説明

システムキッチン

【課題】浄水を吐水する浄水用水栓の吐水口や、浄水用水栓に浄水を供給する浄水装置の配管などの細菌汚染を抑制できるシステムキッチンの提供。
【解決手段】原水を処理する浄水手段12と、該浄水手段12を経た浄水が流れる浄水管13と、浄水を吐水する浄水用水栓11と、原水を吐水する一般水栓21と、浄水管13に原水を供給するバイパス管17と、該バイパス管17を開閉するバイパス管電磁弁18と、該バイパス管電磁弁18の開閉を切り替えるバイパス管開閉弁操作手段とを有する構成とする。バイパス管開閉弁操作手段を操作してバイパス管電磁弁18を開放すると、水道水が浄水管13、浄水用吐水管11aを流れて浄水用水栓11から吐水され、浄水が滞留しやすい部分に対しての水道水による洗浄効果が発揮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水を吐水する一般水栓と、浄水を吐水する浄水用水栓とを備えたシステムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水道水から残留塩素などを除去して浄水とする浄水装置が広く普及し、家庭のシステムキッチンにおいても、このような浄水装置を設置することが一般的になってきている。
このような場合、システムキッチンには、水道水を吐水する従来の一般水栓を設けるとともに、これとは別に、浄水を吐水するための浄水専用の水栓(浄水用水栓)を設けることが多い(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−32340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような浄水用水栓を設けた場合には、浄水用水栓の吐水口や、浄水用水栓に浄水を供給する浄水装置内の配管など、浄水が滞留しやすい部分は、細菌に汚染されやすいという問題が従来よりあった。これは、浄水用水栓の未使用時に、殺菌に有効な残留塩素が除去された浄水がこれらの部分に滞留し、そこから細菌等が発生するためである。
そのため、浄水用水栓を設けたシステムキッチンにおいては、このような細菌汚染を抑制できる技術が求められていた。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、浄水を吐水する浄水用水栓の吐水口や、浄水用水栓に浄水を供給する浄水装置内の配管など、浄水が滞留しやすい部分の細菌汚染を抑制できるシステムキッチンの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシステムキッチンは、原水を処理する浄水手段と、該浄水手段を経た浄水が流れる浄水管と、前記浄水管からの前記浄水を吐水する浄水用吐水管を有する浄水用水栓と、原水を吐水する原水用吐水管を有する一般水栓と、前記浄水管に原水を供給するバイパス管と、該バイパス管を開閉するバイパス管開閉弁と、該バイパス管開閉弁の開閉を切り替えるバイパス管開閉弁操作手段と、が備えられたことを特徴とする。
具体的には、前記浄水手段がシステムキッチンのシンクの下方に配され、前記浄水管の下流側は前記浄水用水栓の内部で前記浄水用吐水管に連通している形態が例示できる。
また、前記浄水手段及び前記浄水管が、前記浄水用水栓の内部に配されている形態も例示できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシステムキッチンによれば、浄水を吐水する浄水用水栓の吐水口や、浄水用水栓に浄水を供給する浄水装置内の配管など、浄水が滞留しやすい部分の細菌汚染を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のシステムキッチンの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明のシステムキッチンの他の一実施形態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は本発明のシステムキッチンの一実施形態を示す概略構成図であって、この例のシステムキッチンは、図1に示すように、シンクSと、一般水栓21を備えた原水部20と、浄水用水栓11および浄水装置10を備えた浄水部とを具備して構成されている。
【0010】
原水部20は、流し台の天板部に取り付けられた一般水栓21と、一般水栓21に止水栓22から水道水(原水)を供給する給水管23とを備えて構成され、一般水栓21の具備する原水用吐水管21bの原水吐水口21aから、水道水がシンクSに吐水されるようになっている。また、この例の原水部20は、加温された湯を一般水栓21に供給するための湯用給水管24も備えている。
【0011】
浄水装置10は、水道水を処理して浄水とする浄水手段12を備えており、図1の例では、この浄水手段12がシンクSの下方に設置される、いわゆるアンダーシンク型の浄水手段12とされている。また、浄水装置10は、この浄水手段12を経た浄水が流れる浄水管13と、原水部20の給水管23の途中から分岐し、浄水手段12に水道水を供給するための原水供給管14とを備えている。
浄水手段12は、この例では、水道水中の残留塩素や総トリハロメタンなどを除去、吸着する活性炭や一般細菌や不純物を取り除く中空糸膜などを備えた浄水カートリッジであり、浄水装置10に着脱自在に装着されている。
浄水管13の下流側は、流し台の天板部に設置された浄水用水栓11の胴体部分の内部に導入され、ここにおいて、浄水用水栓11の胴体部分から外方に延びる浄水用吐水管11aに連通している。浄水用吐水管11aの先端(下流端)には、浄水手段12を経て浄水管13を流れてきた浄水をシンクSに吐水するための浄水用吐水口11bが形成されている。
【0012】
原水供給管14の途中には、この原水供給管14を開閉する電磁弁(開閉弁)15が設けられている。そして、この電磁弁15には、電磁弁15を開閉し浄水用吐水口11bからの浄水の吐水と止水とを切り替える浄水用操作スイッチ(浄水用操作手段)16が図示略の電気配線により接続されている。よって、浄水用操作スイッチ16を操作して電磁弁15を開放すると、水道水が浄水手段12に供給されて浄水用吐水口11bからは浄水が吐水され、電磁弁15を閉止すると、水道水の供給が止まり、浄水用吐水口11bからの浄水の吐水も止まるようになっている。
この例では、浄水用操作スイッチ16としては、プッシュ式のタクトスイッチ(登録商標)が採用され、浄水用水栓11の胴体部分の上面部に設けられている。そして、このタクトスイッチ(登録商標)を例えば1〜2秒間程度の所定時間、押すことによって、浄水用吐水口11bからの浄水の吐水と止水とを切り替えられるようになっている。
【0013】
さらに、この浄水装置10は、電磁弁15よりも上流側の原水供給管14から分岐栓19により分岐し、水道水を浄水手段12を介さずに浄水管13に直接供給するためのバイパス管17と、このバイパス管17の途中に設置され、バイパス管17を開閉するバイパス管電磁弁(バイパス管開閉弁)18と、このバイパス管電磁弁18の開閉を切り替えるバイパス管開閉弁操作スイッチ(バイパス管開閉弁操作手段)とを有している。この例でバイパス管17の下流端17aは、浄水管13の上流端13b近傍に接続されている。
そして、この例では、バイパス管電磁弁18は、浄水用水栓11の胴体部分の上面部に設けられた浄水用操作スイッチ16と図示略の電気配線により接続され、浄水用操作スイッチ16がバイパス管開閉弁操作スイッチとしての役割も兼ねている。具体的には、バイパス管電磁弁18を開閉する場合には、浄水用操作スイッチ16であるタクトスイッチ(登録商標)を例えば3〜4秒間程度の所定時間、長押しすることによって、バイパス管電磁弁18の開閉を切り替えられるようになっている。
よって、浄水用操作スイッチ16の長押し操作により、バイパス管電磁弁18を開放すると、原水供給管14からの水道水は浄水手段12を経ることなくバイパス管17を流れた後、浄水管13に導入され、浄水用水栓11の浄水用吐水管11aの浄水用吐水口11bから吐水される。一方、浄水用操作スイッチ16の長押し操作によりバイパス管電磁弁18を閉止すると、水道水の供給が止まり、浄水用吐水口11bからの水道水の吐水も止まるようになっている。
【0014】
このようなシステムキッチンは、以上説明したように、その浄水装置10が、浄水管13に原水を供給するバイパス管17と、このバイパス管17を開閉するバイパス管電磁弁18とを有している。そのため、バイパス管電磁弁18を開放することによって、原水供給管14からの水道水をバイパス管17、浄水管13、浄水用吐水管11aに順次流通させて、浄水用吐水口11bからシンクSに吐水させることができる。
このようにして水道水を一般水栓21ではなく、浄水用水栓11から吐水させるようにすると、浄水が滞留し細菌に汚染されやすい部分、すなわち、浄水管13および浄水用吐水管11aの内部や、浄水用吐水口11bを水道水が流通し、これらの部分が残留塩素を含む水道水で洗浄されることとなる。よって、これらの部分において懸念されている細菌汚染を抑制することができる。
特にこの例では、バイパス管17の下流端17aは、浄水管13の上流端13b近傍に接続され、バイパス管電磁弁18を開放した際には、浄水管13の上流端13b近傍から水道水が流れ始めるため、水道水は浄水管13をほぼ全長に亘って流れることとなり、洗浄効果が高い。
【0015】
また、特に、図1のようにアンダーシンク型の浄水手段12を備えた浄水装置10では、浄水手段12と浄水用吐水管11aとを結ぶ浄水管13は、後述のカウンターオン型の浄水手段を備えた浄水装置10よりも長く、そのため、カウンターオン型の浄水手段よりも細菌汚染が懸念される傾向にある。その点、このようなシステムキッチンでは、上述のように水道水を浄水管13に流通させて、洗浄効果を発揮することができるため、このように細菌汚染がより懸念されるアンダーシンク型の浄水手段12を具備する場合にさらに有効である。
【0016】
このようにバイパス管電磁弁18を開放し、水道水を浄水用吐水口11bから吐水させるタイミング、頻度、吐水時間などには特に制限はなく、随時または定期的に適宜行えばよい。
例えば、毎晩、浄水用水栓11および浄水装置10の使用が終了した後に、バイパス管電磁弁18を開放し、10〜20秒間程度、水道水を吐水させるなど、定期的に行ってもよい。または、旅行などでしばらく浄水用水栓11および浄水装置10を使用しない場合には、その前にバイパス管電磁弁18を同様に開放するようにしてもよく、特に限定されない。
【0017】
なお、日常的にシステムキッチンを使用する際において、水道水が必要な場合には、原水部20の一般水栓21を操作して、原水用吐水口21aから水道水をシンクSに吐水させればよい。一方、飲用や料理用などのために、浄水が必要な場合には、浄水用操作スイッチ16を所定の通り操作して、原水供給管14の途中に設けられている電磁弁15を開放すればよい。電磁弁15が開放すると、水道水が浄水手段12に供給され、浄水用吐水口11bからは浄水が吐水される。
【0018】
図2は、本発明のシステムキッチンの他の一実施形態を示す概略構成図であって、この例のシステムキッチンも、図1の例と同様に、シンクSと、一般水栓21を備えた原水部20と、浄水用水栓11および浄水装置10’を備えた浄水部とを具備して構成されている。
ただし、この例では、浄水装置10’は、原水を処理する浄水手段として、浄水用水栓11の胴体部分の内部に浄水手段12’である浄水カートリッジが配された、いわゆるカウンターオン型の浄水手段12’を備えている。そして、浄水手段12’を経た浄水が流れる浄水管13も、浄水用水栓11の胴体部分の内部に配置されている。
そのため、バイパス管17は、その下流側が浄水用水栓11の胴体部分の内部に導入され、そこで浄水管13と分岐栓19’により接続している。バイパス管電磁弁18は、浄水用水栓11内のバイパス管17ではなく、浄水用水栓11の外のバイパス管17に設けられている。
浄水管13の下流端は、浄水用水栓11の具備する浄水用吐水管11aに接続し、浄水管13を流れた浄水は浄水用吐水管11aを流れ、浄水用水栓11の浄水用吐水口11bからシンクSに吐水されるようになっている。
【0019】
この例のシステムキッチンも、図1の例のシステムキッチンと同様に、浄水管13に水道水を供給するためのバイパス管17と、このバイパス管17を開閉するバイパス管電磁弁18と、バイパス管開閉弁操作スイッチとを有している。
そのため、バイパス管電磁弁18を開放することによって、水道水をバイパス管17、浄水管13、浄水用吐水管11aに順次流通させた後、浄水用吐水口11bからシンクSに吐水させることができる。その結果、浄水管13および浄水用吐水管11aの内部や、浄水用吐水口11bなど、細菌に汚染されやすい部分を残留塩素を含む水道水で洗浄し、懸念されている細菌汚染を抑制することができる。
【0020】
以上の例では、浄水手段12、12’としては、水道水中の残留塩素や総トリハロメタンなどを除去、吸着する活性炭と、一般細菌や不純物を取り除く中空糸膜などを備えた着脱自在な浄水カートリッジを例示しているが、少なくとも水道水中の残留塩素を除去する機能を備え、さらに必要に応じて総トリハロメタン、一般細菌、不純物などを除去する機能を備えた浄水手段であればよく、処理剤の種類、構成や、処理剤が充填されるカートリッジの形態などに制限はない。
【0021】
また、浄水用操作手段としては、プッシュ式のタクトスイッチ(登録商標)からなる浄水用操作スイッチ16を例示したが、その形態には制限はなく、例えば回転ダイヤル式、センサー式、リモコン式などのスイッチの他、回動式の操作レバーなども例示できる。また、この例では、浄水用操作手段としてタクトスイッチ(登録商標)を採用し、手元で操作しやすい点から、その設置場所としては浄水用水栓11の上面部を例示したが、浄水用水栓11の形状、浄水用操作手段の形態などに応じて適宜決定できる。
【0022】
また、以上の例では、タクトスイッチ(登録商標)からなる浄水用操作スイッチ16が、バイパス管電磁弁18を開閉するバイパス管開閉弁操作手段としての役割も兼ねている形態を例示した。そして、タクトスイッチ(登録商標)を押し続ける時間により、電磁弁15を開閉して浄水吐水口11bから浄水を吐水させるか、バイパス管電磁弁18を開閉して浄水吐水口11bから水道水を吐水させるかが区別できるようにした。しかしながら、浄水用操作スイッチ16にバイパス管開閉弁操作手段を兼用させずに、別途、バイパス管開閉弁操作手段を独立に設けてよい。また、浄水用操作スイッチ16にバイパス管開閉弁操作手段としての作用を兼用させる場合でも、電磁弁15を開閉するか、バイパス管電磁弁18を開閉するかが区別可能に構成されていればよく、スイッチを押し続ける時間によって区別される形態には限定されない。また、スイッチを押し続ける時間によって、電磁弁15を開閉するか、バイパス管電磁弁18を開閉するかが区別できるようにする場合にも、スイッチとしてはそのような区別が可能な構成のものを適宜採用でき、タクトスイッチ(登録商標)に限定されない。
【0023】
また、原水供給管14の開閉弁およびバイパス管開閉弁の形態としては、いずれも電磁弁を例示しているが、流路の開閉を切り替えることができるものであれば電磁弁に限定されない。
さらに、原水供給管14とバイパス管17との分岐部分に、分岐栓19の代わりに三方弁を設け、この三方弁に、バイパス管電磁弁18と電磁弁15の機能を持たせた構成とすることもできる。このような構成によれば、シンク下のコンパクト化や省施工を実現できる。
【符号の説明】
【0024】
10,10’:浄水装置、11:浄水用水栓、12,12’:浄水手段、11a:吐水管、11b:浄水用吐水口、13:浄水管、17:バイパス管、18:バイパス管電磁弁(バイパス管開閉弁)、S:シンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を処理する浄水手段と、
該浄水手段を経た浄水が流れる浄水管と、
前記浄水管からの前記浄水を吐水する浄水用吐水管を有する浄水用水栓と、
原水を吐水する原水用吐水管を有する一般水栓と、
前記浄水管に原水を供給するバイパス管と、
該バイパス管を開閉するバイパス管開閉弁と、
該バイパス管開閉弁の開閉を切り替えるバイパス管開閉弁操作手段と、
が備えられたシステムキッチン。
【請求項2】
前記浄水手段が、システムキッチンのシンクの下方に配され、
前記浄水管の下流側は、前記浄水用水栓の内部で前記浄水用吐水管に連通していることを特徴とする請求項1に記載のシステムキッチン。
【請求項3】
前記浄水手段及び前記浄水管が、前記浄水用水栓の内部に配されていることを特徴とする請求項1に記載のシステムキッチン。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−242356(P2010−242356A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91423(P2009−91423)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(504346204)三菱レイヨン・クリンスイ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】