説明

サービス処理装置及びサービス処理プログラム

【課題】ユーザーに余計な負担をかけることなく、ユーザーが意図しない内容で指示書の処理が実行されることを未然に防止する。
【解決手段】本発明のサービス処理装置は、実行すべきジョブフローが記述された複数の指示書の中から、ユーザーが実行を指示した指示書の内容にしたがって処理を実行する装置であって、ユーザーを認証するユーザー認証部21と、認証したユーザーが今回の処理で実行対象とする指示書の内容が、当該ユーザーによる前回の処理実行時から変更されているかどうかを判断する変更判断部24と、実行対象とする指示書の内容が変更されていると変更判断部24で判断した場合に、その旨をユーザーに通知する変更通知部25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指示書に記述されたジョブフローにしたがって処理を実行するサービス処理装置及びサービス処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、あるいはそれらの機能を兼ね備えた複合機などのサービス処理装置の中には、実行すべき一連の処理の流れを定義したジョブフローが記述されたデータである指示書の内容にしたがって処理を実行するものがある。この種のサービス処理装置では、予め作成された複数の指示書の中から、ユーザーが所望の指示書を選択して処理の実行を指示することにより、その指示書に記述された一連の処理の流れを定義したジョブフロー(サービスの処理内容)にしたがって処理が実行されるものとなっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複合機で設定すべき項目について所望の設定を記述した指示書を予め処理内容に応じて多数作成して記憶しておき、それら多数の指示書の中からユーザーが所望する処理内容に適合する指示書を選択し、必要に応じて設定値を変更してから処理を実行する技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−287860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、指示書の作成や編集(内容の変更)を管理者で行ない、その指示書を利用した処理の実行指示を一般のユーザーが行なう場合などでは、指示書を作成・編集する人と、指示書を選択して処理の実行を指示する人が異なる場合が多い。このため、サービス処理装置でユーザーが指示書を選択して処理の実行を指示したときに、その指示書の内容がユーザーの知らない間に管理者を含む第三者によって変更されていることもあり得る。そうした場合、指示書を選択したユーザが意図しない内容で処理が実行されてしまう恐れがある。また、それを避けるためには、ユーザーが選択した指示書の実行を指示する前に、指示書に記述されたジョブフローの内容をユーザー自身で細かく確認する必要がある。したがって、ユーザーに余計な負担をかけることになる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ユーザーに余計な負担をかけることなく、ユーザーが意図しない内容で指示書の処理が実行されることを未然に防止することができるサービス処理装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るサービス処理装置は、実行すべきジョブフローが記述された複数の指示書の中から、ユーザーが実行を指示した指示書の内容にしたがって処理を実行するサービス処理装置であって、ユーザーを認証するユーザー認証手段と、このユーザー認証手段で認証したユーザーが今回の処理で実行対象とする指示書の内容が、当該ユーザーによる前回の処理実行時から変更されているかどうかを判断する判断手段と、この判断手段で実行対象とする指示書の内容が変更されていると判断した場合に、その旨をユーザーに通知する通知手段とを備えるものである。
【0008】
本発明に係るサービス処理装置においては、ユーザーが今回の処理で実行対象とする指示書の内容が前回の処理実行時から変更されているかどうかを判断し、指示書の内容が変更されている場合は、その旨をユーザーに通知する構成となっているため、指示書の実行を指示する度にユーザーがいちいち指示書の内容を細かく確認しなくても、指示書の内容が変更されていることをユーザーに認識させることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、指示書の実行を指示する度にユーザーがいちいち指示書の内容を細かく確認しなくても、指示書の内容が変更されていることをユーザーに認識させることができる。このため、ユーザーが意図しない内容で指示書の処理が実行されることを未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
〈サービス処理システムの構成〉
図1は本発明の実施形態に係るサービス処理システムの構成例を示す図である。このサービス処理システムは、少なくとも指示書管理サーバー1とサービス処理装置2とをネットワーク3で接続して構成されるものである。サービス処理装置2は、例えば、スキャナ機能、コピー機能、プリント機能及びファクシミリ送信機能を同時に備えるデジタル複合機で構成されるものである。ネットワーク3は、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を用いて構成されるものである。このネットワーク3には、必要に応じて、1つ又は複数のサービス提供装置4が接続される。また、ネットワーク3上においては、指示書管理サーバー1、サービス処理装置2及びサービス提供装置4が、それぞれ双方向に通信可能となっている。
【0012】
指示書管理サーバー1は、指示書の作成、登録保存、編集、更新、変更履歴情報の保存などの処理を行なうものである。指示書とは、実行すべきサービスの処理内容をサービスの種類ごとにジョブフローで記述したものである。この指示書では、指示書を利用した処理を受け付けるサービス処理装置2が提供するサービスの処理機能だけでなく、ネットワーク上3のサービス提供装置4が提供するサービスの処理機能を呼び出して実行させることも可能である。したがって、指示書に記述されるジョブフローには、この指示書を用いて処理を実行するサービス処理装置2が提供するサービスの処理内容の他に、ネットワーク3上のサービス提供装置4が提供するサービスの処理内容を含めることが可能である。
【0013】
指示書にジョブフローで記述されるサービスの種類には、例えば、コピー、プリント、スキャン、ファクシミリ送信、メール送信、ファイル転送などがあるが、特にこれに限定されるものではない。スキャンサービスは、原稿の画像を読み取って文書データ(画像データ)を生成するサービスである。コピーサービスは、原稿の画像を読み取って生成した文書データを可視画像としてシートにコピーするサービスである。プリントサービスは、スキャンサービスによって生成された文書データや、指示書で指定されたネットワーク3上の位置(例えば、リポジトリ)から読み込んだ文書データを可視画素としてシートにプリントするサービスである。ファクシミリ送信サービスは、スキャンサービスによって生成された文書データや、指示書で指定されたネットワーク3上の位置から読み込んだ文書データを、指示書で指定された宛先(ファクシミリ番号)にファクシミリデータとして送信するサービスである。
【0014】
また、メール送信サービスは、スキャンサービスによって生成された文書データや、指示書で指定されたネットワーク3上の位置から読み込んだ文書データをメールに添付し、このメールを指示書で指定された宛先(メールアドレス)に送信するものである。ファイル転送サービスは、指示書で指定されたファイル(スキャンサービスで生成した文書ファイルを含む)を、指示書で指定されたネットワーク3上の位置(例えば、レポジトリ)に転送するサービスである。こうしたサービスの一連の処理内容を定義したジョブフローで記述したデータである指示書は、電子データとして作成、登録、編集、更新されるものである。以降の説明では、電子化された指示書を指示書データとも記す。
【0015】
〈指示書管理サーバーの構成〉
図2は指示書管理サーバー1の構成例を示すブロック図である。指示書管理サーバー1は、操作部11と、指示書作成部12と、指示書登録部13と、指示書編集部14と、指示書更新部15と、指示書格納部16と、変更履歴保存部17と、指示書管理部18とを備えた構成となっている。
【0016】
操作部11は、管理者が指示書管理サーバー1を操作するために用いるものである。指示書作成部12は、操作部11から指示書の作成操作を受け付けて、その作成操作に基づく指示書データを生成するものである。指示書登録部13は、操作部11から指示書の作成終了の指示を受けた場合に、指示書作成部12で生成した指示書データを指示書格納部16に登録(格納)するものである。
【0017】
指示書編集部14は、操作部11から指示書の編集操作を受け付けて、その編集操作に基づく指示書データを生成するものである。指示書更新部15は、操作部11から指示書の編集終了の指示を受けた場合に、指示書編集部14で生成した指示書データを用いて、指示書格納部16に登録済みの指示書データ(編集前の指示書データ)を更新するものである。指示書格納部16は、指示書登録部13によって登録される指示書データを、指示書ごとに割り当てられるID(以下、「指示書ID」と記す)と対応付けて格納するものである。指示書格納部16には、指示書単位で複数(多数)の指示書データを格納可能となっている。また、指示書編集部14及び指示書更新部15は、指示書格納部16に格納された指示書の内容を変更する指示書変更手段を構成している。
【0018】
変更履歴保存部17は、指示書格納部16に格納(登録)された指示書の内容が、指示書の編集・更新によって変更された場合に、その履歴を変更履歴情報として保存するものである。変更履歴情報は、指示書格納部16に格納されている各々の指示書の指示書IDに対応付けて登録されるものである。したがって、ある指示書に割り当てられた指示書IDと、その指示書の変更履歴情報とは、1:1の関係で対応するものとなる。
【0019】
指示書管理部18は、指示書格納部16に格納(登録)された指示書や、この指示書に対応付けて変更履歴保存部17に保存された変更履歴情報を管理するものである。また、指示書管理部18は、サービス処理装置2から指示書IDを添付した指示書データの取得要求や指示書の変更履歴情報の取得要求を受け付けて、該当する指示書データ及び変更履歴情報を、ぞれぞれ指示書格納部16及び変更履歴保存部17から読み出し、これを取得要求元のサービス処理装置2に返信する。
【0020】
〈サービス処理装置の構成〉
図3はサービス処理装置2の構成例を示すブロック図である。サービス処理装置2は、上述したスキャナ機能、コピー機能、プリント機能及びファクシミリ送信機能を含むサービス提供機能部20の他に、ユーザー認証部21と、操作パネル22と、指示書取得部23と、変更判断部24と、変更通知部25と、指示書実行部26と、変更履歴取得部27と、実行履歴取得部28と、実行履歴保存部29とを備えた構成となっている。
【0021】
ユーザー認証部21は、サービス処理装置2を使用するユーザーを認証するユーザー認証処理を行なうものである。このユーザー認証部21では、個々のユーザーに割り当てられたユーザーアカウント(以下、単に「アカウント」と記す)を用いてユーザー認証を行なう。
【0022】
操作パネル22は、サービス処理装置2を使用するユーザーが各種の情報を入力したり、このユーザーに対して各種の情報を表示したりするためのユーザーインターフェースとなるものである。操作パネル22は、例えば、各種のボタン、スイッチ、キー等を有する入力部と、タッチパネル付きの液晶ディスプレイからなる表示部とによって構成されるものである。
【0023】
指示書取得部23は、指示書管理サーバー1に指示書データの取得要求を行なって、指示書管理サーバ1から指示書データを取得するものである。
【0024】
変更判断部24は、変更履歴取得部27で取得した指示書の変更履歴情報と、実行履歴取得部28で取得したユーザーの実行履歴情報とを用いて、今回の処理でユーザーが実行対象とする指示書の内容が、当該ユーザーによる前回の処理実行時から変更されているかどうかを判断するものである。
【0025】
変更通知部25は、変更判断部24での判断結果を受けて、操作パネル22への画面表示により、ユーザーに指示書の内容が変更されている旨を通知するものである。
【0026】
指示書実行部26は、指示書取得部23で取得した指示書(指示書データ)の内容(ジョブフロー)にしたがって処理を実行するものである。
【0027】
変更履歴取得部27は、指示書管理サーバー1に指示書の変更履歴情報の取得要求を行なって、指示書管理サーバ1から指示書の変更履歴情報を取得するものである。
【0028】
変更履歴取得部28は、ユーザー認証部21で認証したユーザーの実行履歴情報を実行履歴保存部29から読み出して取得するものである。
【0029】
実行履歴保存部29は、ユーザー認証部21で認証したユーザーが指示書を選択して実行を指示し、この指示を受けて指示書実行部26が指示書に内容にしたがって処理を実行したときに、その履歴をユーザーの実行履歴情報として保存するものである。
【0030】
ここで、ユーザー認証部21、指示書取得部23、変更判断部24、変更通知部25、指示書実行部26、変更履歴取得部27、実行履歴取得部28及び実行履歴保存部29によって行なわれる各々の処理(ユーザー認証処理、指示書取得処理、変更判断処理、変更通知処理、指示書実行処理、変更履歴取得処理、実行履歴取得処理、実行履歴保存処理)は、サービス処理装置2が備えるコンピュータのハードウェア資源を用いて実現可能である。
【0031】
具体的には、コンピュータのハードウェア資源であるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等を用いて、例えば、ROMあるいはハードディスクに格納されたサービス処理プログラムをCPUがRAMに読み出して実行することにより実現されるものである。そのためのサービス処理プログラムは、予めサービス処理装置2にインストールされていてもよいし、光ディスク(CD−ROM、DVDを含む)、磁気ディスク(FDを含む)、光磁気ディスク(MDを含む)、半導体メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよいし、有線あるいは無線などの通信網を介して提供されてもよい。
【0032】
〈指示書管理サーバーの処理〉
図4は指示書管理サーバーで行われる指示書の作成編集処理の手順を示すフローチャートである。まず、指示書管理サーバーを操作する管理者に、指示書を新規に作成するかどうかを操作部11で選択させる(ステップS1)。そして、操作部11で管理者が指示書の新規作成を選択した場合(ステップS1でYesの場合)は、指示書作成部12が管理者から指示書の作成操作を受け付ける(ステップS2)。その後、管理者から指示書の作成終了が指示されると、指示書作成部12は、管理者の作成操作にしたがって作成(生成)した指示書データを指示書登録部13に供給し、これを受けて指示書登録部13が、指示書作成部12から供給された指示書データを指示書格納部16に新規に登録(格納)する(ステップS3、S4)。
【0033】
一方、指示書の新規作成を管理者が選択しなかった場合(ステップS1でNoの場合)は、予め登録された指示書のリストを操作部11に表示し、この操作部11で編集対象となる指示書の選択操作を管理者から受け付ける(ステップS5)。次に、操作部11で管理者が編集対象となる指示書を選択すると、指示書編集部14は、管理者が選択した指示書データを指示書格納部16から読み出して操作部11に表示する(ステップS6、S7)。
【0034】
続いて、指示書編集部14は管理者から指示書の編集操作を受け付ける(ステップS8)。その後、管理者から指示書の編集終了が指示されると、指示書編集部14は、管理者の編集操作にしたがって編集(生成)した指示書データを指示書更新部15に供給し、これを受けて指示書更新部15が、指示書編集部14から供給された指示書データ(編集済みの指示書データ)を用いて、指示書格納部16に格納されている元(編集前)の指示書データを更新(上書き)する(ステップS9、S10)。これにより、指示書格納部16に登録されていた指示書の内容が変更される。次いで、指示書更新部15からの更新完了の通知を受けて、変更履歴保存部17は、今回の指示書編集に係る変更履歴情報を登録(保存)する(ステップS11)。
【0035】
変更履歴情報は、管理者が指示書の内容を編集によって変更するたびに登録されるものである。変更履歴情報には、例えば、編集を行なった指示書を特定(識別)する指示書IDの他に、編集によって指示書の内容を変更した日時(変更日時)などの情報が含まれる。これにより、変更履歴保存部17に保存された指示書の変更履歴情報を参照すれば、指示書格納部16に格納された指示書の中で、いずれの指示書の内容がいつ変更されたのかを把握することができる。なお、変更履歴情報には、新規に作成した指示書データを指示書格納部16に登録した登録日時を含めるようにしてもよい。
【0036】
〈サービス処理装置の処理〉
図5はサービス処理装置で行なわれる処理の手順を示すフローチャートである。まず、サービス処理装置を操作するユーザーを特定するために、ユーザー認証部21でユーザー認証を行なう(ステップS21)。このユーザー認証処理では、例えば、操作パネル22にアカウント(ユーザーID、パスワード)の入力画面を表示し、この入力画面でユーザーが入力したアカウントを取り込むことにより、アカウントで特定されるユーザーが、サービス処理装置2の使用を許可されたユーザーであるかどうかを確認する。なお、ユーザーのアカウントは、例えば、ユーザーが所持するICカードに記憶されたアカウントの情報をカードリーダーで読み取って取り込むようにしてもよい。
【0037】
次に、ユーザー認証部21で認証したユーザー(以下、単に「ユーザー」と記す)に対して、このユーザーに利用が許可された指示書のリストを操作パネル22に表示し、この操作パネル22でユーザーの選択操作を受け付ける(ステップS22)。指示書のリストは、予めサービス処理装置2内のハードディスク等に格納してある指示書のリスト情報を指示書取得部23が読み出して取得してもよいし、指示書取得部23が指示書管理サーバー1にリストの取得要求を行なって取得してもよい。
【0038】
指示書管理サーバー1から指示書のリストを取得する場合は、ユーザー認証部処理で認証したユーザーIDを添付して指示書取得部23がリストの取得要求を指示書管理サーバー1に送信する。一方、リストの取得要求を受信した指示書管理サーバー1では、添付のユーザーIDで特定されるユーザーに利用が許可された指示書のリスト情報を抽出し、これを取得要求に対する応答としてサービス処理装置2に送信(返信)する。そして、サービス処理装置2では、指示書管理サーバー1から送信された指示書のリスト情報を指示書取得部23で受信して取得する。
【0039】
次いで、操作パネル22に表示された指示書リストの中から、ユーザーが今回の処理で実行対象とする指示書を選択して処理の実行を指示すると、このユーザーに対応付けて保存(登録)されている実行履歴情報を実行履歴取得部28が実行履歴保存部29から読み出して取得する(ステップS23、S24)。ちなみに、ユーザーによる指示書の実行指示は、操作パネル22に表示された指示書リストの中で、ユーザーが所望の指示書を選択候補として1つ選択し、この状態でユーザーが処理の実行をボタン操作等によって指示することにより受け付けられる。
【0040】
ユーザーの実行履歴情報には、例えば、ユーザーを特定(識別)するユーザーIDに関連付けて、ユーザーが処理の実行を指示した指示書を特定する指示書IDと、各々の指示書(指示書ID)ごとに処理を実行した実行日時などの情報が含まれる。したがって、ユーザーの実行履歴情報を参照すれば、このユーザーがいずれの指示書の内容をいつ実行したのかを把握することができる。
【0041】
続いて、ユーザーが今回の処理で実行を指示した指示書の指示書IDを添付して指示書データの取得要求と、指示書の変更履歴情報の取得要求をそれぞれ指示書取得部23と変更履歴取得部27が指示書管理サーバー1に送信し、その応答として指示書管理サーバーから返信された指示書データと変更履歴情報をそれぞれ指示書取得部23と変更履歴取得部27で受信して取得する(ステップS25)。このように取得の対象となる指示書に関して指示書データと変更履歴情報を同時に取得する場合は、指示書取得部23と変更履歴取得部27を1つの機能部として統合してもよい。また、ステップS24の処理とステップS25の処理は、どちらを先に行なってもかまわない。
【0042】
続いて、上述のように取得したユーザーの実行履歴情報と指示書の変更履歴情報を用いて、ユーザーが今回の処理で実行を指示した指示書の内容が、当該ユーザーによる前回の処理実行時から変更されているかどうかを変更判断部24で判断する(ステップS26)。具体的には、まず、ユーザーの実行履歴情報の中に、今回の処理でユーザーが実行を指示した指示書の指示書IDが登録されているかどうかを確認し、該当する指示書IDが1つ又は複数登録されている場合は、その中からユーザーが最後に処理を実行した日時(最終実行日時)を抽出する。一方、指示書の変更履歴情報に関しては、その指示書の内容を最後に変更した日時(最終変更日時)を抽出する。そして、実行履歴情報から抽出した指示書の最終実行日時と、変更履歴情報から抽出した指示書の最終変更日時の前後関係を比較し、この比較結果において、指示書の内容が変更されているかどうかを判断する。
【0043】
ここで、最終実行日時と最終変更日時については、指示書管理サーバー1で指示書の内容を編集している最中に、編集途中の指示書に関して、サービス処理装置2から指示書データの取得要求があっても、これを指示書管理サーバ1で受け付けないように制御することにより、両方とも同じ日時で登録されることはない。したがって、変更判断部24においては、最終実行日時が最終変更日時よりも後であれば、指示書の内容が前回の処理実行時から変更されていないと判断し、最終実行日時が最終変更日時よりも前であれば、指示書の内容が前回の処理実行時から変更されていると判断する。そして、指示書の内容が前回の処理実行時から変更されていないと判断した場合は、ステップS30に移行する。また、指示書の内容が前回の処理実行時から変更されていると判断した場合は、その旨を変更通知部25が操作パネル22への操作画面の表示によってユーザーに通知した後(ステップS27)、ユーザーからの指示待ちの状態となる(ステップS28、S29)。
【0044】
図6は指示書の内容変更をユーザーに通知する際に表示される操作画面の一例を示す図である。この操作画面は、「定型業務3」のタイトルが付与された1つの指示書の中に、「スキャン」サービス、「ファイル転送」サービス、「メール送信」サービス、「プリント」サービスの順で各々のサービスの処理が実行されるようにジョブフローが記述されている場合を想定している。また、ジョブフローに含まれる各々のサービスの項目(種類)ごとに、具体的な処理の内容(条件等)が設定されている。例えば、「スキャン」サービスに関しては、原稿の読み取りサイズ、カラーモード、読み取り解像度、読み取り倍率、原稿送り方式などが設定されている。また、「メール送信」サービスに関しては、メールの宛先(メールアドレス)、件名などが設定されている。
【0045】
そうしたサービス処理のジョブフローの中で、上記操作画面では、「スキャン」サービスの内容(設定値)と「メール送信」サービスの内容(設定値)が変更されている旨をそれぞれアイコン101,102の表示によって明示している。また、アイコン101,102が表示されたサービスの項目(図例では「メール送信」サービス)を選択すると、そのサービス項目に関する処理内容の変更箇所(図例では「宛先」)がアイコン103の表示によって明示されるとともに、指示書の変更内容が、現在の値と前回実行値の値を操作画面内に並べて表示することにより、ユーザーに通知されるものとなっている。このように指示書の変更内容を操作画面に表示してユーザーに通知することにより、ユーザーは指示書の内容がどのように変更されたのかを把握することができる。
【0046】
指示書の変更内容をユーザーに通知する場合は、指示書管理サーバー1で指示書の内容を編集によって変更(更新)するたびに、変更履歴保存部17が、指示書の変更履歴情報として、指示書の変更日時と関連付けて、編集による指示書の変更内容あるいは変更(編集)前の指示書データを登録(保存)しておき、これをサービス処理装置2の変更履歴取得部28で取得することにより実現可能である。
【0047】
また、指示書管理サーバー1に登録される指示書の変更履歴情報の中に、指示書を編集する管理者が、指示書の内容をどのような理由で変更したのかといった変更理由の情報を残しておき、この変更理由を、例えば上記操作画面の「コメント」欄に表示してユーザーに通知することも可能である。このように指示書の変更理由を操作画面に表示してユーザーに通知することにより、ユーザーは、いちいち管理者に変更の理由を確認しなくても、指示書の内容がどのような理由で変更されたのかを把握することができる。
【0048】
したがって、例えば、メールの送信先となる相手(個人、法人を含む)のメールアドレスが変更されたことによって、指示書管理サーバー1を操作する管理者が、指示書のジョブフローの中で「メール送信」サービスのメールの宛先を変更した場合に、その変更理由を上記操作画面でユーザーに通知することにより、この通知を受けたユーザーは、メールの宛先が変更されていても、メールを受け取る相手に変わりがないことを認識することができる。このため、前回の処理実行時から処理内容が変更された指示書を選択したユーザーは、いちいち管理者に変更の理由を確認しなくても、指示書の変更内容を承諾すべきかどうかを迅速化かつ適切に判断することが可能となる。
【0049】
ちなみに、上記操作画面では、「メール送信」サービスに関して、メールの宛先(アドレス)が前回の処理実行時から変更されている旨の通知と併せて、現在のアドレス値と前回の処理実行時のアドレス値を並べて表示することにより、メールの宛先がどのように変更されているのかをユーザーに通知している。また、操作画面内には、「実行」ボタンと「キャンセル」ボタンが設けられている。「実行」ボタンは、指示書の内容変更をユーザーが承諾して、変更後の内容で処理の実行を指示するときに選択(押下)するためのボタンである。「キャンセル」ボタンは、指示書の内容変更をユーザーが承諾せず、変更後の内容で処理が実行されることを取り消すときに選択(押下)するためのボタンである。
【0050】
このため、上記ユーザーからの指示待ち状態において、ユーザーが「キャンセル」ボタンを選択した場合は、ユーザーが指示書の変更内容を承諾しなかったと判断して、指示書に記述されたサービスの処理を実行せず、そのまま処理を終える。また、ユーザーが「実行」ボタンを選択した場合は、ユーザーが指示書の変更内容を承諾したと判断して、変更後の指示書に記述された処理内容にしたがって処理実行部26がサービスの処理を実行する(ステップS30)。
【0051】
これにより、上記図6に示す指示書「定型業務3」のジョブフローにしたがって「スキャン」サービスの処理と「ファイル転送」サービスの処理と「メール送信」サービスの処理と「プリント」サービスの処理が順に実行される。このうち、「スキャン」サービスと「プリント」サービスの処理は、サービス処理装置が備えるスキャン機能とプリント機能を用いて実行されるが、「ファイル転送」サービスと「メール送信」サービスは、これに対応するサービス提供装置4に対して、指示書に記述されたサービスの処理内容を明示してサービス処理の処理依頼を送信し、この処理依頼への応答としてサービス処理の完了通知をサービス提供装置4から受信するより実行する。
【0052】
その後、指示書に記述されたジョブフローにしたがって全ての処理を実行し終えたら、実行履歴保存部29でユーザーの実行履歴情報を登録(保存)する(ステップS31)。このとき、サービス処理装置2において、指示書を用いて初めて処理を実行したユーザーであれば、このユーザーの実行履歴情報を新規で登録することになる。また、過去に指示書を用いて処理を実行したことのあるユーザーであれば、このユーザーの実行履歴情報を追加で登録することになる。
【0053】
このように本発明の実施形態に係るサービス処理システムにおいては、サービス処理装置2を操作するユーザーが指示書を利用して処理の実行を指示する場合に、ユーザーが今回の処理で実行対象とする指示書の内容が前回の処理実行時から変更されているかどうかを、ユーザーの実行履歴情報と指示書の変更履歴情報との比較結果に基づいて判断し、指示書の内容が変更されている場合は、その旨をユーザーに通知する構成となっているため、ユーザーがいちいち指示書の内容を事前に細かく確認しなくても、指示書の内容が変更されていることをユーザーに認識させることができる。このため、ユーザーが意図しない内容で指示書の処理が実行されることを未然に防止することができる。
【0054】
また、操作パネル22に操作画面(図6参照)を表示して指示書の内容が変更されている旨をユーザーに通知した際に、変更後の指示書の内容で処理を実行するか、それとも処理の実行を取り消すかといった選択を、「実行」ボタンと「キャンセル」ボタンの表示によってユーザーから受け付けるようにしたので、指示書の内容変更を通知した後に、ユーザーの希望に応じて処理を実行したり取り消したりすることができる。
【0055】
なお、上記実施形態においては、サービス処理装置2の処理例として、操作パネル22に表示された指示書リストの中からユーザーが所望の指示書を選択して処理の実行を指示した段階で、ユーザーが実行を指示した指示書の指示書データと変更履歴情報を指示書管理サーバー1から取得し、その後、ユーザーの実行履歴情報と指示書の変更履歴情報との比較結果を基に指示書の内容が前回の処理実行時から変更されていると判断した場合に、その旨を上記図6に示す操作画面の表示によってユーザーに通知するものとしたが、本発明はこれに限らず、操作パネル22に表示される指示書リストの中でアイコン等により指示書の内容が変更されている旨をユーザーに通知することも可能である。具体的には、図7に示すような処理の手順を採用することによって実現可能である。
【0056】
まず、ユーザー認証部21でユーザー認証を行なう(ステップS41)。次に、認証済みのユーザーに対応付けて保存(登録)されている実行履歴情報を実行履歴取得部28が実行履歴保存部29から読み出して取得する(ステップS42)。次いで、ユーザーに利用が許可された全ての指示書に関して、指示書取得部23と変更履歴取得部27が指示書データと変更履歴情報を指示書管理サーバー1から取得する(ステップS43)。ステップS42の処理とステップS43の処理は、どちらを先に行なってもかまわない。
【0057】
続いて、上記ステップS43で変更履歴取得部27が取得した指示書の変更履歴情報を変更判断部24が1つ抽出し(ステップS44)、上記ステップS42で実行履歴取得部28が取得したユーザーの実行履歴情報との比較(最終実行日時と最終変更日時の前後関係)により、変更履歴情報を抽出した指示書の内容が前回の処理実行時から変更されているかどうかを判断する(ステップS45)。そして、指示書の内容が変更されていると判断した場合は、その指示書を変更通知対象に設定した後(ステップS46)、ステップS47に進み、指示書の内容が変更されていないと判断した場合は、その指示書を変更通知対象に設定しないで、ステップS47に進む。ステップS47においては、変更履歴取得部27が変更履歴情報を取得した全ての指示書に関して、変更履歴情報の抽出を終えたかどうかを確認し、終えていない場合は上記ステップS44に戻る。これにより、ユーザーが利用可能なすべての指示書に関して、1つずつ指示書の変更有無が判断される。
【0058】
続いて、ユーザーに利用が許可された指示書のリストを操作パネル22に表示し、この操作パネル22でユーザーの選択操作を受け付ける(ステップS48)。この場合は、ユーザーに利用が許可されたすべての指示書に関して、指示書管理サーバー1から指示書データを取得済みであるため、各々の指示書データのタイトルをリスト形式で表示すればよい。このとき、上記ステップS46で変更通知対象に設定された指示書に関しては、アイコンを表示することにより、指示書の内容が前回の処理実行時から変更されている旨をユーザーに通知する。
【0059】
図8に指示書リストの具体的な表示例を示す。図示した指示書リストの表示例においては、各々の指示書のタイトル(名称)と、指示書の内容が変更された日時(変更日時)を並べて表示しており、その中で変更通知対象に設定された指示書のタイトルの近傍にそれぞれアイコン104を表示することにより、指示書の内容が変更されている旨をユーザーに通知している。また、指示書リストの表示画面内には、指示書リストの画面を上下方向にスクロールするための操作ボタンとともに「内容確認」ボタンが設けられ、この「内容確認」ボタンをユーザーが選択(押下)することにより、現在選択候補とされている「定型業務3」の指示書に記述されたサービスの処理内容が、例えば図9示すような操作画面で操作パネル22に表示されるものとなっている。なお、選択候補となる指示書は、指示書のタイトル部分をユーザーが押下することにより、択一的に選択されるものである。
【0060】
図9に示す操作画面においては、上記同様に「スキャン」サービスの内容(設定値)と「メール送信」サービスの内容(設定値)が変更されている旨をそれぞれアイコン101,102の表示によって明示している。また、アイコン101,102が表示されたサービス項目(図例では「スキャン」サービス)を選択すると、そのサービス項目に関する処理内容の変更箇所(図例では「読み取りサイズ」)がアイコン103の表示によって明示されるとともに、指示書の変更内容が、現在の値と前回実行値の値を操作画面内に並べて表示することによりユーザーに通知されるものとなっている。
【0061】
さらに、操作画面内には、「現在の値で実行する」ボタンと、「前回実行時の値で実行する」ボタンと、「キャンセル」ボタンが設けられている。「現在の値で実行する」ボタンは、指示書の内容変更をユーザーが承諾して、変更後の内容で処理の実行を指示するときに選択(押下)するためのボタンである。「前回実行時の値で実行する」ボタンは、指示書の内容変更をユーザーが承諾せず、変更前(ユーザーが前回処理を実行したとき)の内容で処理の実行を指示するときに選択(押下)するためのボタンである。「キャンセル」ボタンは、指示書の内容変更をユーザーが承諾せず、処理の実行を取り消すときに選択(押下)するためのボタンである。
【0062】
したがって、ユーザーから指示書の実行指示、あるいは実行のキャンセル指示を待っている指示待ち状態(ステップS49、S50)において、ユーザーが「キャンセル」ボタンを選択した場合は、指示書に記述されたサービスの処理を実行せず、そのまま処理を終える。また、ユーザーが「現在の値で実行する」ボタンを選択した場合は、ステップS51において、処理実行部26が変更後の指示書に記述された処理内容にしたがってサービスの処理を実行する。また、ユーザーが「前回実行時の値で実行する」ボタンを選択した場合は、ステップS51において、処理実行部26が変更前(前回実行時)の指示書に記述された処理内容にしたがってサービスの処理を実行する。
【0063】
その後、変更前あるいは変更後の指示書に記述されたジョブフローにしたがって全ての処理を実行し終えたら、今回の処理を変更後の指示書の内容(現在の値)を適用して実行したかどうかを確認し(ステップS52)、変更後の指示書の内容を適用して処理を実行した場合のみ、その実行日時等の情報を実行履歴保存部29がユーザーの実行履歴情報に登録(保存)する(ステップS53)。これにより、変更前の指示書の内容を適用して処理を実行した場合は、前回の処理実行時に登録した実行履歴情報がそのまま残ることになる。
【0064】
このような処理手順を採用した場合は、操作パネル22に指示書のリストを表示する前に、ユーザーが今回の処理で実行対象とする指示書(ユーザーに利用が許可された指示書)の中で、前回の処理実行時から内容が変更されている指示書を上記ステップS44〜S47の処理によって特定し、特定した指示書のタイトルには、指示書の内容が変更されていることを明示するアイコン付きで指示書リストを操作パネル22に表示することにより、指示書の内容が変更されている旨をユーザーに通知するため、上記同様にユーザーがいちいち指示書の内容を事前に細かく確認しなくても、指示書の内容が変更されていることをユーザーに認識させることができる。このため、ユーザーが意図しない内容で指示書の処理が実行されることを未然に防止することができる。
【0065】
また、上記図9に示す操作画面で指示書の変更と変更内容をユーザーに通知した際に、
「現在の値で実行する」ボタンと、「前回実行時の値で実行する」ボタンと、「キャンセル」ボタンを同時に表示することで、変更後の内容で今回の処理を実行するのか、前回の処理と同じ内容で今回の処理を実行するのか、処理の実行を取り消すのか、といった選択をユーザーから受け付けるようにしたので、ユーザーが選択した指示書の内容が前回の処理実行時から変更されている場合でも、ユーザーは、前回の処理と同じ内容で処理の実行を指示することができる。
【0066】
なお、上記実施形態においては、指示書管理サーバー1で管理者が指示書の内容を変更した変更日時を指示書の変更履歴情報に含めて保存するとともに、サービス処理装置2でユーザーが指示書を利用して処理を実行した実行日時をユーザーの実行履歴情報に含めて保存しておき、変更判断部24による変更判断処理では、変更履歴情報から抽出した指示書の最終変更日時と実行履歴情報から抽出した指示書の最終実行日時とを比較することにより、指示書の内容が変更されているかどうかを判断するものとしたが、日時以外の情報を用いて指示書の変更有無を判断することも可能である。
【0067】
具体的には、例えば、指示書データに基づいて生成されるハッシュ値を用いて、指示書の変更有無を判断することが可能である。すなわち、指示書データに基づいてハッシュ値を生成するハッシュ値生成部を、指示書管理サーバー1及びサービス処理装置2の少なくとも一方に設ける。そして、例えば、サービス処理装置2にハッシュ値生成部を設けた場合は、次のような方法で指示書の変更有無を判断する。
【0068】
まず、指示書取得部23が指示書管理サーバー1から指示書データを取得した際に、この指示書データをハッシュ値生成部に供給し、そこで指示書データのハッシュ値を生成する。また、ユーザーが指示書の実行を指示し、この指示を受けて処理実行部26が指示書に記述された処理を実行したときに、ユーザーの実行履歴情報として、処理を実行した指示書データのハッシュ値(ハッシュ値生成部で生成したハッシュ値)をユーザーIDに関連付けて実行履歴保存部29に保存する。そして、ユーザーが今回の処理で実行対象とした指示書データのハッシュ値(ハッシュ値生成部で生成したハッシュ値)を指示書の変更履歴情報として変更履歴取得部27で取得し、このハッシュ値と、ユーザーの実行履歴情報として実行履歴保存部29に保存されているハッシュ値とを変更判断部24で比較する。このとき、双方のハッシュ値が一致する場合は、指示書の内容が前回の処理実行時から変更されていないと判断し、双方のハッシュ値が一致しない場合は、指示書の内容が前回の処理実行時から変更されていると判断する。
【0069】
このようにハッシュ値を用いて指示書の変更有無を判断する場合は、指示書管理サーバー1に登録されている指示書の内容が、変更日時などの日時情報を変えずに、管理者以外の人、例えば悪意をもつ第三者によって不正に変更された場合でも、指示書の内容が変更されていることを確実に検出し、その旨をユーザーに通知することができる。
【0070】
また、上述したハッシュ値以外にも、例えば、指示書データそのものを用いて、指示書の変更有無を判断することも可能である。具体的には、サービス処理装置2を操作するユーザーが指示書の実行を指示し、この指示にしたがって処理実行部26が指示書に記述されたサービスの処理を実行するたびに、ユーザーの実行履歴情報として、処理を実行した指示書データを指示書IDに対応付けて実行履歴保存部29に保存しておく。実行履歴保存部29には、ユーザーの実行履歴情報として、1つの指示書につき、最後に処理を実行した指示書データだけを保存しておけばよい。そして、ユーザーが今回の処理で実行対象として選択した指示書データを指示書取得部23が取得したら、その指示書データを変更履歴取得部27が指示書の変更履歴情報として取得し、この指示書データと、ユーザーの実行履歴情報として実行履歴保存部29に保存されている指示書データとを変更比較部24で比較する。そして、双方の指示書データ(指示書に記述された処理内容)が一致する場合は、指示書の内容が前回の処理実行時から変更されていないと判断し、双方の指示書データが一致しない場合は、指示書の内容が前回の処理実行時から変更されていると判断する。
【0071】
また、上記実施形態においては、ユーザーの実行履歴情報をサービス処理装置2の実行履歴保存部29に保存するものとしたが、実行履歴保存部29の機能は、ネットワーク3上の他の装置(外部装置)に持たせることも可能である。
【0072】
また、指示書管理サーバー1が備える操作部11、指示書作成部12、指示書登録部13、指示書編集部14、指示書更新部15、指示書格納部16及び変更履歴保存部17の各機能は、サービス処理装置2に持たせることも可能である。つまり、上述した指示書管理サーバー1の機能とサービス処理装置2の機能を1台の装置に統合して、本発明のサービス処理装置を構成することも可能である。その場合、上述した変更履歴取得部27は、サービス処理装置内の変更履歴保存部から指示書の変更履歴情報を読み出して取得することになる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係るサービス処理システムの構成例を示す図である。
【図2】指示書管理サーバーの構成例を示すブロック図である。
【図3】サービス処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】指示書管理サーバーで行われる指示書の作成編集処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】サービス処理装置で行なわれる処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】指示書の内容変更をユーザーに通知する際に表示される操作画面の一例を示す図である。
【図7】サービス処理装置で行なわれる処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】指示書リストの表示例を示す図である。
【図9】操作画面の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1…指示書管理サーバー、2…サービス処理装置、3…ネットワーク、4…サービス提供装置、12…指示書作成部、13…指示書登録部、14…指示書編集部、15…指示書更新部、16…指示書格納部、17…変更履歴保存部、18…指示書管理部、21…ユーザー認証部、22…操作パネル、23…指示書取得部、24…変更判断部、25…変更通知部、26…指示書実行部、27…変更履歴取得部、28…実行履歴取得部、29…実行履歴保存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行すべきジョブフローが記述された複数の指示書の中から、ユーザーが実行を指示した指示書の内容にしたがって処理を実行するサービス処理装置であって、
ユーザーを認証するユーザー認証手段と、
前記ユーザー認証手段で認証したユーザーが今回の処理で実行対象とする指示書の内容が、当該ユーザーによる前回の処理実行時から変更されているかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段で前記実行対象とする指示書の内容が変更されていると判断した場合に、その旨をユーザーに通知する通知手段と
を備えることを特徴とするサービス処理装置。
【請求項2】
前記ユーザー認証手段で認証したユーザーが前記指示書を用いて処理を実行した際の実行履歴情報を取得する実行履歴取得手段と、
前記ユーザー認証手段で認証したユーザーが今回の処理で実行対象とする指示書の変更履歴情報を取得する変更履歴取得手段とを具備し、
前記判断手段は、前記実行履歴取得手段で取得したユーザーの実行履歴情報と、前記変更履歴取得手段で取得した指示書の変更履歴情報とを比較し、この比較結果に基づいて、前記実行対象の指示書の内容が変更されているかどうかを判断する
ことを特徴とする請求項1記載のサービス処理装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記実行履歴情報に含まれる指示書の最終実行日時と、前記変更履歴情報に含まれる指示書の最終変更日時とを比較し、この比較結果に基づいて、前記実行対象の指示書の内容が変更されているかどうかを判断する
ことを特徴とする請求項2記載のサービス処理装置。
【請求項4】
前記変更履歴情報は、ユーザーが今回の処理で実行対象とする指示書データに基づいて生成されるハッシュ値を含み、
前記実行履歴情報は、ユーザーが前回の処理で実行した指示書データに基づいて生成されるハッシュ値を含み、
前記比較手段は、前記変更履歴情報に含まれるハッシュ値と、前記実行履歴情報に含まれるハッシュ値とを比較し、この比較結果に基づいて、前記実行対象の指示書の内容が変更されているかどうかを判断する
ことを特徴とする請求項2記載のサービス処理装置。
【請求項5】
前記変更履歴情報は、ユーザーが今回の処理で実行対象とする指示書データを含み、
前記実行履歴情報は、ユーザーが前回の処理で実行した指示書データを含み、
前記比較手段は、前記変更履歴情報に含まれる指示書データと、前記実行履歴情報に含まれる指示書データとを比較し、この比較結果に基づいて、前記実行対象の指示書の内容が変更されているかどうかを判断する
ことを特徴とする請求項2記載のサービス処理装置。
【請求項6】
前記通知手段は、前記実行対象の指示書の内容が変更されている旨の通知と併せて、当該指示書の変更内容を通知する
ことを特徴とする請求項1記載のサービス処理装置。
【請求項7】
前記通知手段は、前記実行対象の指示書の内容が変更されている旨の通知と併せて、当該指示書の変更理由を通知する
ことを特徴とする請求項1記載のサービス処理装置。
【請求項8】
前記実行対象の指示書の内容が変更されている旨をユーザーに通知した際に、前回の処理と同じ内容で今回の処理を実行するかどうかの選択をユーザーから受け付ける
ことを特徴とする請求項1記載のサービス処理装置。
【請求項9】
実行すべきジョブフローが記述された複数の指示書の中から、ユーザーが実行を指示した指示書の内容にしたがって処理を実行するサービス処理装置に適用されるサービス処理プログラムであって、
コンピュータを、
ユーザーを認証するユーザー認証手段と、
前記ユーザー認証手段で認証したユーザーが今回の処理で実行対象とする指示書の内容が、当該ユーザーによる前回の処理実行時から変更されているかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段で前記実行対象とする指示書の内容が前回の処理実行時から変更されていると判断した場合に、その旨をユーザーに通知する通知手段
として機能させるためのサービス処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−329785(P2007−329785A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160461(P2006−160461)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】