクロプローブが、前記マイクロプローブの前記円筒軸線に対して斜めになった先端角で勾配の付いたほぼ平坦な先端を有し、かつ、前記マイクロプローブが、前記マイクロプローブの前記円筒軸線が前記サンプル面に対して斜めのプローブ角であるように、かつ、前記勾配の付いたプローブ先端が前記サンプル面に対して実質的に平行になるように配向されたステップと、
前記プローブ先端の前記平坦な先端が前記サンプル面と接触するように前記マイクロプローブを移動させるステップとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプルがサンプル・ホルダ上の所望の位置と接触するように前記プローブを移動させるステップが、
前記勾配の付いたプローブ先端の面と前記サンプル面とがサンプル・ホルダの表面に対して実質的に平行になるように、前記プローブをその円筒軸線周囲に第1の回転角で回転させるステップと、
前記サンプルが前記サンプル・ホルダ上の所望の位置の概ね上方になるように、前記プローブを位置決めするステップと、
前記サンプルが前記サンプル・ホルダの前記表面と接触するまで前記プローブを下降させるステップとを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プローブ角が45°であり、前記先端角が45°であり、前記第1の回転角が180°である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記サンプルを抽出するステップがイオン・ビーム・システム内では行われない、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
抽出すべき前記ラメラを有する前記基板を可動ステージ上に配置後、抽出すべきラメラの概算のx−y座標が光学顕微鏡の視野内にあるように前記ステージを移動させるステップと、
前記基板表面に対して鋭角に光源を前記ラメラに方向付けるステップと、
前記光源からの前記照明が前記ラメラの垂直面に対して直角の平面内で方向付けられるように、前記ステージを回転させるステップと、
コンピュータをベースにした画像認識ソフトウェアを用いて、前記ラメラの正確な場所を識別するステップとをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項22】
基板からサンプルを抽出する方法であって、
プローブ取り付け部位として用いられるべき平坦な面を有する抽出すべき前記サンプルを有する前記基板を可動ステージ上に設置するステップと、
前記基板を、円筒軸線を有するマイクロプローブに対して前記円筒軸線が前記サンプル面に対して直角である平面にあるように位置決めするステップであって、前記マイクロプローブがマイクロマニピュレータに接続され、かつ、前記プローブの前記円筒軸線周囲で回転することのできるプローブ・ステージ上に設置されており、前記マイクロプローブが、前記マイクロプローブの前記円筒軸線に対して斜めの先端角で勾配の付いたほぼ平坦な先端を有し、かつ、前記マイクロプローブが、前記マイクロプローブの前記円筒軸線が前記基板表面に対して斜めのプローブ角であるように、かつ、前記勾配の付いたプローブ先端が前記サンプル面に対して実質的に平行になるように配向されたステップと、
前記マイクロプローブ先端が前記サンプル上の垂直面と接触するように前記マイクロプローブを移動させるステップと、
サンプルが取り付けられた前記マイクロプローブを前記基板から離れる方に上昇させるステップと、
前記勾配の付いたプローブ先端の面と前記サンプル面とがサンプル・ホルダの表面に対して実質的に平行になるように、前記プローブをその円筒軸線周囲に第1の回転角で回転させるステップと、
前記サンプルが前記サンプル・ホルダ上の所望の位置の概ね上方になるように、前記プローブを位置決めするステップと、
前記サンプルが前記サンプル・ホルダと接触するまで前記プローブを下降させるステップと、
前記サンプルを前記サンプル・ホルダ上に載せるステップと、
解放された前記サンプルから離れるように前記プローブを移動させるステップと
を含む方法。
【請求項23】
前記平坦な面が前記基板表面に対する第1のサンプル角度にあり、前記先端角と前記プローブ角の合計が前記平坦な面の角度に等しい、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
開放されたマイクロプローブ先端を通して前記マイクロプローブに真空を印加して、前記真空が前記マイクロプローブ先端に対して前記サンプルを保持するようにするステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の装置を用いて基板から抽出するのに適したサンプルであって、
近位端と、遠位端と、中央区間とを有するサンプルを含み、
前記中央区間が、ほぼ楔形であり、撮像すべき対象のフィーチャを含み、
少なくとも1つのウィング区間が、前記近位端または遠位端のいずれかに形成され、前記ウィング区間が500nm未満の厚さと、少なくとも1つの実質的に垂直な面とを有するサンプル。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公表番号】特表2010−507882(P2010−507882A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533583(P2009−533583)
【出願日】平成19年10月20日(2007.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/082030
【国際公開番号】WO2008/051880
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(501419107)エフ・イ−・アイ・カンパニー (78)
【Fターム(参考)】