説明

シュレッダー

【課題】家庭で日々排出されるトレー、ペットボトル等の軽量で嵩張る廃プラスチックを簡易に細断して、減容することできる廃プラスチック用シュレッダーを提供する。
【解決手段】廃プラスチックを細断するシュレッダー本体を備えたシュレッダーであって、前記シュレッダー本体の上部に設置され、投入された廃プラスチックを水平方向に押圧する第一の押圧手段、及び、投入された廃プラスチックをシュレッダー本体に内蔵された回転カッターに向けて下方向へ押圧する第二の押圧手段を内蔵するホッパーを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュレッダーに関し、より詳細にはプラスチックトレーやペットボトル等の廃プラスチックを細断して減容するシュレッダーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、魚、肉、豆腐、清涼飲料水等の飲食品が、プラスチックや発泡スチロール製のトレーや容器に入って販売されている。これらは、スーパーストアや小売店で毎日購入する品物であり、使用済みのプラスチック類(以下、「廃プラスチック」ということがある)は、家庭内で、毎日、比較的大量に発生する。
【0003】
廃プラスチックの清掃局等による収集は、通常、週1回である。したがって、1週間分の廃プラスチックが家庭内に溜まり、特に単身者用のような狭い住環境で非常に場所を取るという問題を生じる。また、廃プラスチックは軽量であるため、回収日に風が吹くと、道路に飛び散るほど散乱することがある。さらに、清掃局の集積場等でも廃プラスチックが山積した状態となる。
【0004】
家庭や小規模事業所では、廃プラスチックをゴミだしする前に減容化することが望ましい。減容化対策として、シュレッダーの使用が考えられる。現在、プラスチックを細断するための業務又は家庭用シュレッダーとして、CDやDVDのような情報記録媒体を細断するものが数多く市販されている。これらのシュレッダーは、薄いCD等を手動又は電動で細断することができるが、トレーやペットボトルのような嵩張ったものの細断には向かない。
【0005】
厚みのある廃材を細断するシュレッダーとして、特許文献1や2に空き缶シュレッダーが開示される。しかし、これらのシュレッダーでトレーやペットボトルのような軽量のものを細断しようとすると、浮き上がって細断が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−185294
【特許文献2】特開平9−131546
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、家庭で毎日排出される軽くて嵩張るプラスチック類を簡単に細断して減容化する廃プラスチック用のシュレッダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を鋭意検討した結果、以下の発明により解決できることを見出した。すなわち、本発明は、廃プラスチックを細断するシュレッダー本体を備えたシュレッダーであって、前記シュレッダー本体の投入口の上部に設置され、投入された廃プラスチックを水平方向に押圧する第一の押圧手段、及び、投入された廃プラスチックをシュレッダー本体に内蔵された回転カッターに向けて下方向へ押圧する第二の押圧手段を内蔵するホッパーを備えたシュレッダーを提供する。
【0009】
前記第一及び/又は第二の押圧手段は、油圧により動作させることができる。
【0010】
前記回転カッターの刃は、回転カッターの両端及び中央付近において拡径しているか、あるいは長い爪を有することが好ましい。
【0011】
本発明のシュレッダーは、さらに、ペットボトルのキャップを切断する機構を有することが好ましい。
【0012】
本発明のシュレッダーは、さらに、シュレッダー本体の下部に廃プラスチックの仕分け手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシュレッダーは、軽量で嵩張るプラスチック類を水平方向及び上方向の二方向から押圧するために、プラスチック類を確実に扁平化し、回転カッターへの噛みこみを促進する。本発明のシュレッダーは、構造も簡単であり、安価に製作可能である。
【0014】
本発明のシュレッダーは、家庭内で広い場所を占めていたプラスチックトレーやペットボトル等の廃プラスチックを細断して減容化できる。シュレッダーをキッチンの片隅に置くことで、キッチンがすっきりと片付く。週1回の廃プラスチックのゴミだしが月1回で済む等、ゴミだし作業も楽になる。廃プラスチックの集積場での収容面積も低減できる。廃プラスチックは、集荷場で大規模な工業用シュレッダーを用いて細断され、選別後、再資源化される。本発明のシュレッダーが各家庭に普及すれば、集荷場での細断の手間も大いに省ける。
【0015】
第一及び/又は第二の押圧手段を油圧で動作させるシュレッダーによれば、ペットボトルのような比較的堅い廃プラスチックも容易に細断できる。
【0016】
さらに、仕分け手段が付加されたシュレッダーによれば、一台で、廃プラスチックとそれ以外の減容化が仕分けられた状態で可能になり、シュレッダーの利用度と利便性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】本発明の一実施態様に従うシュレッダーの正面を切り欠いて内部を露出させた斜視図である。
【図1B】図1AのAA矢視平面図である。
【図2】第一の押圧手段を油圧で動作させる態様の概念図である。
【図3】キャップ切断機構を付加した別の実施態様のホッパーの平面図である。
【図4】キャップ切断機構のさらに別の実施態様の平面図である。
【図5A】図1のシュレッダーにおいて、第一及び第二の押圧手段の移動前の様式を示す斜視図である。
【図5B】図1のシュレッダーにおいて、第一及び第二の押圧手段の移動後の様式を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明のシュレッダーの一実施態様を添付の図面を用いて説明する。図1に示す本発明のシュレッダー1は、シュレッダー本体100上に廃プラスチックAを投入するホッパー200が設置される。このホッパーには、図5Bに示す第一の押圧手段210及び第二の押圧手段220が内蔵される。
【0019】
第一の押圧手段210は、投入された廃プラスチックを水平方向に押圧するためにあり、固定プレート211と第一の押圧プレート212とを備える。両板間に廃プラスチックが押圧されることで、廃プラスチックは扁平にされながら、回転カッター110への巻き込みが促進される。
【0020】
固定プレート211は、ホッパー正面201の内壁に固着されている。一方、第一の押圧プレート212は、その下端を1対の回転カッター110近傍に位置させ、そして、上端を回転カッター上方に廃プラスチックを収容可能な隙間をもって位置するように斜状に配設する。押圧プレートは、それと固定プレートとの間に挟持された廃プラスチックを固定プレート側へ押し付ける方向へ傾動可能である。
【0021】
なお、廃プラスチックAの投入前は第一の押圧プレートの上端を開放するように、図1では、第一の押圧プレートの上端に、一端を固定したスプリング213の他端をホッパー裏面202の内壁上部に係り止める。このスプリングが第一の押圧プレートと固定プレートとの間隙を開く方向へ付勢する。
【0022】
押圧プレートを固定プレートの方向へスプリングの付勢力に逆らって押圧する力によって、固定プレートと第一の押圧プレートとの間に挟持された廃プラスチックは固定プレートに押し付けられる。押圧する原動力は、限定されない。図1では、第一の押圧プレート212の両側のそれぞれに、フックをホッパーの両側面203に空けた、フックが遊嵌できる円弧孔を通して固着する。各フックに、シュレッダー外部に設置したペダル214との間を、動力伝達ワイヤー215で連結する(図を見やすくするため、反対側のフックに連結したワイヤーを省略)。ペダルを踏むと、ペダルの踏力がワイヤーを介して第一の押圧プレートに固着したフックに伝えられ、第一の押圧プレートが固定プレート側へ引っ張られるように傾動する。
【0023】
上記押圧手段は、プラスチックトレーのような比較的軟らかい廃プラスチックの扁平化に向いている。ペットボトルのような堅い廃プラスチックの扁平化には、より強い押圧力が必要となる。その場合、第一の押圧手段の原動力を油圧に変更するとよい。図2に、第一の押圧プレート212に、ペダル214、動力伝達ワイヤー215、ロッド216、マスターシリンダー218、ホース219、ピストン217の順に接合した概念図を示す。ペダルを踏むと、ペダルの踏力が動力伝達ワイヤーを介して伝わり、マスターシリンダーを伸長し、さらにホースを介してピストンに伝わる。ピストンに連結されたロッドが、第一の押圧プレートを固定プレート側へ傾動させる。これにより廃プラスチックAは、板状に押圧されて、回転カッター110に進入する。
【0024】
廃プラスチックの押圧が第一の押圧手段による水平方向のみからであると、軽量の廃プラスチックが浮き上がりやすく、押圧がうまくゆかない。これを防止するために、ホッパーは、投入された廃プラスチックを回転カッターに向けて下方向へ押圧する第二の押圧手段を備える。
【0025】
第二の押圧手段は、ホッパー内を下方に摺動可能な第二の押圧プレート221を含む。この押圧プレートは、プレートと回転カッターとの間に挟持された廃プラスチックを回転カッター側に押し付けるように降下可能である。第二の押圧プレートの横幅(図1BのX)は、ホッパーの横幅(図1BのX’)とほぼ同じである。一方、第一の押圧プレートが固定プレート側に傾動して固定プレートと第一の押圧プレートとの離隔が狭まる間、その離隔の中を第二の押圧プレートが降下できるように、第二の押圧プレートの縦幅(図1BのY)は、ホッパーの奥行き(図1BのY’)よりも充分に短い。こうして、廃プラスチックがホッパー内に収容された後、第一と第二の押圧プレートが協同して押圧することで、廃プラスチックの逃げ場を封じる。
【0026】
なお、廃プラスチックAの投入前は、第二の押圧プレートを上方に待機するように、図1では、第二の押圧プレート221に一端を固定してスプリング223の他端をホッパー側面203の外壁上部に係り止めて、第二の押圧プレートを上方へ付勢している。
【0027】
第二の押圧プレートは、スプリングの付勢力に逆らって押圧する力によって、第二の押圧プレート下にある廃プラスチックAを回転カッターに押し付ける。この押圧する原動力は、限定されない。図1では、この押圧プレートを摺動させるために、第二の押圧プレート221の側面に、ホッパーの両側面203に空けた長孔222に通して、二個のフックがそれぞれ固着されている。各フックに、シュレッダー外部に設置したペダル224との間を動力伝達ワイヤー225が巻回されている(図を見やすくするため、反対側のフックに連結するワイヤーを省略)。ペダルを踏むと、ペダルの踏力が動力伝達ワイヤーを介して第二の押圧プレートに固着したフックに伝えられ、第二の押圧プレートが回転カッター側へ引っ張られるように降下する。
【0028】
第二の押圧手段は、第一の押圧手段と同じように、油圧で動作するようにしてもよい。その際の構成は、上記と同様である。また、第一の押圧手段と第二の押圧手段とは、一のペダルを踏む行為で同時に動作するように連携してもよい。
【0029】
本発明のシュレッダー1は、細断片を回収する細断物の収容箱400の上部に回転カッター110を内蔵したシュレッダー本体を有する従来のシュレッダーに、本発明の特徴である第一及び第二の押圧手段を内蔵するホッパーが付加されたものである。したがって、シュレッダー本体の基本的構成は、従来公知のものを同様である。以下に、シュレッダー本体の好ましい態様を説明する。
【0030】
シュレッダー本体100は、モータ(図示せず)によって駆動する二組の回転カッター110を備える。二組の回転カッターは、各支軸に複数毎のディスク刃が間隔2〜4mmを開けて、互いに重なり合うように設置される。ディスク刃は、その間に投入された廃プラスチックを巻き込むように回転する。なお、回転カッター内に噛み込んだプラスチックの破片を容易に取り除くために、二組の回転カッターは上記と逆回転することも可能である。
【0031】
回転カッターは、両端及び中央付近に位置するディスク刃の形状を若干大きくするか、又は長い爪を有するとよい。このようにすると、廃プラスチックの巻き込みが、より確実になる。
【0032】
ペットボトルのキャップは、ペットボトル本体とは異なる堅い材質でできている。このようなキャップは、シュレッダーに噛み込まれ難く、あるいは回転カッターへの過負荷となる。そこで、図3では、ホッパー内にペットボトルのキャップ切断機構300を設けて、切断したキャップを、回転カッターを通さずに別の収容箱へ回収する。キャップ切断機構は、ホッパーの側面203の壁近傍に、刃を上に向けた二枚のカッター310が、ハの字状かつ、ペットボトルの首軸と直交するように配置される。第二の押圧手段がペットボトルを下方向へ押圧する時に、カッターによってペットボトルの首がキャップとともに切り落とされる。
【0033】
図4には、キャップ切断機構を、ホッパー側面203の壁近傍に、刃を上に向けて円形に配設された回転鋸刃320で実現している。この場合、回転鋸刃は、図示しないモータで駆動される。第二の押圧手段がペットボトルを下方向へ押圧する時に、回転鋸刃によってペットボトルの首がキャップとともに切り落とされる。切り落とされたキャップは、回転カッターを通らずに別の収容箱へ回収される。
【0034】
回転カッターによって細断された廃プラスチックは、回転カッターの下方に設置された細断物の収容箱400の中に落下する。
【0035】
本発明のシュレッダーは、廃プラスチックの詳細な分別や、廃プラスチック細断以外に紙等の通常の細断も可能とするために、回転カッター直下に、落下する細断片を仕切られた細断片収容箱のいずれかの方向へ仕分ける手段410を設けることが好ましい。仕分け手段は、図1では、二室に仕切られた細断片収容箱の中央の仕切り上に、上端が傾動可能に固定された仕切り板411である。
【0036】
上記仕切り板の傾動手段は、特に制限されない。図1では、シュレッダーの正面から仕切り板411の下端に取り付けられた回転レバー412を手動で左右方向に回転することにより、仕切り板の下端を支点として仕切り板の上端を左右方向に傾斜させ、左右いずれかの収容箱へ細断片を導く。
【0037】
手動の回転レバーに代えて、図示しないプラスチックセンサーがプラスチック類とそれ以外を検出することにより、仕切り板の傾斜方向を自動で変更してもよい。これにより、プラスチック類とそれ以外を細断片収容箱のいずれか片側に仕分けることが自動化される。
【0038】
本発明のシュレッダーの使用状態を、図5A及び5Bを用いて説明する、図5Aにおいて、ホッパー200へ廃プラスチックAを投入する。次いで、図5Bのように蓋を閉めた後、シュレッダーの電源を入れる。ペダル224を踏むと、第二の押圧手段220である第二の押圧プレート221が回転カッター110に向かって降下する。廃プラスチックが即席面カップのようにかなり厚い場合は、ペダル214を踏んで、第一の押圧手段210である第一の押圧プレート212を固定プレート211に向かって傾動させる。これらの動作によって、廃プラスチックAは、浮き上がることなく扁平に押圧されながら、回転カッター110に送り込まれる。その後、回転カッターで短冊状に細断されたた破片は、仕切り板411に導かれ、一方の収容箱400内に回収される。
【符号の説明】
【0039】
1 シュレッダー
100 シュレッダー本体
110 回転カッター
200 ホッパー(シュレッダー投入口)
201 ホッパー正面
202 ホッパー裏面
203 ホッパー側面
210 第一の押圧手段
211 固定プレート
212 第一の押圧プレート
213 スプリング
214 ペダル
215 動力伝達ワイヤー
216 ロッド
217 ピストン
218 マスターシリンダー
219 ホース
220 第二の押圧手段
221 第二の押圧プレート
222 長孔
223 スプリング
224 ペダル
225 動力伝達ワイヤー
300 ペットボトルキャップ切断機構
310 カッター
320 回転鋸刃
400 細断片収容箱
410 仕分け手段
411 仕切り板
412 回転レバー
A 廃プラスチック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを細断するシュレッダー本体を備えたシュレッダーであって、前記シュレッダー本体の上部に設置され、投入された廃プラスチックを水平方向に押圧する第一の押圧手段、及び、投入された廃プラスチックをシュレッダー本体に内蔵された回転カッターに向けて下方向へ押圧する第二の押圧手段を内蔵するホッパーを備えたことを特徴とする、前記シュレッダー。
【請求項2】
前記第一及び/又は第二の押圧手段が、油圧により動作することを特徴とする、請求項1に記載のシュレッダー。
【請求項3】
前記回転カッターを構成するディスク刃は、回転カッターの両端及び中央付近において拡径しているか、あるいは長い爪を有する、請求項1又は2に記載のシュレッダー。
【請求項4】
さらに、ホッパー内のシュレッダーより上方にペットボトルキャップを切断する機構を備える、請求項1〜3のいずれかに記載のシュレッダー。
【請求項5】
さらに、シュレッダー本体の下部に廃プラスチックの仕分け手段を備える、請求項1〜4のいずれかに記載のシュレッダー。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2012−75972(P2012−75972A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220484(P2010−220484)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(503027861)トーシン株式会社 (8)
【Fターム(参考)】