説明

シリコーン組成物、シリコーン接着剤、被覆基板及び積層基板

1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂と、1分子あたり平均少なくとも2つの脂肪族炭素−炭素二重結合を有する架橋剤と、ヒドロシリル化触媒とを含むシリコーン組成物、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含むシリコーン接着剤、並びにシリコーン接着剤をそれぞれ含む被覆基板及び積層基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、35U.S.C.119(e)の下、2008年3月4日に出願された米国仮特許出願第61/033446号の利益を主張する。米国仮特許出願第61/033446号は、参照することにより本明細書に援用される。
[発明の属する技術分野]
本発明は、シリコーン組成物に関し、より詳細には、1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂と、1分子あたり平均少なくとも2つの脂肪族炭素−炭素二重結合を有する架橋剤と、ヒドロシリル化触媒とを含むシリコーン組成物に関する。また、本発明は、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含むシリコーン接着剤に関する。さらに、本発明は、被覆基板及び積層基板に関し、これらはそれぞれシリコーン接着剤を含む。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
シリコーン接着剤は、高熱安定性、良好な耐湿性、優れた柔軟性、高イオン純度、低α粒子放出、様々な基板に対する良好な接着性などの特性の独特な組合せの理由のため、様々な用途において有用である。例えば、シリコーン接着剤は、自動車産業、電子産業、建設業、家電産業(appliance industry)及び航空宇宙産業において広く使用されている。
【0003】
しかしながら、従来のシリコーン接着剤が、高温(例えば、直火と直接接することによって直面する温度)に曝される場合、接着剤が分解してチャー(炭化物)、典型的には非接着性粉末を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の観点から、硬化して、接着剤の分解温度よりも高い温度に曝される間及び曝された後に高チャー収率(char yield)及び高接着性を有する接着剤を形成するシリコーン組成物に対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[発明の概要]
本発明は、
(A)式[(HSiO(3-w)/2)(OH)wm(R122SiO1/2n[(R12SiO(2-x)/2)(OX)xp[(R1SiO(3-y)/2)(OH)yq[(SiO(4-z)/2)(OH)zr (I)
(式中、各R1は独立して、いずれも脂肪族不飽和を含まない、C1〜C10のヒドロカルビル又はC1〜C10のハロゲン置換ヒドロカルビルであり;各R2は独立して、R1又は−Hであり;mは0.2〜1であり;nは0〜0.3であり;pは0〜0.8であり;qは0〜0.6であり;rは0〜0.3であり;wは0〜0.05であり;xは0〜0.05であり;yは0〜0.05であり;zは0〜0.05であり;m+n+p+q+r=約1であり;ただし、樹脂は、1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂、
(B)(i)1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基を有する、少なくとも1つの有機ポリシロキサン、(ii)1分子あたり平均少なくとも2つの脂肪族炭素−炭素二重結合を有する、少なくとも1つの有機化合物、(iii)(i)及び(ii)を含む混合物から選択される架橋剤であって、前記架橋剤(B)中の脂肪族炭素−炭素二重結合のモル数と前記ハイドロジェンポリシロキサン樹脂(A)中のケイ素結合水素原子のモル数との比が、0.002〜0.4である架橋剤、及び
(C)ヒドロシリル化触媒
を含むシリコーン組成物に関する。
【0006】
また、本発明は、少なくとも1つの、上記式(I)を有するハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含むシリコーン接着剤に関する。
【0007】
さらに、本発明は、
基板;及び
前記基板の表面の少なくとも一部上のシリコーン接着剤被膜であって、少なくとも1つの、上記式(I)を有するハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含むシリコーン接着剤被膜
を含む被覆基板に関する。
【0008】
さらにまた、本発明は、
第1基板;
前記第1基板を覆う少なくとも1つの追加基板;及び
各基板の少なくとも1つの表面の少なくとも一部上のシリコーン接着剤被膜であって、ただし、前記接着剤被膜の少なくとも一部が、隣接する基板の反対面の間にあり且つ直接接しており、前記接着剤被膜が、少なくとも1つの、上記式(I)を有するハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含むシリコーン接着剤被膜
を含む積層基板に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシリコーン接着剤は、高透明度、及び様々な基板に対する優れた接着性を有する。さらに、このシリコーン接着剤は、接着剤の分解温度よりも高い温度に曝される間及び曝された後に接着性が高く、可燃性が低く(低発熱速度からも明らかなように)、そしてチャー収率が高い。
【0010】
本発明のシリコーン接着剤は、高温での高接着性、低可燃性、及び高透明度を有する接着剤を要求する用途において有用である。例えば、この接着剤は、耐火窓(fire rated windows)及びガラス防火壁の製造において、ガラスパネルを接着するのに有用である。
【0011】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利益は、以下の記載、添付の特許請求の範囲及び添付の図面を参照することによって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による1つの実施形態の積層基板の断面図を示す。
【図2】第2基板上に第2シリコーン接着剤被膜、及び第1基板の第2反対面上に第3シリコーン接着剤被膜をさらに含む、前の実施形態の積層基板の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[発明の詳細な説明]
本発明によるシリコーン組成物は、
(A)式[(HSiO(3-w)/2)(OH)wm(R122SiO1/2n[(R12SiO(2-x)/2)(OX)xp[(R1SiO(3-y)/2)(OH)yq[(SiO(4-z)/2)(OH)zr (I)
(式中、各R1は独立して、いずれも脂肪族不飽和を含まない、C1〜C10のヒドロカルビル又はC1〜C10のハロゲン置換ヒドロカルビルであり;各R2は独立して、R1又は−Hであり;mは0.2〜1であり;nは0〜0.3であり;pは0〜0.8であり;qは0〜0.6であり;rは0〜0.3であり;wは0〜0.05であり;xは0〜0.05であり;yは0〜0.05であり;zは0〜0.05であり;m+n+p+q+r=約1であり;ただし、樹脂は、1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂、
(B)(i)1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基を有する、少なくとも1つの有機ポリシロキサン、(ii)1分子あたり平均少なくとも2つの脂肪族炭素−炭素二重結合を有する、少なくとも1つの有機化合物、(iii)(i)及び(ii)を含む混合物から選択される架橋剤であって、前記架橋剤(B)中の脂肪族炭素−炭素二重結合のモル数と前記ハイドロジェンポリシロキサン樹脂(A)中のケイ素結合水素原子のモル数との比が、0.002〜0.4である架橋剤、及び
(C)ヒドロシリル化触媒
を含む。
【0014】
成分(A)は、式[(HSiO(3-w)/2)(OH)wm(R122SiO1/2n[(R12SiO(2-x)/2)(OX)xp[(R1SiO(3-y)/2)(OH)yq[(SiO(4-z)/2)(OH)zr (I)
(式中、各R1は独立して、いずれも脂肪族不飽和を含まない、C1〜C10のヒドロカルビル又はC1〜C10のハロゲン置換ヒドロカルビルであり;各R2は独立して、R1又は−Hであり;mは0.2〜1であり;nは0〜0.3であり;pは0〜0.8であり;qは0〜0.6であり;rは0〜0.3であり;wは0〜0.05であり;xは0〜0.05であり;yは0〜0.05であり;zは0〜0.05であり;m+n+p+q+r=約1であり;ただし、樹脂は、1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂である。
【0015】
1により表されるヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、脂肪族不飽和を含まず、且つ1〜10個の炭素原子、或いは1〜6個の炭素原子、或いは1〜4個の炭素原子を典型的に有する。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビル及びハロゲン置換ヒドロカルビル基は、分枝又は非分枝構造を有し得る。R1により表されるヒドロカルビル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルなどのアルキル;シクロペンチル、シクロヘキシル及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル;フェニル及びナフチルなどのアリール;トリル及びキシリルなどのアルカリール;ベンジル及びフェネチルなどのアラルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。R1により表されるハロゲン置換ヒドロカルビル基の例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、及び2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
ハイドロジェンポリシロキサン樹脂の式(I)において、下付記号m、n、p、q及びrはモル分率である。下付記号mは、0.2〜1、或いは0.4〜1、或いは0.5〜0.8の値を典型的に有し;下付記号nは、0〜0.3、或いは0〜0.1、或いは0.02〜0.08、或いは0.03〜0.06の値を典型的に有し;下付記号pは、0〜0.8、或いは0.1〜0.6、或いは0.1〜0.4の値を典型的に有し;下付記号qは、0〜0.6、或いは0〜0.3、或いは0.05〜0.15の値を典型的に有し;下付記号rは、0〜0.3、或いは0〜0.2、或いは0.05〜0.15の値を典型的に有する。
【0017】
また、ハイドロジェンポリシロキサン樹脂の式(I)において、下付記号w、x、y及びzは、式中の様々な単位と関係するヒドロキシ基の平均数を表す整数又は分数である。下付記号wは、0〜0.05、或いは0.01〜0.04、或いは0.01〜0.03の値を典型的に有し;下付記号xは、0〜0.05、或いは0.01〜0.03、或いは0.01〜0.02の値を典型的に有し;下付記号yは、0〜0.05、或いは0.01〜0.04、或いは0.01〜0.03の値を典型的に有し;下付記号zは、0〜0.05、或いは0.01〜0.04、或いは0.01〜0.03の値を典型的に有する。
【0018】
さらに、ハイドロジェンポリシロキサン樹脂の式(I)において、合計m+n+p+q+rは約1である(1にほぼ等しい)。これは、上記式(I)に示される平均式を有する単位に加えて、ハイドロジェンポリシロキサン樹脂が、残留量(例えば、5モル%以下)の、以下の平均式:(HSiO(3-w')/2)(OR3w'、(R12SiO(2-x')/2)(OR3x'、(R1SiO(3-y')/2)(OR3y'、及び(SiO(4-z')/2)(OR3z'(式中、R1及びR2は、上記で定義及び例示された通りであり、R3はC1〜C8のアルキル、w’は0〜0.05、x’は0〜0.05、y’は0〜0.05、z’は0〜0.05である)を有する1つ以上の単位を含有してもよいことを意味する。
【0019】
3により表されるアルキル基は、1〜8個の炭素原子、或いは1〜6個の炭素原子、或いは1〜4個の炭素原子を典型的に有する。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式アルキル基は、分枝又は非分枝構造を有し得る。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチル;並びにシクロペンチル、シクロヘキシル及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
ハイドロジェンポリシロキサン樹脂中のR2基の典型的に少なくとも50モル%、或いは少なくとも65モル%、或いは少なくとも80モル%は、水素である。用語「ハイドロジェンポリシロキサン樹脂中のR2基のモル%」は、ハイドロジェンポリシロキサン樹脂中のR2基の全モル数に対するハイドロジェンポリシロキサン樹脂中のケイ素結合水素原子のモル数の比に100を乗じたものとして定義される。
【0021】
ハイドロジェンポリシロキサン樹脂は、500〜50,000、或いは500〜10,000、或いは1,000〜3,000の数平均分子量(Mn)を典型的に有する。ここで、この分子量は、屈折率検出器及びシリコーン樹脂(MQ)標準物質を用いるゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される。
【0022】
ハイドロジェンポリシロキサン樹脂は、室温において固体又は液体であり得る。さらに、この樹脂は、25℃において、0.1〜100,000Pa・s、或いは1〜10,000Pa・s、或いは1〜100Pa・sの粘度を典型的に有する。
【0023】
ハイドロジェンポリシロキサン樹脂は、29Si NMRにより決定される場合に、5%(w/w)未満、或いは2%(w/w)未満のケイ素結合ヒドロキシ基を典型的に含有する。
【0024】
1つの実施形態において、ハイドロジェンポリシロキサン樹脂は、式(I)(式中、m=1である)を有するハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂(H−樹脂)である。ハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂は、一般式[(HSiO(3-w)/2(OH)wbにより表され得る。式中、wは上記で定義及び例示された通りであり、bは、ハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂が25℃で0.1〜100,000Pa・sの粘度を有するような値を有する。
【0025】
式(I)を有するハイドロジェンポリシロキサン樹脂の例としては、以下の式を有する樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[(HSiO(3-w)/2)(OH)wb
[(HSiO(3-w)/2)(OH)wm[Me3SiO1/2n[(MeHSiO(2-x)/2)(OH)xp
[(HSiO(3-w)/2)(OH)wm[(MeSiO(3-y)/2)(OH)yq
[(HSiO(3-w)/2)(OH)wm[(PhSiO(3-y)/2)(OH)yq、及び
[(HSiO(3-w)/2)(OH)wm[Me2HSiO1/2n[(SiO(4-z)/2)(OH)zr
式中、Meはメチルであり;Phはフェニルであり;下付記号bは、ハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂が25℃で0.1〜100,000Pa・sの粘度を有するような値を有し;下付記号m、n、p、q、r、w、x、y及びzは、式(I)を有するハイドロジェンポリシロキサン樹脂のために上記した通りであり;合計m+n+p+q+r=約1である。また、上記式において、単位の順序は特定されない。
【0026】
成分(A)は、単一のハイドロジェンポリシロキサン樹脂、又はそれぞれ上記したような2つ以上の異なるハイドロジェンポリシロキサン樹脂を含む混合物であり得る。
【0027】
ハイドロジェンポリシロキサン樹脂の調製方法は当該技術分野で周知であり、これらの樹脂の多くは市販されている。ハイドロジェンポリシロキサン樹脂は、有機溶媒(例えば、トルエン)中でクロロシラン前駆体の適切な混合物を同時加水分解することによって典型的に調製される。例えば、HSiO3/2単位、MeHSiO2/2単位及びMe3SiO1/2単位から本質的になるシリコーン樹脂は、式HSiCl3を有する化合物、式MeHSiCl2を有する化合物、及び式Me3SiClを有する化合物をトルエン中で同時加水分解することにより調製され得る。塩酸水溶液およびシリコーン加水分解物は分離され、この加水分解物は残留する酸を除去するために水で洗浄され、穏やかな非塩基性縮合触媒の存在下で加熱され、樹脂は必要な粘度まで「増粘される(body)」。必要に応じて、樹脂は、ケイ素結合ヒドロキシ基の含有量を減らすために、有機溶媒中で非塩基性の縮合触媒でさらに処理され得る。或いは、クロロ以外の加水分解性基(例えば、−Br、−I、−OCH3、−OC(O)CH3、−N(CH32、NHCOCH3、及び−SCH3)を含有するシランが、同時加水分解反応の出発物質として利用され得る。樹脂生成物の特性は、シランの種類、シランのモル比、縮合度及び処理条件に依存する。
【0028】
さらに、ハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂の調製方法は、コリンズ(Collins)らによる米国特許第3,615,272号、バンク(Bank)らによる米国特許第5,010,159号、フライ(Frye)らによる米国特許第4,999,397号、ハンネマン(Hanneman)らによる米国特許第5,063,267号、フライらによる米国特許第4,999,397号、公開特許第59−178749号、公開特許第60−86017号、及び公開特許第63−107122号に例示されているように、当該技術分野で周知である。
【0029】
成分(B)は、(i)1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基を有する、少なくとも1つの有機ポリシロキサン、(ii)1分子あたり平均少なくとも2つの脂肪族炭素−炭素二重結合を有する、少なくとも1つの有機化合物、(iii)(i)及び(ii)を含む混合物から選択される架橋剤である。ここで、前記架橋剤(B)中の脂肪族炭素−炭素二重結合のモル数と前記ハイドロジェンポリシロキサン樹脂(A)中のケイ素結合水素原子のモル数との比が、0.002〜0.4である。成分(A)における1分子あたりのケイ素結合水素原子の平均数と、成分(B)における1分子あたりの脂肪族炭素−炭素二重結合の平均数の合計が4よりも大きい場合に、架橋が起こると一般に理解される。
【0030】
成分(B)の(i)は、1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基を有する、少なくとも1つの有機ポリシロキサンである。本明細書で使用される場合、用語「アルケニル基」とは、1つの脂肪族炭素−炭素二重結合を含有する一価炭化水素基のことを言う。有機ポリシロキサンは、1分子あたり平均少なくとも2つ、或いは少なくとも3つのケイ素結合アルケニル基を典型的に含有する。
【0031】
有機ポリシロキサンの構造は、直鎖状、分枝状又は樹脂状(resinous)であり得る。さらに、非環式有機ポリシロキサンにおいて、ケイ素結合アルケニル基は、末端位置、ペンダント位置、又は末端位置及びペンダント位置の両方に配置され得る。
【0032】
有機ポリシロキサンは、500〜30,000、或いは500〜12,000、或いは500〜3,000の数平均分子量(Mn)を典型的に有する。ここで、この分子量は、屈折率検出器及びポリジメチルシロキサン標準物質を用いるゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される。
【0033】
成分(B)の(i)として使用するのに適切な有機ポリシロキサンの例としては、以下の式を有するポリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ViMe2SiO(Me2SiO)cSiMe2Vi、ViMe2SiO(Me2SiO)0.25c(MePhSiO)0.75cSiMe2Vi、ViMe2SiO(Me2SiO)0.95c(Ph2SiO)0.05cSiMe2Vi、ViMe2SiO(Me2SiO)0.98c(MeViSiO)0.02cSiMe2Vi、Me3SiO(Me2SiO)0.95c(MeViSiO)0.05cSiMe3、及びPhMeViSiO(Me2SiO)cSiPhMeVi
式中、Me、Vi及びPhはそれぞれ、メチル、ビニル及びフェニルを意味し;有機ポリシロキサン中の非末端シロキサン単位の総数を表す下付記号cは、有機ポリシロキサンが500〜30,000の数平均分子量を有するような値を有する。
【0034】
成分(B)の(i)は、単一の有機ポリシロキサン、又はそれぞれ上記したような2つ以上の異なる有機ポリシロキサン樹脂を含む混合物であり得る。また、ケイ素結合アルケニル基を含有する有機ポリシロキサンの調製方法は、当該技術分野で周知であり、これらの化合物の多くが市販されている。
【0035】
成分(B)の(ii)は、1分子あたり平均少なくとも2つの脂肪族炭素−炭素二重結合を有する、少なくとも1つの有機化合物である。有機化合物は、1分子あたり少なくとも2つの脂肪族炭素−炭素二重結合を含有する任意の有機化合物であり得るが、この有機化合物は、下記で記載するように、チャー収率が高く、且つ接着剤の分解温度よりも高い温度に曝される間及び曝された後に接着性が高いシリコーン接着剤をシリコーン組成物のハイドロジェンポリシロキサン樹脂が形成することを阻害しない場合に限る。有機化合物は、ジエン、トリエン又はポリエンであり得る。また、有機化合物は、直鎖、分枝鎖又は環式構造を有し得る。さらに、非環式有機化合物において、炭素−炭素二重結合は、末端位置、ペンダント位置、又は末端位置及びペンダント位置の両方に配置され得る。
【0036】
有機化合物は、脂肪族炭素−炭素二重結合以外の、1つ以上の官能基を含有し得る。適切な官能基の例としては、−O−、>C=O、−CHO、−CO2−、−C≡N、−NO2、>C=C<、−C≡C−、−F、−Cl、−Br、及び−Iが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のシリコーン組成物における使用のための特定の不飽和有機化合物の適合性は、下記の実施例中の方法を用いる日常の実験によって容易に決定され得る。
【0037】
有機化合物は、500未満、或いは400未満、或いは、300未満の分子量を典型的に有する。
【0038】
有機化合物は、室温において液体又は固体状態を有し得る。また、有機化合物は、シリコーン組成物に典型的に可溶性である。有機化合物の標準沸点は、分子量、構造、並びに化合物中の官能基の数及び性質に依存し、広範な範囲にわたって変化し得る。好ましくは、有機化合物は、ハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化温度よりも高い標準沸点を有する。そうでなければ、大量の有機化合物が硬化中の揮発によって除去され得る。
【0039】
脂肪族炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物の例としては、1,4−ジビニルベンゼン、1,3−ヘキサジエニルベンゼン、及び1,2−ジエテニルシクロブタンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
成分(B)の(ii)は、単一の有機化合物、又はそれぞれ上記し且つ例示したような、2つ以上の異なる有機化合物を含む混合物であり得る。さらに、不飽和有機化合物の調製方法は、当該技術分野において周知であり、これらの化合物の多くは市販されている。
【0041】
成分(B)の(iii)は、それぞれ上記し且つ例示したような、(B)(i)及び(B)(ii)を含む混合物である。
【0042】
成分(B)の濃度は、成分(A)のハイドロジェンポリシロキサン樹脂を硬化(架橋)するのに十分な濃度である。成分(B)の正確な量は、所望とする硬化の程度に依存し、成分(A)中のケイ素結合水素原子のモル数に対する成分(B)中の脂肪族炭素−炭素二重結合のモル数の比が増大するにつれて一般に増加する。成分(B)の濃度は、典型的に、成分(A)中のケイ素結合水素原子1モルあたり、0.4モル以下の脂肪族炭素−炭素二重結合、或いは0.2モル以下の脂肪族炭素−炭素二重結合を与えるのに十分な濃度である。例えば、成分(B)の濃度は、典型的に、成分(A)中のケイ素結合水素原子1モルあたり、0.002〜0.4モルの脂肪族炭素−炭素二重結合、或いは0.01〜0.1モルの脂肪族炭素−炭素二重結合、或いは0.01〜0.05モルの脂肪族炭素−炭素二重結合を与えるのに十分な濃度である。
【0043】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物の成分(C)は、成分(A)と成分(B)との付加反応を促進させる、少なくとも1つのヒドロシリル化触媒である。ヒドロシリル化触媒は、白金族金属を含む周知のヒドロシリル化触媒、白金族金属を含有する化合物、又はマイクロカプセル化された白金族金属含有触媒のいずれかであり得る。白金族金属としては、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウムが挙げられる。好ましくは、白金族金属は、ヒドロシリル化反応のその高い活性に基づいて、白金である。
【0044】
好適なヒドロシリル化触媒としては、米国特許第3,419,593号においてウィリング(Willing)により開示された塩化白金酸及び特定のビニル含有オルガノシロキサンの錯体が挙げられる。この米国特許は参照により本願明細書に援用される。この種類の好ましい触媒は、塩化白金酸及び1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応生成物である。
【0045】
ヒドロシリル化触媒は、熱可塑性樹脂中にカプセル化される白金族金属を含む、マイクロカプセル化された白金族金属含有触媒でもあってよい。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒を含有する組成物は、周囲条件下で長期間(典型的には、数ヵ月以上)の間安定であるが、なお熱可塑性樹脂の融点又は軟化点よりも高い温度で比較的急速に硬化させる。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒及びそれらの調製方法は、米国特許第4,766,176号及びその中の引用文献、並びに米国特許第5,017,654号に例示されている通り、当該技術分野において周知である。
【0046】
成分(C)は、単一のヒドロシリル化触媒、又は少なくとも1つの特性(例えば、構造、形態、白金族金属、錯体を形成する配位子及び熱可塑性樹脂)において異なる2つ以上の異なる触媒を含む混合物であり得る。
【0047】
成分(C)の濃度は、成分(A)と成分(B)との付加反応を触媒するのに十分な濃度である。典型的には、成分(C)の濃度は、成分(A)及び成分(B)の合計重量を基準として、0.1〜1000ppmの白金族金属、好ましくは1〜500ppmの白金族金属、より好ましくは5〜150ppmの白金族金属を与えるのに十分な濃度である。硬化速度は、0.1ppm未満の白金族金属の下では非常に遅い。1000ppmより多い白金族金属の使用は、硬化速度の顕著な増大をもたらさず、従って不経済である。
【0048】
シリコーン組成物は更なる成分を含むことができるが、当該成分は、下記で記載するように、ハイドロジェンポリシロキサン樹脂が硬化することを阻害せず、チャー収率が高く、且つ接着剤の分解温度よりも高い温度に曝される間及び曝された後に接着性が高いシリコーン接着剤を形成する場合に限る。更なる成分の例としては、ヒドロシリル化触媒抑制剤(例えば、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、ビニルシクロシロキサン及びトリフェニルホスフィン)、接着促進剤(例えば、米国特許第4,087,585号及び同第5,194,649号で教示される接着促進剤)、染料、色素、酸化防止剤、熱安定剤、UV安定剤、難燃剤、流動調整剤、充填材(例えば、補強材及び増量材(extending filler))、並びに希釈剤(例えば、有機溶媒及び反応希釈剤)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
シリコーン組成物は、有機溶媒を典型的に含有しない。しかしながら、この組成物は、組成物の粘度を低減するため、及び基板上への組成物の適用を用意にするために、有機溶媒をさらに含み得る。
【0050】
1つの実施形態において、シリコーン組成物は、反応希釈剤をさらに含む。例えば、シリコーン組成物は、1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基、及び25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有する有機シロキサンを含む反応希釈剤をさらに含み得る。ここで、有機シロキサンの粘度は、シリコーン組成物の上記成分(A)であるハイドロジェンポリシロキサン樹脂の粘度の20%以下であり、且つ有機シロキサンは、式(R142SiO1/2c(R42SiO2/2d(R1SiO3/2e(SiO4/2fを有する。式中、R1は、いずれも脂肪族不飽和を含まない、C1〜C10のヒドロカルビル又はC1〜C10のハロゲン置換ヒドロカルビルであり;R4は、R1又はアルケニルであり;cは0〜0.8であり;dは0〜1であり;eは0〜0.25であり;fは0〜0.2であり;c+d+e+fは1であり;c+dは0でなく;ただし、e+fが0の場合、dは0でなく、アルケニル基は全て末端ではない。さらに、有機シロキサンは、直鎖、分枝鎖又は環式構造を有し得る。
【0051】
有機シロキサンの25℃での粘度は、典型的には0.001〜2Pa・s、或いは0.001〜0.1Pa・s、或いは0.001〜0.05Pa・sである。さらに、有機シロキサンの25℃での粘度は、典型的には、シリコーン組成物中のハイドロジェンポリシロキサン樹脂の粘度の20%以下、或いは10%以下、或いは1%以下である。
【0052】
反応希釈剤としての使用に適切な有機シロキサンの例としては、以下の式を有する有機シロキサンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(ViMeSiO)3、(ViMeSiO)4、(ViMeSiO)5、(ViMeSiO)6、(ViPhSiO)3、(ViPhSiO)4、(ViPhMeSi)2O、(ViMe2Si)2O、(ViPhSiO)5、(ViPhSiO)6、ViMe2SiO(ViMeSiO)nSiMe2Vi、Me3SiO(ViMeSiO)nSiMe3、及び(ViMe2SiO)4Si
式中、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Viはビニルであり、下付記号nは、この有機シロキサンが25℃で0.001〜2Pa・sの粘度を有するような値を有する。
【0053】
反応希釈剤は、単一の有機シロキサン、又はそれぞれ上記したような、2つ以上の異なる有機シロキサンを含む混合物であり得る。アルケニル官能性有機シロキサンの製造方法は、当該技術分野において周知である。
【0054】
シリコーン組成物における反応希釈剤の濃度は、成分(A)であるハイドロジェンポリシロキサン樹脂、及び成分(B)である架橋剤の合計重量を基準として、典型的に1〜20%(w/w)、或いは1〜10%(w/w)、或いは1〜5%(w/w)である。
【0055】
また、シリコーン組成物における反応希釈剤の濃度は、成分(A)であるハイドロジェンポリシロキサン樹脂中のケイ素結合水素原子のモル数に対する、成分(B)である架橋剤及び反応希釈剤中の脂肪族炭素−炭素二重結合のモル数の合計の比が、典型的に0.002〜0.4、或いは0.01〜0.1、或いは0.01〜0.05となるような濃度である。
【0056】
1つの実施形態において、シリコーン組成物は、少なくとも1つのセラミック充填材をさらに含む。セラミック充填材の例としては、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン及び窒化ジルコニウムなどの窒化物;炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、炭化ジルコニウム及び炭化モリブデンなどの炭化物;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ベリリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン及び酸化トリウムなどの金属酸化物;ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム及びケイ酸チタニウムなどのケイ酸塩;並びにケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの複雑なケイ酸塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
シリコーン組成物は、主成分及びあらゆる任意成分を上記の割合で、有機溶媒を用いて又は用いずに周囲温度で混合することによって典型的に調製される。シリコーン組成物が直ぐに使用されるなら、種々の成分の添加順序は重要ではないが、当該組成物の早過ぎる硬化を避けるために、約30度未満の温度でヒドロシリル化触媒を最後に添加することが好ましい。
【0058】
混合(mixing)は、練り(milling)、混合(blending)及び攪拌(stirring)などの当技術分野で公知の任意の技術で成し遂げることができ、バッチ法であっても連続法であってもよい。具体的な装置は、成分の粘度および最終シリコーン組成物の粘度によって決定される。
【0059】
本発明によるシリコーン接着剤は、上記式(I)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含む。ここで、ハイドロジェンポリシロキサン樹脂は、シリコーン組成物のために上記され且つ例示された通りである。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物」は、三次元網構造を有する架橋ポリシロキサン樹脂を意味する。
【0061】
シリコーン接着剤は、高透明度を典型的に有する。接着剤の透明度は、多くの因子(例えば、接着剤の組成及び厚さ)に依存する。例えば、50μmの厚さを有するシリコーン接着剤フィルムは、電磁スペクトルの可視領域(約400〜約700nm)の光に対して、少なくとも80%、或いは少なくとも90%の%透過率を典型的に有する。
【0062】
シリコーン接着剤は、上記シリコーン組成物のハイドロジェンポリシロキサン樹脂を硬化させることによって調製され得る。ハイドロジェンポリシロキサン樹脂は、大気圧下、室温(約23±2℃)〜250℃、或いは室温〜200℃、或いは室温〜150℃の温度にシリコーン組成物を曝すことによって硬化され得る。シリコーン組成物は、ハイドロジェンポリシロキサン樹脂を硬化(架橋)するのに十分な長さの時間、一般に加熱される。例えば、組成物は、0.1〜3時間の間、150〜200℃の温度で典型的に加熱される。
【0063】
さらに、本発明は、
基板、及び
前記基板の表面の少なくとも一部上のシリコーン接着剤被膜であって、上記式(I)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含む、シリコーン接着剤被膜
を含む被覆基板に関する。
【0064】
基板は、平面形状、複雑形状(complex contour)又は不規則形状を有する任意の剛性材料又は可撓性材料であり得る。基板は、電磁スペクトルの可視領域(約400〜約700nm)における光に対して透過性又は非透過性であり得る。また、基板は、導体、半導体又は不導体であり得る。基板の例としては、シリコン、二酸化ケイ素の表層を有するシリコン、炭化ケイ素、リン化インジウム及びガリウムヒ素などの半導体;石英;石英ガラス;酸化アルミニウム;セラミック;ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルカリ鉛ガラス(lead-alkali glass)、ホウ酸塩ガラス、石英ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウ酸鉛ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス(sodium borosilicate glass)、アルミノケイ酸リチウムガラス、カルコゲニドガラス、リン酸塩ガラス及びケイ酸アルカリバリウムガラス(alkali-barium silicate glass)などのガラス;金属箔;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレートなどのポリオレフィン;ポリテトラフルオロエチレン及びポリビニルフルオライドなどのフルオロカーボンポリマー;ナイロンなどのポリアミド;ポリイミド;ポリ(メチルメタクリレート)などのポリエステル;エポキシ樹脂;ポリエーテル;ポリカーボネート;ポリスルホン;並びにポリエーテルスルホンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
さらに、基板は、シリコーン樹脂を含む硬化性シリコーン組成物中に繊維強化材(例えば、ガラス織布若しくはガラス不織布、又は緩い(loose)ガラス繊維)を含浸させ、含浸させた繊維強化材を加熱してシリコーン樹脂を硬化することによって調製された強化シリコーン樹脂フィルムであり得る。様々な種類の硬化性シリコーン組成物から調製された強化シリコーン樹脂フィルムは、次の国際特許出願公報:国際公開第2006/088645号、国際公開第2006/088646号、国際公開第2007/092032号及び国際公開第2007/018756号に例示されている通り、当該技術分野において公知である。
【0066】
被覆基板は、基板の表面の少なくとも一部上に、シリコーン接着剤被膜を含む。シリコーン接着剤被膜は、基板の1つ以上の表面の部分、又は1つ以上の表面の全てに存在し得る。例えば、基板が平面パネルである場合、シリコーン接着剤被膜は、基板の一面上、両面上、又は両面及び縁の両方に存在し得る。
【0067】
シリコーン接着剤被膜は、式(I)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含む。ここで、硬化生成物は、本発明のシリコーン接着剤のために上記し且つ例示した通りである。
【0068】
シリコーン接着剤被膜は、1つのシリコーン接着剤の1つの層を含む単層被膜、又は少なくとも2つの異なるシリコーン接着剤の2つ以上の層を含む多層被膜(ここで、直接隣接する層は、異なるシリコーン接着剤を含む(すなわち、硬化生成物は、異なる組成及び/又は特性を有する))であり得る。多層被膜は、2〜7層、或いは2〜5層、或いは2〜3層を典型的に含む。
【0069】
単層のシリコーン接着剤被膜は、0.03〜300μm、或いは0.1〜100μm、或いは0.1〜50μmの厚さを典型的に有する。多層の被膜は、0.06〜300μm、或いは0.2〜100μm、或いは0.2〜50μmの厚さを典型的に有する。シリコーン接着剤被膜の厚さが0.03μm未満であると、被膜が不連続になることがある。シリコーン接着剤被膜の厚さが300μmを超えると、被膜は、接着性が低下し、及び/又はクラックが生じることがある。
【0070】
被覆基板は、基板上にシリコーン接着剤被膜を形成することによって調製され得る。ここで、接着剤被膜及び基板は、上記で定義及び例示された通りである。例えば、単層のシリコーン接着剤被膜を含む被覆基板は、(i)上記したシリコーン組成物を基板上に適用してフィルムを形成し、(ii)フィルムのハイドロジェンポリシロキサン樹脂を硬化させることによって調製され得る。シリコーン組成物は、スピンコーティング、浸漬コーティング、噴霧コーティング、流し塗り、スクリーン印刷、及びロールコーティングなどの従来の方法を用いて基板上に適用され得る。存在する場合、フィルムが加熱される前に、被覆基板から溶媒が典型的に蒸発され得る。単純な空気乾燥、真空の適用、又は加熱(50℃以下)などの蒸発のためのあらゆる適切な手段が使用され得る。
【0071】
フィルムのハイドロジェンポリシロキサン樹脂は、本発明のシリコーン接着剤の調製方法において上記した条件の下で硬化され得る。
【0072】
被膜が単層の接着剤被膜を含む被覆基板の調製方法は、シリコーン組成物が基板よりも硬化接着剤フィルム上に適用され、各適用のために同じシリコーン組成物が使用されることを除き、被膜の厚さを増加させるために工程(i)及び(ii)を繰り返すことをさらに含む。
【0073】
多層のシリコーン接着剤被膜を含む被覆基板は、単層の被膜の調製に使用される方法と同様の方法で調製されることができ、被膜の隣接する層のみが、異なる組成を有するシリコーン組成物を用いて調製され、典型的に、各フィルムは、次の層のシリコーン組成物を適用する前に少なくとも部分的に硬化される。例えば、2つの層を有するシリコーン接着剤被膜を含む被覆基板は、(i)上記のシリコーン組成物を基板上に適用して第1フィルムを形成し、(ii)第1フィルムのハイドロジェンポリシロキサン樹脂を少なくとも部分的に硬化させ、(iii)(i)の組成物とは異なるシリコーン組成物を、部分的に硬化した第1フィルム上に適用して第2フィルムを形成し、(iv)第2フィルムのハイドロジェンポリシロキサン樹脂を硬化させることによって調製され得る。
【0074】
本発明による積層基板は、
第1基板;
前記第1基板を覆う少なくとも1つの追加基板;及び
各基板の少なくとも1つの表面の少なくとも一部上のシリコーン接着剤被膜であって、ただし、前記接着剤被膜の少なくとも一部が、隣接する基板の反対面の間にあり且つ直接接しており、前記接着剤被膜が、上記式(I)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含む、シリコーン接着剤被膜
を含む。
【0075】
本明細書で使用される場合、追加基板に関連して用いられる用語「覆う」とは、各追加基板が、第1基板及び任意の中間基板(複数可)の上方の位置(しかし、これらの基板とは直接接しない)を占めることを意味する。
【0076】
積層基板の基板及びシリコーン接着剤被膜は、本発明の被覆基板のために上記し且つ例示した通りである。積層基板は、第1基板及び少なくとも1つの追加基板を含む。積層基板は、1〜20の追加基板、或いは1〜10の追加基板、或いは1〜4の追加基板を典型的に含有する。積層基板が積層ガラス基板である場合、少なくとも1つの基板はガラスであり、そして任意に、少なくとも1つの基板が、上記した強化シリコーン樹脂フィルムである。
【0077】
積層基板は、各基板の少なくとも1つの表面の少なくとも一部上にシリコーン接着剤被膜を含む。接着剤被膜は、各基板の1つ以上の表面の一部上、又は各基板の1つ以上の表面の全てに存在し得る。例えば、積層基板が、ガラス枠(glass panes)を含む積層ガラスである場合、シリコーン接着剤被膜は、各枠の一面上、両面上、又は両面及び縁の両方に存在し得る。
【0078】
図1に示されるように、本発明による1つの実施形態の積層基板は、第1反対面100A及び第2反対面100Bを有する第1基板100;第1基板100の第1反対面100A上の第1シリコーン接着剤被膜102であって、上記の式(I)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含む第1シリコーン接着剤被膜102;並びに第1シリコーン接着剤被膜102上の第2基板104を含む。
【0079】
図2に示されるように、前の実施形態の積層基板は、第2基板104上の第2シリコーン接着剤被膜106、及び第1基板100の第2反対面100B条の第3シリコーン接着剤被膜108をさらに含み、第2及び第3接着剤被膜はそれぞれ、上記の式(I)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含む。
【0080】
積層基板の適切な調製方法は、図1に示された積層基板のために、ここで説明される。積層基板は、(i)上記のシリコーン組成物を基板の第1表面上に適用して第1接着剤フィルムを形成し、(ii)第1接着剤フィルム上に第2基板を適用し、(iii)第1接着剤フィルムのハイドロジェンポリシロキサン樹脂を硬化させることによって調製され得る。追加のシリコーン接着剤被膜及び基板を含む積層基板は、同様の方法で調製され得る。積層基板が、少なくとも1つの多層のシリコーン接着剤被膜を含む場合、被膜の各層は、典型的に、次の層が形成される前に少なくとも部分的に硬化される。
【0081】
本発明のシリコーン接着剤は、高透明度、及び様々な基板に対する優れた接着性を有する。さらに、このシリコーン接着剤は、接着剤の分解温度よりも高い温度に曝される間及び曝された後に接着性が高く、可燃性が低く(低発熱速度からも明らかなように)、そしてチャー収率が高い。
【0082】
本発明のシリコーン接着剤は、高温での高接着性、低可燃性、及び高透明度を有する接着剤を要求する用途において有用である。例えば、この接着剤は、耐火窓及びガラス防火壁の製造において、ガラスパネルを接着するのに有用である。
【実施例】
【0083】
以下の実施例は、本発明のシリコーン組成物及び積層基板をより詳細に説明するために示すものであるが、添付の特許請求の範囲に概説される発明を限定するように考えられるものではない。特に断りのない限り、実施例中に報告される部及びパーセンテージは全て、重量に基づくものである。以下の材料を実施例において使用した。
【0084】
ハイドロジェンポリシロキサンAは、式(HSiO3/2nを有するハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂であり、式中、nは、樹脂が約10,000のMnを有するような値を有し、且つ樹脂は2%(w/w)未満のケイ素結合ヒドロキシ基を含有する。
【0085】
ハイドロジェンポリシロキサンBは、式Me3SiO(Me2SiO)3.2(HMeSiO)5.8SiMe3を有するポリ(ジメチル/ハイドロジェンメチル)シロキサンであり、式中、Meはメチルであり、括弧外側の下付記号は、囲まれた単位の平均数を示す。
【0086】
ハイドロジェンポリシロキサンCは、式(HMe2SiO1/21.84(SiO4/2)を有するMHQ樹脂であり、式中、Meはメチルであり、括弧外側の下付記号(下付記号1は示されていない)は、囲まれた単位の相対モル数を示す。
【0087】
架橋剤Aは、式ViMe2SiO(Me2SiO)148SiMe2Viを有する有機ポリシロキサンであり、式中、Meはメチルであり、Viはビニルであり、括弧外側の下付記号は、囲まれた単位の平均数を示す。
【0088】
架橋剤Bは、式ViMe2SiO(Me2SiO)25SiMe2Viを有する有機ポリシロキサンであり、式中、Meはメチルであり、Viはビニルであり、括弧外側の下付記号は、囲まれた単位の平均数を示す。
【0089】
架橋剤Cは、式ViMe2SiO(Me2SiO)95.6(ViMeSiO)2.4SiMe2Viを有する有機ポリシロキサンであり、式中、Meはメチルであり、Viはビニルであり、括弧外側の下付記号は、囲まれた単位の平均数を示す。
【0090】
架橋剤Dは、式HO(ViMeSiO)9Hを有する有機ポリシロキサンであり、式中、Meはメチルであり、Viはビニルであり、括弧外側の下付記号は、囲まれた単位の平均数を示す。
【0091】
架橋剤Eは、式(Me3SiO1/20.4(ViMe2SiO1/20.05(SiO4/20.55を有する有機ポリシロキサン60%(w/w)をキシレン中に含有する溶液であり、式中、Meはメチルであり、Viはビニルであり、括弧外側の下付記号はモル分率を示す。
【0092】
架橋剤Fは、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンである。
【0093】
エクソンモービル・ケミカル社により販売されるIsopar(登録商標)Lは、0.767の比重、及び189℃の初留点及び207℃の乾点を特徴とする蒸留範囲を有する炭化水素流体である。
【0094】
白金触媒は、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの白金(0)錯体をトルエン中に含有し、1000ppmの白金濃度を有する混合物である。
【0095】
シリコーンベース:82%の式(PhSiO3/20.75(ViMe2SiO1/20.25を有するシリコーン樹脂(ここで、当該樹脂は、約1700の重量平均分子量、約1440の数平均分子量を有し、約1モル%のケイ素結合水素原子を含有する)、及び18%の1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンを含有する混合物。1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン中のケイ素結合水素原子と、シリコーン樹脂中のケイ素結合ビニル基とのモル比は、29Si NMR及び13C NMRにより決定される場合に、1.1:1である。
【0096】
帝人デュポンフィルム(バージニア州ホープウェル)により販売されるMelinex(登録商標)516は、滑りのために離型剤で一面が前処理され、125μmの厚さを有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。
【0097】
ガラス織物は、平織及び37.5μmの厚さを有する106型電気ガラス織物(style106 electrical glass fabric)を575℃で6時間加熱することによって調製された熱処理ガラス織物である。未処理ガラス織物は、JPSガラス(サウスカロライナ州スレーター)から得た。
【0098】
(実施例1)
シリコーンベースを、当該ベースの重量を基準として0.5%(w/w)の白金触媒と混合した。得られた組成物を、Melinex(登録商標)516PETフィルム(8インチ×11インチ(20.32cm×27.94cm))の離型剤処理された表面上に適用し、シリコーンフィルムを形成した。PETフィルムと同じ寸法を有するガラス織物を、シリコーンフィルム上に慎重に置き、当該組成物に当該織物を完全に濡らすのに十分な時間を与えた。次に、埋め込まれた織物に上記のシリコーン組成物を均一に適用した。同一のPETフィルムを、シリコーン組成物と接触する離型処理された面をもつ被膜の上に配置した。次に、300μmの距離を離された2つのステンレス鋼バー(bar)に積層物を通過させた。積層物を、150℃で10分間、オーブン内で加熱した。オーブンを止め、オーブン内で積層物を室温まで冷却した。上部のPETフィルムを強化シリコーン樹脂フィルムから分離し(剥がし)、次に、シリコーン樹脂フィルムを下部のPETフィルムから分離した。透明な強化シリコーン樹脂フィルムは、約125μmの厚さを有していた。
【0099】
(実施例2−5)
実施例2−5のそれぞれにおいて、表1で特定された成分及び量を用い、ハイドロジェンポリシロキサンAを22重量部のIsopar(登録商標)Lに溶解し、溶液に架橋剤を加え、減圧下、100℃でIsopar(登録商標)Lを除去し、次に白金触媒で混合物を処理することによってシリコーン組成物を調製した。
【0100】
各シリコーン組成物のサンプル(約2g)を、個々のステンレス鋼パン(pan)内に配置し、150℃で2時間、オーブン内で加熱してハイドロジェンポリシロキサン樹脂を硬化させ、次に室温まで冷却した。接着剤サンプルを、大気中、800℃で30分間加熱してチャーを生成させ、次に室温まで冷却した。各接着剤のチャー収率は、チャー後の接着剤の質量をチャー前の(硬化)接着剤の質量で割り、その商に100を掛けることによって計算された。各接着剤のチャー収率は、表2に報告される。
【0101】
積層ガラス複合体を、次の手順に従い、各シリコーン組成物を用いて調製した。2つの平面フロートガラスプレート(6インチ×6インチ×1/8インチ(15.24cm×15.24cm×0.32cm))を水中の洗剤の温溶液で洗浄し、脱イオン水で十分にすすぎ、大気中で乾燥させた。約2gのシリコーン組成物を各ガラスプレートの一面上に適用した。ガラスプレートと同じ寸法を有する実施例1の強化シリコーン樹脂フィルムを、1つのガラスプレートの被覆表面上に配置し、次に、他のガラスプレートの被覆表面を強化シリコーン樹脂フィルムの露出した表面上に配置した。積層物を、室温で2時間、真空(2500Pa)下で保持した。複合体を、オーブン内で、3℃/分の速度で150℃まで加熱し、その温度で積層物を2時間保持した。オーブンを止め、積層ガラスをオーブン内で室温まで冷却した。
【0102】
10psi(6.9×104Pa)でプロピレンを供給し、2.5インチ(6.35cm)のオリフィス直径を有するトーチ(torch)を、積層ガラスの1つの平面と垂直に、当該表面から11インチ(27.94cm)離して配置した。積層ガラスをトーチに10分間曝し、次に室温まで冷却した。熱処理後、残存した積層物中のガラスプレートを強化シリコーン樹脂フィルムに接着した。
【0103】
(比較例1−3)
比較例1−3のそれぞれにおいて、表1で特定された成分及び量を用いてシリコーン組成物を調製した。比較例1及び2では、ハイドロジェンポリシロキサン、架橋剤、及び白金触媒を順々に、単に混合した。比較例3では、ハイドロジェンポリシロキサンC及び架橋剤Eを最初に混合し、次に、減圧下、100℃でキシレンを除去した。次に、この混合物を、架橋剤F及び白金触媒と混合した。
【0104】
実施例2−5で上記した方法を用い、各組成物のサンプルを加熱して接着剤を製造した。各接着剤のチャー収率が表2に報告される。
【0105】
さらに、実施例2−5の方法に従い、各シリコーン組成物を用いて積層ガラス複合体を調製し、次に熱処理した。熱処理の間、積層物中のガラスプレートを強化シリコーン樹脂フィルムから離した。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式[(HSiO(3-w)/2)(OH)wm(R122SiO1/2n[(R12SiO(2-x)/2)(OX)xp[(R1SiO(3-y)/2)(OH)yq[(SiO(4-z)/2)(OH)zr (I)
(式中、各R1は独立して、いずれも脂肪族不飽和を含まない、C1〜C10のヒドロカルビル又はC1〜C10のハロゲン置換ヒドロカルビルであり;各R2は独立して、R1又は−Hであり;mは0.2〜1であり;nは0〜0.3であり;pは0〜0.8であり;qは0〜0.6であり;rは0〜0.3であり;wは0〜0.05であり;xは0〜0.05であり;yは0〜0.05であり;zは0〜0.05であり;m+n+p+q+r=約1であり;ただし、樹脂は、1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂、
(B)(i)1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基を有する、少なくとも1つの有機ポリシロキサン、(ii)1分子あたり平均少なくとも2つの脂肪族炭素−炭素二重結合を有する、少なくとも1つの有機化合物、(iii)(i)及び(ii)を含む混合物から選択される架橋剤であって、前記架橋剤(B)中の脂肪族炭素−炭素二重結合のモル数と前記ハイドロジェンポリシロキサン樹脂(A)中のケイ素結合水素原子のモル数との比が、0.002〜0.4である架橋剤、及び
(C)ヒドロシリル化触媒
を含むシリコーン組成物。
【請求項2】
前記下付記号mが0.4〜1の値を有する請求項1に記載のシリコーン組成物。
【請求項3】
前記下付記号mが1の値を有する請求項2に記載のシリコーン組成物。
【請求項4】
式[(HSiO(3-w)/2)(OH)wm(R122SiO1/2n[(R12SiO(2-x)/2)(OX)xp[(R1SiO(3-y)/2)(OH)yq[(SiO(4-z)/2)(OH)zr (I)
(式中、各R1は独立して、いずれも脂肪族不飽和を含まない、C1〜C10のヒドロカルビル又はC1〜C10のハロゲン置換ヒドロカルビルであり;各R2は独立して、R1又は−Hであり;mは0.2〜1であり;nは0〜0.3であり;pは0〜0.8であり;qは0〜0.6であり;rは0〜0.3であり;wは0〜0.05であり;xは0〜0.05であり;yは0〜0.05であり;zは0〜0.05であり;m+n+p+q+r=約1であり;ただし、樹脂は、1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含むシリコーン接着剤。
【請求項5】
前記下付記号mが0.4〜1の値を有する請求項4に記載のシリコーン接着剤。
【請求項6】
前記下付記号mが1の値を有する請求項5に記載のシリコーン接着剤。
【請求項7】
基板、及び
前記基板の表面の少なくとも一部上のシリコーン接着剤被膜であって、式[(HSiO(3-w)/2)(OH)wm(R122SiO1/2n[(R12SiO(2-x)/2)(OX)xp[(R1SiO(3-y)/2)(OH)yq[(SiO(4-z)/2)(OH)zr (I)
(式中、各R1は独立して、いずれも脂肪族不飽和を含まない、C1〜C10のヒドロカルビル又はC1〜C10のハロゲン置換ヒドロカルビルであり;各R2は独立して、R1又は−Hであり;mは0.2〜1であり;nは0〜0.3であり;pは0〜0.8であり;qは0〜0.6であり;rは0〜0.3であり;wは0〜0.05であり;xは0〜0.05であり;yは0〜0.05であり;zは0〜0.05であり;m+n+p+q+r=約1であり;ただし、樹脂は、1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含む、シリコーン接着剤被膜
を含む被覆基板。
【請求項8】
前記下付記号mが0.4〜1の値を有する請求項7に記載の被覆基板。
【請求項9】
前記下付記号mが1の値を有する請求項8に記載の被覆基板。
【請求項10】
前記基板が、ガラス及び強化シリコーン樹脂フィルムから選択される請求項7に記載の被覆基板。
【請求項11】
第1基板;
前記第1基板を覆う少なくとも1つの追加基板;及び
各基板の少なくとも1つの表面の少なくとも一部上のシリコーン接着剤被膜であって、ただし、前記接着剤被膜の少なくとも一部が、隣接する基板の反対面の間にあり且つ直接接しており、前記接着剤被膜が、式[(HSiO(3-w)/2)(OH)wm(R122SiO1/2n[(R12SiO(2-x)/2)(OX)xp[(R1SiO(3-y)/2)(OH)yq[(SiO(4-z)/2)(OH)zr (I)
(式中、各R1は独立して、いずれも脂肪族不飽和を含まない、C1〜C10のヒドロカルビル又はC1〜C10のハロゲン置換ヒドロカルビルであり;各R2は独立して、R1又は−Hであり;mは0.2〜1であり;nは0〜0.3であり;pは0〜0.8であり;qは0〜0.6であり;rは0〜0.3であり;wは0〜0.05であり;xは0〜0.05であり;yは0〜0.05であり;zは0〜0.05であり;m+n+p+q+r=約1であり;ただし、樹脂は、1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する)を有する、少なくとも1つのハイドロジェンポリシロキサン樹脂の硬化生成物を含む、シリコーン接着剤被膜
を含む積層基板。
【請求項12】
前記下付記号mが0.4〜1の値を有する請求項11に記載の積層基板。
【請求項13】
前記下付記号mが1の値を有する請求項12に記載の積層基板。
【請求項14】
前記基板の少なくとも1つがガラスである請求項11に記載の積層基板。
【請求項15】
前記基板の少なくとも1つが強化シリコーン樹脂フィルムである請求項11に記載の積層基板。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−516626(P2011−516626A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549716(P2010−549716)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/034835
【国際公開番号】WO2009/111196
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】