説明

シリコン単結晶製造方法

【課題】変形及び転位が抑制され、且つテール部が省略されたシリコン単結晶を製造し得る、シリコン単結晶製造方法を提供する。
【解決手段】シリコン単結晶製造方法は、磁場中心L2における磁束密度が1000ガウス以上2000ガウス以下である水平磁場を印加しつつシリコン単結晶2の直胴部4を成長させた後、融液32の液面に対するシリコン単結晶の相対的な引上げ速度を0mm/分にし、その後、シリコン単結晶の見かけの重量が減少するまで、その停止状態を維持し、さらに停止状態を維持して、融液に接するシリコン単結晶の成長面全体をシリコン単結晶の引上げ方向と反対方向に凸形状にした後、融液から単結晶を切り離す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリコン単結晶製造方法に係り、特にチョクラルスキー法(以下CZ法と記す。)によるシリコン単結晶製造において、シリコン融液から切り離す際に転位の発生を防止する、シリコン単結晶の切り離し面の形状を改善したシリコン単結晶製造に係る。
【背景技術】
【0002】
CZ法では、シリコン多結晶原料をルツボ内で加熱し融解させて原料融液を生成し、その原料融液の液面に種結晶を浸漬した後、種結晶を保持している引上ワイヤを徐々に巻き取ることにより、シリコン単結晶の引上げを行う。その際、先ず、種結晶との接触部から徐々に拡径したコーン部(拡径部)を成長させ、結晶径が目標の径に達したら直径が一定の直胴部(定径部)を成長させる。そして、直胴部の長さが所定の長さに到達したら、シリコン単結晶を原料融液から切り離す。
【0003】
シリコン単結晶を原料融液から切り離す際、単に切り離しを行ったのでは、切り離し部位であるシリコン単結晶下端部に急激な温度低下が起こる。その結果、引き上げられたシリコン単結晶内にスリップ転位が発生し、単結晶化率を大きく低下させてしまう。
【0004】
そこで、通常は、シリコン単結晶の直胴部の成長後、徐々に直径を細く絞っていき、シリコン単結晶と原料融液との接触面を十分に小さくした状態で、シリコン単結晶を原料融液から切り離すことにより、転位の発生を防止している。この細く絞られた部位はテール部と呼ばれる。
【0005】
しかし、テール部は、その結晶径が所望の径より小さいため、製品とはならず歩留の低下原因となっている。したがって、シリコン単結晶の生産性を高める上でテール部の形成工程を短縮又は省略することが好ましい。
【0006】
シリコン単結晶のテール部の形成工程を短縮又は省略する技術は既にいくつか存在し、その一つとしてシリコン単結晶の直胴部を成長させた後、当該シリコン単結晶の引上げ速度と同速度で原料融液の入ったルツボを上昇させ、シリコンの単結晶の底面を下向きの凸形状にすることによって、転位の発生を抑制してシリコン単結晶を原料融液から切り離す方法が知られている(特許文献1)。
【0007】
近年、シリコンウェーハの口径は、大口径化し300mm以上が主流となってきているが、大口径のシリコン単結晶の製造では、シリコン融液の重量増加に伴ってルツボ内での自然対流が強くなり、転位やシリコン単結晶の変形が生じ易いため、融液に水平磁場を印加することによって自然対流を制御し、転位及びシリコン単結晶の変形の抑制が図られている。しかし、水平磁場を印加することによってシリコン単結晶の直胴部における転位や変形の抑制を図れるものの、水平磁場を印加した状態では、シリコン単結晶の界面の中心と周辺の温度差が、水平磁場がないものに比し小さく、シリコン単結晶の界面の下凸形状を形成しにくくシリコン単結晶と融液とを切り離す際に転位の発生を抑制してテール部を省略するのが困難であるという現状があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−176761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、水平磁場を印加した状態でも融液に接するシリコン単結晶の成長面全体をシリコン単結晶の引上げ方向と反対方向に凸形状形成を可能とする製造方法を見出した。凸形状形成後、シリコン単結晶と融液とを切り離すことにより、転位を抑制してテール部を省略し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、転位の発生を抑制・防止しつつシリコン単結晶を融液から切り離す方法において、高い成功率で切り離すことができる結晶成長方法について鋭意研究を重ねた。その結果、磁場中心における磁束密度が1000ガウス以上2000ガウス以下である水平磁場を印加しつつシリコン単結晶の直胴部を成長させた後、融液の液面に対するシリコン単結晶の相対的な引上げ速度を0mm/分にし、その後、シリコン単結晶の見かけの重量が減少するまで、その停止状態を維持し、さらに停止状態を維持して、融液に接するシリコン単結晶の成長面全体をシリコン単結晶の引上げ方向と反対方向に凸形状にした後、融液から単結晶を切り離すことによって転位の発生を抑制しテール部を省略することを可能にした。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、磁場中心における磁束密度が1000ガウス以上2000ガウス以下である水平磁場を印加しつつシリコン単結晶を引上げるため、融液の自然対流を制御して直胴部における変形及び転位を抑制できる。また、シリコン単結晶の見かけの重量が減少するまで融液の液面に対するシリコン単結晶の相対的な引上げを停止させ、さらにその後も停止状態を維持することによって、シリコン単結晶の成長面全体をシリコン単結晶の引上げ方向と反対方向に凸形状にするため、転位を抑制してテール部を省略し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態のシリコン単結晶製造装置の概略構成図である。
【図2】実施形態のシリコン単結晶製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】シリコン単結晶の成長面の形状の変化を説明するための部分拡大概略図である。
【図4】テール部の省略に失敗したシリコン単結晶の成長面の例を示す写真である。
【図5】テール部の省略に成功したシリコン単結晶の成長面の例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
図1において概説すると、実施形態のシリコン単結晶製造装置100は、CZ法に基づいてシリコン単結晶2を製造するものである。シリコン単結晶製造装置100は、融液32を収容するルツボ30と、シリコン単結晶2の昇降、シリコン単結晶2の回転、及びルツボ30の回転を行う駆動装置10と、融液32に水平磁場を印加する磁場印加装置50と、を有する。また、シリコン単結晶製造装置100は、駆動装置10によるシリコン単結晶2の昇降、シリコン単結晶2の回転、及びルツボ30の回転、並びに磁場印加装置50からの水平磁場を制御する制御装置1を有する。
【0015】
また、シリコン単結晶製造装置100は、ルツボ30及びシリコン単結晶2を収容するチャンバ20と、ルツボ30の側壁に沿って配置されるヒータ42と、ルツボ30の下方に配置されるヒータ44と、チャンバ20の側壁及び底に配置される保温材26と、を有する。
【0016】
また、シリコン単結晶製造装置100は、チャンバ20の上部から垂れ下がるワイヤ3と、シリコン単結晶2の見かけの重量を測定するための重量測定部5と、ワイヤ3の先端に設けられ種結晶8を保持するチャック6と、を有する。重量測定部5は、例えばロードセルである。見かけの重量は、シリコン単結晶2の重量から、融液32の浮力を引いたものである。
【0017】
また、シリコン単結晶製造装置100は、チャンバ20内に不活性ガスを導入するためのガス導入口22と、導入された不活性ガスをチャンバ20から排出するためのガス排出口24と、不活性ガスを整流するための整流筒60と、を有する。不活性ガスは例えばArガスである。
【0018】
融液32は原料である多結晶シリコンを融解させたものである。ルツボ30は、例えば合成石英ガラスによって形成される。ルツボ30は、ルツボ30を支持する軸34に底で接続している。整流筒60は、ルツボ30の上方に設けられ、略円錐台面状である。
【0019】
駆動装置10は、ワイヤ3の引き出し及び巻き取りを行う巻き取り機12と、ルツボ30を回転させるルツボ駆動機14と、を有する。巻き取り機12は、ワイヤ3を回転させながら巻き取ることができる。軸34はルツボ駆動機14に接続しており、ルツボ30は軸34を介してルツボ駆動機14によって回転する。
【0020】
磁場印加装置50は、一対のコイル52を備える。一対のコイル52は、チャンバ20の外側でチャンバ20を挟むように配置される。コイル52が生成する水平磁場の磁場中心L2は、シリコン単結晶2の中心軸L1に対して略直角である。磁場印加装置50は、シリコン単結晶2の中心軸L1に沿って昇降可能であり、磁場中心L2の位置を、シリコン単結晶2の中心軸L1に沿って変えられる。
【0021】
制御装置1は、巻き取り機12、ヒータ42、44、ルツボ駆動機14、及び磁場印加装置50に電気的に接続している。制御装置1は、巻き取り機12によるワイヤ3の巻き取り速度、ワイヤ3の回転方向、及びワイヤ3の回転速度、つまりシリコン単結晶2の引き上げ速度、シリコン単結晶2の回転方向、及びシリコン単結晶2の回転速度を制御できる。また、制御装置1は、ルツボ駆動機14によるルツボ30の回転方向及び回転速度を制御できる。また制御装置1は、シリコン単結晶2の中心軸L1に沿うコイル52の位置、つまり水平磁場の磁場中心L2の位置を制御できる。また、制御装置1は、水平磁場の磁場中心L2の磁束密度を制御でき、磁場中心L2における磁束密度を1000ガウス以上2000ガウス以下とすることができる。また、制御装置1は、ヒータ42、44の出力を制御でき、ヒータ44の出力を固定しヒータ42の出力を変えることによって融液32の温度を制御できる。制御装置1は、重量測定部5と電気的に接続しており、シリコン単結晶2の見かけの重量をモニタできる。
【0022】
制御装置1は、CPU、及び記憶装置を主体とした構成を有し、シリコン単結晶製造装置100全体の動作を記憶装置に記憶している。制御装置1は、例えば、PC、又はEWS(エンジニアリングワークステーション)である。以下に述べるシリコン単結晶製造方法は、制御装置1が各構成要素の動作を制御することによって行われる。
【0023】
実施形態のシリコン単結晶製造方法について述べる。
【0024】
図2において概説すると、実施形態のシリコン単結晶製造方法は、CZ法に基づいてシリコン単結晶2を製造するものであり、チャンバ20内を不活性ガス雰囲気にする不活性ガス充填工程S1と、融液32を生成させる融液生成工程S2と、シリコン単結晶2の直胴部4を成長させる直胴部成長工程S3(第1の工程)と、シリコン単結晶2のテール部を省略するための、停止工程S4(第2の工程)、第1停止維持工程S5(第3の工程)、及び第2停止維持工程S6(第4の工程)と、融液32からシリコン単結晶2を切り離す切り離し工程S7(第5の工程)と、を有する。
【0025】
不活性ガス充填工程S1は、チャンバ20を密封し、真空ポンプ(不図示)によってガス排出口24から排気しつつ、ガス導入口22より不活性ガスを導入してチャンバ20内を不活性ガス雰囲気にする。なお、以下に説明する工程においてもチャンバ20内に不活性ガスを流すことによって、チャンバ20内を不活性ガス雰囲気に保つ。
【0026】
融液生成工程S2は、不活性ガス充填工程S1の後、ルツボ30に充填された原料をヒータ42、44によって融解させて融液32を生成させる。
【0027】
直胴部成長工程S3は、融液生成工程S2の後、巻き取り機12によって種結晶8を融液表面まで降下させて浸漬し、磁場中心L2における磁束密度が1000ガウス以上2000ガウス以下である水平磁場を融液32に印加しつつ、巻き取り機12によって融液32からシリコン単結晶2を引上げ、シリコン単結晶2の直胴部4を成長させる。シリコン単結晶2及びルツボ30は互いに逆方向に回転する。
【0028】
直胴部4は、シリコン単結晶2のうち、直径がシリコン単結晶2の中心軸L1の方向に略一定の円筒形状の部分であり、直胴部成長工程S3は、シリコン単結晶2がコーン部の形成を経て予め設定した直径に達したら、直胴部4を成長させる。
【0029】
停止工程S4は、直胴部成長工程S3の後、ルツボ30の昇降を停止させた状態で、シリコン単結晶2の引上げ速度を0mm/分にする。第1停止維持工程S5は、停止工程S4の後、重量測定部5によって測定されるシリコン単結晶2の見かけの重量が減少するまで、シリコン単結晶2の引上げ速度を0mm/分とした停止状態を維持する。第2停止維持工程S6は、第1停止維持工程S5の後、停止状態をさらに維持し、融液32に接するシリコン単結晶2の成長面全体をシリコン単結晶2の引上げ方向と反対方向に凸形状(以下、単に下凸形状と称す。)にする。
【0030】
停止工程S4、第1停止維持工程S5、及び第2停止維持工程S6では、直胴部成長工程S3と同様、磁束密度が1000ガウス以上2000ガウス以下の水平磁場が融液32に印加される。本実施形態と異なり、停止工程S4、第1停止維持工程S5、及び第2停止維持工程S6において、水平磁場の印加を停止してもよいが、水平磁場の印加を停止することによって融液32の流れが変化し、転移が生じる要因となる虞がある。従って、転位を抑制するため、本実施形態のように、停止工程S4、第1停止維持工程S5、及び第2停止維持工程S6においても、水平磁場を融液32に印加し続けることが好ましい。停止工程S4、第1停止維持工程S5、及び第2停止維持工程S6において、シリコン単結晶2及びルツボ30は、互いに逆方向に回転する。
【0031】
切り離し工程S7は、第2停止維持工程S6の後、ワイヤ3の巻き取りを停止させ、ルツボ30を下降させることによって融液32からシリコン単結晶2を切り離す。
【0032】
以下、図3を参照しつつ、直胴部成長工程S3から切り離し工程S7までのシリコン単結晶2における成長面7の形状変化について述べる。
【0033】
図3(A)に示すように、直胴部成長工程S3では、シリコン単結晶2の成長面7は、シリコン単結晶2の引き上げ方向に突出した形状(以下、単に上凸形状と称す。)を有する。その後、図3(B)に示すように、停止工程S4においてシリコン単結晶2の引上げ速度が0mm/分になると、成長面7はシリコン単結晶2の引上げ方向と反対方向に成長し始める。そして図3(B)、図3(C)に示すように、第1停止維持工程S5において成長面7の上凸形状が徐々に緩和されてほぼフラットな形状になり、成長面7が融液32の液面9とほぼ一致するに到り、その後、成長面7が下凸形状になり、液面9より下に位置するようになる。成長面7が液面9より上にある間は融液32からの浮力がシリコン単結晶2に作用せず、シリコン単結晶2が成長して成長面7の上凸形状が徐々に緩和されるに従い見かけの重量が少しずつ増加するが、成長面7が下凸形状になって液面9より下に位置するようになると融液32から浮力が作用し、シリコン単結晶2の見かけの重量が減少すると考えられる。そして図3(D)に示すように、第2停止維持工程S6において停止状態をさらに維持することによって成長面7の全体が下凸形状になる。
【0034】
水平磁場を印加する場合、水平磁場がない場合に比し成長面全体を下凸形状にし難く、成長面全体が下凸形状になる前にシリコン単結晶2が融液32から切り離され易いため、第1停止維持工程S5及び第2停止維持工程S6によって、成長面7の全体を下凸形状にすることが重要である。
【0035】
次に、以上説明したシリコン単結晶製造方法に基づいてシリコン単結晶を実際に製造した比較例1〜4及び実施例1、2について述べる。
【0036】
比較例1〜4及び実施例1、2では、合成石英ガラスによって形成されたルツボ30に原料を240kg充填し、チャンバ20内の圧力を70mbarとした。そして、比較例1〜4及び実施例1、2の各々で融液32に印加する水平磁場の磁束密度を変えてシリコン単結晶2を製造した。製造したシリコン単結晶2の口径は450mmである。
【0037】
比較例1、2では磁束密度を3000ガウスとし、比較例3では磁束密度を3800ガウスとし、比較例4では磁束密度を500ガウスとした。一方、実施例1では磁束密度を1000ガウスとし、実施例2では磁束密度を2000ガウスとした。表1に比較例1〜4及び実施例1、2を結果とともに示す。
【0038】
【表1】

【0039】
表1に示すように、磁束密度が1000ガウス以上2000ガウス以下の範囲にある実施例1、2では、直胴部4の形成に成功した。一方、1000ガウス未満、又は2000ガウスより大きい範囲に磁束密度がある比較例1、3、4では、直胴部4に変形や転位が生じた。
【0040】
従って、水平磁場の磁束密度は好ましくは1000ガウス以上2000ガウス以下であると考えられ、この範囲に磁束密度があることによって、直胴部4における変形及び転位の発生の抑制を図り得ると考えられる。一方、1000ガウス未満ではシリコン単結晶2に変形が生じやすく、2000ガウスより大きいと成長面7を下凸形状にし難いと考えられる。
【0041】
比較例2では、直胴部4における変形及び転位の発生を抑制できたが、テール部の省略に失敗した。一方、実施例1、2ではいずれも転位を抑制したテール部の省略に成功した。
【0042】
テール部の省略に失敗した実験では図4に示すように成長面7が下凸形状となったものの、成長面7の一部が下凸形状になったにすぎず、成長面7の全体が充分に下凸形状となる前に融液32とシリコン単結晶2とが切り離されていた。
【0043】
一方、テール部の省略に成功した実験では、図5に示すように成長面7の全体が下凸形状となっており、水平磁場を印加した状態でも転位を抑制してシリコン単結晶2を融液32から切り離すことができた。
【0044】
本実施形態の効果を述べる。
【0045】
本実施形態では、1000ガウス以上2000ガウス以下の水平磁場を印加しつつシリコン単結晶2を引上げることによって融液32の自然対流が制御されるため、直胴部4における変形及び転位が抑制される。
【0046】
また、シリコン単結晶2の見かけの重量が減少するまで融液32の液面に対するシリコン単結晶2の相対的な引上げを停止させ、さらにその後も停止状態を維持してシリコン単結晶2の成長面7全体を下凸形状にするため、成長面7が充分に下凸形状となる前にシリコン単結晶2が融液32から切り離されることが防止され、水平磁場を印加した状況でも転位を抑制してテール部を省略し得る。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変できる。
【0048】
例えば、上述の実施形態と異なり、駆動装置10が、シリコン単結晶2の昇降だけでなくルツボ30の昇降を行ってもよく、この場合、ルツボ駆動機14がルツボ30を回転及び昇降させてもよい。そしてシリコン単結晶2の引き上げ速度と同速度でルツボ30を上昇させることによって、融液32の液面に対するシリコン単結晶2の相対速度を0にし、所定の時間、融液32に対してシリコン単結晶2を停止させてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 制御装置、
2 シリコン単結晶、
3 ワイヤ、
4 直胴部、
5 重量測定部、
6 チャック、
7 成長面、
8 種結晶、
9 シリコン融液の液面、
10 駆動装置、
12 巻き上げ機、
14 ルツボ駆動機、
20 チャンバ、
22 ガス導入口、
24 ガス排出口、
30 ルツボ、
32 融液、
42、44 ヒータ、
50 磁場印加装置、
52 コイル、
60 整流筒、
100 シリコン単結晶製造装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョクラルスキー法に基づいてシリコン単結晶を製造するシリコン単結晶製造方法であって、
磁場中心における磁束密度が1000ガウス以上2000ガウス以下である水平磁場をルツボ内に収容された融液に印加しつつ前記融液から前記シリコン単結晶を引上げ、前記シリコン単結晶の直胴部を成長させる第1の工程と、
前記第1の工程の後、前記融液の液面に対する前記シリコン単結晶の相対的な引上げ速度を0mm/分にする第2の工程と、
前記第2の工程の後、前記シリコン単結晶の見かけの重量が減少するまで、前記シリコン単結晶の相対的な引上げ速度を0mm/分とした停止状態を維持する第3の工程と、
前記第3の工程の後、前記停止状態をさらに維持し、前記融液に接するシリコン単結晶の成長面全体をシリコン単結晶の引上げ方向と反対方向に凸形状にする第4の工程と、
前記第4の工程の後、前記シリコン単結晶と前記融液とを切り離す第5の工程と、を有する、シリコン単結晶製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−36042(P2012−36042A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178014(P2010−178014)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000111096)シルトロニック・ジャパン株式会社 (23)
【Fターム(参考)】