説明

シクロオキシゲナーゼ−1及びシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤としての置換アゼチジン化合物、ならびにそれらの調製、および薬剤としての使用

本発明は、一般式(I)の置換アゼチジン化合物、それらの調製方法、これらの化合物を含む薬剤、ならびにヒトおよび動物の治療のための薬剤を調製するためのそれらの使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)の置換アゼチジン化合物、それらの調製方法、これらの化合物を含む薬剤、ならびにヒトおよび動物の治療のための薬剤を調製するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アラキドン酸の代謝産物、例えばプロスタグランジン、リポキシゲナーゼ、およびトロンボキサン生成物は、種々の組織中で産生され、炎症、疼痛、および癌などの多くの生理学的および病態生理学的過程において重要な役割を果たしている。
【0003】
例えば、プロスタグランジンは、酵素シクロオキシゲナーゼによるアラキドン酸から共通のプロスタグランジン前駆体PGH2への転化を伴う、酵素カスケードにより細胞膜リン脂質から産生される。今日、2つの異なるサブタイプのシクロオキシゲナーゼ、すなわちシクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)およびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)が知られている。
【0004】
グルココルチコイドが誘導したり媒介したりすることはないCOX−1は、構成性シクロオキシゲナーゼアイソフォームであり、消化管における細胞保護的プロスタグランジンの合成、および血小板中で血小板の凝集を誘導するトロンボキサンの合成を主に担っている。COX−2は、誘導性であり、構成的に活性化される特定の腫瘍の場合を除けば一般に寿命が短い。COX−2の発現は、エンドトキシン、サイトカイン、ホルモン、増殖因子、およびマイトジェンに応答することで刺激される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、薬剤中の薬理活性物質として特に好適な新規化合物を提供することであった。好ましくはこれらの化合物は、シクロオキシゲナーゼ−1および/またはシクロオキシゲナーゼ−2の阻害、ならびにこれらの酵素が関連する疾患の予防および/または治療に好適となるべきである。
【0006】
驚くべきことに、後述の一般式Iの置換化合物、それらの立体異性体、対応する塩、および対応する溶媒和物が、シクロオキシゲナーゼ−1およびシクロオキシゲナーゼ−2の阻害を示すことを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、一態様において、本発明は、一般式I
【化1】

(式中、
Aは、−C=O−部分、−CH2−部分、そのカルボニル炭素原子を介してアゼチジン環に結合した−CH2−C=O−部分、またはそのカルボニル炭素原子を介してアゼチジン環に結合した−O−C(=O)−部分を表し
1、R3は、同一または異なって、水素原子、または線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和で場合により少なくとも一置換のC14−脂肪族基を表し、
2は、水素原子、ヒドロキシル基、またはC13−アルコキシ基を表し、
または、R1およびR2を合わせたもの、またはR2およびR3を合わせたものが−O−CH2−CH2−鎖を形成し、これは1つ以上のメチル基で場合により置換されており、
4は、水素原子、場合により少なくとも一置換のアリール基、または線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和の脂肪族基を表し、上記脂肪族基は、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐または非分岐のC14−アルコキシ、分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルコキシ、および分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルキルからなる群より独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、
5は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和で場合により少なくとも一置換の脂肪族基、−OR7−部分、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−R8−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、−O(CH214ONO2−部分、場合により少なくとも一置換のアリール基、またはカルボキシ−基を表し、
6は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和、場合により少なくとも一置換の脂肪族基、−OR9−部分、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−R10−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、場合により少なくとも一置換のアリール基、またはカルボキシ−基を表し、
7、R8、R9、R10は、互いに独立して、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和で場合により少なくとも一置換の脂肪族基を表す)
の置換アゼチジン化合物であって、
場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物に関する。
【0008】
前出の一般式Iの置換アゼチジン化合物が以下の条件(但し書き)の1つ以上を満たすことが非常に好ましい。
1、R2、およびR3が全く同様に水素原子を表すことはなく、Aが−CH2−部分を表す場合は、残基R1、R2、およびR3の少なくとも2つが全く同様に水素原子を表すことはないこと。
Aが−(C=O)−部分を表し、R4が水素原子を表し、残基R5およびR6の一方が水素原子を表す場合、これらの残基R5およびR6の他方が−NH2−部分、−CONH2−部分、および−NH2−部分か場合により置換されたアザ複素環かで置換されたメチル基を表すことはないこと。
Aが、−(C=O)−部分、そのカルボニル炭素原子を介してアゼチジン環に結合した−CH2−C=O−部分、またはそのカルボニル原子を介してアゼチジン環に結合した−O−C(=O)−部分を表し、残基R5およびR6の一方が水素原子、または線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和で場合により少なくとも一置換の脂肪族基を表す場合、これらの残基R5およびR6の他方が−NH2−および−カルボキシ−部分を表すことはないこと。
【0009】
前述の置換基のいずれかが、1つ以上、例えば1、2、3、4、または5個の置換基で置換された脂肪族基を表している場合、これらの置換基は、互いに独立して、好ましくは、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐または非分岐のC14−アルコキシ、分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルコキシ、分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルキルからなる群より選択することができ、より好ましくは、ヒドロキシ、F、Cl、Br、メトキシ、エトキシ、およびCF3からなる群より選択することができる。
【0010】
1つ以上の置換基によって置換されていてもよい好ましい線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和の脂肪族基は、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、ビニル、エチニル、プロペニル、プロピニル、ブテニル、およびブチニルからなる群より選択することができる。
【0011】
前述の置換基のいずれかが、1つ以上、例えば1、2、3、4、または5個の置換基で置換されたアリール基を表している場合、これらの置換基は、互いに独立して、好ましくは、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐または非分岐のC14−アルキル、分岐または非分岐のC24−アルケニル、分岐または非分岐のC24−アルキニル、分岐または非分岐のC14−アルコキシ、分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルコキシ、分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルキルからなる群より選択することができ、より好ましくは、ヒドロキシ、F、Cl、Br、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−ブチル、sec−ブチル、メトキシ、エトキシ、およびCF3からなる群より選択することができる。
【0012】
場合により少なくとも一置換であってよい好ましいアリール基は、フェニルおよびナフチルである。
【0013】
前出の一般式Iの化合物において、式中のR1およびR3が、同一または異なって、水素原子、または線状もしくは分岐のC14−アルキル基を表し、好ましくはR1およびR3が、同一であり、非置換C14−アルキル基を表し、より好ましくはR1およびR3が、同一であり、C34アルキル基を表し、最も好ましくはR1およびR3が、同一であり、イソプロピル基またはtert−ブチル基を表し、R2、R4〜R10、およびAが前出の意味を有する、化合物であって、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物が好ましい。
【0014】
前出の一般式Iの化合物において、式中のR2が水素原子、ヒドロキシル基、またはメトキシ基を表し、R1、R3〜R10、およびAが前出の意味を有する、化合物であって、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物も好ましい。
【0015】
さらに、式中のR4が、水素原子、場合により少なくとも一置換のフェニル基、または線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和のC16脂肪族基を表し、上記脂肪族基が、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐または非分岐のC14−アルコキシ、分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルコキシおよび分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルキルからなる群より独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、より好ましくはR4が、水素原子、メチル基、または非置換フェニル基を表し、およびR1〜R3、R5〜R10、およびAが前出の意味を有する、一般式Iの化合物であって、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物が好ましい。
【0016】
式中のR5が、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和で場合により少なくとも一置換のC16脂肪族基、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−R8−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、−O(CH24−ONO2−部分、場合により少なくとも一置換のフェニル基、またはカルボキシ−基を表し、好ましくは水素原子、臭素原子、ヒドロキシル基、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−R8−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、−O(CH2)4−ONO2−部分、非置換フェニル基、またはカルボキシ−基を表し、R1〜R4、R6〜R10、およびAが前出の意味を有する、前出の一般式Iの化合物であって、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物も好ましい。
【0017】
式中のR6が、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和で場合により少なくとも一置換のC16脂肪族基、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−R8−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、場合により少なくとも一置換のフェニル基、またはカルボキシ−基を表し、好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、またはメチル基を表し、R1〜R5、R7〜R10、およびAが前出の意味を有する、一般式Iの化合物であって、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物も好ましい。
【0018】
式中のR7、R8、R9、R10が、互いに独立して、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和で場合により少なくとも一置換のC16脂肪族基を表し、好ましくは線状もしくは分岐のC16アルキル基を表し、より好ましくはメチル基またはエチル基を表し、R1〜R6、およびAが前出の意味を有する、一般式Iの化合物であって、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物も好ましい。
【0019】
特に好ましいものは、一般式I、
【化2】

(式中、
Aが、−C=O−部分、−CH2−部分、そのカルボニル炭素原子を介してアゼチジン環に結合した−CH2−C=O−部分、またはそのカルボニル炭素原子を介してアゼチジン環に結合した−O−C(=O)−部分を表し、
1、R3はどちらも、イソプロピル基またはtert−ブチル基を表し、
2は、水素原子、ヒドロキシル基、またはメトキシ基を表し、
または、R1およびR2を合わせたもの、またはR2およびR3を合わせたものが−O−CH2−C(CH32−鎖を形成し、鎖の酸素原子はフェニル環の4位に結合しており、
4が、水素原子、メチル基、または非置換フェニル基を表し、
5が、臭素原子、ヒドロキシル基、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−CF3−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、−O(CH24ONO2−部分、非置換フェニル基、またはカルボキシ−基を表し、
6が、水素原子、メチル基、またはヒドロキシル基を表す)
の置換アゼチジン化合物であって、
場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物である。
【0020】
一般式Iの化合物で最も好ましいものは、
[1](3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[2](3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[3](3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−3−メチル−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[4](3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[7](3−ブロモ−アゼチジン−1−イル)−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−メタノン;
[9](3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[10](3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピル−フェニル)−メタノン;
[11](3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−[3−(4−ニトロオキシ−ブトキシ)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;
[12](3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−2−フェニル−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[13](3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−3−フェニル−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[14](7−tert−ブチル−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[15][1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−アゼチジン−3−イル]−N−ヒドロキシ−尿素;
[16]N−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)−(2S,3R)−2−メチル−アゼチジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド;
[17]1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−アゼチジン−3−オール;
[18]2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−1−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−エタノン;
[19](3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−カルボン酸)−3,5−ジ−tert−ブチル−フェニルエステル
からなる群より選択された化合物であって、
場合により対応する塩または対応する溶媒和物の形態である化合物である。
【0021】
別の態様においては、本発明は、前出の一般式Iの本発明の置換アゼチジン化合物の調製方法に関し、この方法によると、一般式II
【化3】

(式中、R1〜R3は、前出の意味を有し、Xは、結合、または−(CH2)−部分を表し、Rは、カルボキシ基または活性カルボニル基を表す)の少なくとも1種類の化合物を、少なくとも1種類の一般式III
【化4】

(式中、R4〜R6は、前出の意味を有する)の化合物であって、場合により対応する塩の形態である化合物と反応させて、前出の一般式Iの化合物であって、式中のR1〜R6が前出の意味を有し、Aが、−(C=O)−部分または−(CH2)−CO−部分を表す化合物を生成し、これを場合により精製し、および/または場合により単離し、
さらに場合により、少なくとも1種類の一般式Iの化合物であって、式中のAが−(C=O)−部分を表す化合物を還元して、少なくとも1種類の一般式Iの化合物であって、式中のR1〜R6が前出の意味を有し、Aが−(CH2)−部分を表す化合物を生成し、これを場合により精製し、および/または場合により単離し、
または、一般式IV
【化5】

(式中、R1〜R3は、前出の意味を有する)の少なくとも1種類の化合物を、前出の少なくとも1種類の一般式IIIの化合物と反応させて、少なくとも1種類の一般式Iの化合物であって、式中のR1〜R6が前出の意味を有し、AがO−(C=O)−部分を表す化合物を生成し、さらにこの化合物を場合により精製し、および/または場合により単離する。
【0022】
一般式(II)の化合物は、当業者に公知の従来方法によって調製することができる。
【0023】
一般式(II)および一般式(III)の化合物の反応も、当業者に公知の従来方法により実施することができる。一般式IIの化合物は、遊離のカルボン酸の形態、すなわちRが−COOH基を表す形態、または活性カルボニル基の形態のいずれかで使用することができる。好適な活性化基および活性化方法は当業者には公知であり、例えばN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは他のカップリング試薬を使用して活性化される。
【0024】
一般式IIの化合物と一般式IIIの化合物との間の反応は、好ましくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンなどの好適な反応媒体中で実施される。反応温度および反応時間は広範囲にわたって変動させることができる。この温度は好ましくは周囲温度、すなわち約25℃および反応媒体の沸点の範囲内に維持される。好適な反応時間は広範囲にわたって変動させることができ、すなわち数分から数時間まで変動させることができる。
【0025】
Rが活性カルボニル基を表す一般式IIの他の化合物としては、限定するものではないが、酸塩化物、無水物、混合無水物、アルキルエステル、好ましくはC14アルキルエステル、または活性化エステル、例えばp−ニトロ−フェニルエステルが挙げられる。
【0026】
一般式IIの活性化化合物が酸塩化物である場合、これは、好ましくは当業者に周知である従来方法、例えば、遊離のカルボン酸の形態のそれぞれの一般式IIの化合物を塩化チオニルまたは塩化オキサリルと反応させることによって調製され、この塩素化剤は、反応媒体として使用することもできるし、場合により少なくとも1種類の他の反応媒体との混合物中にあってもよい。他の好適な反応媒体としては、限定するものではないが、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、または四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素、またはジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、またはジメトキシエタンなどのエーテル、または2種類以上のこれら上記の化合物の混合物が挙げられる。好適な反応温度および反応時間は広範囲で変動させることができ、例えば、0℃から反応媒体の沸点まで、および数分から数時間までとすることができる。
【0027】
一般式IIの酸塩化物と一般式IIIのアゼチジン化合物との反応は、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基の存在下、および/またはトリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基の存在下で、好適な反応媒体中、例えばベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、または四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素、またはジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、またはジメトキシエタンなどのエーテル、または2種類以上のこれら上記の化合物の混合物の中で実施される。上記反応は、1種類以上の上記化合物と水とを主成分とする反応媒体中の二相系で実施することもできる。
【0028】
一般式IIの化合物が酸塩化物の形態で存在し、一般式IIIの化合物がアゼチジン環の3位で1または2個のヒドロキシル基で置換されている場合、酸塩化物と上記アルコール基との間でも反応が起こり得ることが当業者であれば理解できるであろう。この場合、一般式Iの化合物は、好適な塩基、好ましくは水酸化リチウムを使用した、水性反応媒体中の反応によるそれぞれのエステルの選択的加水分解によって得ることができ、この反応媒体は、水相と部分的または完全に混和性である従来の有機溶媒を含むことができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなど、または好適なエーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンまたはジメトキシエタンを含むことができる。反応温度および反応時間は広範囲で変動させることができ、好ましくは−20℃から周囲温度、すなわち約25℃まで、および数時間から数日までとすることができる。
【0029】
一般式の活性化誘導体が混合無水物である場合、この化合物は、好ましくは、対応する遊離酸と、アルキルクロロホルメートまたはアリールクロロホルメート化合物とを、好ましくはトリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下、好適な反応媒体中で反応させることによって調製することができる。
【0030】
式中のAが−(C=O)−部分を表す一般式Iの化合物は、当業者に公知の少なくとも1種類の好適な還元剤を使用して、式中のAが−(CH2)−部分を表す対応する一般式Iの化合物に還元することができる。好ましい還元剤の1つは、水素化アルミニウムリチウムである。式中のAが−(C=O)−部分を表す一般式Iのそれぞれの化合物が、還元されやすい1つ以上の別の基を有する場合、これらも還元されるので、これらの基を保護する好適なステップが必要となる場合があることは当業者には理解できるであろう。
【0031】
この還元は、好ましくは、エーテル、好ましくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、またはジメトキシエタンなどの好適な反応媒体中で行われる。この反応温度および反応時間は広範囲で変動させることができ、例えば周囲温度、すなわち約25℃から反応媒体の沸点まで、および数分から数時間までとすることができる。
【0032】
一般式IVの化合物は、好ましくは一般式V
【化6】

(式中、R1〜R3は前出の意味を有する)の化合物を、ジホスゲンと、エーテル、好ましくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンなどの無水溶媒中で反応させることによって調製することができる。反応温度は広範囲で変動させることができ、好ましい温度範囲は−20℃から周囲温度、すなわち約25℃までであり、好適な反応時間は数分から数時間までで変動する。
【0033】
一般式IV化合物と一般式IIIの化合物との反応は、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基の存在下、好適な反応媒体中、例えばベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、または四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素、またはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、またはジメトキシエタンなどのエーテル、または少なくとも2種類のこれら上記の化合物の混合物の中で実施することができる。反応温度および反応時間は広範囲で変動させることができ、好ましくは0℃から反応媒体の沸点まで、および数分から数時間までである。
【0034】
一般式IIIの置換アゼチジン化合物は、従来技術に記載される従来方法によって調製することができ、そのような方法は、例えば、V.R.Gaertner,J.Org.Chem.,1967,32,2972;A.G.Andersonら,J.Org.Chem.,1972,37,3953;N.H.Cromwellら,Chem.Rev.,1979,79,331−358;D.Nisatoら,J.Heterocyclic Chem.,1985,22,961−963;A.P.Kozikowskiら,Synlett,1991,783−784;J.Frigolaら,J.Med.Chem.,1993,36,801−810;J.Frigolaら,J.Med.Chem.,1994,37,4195−4210;J.Frigolaら,J.Med.Chem.,1995,38,1203−1215;M.Pochら,Tetrahedron Letters,1993,34(48),7781−7784;M.Pochら,Tetrahedron Letters,1991,32(47),6935−6938;T.Todaら,Heterocycles,1992,33,511−514;R.H.Higginsら,J.Org.Chem.,1994,59,2172−2178;J.Barluengaら,J.Org.Chem.,1997,62,5974−5977;米国特許第5,073,646号明細書、およびそれらに記載される参考文献に記載される。これらの説明の各部分は本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0035】
さらに別の態様においては、本発明は、一般式(I)の置換アゼチジン化合物の塩、またはその立体異性体を調製する方法であって、少なくとも1つの塩基性基を有する少なくとも1種類の一般式(I)の化合物と、少なくとも1種類の無機酸および/または有機酸とを、好ましくは好適な反応媒体の存在下で反応させる方法も提供する。好適な反応媒体としては、例えば前述のいずれかの反応媒体が挙げられる。好適な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸が挙げられ、好適な有機酸は、例えばクエン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、またはそれらの誘導体、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、またはショウノウスルホン酸である。
【0036】
さらに別の態様においては、本発明は、一般式(I)の置換アゼチジン化合物の塩、またはその立体異性体を調製する方法であって、少なくとも1つの酸性基を有する少なくとも1種類の一般式(I)の化合物と、1種類以上の好適な塩基とを、好ましくは好適な反応媒体の存在下で反応させる方法も提供する。好適な塩基は、例えば水酸化物、炭酸塩、またはアルコキシドであり、これらは、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属から誘導される好適な陽イオン、または有機陽イオン、例えば[NHn4-n+を含み、式中、nは0、1、2、3、または4であり、Rは分岐または非分岐のC14−アルキル基を表す。好適な反応媒体は、例えば前述のいずれかの反応媒体である。
【0037】
一般式(I)の置換アゼチジン化合物、対応する立体異性体、またはそれらの対応する塩の溶媒和物、好ましくは水和物も、当業者に公知の標準的手順によって得ることができる。
【0038】
本発明の一般式(I)の置換アゼチジン化合物、対応する立体異性体、またはそれらの塩、または溶媒和物、またはあらゆる中間体の精製および単離は、必要であれば、当業者に公知の従来方法、例えばクロマトグラフィー法または再結晶によって実施することができる。
【0039】
一般式(I)の置換アゼチジン化合物自体が立体異性体の混合物、特にエナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物の形態で得られる場合、これらの混合物は、当業者に公知の従来方法、例えばキラル試薬を使用するクロマトグラフィー法または分別晶出によって分離することができる。立体選択的合成によって純粋な立体異性体を得ることも可能である。
【0040】
一般式(I)の置換アゼチジン化合物、それらの立体異性体、それらの対応する塩、および対応する溶媒和物は、毒物学的に許容され、したがって薬剤の調製のための薬剤活性物質として好適である。
【0041】
驚くべきことに、前出の一般式Iの置換化合物、それらの立体異性体、対応する塩、および対応する溶媒和物は、シクロオキシゲナーゼ−1および/またはシクロオキシゲナーゼ−2の阻害を示すことが分かった。
【0042】
したがって、別の態様において、本発明は、前出の一般式Iの少なくとも1種類の置換アゼチジン化合物であって、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物と、場合により1種類以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む薬剤に関する。
【0043】
好ましくは、本発明の薬剤は、シクロオキシゲナーゼ−1の阻害、シクロオキシゲナーゼ−1関連疾患の予防および/または治療、シクロオキシゲナーゼ−2の阻害、および/またはシクロオキシゲナーゼ−2関連疾患の予防および/または治療に好適である。
【0044】
特に好ましくは本発明の薬剤は、疼痛の予防および/または治療、炎症の予防および/または治療、および/または炎症関連疾患であって、関節炎、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染が関連する症状、感冒、腰痛、頚痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、浮腫、歯科処置後の炎症、歯科処置後の炎症、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキンス病、強皮症、I型糖尿病、重症筋無力症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、過敏症、結膜炎、外傷後の腫脹、および心筋虚血からなる群より好ましくは選択することができる炎症関連疾患の予防および/または治療、喘息の予防および/または治療、気管支炎の予防および/または治療、腱炎の予防および/または治療、滑液包炎の予防および/または治療、皮膚関連症状であって、乾癬、湿疹、熱傷、および皮膚炎からなる群より好ましくは選択することができる皮膚関連症状の予防および/または治療、胃腸疾患であって、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群および潰瘍性大腸炎からなる群より好ましくは選択することができる胃腸疾患の予防および/または治療、または発熱の治療、または癌または癌関連疾患であって、脳腫瘍、骨癌、上皮細胞由来の新形成(上皮癌)、基底細胞癌、腺癌、消化管癌、口唇癌、大腸癌、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、扁平上皮癌、前立腺癌、腎細胞癌および身体全体の上皮細胞に作用する他の公知の癌からなる群より好ましくは選択することができる癌または癌関連疾患の予防および/または治療、ポリープの予防および/または治療、血管形成が介在する疾患であって、転移、角膜移植片拒絶、眼の新生血管形成、網膜の新生血管形成、糖尿病性網膜症、水晶体後線維増殖症、血管新生緑内障、胃潰瘍、小児血管腫、鼻咽頭の血管線維腫、骨の虚血壊死、および子宮内膜症からなる群より好ましくは選択される血管形成が介在する疾患の予防および/または治療に好適である。
【0045】
最も好ましくは、本発明の薬剤は、疼痛の予防および/または治療、炎症の予防および/または治療、および/または炎症関連疾患であって、関節炎、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染が関連する症状、感冒、腰痛、頚痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、浮腫、歯科処置後の炎症、歯科処置後の炎症、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキンス病、強皮症、I型糖尿病、重症筋無力症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、過敏症、結膜炎、外傷後の腫脹、および心筋虚血からなる群より好ましくは選択することができる炎症関連疾患の予防および/または治療に好適である。
【0046】
さらに別の態様において、本発明は、シクロオキシゲナーゼ−1を阻害するため、シクロオキシゲナーゼ−1関連疾患の予防および/または治療のため、シクロオキシゲナーゼ−2を阻害するため、および/またはシクロオキシゲナーゼ−2関連疾患の予防および/または治療のための薬剤を調製するための、前出の一般式Iの少なくとも1種類の置換アゼチジン化合物であって、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物と、場合により1種類以上の薬学的に許容される賦形剤との組み合わせの使用に関する。
【0047】
疼痛の予防および/または治療のため、炎症の予防および/または治療のため、および/または炎症関連疾患であって、関節炎、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染が関連する症状、感冒、腰痛、頚痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、浮腫、歯科処置後の炎症、歯科処置後の炎症、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキンス病、強皮症、I型糖尿病、重症筋無力症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、過敏症、結膜炎、外傷後の腫脹、および心筋虚血からなる群より好ましくは選択することができる炎症関連疾患の予防および/または治療のため、喘息の予防および/または治療のため、気管支炎の予防および/または治療のため、腱炎の予防および/または治療のため、滑液包炎の予防および/または治療のため、皮膚関連症状であって、乾癬、湿疹、熱傷、および皮膚炎からなる群より好ましくは選択することができる皮膚関連症状の予防および/または治療のため、胃腸疾患であって、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群および潰瘍性大腸炎からなる群より好ましくは選択することができる胃腸疾患の予防および/または治療のため、または発熱の治療のため、または癌または癌関連疾患であって、脳腫瘍、骨癌、上皮細胞由来の新形成(上皮癌)、基底細胞癌、腺癌、消化管癌、口唇癌、大腸癌、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、扁平上皮癌、前立腺癌、腎細胞癌および身体全体の上皮細胞に作用する他の周知の癌からなる群より好ましくは選択することができる癌または癌関連疾患の予防および/または治療のため、ポリープの予防および/または治療のため、血管形成が介在する疾患であって、転移、角膜移植片拒絶、眼の新生血管形成、網膜の新生血管形成、糖尿病性網膜症、水晶体後線維増殖症、血管新生緑内障、胃潰瘍、小児血管腫、鼻咽頭の血管線維腫、骨の虚血壊死、および子宮内膜症からなる群より好ましくは選択される血管形成が介在する疾患の予防および/または治療のための薬剤を調製するための、前出の一般式Iの少なくとも1種類の置換アゼチジン化合物であって、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物と、場合により1種類以上の薬学的に許容される賦形剤との組み合わせの使用が特に好ましい。
【0048】
疼痛の予防および/または治療のため、炎症の予防および/または治療のため、および/または炎症関連疾患であって、関節炎、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染が関連する症状、感冒、腰痛、頚痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、浮腫、歯科処置後の炎症、歯科処置後の炎症、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキンス病、強皮症、I型糖尿病、重症筋無力症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、過敏症、結膜炎、外傷後の腫脹、および心筋虚血からなる群より好ましくは選択することができる炎症関連疾患の予防および/または治療のため薬剤を調製するための、前出の一般式Iの少なくとも1種類の置換アゼチジン化合物であって、場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物と、場合により1種類以上の薬学的に許容される賦形剤との組み合わせの使用が最も好ましい。
【0049】
本発明による薬剤は、ヒトおよび/または動物、乳児、小児、および成人を含めた好ましくはヒトに使用するためのあらゆる好適な形態であってよく、当業者には周知の標準的手順によって製造することができる。薬剤の組成は投与経路に依存して変化させることができる。
【0050】
本発明の薬剤は、例えば、水または好適なアルコールなどの従来の注射用液体担体と組み合わせて非経口投与をすることができる。安定座、可溶化剤、および緩衝剤などの従来の注射用医薬品賦形剤をこのような注射組成物中に含めることができる。これらの薬剤は、例えば筋肉注射、腹腔内注射、または静脈注射を行うことができる。
【0051】
本発明による薬剤は、固体または液体の形態の1種類以上の生理学的に適合性の担体または賦形剤を含有する経口投与組成物中に配合することもできる。これらの組成物は、結合剤、充填剤、潤滑剤、および許容される湿潤剤などの従来成分を含有することができる。この組成物は、速放性または徐放性の、錠剤、ペレット、顆粒、カプセル、ロゼンジ、水性または油性の液剤、懸濁剤、乳剤、または使用前に水または他の好適な液体媒体を使用して再構成するのに好適な乾燥粉末形態などのあらゆる従来の形態をとることができる。
【0052】
経口投与形態の液体は、甘味料、着香料、保存剤、および乳化剤などの好適な添加剤を含有することもできる。食用油を含有する経口投与用非水性液体組成物を処方することもできる。このような液体組成物は、例えば、単位投与量のゼラチンカプセル中に好都合に封入することができる。
【0053】
本発明の組成物は、局所投与、または坐剤による投与も可能である。
【0054】
ヒトまたは動物の1日投与量は、それぞれの種が基本的に有する要因、または年齢、性別、体重、または疾患の程度などの他の要因に依存して変動させることができる。ヒトの1日投与量は、好ましくは、1日に1回または数回摂取する間に投与される有効成分を1〜2000mg、好ましくは1〜1500mg、より好ましくは1〜1000mgの範囲とすることができる。
【0055】
(薬理学的方法)
(I.Cox−1/Cox−2酵素アッセイ)
本発明のアゼチジン化合物に対して、以下の説明に従ってCox−1/Cox−2酵素アッセイを実施する。
【0056】
約390単位のCox−1またはCox−2酵素(米国ミシガン州アンハーバーのケイマン・ケミカル(Cayman Chemical,Ann Habor,Michigan)、それぞれのカタログ番号60100および60120)を、200〜300μlのトリスHCl(Tris HCl)(100mM)、ヘマチン(1mM)、およびフェノール(2mM)緩衝液、および色原体としての200mlエピネフリン(5.8mM)の中に懸濁させる。試験化合物を、60μlの体積のジメチルホルムアミド中または0.1N水酸化ナトリウム中に溶解させる。各酵素反応の全体積は0.6mlである。反応混合物中の賦形剤濃度が5%(体積/体積)を超えないように注意する。反応媒体を37℃で4分間インキューベートした後、100μlの0.5mMアラキドン酸を基質として加える。
【0057】
基質を加えた直後に、480nmにおける光学密度の増加に対応する傾きを1分間記録する。この反応をヒューレット・パッカード(Hewlett−Packard)8452A分光光度計で監視する。
【0058】
(II.ヒト全血中のCox−1−およびCox−2−活性の測定)
刊行物のC.Brideauら,「A human whole blood assay for clinical evaluation of biochemical efficacy of cyclooxygenase inhibitors」,Inflamm Res 1996;45:68−74に記載されている方法を修正したものに従って、ヒト全血中のCox−1−およびCox−2−活性を測定する。それぞれの説明部分は本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0059】
Cox−1活性測定の場合、新しいヒト血液の体積0.5mlをシリコーンエッペンドルフ(Eppendorf)管に入れ、これに最終濃度0.4%(体積/体積)で2μlの試験化合物またはジメチルスルホキシド(DMSO)を加える。均一にするためこの管を反転させ、穏やかに撹拌しながら37℃で1時間インキュベートする。その後、10500gで15分間遠心分離して、100μlの血清を回収する。各管に400μlのメタノールを加えてタンパク質を沈殿させ、5000gで10分間管を遠心分離しおよび300μlの上澄みを吸引し、続いて窒素雰囲気で乾燥させた。
【0060】
アッセイキット(米国ミシガン州アナーバーのケイマン・ケミカル(Caymann Chemical,Ann Arbor,Michigan)、カタログ番号519031)を使用し、このアッセイキット中に加えた300μlのアッセイバッファー中で再構成させた後、トロンボキサンB2(TXB2)濃度を定量する。
【0061】
Cox−2活性測定の場合、2μlの試験化合物またはDMSO、12μg/mlのアスピリン、9μlの1%(重量/体積)ヘパリンナトリウム、および0.5mlの新しいヒト血液を加えた管を用意する。試料を37℃で15分間プレインキュベートして、E.coli 0111:B4 LPS(米国ミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル(Sigma Chemical,St.Louis,Missouri)、カタログ番号L−3012)を加えて37℃で24時間インキュベートする。この試料を遠心分離して、100μlの血漿を回収する。400μlの酢酸エチルおよび1%(体積/体積)のメタノールを各試料に加え、管を撹拌し、4℃において5000gで10分間遠心分離する。300μlの上澄みを吸引し、窒素雰囲気下で蒸発させる。米国ミシガン州アナーバーのケイマン・ケミカルアッセイキット(カタログ番号514010)を使用し、このアッセイキット中に加えた300μlのアッセイバッファー中で再構成させた後、プロスタグランジンE2濃度を定量する。
【0062】
(III:ラットにおける鎮痛試験)
本発明の化合物の前述のような鎮痛作用の試験を、刊行物のK.Hargreavesら,Pain,32,77−88,(1988)に記載されているように実施する。それぞれの説明部分は、本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0063】
ラットを実験室に移し、食糞を防止するための格子状の床を有するマクロロン(makrolon)ケージに5匹ずつの群を入れたままにしておく。実験開始時に、水および餌を取り出し、動物を適切に秤量し、標識を付けた。
【0064】
各ラットに0.1mlの滅菌食塩水を左後足の裏に注射し、続いて滅菌食塩水中2%(重量/体積)カラギーナン懸濁液0.1mlを右後足に注射する。
【0065】
カラギーナンおよび賦形剤を足裏に注射してから2時間後、各ラットに、5%(重量/体積)アラビアゴム中に懸濁させた試験化合物を、10ml/体重kgで経口投与する。試験化合物の投与から2時間後、鎮痛活性の値を測定する。このために、ラットを、ガラス製床が取り付けられた無痛覚計のメタクリレートチャンバーに移す。このチャンバー内での順化時間が経過してから(すなわち5分後)、熱刺激を発生させることができる赤外ビームランプをラットの足の下に配置する。
【0066】
あらかじめ10アンペアに較正しておいた熱刺激を、少なくとも1分間隔で各後足に与える。疼痛に対するラットの応答は、足を持ち上げて床に接触しないようにすることからなる。同時に、赤外光を自動的に弱め、潜伏時間は装置のデジタルディスプレイに秒の単位で示される。学習挙動の可能性を回避するために、ラットの試験は1回のみとする。
【0067】
(IV.ラットの浮腫に対する活性の試験)
浮腫に対する活性の試験を、刊行物のWinterら,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.111,544−547,(1962)に記載されているように実施する。それぞれの説明部分は本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0068】
各実験セッションの開始時に、ラットを絶食させ、ケージ内に5匹以内の群で維持し、このケージには、食糞を防止するため床の上に格子を取り付ける。絶食24時間後、動物に好適な標識を付け、秤量し、30ml/kg体重の水道水の経口投与により水分補給する。水分補給から半時間後、5%(重量/体積)におけるアラビアゴム中の懸濁液として10ml/kg体重の量で試験化合物を経口経路で投与する。化合物投与から1時間後、ラットの右後足裏に0.1mlの炎症発生物質(滅菌溶液中カラギーナン1%(重量/体積))を注射する。カラギーナンの注射直後に、注射した足の容積を足容積測定装置を使用して求める。読取値はmlの単位で表される。足容積の読取値を、カラギーナンの投与後1時間ごとに7時間行う。
【0069】
(V:ラットにおける抗関節炎活性の試験)
抗関節炎活性試験を、刊行物のAndersonら,J.Clin.Invest.97,11、2672−2679、(1996)に記載されているように実施する。それぞれの説明部分は本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0070】
実験第0日において、注射される足と対側性の足、すなわち左後足の容積を足容積測定装置で測定し、その読取値をmlの単位で表す。
【0071】
次に各ラットに、0.1mlの鉱油中に浮遊させた1mgのMycobacterium butyricumからなるアジュバントを右後足の裏から注射する。
【0072】
アジュバント注射からほぼ毎日で15日間、注射していない後足(対側性)の測定を再び行う。第15日に、アジュバント注射日と比較して対側性の足が少なくとも0.42mlの増加を示したラットを選択し、増加量の少ない動物は、炎症が十分な大きさであるとは見なされないので処分する。
【0073】
実験の第15日に、試験化合物の経口経路による連日投与を開始し、毎日、注射をしていない後足の容積を記録する。
【0074】
実験の第25日に、体重および注射をしていない後足(対側性)の容積の最後の測定を行い、これらの値を使用して活性を求めた。
【0075】
(VI:ラットの炎症性滲出液および胃粘膜におけるPGE2産生)
ラットの炎症性滲出液および胃粘膜におけるPGE2産生を、刊行物のO Tofanettiら,「Effect of nimesulide on cyclo−oxygenase activity in rat gastric mucosa and inflammatory exudate」,Med Sci Res 17,745−746(1989)に記載されるように実施する。それぞれの説明部分は本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0076】
この文献では、約200g(それぞれ約6週齢)の6匹のオスのウィスターラット(バルセロナ(Barcelona)のInterfauna−St Feliu de Codines)を使用している。試験化合物は、5%(重量/体積)におけるアラビアゴム中、10ml/kgの割合で、経口経路で投与される。
【0077】
化合物投与から1時間後、ハロセン麻酔下で、各ラットに、肩甲骨間の領域に、カラギーナンの0.5%懸濁液を浸した40×15×5mmのポリエステルスポンジを皮下埋め込みする。埋め込みから6時間後にラットを屠殺し、スポンジを取り出して絞る。滲出液を回収し、6000×Gで15分間遠心分離する。
【0078】
ラットの胃を摘出し、下にある層から胃粘膜を引き離し、直径10mmのダイによって、胃体と幽門洞との間の領域から粘膜試料を採取する。粘膜PGE2を抽出する。炎症性滲出液および胃粘膜からのPGE2濃度は、米国ミシガン州アナーバーのケイマン・ケミカル(Cayman Chemical,Ann Arbor,Michigan)のキット(カタログ番号514010)のイムノアッセイ試薬によって、製造元の説明書に従って測定する。
【0079】
実施例を使用して以下に本発明を説明する。これらの説明は単なる例として提供しており、本発明の全体的な意図を限定するものではない。
【実施例】
【0080】
実施例1:
((3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノンの合成)
a)3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイルクロライド
【化7】

3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−安息香酸(16.6g、66.3mmol)をクロロホルム(150ml)中に溶解させ、塩化チオニル(10ml、約139mmol)を加えた。得られた混合物を9時間還流して、室温(約25℃)まで冷却し、減圧下で蒸発乾固させた。17.6g(理論収量の99%)の3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイルクロライドが黄色固体として得られ、これを精製することなく次の反応ステップに使用した。
【0081】
IR(KBr、cm-1):3555、2958、1736、1125。
【0082】
b)(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン
【化8】

アゼチジン−3−オール塩酸塩(2g、18.3mmol)を5%(重量/重量)(45ml)の水酸化ナトリウム水溶液中に溶解させ、得られた溶液を−5℃まで冷却し、激しく撹拌しながら、ステップ(a)で得られた3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイルクロライド(5.4g、20mmol)を8mlのTHF中に溶解させたものを加えた。続いて、冷却浴を取り外し、反応混合物を室温(約25℃)まで温め、これらの条件下でさらに1時間撹拌した。次に反応混合物をジエチルエーテルで数回抽出し、そのエーテル相を1つにまとめ、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させると1.9gの粗生成物が得られ、これを酢酸エチル−石油エーテルから結晶化させる。1.6g(理論収量の30%)の(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノンを結晶形態で得た。
【0083】
融点=185−189℃。
IR(KBr、cm-1):3506、3262、2956、1611、1572、1449、1421、1406、1113。
1H−NMR(CDCl3、δ):1.43(s、18H)、2.8(bs、1H)、4.0〜4.2(m、2H)、4.45(m、2H)、4.7(m、1H)、5.5(s、1H)、7.5(s、2H)。
【0084】
実施例3:
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−3−メチル−アゼチジン−1−イル)−メタノン
【化9】

3−メチル−アゼチジン−3−オール塩酸塩(0.6g、4.84mmol)をテトラヒドロフラン(50ml)中に懸濁させ、トリエチルアミン(1.2ml)を加えた。混合物を室温(約25℃)で30分撹拌し、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸(1.26g、5.1mmol)を一度に加え、その混合物を0℃まで冷却した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(1g、4.84mmol)のテトラヒドロフラン(27ml)中の溶液を加えた。次にこの反応混合物を3.5時間加熱還流し、冷却して、不溶性固体を濾過した。ロータベーパー(rotavapor)を使用して濾液を濃縮し、残留した固体を酢酸エチル中に溶解させ、水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。得られた粗生成物をジエチルエーテルから結晶化させると1.14g(理論収量の73%)の(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−3−メチル−アゼチジン−1−イル)−メタノンが得られる。
【0085】
融点=148〜153℃。
IR(KBr、cm-1):3497、3274、2963、1612、1598、1415、1235、1120。
1H−NMR(CDCl3、δ):1.4(s、18H)、1.5(s、3H)、3.9(s、1H)、4.1(m、3H)、4.3(m、1H)、5.5(s,1H),7.5(s,2H)。
【0086】
実施例15:
([1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−アゼチジン−3−イル]−N−ヒドロキシ−尿素の合成)
(a)[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−アゼチジン−3−イル]−N−ヒドロキシ−カルバミン酸フェニルエステル
【化10】

1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−アゼチジン−3−オール(2.27g、7.8mmol)、N,Oビス−(フェノキシカルボニル)ヒドロキシルアミノ(2.36g、8.58mmol)(A.O.スチュアート(Stewart)およびD.W.Brooks,J.Org.Chem.,57(18),1992,5020−5023に記載の方法により調製した。それぞれの説明部分は本明細書の記載の一部をなすものとする)、およびトリフェニルホスフィン(2.45g、9.36mmol)を、80mlの無水テトラヒドロフラン中に溶解させた。この反応混合物を窒素雰囲気下で0℃まで冷却し、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(1.84ml、9.36mmol)の溶液を滴下し、その混合物を0℃で1時間撹拌した。続いて、その混合物を室温まで温め、終夜撹拌した。ロータベーパーにより減圧下で溶媒を除去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:CHCl3)で精製した。ジエチルエーテルから結晶化させて、1.53g(理論収量の46%)の所望の生成物を161〜163℃の融点を有する白色固体として得た。
【0087】
IR(KBr、cm-1):3540、3420、2958、1720、1440、1198、760。
1H−NMR(CDCl3、δ):1.4(s、18H)、3.5(t、2H)、3.6(m+s、4H)、4.75(m、1H)、5.2(bs,1H)、7.05(m、3H)、7.25(d、1H)、7.3(m、3H)。
【0088】
(b)[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−アゼチジン−3−イル]−N−ヒドロキシ−尿素
【化11】

ステップ(a)により得られた生成物(1.53g、3.6mmol)を50mlのメタノール中に溶解させ、その溶液を窒素雰囲気下で−78℃まで冷却した。5.4mlのNH3を−78℃において12.7mlのメタノール中に凝縮させた溶液を加え、その混合物を室温まで温め、密封反応器中でこの温度で撹拌し、2時間後、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって反応の進行を制御した。未反応出発生成物が検出されれば、さらにNH3を加えることができ、この反応を終夜撹拌して維持した。ロータベーパーを使用してこの溶液を濃縮し、その未精製材料を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:クロロホルム/メタノール95:5(体積/体積)で精製して、90〜95℃の融点を有する0.58gの所望の生成物(理論収量の47%)を得た。
【0089】
IR(KBr、cm-1):3650、3494、3338、2903、1656、1569、1431、1363、1213。
1H−NMR(CDCl3、δ):1.4(s、18H)、3.5(m、4H)、3.6(s、2H)、4.8(m、1H)、5.2(bs、1H)、5.6(bs、2H)、7.0(s、2H)。
【0090】
実施例16:
((2S,3R)−N−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)−2−メチル−アゼチジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミドの合成)
a)3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイルクロライド
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイルクロライドを、実施例1のステップ(a)に従って調製した。
【0091】
b)N−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)−(2S,3R)−2−メチル−アゼチジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド
【化12】

(2S,3R)−2,2,2−トリフルオロ−N−(2−メチル−アゼチジン−3−イル)−アセトアミド(1.04g、4.74mmol)塩酸塩をジクロロメタン(30ml)中に溶解させ、トリエチルアミン(2.7ml)を加え、その混合物を室温で10分間撹拌し、0℃まで冷却し、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイルクロライド(1.16g、4.3mmol)のジクロロメタン(20ml)中の溶液を加えた。この反応混合物を室温で終夜撹拌した後、氷上に注ぎ、相を分離させ、その水相をジクロロメタンで抽出し、有機相をまとめたものを硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて、1.42g(理論収量の80%)のN−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)−(2S,3R)−2−メチル−アゼチジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミドを得た。
【0092】
IR(KBr、cm-1):2967、1722、1618、1560、1420、1225、1187、1160。
1H NMR(CDCl3、δ):1.4(s、18H)、1.5(s、3H)、4.3(m、2H)、4.7(m、2H)、5.5(s、1H)、7.3(s、2H).9.0(d、1H)。
【0093】
実施例17:
(1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−アゼチジン−3−オールの合成)
【化13】

水素化アルミニウムリチウム(1.35g、36.7mmol)の無水テトラヒドロフラン(60ml)中の懸濁液を0℃まで冷却し、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン(1.78g、6.12mmol)の無水テトラヒドロフラン(40ml)中の溶液を加えた。冷却浴を取り外し、混合物を室温で終夜撹拌した後、5時間加熱還流した。次に、混合物を0℃まで冷却し、塩化アンモニウム飽和溶液を加えて過剰の還元剤を除去した。その混合物を濾過し、ロータベーパーを使用して濾液を蒸発乾固させた。その残留物をジエチルエーテル中に溶解させ、得られた溶液を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ロータベーパーで蒸発乾固させた。得られた未精製固体をクロロホルム/石油エーテルから結晶化させて、139〜142℃の融点を有する1.33g(理論収量の75%)の所望の生成物を得た。
【0094】
IR(KBr、cm-1):3513、3331、3076、2956、1434、1360、1162、788。
1H NMR(CDCl3、δ):1.4(s、18H)、2.7(bs、1H)、2.9(dd、2H)、3.5(s、2H)、3.6(dd、2H)、4.4(m、1H)、5.1(s、1H)、7.0(s、2H)。
【0095】
実施例19:
(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−カルボン酸3,5−ジ−tert−ブチル−フェニルエステルの合成)
(a)3,5−ジ−tert−ブチル−フェニルクロロホルメート
【化14】

3,5−ジ−tert−ブチル−フェノール(3.6g、17.4mmol)のテトラヒドロフラン30ml中の溶液を0℃まで冷却し、トリクロロメチルクロロホルメート(2.9ml、22.56mmol)のテトラヒドロフラン20ml中の溶液を加えた。冷却浴を取り外し、混合物を室温で終夜撹拌した。こうして得られた溶液を次のステップで使用した。
【0096】
(b)3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−カルボン酸3,5−ジ−tert−ブチル−フェニルエステル
【化15】

3−アゼチジノール塩酸塩(2.47g、22.62mmol)をテトラヒドロフラン(30ml)中に懸濁させ、トリエチルアミン(19ml)を加え、その混合物を30分間加熱還流した。次にその混合物を室温まで冷却し、ステップ(a)によるクロロホルメートの溶液をカニューレからゆっくりと加えた。その反応混合物を終夜加熱還流し、冷却し、濾過した。ロータベーパーを使用してその濾液を蒸発乾固させ、その残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:酢酸エチル:石油エーテル3:7(体積/体積))で精製した。0.83gの3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−カルボン酸3,5−ジ−tert−ブチル−フェニルエステルが166〜70℃の融点を有する白色固体の形態で得られた。
【0097】
IR(KBr、cm-1):3481、2962、1700、1612、1400。
1H NMR(CDCl2、δ):1.3(s、18H)、2.7(m、1H)、4.0(m、2H)、4.3(m、2H)、4.6(m、1H)、6.9(s、2H)、7.3(s、1H)。
【0098】
実施例2および11の化合物は、実施例1に記載の方法に従って調製した。実施例4、7、9、10、12、13、17、および18の化合物は実施例3に記載の方法に従って調製した。実施例14の化合物は、J.M.Januszら,J.Med.Chem.,1998,41(7),1112−1123に記載の方法と同様にして調製した。上記の説明部分は本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0099】
実施例1〜4、7、および9〜19の化合物、ならびに分光分析データを以下の表1および2に示す。
【0100】
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【0101】
【表2A】

【表2B】

【0102】
(薬理学的データ)
(I.Cox−1/Cox−2酵素アッセイ)
本発明のアゼチジン化合物のCox−1/Cox−2酵素アッセイを前述のように実施した。一部の本発明の化合物の酵素阻害の値を以下の表Iに示す。
【0103】
【表3】

【0104】
(II.ヒト全血におけるCox−1−およびCox−2−活性の測定)
ヒト全血におけるCox−1−およびCox−2−活性の測定を前述のように測定する。一部の本発明の化合物の値を以下の表IIに示す。
【0105】
【表4】

【0106】
(III:ラットにおける鎮痛試験)
本発明の化合物の鎮痛活性試験を前述のように実施した。一部の本発明の化合物の値を以下の表IIIに示す。
【0107】
【表5】

【0108】
(IV.ラットの浮腫に対する活性の試験)
浮腫に対する活性の試験を前述のように実施した。一部の本発明の化合物の値を以下の表IVに示す。
【表6】

【0109】
(V:ラットにおける抗関節炎活性の試験)
抗関節炎活性試験を前述のように実施した一部の本発明の化合物の値を以下の表Vに示す。
【0110】
【表7】

【0111】
(VI:ラットの炎症性滲出液および胃粘膜におけるPGE2産生)
ラットの炎症性滲出液および胃粘膜におけるPGE2産生を前述のように実施した。一部の本発明の化合物の値を以下の表VIに示す。
【0112】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

(式中、
Aは、−C=O−部分、−CH2−部分、カルボニル炭素原子を介してアゼチジン環に結合した−CH2−C=O−部分、またはカルボニル炭素原子を介してアゼチジン環に結合した−O−C(=O)−部分を表し、
1、R3は、同一または異なって、水素原子、または線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和のC14−脂肪族基を表し、
2は、水素原子、ヒドロキシル基、またはC13−アルコキシ基を表し、
または、R1およびR2を合わせたもの、またはR2およびR3を合わせたものが−O−CH2−CH2−鎖を形成し、これは1つ以上のメチル基で場合により置換されており、
但し、R1、R2、およびR3が全く同様に水素原子を表すことはなく、Aが−CH2−部分を表す場合は、残基R1、R2、およびR3の少なくとも2つが全く同様に水素原子を表すことはなく、
4は、水素原子、場合により少なくとも一置換のアリール基、または、脂肪族基であって、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐または非分岐のC14−アルコキシ、分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルコキシ、および分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルキルからなる群より独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和の脂肪族基を表し、
5は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和で場合により少なくとも一置換の脂肪族基、−OR7−部分、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−R8−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、−O(CH214ONO2−部分、場合により少なくとも一置換のアリール基、またはカルボキシ−基を表し、
6は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和、場合により少なくとも一置換の脂肪族基、−OR9−部分、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−R10−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、場合により少なくとも一置換のアリール基、またはカルボキシ−基を表し、
7、R8、R9、R10は、互いに独立して、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和の場合により少なくとも一置換の脂肪族基を表し、
但し、
Aが−(C=O)−部分を表し、R4が水素原子を表し、残基R5およびR6の一方が水素原子を表す場合、これらの残基R5およびR6の他方が−NH2−部分、−CONH2−部分、および−NH2−部分かアザ複素環かで置換されたメチル基を表すことはなく、
Aが、−C=O−部分、そのカルボニル炭素原子を介して前記アゼチジン環に結合した−CH2−C=O−部分、またはそのカルボニル炭素原子を介して前記アゼチジン環に結合した−O−C(=O)−部分を表し、残基R5およびR6の一方が水素原子、または場合により少なくとも一置換の線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和の脂肪族基を表す場合、これらの残基R5およびR6の他方が−NH2−およびCOOH−部分を表すことはない)
の置換アゼチジン化合物であって、
場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物。
【請求項2】
1およびR3が、同一または異なって、水素原子、または線状もしくは分岐のC14−アルキル基を表すことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1およびR3が、同一であり、C14−アルキル基、好ましくはC34アルキル基、より好ましくはイソプロピル基またはtert−ブチル基を表すことを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
2が、水素原子、ヒドロキシル基、またはメトキシ基を表すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
4が、水素原子、場合により少なくとも一置換のフェニル基、または線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和のC16脂肪族基(前記脂肪族基は、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐または非分岐のC14−アルコキシ、分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルコキシ、ならびに分岐または非分岐のC14−パーフルオロアルキルからなる群より独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてよい)を表し、好ましくは水素原子、メチル基、または非置換フェニル基を表すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
5が、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和で場合により少なくとも一置換のC16脂肪族基、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−R8−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、−O(CH24−ONO2−部分、場合により少なくとも一置換のフェニル基、またはカルボキシ−基を表し、好ましくは水素原子、臭素原子、ヒドロキシル基、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−R8−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、−O(CH24−ONO2−部分、非置換フェニル基、またはカルボキシ−基を表すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
6が、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和で場合により少なくとも一置換のC16脂肪族基、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−R8−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、場合により少なくとも一置換のフェニル基、またはカルボキシ−基を表し、好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、またはメチル基を表すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
7、R8、R9、R10が、互いに独立して、線状もしくは分岐で飽和もしくは不飽和で場合により少なくとも一置換のC16脂肪族基を表し、好ましくは線状もしくは分岐で場合により少なくとも一置換のC16アルキル基を表し、より好ましくは場合により過フッ素化されたメチル基またはエチル基を表すことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
一般式I
【化2】

(式中、
Aが、−C=O−部分、−CH2−部分、そのカルボニル炭素原子を介して前記アゼチジン環に結合した−CH2−C=O−部分、またはそのカルボニル炭素原子を介して前記アゼチジン環に結合した−O−C(=O)−部分を表し、
1、R3が、どちらも全く同様に、線状もしくは分岐のC14−アルキル基、好ましくはイソプロピル基またはtert−ブチル基を表し、
2が、水素原子、ヒドロキシル基、または線状もしくは分岐のC14−アルコキシ基を表し、
または、R1およびR2を合わせたもの、またはR2およびR3を合わせたものが−O−CH2−C(CH32−鎖を形成し、前記鎖の酸素原子は前記フェニル環の4位に結合しており、
4が、水素原子、線状もしくは分岐のC14アルキル基、または非置換フェニル基を表し、
5が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシル基、−NH−CO−CF3−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、−O(CH24ONO2−部分、または非置換フェニル基を表し、
6が、水素原子、線状もしくは分岐のC14−アルキル基、またはヒドロキシル基を表す)
の請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物であって、
場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物。
【請求項10】
一般式I
【化3】

(式中、
Aが、−C=O−部分、−CH2−部分、そのカルボニル炭素原子を介して前記アゼチジン環に結合した−CH2−C=O−部分、またはそのカルボニル炭素原子を介して前記アゼチジン環に結合した−O−C(=O)−部分を表し、
1、R3が、どちらも全く同様に、イソプロピル基またはtert−ブチル基を表し、
2が、水素原子、ヒドロキシル基、またはメトキシ基を表し、
または、R1およびR2を合わせたものまたはR2およびR3を合わせたものが−O−CH2−C(CH32−鎖を形成し、前記鎖の酸素原子は前記フェニル環の4位に結合しており、
4が、水素原子、メチル基、または非置換フェニル基を表し、
5が、臭素原子、ヒドロキシル基、−NH2−部分、−CO−NH2−部分、−NH−CO−CF3−部分、−N(OH)−CO−NH2−部分、−O(CH24ONO2−部分、非置換フェニル基、またはカルボキシ−基を表し、
6が、水素原子、メチル基、またはヒドロキシル基を表す)
の請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物であって、
場合により、その立体異性体、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ化合物の中の1つの形態であるか、またはいずれかの混合比にあるその立体異性体、好ましくはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの少なくとも2つの混合物の形態である化合物、またはそれらの対応する塩、またはそれらの対応する溶媒和物。
【請求項11】
[1](3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[2](3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[3](3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−3−メチル−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[4](3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[7](3−ブロモ−アゼチジン−1−イル)−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−メタノン;
[9](3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[10](3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピル−フェニル)−メタノン;
[11](3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−[3−(4−ニトロオキシ−ブトキシ)−アゼチジン−1−イル]−メタノン;
[12](3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−2−フェニル−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[13](3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−(3−ヒドロキシ−3−フェニル−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[14](7−tert−ブチル−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル)−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−メタノン;
[15][1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−アゼチジン−3−イル]−N−ヒドロキシ−尿素;
[16]N−[1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾイル)−(2S,3R)−2−メチル−アゼチジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド;
[17]1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−アゼチジン−3−オール;
[18]2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−1−(3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−イル)−エタノン;
[19](3−ヒドロキシ−アゼチジン−1−カルボン酸)−3,5−ジ−tert−ブチル−フェニルエステル
からなる群より選択される請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物であって、
場合により対応する塩または対応する溶媒和物の形態である化合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の一般式Iの置換アゼチジン化合物の調製方法であって、一般式II
【化4】

(式中、R1〜R3は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の意味を有し、Xは、結合、または−(CH2)−部分を表し、Rは、カルボキシ基または活性カルボニル基を表す)の少なくとも1種類の化合物を、少なくとも1種類の一般式III
【化5】

(式中、R4〜R6は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の意味を有する)の化合物であって、場合により対応する塩の形態である化合物と反応させて、請求項1〜11のいずれか一項に記載の一般式Iの化合物であって、式中のAが、−(C=O)−部分または−(CH2)−CO−部分を表す化合物を生成し、これを場合により精製し、および/または場合により単離し、
さらに場合により、請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の一般式Iの化合物であって、式中のAが−(C=O)−部分を表す化合物を還元して、請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の一般式Iの化合物であって、式中のAが−(CH2)−部分を表す化合物を生成し、これを場合により精製し、および/または単離し、
または、一般式IV
【化6】

(式中、R1〜R3は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の意味を有する)の少なくとも1種類の化合物を、前記少なくとも1種類の一般式IIIの化合物と反応させて、請求項1〜10のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の一般式Iの化合物であって、式中のAがO−(C=O)−部分を表す化合物を生成し、前記化合物を場合により精製し、および/または場合により単離することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の置換アゼチジン化合物と、場合により1種類以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む薬剤。
【請求項14】
シクロオキシゲナーゼ−1を阻害するため、シクロオキシゲナーゼ−1関連疾患の予防および/または治療のため、シクロオキシゲナーゼ−2を阻害するため、および/またはシクロオキシゲナーゼ−2関連疾患の予防および/または治療のための請求項13に記載の薬剤。
【請求項15】
疼痛の予防および/または治療のため、炎症の予防および/または治療のため、および/または炎症関連疾患であって、関節炎、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染が関連する症状、感冒、腰痛、頚痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、浮腫、歯科処置後の炎症、歯科処置後の炎症、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキンス病、強皮症、I型糖尿病、重症筋無力症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、過敏症、結膜炎、外傷後の腫脹、および心筋虚血からなる群より好ましくは選択することができる炎症関連疾患の予防および/または治療のため、喘息の予防および/または治療のため、気管支炎の予防および/または治療のため、腱炎の予防および/または治療のため、滑液包炎の予防および/または治療のため、皮膚関連症状であって、乾癬、湿疹、熱傷、および皮膚炎からなる群より好ましくは選択することができる皮膚関連症状の予防および/または治療のため、胃腸疾患であって、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群および潰瘍性大腸炎からなる群より好ましくは選択することができる胃腸疾患の予防および/または治療のため、または発熱の治療のため、または癌または癌関連疾患であって、脳腫瘍、骨癌、上皮細胞由来の新形成(上皮癌)、基底細胞癌、腺癌、消化管癌、口唇癌、大腸癌、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、扁平上皮癌、前立腺癌、腎細胞癌および身体全体の上皮細胞に作用する他の公知の癌からなる群より好ましくは選択することができる癌または癌関連疾患の予防および/または治療のため、ポリープの予防および/または治療のため、血管形成が介在する疾患であって、転移、角膜移植片拒絶、眼の新生血管形成、網膜の新生血管形成、糖尿病性網膜症、水晶体後線維増殖症、血管新生緑内障、胃潰瘍、小児血管腫、鼻咽頭の血管線維腫、骨の虚血壊死、および子宮内膜症からなる群より好ましくは選択される血管形成が介在する疾患の予防および/または治療のための請求項13または14に記載の薬剤。
【請求項16】
疼痛の予防および/または治療のための請求項13〜15のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項17】
炎症の予防および/または治療のための請求項13〜15のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項18】
炎症関連疾患であって、関節炎、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染が関連する症状、感冒、腰痛、頚痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、浮腫、歯科処置後の炎症、歯科処置後の炎症、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキンス病、強皮症、I型糖尿病、重症筋無力症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、過敏症、結膜炎、外傷後の腫脹、および心筋虚血からなる群より好ましくは選択することができる炎症関連疾患の予防および/または治療のための請求項13〜15のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項19】
シクロオキシゲナーゼ−1を阻害するため、シクロオキシゲナーゼ−1関連疾患の予防および/または治療のため、シクロオキシゲナーゼ−2を阻害するため、および/またはシクロオキシゲナーゼ−2関連疾患の予防および/または治療用の薬剤を調製するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の置換アゼチジン化合物と、場合により1種類以上の薬学的に許容される賦形剤との使用。
【請求項20】
疼痛の予防および/または治療のため、炎症の予防および/または治療のため、および/または炎症関連疾患であって、関節炎、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染が関連する症状、感冒、腰痛、頚痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、浮腫、歯科処置後の炎症、歯科処置後の炎症、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキンス病、強皮症、I型糖尿病、重症筋無力症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、過敏症、結膜炎、外傷後の腫脹、および心筋虚血からなる群より好ましくは選択することができる炎症関連疾患の予防および/または治療のため、喘息の予防および/または治療のため、気管支炎の予防および/または治療のため、腱炎の予防および/または治療のため、滑液包炎の予防および/または治療のため、皮膚関連症状であって、乾癬、湿疹、熱傷、および皮膚炎からなる群より好ましくは選択することができる皮膚関連症状の予防および/または治療のため、胃腸疾患であって、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群および潰瘍性大腸炎からなる群より好ましくは選択することができる胃腸疾患の予防および/または治療のため、または発熱の治療のため、または癌または癌関連疾患であって、脳腫瘍、骨癌、上皮細胞由来の新形成(上皮癌)、基底細胞癌、腺癌、消化管癌、口唇癌、大腸癌、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、扁平上皮癌、前立腺癌、腎細胞癌および身体全体の上皮細胞に作用する他の公知の癌からなる群より好ましくは選択することができる癌または癌関連疾患の予防および/または治療のため、ポリープの予防および/または治療のため、血管形成が介在する疾患であって、転移、角膜移植片拒絶、眼の新生血管形成、網膜の新生血管形成、糖尿病性網膜症、水晶体後線維増殖症、血管新生緑内障、胃潰瘍、小児血管腫、鼻咽頭の血管線維腫、骨の虚血壊死、および子宮内膜症からなる群より好ましくは選択される血管形成が介在する疾患の予防および/または治療のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の置換アゼチジン化合物と、場合により1種類以上の薬学的に許容される賦形剤との使用。
【請求項21】
疼痛の予防および/または治療のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の置換アゼチジン化合物と、場合により1種類以上の薬学的に許容される賦形剤との使用。
【請求項22】
炎症の予防および/または治療のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の置換アゼチジン化合物と、場合により1種類以上の薬学的に許容される賦形剤との使用。
【請求項23】
炎症関連疾患であって、関節炎、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染が関連する症状、感冒、腰痛、頚痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫、挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、浮腫、歯科処置後の炎症、歯科処置後の炎症、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキンス病、強皮症、I型糖尿病、重症筋無力症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、過敏症、結膜炎、外傷後の腫脹、および心筋虚血からなる群より好ましくは選択することができる炎症関連疾患の予防および/または治療のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の置換アゼチジン化合物と、場合により1種類以上の薬学的に許容される賦形剤との使用。

【公表番号】特表2007−522181(P2007−522181A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552581(P2006−552581)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001657
【国際公開番号】WO2005/077896
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(500031124)ラボラトリオス・デル・ドクトル・エステベ・ソシエダッド・アノニマ (55)
【Fターム(参考)】