説明

システインプロテアーゼ阻害剤

【課題】優れたシステインプロテアーゼ阻害作用を有する化合物、及び骨粗鬆症、変形性骨関節症、慢性関節リウマチ、骨パジェット病、高カルシウム血症、癌の骨転移、及び骨痛からなる群から選ばれる疾患治療又は予防のための医薬を提供すること。
【解決手段】式(1)で表される化合物、もしくはその医学上許容される塩、又はそれらを有効成分として含有する医薬もしくは医薬組成物。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システインプロテアーゼ阻害活性(特にカテプシンK阻害活性)を有する新規化合物、及びその製造方法、ならびに該化合物を有効成分として含有するシステインプロテアーゼ阻害剤(特にカテプシンK阻害剤)に関する。特に、本発明は、骨粗鬆症、変形性骨関節症、慢性関節リウマチ、骨パジェット病、高カルシウム血症、癌の骨転移、もしくは骨痛の治療又は予防に有益な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会への急速な進行に伴い、寝たきり老人の数は増加の一途をたどっており、社会的及び経済的に大きな問題となっている。寝たきりとなる主要な原因としては、脳卒中、老衰、及び骨粗鬆症に起因する骨折が挙げられる。特に高齢期における骨折は治癒に長い期間を要することが多いため、療養中に体力が著しく低下して寝たきりになる可能性が高いと指摘されている。よって、これを予防、及び/又は治療することは、高齢者のQOL(生活の質)を維持しその向上を図る上でも重要な課題である。
【0003】
骨粗鬆症の病態は、骨量が減少して骨組織の微細な構造が変化することで、骨強度の減少と骨折リスクが増加することが特徴である。生体内で骨組織は、間葉系の骨芽細胞による骨形成と、造血系の破骨細胞による骨吸収とが相互に働くことで常にリモデリングを繰り返しており、このバランスによって骨量は維持されている。しかし何らかの要因によりこの均衡が破綻し、骨吸収が骨形成を上回った状態が長期間継続することにより、骨粗鬆症を引き起こしていると考えられている。骨吸収の亢進は、病態の発症、進展と密接に関連していることから、骨粗鬆症に対する薬物療法に際しては骨吸収阻害剤を用いるのが一般的である。しかしながら、現在用いられているカルシトニン製剤、エストロゲン製剤、ビタミンK製剤、ビスホスホネート製剤等の骨吸収阻害作用を有する薬剤には、その治療効果、即効性、副作用、服用コンプライアンス等の問題があり、より有効性の高い骨粗鬆症治療薬あるいは予防薬となり得る骨吸収阻害剤の開発が望まれている。
【0004】
骨吸収は、主に造血幹細胞由来の多核巨細胞である破骨細胞がその役割を担っている。破骨細胞は、各種サイトカインなどの作用により単球・マクロファージ系列の細胞から破骨前駆細胞へと分化する。前駆細胞は続いて単核の前破骨細胞となり骨表面に引き寄せられて定着・多核化し破骨細胞となる。分化した破骨細胞は活性化すると骨表面を複雑な細胞質突起からなる波状縁で取り囲み、酸を放出することでハイドロキシアパタイトを溶解すると共に、各種プロテアーゼを分泌してI型コラーゲンなどのタンパク質マトリックスを分解する。骨の有機マトリックスの約95%がコラーゲンであることから、これの分解に関与するプロテアーゼは、骨代謝回転ならびに骨粗鬆症の発生及び進行の必須成分と考えられる。破骨細胞のマトリックス分解に関わる主要なプロテアーゼとしては、システインプロテアーゼが挙げられ、その中でもパパインスーパーファミリーに属するカテプシンファミリーの関与が広く知られている。特にカテプシンKについては各種病態との関連が多く報告されており注目を集めている。
【0005】
カテプシンKは、カテプシンO、カテプシンO2及びカテプシンXとも呼ばれており、システインプロテアーゼのパパインスーパーファミリーの一部であるシステインカテプシンファミリーの酵素の1つである。カテプシンファミリーのうちシステインプロテアーゼに分類されるものとしては、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンF、カテプシンH、カテプシンL、カテプシンO、カテプシンS、カテプシンV(L2とも呼ばれる)、カテプシンW及びカテプシンZ(カテプシンXとも呼ばれる)が他に知られている。カテプシンKは、正常な破骨細胞で高レベルな発現を示しており、これら細胞の主要なシステインプロテアーゼであると報告されている(非特許文献1〜3)。骨吸収異常が原因と考えられる小人症患者においてカテプシンK遺伝子が変異していることなどからも、カテプシンKが破骨細胞の機能において不可欠であることが示唆されている(非特許文献4)。従って、カテプシンKを選択的に阻害することで、骨粗鬆症などの、過度な骨吸収を原因とする疾患に対して効果的な治療を期待できる。実際、いくつかのカテプシンKを選択的に阻害する薬剤について臨床試験が行われており、治療効果が得られると報告されている(非特許文献5及び6)。
【0006】
カテプシンKの選択的阻害は、他の疾患を治療する際にも有用と考えられる。そのような疾患には、自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチなど)、変形性関節症、骨パジェット病、高カルシウム血症、癌の骨転移、もしくは骨痛が含まれる。例えば、カテプシンKは慢性関節リウマチ患者の滑膜及び滑膜骨破壊部位で発現しており(非特許文献7〜9)、病態モデル動物において阻害物質が薬効を示している(非特許文献10及び11)。カテプシンKの発現レベルは変形性関節症の滑膜及び軟骨表層で上昇している(非特許文献12〜14)。カテプシンKの発現が各種癌細胞で認められ(非特許文献15〜19)、骨転移との関連性が示されている(非特許文献20及び21)。またカテプシンKの選択的阻害は、破骨細胞の骨吸収活性の亢進が原因で発症する疾患、例えば骨パジェット病、高カルシウム血症、もしくは骨痛を治療する際にも有用と考えられる。
【0007】
以上のことから、カテプシンKは、疾病治療や予防の標的分子として注目を集めるようになり、カテプシンK阻害剤の研究開発も精力的に行われている。これまでに、カテプシンK阻害剤として、例えば、鎖状ケトン型阻害剤(非特許文献22)、環状ケトン型阻害剤(非特許文献23〜26)、アルデヒド型阻害剤(非特許文献27)、α‐ケトアミド型阻害剤(非特許文献28)、N‐アリールエチレンジアミン型阻害剤(特許文献1〜3、非特許文献29、30、及び34)、シアノメチレン型阻害剤(特許文献4、非特許文献31〜33、及び35)などが報告されている。
【0008】
上記の如く、カテプシンKを阻害する化合物は骨吸収阻害剤として注目され、多くの誘導体が報告されているが、未だに代謝性骨疾患の治療薬としては実用化には至っていない。また、これらの化合物は、本発明の化合物とは構造が異なる。なお、N‐アリールエチレンジアミン型化合物は、カテプシンS阻害剤としても報告されている(特許文献5)。
【0009】
特に特許文献1には、カテプシンKを阻害する低分子化合物として、下記一般式(A)で表される化合物が記載されている。
【0010】
【化1】

【0011】
しかし、特許文献1には、具体的な化合物として記載されているのは、下記式(B)で表される化合物のみである。
【0012】
【化2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第WO02/070517号パンフレット
【特許文献2】特開2004−256525号公報
【特許文献3】国際公開第WO00/048993号パンフレット
【特許文献4】国際公開第WO03/075836号パンフレット
【特許文献5】国際公開第WO04/112709号パンフレット
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】J. Biol. Chem.,269,1106頁(1994)
【非特許文献2】Biochem. Biophys. Res. Commun.,206,89頁(1995)
【非特許文献3】FEBS Lett.,357,129頁(1995)
【非特許文献4】Science,273(1997),1236頁
【非特許文献5】28th ASBMR,Abst1085
【非特許文献6】29th ASBMR,Abst1128
【非特許文献7】J. Rheumatol.,25,1887頁(1998)
【非特許文献8】Am J Pathol.,159、2167頁(2001)
【非特許文献9】Arthritis Res Ther.,7,R65-70頁(2005)
【非特許文献10】J. Bone Miner. Res.,12,1396頁(1997)
【非特許文献11】Science.,319,624頁(2008)
【非特許文献12】Arthritis Rheum.,42,1588頁(1999)
【非特許文献13】Arthritis Rheum.,46,663頁(2002)
【非特許文献14】Arthritis Rheum.,46,953頁(2002)
【非特許文献15】Cancer Res.,57,5386頁(1997)
【非特許文献16】Matrix Biol.,19、717頁(2001)
【非特許文献17】Pancreas.,25,317頁(2002)
【非特許文献18】J Bone Miner Res.,18,222頁(2003)
【非特許文献19】Am J Clin Pathol.,125,847頁(2006)
【非特許文献20】Clin Cancer Res.,9,295頁(2003)
【非特許文献21】Mol Carcinog.,47,66頁(2008)
【非特許文献22】J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 9114-9115
【非特許文献23】J. Med. Chem., 1998, 41, 3563-3567
【非特許文献24】J. Med. Chem., 2001, 44, 1380-1395
【非特許文献25】Bioorg. Med. Chem., 2004, 12, 5689-5710
【非特許文献26】J. Med. Chem., 2006, 49, 1597-1612.
【非特許文献27】Bioorg. Med. Chem. Letters., 2004, 14, 275-278
【非特許文献28】Bioorg. Med. Chem. Letters., 2005, 15, 3540-3546
【非特許文献29】J. Med. Chem., 2002, 45, 2352-2354
【非特許文献30】Bioorg. Med. Chem., 2006, 14, 6789-6806
【非特許文献31】J. Med. Chem., 2003, 46, 3709-3727
【非特許文献32】Bioorg. Med. Chem. Lett., 2004, 14, 4291-4295
【非特許文献33】J. Med. Chem., 2006, 49, 1066-1079
【非特許文献34】Bioorg. Med. Chem. Lett.,2004, 14, 87-90
【非特許文献35】Bioorg. Med. Chem. Lett.,2008, 18, 923-928
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、優れたシステインプロテアーゼ阻害作用を有する化合物を提供することである。
本発明のもう1つの課題は、骨粗鬆症、変形性骨関節症、慢性関節リウマチ、骨パジェット病、高カルシウム血症、癌の骨転移、及び骨痛からなる群から選ばれる疾患の治療又は予防に有益な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明者らはシステインプロテアーゼ阻害作用を有する化合物について鋭意研究を行った結果、下記式(1)
【化3】

で表される化合物のように、トリフルオロメチル基で置換されたメチレン基が導入された構造を、化学構造上の特徴として有する化合物及びその塩が、特に優れたシステインプロテアーゼ阻害作用を有するものであることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0017】
すなわち、本発明は、以下のものに関する。
[1] 式(1)で表される化合物、又はその医学上許容される塩。
【化4】

[式(1)において、
は、‐R12a、‐OR12a、‐O(CO)R12a、‐COOR12a、‐CON(R12a)(R12b)、‐N(R12a)(R12b)、‐NR12a(CO)R12b、‐NR12a(CO)N(R12b)(R12c)、‐S(O)N(R12a)(R12b)、‐NR12aS(O)12b、又は‐S(O)12aを表し;
tは0〜2の整数を表し;
uは0〜2の整数を表し;
t=0のとき、u=0でなく;

12a、R12b及びR12cは、同一又は異なって、水素原子、R13で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、R13で置換されていてもよいC〜Cアルケニル基、R13で置換されていてもよいC〜Cアルキニル基、R13で置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基、R13で置換されていてもよいヘテロシクリル基、R13で置換されていてもよいフェニル基、R13で置換されていてもよい芳香族複素環基、R13で置換されていてもよいC〜C13アラルキル基、(R13で置換されていてもよいヘテロシクリル基)で置換されたC〜Cのアルキル基、又はR13で置換されていてもよい芳香族複素環基で置換されたC〜Cアルキル基を表し;
13は、‐N(R14a)(R14b)、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基、又はシアノ基を表し;
但し、1つのRに存在する、R12a、R12b及びR12cのうち少なくとも1つは、R13として‐N(R14a)(R14b)で置換されており;
1つのRにおいて、1つの基の中に存在する、R12aとR12b、R12aとR12c、又はR12bとR12cが、共に(R13で置換されていてもよいC〜Cアルキル基)である場合、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して互いに結合して員数3〜7の環構造を形成することができ;

12a、R12b又はR12cが、R13で置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す場合を除き、R12a、R12b又はR12cにおいて、1つの基の中に存在する、R14aとR14bとが、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合、R14aとR14bは、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して結合して員数3〜7の環構造を形成することができ;

Arは、C〜C10アリール基、又は芳香族複素環基を表し;

は、置換基群1から選ばれる基を表し;
mは0〜3の整数を表し;

は、水素原子、又は置換基群2から選ばれる1〜6個の同一又は異なる基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表し;

及びRは、同一又は異なって、水素原子、又は置換基群3から選ばれる1〜6個の同一もしくは異なる基で置換されていてもよい{C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C(シクロアルキル)アルキル基、フェニル基、芳香族複素環基、C〜Cフェニルアルキル基、又は芳香族複素環基で置換されたC〜Cアルキル基}を表し;
とRがともに、置換基群3から選ばれる1〜6個の同一もしくは異なる基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合は、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して互いに結合し、RとRが結合している炭素原子を含めて員数3〜7の環構造を形成することができ;
とRが互いに結合して環構造を形成しない場合、R及びRのいずれか一方は水素原子ではない基を表し;

Lは、単結合、又は‐(CR1011‐を表し;
sは、1〜4のいずれかの整数を表し;

Arは、C〜C10アリール基、又は芳香族複素環基を表し;
rは、0又は1を表し;

Arは、C〜C10アリール基、又は芳香族複素環基を表し;
nは、0又は1を表し;

は、置換基群1から選ばれる基を表し;
pは、0〜5の整数を表し;

置換基群1は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、‐R6a、‐OR6a、‐O(CO)R6a、‐COOR6a、‐CON(R6a)(R6b)、‐N(R6a)(R6b)、‐NR6a(CO)R6b、‐NR6a(CO)N(R6b)(R6c)、‐S(O)N(R6a)(R6b)、‐NR6aS(O)6b、‐S(O)6a、及び‐Si(Rからなる群;

置換基群2は、ハロゲン原子、シアノ基、‐OR6a、‐O(CO)R6a、‐COOR6a、‐CON(R6a)(R6b)、‐N(R6a)(R6b)、‐NR6a(CO)R6b、‐NR6a(CO)N(R6b)(R6c)、‐S(O)6a、−N(R6a)C(=NR6b)(NR6c)、Rで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基、Rで置換されていてもよいフェニル基、及びRで置換されていてもよい芳香族複素環基からなる群;

置換基群3は、ハロゲン原子、水酸基、ならびにハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの(アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、及びアルキルスルホニル基)からなる群を表し;

6a、R6b及びR6cは、同一又は異なって、水素原子、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基、Rで置換されていてもよいC〜Cアルケニル基、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキニル基、Rで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基、Rで置換されていてもよいヘテロシクリル基、Rで置換されていてもよいフェニル基、Rで置換されていてもよい芳香族複素環基、Rで置換されていてもよいC〜C13アラルキル基、Rで置換されていてもよいヘテロシクリル基で置換されたC〜Cのアルキル基、又はRで置換されていてもよい芳香族複素環基で置換されたC〜Cアルキル基を表し;
置換基群1及び2における各置換基において、1つの基の中に存在する、R6aとR6b、R6aとR6c、又はR6bとR6cが、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して互いに結合して員数3〜7の環構造を形成することができ;

qは0〜2の整数を表し;
は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基、又はシアノ基を表し;
は、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表し;
、R10、R11、R14a、及びR14bは、同一又は異なって、水素原子、又はRで置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す。]
【0018】
[2] Lが単結合を表し、
rが1を表す、[1]に記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[3] Rが、1〜6個のフッ素原子で置換されていてもよい{C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、又はC〜C(シクロアルキル)アルキル基}を表し;
が、水素原子を表す、[1]又は[2]記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[4] Rが、1〜6個のフッ素原子で置換されていていてもよいイソブチル基を表し;
が、水素原子を表す、[1]又は[2]記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[5] RとRが、これらが結合している炭素原子を含めてシクロヘキサン環を形成している、[1]又は[2]記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[6] Arが、C〜C10アリール基を表す、[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[7] mが1〜3の整数を表す、[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[8] 少なくとも1つのRが、‐OR6a、又は‐N(R6a)(R6b)を表す、[7]記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【0019】
[9]
【化5】

が、式(2−1)で表される基であり、
【化6】

式(2−1)において、
は、‐OR12a、又は‐N(R12a)(R12b)を表し;
1aは、ハロゲン原子、‐R6a、‐OR6a、又は‐N(R6a)(R6b)を表す、[1]〜[5]記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【0020】
[10]
【化7】

が、式(2−2)で表される基であり、
【化8】

式(2−2)において、
は、‐N(R12a)(R12b)を表し;
1bは、置換基群1から選ばれる基を表す、[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【0021】
[11] R、Rを置換している基、Rを置換している置換基群2から選ばれる基、R、及びRを置換している基のうち少なくとも1つが、‐COOHを表す、[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[12] Rを置換している置換基群2から選ばれる基が、‐N(R6a)(R6b)、又は−N(R6a)C(=NR6b)(NR6c)を表す、[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[13] R、Rを置換している基、Rを置換している置換基群2から選ばれる基、R、及びRを置換している基のうち少なくとも1つが、シアノ基を表す、[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[14] Arが、芳香族複素環基を表す、[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[15] Arが、C〜C10アリール基を表す、[1]〜[14]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[16] Arが、芳香族複素環基を表す、[1]〜[14]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
[17] [1]〜[16]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩と、製薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
[18] [1]〜[16]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩を有効成分として含有する、カテプシンK阻害剤。
[19] [1]〜[16]のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩を有効成分として含有する、骨粗鬆症、変形性骨関節症、慢性関節リウマチ、骨パジェット病、高カルシウム血症、癌の骨転移、及び骨痛からなる群から選ばれる疾患の治療又は予防のための医薬。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、優れたシステインプロテアーゼ阻害作用(特にカテプシンK阻害作用)を有する新規な化合物を提供する。
さらに本発明は、骨粗鬆症、変形性骨関節症、慢性関節リウマチ、骨パジェット病、高カルシウム血症、癌の骨転移、及び骨痛からなる群から選ばれる疾患の治療又は予防のための医薬を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で単独又は組み合わせて用いられる用語を以下に説明する。特段の記載がない限り、各置換基の説明は、各部位において共通するものとする。なお、いずれかの変数(例えば、R6a、R6b、R6c、R、R、R等)が、任意の構成要素(R、R、R等)においてそれぞれ存在するとき、その定義はそれぞれの構成要素において独立している。また、置換基及び変数の組み合わせは、そのような組み合わせが化学的に安定な化合物をもたらす場合にだけ許される。置換基自身が2つ以上の基で置換される場合、これらの多数の基は、安定な構造が生じる限り、同じ炭素又は異なる炭素に存在し得る。
【0024】
本発明において「C〜C10アリール基」とは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が1個離脱して生じる基を意味する。これらに制限されないものとして、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、テトラヒドロナフチル基、インダニル基、及びアズレニル基等が挙げられる。
【0025】
本発明において「C〜C13アラルキル基」とは、炭素数1〜3のアルキル基が、任意の位置で1つの前記C〜C10のアリール基に置換されて生じる基を意味する。これらに制限されないものとして、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、及びナフチルエチル基等が挙げられる。
【0026】
本発明において「芳香族複素環基」とは、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選ばれる1〜5個のヘテロ原子を含有する、3〜10員の単環又は二環性の芳香族性を有する複素環系を意味する。「3〜10員の単環又は二環性の芳香属性を有する複素環系」とは、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選ばれる1〜5個のヘテロ原子を有する、3〜10員の単環又は二環性の芳香族複素環から水素原子を除いて得られる1価の基をいう。また、二環性の芳香族複素環基の場合、一方の環が芳香環又は芳香族複素環であれば、他方の環は芳香族でない環構造であってもよい。かかる芳香族複素環基における各へテロ原子の個数やそれらの組合せは、所定の員数の環を構成しうるものであり、かつ化学的に安定に存在しうるものであれば特に制限されない。かかる芳香族複素環基としては、これらに制限されないものとして、例えば、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、1,3‐ジオキサインダニル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、イソインドリル基、クロマニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ピラニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、ジヒドロベンゾフリル基、ジヒドロイソベンゾフリル基、ジヒドロキノリル基、ジヒドロイソキノリル基、ジヒドロベンゾオキサゾリル基、ジヒドロプテリジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾジオキサゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾトリアゾリル基、プテリジニル基、プリニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、又はテトラゾリル基等が挙げられる。
【0027】
本発明において「ヘテロシクリル基」とは、ヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子からなる群より選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する、部分的に不飽和であっても飽和していてもよい、3〜10員の単環又は二環性の脂肪族の複素環から、水素原子を除いて得られる1価の基を意味する。ヘテロシクリル基は1個又は2個の‐C(=O)‐又は‐C(=S)‐を環内に含有することができる。ヘテロシクリル基における各へテロ原子の個数やそれらの組合せは、所定の員数の環を構成しうるものであり、かつ化学的に安定に存在しうるものであれば特に制限されない。かかるヘテロシクリル基としては、これらに制限されないものとして、例えば、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピロリジニル基、ピロリニル基、テトラヒドロフリル基、ジヒドロピラニル基、ヘキサヒドロアゼピニル基、ピペラジニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、モルホリノ基、チオモルホリニル基、チオモルホリノ基、オキサゾリニル基、1,4‐ジオキサニル基、ピラニル基、2‐ピロリドニル基、2‐ピペリドニル基、2‐イミダゾリジノニル基、又はテトラヒドロ‐3H‐ピラゾール‐3‐オニル基等が挙げられる。
本発明において「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
【0028】
本発明において「C〜Cアルキル基」とは、炭素数が1〜6個の飽和の直鎖又は分岐状脂肪族炭化水素基を意味する。これらに制限されないものとして、例えば、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、n‐ブチル基、n‐ペンチル基、n‐ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s‐ブチル基、t‐ブチル基、イソペンチル基、2‐メチルブチル基、ネオペンチル基、1‐エチルプロピル基、4‐メチルペンチル基、3‐メチルペンチル基、2‐メチルペンチル基、1‐メチルペンチル基、3,3‐ジメチルブチル基、2,2‐ジメチルブチル基、1,1‐ジメチルブチル基、1,2‐ジメチルブチル基、1,3‐ジメチルブチル基、2,3‐ジメチルブチル基、1‐エチルブチル基、2‐エチルブチル基、t‐ペンチル基、及びイソヘキシル基等が挙げられる。
【0029】
本発明において「C〜Cシクロアルキル基」とは、炭素原子3〜7個を有するシクロアルキル基を意味する。これらに制限されないものとして、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基などの環状のアルキル基が挙げられる。
【0030】
本発明において「C〜C(シクロアルキル)アルキル基」とは、前記「C〜Cアルキル基」が任意の位置で1つの前記「C〜Cシクロアルキル基」により置換された基を意味する。これらに制限されないものとして、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルエチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、及びシクロヘプチルエチル基などが挙げられる。
【0031】
本発明において「C〜Cフェニルアルキル基」とは、前記「C〜Cアルキル基」が任意の位置で1つのフェニル基により置換された基を意味し、これらに制限されないものとして、例えば、ベンジル基、フェネチル基、及びフェニルプロピル基などが挙げられる。
【0032】
本発明において「C〜Cアルコキシ基」とは、前記「C〜Cアルキル基」とオキシ基とからなる基を意味する。これらに制限されないものとして、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n‐プロポキシ基、イソプロポキシ基、n‐ブトキシ基、s‐ブトキシ基、2‐メチルプロポキシ基、n‐ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、2‐メチルブトキシ基、1‐エチルプロポキシ基、2,2‐ジメチルプロポキシ基、n‐ヘキシルオキシ基、4‐メチルペントキシ基、3‐メチルペントキシ基、2‐メチルペントキシ基、3,3‐ジメチルブトキシ基、2,2‐ジメチルブトキシ基、1,1‐ジメチルブトキシ基、及びt‐ブトキシ基等が挙げられる。
【0033】
本発明において「C〜Cアルキルチオ基」とは、前記「C〜Cアルキル基」とチオ基とからなる基を意味する。これらに制限されないものとして、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、及びイソプロピルチオ基などが挙げられる。
【0034】
本発明において「C〜Cアルキルスルフィニル基」とは、前記「C〜Cアルキル基」とスルフィニル基とからなる基を意味する。これらに制限されないものとして、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、及びイソプロピルスルフィニル基などが挙げられる。
【0035】
本発明において「C〜Cアルキルスルホニル基」とは、前記「C〜Cアルキル基」とスルホニル基とからなる基を意味する。これらに制限されないものとして、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、及びイソプロピルスルホニル基などが挙げられる。
【0036】
本発明において「C〜Cアルコキシカルボニル基」とは、前記「C〜Cアルコキシ基」とカルボニル基とからなる基を意味する。これらに制限されないものとして、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、及びイソプロポキシカルボニル基などが挙げられる。
【0037】
本発明において「C〜Cアルケニル基」とは、二重結合をもつ炭素数が2〜6個の直鎖又は分枝状脂肪族炭化水素基を意味する。これらに制限されないものとして、例えば、ビニル基、アリル基、1‐プロペニル基、2‐ブテニル基、3‐ブテニル基、2‐メチル‐1‐プロペニル基、2‐メチル‐2‐プロペニル基、4‐ペンテニル基、5‐ヘキセニル基、及び4‐メチル‐3‐ペンテニル基等が挙げられる。
【0038】
本発明において「C〜Cアルキニル基」とは、三重結合をもつ炭素数が2〜6個の直鎖又は分枝状脂肪族炭化水素基を意味する、これらに制限されないものとして、例えば、エチニル基、プロパルギル基、3‐メチルプロパルギル基、ブチニル基、2‐ブチン‐1‐イル基、ペンチニル基、及びヘキシニル基等が挙げられる。
【0039】
本発明において「置換基群2から選ばれる1〜6個の同一又は異なる基で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基」とは、該「C〜Cアルキル基」が、任意の位置で、「置換基群2から選ばれる1〜6個の同一又は異なる基」で置換されていてもよいことを意味し、また、置換基群2から選ばれる2〜6個の基で置換される場合、該C〜Cアルキル基は、同一の基で置換されていてもよいし、異なる基で置換されていてもよいことを意味する。また、そのほか「置換基群3から選ばれる1〜6個の同一又は異なる基で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基」等も同様に意味する。
【0040】
本発明における「Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基」、「Rで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基」等のRで置換される基において、置換するRの置換数の上限は、Rがハロゲン原子の場合は10個、Rがハロゲン原子以外の置換基である場合は5個であり、中でも0〜3個のRで置換されることが好ましい。
【0041】
本発明における「R13で置換されていてもよいC〜Cアルキル基」、「R13で置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基」等のR13で置換される基において、置換するR13の置換数の上限は、R13がハロゲン原子の場合は10個、R13がハロゲン原子以外の置換基である場合は5個であり、中でも0〜3個のR13で置換されることが好ましい。
【0042】
なお、上記定義のうち、例えば「C」などの「C」は炭素原子を表し、その後に付く数字は炭素数を表す。例えば、「C〜C」は炭素数1から炭素数6までの範囲を表す。もちろんであるが、本発明において、炭素数が異なれば、その炭素数を有するその基を意味することとなる。例えば、「C〜Cアルキル基」は、「C〜Cアルキル基」で定義するアルキル基の炭素数が1から4であるものを意味する。他の基における炭素数の扱いも同様である。
【0043】
本発明は、前記式(1)で表される化合物、又はその医学上許容される塩に関する。
前記式(1)中、Rは、‐R12a、‐OR12a、‐O(CO)R12a、‐COOR12a、‐CON(R12a)(R12b)、‐N(R12a)(R12b)、‐NR12a(CO)R12b、‐NR12a(CO)N(R12b)(R12c)、‐S(O)N(R12a)(R12b)、‐NR12aS(O)12b、又は‐S(O)12aを表す。
また、tは0〜2の整数を表し、uは0〜2の整数を表し、t=0のとき、u=0でない。
したがって、前記式(1)で表される化合物、又はその医学上許容される塩は、少なくとも1つのRで置換されている。
【0044】
また、R12a、R12b及びR12cは、同一又は異なって、水素原子、R13で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、R13で置換されていてもよいC〜Cアルケニル基、R13で置換されていてもよいC〜Cアルキニル基、R13で置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基、R13で置換されていてもよいヘテロシクリル基、R13で置換されていてもよいフェニル基、R13で置換されていてもよい芳香族複素環基、R13で置換されていてもよいC〜C13アラルキル基、(R13で置換されていてもよいヘテロシクリル基)で置換されたC〜Cのアルキル基、又はR13で置換されていてもよい芳香族複素環基で置換されたC〜Cアルキル基を表す。また、R13は、‐N(R14a)(R14b)、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基、又はシアノ基を表す。R14a、及びR14bは、同一又は異なって、水素原子、又はRで置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す。
【0045】
但し、1つのRに存在する、R12a、R12b及びR12cのうち少なくとも1つは、R13として‐N(R14a)(R14b)で置換されている。すなわち、Rは、末端が少なくとも1つの‐N(R14a)(R14b)で置換されている基を表す。
【0046】
また、1つのRにおいて、1つの基の中に存在する、R12aとR12b、R12aとR12c、又はR12bとR12cが、共に(R13で置換されていてもよいC〜Cアルキル基)である場合、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して互いに結合して員数3〜7の環構造を形成することができる。ここで、qは0〜2の整数を表し、Rは、水素原子、又はRで置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す。
【0047】
としての「員数3〜7の環構造」は、かかる環構造を形成する原子として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる2個以下のヘテロ原子を含んでいてもよい。このような「員数3〜7の環構造」を形成するRとしては、これらに制限されないものとして、例えば、1‐ピペリジル基、1‐ピロリジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、1,1‐ジオキソチオモルホリン‐4‐イル基、及び1‐ピペラジニル基等が挙げられる。
【0048】
さらに、R12a、R12b又はR12cが、R13で置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す場合を除き、R12a、R12b又はR12cにおいて、1つの基の中に存在する、R14aとR14bとが、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合、R14aとR14bは、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して結合して員数3〜7の環構造を形成することができる。この「員数3〜7の環構造」は、かかる環構造を形成する原子として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる2個以下のヘテロ原子を含んでいてもよい。この「員数3〜7の環構造」としては、これらに制限されないものとして、例えば、1‐ピペリジル基、1‐ピロリジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、1,1‐ジオキソチオモルホリン‐4‐イル基、及び1‐ピペラジニル基等が挙げられる。
【0049】
前記式(1)において、好ましい‐N(R14a)(R14b)の例としては、アミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、及びジエチルアミノ基等が挙げられ、R14aとR14bが閉環してよい場合の好ましい‐N(R14a)(R14b)の例としては、1‐ピロリジニル基、1‐ピペリジル基、モルホリノ基、1‐ピペラジニル基、及び4‐メチル‐1‐ピペラジニル基等が挙げられる。
【0050】
前記式(1)において、好ましいRは、上記の好ましい‐N(R14a)(R14b)を置換基R13として含む、R12a、R12b及びR12cを有する基であり、中でも好ましいRの例としては、以下の構造式を挙げることができる。
【0051】
【化9】

【0052】
前記式(1)中、Arは、C〜C10アリール基、又は芳香族複素環基を表す。「アリール基」及び「芳香族複素環基」の具体例は、前述の定義の通りであるが、Arの好ましい「アリール基」又は「芳香族複素環基」としては、フェニル基、ピラゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、ジヒドロベンゾフラニル基、ジヒドロイソベンゾフラニル基、ジヒドロキノリル基、ジヒドロイソキノリル基、ジヒドロベンゾオキサゾリル基、ジヒドロプテリジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾジオキサゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾトリアゾリル基、キノキサリニル基、及びキナゾリニル基が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
【0053】
前記式(1)中、Rは、置換基群1から選ばれる基を表す。ここで「置換基群1」は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、‐R6a、‐OR6a、‐O(CO)R6a、‐COOR6a、‐CON(R6a)(R6b)、‐N(R6a)(R6b)、‐NR6a(CO)R6b、‐NR6a(CO)N(R6b)(R6c)、‐S(O)N(R6a)(R6b)、‐NR6aS(O)6b、‐S(O)6a、及び‐Si(Rからなる群を表す。ここで、qは0〜2の整数を表す。
【0054】
また、R6a、R6b及びR6cは、同一又は異なって、水素原子、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基、Rで置換されていてもよいC〜Cアルケニル基、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキニル基、Rで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基、Rで置換されていてもよいヘテロシクリル基、Rで置換されていてもよいフェニル基、Rで置換されていてもよい芳香族複素環基、Rで置換されていてもよいC〜C13アラルキル基、Rで置換されていてもよいヘテロシクリル基で置換されたC〜Cアルキル基、又はRで置換されていてもよい芳香族複素環基で置換されたC〜Cアルキル基を表す。Rは、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す。
【0055】
さらにRは、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基、又はシアノ基を表す。
【0056】
また、置換基群1における各置換基において、1つの基の中に存在するR6aとR6b、R6aとR6c、又はR6bとR6cが、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して互いに結合して員数3〜7の環構造を形成することができる。ここで、qは0〜2の整数を表し、Rは、水素原子、又はRで置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す。
【0057】
としての「員数3〜7の環構造」は、かかる環構造を形成する原子として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる2個以下のヘテロ原子を含んでいてもよい。このような「員数3〜7の環構造」を形成するRとしては、これらに制限されないものとして、例えば、1‐ピペリジル基、1‐ピロリジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、1,1‐ジオキソチオモルホリン‐4‐イル基、及び1‐ピペラジニル基等が挙げられる。
【0058】
前記式(1)において、中でも好ましいRとしては、ハロゲン原子、‐R6a、‐OR6a、及び‐N(R6a)(R6b)が挙げられる。
前記式(1)中、mは0〜3の整数を表し、好ましくは1〜3の整数を表す。
【0059】
また、好ましい「Ar」、「R」、「R」、「m」及び「t」との組み合わせの例としては、以下の構造式を挙げることができる。
【0060】
t=0の場合
【化10】

【0061】
t≠0の場合
【化11】

【0062】
より特に好ましい「Ar」、「R」、「R」、「m」及び「t」の組み合わせの1つの例としては、以下の式(2−1)で表される基が挙げられる。
【0063】
【化12】

[式(2−1)において、Rは、‐OR12a、又は‐N(R12a)(R12b)を表し;
1aは、ハロゲン原子、‐R6a、‐OR6a、又は‐N(R6a)(R6b)を表す。]
【0064】
なお、R1aにおけるR6a及びR6bの定義は、前記R基におけるR6a及びR6bの定義と同義である。
式(2−1)において特に好ましいRとしては、‐OR12aが挙げられる。
より特に好ましい「Ar」、「R」、「R」、「m」及び「t」の組み合わせのもう1つの例としては、以下の式(2−2)で表される基が挙げられる。
【0065】
【化13】

[式(2−2)において、Rが、‐N(R12a)(R12b)を表し、R1bは、置換基群1から選ばれる基を表す。]
【0066】
なお、R1bにおける置換基群1から選ばれる基の定義は、前記式(1)における置換基群1から選ばれる基の定義と同義である。
前記式(1)中、Rは、水素原子、置換基群2から選ばれる1〜6個の同一又は異なる基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す。「置換基群2」は、ハロゲン原子、シアノ基、‐OR6a、‐O(CO)R6a、‐COOR6a、‐CON(R6a)(R6b)、‐N(R6a)(R6b)、‐NR6a(CO)R6b、‐NR6a(CO)N(R6b)(R6c)、‐S(O)6a、−N(R6a)C(=NR6b)(NR6c)、Rで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基、Rで置換されていてもよいフェニル基、及びRで置換されていてもよい芳香族複素環基からなる群を表す。
【0067】
また、「置換基群2」における「R6a」、「R6b」、「R6c」、及び「R」の定義は、前記「置換基群1」における「R6a」、「R6b」、「R6c」、及び「R」の定義と同義である。
【0068】
また、置換基群2における各置換基において、1つの基の中に存在するR6aとR6b、R6aとR6c、又はR6bとR6cが、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して互いに結合して員数3〜7の環構造を形成することができる。ここで、Rは、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す。
【0069】
としての「員数3〜7の環構造」は、かかる環構造を形成する原子として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる2個以下のヘテロ原子を含んでいてもよい。このような「員数3〜7の環構造」を形成する置換基群2から選ばれる基としては、これらに制限されないものとして、例えば、1−ピペリジル基、1−ピロリジニル基、モルホリノ基、及び1−ピペラジニル基等が挙げられる。
【0070】
前記式(1)において、好ましいRの具体例としては、以下の化学式で表される基が挙げられる。
【化14】

【0071】
前記式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、又は置換基群3から選ばれる1〜6個の同一もしくは異なる基で置換されていてもよい{C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C(シクロアルキル)アルキル基、フェニル基、芳香族複素環基、C〜Cフェニルアルキル基、又は芳香族複素環基で置換されたC〜Cアルキル基}を表す。「置換基群3」は、ハロゲン原子、水酸基、ならびにハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの(アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、及びアルキルスルホニル基)からなる群を表す。また、RとRがともに、置換基群3から選ばれる1〜6個の同一もしくは異なる基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合は、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して互いに結合して、RとRが結合している炭素原子を含めて員数3〜7の環構造を形成することができる。ここで、qは0〜2の整数を表す。Rは、水素又はRで置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す。
【0072】
とRとで形成する「員数3〜7の環構造」は、かかる環構造を形成する原子として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる2個以下のヘテロ原子を含んでいてもよい。このような「員数3〜7の環構造」としては、これらに制限されないものとして、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ピロリジン、ピペリジン、チオラン、チアン等の環構造が挙げられる。
【0073】
またRとRが互いに結合して環構造を形成しない場合、R及びRのいずれか一方は水素原子ではない基を表す。
好ましいRとRとの組み合わせの例としては、以下の化学式で表される基が挙げられる。
【0074】
【化15】

【0075】
より好ましいRとRとの組み合わせの1つの具体例としては、Rが1〜6個のフッ素原子で置換されていてもよい{C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、又はC〜C(シクロアルキル)アルキル基}を表し、Rが水素原子を表す組み合わせが挙げられる。特に、Rが1〜6個のフッ素原子で置換されていてもよいイソブチル基を表し、Rが水素原子を表す組み合わせが好ましい。
【0076】
より好ましいRとRとの組み合わせのもう1つの具体例としては、RとRが、これらが結合している炭素原子を含めてシクロヘキサン環を形成する組み合わせが挙げられる。
【0077】
前記式(1)中、Lは、単結合、又は‐(CR1011‐を表す。ここで、sは、1〜4のいずれかの整数を表す。R10、及びR11は、同一又は異なって、水素原子、又はRで置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す。Rは、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基、又はシアノ基を表す。
中でもLは、単結合が好ましい。
【0078】
前記式(1)中、Arは、C〜C10アリール基、又は芳香族複素環基を表す。「アリール基」及び「芳香族複素環基」の具体例は、前述の定義の通りであるが、Arの好ましい「アリール基」又は「芳香族複素環基」としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チエニル基、ピラゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イミダゾリル基、及びチアゾリル基が挙げられる。中でも、C〜C10アリール基(特にフェニル基)、又はピリジル基が好ましい。また、Arが、「芳香族複素環基」を表す場合、代謝安定性に優れる。中でもその芳香族複素環がヒドロキシル基で置換されたピリジン環、すなわちピリドン環を表す場合、特に優れる。
前記式(1)中、rは、0又は1を表し、1を表すことが好ましい。rが0を表す場合、後述するnは0を表す。
【0079】
前記式(1)中、Arは、C〜C10アリール基、又は芳香族複素環基を表す。「アリール基」及び「芳香族複素環基」の具体例は、前述の定義の通りであるが、Arの好ましい「アリール基」又は「芳香族複素環基」としては、フェニル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、及びチアゾリル基が挙げられる。
前記式(1)中、nは、0又は1を表す。
nが1を表す場合、Ar及びArは、それぞれ、単環性の「アリール基」及び「芳香族複素環基」が好ましい。
【0080】
前記式(1)中、Rは、置換基群1から選ばれる基を表す。前記式(1)の「R」における「置換基群1」、「R6a」、「R6b」、「R6c」、「R」、「R」、及び「q」の定義は、それぞれ、前記式(1)の「R」における「置換基群1」、「R6a」、「R6b」、「R6c」、「R」、「R」、及び「q」の定義と同義である。中でも好ましいRの具体例としては、ハロゲン原子、シアノ基、‐R6a、‐OR6a、‐COOR6a、及び‐N(R6a)(R6b)が挙げられる。
【0081】
としての「員数3〜7の環構造」は、かかる環構造を形成する原子として酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる2個以下のヘテロ原子を含んでいてもよい。このような「員数3〜7の環構造」を形成するRとしては、これらに制限されないものとして、例えば、1‐ピペリジル基、1‐ピロリジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、1,1‐ジオキソチオモルホリン‐4‐イル基、及び1‐ピペラジニル基等が挙げられる。
【0082】
前記式(1)中、pは、0〜5の整数を表し、好ましくは0〜3の整数を表す。
前記式(1)において、R、Rを置換している基、Rを置換している置換基群2から選ばれる基、R、及びRを置換している基のうち少なくとも1つが、‐COOHを表す、化合物又はその医学上許容される塩は、代謝安定性に優れ、好ましい。同様に、前記式(1)において、Rを置換している置換基群2から選ばれる基が、‐N(R6a)(R6b)、又は−N(R6a)C(=NR6b)(NR6c)を表す、化合物又はその医学上許容される塩、ならびにR、Rを置換している基、Rを置換している置換基群2から選ばれる基、R、及びRを置換している基のうち少なくとも1つが、シアノ基を表す化合物又はその医学上許容される塩も、代謝安定性に優れ、好ましい。
【0083】
また、好ましい「L」、「Ar」、「Ar」、「R」、「R」「r」、「n」、「p」及び「u」の組み合わせの例としては、以下の構造式で表すことができる。
【0084】
u=0の場合
【化16】

【0085】
u≠0の場合
【化17】

【0086】
前記式(1)中、Ar、Ar、Ar、R、R、R、R、R、R、R6a、R6b、R6c、R、R、R、R12a、R12b、R12c、R13、R14a、R14b、n、m、p、q、r、t、及びuの組み合わせとしては、それぞれについて上記した好ましい基同士を組み合わせたものが好ましく、特に好ましいとした基を組み合わせたものがより好ましい。
前記式(1)で表される化合物のうち、好ましい化合物としては、以下の表1に列挙される化合物(好適例番号1〜98)が挙げられる。
【0087】
【表1.01】

【表1.02】

【表1.03】

【表1.04】

【表1.05】

【表1.06】

【表1.07】

【表1.08】

【表1.09】

【表1.10】

【表1.11】

【表1.12】

【表1.13】

【表1.14】

【表1.15】

【0088】
<一般的合成法>
本発明の化合物及び中間体は、例えば、以下に記載されるような合成法のいずれかに従って合成することができる。なお、各式中、Ar、Ar、Ar、R、R、R、R、R、R、R6a、R6b、R6c、R、R、n、m、p、q、r、t、及びuは、式(1)の定義のとおりである。また、化学式中に記載の、条件としての試薬又は溶媒などは、本文にも記載のとおり例示にすぎない。各置換基は、必要に応じて、適切な保護基で保護されていてもよく、適切な段階において脱保護を行って良い。なお、適切な保護基及びその除去方法は、この分野で汎用される各置換基の保護基及び公知の方法を採用することができる(参考文献:PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS,THIRD EDITION、John Wiley&Sons,Inc.)。
【0089】
また、本文中又は表における置換基、試薬、及び溶媒の略号を用いている場合は、それぞれ以下のことを表す。
HATU:O‐(7‐アザベンゾトリアゾール‐1‐イル)‐N,N,N’,N’‐テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
PyBOP:ベンゾトリアゾール‐1‐イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
X‐Phos:2‐(ジ‐tert‐ブチルホスフィノ)‐2’,4’,6’‐トリイソプロピル‐1,1’‐ビフェニル
DMF:N,N‐ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
Ph:フェニル
TFA:トリフルオロ酢酸
【0090】
1)式(7)の化合物の合成
式(7)の化合物は、例えば、米国特許US2006030731号公報等に記載の方法を用いて合成することができる。
すなわち、まず、式(4)のアミノ酢酸エステル誘導体と、式(5)のケトン誘導体を反応させて、式(6)のイミン中間体を合成する。この式(6)のイミン中間体を、適当な還元剤と反応させることで、式(7)の化合物を合成することができる。式(5)のケトン誘導体については、例えば、Tetrahedron,2006,62,5092‐5098.や、Angew.Chem.Int.Ed.,1998,37,6,820‐821.などを参考にして合成することができる。
【0091】
【化18】

【0092】
また、式(7)の化合物は、国際公開第WO2003075836号パンフレット、J.Org.Chem.,2006,71,4320‐4323.、Bioorg.Med.Chem.Lett.,2008,18,923‐928.等に記載の方法に従って合成することも可能である。
【0093】
すなわち、まず、適当な保護基で水酸基が保護された式(8)のアミン誘導体をトリフルオロアセトアルデヒドと反応させて、式(9)のイミン中間体を合成する。一方で、一般的な方法に従って、式(10)の有機リチウム試薬、又はGrignard試薬等の有機金属試薬を調製する。この式(10)の有機金属試薬を式(9)のイミン中間体と反応させることで、式(11)の中間体を合成することができる。引き続いて、水酸基の保護基Pを除去し、酸化することによって、式(7)の化合物を合成することができる。
【0094】
【化19】

【0095】
2)式(7)の化合物から式(1)の化合物の合成
(Route A)
式(7)の化合物を、カルボキシル基の適当な活性化剤(例えば、HATU、PyBOP)の存在下、適当な塩基(例えば、トリエチルアミン、N‐エチル‐N,N‐ジイソプロピルアミン)の存在下もしくは非存在下、適当な有機溶媒(例えば、DMF、THF)中、0℃から溶媒が加熱還流する温度範囲で、式(12)のアミン誘導体と反応させることで、式(1)の化合物を合成することができる。
【0096】
【化20】

【0097】
(Route B)
式(7)の化合物を、カルボキシル基の適当な活性化剤(例えば、HATU、PyBOP)の存在下、適当な塩基(例えば、トリエチルアミン、N‐エチル‐N,N‐ジイソプロピルアミン)の存在下もしくは非存在下、適当な有機溶媒(例えば、DMF、THF)中、0℃から溶媒が加熱還流する温度範囲で、式(13)で表される適当に保護されたアミン誘導体と反応させ、更に適当な脱保護条件下で脱保護することで、式(14)の化合物を合成することができる。この式(14)の化合物を、適当なCu試薬(例えば、酢酸銅(II))存在下又は非存在下、適当な添加剤(例えば、ミリスチン酸)の存在下又は非存在下、適当な塩基(例えば、2,6‐ルチジン、トリエチルアミン、N‐エチル‐N,N‐ジイソプロピルアミン)の存在下、適当な有機溶媒(例えば、トルエン、アセトニトリル、DMF、2‐プロパノール)中、もしくはその混合溶媒中、0℃から溶媒が加熱還流する温度範囲で、式(15)で表される脱離基を有する試薬と反応させることで、式(1)で表される化合物を合成することができる。
【0098】
【化21】

【0099】
3)式(1)の化合物、及び式(11)の化合物の変換
(Route C)
式(1)の化合物もしくは式(11)の化合物において、n又はrが1であり、且つRが臭素原子やヨウ素原子である場合には、鈴木‐宮浦クロスカップリング反応を行えば、Rの構造をW(アリール基又は芳香族複素環基)に変換した式(1c)及び式(11c)の化合物を合成することができる。すなわち、式(1)の化合物又は式(11)の化合物を、適当なPd触媒(例えば、Pd(dba))と適当な配位子(例えば、X‐Phos)、又は適当なPd触媒と配位子の錯体(例えば、PdCl(dppf)・CHCl)の存在下、適当な塩基(例えば、炭酸セシウム、tert‐ブトキシカリウム)の存在下、適当な溶媒(例えば、DMF、2‐プロパノール、水)中、もしくはその混合溶媒中で、室温から溶媒が加熱還流する温度で、WB(OR) (Wはアリール基、又は芳香族複素環基)で表されるホウ酸試薬と反応させることで、式(1c)又は式(11c)の化合物を合成することができる。
【0100】
【化22】

【0101】
(Route D)
式(1)の化合物もしくは式(11)の化合物において、Rが臭素原子やヨウ素原子である場合には、Rの構造をシアノ基に変換した式(1d)及び式(11d)の化合物を合成することができる。
【0102】
n又はrが1である場合は、根岸クロスカップリング反応を行えば、Rの構造をシアノ基に変換することができる。すなわち、式(1)の化合物又は式(11)の化合物を、適当なPd触媒(例えば、Pd(dba))と適当な配位子(例えば、X‐Phos)、又は適当なPd触媒と配位子の錯体(例えば、PdCl(dppf)・CHCl)の存在下、適当な溶媒(例えば、DMF、THF)中で、室温から溶媒が加熱還流する温度で、適当な金属シアニド試薬(例えば、Zn(CN))と反応させることで、式(1d)又は式(11d)の化合物を合成することができる。
【0103】
n=r=0で、且つLが単結合でない場合は、式(1)の化合物又は式(11)の化合物を、適当な溶媒(例えば、DMF、THF)中で、室温から溶媒が加熱還流する温度で、適当な金属シアニド試薬(例えば、KCN)と反応させることで、式(1d)又は式(11d)の化合物を合成することができる。
【0104】
【化23】

【0105】
(Route E)
式(1)の化合物もしくは式(11)の化合物において、Rが臭素原子やヨウ素原子である場合には、Rの構造を‐N(R6a)(R6b)に変換した式(1e)及び式(11e)の化合物を合成することができる。
n又はrが1である場合は、Buchwald‐Hartwigクロスカップリング反応を行えば、Rの構造を‐N(R6a)(R6b)に変換することができる。すなわち、式(1)の化合物又は式(11)の化合物を、適当なPd触媒(例えば、Pd(dba))と適当な配位子(例えば、X‐Phos)、又は適当なPd触媒と配位子の錯体(例えば、PdCl(dppf)・CHCl)の存在下、適当な塩基(例えば、炭酸セシウム、tert‐ブトキシカリウム)の存在下、適当な溶媒(例えば、トルエン、DMF)中、もしくはその混合溶媒中で、室温から溶媒が加熱還流する温度で、(R6a)(R6b)NHで表されるアミンと反応させることで、式(1e)又は式(11e)の化合物を合成することができる。
【0106】
n=r=0で、且つLが単結合でない場合は、式(1)の化合物又は式(11)の化合物を、適当な塩基(例えば、N‐エチル‐N,N‐ジイソプロピルアミン)の存在下又は非存在下、適当な溶媒(例えば、DMF、THF)中で、室温から溶媒が加熱還流する温度で、(R6a)(R6b)NHで表されるアミンと反応させることで、式(1e)又は式(11e)の化合物を合成することができる。
【0107】
【化24】

【0108】
(Route F)
式(1)の化合物もしくは式(11)の化合物において、n又はrが1であり、且つRが臭素原子やヨウ素原子である場合には、薗頭クロスカップリング反応を行えば、Rの構造を1‐アルキニル基に変換した式(1f)及び式(11f)の化合物を合成することができる。すなわち、式(1)の化合物又は式(11)の化合物を、適当なPd触媒(例えば、Pd(dba))と適当な配位子(例えば、X‐Phos)、又は適当なPd触媒と配位子の錯体(例えば、PdCl(dppf)・CHCl)の存在下、適当なCu触媒(例えば、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I))の存在下、適当な塩基(例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピペリジン)の存在下、適当な溶媒(例えば、DMF、THF、トリエチルアミン)中で、室温から溶媒が加熱還流する温度で、1‐アルキンと反応させることで、式(1f)又は式(11f)の化合物を合成することができる。
【0109】
【化25】

【0110】
(Route G)
式(1)の化合物もしくは式(11)の化合物において、Rが臭素原子やヨウ素原子である場合には、水素還元をおこなうことで、式(1g)及び式(11g)の化合物を合成することができる。すなわち、式(1)の化合物又は式(11)の化合物を、適当なPd触媒(例えば、Pd/C)の存在下、適当な溶媒(例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン)中で、室温から溶媒が加熱還流する温度で、適当な水素源(例えば、水素ガス、ギ酸アンモニウム、シクロヘキセン)と反応させることで、式(1g)の化合物又は式(11g)の化合物を合成することができる。
【0111】
【化26】

【0112】
また、上記のRoute A〜Gの変換のほかに、本発明の式(1)の化合物に対して、当業者に周知の変換反応を行う事が可能である。例えば、本発明の式(1)の化合物が、‐O(CO)R6a、‐COOR6a、ニトロ基などのような容易に変換可能な置換基を有している場合は、当業者に周知の反応を施すことによって、それぞれ変換可能である。すなわち、例えば、‐O(CO)R6aは水酸基に、‐COOR6aはカルボキシル基、又はヒドロキシメチル基に、ニトロ基はアミノ基に、それぞれ変換することができる。
【0113】
本発明の式(1)の化合物が、カルボキシル基を有している場合は、当業者に周知の反応により、‐COOR6a、及び‐CON(R6a)(R6b)などの置換基を持つ本発明の式(1)の化合物に変換することができる。
本発明の式(1)の化合物が、ヒドロキシ基を有している場合は、当業者に周知の反応により、‐OR6a、及び‐O(CO)R6aなどの置換基を持つ本発明の式(1)の化合物に変換することができる。
本発明の式(1)の化合物が、アミノ基を有している場合は、当業者に周知の反応により、‐N(R6a)(R6b)、‐NR6a(CO)R6b、‐NR6a(CO)N(R6b)(R6c)、及び‐NR6aS(O)6bなどの置換基を持つ式(1)の化合物に変換することができる。
本発明の式(1)の化合物が、シアノ基を有している場合は、当業者に周知の反応により、トリアゾリル基、テトラゾリル基などの置換基を持つ本発明の式(1)の化合物に変換することができる。
【0114】
本発明は、式(1)で表される化合物の医学上許容される塩にも関する。かかる塩としては、例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸などの無機酸との塩;マレイン酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、安息香酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸などの有機酸との塩;グリシン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン、グルタミン酸、アスパラギン酸などのアミノ酸との塩;ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アルミニウム、亜鉛、鉄などの金属との塩;テトラメチルアンモニウム、コリンなどのような有機オニウムとの塩;アンモニア、プロパンジアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピリジン、エタノールアミン、N,N‐ジメチルエタノールアミン、4‐ヒドロキシピペリジン、t‐オクチルアミン、ジベンジルアミン、モルホリン、グルコサミン、フェニルグリシルアルキルエステル、エチレンジアミン、N‐メチルグルカミン、グアニジン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’‐ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、プロカイン、ジエタノールアミン、N‐ベンジルフェニルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどの有機塩基との塩が挙げられる。
【0115】
式(1)で表される化合物の医学上許容される前記各種の塩は、当技術分野の通常の知識に基づいて適宜製造することができる。
本発明の化合物には、式(1)で表される化合物の立体異性体、ラセミ体、及び可能なすべての光学活性体も含まれる。また、発明の化合物は、各置換基の組み合わせによって互変異性体を生じる場合があり、このような互変異性体も本発明の化合物に含まれる。このような互変異性体を生じる置換基の組み合わせとしては、この構造に制限されないものとして、例えば、以下のような構造が挙げられる。
【0116】
【化27】

【0117】
本発明の式(1)で表される化合物、及びその医学上許容される塩は、優れたシステインプロテアーゼ阻害作用、より特に優れたカテプシンK阻害作用を有する。その優れたシステインプロテアーゼ阻害作用から、本発明の式(1)で表される化合物、及びその医学上許容される塩は、システインプロテアーゼ阻害剤(特にカテプシンK阻害剤)として有用である。
【0118】
本発明の式(1)で表される化合物、及びその医学上許容される塩は、カテプシンK阻害剤として臨床で応用可能な、骨粗鬆症、変形性骨関節症、慢性関節リウマチ、骨パジェット病、高カルシウム血症、癌の骨転移、及び骨痛からなる群から選ばれる疾患の治療又は予防のための医薬として使用することができる。
【0119】
前記式(1)で表される化合物、又はその医学上許容される塩は、製薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤とともに、医薬組成物とすることができる。この医薬組成物は種々の剤形に成形して、経口的又は非経口的に投与することができる。非経口投与としては、例えば、静脈、皮下、筋肉、経皮、又は直腸内への投与が挙げられる。
【0120】
本発明の式(1)で表される化合物又はその医学上許容される塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する製剤は、通常製剤化に用いられる担体や賦形剤、その他の添加剤を用いて調製される。製剤用の担体や賦形剤としては、固体又は液体いずれでも良く、例えば乳糖、ステアリン酸マグネシウム、スターチ、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、オリーブ油、ゴマ油、カカオバター、エチレングリコール等やその他常用のものが挙げられる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、あるいは静注、筋注等の注射剤、坐剤、経皮等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0121】
本発明の式(1)で表される化合物、及びその医学上許容される塩は、医薬品として、安全性、安定性、薬効、作用持続性、物性、体内動態、保存性、製造性などにおいて良好な性質を有する。
【0122】
本発明の式(1)で表される化合物、又はその医学上許容される塩は、疾患の種類、投与経路、患者の症状、年齢、性別、体重等により異なるが、通常成人1日あたり、0.1〜1000mgの範囲で、好ましくは1〜100mgの範囲で、1回又は数回に分けて、投与することができる。しかし、投与量は種々の条件により変動するため、上記投与量よりも少ない量で十分な場合もあり、また上記の範囲を超える投与量が必要な場合もある。静脈内投与の場合には、成人に対して1日当たり、0.01〜100mgの範囲で、好ましくは0.1〜10mgを1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
【実施例】
【0123】
本発明を以下、具体的な実施例に基づいて説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
単離された新規化合物の構造は、H NMRおよび/または電子スプレイ源を備えた単一四重極装置(single quadrupole instrumentation)を用いる質量分析、その他適切な分析法により確認した。
H NMRスペクトル(400MHz、DMSO‐d6、CDODまたはCDCl)を測定したものについては、その化学シフト(δ:ppm)およびカップリング定数(J:Hz)を示す。質量分析の結果については、M+H、すなわち化合物分子質量(M)にプロトン(H)が付加した値として観測された測定値を示す。なお、以下の略号はそれぞれ次のものを表す。s=singlet、d=doublet、t=triplet、q=quartet、brs=broad singlet、m=multiplet。
【0124】
[参考例1]
((2S)‐2‐アミノブチル)(2,4‐ジメトキシフェニル)アミン(参考例化合物)の合成
【化28】

【0125】
(参考例化合物
文献(Bioorg.Med.Chem.,2006,14,6789‐6806.)記載の方法に従い、2,4‐ジメトキシアニリンを出発物質として用いて合成し、塩酸塩として得た。
ESI/MS m/e:225.1(M+H,C1220).
【0126】
[参考例2]
((2S)‐2‐アミノブチル)(4‐モルホリン‐4‐イルフェニル)アミン(参考例化合物)の合成
【化29】

【0127】
(参考例化合物
文献(Bioorg.Med.Chem.Lett.,2006,16,1502−1505.)記載の方法に従い、4‐モルホリノアニリンを出発物質として用いて合成し、塩酸塩として得た。
ESI/MS m/e:250.1(M+H,C1423O).
【0128】
[参考例3]
((2S)‐2‐アミノプロピル)(4‐モルホリン‐4‐イルフェニル)アミン(参考例化合物)の合成
【化30】

【0129】
(参考例化合物
文献(Bioorg.Med.Chem.Lett.,2006,16,1502−1505.)記載の方法に従い、4‐モルホリノアニリンを出発物質として用いて合成し、塩酸塩として得た。
ESI/MS m/e:236.1(M+H,C1321O).
【0130】
[参考例4]
(2‐{4‐[((2S)‐2‐アミノブチル)アミノ]‐3‐メトキシフェノキシ}エチル)ジメチルアミン(参考例化合物)の合成
【化31】

【0131】
(参考例化合物
文献(Bioorg.Med.Chem.Lett.,2006,16,1502−1505.)記載の方法に従い、4‐[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]‐2‐メトキシアニリンを出発物質として用いて合成し、塩酸塩として得た。
ESI/MS m/e:282.1(M+H,C1527).
【0132】
[参考例5]
(2S)‐2‐{[(1S)‐1−(4−{[(tert-ブトキシ)カルボニルアミノ]メチル}フェニル)-2,2,2‐トリフルオロエチル]アミノ}-4-メチルペンタン酸(参考例化合物)の合成
【化32】

【0133】
(参考例化合物
文献(Tetrahedron, 2005, 61, 11244、US20060030731A1)記載の方法に従い、4−ブロモベンジルアミン塩酸塩を出発物質として用いて合成した。
ESI/MS m/e:363.1(M+H,C20H29F3N2O4脱tert‐ブチル体で観測).
【0134】
[参考例6]
(2S)‐2‐{[(1S)‐1−(4−{2−[(tert-ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル}フェニル)-2,2,2‐トリフルオロエチル]アミノ}-4-メチルペンタン酸(参考例化合物)の合成
【化33】

【0135】
(参考例化合物
文献(Tetrahedron, 2005, 61, 11244、US20060030731A1)記載の方法に従い、4−ブロモフェネチルアミンを出発物質として用いて合成した。
ESI/MS m/e:377.1(M+H,C21H31F3N2O4 脱tert‐ブチル体で観測).
【0136】
[参考例7]
(2S)‐2‐[((1S)‐1−{4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-2,2,2‐トリフルオロエチル)アミノ]-4-メチルペンタン酸(参考例化合物)の合成
【化34】

【0137】
(参考例化合物
文献(Tetrahedron, 2005, 61, 11244、US20060030731A1)記載の方法に従い、(4−ブロモ−ベンジル)−ジメチルアミンを出発物質として用いて合成した。
ESI/MS m/e:347.1(M+H,C17H25F3N2O2).
【0138】
[参考例8]
(2S)‐2‐[((1S)‐1−{3−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-2,2,2‐トリフルオロエチル)アミノ]-4-メチルペンタン酸(参考例化合物)の合成
【化35】

【0139】
(参考例化合物
文献(Tetrahedron, 2005, 61, 11244、US20060030731A1)記載の方法に従い、(3−ブロモ−ベンジル)−ジメチルアミンを出発物質として用いて合成した。
ESI/MS m/e:347.1(M+H,C17H25F3N2O2).
【0140】
[参考例9]
(2S)‐2‐[((1S)‐2,2,2‐トリフルオロ‐1‐フェニルエチル)アミノ]-4-メチルペンタン酸(参考例化合物)の合成
【化36】

【0141】
(参考例化合物
文献(Tetrahedron, 2005, 61, 11244、US20060030731A1)記載の方法に従い、2,2,2‐トリフロオロアセトフェノンを出発物質として用いて合成した。
ESI/MS m/e:290.1(M+H,C1418NO).
【0142】
[参考例10]
(2S)‐N‐((1S)‐1‐{[(2,4‐ジメトキシフェニル)アミノ]メチル}プロピル)‐2‐{[(1S)‐1‐(4‐{[(tert‐ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル}フェニル)‐2,2,2‐トリフルオロエチル]アミノ}‐4‐メチルペンタナミド(参考例化合物10)の合成
【化37】

【0143】
(参考例化合物10
((2S)‐2‐アミノブチル)(2,4‐ジメトキシフェニル)アミン(参考例化合物:3.30g、塩酸塩)と(2S)‐2‐{[(1S)‐1−(4−{2−[(tert-ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル}フェニル)-2,2,2‐トリフルオロエチル]アミノ}-4-メチルペンタン酸(参考例化合物:4.00g)をN,N‐ジメチルホルムアミド(93mL)に溶解させた。この溶液にHATU(3.87g)とトリエチルアミン(4.4mL)を氷冷下で添加し、氷冷下で3時間撹拌した。飽和食塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液の1:1混合溶液を添加することで反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表題化合物(参考例化合物10:4.72g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.16 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.04 (2H, d, J = 8.0 Hz), 6.60-6.40 (3H, m), 4.55 (1H, d, J = 38.5 Hz), 4.15-3.91 (3H, m), 3.81 (3H, s), 3.75 (3H, s), 3.50-3.46 (1H, m), 3.33-3.26 (2H, m), 3.03 (1H, dd, J = 12.4, 4.9 Hz), 2.76 (3H, dt, J = 26.3, 6.8 Hz), 2.06-1.96 (1H, m), 1.85-1.45 (5H, m), 1.44 (9H, s), 1.41-1.24 (1H, m), 0.96 (6H, dd, J = 16.2, 9.6Hz), 0.87 (3H, t, J = 6.5 Hz).
ESI/MS m/e:639.3(M+H,C3349).
【0144】
以下、参考例11から参考例14に記載の化合物は、参考例8と同様に、対応する出発原料および試薬を用いて合成した。その構造及びLC/MSで観測されたM+H、すなわち化合物分子質量(M)にプロトン(H)が付加した値として観測された測定値を下表2にまとめる。
【0145】
【表2】

【0146】
[実施例1]
(2S)‐N‐{(1S)‐1‐[({4‐[2‐(ジメチルアミノ)エトキシ]‐2‐メトキシフェニル}アミノ)メチル]プロピル}‐2‐[((1S)‐2,2,2‐トリフルオロ‐1‐フェニルエチル)アミノ]‐4‐メチルペンタナミド(1)の合成
【0147】
【化38】

【0148】
(2‐{4‐[((2S)‐2‐アミノブチル)アミノ]‐3‐メトキシフェノキシ}エチル)ジメチルアミン(参考例化合物:17mg、塩酸塩)と(2S)‐2‐[((1S)‐2,2,2‐トリフルオロ‐1‐フェニルエチル)アミノ]-4-メチルペンタン酸(参考例化合物:14mg)を、N,N‐ジメチルホルムアミド(500μL)に溶解させた。この溶液にHATU(21mg)とトリエチルアミン(21μL)を氷冷下で添加し、氷冷下で30分間撹拌した。酢酸(20μL)と水(100μL)を添加して反応を停止させ、そのまま分取HPLCで精製することにより、表題化合物(1:20mg、トリフルオロ酢酸塩)を得た。
ESI/MS m/e:553.3(M+H,C2943).
【0149】
以下、実施例2から実施例8に記載の化合物は、実施例1と同様に、対応する出発原料および試薬を用いて合成した。その構造及びLC/MSで観測されたM+H、すなわち化合物分子質量(M)にプロトン(H)が付加した値として観測された測定値を下表3にまとめる。
【0150】
【表3】

【0151】
[実施例9]
(2S)-2-({(1S)-1-[4-(アミノメチル)フェニル]-2,2,2-トリフルオロエチル}アミノ)-N-{(1S)-1-メチル-2-[(4-モルホリン-4-イルフェニル)アミノ]エチル}-4-メチルペンタナミド(9)の合成
【0152】
【化39】

【0153】
(2S)-2-{[(1S)-1-(4-{[(tert-ブトキシ)カルボニルアミノ]メチル}フェニル)-2,2,2-トリフルオロエチル]アミノ}-N-{(1S)-1-メチル-2-[(4-モルホリン-4-イルフェニル)アミノ]エチル}-4-メチルペンタナミド(参考例化合物11:22mg)に塩化水素(55μL、4mol/Lジオキサン溶液)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。この反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣を高速液体クロマトグラフィーで精製した。表題化合物を含むフラクションを減圧下で濃縮することにより、表題化合物(9:14mg、トリフルオロ酢酸塩)を得た。
ESI/MS m/e:536.3 (M+H,C28H40F3N5O2).
【0154】
以下、実施例10から実施例13に記載の化合物は、実施例9と同様に、対応する出発原料および試薬を用いて合成した。その構造及びLC/MSで観測されたM+H、すなわち化合物分子質量(M)にプロトン(H)が付加した値として観測された測定値を下表4にまとめる。
【0155】
【表4】

【0156】
[実施例14]
以上の実施例の方法に従って合成された化合物について、さらに高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析、及び電子スプレーイオン源を備えた飛行時間型質量分析計(TOF‐MS:Time Of Flight‐Mass Spectroscopy)を用いる質量分析法によっても分析を行った。
下記分析条件でのHPLC分析における化合物の保持時間(単位:分)を、HPLC保持時間として下の表5に示す。
HPLC測定条件
測定装置:Hewlett‐Packard 1100HPLC
カラム:Imtakt Cadenza CD‐Cl8 100mm×4.6mm 3μm
UV:PDA検出(254nm)
カラム温度:40度
グラジエント条件:
溶媒:A:HO/アセトニトリル=95/5
0.05%TFA(トリフルオロ酢酸)
B:HO/アセトニトリル=5/95
0.05%TFA(トリフルオロ酢酸)
流速:1.0mL/分
勾配:0〜1分、溶媒B:10% 溶媒A:90%
1〜13分、溶媒B:10%→70% 溶媒A:90%→30%
13〜14分、溶媒B:70%→100% 溶媒A:30%→0%
14〜16分、溶媒B:100% 溶媒A:0%
16〜19分、溶媒B:100%→10% 溶媒A:0%→90%
【0157】
また、質量分析の結果については、以下に示す装置および分析条件により観測された「M+H」の値(obs. Mass:すなわち化合物の分子質量(M)にプロトン(H)が付加した実測値)、「M+H」の計算値(pred. Mass)と共に、実測された「M+H」の値から算出された組成式(Formula)も、併せて下の表5に示す。
TOF‐MS測定条件
質量分析装置:島津製作所 LCMS‐IT‐TOF
LC:Prominence
カラム:Phenomenex Synergi Hydro‐RP 100A 4.0mm×20mm 2μm
UV:PDA検出(254nm)
流量:0.6mL/分
カラム温度:40度
検出電圧:1.60kV
グラジェント条件:
溶媒:A:HO/アセトニトリル=95/5
0.05%TFA
B:HO/アセトニトリル=5/95
0.05%TFA
流速:0.5mL/分
勾配:0〜0.2分、溶媒B:2% 溶媒A:98%
0.2〜2.5分、溶媒B:2%→100% 溶媒A:98%→0%
2.5〜3.8分、溶媒B:100% 溶媒A:0%
3.8〜4.0分、溶媒B:100%→2% 溶媒A:0%→98%
4.0〜5.0分、溶媒B:0% 溶媒A:100%
【0158】
【表5】

【0159】
[実施例15]
以上の実施例の方法に従って合成された化合物について、カテプシンK阻害活性を測定した。
ヒトの成熟活性型カテプシンKの遺伝子を、動物細胞HEK293T細胞(GenHunter社製)に一過性発現させた。これを細胞溶解液にて可溶化し、得られた可溶性画分を活性酵素として用いた。
【0160】
活性酵素をアッセイ緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、50mM塩化ナトリウム、2mM DTT、pH5.5)で終濃度の2.1倍となるよう希釈し、酵素溶液Aとした。試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で溶解し、各終濃度の50倍となるような希釈系列を調製し、試験化合物溶液Bとした。蛍光基質ベンジルオキシカルボニル‐L‐ロイシル‐L‐アルギニル‐4‐メチル‐クマリル‐7‐アミド(Z‐Leu‐Arg‐MCA(ペプチド研究所))をアッセイ緩衝液で10μMとなるよう調製し、基質溶液Cとした。
【0161】
酵素溶液A(38.4μL)に、希釈系列である試験化合物溶液B(1.6μL)をそれぞれ添加、混合し、15分間室温でインキュベートした。これら混合溶液に基質溶液C(40μL)を添加し、30分間室温で酵素反応させた。酵素反応による生成物7‐アミノ‐4‐メチルクマリンの蛍光強度を、励起波長355nm、測定波長460nmで測定し、得られた値から酵素活性を算出した。試験化合物溶液Bの代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を100%として各濃度での試験化合物の阻害率を計算し、容量応答曲線を作成して、カテプシンKに対する50%阻害濃度を計算した。
【0162】
この結果を表6に示す。但し、表中の記号(+、++、+++)は以下の通りの阻害活性値を表しているものとする。ここで、pIC50とは、50%阻害濃度であるIC50値の負の対数(−log10(IC50))を表した値である。
5.0≦pIC50<7.5:+
7.5≦pIC50<8.5:++
8.5≦pIC50:+++
【0163】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明の前記式(1)で表される化合物、及びその医学上許容される塩は、システインプロテアーゼ阻害作用(特にカテプシンK阻害作用)を有し、システインプロテアーゼ阻害剤として臨床で応用可能な、骨粗鬆症、変形性骨関節症、慢性関節リウマチ、骨パジェット病、高カルシウム血症、癌の骨転移、及び骨痛からなる群から選ばれる疾患治療又は予防のための医薬として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物、又はその医学上許容される塩。
【化1】

[式(1)において、
は、‐R12a、‐OR12a、‐O(CO)R12a、‐COOR12a、‐CON(R12a)(R12b)、‐N(R12a)(R12b)、‐NR12a(CO)R12b、‐NR12a(CO)N(R12b)(R12c)、‐S(O)N(R12a)(R12b)、‐NR12aS(O)12b、又は‐S(O)12aを表し;
tは0〜2の整数を表し;
uは0〜2の整数を表し;
t=0のとき、u=0でなく;

12a、R12b及びR12cは、同一又は異なって、水素原子、R13で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、R13で置換されていてもよいC〜Cアルケニル基、R13で置換されていてもよいC〜Cアルキニル基、R13で置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基、R13で置換されていてもよいヘテロシクリル基、R13で置換されていてもよいフェニル基、R13で置換されていてもよい芳香族複素環基、R13で置換されていてもよいC〜C13アラルキル基、(R13で置換されていてもよいヘテロシクリル基)で置換されたC〜Cのアルキル基、又はR13で置換されていてもよい芳香族複素環基で置換されたC〜Cアルキル基を表し;
13は、‐N(R14a)(R14b)、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基、又はシアノ基を表し;
但し、1つのRに存在する、R12a、R12b及びR12cのうち少なくとも1つは、R13として‐N(R14a)(R14b)で置換されており;
1つのRにおいて、1つの基の中に存在する、R12aとR12b、R12aとR12c、又はR12bとR12cが、共に(R13で置換されていてもよいC〜Cアルキル基)である場合、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して互いに結合して員数3〜7の環構造を形成することができ;

12a、R12b又はR12cが、R13で置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す場合を除き、R12a、R12b又はR12cにおいて、1つの基の中に存在する、R14aとR14bとが、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合、R14aとR14bは、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して結合して員数3〜7の環構造を形成することができ;

Arは、C〜C10アリール基、又は芳香族複素環基を表し;

は、置換基群1から選ばれる基を表し;
mは0〜3の整数を表し;

は、水素原子、又は置換基群2から選ばれる1〜6個の同一又は異なる基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表し;

及びRは、同一又は異なって、水素原子、又は置換基群3から選ばれる1〜6個の同一もしくは異なる基で置換されていてもよい{C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C(シクロアルキル)アルキル基、フェニル基、芳香族複素環基、C〜Cフェニルアルキル基、又は芳香族複素環基で置換されたC〜Cアルキル基}を表し;
とRがともに、置換基群3から選ばれる1〜6個の同一もしくは異なる基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合は、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して互いに結合し、RとRが結合している炭素原子を含めて員数3〜7の環構造を形成することができ;
とRが互いに結合して環構造を形成しない場合、R及びRのいずれか一方は水素原子ではない基を表し;

Lは、単結合、又は‐(CR1011‐を表し;
sは、1〜4のいずれかの整数を表し;

Arは、C〜C10アリール基、又は芳香族複素環基を表し;
rは、0又は1を表し;

Arは、C〜C10アリール基、又は芳香族複素環基を表し;
nは、0又は1を表し;

は、置換基群1から選ばれる基を表し;
pは、0〜5の整数を表し;

置換基群1は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、‐R6a、‐OR6a、‐O(CO)R6a、‐COOR6a、‐CON(R6a)(R6b)、‐N(R6a)(R6b)、‐NR6a(CO)R6b、‐NR6a(CO)N(R6b)(R6c)、‐S(O)N(R6a)(R6b)、‐NR6aS(O)6b、‐S(O)6a、及び‐Si(Rからなる群;

置換基群2は、ハロゲン原子、シアノ基、‐OR6a、‐O(CO)R6a、‐COOR6a、‐CON(R6a)(R6b)、‐N(R6a)(R6b)、‐NR6a(CO)R6b、‐NR6a(CO)N(R6b)(R6c)、‐S(O)6a、−N(R6a)C(=NR6b)(NR6c)、Rで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基、Rで置換されていてもよいフェニル基、及びRで置換されていてもよい芳香族複素環基からなる群;

置換基群3は、ハロゲン原子、水酸基、ならびにハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの(アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、及びアルキルスルホニル基)からなる群を表し;

6a、R6b及びR6cは、同一又は異なって、水素原子、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基、Rで置換されていてもよいC〜Cアルケニル基、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキニル基、Rで置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基、Rで置換されていてもよいヘテロシクリル基、Rで置換されていてもよいフェニル基、Rで置換されていてもよい芳香族複素環基、Rで置換されていてもよいC〜C13アラルキル基、Rで置換されていてもよいヘテロシクリル基で置換されたC〜Cのアルキル基、又はRで置換されていてもよい芳香族複素環基で置換されたC〜Cアルキル基を表し;
置換基群1及び2における各置換基において、1つの基の中に存在する、R6aとR6b、R6aとR6c、又はR6bとR6cが、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合、単結合、‐O‐、‐NR‐、又は‐S(O)‐を介して互いに結合して員数3〜7の環構造を形成することができ;

qは0〜2の整数を表し;
は、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルコキシカルボニル基、C〜Cアルキルスルホニル基、C〜Cアルキルスルフィニル基、又はシアノ基を表し;
は、Rで置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表し;
、R10、R11、R14a、及びR14bは、同一又は異なって、水素原子、又はRで置換されていてもよいC〜Cアルキル基を表す。]
【請求項2】
Lが単結合を表し、
rが1を表す、請求項1に記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項3】
が、1〜6個のフッ素原子で置換されていてもよい{C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、又はC〜C(シクロアルキル)アルキル基}を表し;
が、水素原子を表す、請求項1又は2記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項4】
が、1〜6個のフッ素原子で置換されていていてもよいイソブチル基を表し;
が、水素原子を表す、請求項1又は2記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項5】
とRが、これらが結合している炭素原子を含めてシクロヘキサン環を形成している、請求項1又は2記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項6】
Arが、C〜C10アリール基を表す、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項7】
mが1〜3の整数を表す、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項8】
少なくとも1つのRが、‐OR6a、又は‐N(R6a)(R6b)を表す、請求項7記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項9】
【化2】

が、式(2−1)で表される基であり、
【化3】

式(2−1)において、
は、‐OR12a、又は‐N(R12a)(R12b)を表し;
1aは、ハロゲン原子、‐R6a、‐OR6a、又は‐N(R6a)(R6b)を表す、請求項1〜5記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項10】
【化4】

が、式(2−2)で表される基であり、
【化5】

式(2−2)において、
は、‐N(R12a)(R12b)を表し;
1bは、置換基群1から選ばれる基を表す、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項11】
、Rを置換している基、Rを置換している置換基群2から選ばれる基、R、及びRを置換している基のうち少なくとも1つが、‐COOHを表す、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項12】
を置換している置換基群2から選ばれる基が、‐N(R6a)(R6b)、又は−N(R6a)C(=NR6b)(NR6c)を表す、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項13】
、Rを置換している基、Rを置換している置換基群2から選ばれる基、R、及びRを置換している基のうち少なくとも1つが、シアノ基を表す、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項14】
Arが、芳香族複素環基を表す、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項15】
Arが、C〜C10アリール基を表す、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項16】
Arが、芳香族複素環基を表す、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩と、製薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩を有効成分として含有する、カテプシンK阻害剤。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物、又はその医学上許容される塩を有効成分として含有する、骨粗鬆症、変形性骨関節症、慢性関節リウマチ、骨パジェット病、高カルシウム血症、癌の骨転移、及び骨痛からなる群から選ばれる疾患の治療又は予防のための医薬。

【公開番号】特開2011−79777(P2011−79777A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233566(P2009−233566)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(503369495)帝人ファーマ株式会社 (159)
【Fターム(参考)】