説明

シリコーン下塗組成物、物品および方法

【課題】接着剤とバッキングとの間で適切な接着を有し、かつ多種多様な材料に対して有効な剥離強さおよび剪断強さを有する接着剤を提供すること。
【解決手段】電子豊富な基を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含む下塗組成物、および方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン下塗組成物、特に接着剤、さらに特には感圧接着剤、物品、ならびに製造および使用する方法に関する。その接着剤は、例えばテープ、特にフォームテープなどの物品に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーおよび相溶性粘着付与剤を含有する感圧接着剤はよく知られている。それらは、以下の特性:高い熱安定性;高い酸化安定性;多くの気体に対する透過性;低い表面エネルギー;低い屈折率;低い親水性;誘電特性;生体適合性;および接着性;のうちの1つまたは複数を有し得ることから、様々な用途を有する。かかる感圧接着剤の例は、米国特許第5,461,134号明細書(レイリア(Leir)ら)、同第5,512,650号明細書(レイリア(Leir)ら)、同第5,475,124号明細書(マズレック(Mazurek)ら)ならびに国際公開第96/30426号パンフレット(ミネソタ州セントポールの3M社(3M Co.,St.Paul,MN))、国際公開第96/34028号パンフレット(3M社(3MCo.))、国際公開第96/34029号パンフレット(3M社(3MCo.))、および国際公開第98/15602号パンフレット(3M社(3MCo.))に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、シリコーン感圧接着剤は通常、フォームコアまたはフィルムなどのバッキングにうまく接着しない。直面している一般的な問題は、接着剤とかかるバッキングとの間の接着性が、概して不十分であることである。
【0004】
このように、依然として必要とされているのは、接着剤とバッキングとの間で適切な接着を有し、かつ多種多様な材料に対して有効な剥離強さおよび剪断強さを提供する、接着剤および接着物品、特にフォームテープなどのテープである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下塗組成物、物品、および方法を提供する。これらの組成物は、プライマー、接着剤、または他のコーティングおよび表面処理剤の形をとることができる。その下塗組成物は、好ましくは接着剤であり、さらに好ましくは感圧接着剤(PSA)である。その物品は、例えばフォームテープなどのテープ形状であることが好ましい。
【0006】
その組成物は、第3級アミン(脂肪族、脂環式(例えば、ピペラジン)、および芳香族第3級アミンを含む)およびピリジン基などの電子豊富な基(つまり、ルイス塩基基)を有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含む。重要なことには、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーのこれらの電子豊富な基は、自己下塗能力(self−priming capability)を提供する。したがって、本発明の組成物、特に接着剤を、特定の基材、特に酸性官能基(例えば、カルボン酸、硫酸、およびリン酸基)などの電子不足基を含有する基材へ接着するのに、第2のプライマーは必要ない。
【0007】
一般に、本発明の下塗組成物は、電子豊富な基(好ましくは、第3級アミン基)を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含む。下塗組成物が自己下塗感圧接着剤である場合には、それはシリコーン粘着付与樹脂を含有することが好ましい。
【0008】
一実施形態において、本発明は、電子豊富な基、好ましくは第3級アミン基を有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含む、実質的に無溶媒の下塗組成物を提供する。その下塗組成物はさらに、シリコーン粘着付与樹脂を含有することが好ましい。下塗組成物は、自己下塗接着剤、好ましくは感圧接着剤、またはそれ自体がプライマーであることができる。本発明の下塗組成物は、酸性官能基を含む基材に特によく適している。
【0009】
その他の実施形態において、本発明は、第3級アミン基、ピリジン基、およびその組み合わせからなる群から選択される電子豊富な基を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含む、実質的に無溶媒の下塗組成物を提供する。
【0010】
さらに他の実施形態では、電子豊富な基を有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーおよびシリコーン粘着付与樹脂を含む感圧接着剤が提供される。その電子豊富な基は、第3級アミン基、ピリジン基、およびその組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。
【0011】
かかる組成物を製造および使用する方法もまた提供する。製造方法は:電子豊富な基を含む多官能性鎖延長剤(好ましくは、有機ポリアミン)をポリイソシアネートおよびポリジオルガノシロキサンポリアミンと反応させて、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを形成する段階;好ましくは、そのポリジオルガノシロキサンポリ尿素をシリコーン粘着付与樹脂と合わせる段階;を含む。使用する方法は、電子豊富な基を有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含有する下塗組成物を塗布することを含む。
【0012】
その他の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの主面上に、本明細書に記載のシリコーンベースの下塗組成物(感圧接着剤など)が配置された基材を含む、物品、好ましくは接着物品を提供する。接着物品としては、テープ、ラベル、および限定されないが、医療、グラフィックス、標識、ダンピング(damping)、および分析用途などを含む種々の形式で有用な他のシート材料が挙げられる。本発明の物品は、下塗された表面を含むことも可能であり、そのプライマーは、本明細書で記載されるシリコーンベースの下塗組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、シリコーンベースの下塗組成物を提供する。これらは、プライマー、接着剤、または他のコーティングおよび表面処理剤の形をとることができる。一実施形態において、その組成物は、自己下塗感圧接着剤である。その他の実施形態では、その組成物はプライマーである。特定の実施形態に関しては、その下塗組成物は、実質的に溶媒を含有しない(つまり、有機溶媒および/または水が約1重量%未満である)。
【0014】
その下塗組成物は、電子豊富な基(例えば、第3級アミン基)を有する、少なくとも1種類のポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含む。任意に、特に感圧接着剤については、少なくとも1種類のシリコーン粘着付与樹脂も含まれる。重要なことには、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーの電子豊富な基(例えば、第3級アミン基)は、組成物に下塗特性を付与する。したがって、特に自己下塗感圧接着剤については、特に、酸性官能基などの電子不足基を含有する基材(例えば、バッキング)上に組成物が配置される場合には、第2のプライマーは必要ない。
【0015】
本発明の物品(例えば、接着テープまたは下塗された表面)は、シリコーンベースの下塗組成物、好ましくは自己下塗感圧接着剤を含む。感圧接着剤は通常、バッキング上に配置され、永久的であるか、または剥離ライナーを有する場合のように一時的であることが可能である。組成物の一実施形態は、ポリマーフィルム、木、ガラス、金属等の基材上にコーティングすることができる。また、特定の実施形態は、種々の他のコーティング(例えば、シリコーン接着剤などの接着剤)上に、または下に配置される下塗組成物との積層構造である。基材が、酸性官能基(例えば、カルボン酸、リン酸、および硫酸基)などの電子不足基を含む場合、下塗組成物は特に有効である。つまり、かかる基材には、第2のプライマーは必要ない。
【0016】
下塗組成物をその上に配置することができる基材は、上述の多種多様な基材のいずれかであり得る。基材は、例えば、透明材料で作られるか、または半透明または不透明であり得る。特に好ましい基材は、フィルムまたはフォームコアバッキングである。かかるフィルムバッキングの例としては、ポリ(エチレン/アクリル酸)、ポリ(エチレン/メタクリル酸)、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、例えばデュポン社(DuPont)から商品名BYNELLで市販されているものが挙げられる。フォームコアバッキングの例としては、アクリルフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)フォーム等が挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される、感圧接着剤は、以下の特性:(1)粘着性;(2)わずかな指の圧力での付着性;(3)被着体上に保持するのに十分な能力;および(4)十分な凝集強さ;のバランスがとれている。PSAとして十分に機能することが見出されている材料は、必須の粘弾性を示し、その結果として粘着性、引きはがし粘着力、および剪断保持力の所望のバランスが得られるように、設計かつ配合されたポリマーである。
【0018】
本発明のポリマーの電子豊富な基は、様々な基材に対するポリマーの接着を改善する。このことは通常、剪断値が一般に向上するのに対して、引きはがし粘着力は悪影響を受けないことを意味する。重要なことには、極性基(例えば、電子豊富な第3級アミン基)の組み込みは、ポリプロピレンなどの非極性基材に対する本発明の組成物の接着に悪影響を及ぼさない。例えば、実施例のセクションの表2および3に示されるデータを参照のこと。また、フォームコアについては、破壊モードは一般的に、フォームコアと本発明の組成物との間の境界面での破壊から、フォームコア内の破壊へと変化する。
【0019】
ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマー
本明細書において、コポリマーとは、2種類以上の異なるモノマーを含有するポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマー等を意味する。本発明による下塗組成物(好ましくは、接着剤)の製造に使用するのに適した好ましいポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーは、少なくとも1種類のポリジオルガノシロキサンポリアミン(好ましくは、ジアミン)を含む少なくとも1種類のポリアミンと、少なくとも1種類のポリイソシアネートと、有機アミンおよび/またはアルコールなどの任意の多官能性鎖延長剤であって、その少なくとも一部が1つ以上の電子豊富な基を含有する多官能性鎖延長剤と、の反応生成物である。イソシアネートとアミンとのモル比は、好ましくは約0.9:1〜約1.1:1、さらに好ましくは約0.95:1〜約1.05:1、最も好ましくは約0.97:1〜約1.03:1の範囲にある。つまり、本発明による組成物、特に感圧接着剤の製造に使用するのに適した、好ましいポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーは、ポリジオルガノシロキサン単位、ポリイソシアネート残基単位、および任意に、有機ポリアミンおよび/またはポリオール残基単位を有する。ポリイソシアネート残基単位およびポリアミン残基単位は、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーの50重量%未満を形成することが好ましい。ポリイソシアネート残基は、ポリイソシアネート−(マイナス)−NCO基であり、ポリアミン残基は、ポリアミン−(マイナス)−NH2基である。ポリイソシアネート残基は、尿素結合によってポリアミン残基に連結される。ポリイソシアネート残基は、ウレタン結合によってポリオール残基に連結される。かかるセグメント化コポリマーの例は、米国特許第5,461,134号明細書(レイリア(Leir)ら)、および国際公開第96/34029号パンフレット、国際公開第96/35458号パンフレット、および国際公開第98/17726(すべて、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Co.,St.Paul,MN)による)に開示されている。本明細書で使用されている、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素という用語は、式Iの反復単位を有する材料を包含する。
【0020】
好ましくは、本発明の組成物、好ましくは接着剤、さらに好ましくは感圧接着剤の製造に使用されるポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーは、反復単位(式I):
【化1】

(式中、Rはそれぞれ独立して、アルキル部位(好ましくは、炭素原子1〜12個を有し、例えばトリフルオロアルキルまたはビニル基で置換してもよい)、ビニル部位または高級アルケニル部位(好ましくは、式−R2(CH2aCH=CH2(R2は−(CH2b−または−(CH2cCH=CH−であり、aは1、2、または3であり、bは0、3、または6であり、cは3、4、または5である)によって表される)、シクロアルキル部位(好ましくは、炭素原子6〜12個を有し、例えばアルキル、フルオロアルキルまたはビニル基で置換してもよい)、またはアリール部位(好ましくは、炭素原子6〜20個を有し、例えばアルキル、シクロアルキル、フルオロアルキルまたはビニル基で置換してもよい)であるか、あるいはRはフッ素含有基(米国特許第5,236,997号明細書(フィジキ(Fijiki))に記載の基など)、米国特許第5,028,679号明細書(テラエ(Terae)ら)に記載のパーフルオロアルキル基、または米国特許第4,900,474号明細書(テラエ(Terae)ら)および同第5,118,775号明細書(イノマタ(Inomata)ら)に記載のパーフルオロエーテル含有基であり;好ましくは、R部位の少なくとも50%がメチル部位であり、その残りは、炭素原子1〜12個を有する一価アルキルまたは置換アルキル部位、アルケニレン部位、フェニル部位、または置換フェニル部位であり;
Zはそれぞれ独立して、アリーレン部位、アラルキレン部位、アルキレン部位、またはシクロアルキレン部位(それぞれが好ましくは、炭素原子6〜20個を有する)である多価部位であり;好ましくは、Zは、2,6−トリレン、4,4’−メチレンジフェニレン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレン、テトラメチル−m−キシレン、4,4’−メチレンジシクロヘキシレン、3,5,5−トリメチル−3−メチレンシクロヘキシレン、1,6−ヘキサメチレン、1,4−シクロヘキシレン、2,2,4−トリメチルヘキシレン、およびその混合物であり;
Yはそれぞれ独立して、アルキレン部位(好ましくは、炭素原子1〜10個を有する)、アラルキレン部位またはアリーレン部位(それぞれが好ましくは、炭素原子6〜20個を有する)である、多価部位であり;
Eはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1〜10のアルキル部位、フェニル、またはYを含む環構造を完成して複素環を形成する部位であり;
Aはそれぞれ独立して、酸素または−N(G)−(Gはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1〜10個のアルキル部位、フェニル、またはBを含む環構造を完成して複素環を形成する部位である)であり;
Bは、少なくとも1つのB基が電子豊富な基(例えば、第3級アミンまたはピリジン基)を含有するという条件で;アルキレン、アラルキレン、シクロアルキレン、フェニレン、ポリアルキレン、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリカプロラクトン、アジピン酸ポリエチレンなど)、コポリマー、またはその混合物、またはAを含む環構造を完成して複素環を形成する部位であり;
mは、1〜約1000、好ましくは1〜約25の数であり;
nは、1以上の数であり(好ましくは、nは8を超える);
pは、約5以上、好ましくは約5〜約2000、さらに好ましくは約40〜約1500、最も好ましくは約150〜約1500の数である)によって表すことができる。
【0021】
ポリイソシアネートの使用において、Zが2を超える官能価を有する部位および/またはポリアミンである場合、Bが2を超える官能価を有する部位である場合、式Iの構造は、ポリマー主鎖にて枝分れを示すように改変されるだろう。
【0022】
ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーの反応性成分
反応における異なるイソシアネートは、様々な方法でポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーの特性を改質するだろう。本発明のプロセスにおいて有用なジイソシアネートは、以下の(式II):
OCN−Z−NCO
によって表すことができる。
【0023】
ポリアミン、特に以下の式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンと反応することができる、いずれかのジイソシアネートを本発明において使用することができる。かかるジイソシアネートの例としては、限定されないが、芳香族ジイソシアネート、例えば2,6−トルエンジイソシアネート、2,5−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、メチレンビス(o−クロロフェニルジイソシアネート)、メチレンジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ポリカルボジイミド−改質メチレンジフェニレンジイソシアネート、(4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラエチル)ジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシビフェニル(o−ジアニシジンジイソシアネート)、5−クロロ−2,4−トルエンジイソシアネート、1−クロロメチル−2,4−ジイソシアナトベンゼン、芳香族−脂肪族ジイソシアネート、例えばm−キシレンジイソシアネート、テトラメチル−m−キシレンジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、例えば1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、および脂環式ジイソシアネート、例えばメチレンジシクロヘキシレン−4,4’−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキシルジイソシアネート、およびシクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネートおよびその混合物が挙げられる。
【0024】
好ましいジイソシアネートとしては、2,6−トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ポリカルボジイミド−改質メチレンジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシビフェニル(o−ジアニシジンジイソシアネート)、テトラメチル−m−キシレンジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシレン−4,4’−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、1,6−ジイソシアナトヘキサン、2,2,4−トリメチルヘキシルジイソシアネート、およびシクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネートが挙げられる。
【0025】
本発明のプロセスにおいて有用なポリジオルガノシロキサンポリアミンは、以下の(式III):
【化2】

(式中、R、Y、E、およびpはそれぞれ、上記のように定義される)によって表すことができるジアミンであることが好ましい。一般に、本発明において有用なポリジオルガノシロキサンポリアミンの数平均分子量は、約700を超える。
【0026】
本発明において有用な、好ましいポリジオルガノシロキサンジアミン(シリコーンジアミンとも呼ばれる)は、上記の式IIIに含まれ、感圧接着剤の場合に範囲約5000〜約150,000の数平均分子量を有するものを含むいずれかである。好ましくは、プライマーの場合には、その分子量は少なくとも約1500であり、さらに好ましくは約20,000を超えない。ポリジオルガノシロキサンジアミンは、例えば、米国特許第3,890,269号明細書(マーティン(Martin))、同第4,661,577号明細書(ジョラン(JoLane)ら)、同第5,026,890号明細書(ウェッブ(Webb)ら)、同第5,214,119号明細書(レイリア(Leir)ら)、同第5,276,122号明細書(アオキ(Aoki)ら)、同第5,461,134号明細書(レイリア(Leir)ら)、および同第5,512,650号明細書(レイリア(Leir)ら)に開示されている。
【0027】
ポリジオルガノシロキサンポリアミンは、例えば、オハイオ州アクロンのアメリカのシンエツシリコーン社(Shin−Etsu Silicones of America,Inc.,Akron,OH)およびニュージャージー州ピッツキャタウェイのハルス・アメリカ社(Huls America,Inc.,Pitscataway,NJ)から市販されている。米国特許第5,214,119号明細書(レイリア(Leir)ら)に開示のように製造された、実質的に純粋なポリジオルガノシロキサンジアミンが好ましい。このように高い純度を有するポリジオルガノシロキサンジアミンは、テトラメチルアンモニウム−3−アミノプロピルジメチルシラノレートなどの無水アミノアルキル官能性シラノレート(silanolate)触媒を、好ましくは、環状オルガノシロキサンの総重量に対して0.15重量%未満の量で用いて、環状オルガノシランおよびビス(アミノアルキル)ジシロキサンの反応から製造され、その反応は2段階で行われる。特に好ましいポリジオルガノシロキサンジアミンは、セシウムおよびルビジウム触媒を用いて製造され、米国特許第5,512,650号明細書(レイリア(Leir)ら)に開示されている。
【0028】
本発明において有用なポリジオルガノシロキサンポリアミンの例としては、限定されないが、ポリジメチルシロキサンジアミン、ポリジフェニルシロキサンジアミン、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサンジアミン、ポリフェニルメチルシロキサンジアミン、ポリジエチルシロキサンジアミン、ポリジビニルシロキサンジアミン、ポリビニルメチルシロキサンジアミン、ポリ(5−ヘキセニル)メチルシロキサンジアミン、およびそのコポリマーおよび混合物が挙げられる。
【0029】
本発明のポリジオルガノシロキサンポリ尿素セグメント化コポリマーを製造するために用いられるポリジオルガノシロキサンポリアミン成分は、得られたコポリマーの弾性率を調節する手段を提供する。一般に、高分子量のポリジオルガノシロキサンポリアミンが、低いモジュラスのコポリマーを提供するのに対して、低分子量ポリジオルガノシロキサンポリアミンは、高いモジュラスのポリジオルガノシロキサンポリ尿素セグメント化コポリマーを提供する。
【0030】
ポリジオルガノシロキサンポリ尿素セグメント化コポリマー組成物が任意の有機ポリアミンを含有する場合、この任意の成分は、本発明のコポリマーの弾性率を改変する、さらに他の手段を提供する。有機ポリアミンの濃度ならびに有機ポリアミンの種類および分子量から、この成分を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素セグメント化コポリマーのモジュラスに、それがどのように影響を及ぼすかが決定される。
【0031】
本発明において有用な有機ポリアミンの例としては、限定されないが、ポリオキシアルキレンジアミン(ユタ州ソルトレークシティのハンツマン・ケミカル社(Huntsman Chemical Corp.,Salt Lake City,UT)からすべて入手可能なD−230、D−400、D−2000、D−4000、DU−700、ED−2001およびEDR−148など)、ポリオキシアルキレントリアミン(ハンツマン社(Huntsman)からどちらも入手可能なT−3000およびT−5000など)、ポリアルキレンジアミン(デラウェア州ウィルミントンのデュポン社(DuPont, Wilmington,DE)からどちらも入手可能なDYTEK AおよびDYTEK EPなど)、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンおよび3,3’−ジアミノ−N−メチル−ジプロピルアミン(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)からどちらも入手可能)、およびその混合物が挙げられる。
【0032】
好ましくは、電子豊富な基を提供する反応性成分は、有機ポリアミン(好ましくは、ジアミン)である。電子豊富な基を含有する有機ポリアミンの例としては、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンおよび3,3’−ジアミノ−N−メチル−ジプロピルアミンが挙げられ、そのどちらもウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)から入手可能である。かかるポリアミンの混合物は、相互に使用すること、または上述の有機ポリアミンと共に使用することができる。
【0033】
電子豊富な基を有する有機ポリアミン(または他の多官能性鎖延長剤)は、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを製造するために使用される成分の総重量に対して、少なくとも約0.01重量%(wt%)、さらに好ましくは少なくとも約0.1重量%、最も好ましくは約0.4重量%の量で使用されることが好ましい。電子豊富な基を有する有機ポリアミン(または他の多官能性鎖延長剤)は、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを製造するために使用される成分の総重量に対して、約30重量%を超えない量、さらに好ましくは約20重量%を超えない量、最も好ましくは約15重量%を超えない量で使用されることが好ましい。
【0034】
ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマー中のイソシアネート残基の性質は、剛性および流動性に影響を及ぼし、混合物の特性にも影響を及ぼす。テトラメチル−m−キシレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、およびジアニシジンジイソシアネートなどの、結晶性尿素を形成するジイソシアネートから得られるイソシアネート残基は、十分なポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを使用した場合には、メチレンジシクロヘキシレン−4,4’−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネートおよびm−キシレンジイソシアネートから製造されるものよりも、硬い混合物を提供する。
【0035】
所望の場合には、架橋剤を使用してもよく、例えばSi−H含有剤を使用して、硬化性ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを架橋することが可能であるし、またはラジカル硬化性ポリジオルガノシロキサン尿素コポリマーに光開始剤を使用することができる。ヒドロシリル化硬化剤、過酸化物硬化剤、およびトリアジンなどの光硬化剤など、他の硬化剤が存在してもよい。使用する場合、かかる成分の量は、意図する目的に適した量であり、重合性組成物の総重量に対して約0.1重量%〜約5重量%の濃度で通常使用される。所望の場合には、電子ビーム放射線を用いて、架橋を行うこともできる。
【0036】
ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーの製造
ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーは、溶剤型の方法および無溶剤法を含む、公知の様々な方法のいずれかによって製造することができる。溶剤型プロセスの例としては、ティアギ(Tyagi)ら,“Segmented Organosiloxane Copolymers:2. Thermal and Mechanical Properties of Siloxane urea Copolymers,”Polymer,Vol.25,1984年12月および米国特許第5,214,119号明細書(レイリア(Leir)ら)が挙げられる。適切な溶媒は、ポリイソシアネートと非反応性であり、かつ重合反応の全体にわたり、溶液状態で反応物および生成物を完全に保持する、有機溶媒である。一般的な有機溶媒としては、極性および非極性の特性の組み合わせを有する溶媒が挙げられ、あるいは極性溶媒と非極性溶媒との混合物を使用することができる。好ましい有機溶媒としては、極性非プロトン性溶媒、塩素化溶媒、エーテル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、およびアルコールが挙げられる。例には、ヘプタン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、2−プロパノール、t−ブタノール、テトラヒドロフラン、イソアミルアルコール、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド等、およびその組み合わせが含まれる。無溶剤プロセスの例としては、国際公開第96/34029号パンフレット、国際公開第96/35458号パンフレット、および国際公開第98/17726号パンフレット(すべて、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Co.,St.Paul,MN)による)が挙げられる。
【0037】
シリコーン粘着付与樹脂
本発明の自己下塗感圧接着剤のポリマーの感圧接着性を提供または高めるために、シリコーン粘着付与樹脂をポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーに添加することが好ましい。本発明のプライマーは、シリコーン粘着付与樹脂を含有しないことが好ましい。シリコーン粘着付与樹脂は、本発明のポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーの物理的性質の決定において重要な役割を果たし得る。例えば、シリコーン粘着付与樹脂含有率は、低濃度から高濃度へと増加することから、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーのガラス−ゴム転移は次第に高くなる温度で生じる。所望の性能を達成するために、単一組成物において樹脂の組み合わせを用いることが有益であり得ることから、単一のシリコーン粘着付与樹脂に限定する必要はない。
【0038】
本発明において有用なシリコーン粘着付与樹脂としては、以下の構造単位:M(R’3SiO1/2単位)、D(R’2SiO2/2単位)、T(R’SiO3/2単位)およびQ(SiO4/2単位)で、およびその組み合わせで構成される樹脂が挙げられる。一般的な例としては、MQシリコーン粘着付与樹脂、MQDシリコーン粘着付与樹脂、およびMQTシリコーン粘着付与樹脂が挙げられる。これらは好ましくは、約100〜約50,000、さらに好ましくは約500〜約15,000の数平均分子量を有し、一般にメチル置換基を有する。
【0039】
MQシリコーン粘着付与樹脂は、R’3SiO1/2単位(「M」単位)およびSiO4/2単位(「Q」単位)を有するコポリマーシリコーン樹脂であり、M単位はQ単位に結合しており、その単位のそれぞれは、少なくとも1つの他のQ単位に結合されている。SiO4/2単位(「Q」単位)の一部はヒドロキシルラジカルに結合し、その結果HOSiO3/2単位(「TOH」単位)が生じ、それによって、シリコーン粘着付与樹脂のケイ素結合ヒドロキシル含有率が明らかとなり、一部は他のSiO4/2単位のみに結合する。
【0040】
かかる樹脂は、例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,vol.15,John Wiley & Sons,New York,(1989),pp.265−270、および米国特許第2,676,182号明細書(ダウト(Daudt)ら)、同第3,627,851号明細書(ブレーディー(Brady))、同第3,772,247号明細書(フラニガン(Flannigan))、および同第5,248,739号明細書(シュミット(Schmidt)ら)に記載されている。他の例は、米国特許第5,082,706号明細書(タングニー(Tangney))に開示されている。上述の樹脂は一般に、溶媒中で製造される。米国特許第5,319,040号明細書(ウェングロヴィウス(Wengrovius)ら)、同第5,302,685号明細書(ツムラ(Tsumura)ら)、および同第4,935,484号明細書(ウルフグルーバー(Wolfgruber)ら)に記載のように、乾燥または無溶剤のMQシリコーン粘着付与樹脂を製造することができる。
【0041】
特定のMQシリコーン粘着付与樹脂は、米国特許第3,627,851号明細書(ブレーディー(Brady))および米国特許第3,772,247号明細書(フラニガン(Flannigan))に従って変更が加えられているように、米国特許第2,676,182号明細書(ダウト(Daudt)ら)に記載のシリカヒドロゾルキャッピング法によって製造することができる。変更が加えられた、ダウト(Daudt)らのプロセスは、ケイ酸ナトリウム溶液の濃度、および/またはケイ酸ナトリウムのケイ素対ナトリウム比、および/または中和されたケイ酸ナトリウム溶液をキャップする前の時間を、ダウト(Daudt)らにより開示されているよりも概して低い値に制限することを含む。中和シリカヒドロゾルを、2−プロパノールなどのアルコールで安定化し、中和後にできる限り早くR3SiO1/2シロキサン単位でキャッピングすることが好ましい。MQ樹脂上のケイ素結合ヒドロキシル基のレベルは、好ましくは約1.5重量%未満に、さらに好ましくは約1.2重量%を超えない量に、またさらに好ましくは約1.0重量%を超えない量に、最も好ましくは0.8重量%を超えない量に低減され得ることに留意することが重要である。これは、例えば、キサメチルジシラザンをシリコーン粘着付与樹脂と反応させることによって達成される。かかる反応は、例えばトリフルオロ酢酸で触媒することができる。代替方法としては、トリメチルクロロシランまたはトリメチルシリルアセトアミドをシリコーン粘着付与樹脂と反応させることが可能であり、触媒はこの場合には必要ない。
【0042】
MQDシリコーン粘着付与樹脂は、米国特許第2,736,721号明細書(デクスター(Dexter))において教示されているように、R’3SiO1/2単位(「M」単位)、SiO4/2単位(「Q」単位)、およびR’2SiO2/2単位(「D」単位)を有するターポリマーである。MQDシリコーン粘着付与樹脂において、R’2SiO2/2単位(「D」単位)のメチル基の一部は、ビニル(CH2=CH−)基(「DVi」単位)で置換することができる。
【0043】
MQTシリコーン粘着付与樹脂は、米国特許第5,110,890号明細書(バトラー(Butler))および特公平2−36234号公報に教示されているように、R’3SiO1/2単位、SiO4/2単位およびR’SiO3/2単位(「T」単位)を有するターポリマーである。
【0044】
適切なシリコーン粘着付与樹脂は、ミシガン州ミッドランドのダウコーニング社(Dow Corning,Midland,MI)、ニューヨーク州ウォーターフォードのジェネラル・エレクトリック・シリコーン社(General Electric Silicones,Waterford,NY)およびサウスカロライナ州ロックヒルのロードス・シリコーン社(Rhodia Silicones,Rock Hill,SC)などの製造業者から市販されている。特に有用なMQシリコーン粘着付与樹脂の例としては、商品名SR−545およびSR−1000として入手可能な樹脂が挙げられ、そのどちらもニューヨーク州ウォーターフォードのGEシリコーン社(GE Silicones,Waterford,NY)から市販されている。かかる樹脂は一般に、有機溶媒に溶解して供給されており、そのままで本発明の接着剤に用いることができる。2種類以上のシリコーン樹脂のブレンドもまた、本発明のポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーにおいて有用である。
【0045】
シリコーン粘着付与樹脂(MQ樹脂、MQT、およびMQDを含む)の必要とされる量によって、下塗組成物の剥離力および引き剥がし力の所望のレベルが決定されるだろう。好ましくは、プライマーの場合には、広範囲のシリコーン粘着付与樹脂、例えば0〜約60重量部までを使用することができる。自己下塗感圧接着剤の場合には、剥離力、引き剥がし、およびせん断性能の所望のバランスを達成するために、粘着付与樹脂+ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーの総重量部(つまり、重量による部)が100部である(したがって、これらの重量部はパーセンテージで表される)場合、好ましくは少なくとも約30重量部、さらに好ましくは少なくとも約40重量部が使用される。剥離力、引き剥がし、およびせん断性能の所望のバランスを達成するために、粘着付与樹脂+ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーの総重量部(つまり、重量による部)が100部である(したがって、これらの重量部は、シリコーン粘着付与樹脂とポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーの重量に対するパーセンテージである)場合、好ましくは少なくとも約70重量部を超えない、さらに好ましくは約65重量部を超えない粘着付与樹脂が使用される。
【0046】
有用なシリコーン粘着付与樹脂は、比較的高いM/Q比および低いシラノール含有量の樹脂を含む。好ましくは、シリコーン粘着付与樹脂は、シリコーン粘着付与樹脂の総重量に対して、約1.5重量%(wt%)未満のシラノール(Si−OH)含有量(つまり、シラノールとしてのヒドロキシル含有量)を含む。シリコーン粘着付与樹脂は、少なくとも約0.7:1.0のM/Q比を有することが好ましい。
【0047】
他の任意の添加剤
接着剤組成物は、所望の特性に調節するための他の添加剤を含み得る。例えば、染料または顔料を着色材として添加することが可能であり;導電性および/または熱伝導性化合物を添加して、接着剤を導電性および/または熱伝導性または帯電防止性にすることが可能であり;酸化防止剤および静菌剤を添加してもよく;ヒンダードアミン光安定剤(HALS)などの紫外線安定剤および吸収剤を添加して、紫外線分解に対してPSAを安定化すること、および物品を通る特定の紫外線波長をブロックすることができる。他の添加剤としては、定着剤、充填剤、粘着向上剤(tack enhancer)、可塑剤、ガラスもしくはセラミック微泡、発泡および非発泡ポリマー微小球、発泡剤、ポリマー、および他の特性改質剤、例えば粘土、難燃剤、および相溶化剤が挙げられる。これらの添加剤は、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素組成物の総重量に対して、約0.05重量%(wt%)〜約25重量%の量で、様々な組み合わせで使用することができる。
【0048】
物品の製造および使用
この下塗組成物は、独立型のプライマー、自己下塗接着剤(好ましくは、感圧接着剤)、およびコーティング(例えば、ペイント等)として使用することができる。溶液コーティング、溶液吹付、ホットメルトコーティング、押出し成形、同時押出し成形、貼合せ法、模様塗り等を含む広範な方法によって、それらを適切な基材、例えばバッキングに塗布し、積層物を製造することができる。そのバッキングは、所望の場合には剥離ライナーであることが可能であり、それによってトランスファーテープが形成される。
【0049】
プライマーとして使用する場合、下塗組成物は、多種多様な基材上にコーティングすることができる。これらの基材としては、バッキングおよび接着剤被覆表面を含む表面および積層物が挙げられる。
【0050】
本発明の接着物品での使用に適した基材としては、広範囲の基材材料が挙げられ、例えば、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、およびメタロセン−重合ポリ(α−オレフィン)コポリマーなどのポリマーフィルムまたはフォームコア、クロス、紙、処理紙、スクリム織物および不織スクリム、網、メッシュ等が挙げられる。好ましいフィルムバッキングの例としては、ポリ(エチレン/アクリル酸)、ポリ(エチレン/メタクリル酸)、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、例えばデュポン社(DuPont)から商品名BYNELLで市販されているものが挙げられる。好ましいフォームコアバッキングの例としては、アクリルフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)フォーム等が挙げられる。
【0051】
本発明の接着物品は、打抜き段階、物品の発泡、例えば金型内発泡を生じさせるための加熱段階等の後処理段階にかけることが可能である。
【0052】
本発明の目的および利点は以下の実施例によってさらに説明されるが、これらの実施例に記載の特定の材料およびその量、ならびに他の条件および詳細は、本発明によって過度に制限されるものではない。テープの製造および実施例に示されるすべての量は、別段の指定がない限り重量による。
【実施例】
【0053】
これらの実施例は単に、例示的な目的のために示されるものであり、添付の特許請求の範囲に限定することを意味するものではない。実施例および明細書の残りの部分におけるすべての部、パーセンテージ、比等は、別段の指定がない限り重量による。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
試験法
180度引きはがし粘着力
この引きはがし粘着力試験は、ASTM D 3330−90に記載の試験法と同様であるが、その試験に記載のステンレス鋼の代わりにガラス基材またはポリプロピレン(PP)基材を使用する。
【0057】
PETフィルム上の接着剤コーティングを1.27cm×15cmのストリップに切断した。次いで、ストリップ上を通過する2kgのローラーを用いて、10cm×20cmの清潔な、溶媒で洗浄されたガラス試験片またはHDPEパネルに、各ストリップを接着した。結合アセンブリーを、表に示される時間、室温で一時停止し、IMASSスリップ/剥離試験機(3M90モデル、オハイオ州ストロングズヴィルのインスツルメンターズ社(Instrumentors Inc.,Strongsville,OH)から市販されている)を使用して、速度2.3m/分(90インチ/分)または30.5cm/分(12インチ/分)にて、5つの第2データの収集時間にわたり、180度引きはがし粘着力について試験した。2つの試料を試験した;報告される引きはがし粘着力値は、2つの試料それぞれからの引きはがし粘着力値の平均である。
【0058】
別段の指定がない限り、破壊モードは、その破壊がPSA層と基材(ガラスまたはPPのいずれか)の間で生じる接着剤破壊である。他の破壊モードは、テープのフォームコアが凝集的に分断することを意味する「フォームの分断(Foam Split)」;PSA層とプライマー層との間で破壊が生じることを意味する「PSA−プライマー」;プライマー層とフォームコアとの間で破壊が生じることを意味する「プライマー−コア」として記録される。
【0059】
室温および高温剪断強さ
この剪断強さ試験は、ASTM D 3654−88に記載の試験法と同様である。
【0060】
PETフィルム上の接着剤コーティングを1.27cm(0.5インチ)×15cm(6インチ)のストリップに切断した。次いで、各ストリップの1.27cm(0.5インチ)×2.54cm(1インチ)部分がパネルとしっかりと接触し、テープの一方の末端部分が自由な状態であるように、各ストリップをステンレス鋼パネルに接着した。被覆ストリップの自由な末端から吊り下げ重りとして500gの力をかけることによってテンションがかけられる、伸ばされたテープの自由な端と、パネルが178度の角度をなすように、被覆ストリップが付けられたパネルをラックに保持した。試験されるテープの保持力をさらに正確に決定しようと試みて、180度より2度低い角度を用いて、剥離力を打ち消し、このため剪断強さ力(shear strength force)のみが確実に測定された。各テープ例が試験パネルから分離されるのに経過した時間を剪断強さとして記録した。本明細書で報告されるすべての剪断強さ破壊(接着剤が10,000分未満で破損した場合)は、接着剤の凝集破壊であった。接着剤が早い時点で破壊しない限り(記載のように)、各試験は10,000分で終了した。高温剪断強さ試験(70℃)については、吊り下げ重り500gを付ける前に、被覆ストリップが付けられたパネルを、荷重なしで70℃のオーブンに10分間入れた。
【0061】
アクリルフォームテープの90度引きはがし粘着力
本発明の接着剤組成物を有するフォームテープを、様々な表面に対するそれらの引きはがし粘着力を測定することによって評価した。そのフォームテープは実施例に記載のように製造した。
【0062】
幅1.25cm×長さ12.7cmのフォームテープのストリップを、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはステンレス鋼(SS)試験パネルに付け、厚さ0.13mmの陽極処理アルミニウム箔を露出接着剤層に積層した。そのアルミニウム箔は、接着剤層に積層されていないアルミニウム箔の一部があるように、フォームテープよりも大きいサイズであった。次いで、速度30.5cm/分で6.8kgのスチールローラーの2つのパス(1つのそれぞれ方向)を用いて、そのアセンブリーが転がり出され、表7に示す温度で72時間一時停止された。
【0063】
インストロン4465型引張試験機(マサチューセッツ州カントンのインストロン社(Instron Corporation,Canton,MA)から入手可能)においてクロスヘッド速度30.5cm/分にてアルミニウムストリップを角度90度で引っ張ることによって、フォームテープを試験パネルから引き剥がした。
【0064】
パネルからフォームテープを除去するのに必要とされる平均の力は、N/dmで記録した。フォームテープを製造し、フォームテープを試験パネルに付ける前に、ライナー(つまり、トランスファーテープ)上の接着剤を70℃で1週間、続いて室温(約22℃)で1日エージングした後に、試験を行った。報告される値は、2回の反復試験の平均である。
【0065】
破壊モードは、テープのフォームコアが凝集的に裂けることを意味する「フォームの分断(Foam Split)」、またはPSA層とフォームコアとの間で破壊が生じることを意味する「プライマー破壊(Primer Failure)」として記録した。
【0066】
比較例C1
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部、DYTEK A1.86部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液が得られた。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア1の一方の面上に積層し、もう一方の面をアルミニウム箔バッキングに積層して、テープを形成した。制御温度(20℃)および湿度(相対湿度50%)の下で様々な期間静置した後、高温剪断強さについてこれらのテープを試験した。これらのデータを表1に示す。
【0067】
実施例1
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部、DYTEK A1.16部、およびTADA0.87部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液が得られた。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア1の一方の面上に積層し、もう一方の面をアルミニウム箔バッキングに積層して、テープを形成した。制御温度(20℃)および湿度(相対湿度50%)の下で様々な期間静置した後、高温剪断強さについてこれらのテープを試験した。これらのデータを表1に示す。
【0068】
実施例2
反応器に、PDMS ジアミン 33,000 330部、DYTEK A0.70部、およびTADA1.45部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液が得られた。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア1の一方の面上に積層し、もう一方の面をアルミニウム箔バッキングに積層して、テープを形成した。制御温度(20℃)および湿度(相対湿度50%)の下で様々な期間静置した後、高温剪断強さについてこれらのテープを試験した。
【0069】
実施例3
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部およびTADA2.32部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液を得た。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア1の一方の面上に積層し、もう一方の面をアルミニウム箔バッキングに積層して、テープを形成した。制御温度(20℃)および湿度(相対湿度50%)の下で様々な期間静置した後、高温剪断強さについてこれらのテープを試験した。
【0070】
比較例C2
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部およびDYTEK A1.86部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液を得た。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをPETバッキング上に積層して、テープを形成した。様々な停止時間の後、ガラスおよびPP基材に対する180度剥離について、これらのテープを試験した。これらのデータを表2に示す。
【0071】
実施例4
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部およびDYTEK A1.16部およびTADA0.87部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液を得た。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをPETバッキング上に積層して、テープを形成した。様々な停止時間の後、ガラスおよびPP基材に対する180度剥離について、これらのテープを試験した。これらのデータは表2に示され、これによって、極性基(例えば、電子豊富な第3級アミン基)の組み込みは、非極性基材(例えば、ポリプロピレン)への接着に悪影響を及ぼさないことが実証されている。
【0072】
実施例5
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部およびDYTEK A0.70部およびTADA1.45部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液を得た。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをPETバッキング上に積層して、テープを形成した。様々な停止時間の後、ガラスおよびPP基材に対する180度剥離について、これらのテープを試験した。これらのデータは表2に示され、これによって、極性基(例えば、電子豊富な第3級アミン基)の組み込みは、非極性基材(例えば、ポリプロピレン)への接着に悪影響を及ぼさないことが実証されている。
【0073】
実施例6
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部およびTADA2.32部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液を得た。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをPETバッキング上に積層して、テープを形成した。様々な停止時間の後、ガラスおよびPP基材に対する180度剥離について、これらのテープを試験した。これらのデータは表2に示され、これによって、極性基(例えば、電子豊富な第3級アミン基)の組み込みは、非極性基材(例えば、ポリプロピレン)への接着に悪影響を及ぼさないことが実証されている。
【0074】
実施例7
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部およびTADA1.45部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI5.16部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液を得た。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをPETバッキング上に積層して、テープを形成した。様々な停止時間の後、ガラスおよびPP基材に対する180度剥離について、これらのテープを試験した。これらのデータは表2に示され、これによって、極性基(例えば、電子豊富な第3級アミン基)の組み込みは、非極性基材(例えば、ポリプロピレン)への接着に悪影響を及ぼさないことが実証されている。
【0075】
比較例C3
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部およびDYTEK A1.86部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液を得た。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア2上に積層して、テープを形成した。3日間の停止時間の後、PP基材に対する180度剥離について、これらのテープを試験した。これらのデータを表3に示す。
【0076】
実施例8
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部およびDYTEK A1.16部およびTADA0.87部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液を得た。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア2上に積層して、テープを形成した。3日間の停止時間の後、PP基材に対する180度剥離について、これらのテープを試験した。これらのデータは表3に示され、これによって、極性基(例えば、電子豊富な第3級アミン基)の組み込みは、非極性基材(例えば、ポリプロピレン)からの剥離値に悪影響を及ぼさないことが実証されている。
【0077】
実施例9
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部およびDYTEK A0.70部およびTADA1.45部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液を得た。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア2上に積層して、テープを形成した。3日間の停止時間の後、PP基材に対する180度剥離について、これらのテープを試験した。これらのデータは表3に示され、これによって、極性基(例えば、電子豊富な第3級アミン基)の組み込みは、非極性基材(例えば、ポリプロピレン)からの剥離値に悪影響を及ぼさないことが実証されている。
【0078】
実施例10
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部およびTADA2.32部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI6.71部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液を得た。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア2上に積層して、テープを形成した。3日間の停止時間の後、PP基材に対する180度剥離について、これらのテープを試験した。これらのデータは表3に示され、これによって、極性基(例えば、電子豊富な第3級アミン基)の組み込みは、非極性基材(例えば、ポリプロピレン)からの剥離値に悪影響を及ぼさないことが実証されている。
【0079】
実施例11
反応器に、PDMSジアミン33,000 330部およびTADA1.45部を入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、H−MDI5.16部を添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、PSA溶液を得た。エラストマーとSR−545との重量比が42:58になるように、粘着付与剤樹脂SR−545を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア2上に積層して厚い接着剤層を形成し、それをPETバッキング上に積層して、テープを形成した。様々な停止時間の後、ガラスおよびPP基材に対する180度剥離について、これらのテープを試験した。これらのデータは表3に示され、これによって、極性基(例えば、電子豊富な第3級アミン基)の組み込みは、非極性基材(例えば、ポリプロピレン)からの剥離値に悪影響を及ぼさないことが実証されている。
【0080】
実施例12〜18
表4に示される量に相当する、異なる分子量のPDMS ジアミン、TADAおよびH−MDIを、実施例11と同じ溶媒混合物と反応させることによって、一連の第3級アミン含有SPUエラストマーを製造した。厚さ50マイクロメートルのエラストマー溶液の層を比較例1からのPSAの上にコーティングし、70℃で10分間乾燥させて、8〜10マイクロメートルの乾燥プライマー層を得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア1の一方の面上に積層し、もう一方の面をアルミニウム箔バッキングに積層して、テープを形成した。3日間の停止時間の後、ガラス基材に対する180度剥離について、これらのテープを試験した。これらのデータを表5に示した。
【0081】
実施例19
PDMSジアミン14,400 110部、TADA2.77部、トルエン335部、および2−プロパノール153部を反応容器に装入し、室温(約22℃)でよく混合することによって、シリコーンポリ尿素エラストマーを製造した。H−MDI12.0部を添加し、その反応物を2時間攪拌した。TADA2.77部をさらに添加し、さらに16時間攪拌し、溶解状態のシリコーンエラストマーポリ尿素の合成を完了した。
【0082】
それとは別に、適度な剪断応力下にて、室温(約22℃)でトルエン80.75部および2−プロパノール14.25部中にCLOISITE20A5部を分散させることによって、粘土溶液を調製した。
【0083】
上記で調製したシリコーンポリ尿素エラストマー溶液の試料(425部)および粘土溶液300部を共に混合し、16時間攪拌して均一溶液を得た。この溶液に、TINUVIN328 1.0部、TINUVIN292 1.0部、およびIRGANOX1076 0.25部を添加して、プライマーが得られた。
【0084】
これと共に同じ日付でファイルされた米国特許出願番号_______________(代理人整理番号55468US002)の実施例7に記載のように、上述のプライマーを用いて、感圧接着剤溶液およびアクリルフォームテープ構造を作製した。その構造をそれに記載のように試験した。
【0085】
比較例C4〜C7
反応器に、表6に示すモル比でPDMSジアミン33,000およびDYTEK Aを入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、表6に示すモル比でH−MDIを添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、エラストマー溶液が得られた。エラストマーとMQ樹脂1との重量比が39:61になるように、粘着付与剤樹脂のMQ樹脂1を添加した。さらに、エラストマーと粘着付与剤樹脂100部につき、鉱油1.5部を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア2上に積層して、テープを形成した。表7に示す停止条件に従って、PP、HDPE、およびステンレス鋼基材に対する90度剥離について、これらのテープを試験した。
【0086】
実施例20〜23
反応器に、表6に示すモル比でPDMSジアミン33,000およびピペラジンジアミンを入れた。トルエン/2−プロパノール(70/30(重量))の混合物を添加して、固体含有率20%にした。その溶液を室温で攪拌し、表6に示すモル比でH−MDIを添加し、得られた混合物を2時間攪拌して、エラストマー溶液が得られた。エラストマーとMQ樹脂1との重量比が39:61になるように、粘着付与剤樹脂のMQ樹脂1を添加した。さらに、エラストマーと粘着付与剤樹脂100部につき、鉱油1.5部を添加した。得られた溶液をフルオロシリコーンライナー上に溶剤コーティングし、70℃で10分間乾燥させて、PSA厚さ51マイクロメートルを得た。その結果得られたPSAコーティングをアクリルフォームコア2上に積層して、テープを形成した。表7に示す停止条件に従って、PP、HDPE、およびステンレス鋼基材に対する90度剥離について、これらのテープを試験した。
【0087】
【表3】

【0088】
【表4】

【0089】
【表5】

【0090】
【表6】

【0091】
【表7】

【0092】
【表8】

【0093】
【表9】

【0094】
本明細書に記載の特許、特許文書、および出版物は、あたかもそれぞれが個々に組み込まれるように、その開示内容全体が参照により組み込まれる。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明に様々な修正および変更を加えることができることは、当業者には明らかであるだろう。本発明は、本明細書に示される実例となる実施形態および実施例によって過度に制限されることを意図するものではなく、かかる実施例および実施形態は、以下のように本明細書で示される特許請求の範囲によってのみ制限されることが意図される本発明の範囲で、単なる一例として示されるものであることは理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子豊富な基を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含む、実質的に無溶媒の下塗組成物。
【請求項2】
前記電子豊富な基が第3級アミン基である、請求項1に記載の下塗組成物。
【請求項3】
シリコーン粘着付与樹脂をさらに含む、請求項1に記載の下塗組成物。
【請求項4】
前記組成物が接着剤である、請求項1に記載の下塗組成物。
【請求項5】
前記組成物が感圧接着剤である、請求項4に記載の下塗組成物。
【請求項6】
前記組成物がプライマーである、請求項1に記載の下塗組成物。
【請求項7】
酸性官能基を含む基材上に配置される、請求項1に記載の下塗組成物。
【請求項8】
前記電子豊富な基が、少なくとも約0.01重量%の量で存在する、請求項1に記載の下塗組成物。
【請求項9】
前記ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーが、電子豊富な基を含有する有機ジアミンポリマーから製造される、請求項1に記載の下塗組成物。
【請求項10】
前記ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーが、以下の反復単位:
【化1】

(式中、Rはそれぞれ独立して、アルキル部位、ビニル部位または高級アルケニル部位、シクロアルキル部位、アリール部位、またはフッ素含有基であり;
Zはそれぞれ独立して、アリーレン部位、アラルキレン部位、アルキレン部位、またはシクロアルキレン部位である、多価部位であり;
Yはそれぞれ独立して、アルキレン部位、アラルキレン部位、またはアリーレン部位である、多価部位であり;
Eはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1〜10個のアルキル部位、フェニル、またはYを含む環構造を完成して複素環を形成する部位であり;
Aはそれぞれ独立して、酸素または−N(G)−(Gはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1〜10個のアルキル部位、フェニル、またはBを含む環構造を完成して複素環を形成する部位である)であり;
Bは、少なくとも1つのB基が電子豊富な基を含むという条件で;アルキレン、アラルキレン、シクロアルキレン、フェニレン、ポリアルキレン、ポリアルキレンオキシド、コポリマー、またはその混合物、またはAを含む環構造を完成して複素環を形成する部位であり;
mは、1〜約1000の数であり;
nは、1以上の数であり;
pは、約5以上の数である)を含む、請求項1に記載の下塗組成物。
【請求項11】
第3級アミン基、ピリジン基、およびその組み合わせからなる群から選択される電子豊富な基を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含む、実質的に無溶媒の下塗組成物。
【請求項12】
電子豊富な基を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーと、シリコーン粘着付与樹脂と、を含む感圧接着剤。
【請求項13】
電子豊富な基を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーと、シリコーン粘着付与樹脂と、を含む感圧接着剤であって、前記電子豊富な基が第3級アミン基、ピリジン基、およびその組み合わせからなる群から選択される、感圧接着剤。
【請求項14】
前記電子豊富な基が第3級アミン基である、請求項13に記載の感圧接着剤。
【請求項15】
酸性官能基を含有する基材上に配置される、請求項13に記載の感圧接着剤。
【請求項16】
前記電子豊富な基が、少なくとも約0.01重量%の量で存在する、請求項13に記載の感圧接着剤。
【請求項17】
前記ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーが、電子豊富な基を含有する有機ジアミンポリマーから製造される、請求項13に記載の感圧接着剤。
【請求項18】
前記ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーが、以下の反復単位:
【化2】

(式中、Rはそれぞれ独立して、アルキル部位、ビニル部位または高級アルケニル部位、シクロアルキル部位、アリール部位、またはフッ素含有基であり;
Zはそれぞれ独立して、アリーレン部位、アラルキレン部位、アルキレン部位、またはシクロアルキレン部位である、多価部位であり;
Yはそれぞれ独立して、アルキレン部位、アラルキレン部位またはアリーレン部位である、多価部位であり;
Eはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1〜10個のアルキル部位、フェニル、またはYを含む環構造を完成して複素環を形成する部位であり;
Aはそれぞれ独立して、酸素または−N(G)−(Gはそれぞれ独立して、水素、炭素原子1〜10個のアルキル部位、フェニル、またはBを含む環構造を完成して複素環を形成する部位である)であり;
Bは、少なくとも1つのB基が電子豊富な基を含むという条件で;アルキレン、アラルキレン、シクロアルキレン、フェニレン、ポリアルキレン、ポリアルキレンオキシド、コポリマー、またはその混合物、またはAを含む環構造を完成して複素環を形成する部位であり;
mは、1〜約1000の数であり;
nは、1以上の数であり;
pは、約5以上の数である)を含む、請求項13に記載の感圧接着剤。
【請求項19】
R部位の少なくとも50%がメチル部位であり、その残りが、炭素原子1〜12個を有する一価アルキルまたは置換アルキル部位、アルケニレン部位、フェニル部位、または置換フェニル部位である、請求項18に記載の感圧接着剤。
【請求項20】
mが1〜約25の数である、請求項18に記載の感圧接着剤。
【請求項21】
nが8を超える数である、請求項18に記載の感圧接着剤。
【請求項22】
pが約40〜約1500の数である、請求項18に記載の感圧接着剤。
【請求項23】
基材と、その上に配置された下塗組成物と、を含む物品であって、前記下塗組成物が電子豊富な基を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含む物品。
【請求項24】
前記下塗組成物がさらにシリコーン粘着付与樹脂を含有する、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
バッキングと、その少なくとも1つの主面上に配置された感圧接着剤と、を含む接着物品であって、前記その感圧接着剤が、電子豊富な基を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーと、シリコーン粘着付与樹脂と、を含む接着物品。
【請求項26】
前記電子豊富な基が、第3級アミン基、ピリジン基、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
前記バッキングが酸性官能基を含む、請求項25に記載の接着物品。
【請求項28】
前記バッキングがフォームバッキングである、請求項25に記載の接着物品。
【請求項29】
前記バッキングが剥離ライナーであり、かつ前記接着物品がトランスファーテープである、請求項25に記載の接着物品。
【請求項30】
バッキングと、その少なくとも1つの主面上に配置された感圧接着剤と、前記感圧接着剤上に配置されたプライマーと、を含む物品であって、前記プライマーが、電子豊富な基を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含む物品。
【請求項31】
前記プライマーがさらに、シリコーン粘着付与樹脂を含む、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
前記バッキングが剥離ライナーである、請求項30に記載の物品。
【請求項33】
表面;および
第3級アミン基を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含むプライマー;
を含む、下塗された表面。
【請求項34】
電子豊富な基を含有する多官能性鎖延長剤を、ポリイソシアネートおよびポリジオルガノシロキサンポリアミンと反応させて、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを形成する段階を含む、下塗組成物を製造する方法。
【請求項35】
前記ポリジオルガノシロキサンポリ尿素をシリコーン粘着付与樹脂と合わせる段階をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記多官能性鎖延長剤が有機ポリアミンである、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
電子豊富な基を含有するポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマーを含む下塗組成物を塗布する段階を含む、表面を下塗りする方法。
【請求項38】
前記表面が感圧接着剤を含む、請求項37に記載の方法。

【公開番号】特開2009−84582(P2009−84582A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−330004(P2008−330004)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【分割の表示】特願2003−552890(P2003−552890)の分割
【原出願日】平成14年10月22日(2002.10.22)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】