説明

シルセスキオキサンホモポリマー又はコポリマーで本質的に構成されたシェエンベロープを有するマイクロカプセル

本発明の主題は、少なくとも1種類の有効成分を含むコアを含むリザーバを有し、前記コアがポリマーエンベロープで包囲されたマイクロカプセルであって、前記ポリマーエンベロープは、前記エンベロープの総重量に対して50から100重量%のシルセスキオキサン型化合物で形成されることを特徴とする。本発明の別の主題は、上記カプセルを製造するプロセスであり、化粧品を製造するためのその使用でもある。本発明の別の一主題は、UV遮断剤を示す化粧品又は医薬品の製造における上述したリザーバマイクロカプセルの使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シルセスキオキサンホモポリマー又はコポリマーで本質的に構成されたシェル(一般に固体)で包囲されたコア(一般に液体)を各々含む、コア/シェル型マイクロカプセル又はリザーバマイクロカプセルに関する。
【0002】
本発明は、上記マイクロカプセルの製造プロセス、及び化粧品製造におけるその使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
親油性又は親水性有効成分を含むマイクロカプセルは、多数の分野、例えば化粧品又は医薬品の分野に使用される。芳香剤、UV遮断剤、医薬品などの有効成分は、マイクロカプセル中で保護し、次いで徐々に放出するために、マイクロカプセルに挿入することができる。
【0004】
マイクロカプセル中の有効成分の親水性又は親油性に応じて、2つのタイプのマイクロカプセルが存在する。すなわち、マイクロカプセルが水性内相を含むときには、連続相は有機であり、有機内相を含むときには、連続相は水性である。
【0005】
多数のマイクロカプセル、特にシルセスキオキサン系マイクロカプセルが従来技術において開発されている。シルセスキオキサンは、多数の利点を示す安価で入手の容易な化合物である。シルセスキオキサンは、良好な熱的機械的安定性を示し、耐光性であり、生物学的に不活性である。その結果、シルセスキオキサンは、皮膚、特にヒトの皮膚に十分許容される。
【0006】
公知の方法では、シルセスキオキサンとは一般実験式R−SiO3/2を指す。式中、Siは元素ケイ素であり、Oは酸素であり、Rはアルキル、アルケニル、アリール又はアリーレン基である。シルセスキオキサンは、一般に、一般実験式R−Si(ORに対応するオルガノトリアルコキシシランの加水分解及び縮合によって得られる。式中、Rは上で定義したとおりであり、Rは一般にアルキル基である。
【0007】
特許文献1は、特に、オルガノポリシロキサンをマトリックスとして含む着色ゲルに基づく粒子の製造プロセスを記載している。しかし、メチルトリエトキシシランなどの疎水性有機基を示すアルコキシシランがマトリックスの出発材料として使用されるときには(加水分解反応)、ポリマー組成物は水溶液中で堆積物を形成する。
【0008】
その結果、加水分解物の重合中に疎水性コアを取り込みながらアルコキシシランを用いて水溶液中でマイクロカプセルを製造することは困難である。
【0009】
特許文献2は、その従来技術において、ポリシロキサンがトリアルコキシシランから合成されるマイクロカプセルの製造プロセスを記載している。しかし、ポリシロキサンで構成されたマイクロカプセルのシェルは、有効成分の封入に適切な十分な耐性及び十分な硬度を示さない。このため、この文献によって見いだされた解決策は、2つの層を有する壁を含むマイクロカプセルの製造プロセスである。
【0010】
この文献で示されるように、ほんの一つのオルガノポリシロキサン系シェルを有するマイクロカプセルを製造することは現時点では困難である。
【0011】
特許文献3は、塩基性媒体中でアミノ化シランモノマーの存在下での重合によって製造されたオルガノポリシロキサン壁を有するマイクロカプセルを記載している。
【0012】
塩基性媒体中で実施されるかかるプロセスの欠点は、オルガノポリシロキサン壁中の残留孔の存在だけでなく、存在するアミン基によってもたらされる、光に対するマイクロカプセルの黄変でもある。さらに、塩基性媒体におけるこの技術の欠点は、形成されたポリマーが、急速に硬化して必然的に多孔質マイクロカプセルをもたらす3次元構造を直ちに有することである。
【0013】
したがって、最新技術によって見いだされた解決策は、反応を複雑で高価にする、具体的に割り当てられた幾つかのモノマー、又は構造を柔軟にするために長鎖を有する、合成の困難なコポリマー(しかし、この場合、コポリマーは低速で反応する。)、又はモノマーの官能性を減少させること(しかし、後者の場合、反応性が低下し、最終構造が弱くなる。)を含む。
【0014】
特許文献4は、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂系コーティングを含む平均直径0.1μmから100μmのシリコーンゴム微粒子を記載している。このコーティングは、シリコーンゴム粒子100重量部に対して1から500重量部である。この文献は、固体粒子にグラフトするための技術を記載している。具体的には、トリアルコキシシラン化合物をシリコーンゴム水性分散液と反応(加水分解及び縮合反応)させることによって、シリコーンゴム(硬化シリコーンゴム)の固体粒子をポリオルガノシルセスキオキサン樹脂で被覆する。さらに、この文献に記載のプロセスを用いると、シルセスキオキサンに主として基づくマイクロカプセルを得ることができない。というのは、このプロセスによれば、アルコキシシランは、液体有効成分の液滴周りで重合せず、水相中で小粒子の形で重合するからである。
【0015】
特許文献5は、有効成分(染毛剤、UV−A又はUV−B遮断剤、フラボノイドなど)がその中に吸収された、実施例1のフェニルプロピルシルセスキオキサンなどのシルセスキオキサン型ポリマーで形成された粒子を記載している。したがって、この文献は、外側のシェル(ポリマー)で包囲されたコア(親油相又は水相)を示すリザーバマイクロカプセルを記載していない。
【0016】
Bok Yeop Ahnによる刊行物「Core/Shell Silica−Based in situ Microencapsulation:A Self−Templating Method」は、親油性活性コア(液体)とシリカ(SiO)及び(RSiO1.51−x−(SiO(Rはアルキル基であり、xは0.1から0.5である。)で構成された固体コーティングとを含むマイクロカプセルを記載している。シリカは、テトラエトキシシラン(TEOS)で形成され、第2の化合物(RSiO1.51−x−(SiO自体は、Si(OR)とメチルトリメトキシシラン(MTMS)などのRSi(OR’)との組合せで形成される。したがって、この文献では、シルセスキオキサン化合物は、シリカプレポリマーを補充するための添加剤にすぎない。さらに、例では、シルセスキオキサン化合物はコーティングの30%以下である。
【0017】
同様に、Sang I.Seokによる刊行物「Microencapsulation of Oil in Organically Modified Silicate Glass by Sol−Gel Process」は、親油性コア(キシレン)とシリカ及び添加剤としてシルセスキオキサン型化合物に主として基づくシェルとを含むマイクロカプセルの調製プロセスを記載している。この文献のプロセスの第一段階は、
− オリゴマー化合物を形成するように、テトラエチルオルトシリケート及びメチルトリメトキシシラン(MTMS)を脱イオン水で加水分解及び縮合すること、
− 同時に、加水分解中に形成されるアルコールを除去すること、
− 冷却後、親油性化合物:キシレン(油相)を用いて得られたオリゴマー化合物をドーピング剤と混合すること、及び
− 油中水型マイクロエマルジョンを形成するように、油相/オリゴマー混合物をホモジナイズすることに存する。
【0018】
特許文献6は、ガスから出発した大気汚染物質(NO、SO)を除去するプロセスに関する。
【0019】
これらの文献はいずれも、そのコーティングがシルセスキオキサン型化合物に本質的に基づくリザーバマイクロカプセルを記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第3 257 330号明細書
【特許文献2】米国特許第3 551 346号明細書
【特許文献3】米国特許第6 251 313号明細書
【特許文献4】欧州特許第0 661 334号明細書
【特許文献5】欧州特許第1 426 100号明細書
【特許文献6】欧州特許第0 216 388号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、上記欠点のすべて又は一部を回避する、マイクロカプセルの新規製造プロセス、及び親油性又は親水性有効成分を含む新規マイクロカプセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一主題は、少なくとも1種類の有効成分を含むコアを含み、前記コアがポリマーシェルで包囲されたリザーバマイクロカプセルであって、前記ポリマーシェルが、前記シェルの総重量に対して50から100重量%のシルセスキオキサン型化合物で形成されることを特徴とする。
【0023】
リザーバマイクロカプセル(又はコア/シェルマイクロカプセル)は、ポリマーでできたシェルで包囲されたコアを含む。一般に、コアは多かれ少なかれ液体であり、コーティングは多かれ少なかれ固体である。したがって、マイクロカプセルは、その名称が示すとおり、それ自体有効成分で構成されたコアを包囲する(本発明による)シルセスキオキサンポリマーでできた連続シェルで形成されたカプセルで構成される。リザーバマイクロカプセルの目的は、固体及び耐性でなければならないポリマーシェル内部に、有効成分で形成されたコアを含むことである。このタイプの技術は、コーティングが固体粒子(シリコーンゴム例)にグラフトされるグラフト技術や有効成分が固体ポリマー上に吸収され、外面シェルがないマトリックスタイプの技術とは異なる(ポリマーが合成され、次いで有効成分がその中に取り込まれる。)。
【0024】
本発明によるリザーバマイクロカプセルは、シルセスキオキサン型化合物に本質的に基づく壁を含むので、十分な強度及び十分な耐漏洩性を示し、親油性又は親水性有効成分の封入に適している。
【0025】
好ましくは、シルセスキオキサン型ポリマー化合物は、前記シェルの総重量に対して70重量%以上である。
【0026】
有利には、シルセスキオキサン型ポリマー化合物はR−SiO3/2である。式中、Rは、
− メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシルなどのヘキシル、n−ヘプチルなどのヘプチル、n−オクチル若しくはイソオクチルなどのオクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリルなどのアリール、o−、m−及びp−トリル、キシリル及びエチルフェニルなどのアルカリール、並びにベンジル、α−フェニルエチル及びβ−フェニルエチルなどのアラルキル基などの、1から20個の炭素原子を有する置換又は非置換アルキル基、
− メトキシエチル及びエトキシエチルなどの酸素含有アルキル基、
− クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロイソプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル又はo−、m−及びp−クロロフェニルなどの、ハロゲン化基、或いは
− ビニル、5−ヘキセニル、2,4−ジビニルシクロヘキシルエチル、2−プロペニル、アリル、3−ブテニル、4−ペンテニル、エチニル、プロパルギル及び2−プロピニルなどの不飽和基である。
【0027】
好ましくは、有効成分(単数又は複数)は、脂肪酸及びアルコール、有機溶媒、炭化水素、エステル、シリコーン流体及びゴム、植物油及び親油性若しくは親水性植物抽出物、反応性若しくは非反応性染料及び色素分散体、UV遮断剤、純粋な又は水溶液若しくは有機溶液のビタミン及び薬用活性分子、芳香剤及び香味剤、殺虫剤及び忌避剤、触媒、相変化材料、フェノール化合物、水、過酸化水素水溶液などの消毒剤、グルタルアルデヒド溶液、塩、アミノ酸、タンパク質、ポリペプチド、酵素、DHA、糖類及び多糖類、アミン塩、又はそれらの混合物から選択される。
【0028】
本発明の別の一主題は、上述したリザーバマイクロカプセルの製造プロセスであって、
(i)それぞれ水中油型若しくは油中水型の乳濁液又は分散液を形成するように、少なくとも1種類の親油性又は親水性有効成分をそれぞれ水性又は有機連続相中に分散させる工程、
(ii)シルセスキオキサンホモポリマー又はコポリマーを形成するように、シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体を加水分解し、それを水中油型若しくは油中水型の分散液又は乳濁液の水相中で、又は該水相と接触させて、in situで重合する工程
に存する段階を含み、
(iii)重合又は封入時にマイクロカプセルの耐漏洩性に好適な界面性質を与えるように
− 加水分解状態で水に好ましくは不溶である、ポリ(エチルシリケート)などのシリケート、
− シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体、又は
− それらの混合物から選択される化合物が、加水分解及び/又は重合反応の最初にマイクロカプセルの有機相に導入されることを特徴とする、製造プロセスである。
【0029】
これは、これらの化合物の一つ(好ましくは、不溶性シリケート、又はシルセスキオキサンポリマー化合物の前駆体)を混合物の有機相に添加することによって、塩基性媒体中であろうと酸性媒体中であろうと、シルセスキオキサンに本質的に基づくマイクロカプセルを得ることができるからである。
【0030】
好ましくは、重合段階は酸性媒体中で実施される。
【0031】
これは、本出願会社の研究によれば、驚くべきことに、さらに予想外に、マイクロカプセルの製造中に、シルセスキオキサンポリマー又はコポリマーが酸性媒体中での加水分解及び重合によってin situで合成される場合、シルセスキオキサン型ポリマーで構成されるほんの一つの耐性及び耐漏洩性シェルを有するマイクロカプセルが(塩基性媒体と比較して)容易に得ることができたからである。
【0032】
結果的に、シルセスキオキサン系マイクロカプセルの製造における既存の欠点を考慮して、当業者は、酸性媒体中で加水分解及び重合段階を実施する傾向になかった。これは、上記技術においては、硬化は、常に、pHを上昇させて、重合架橋が速く完全である塩基性領域にpHを持って行くことによって実施されるからである。
【0033】
好ましくは、重合中のpHは6未満である。
【0034】
第1の別の実施形態によれば、pHは加水分解中及び重合の最初に3から5にあり、次いで重合終了まで1から4、好ましくは1.5から2.5である。
【0035】
第2の別の実施形態によれば、pHは加水分解段階から1から4である。
【0036】
有利には、フッ化物イオン、又はその構造中にフッ化物イオンを含む1種類以上の化合物が、重合中に媒体中に存在する。
【0037】
特に、フッ化物イオンは、アミン官能基を有する化合物の存在下で使用される。
【0038】
有利には、重合反応の最後のpHは、5.5から8.5、好ましくは6から7に上昇される。
【0039】
好ましくは、水中油型乳濁液の場合に、親水基を有する1個以上のシランが、マイクロカプセルの壁の少なくとも部分的凝固後に導入される。
【0040】
有利には、油中水型乳濁液の場合に、親油基を有する1個以上のシランが、マイクロカプセルの壁の少なくとも部分的凝固後に導入される。
【0041】
上記2つの特性によれば、場合によっては少なくとも1個のシランはカチオン電荷を有する。
【0042】
有利には、温度は、分散又は加水分解段階中に10℃から50℃であり、次いで重合段階中に40℃から90℃である。
【0043】
好ましくは、シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体は、R−Si(R)型である。式中、Rは上で定義したとおりであり、
、R及びRは各々独立に、アセトキシ、アミノ、酸、アミド、オキシイミノ、塩素又はOR基を表し、R
− 例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル基など、1から3個の炭素原子を有する置換又は非置換アルキル基、
− メトキシエチル及びエトキシエチルなどの酸素含有アルキル基、或いは
− ビニル、2−プロペニル、又はアリルなどの不飽和基である。
【0044】
特に、シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体は、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、メチルトリクロロシラン又はそれらの混合物である。
【0045】
本発明の別の一主題は、UV遮断剤を示す化粧品又は医薬品の製造における上述したリザーバマイクロカプセルの使用である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
水中油型、次いで油中水型封入調製物、続いて非限定的例を以下に示す。
【0047】
a)水中油型封入:
水中油型封入の場合、親油性内相(親油性有効成分)は、水性連続相に分散される。
【0048】
親油性内相の調製:
親油性内相を調製するために、1種類以上の親油性有効成分を混合する。
【0049】
有効成分は、脂肪性物質も含み、例えば、抗酸化剤、遊離基抑制剤、メラニン制御因子、日焼け促進剤、脱色素剤、皮膚着色剤、脂肪制御剤、減量剤、抗ニキビ剤、抗脂漏剤、老化防止剤、抗しわ剤、UV照射抑制剤、角質溶解剤、抗炎症剤、清涼剤、治療剤、血管保護剤、抗菌剤、抗真菌剤、制汗剤、脱臭剤、ヘアコンディショナー、免疫調節物質、栄養剤、精油及び芳香剤から選択される。
【0050】
本発明の状況において使用することができる皮膚及び/又は毛の処理用親油性有効成分の例としては、より具体的には以下の化合物を挙げることができる:D−α−トコフェロール、DL−α−トコフェロール、D−α−酢酸トコフェロール、DL−α−酢酸トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンFグリセリド、ビタミンD、特にビタミンD及びビタミンD、レチノール、レチニルエステル(パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル)、β−カロテン、D−パンテノール、ファルネソール、酢酸ファルネシル、必須脂肪酸の豊富なオイル、特にホホバ油及びクロフサスグリ油、5−(n−オクタノイル)サリチル酸、サリチル酸、クエン酸、乳酸及びグリコール酸などのα−ヒドロキシ酸のアルキルエステル、アシアト酸、マデカス酸、アジアチコシド、Centella asiaticaの全抽出物、β−グリチルレチン酸、α−ビサボロール、セラミド、特に2−オレオイルアミノ−1,3−オクタデカン、フィタントリオール、ミルクスフィンゴミエリン、多価不飽和必須脂肪酸の豊富な海産リン脂質、エトキシキン、ローズマリー抽出物、バルサム抽出物、クェルセチン、乾燥微細藻類の抽出物(Algatecによって販売されているAlgoxan Red)、ベルガモット精油、オクチルメトキシシンナマート(Givaudan−Roureによって販売されているParsol MCX)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Guivaudan−Roureによって販売されているParsol 1789)、オクチルトリアゾン(BASFによって販売されているUvinul T150)、マイクロメートル若しくはナノメートル形態又は被覆(例えば、ペルフルオロアルキルで被覆された)形態で提供され得る黄色、褐色、黒色又は赤色酸化鉄、酸化チタン、3−[3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジリデン]ショウノウ、2−(ベンゾ−トリアゾル−2−イル)−4−メチル−6−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]−2−メチルプロピル]フェノール、全フッ素置換オイル(ペルフルオロデカリン、ペルフルオロオクチル臭化物)又は超酸素化トウモロコシオイル(Carileneによって販売されているEpaline 100)。
【0051】
別の一実施形態においては、親油性有効成分のこの混合物に、シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体を添加することができる。
【0052】
好ましくは、シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体は、R−Si(R)型であり、Rは非加水分解性基であり、R、R及びRは加水分解性基である。
【0053】
Rは、特に
− 例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシルなどのヘキシル、n−ヘプチルなどのヘプチル、n−オクチル若しくはイソオクチルなどのオクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリルなどのアリール、o−、m−及びp−トリル、キシリル及びエチルフェニルなどのアルカリール、並びにベンジル、α−フェニルエチル及びβ−フェニルエチルなどのアラルキル基などの、1から20個の炭素原子を有する置換又は非置換アルキル基、
− メトキシエチル及びエトキシエチルなどの酸素含有アルキル基、
− クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロイソプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル又はo−、m−及びp−クロロフェニルなどの、ハロゲン化基、或いは
− ビニル、5−ヘキセニル、2,4−ジビニルシクロヘキシルエチル、2−プロペニル、アリル、3−ブテニル、4−ペンテニル、エチニル、プロパルギル及び2−プロピニルなどの不飽和基であり、
、R及びRは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、アセトキシ、アミノ、酸、アミド又はオキシイミノ、又は塩素原子などの加水分解性基を表す。
【0054】
加水分解反応は、モノマーR−Si(OH)をもたらす。
【0055】
より高い反応速度を与える短鎖が好ましい。
【0056】
短鎖を示す前駆体は、より高い反応速度を与えるので、優先的に使用される。
【0057】
好ましくは、シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体は、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、メチルトリクロロシラン又はそれらの混合物である。これらの化合物の利点は、適切な条件下で、化学的及び微生物学的に極めて耐性がありごくわずかにしか多孔質でない硬い壁を有するマイクロカプセルを急速にもたらすことである。
【0058】
親油性有効成分のこの混合物に、加水分解状態で水に好ましくは不溶なままであるポリ(エチルシリケート)などのオルガノシリケートを添加することもできる。別の一実施形態においては、この化合物を加水分解及び/又は重合反応の最初に導入することもできる。この技術によって、形成されたシルセスキオキサンをより良好にマイクロカプセルに「固定」することができ、その組合せの親水性を低下させることもできる。
【0059】
これらの化合物、ポリ(エチルシリケート)又はシルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体(MTMS、MTES)は、親油相に添加すると、驚くべきことに、ある程度の界面的性質を重合に付与することができる。
【0060】
従来技術によれば、in situ封入においては、重合は水相で起こる。オルガノシラン型モノマーの重合中(これは、シルセスキオキサン型ポリマー(又は別のシリコーン)を形成するためになされる。)、R−Si(OH)が形成され、続いて重合により多数のOH基を含むポリマーが形成される。反応が続くとOH基数は減少する。したがって、形成されたこのポリマーは、最初は極めて親水性であり、したがって油滴の周囲にすぐに堆積する傾向はないが、水溶液中に残留する傾向があり、極めて高粘度になり、操作を困難にし、実際には不可能にさえする。さらに、形成されたこのポリマーは、OHが激減したときに、滴の周囲に堆積するだけである。その時、ポリマーの分子量、その重合度及びその架橋度は、均一に堆積してコンパクトな液層を形成するようなものではない。その結果、多孔質壁が形成される。
【0061】
MTESなどのオルガノシランモノマー又はポリ(エチルシリケート)などの水不溶性プレポリマーを油相中で使用する利点は、反応が、水中で形成されるこれらのオルガノシランモノマー又はプレポリマーとポリマーの界面で起こることである。したがって、形成されたシルセスキオキサンポリマーは、油滴と結合し、その周囲にはるかに容易にはるかに早く堆積する。
【0062】
このため、本発明のプロセスによる封入は、マイクロカプセルを耐漏洩性及び耐性にする界面的性質を示す。
【0063】
上述したように、加水分解状態で水に好ましくは不溶であるポリ(エチルシリケート)などのシリケート、又はMTMS、MTESなどのシルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体は、油中に残留することができ、油相中では、水中の前駆体よりもはるかに低速で加水分解するので、より一層適切である。さらに、ある量のこれらの化合物は、既にある程度重合しているが(非加水分解基は油中に残留する傾向があるので)完全には加水分解されていない形態であり、その結果、水相中のシルセスキオキサン前駆体と反応して、油滴の周囲に堆積するのに役立ち得る。
【0064】
この有利な効果は、油中水型封入でも有効である。
【0065】
最後に、親油性有効成分のこの混合物に、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどの親油性アミンを添加することもできる。このアミンは、水/オイル界面で、水相のフッ化物イオンと複合体を形成し、その複合体はその界面的性質の効果を高めることによって反応を触媒する。
【0066】
この第1の混合物は、マイクロカプセルの親油性内相になる。
【0067】
水性連続相の調製:
水性連続相は、水及び1種類以上の酸、好ましくは弱酸を含み、その結果、pHは6未満であり、好ましくは3から5である。これらの弱酸は、例えば、酢酸、ギ酸又はクエン酸である。
【0068】
上述したR−Si(R)型のシルセスキオキサン型ポリマー化合物の1種類以上の前駆体がこの酸性水相に導入される。
【0069】
乳濁液の形成を促進するために、又は封入中にそれを完全に維持するのを助けるために、保護コロイドを連続相に導入することができる。この保護コロイドは、以下のリストから選択することができる:ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン及びビニルピロリドンコポリマー、より多い又は少ない程度に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)、及びそのコポリマー、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアゴムなどの天然起源のポリマー、アルギン酸塩、ペクチン、デンプン及び誘導体、カゼイン、アクリル又はメタクリル酸のポリマー及びコポリマー、スルホ基を有するポリマーなどのイオン化ポリマー。さらに、これらのコロイドは、極度に広範ではない乳濁液又は分散液の粒径分散を得ることを可能にし、シェル重合中の凝集を抑制することができる。
【0070】
乳濁液/分散液の製造、加水分解、及び重合の開始:
親油性内相を撹拌しながら水性連続相と混合する。さらに別の一実施形態によれば、シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体の加水分解が起こるのを、内相を導入するまで待つことができる。
【0071】
この添加は、10℃から50℃、好ましくは20℃から40℃の温度で実施される。
【0072】
この操作は、撹拌機、ホモジナイザー又はローター/ステータタービンミキサーを用いて実施することができる。回転速度は、一般に0.1から100μmに調節されるマイクロカプセルのサイズを調節するのに役立つ。
【0073】
界面活性剤は、この操作を容易にするために使用することができるが、一般には不要である。例として、より多い若しくは少ない程度にオキシエチル化されたソルビタン若しくはグリセロール脂肪酸エステル;脂肪鎖を有するフェノールのポリオキシエチル化誘導体、脂肪鎖を有するアミノ若しくはアミドベタイン、オキシエチル化脂肪酸若しくは脂肪アルコール縮合物、アルキルアリールスルホナート、脂肪酸石鹸、脂肪スルファート及びスルホナート、スルホコハク酸ジアルキル、脂肪アミンの酸化物、脂肪イミダゾリン、脂肪アミドスルホベタイン、カチオン性乳化剤、脂肪酸のモノ若しくはジエタノールアミド、ジメチコンコポリオールなどのシリコーン型分散剤、又はそれらの混合物を使用することができる。
【0074】
内相は、マイクロカプセルの乳濁液又は分散液中にほぼ35から40%のレベルで存在する。
【0075】
この段階では、マイクロカプセルの壁は液体である。シルセスキオキサン前駆体は、加水分解されるにつれ、分散相を包囲し始める。
【0076】
重合の継続及び促進:
数分から数時間後、1種類以上の強酸が導入される。強酸は、有利には、フッ化水素酸単独、又は硝酸、塩酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの別の強酸との混合物としてのフッ化水素酸である。次いで、壁は徐々に硬化する。pHは、1(実際には0.8までも)から4、好ましくは1.5から2.5の近くに低下する。
【0077】
1から数時間後、温度は、徐々に又は違ったふうに、65℃近くまで上昇した。この反応がある程度可逆的であることを考えると、反応によって生成されるアルコールが蒸発によって大部分除去され得るように、温度は十分高く、時間は十分長くすべきである。この温度は40から100℃で変わり得る。
【0078】
この時期にOH基数は、壁の本体及びマイクロカプセル表面で減少する。次いで、マイクロカプセルは疎水性になり、保護コロイドの存在にかかわらず凝集し得る。
【0079】
これを克服するために、マイクロカプセルを持続的に親水性にするためにマイクロカプセル表面にグラフトされる親水性シランを導入することが有利である。
【0080】
本発明に適切なシランは、例えばR−Si(R)又はRSi−[(CH)R]タイプである。
【0081】
− 式中、Rは、ポリ(グリコールエーテル)などの非加水分解性親水基、(pH条件次第で開環してOHを生成可能な)エポキシド基、又は1個以上の酸、アルコール若しくはアミン官能基を有する基である。1個以上のアミン官能基を有するシランのうち、有利なファミリーは、カチオン化アミンを含むものである。というのは、例えば、皮膚又は織物繊維に対して電荷が与える親和性のために、化粧品又は織物用途に極めて有用であるマイクロカプセル上にカチオン電荷を付与することを可能にするからである。
【0082】
− 式中、R、R及びR基は上記加水分解性基である。
【0083】
このシラン化合物は、壁の部分的凝固後に導入されるので、形成される壁の本体ではなく表面に残留する。すなわち、(粘度変化によって示される)凝集傾向が現れる直前に導入される。
【0084】
当業者に周知の金属又は有機金属触媒、例えば、スズ含有化合物、例えば、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタート、オクタン酸スズ、無機スズ塩、及び白金、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、又はチタナートを含めたチタン化合物などを使用して、重合反応の終了を促進することができる。
【0085】
pHの上昇:
この操作は必須ではないが、マイクロカプセルの最終pHは、一般に、封入の最後には0.8から3.5であるので、マイクロカプセルをこの形で使用することは困難である。したがって、pHは、実用上の理由及びカプセルが使用される媒体との適合性の理由のために、約6.5に上昇される(pHはほぼ4から8.5の範囲とすることができる。)。この操作は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアミンを用いて実施される。
【0086】
b)油中水型封入:
水性内相の調製:
親水性内相は、タンパク質又はタンパク質加水分解物、アミノ酸(ヒドロキシプロリン、プロリン)、グリセロール、ソルビトール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリオール、アラントイン、DHA、グアノシン、糖及び糖誘導体、アスコルビン酸(ビタミンC)などの水溶性ビタミン、ヒドロキシ酸及びその塩、保湿有効成分、抗しわ剤、減量剤、栄養剤、柔軟剤などの特定の水溶性有効成分などの親水性有効成分から調製される。
【0087】
加水分解及び重合反応に必要な水は、場合によっては水溶性溶媒(例えば、グリコール、アルコール、そのエーテル、そのエステル、グリセロールなど)と一緒に、これらの親水性有効成分に必ず添加される。一般に、水と溶液を形成するが親油性連続相に可溶性でないすべての溶媒が適切であり得る。
【0088】
有効成分(単数又は複数)は、その中に混合又は溶解される。
【0089】
pHを低下させるように、1種類以上の弱酸又は強酸、場合によってはフッ化水素酸又は水溶性フッ化物がその中に溶解される。前駆体の加水分解の段階から、例えば1から4にpHを低下させることができる。
【0090】
上で定義したシルセスキオキサン前駆体化合物をその中に導入することもできる。MTMS又はMTESが好ましくは適切である。
【0091】
次いで、混合物は、シルセスキオキサン前駆体が十分に加水分解されて可溶性になるまで、乳化操作前に撹拌される。
【0092】
親油性連続相の調製:
連続相は、エステル、炭化水素、オイル、シリコーン流体、溶媒又はそれらの混合物で構成される有機相であり、一般に、水と非混和性であり封入条件下で液体である任意の媒体で構成される有機相である。
【0093】
シルセスキオキサン前駆体を添加することもできる。したがって、この前駆体は、2つの内部若しくは連続相の一方、又はその両方に同時に存在することができる。
【0094】
単に油中水型封入に関しては、加水分解状態でさえも水に不溶であるポリ(エチルシリケート)などのオルガノシリケートを親油相に添加することができる。
【0095】
乳濁液/分散液の製造、加水分解、及び重合の開始:
水中油型封入に関しては、内相の添加は撹拌しながら実施される。撹拌速度は、所望の直径を得るために調節される。
【0096】
内相は、一般に、マイクロカプセルの混合物の40から45%のレベルで存在する。
【0097】
上で定義した乳化剤は、好ましくは有機相に添加することができる。
【0098】
別の一形態では、シルセスキオキサン型前駆体化合物(MTES又はMTMS)及び場合によってはポリ(エチルシリケート)は、それが既になされていない場合、この段階で導入することができる。
【0099】
これらの条件下では、重合が進行し、ポリマー鎖が長くなる。
【0100】
重合の継続及び促進:
30分から数時間後、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどの親油性アミンを、水相のフッ化水素酸などの強酸と複合体を形成する目的で導入することができる。この酸が水相中に始めから存在しない場合、加水分解/重合の開始の時期後、アミンをフッ化水素酸と別々に反応させることができ、得られた混合物を有機相に導入することができる。フッ化水素酸と一緒に、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムなどのフッ化物を水相に導入することによって、アミン無しで済ませることもできる。
【0101】
3次元ポリマーは、その全体が酸性媒体中で最後に重合される。フッ化物イオンの添加は、フッ化水素酸又はその構造中にフッ化物イオンを含む化合物によって、混合物中に遊離したままのシラノール基の重縮合を促進することができる。
【0102】
開始温度は周囲温度であるが、より高温で開始することができる。最終温度は40から80℃である。
【0103】
壁は、開始時に液体であり、(特に、アミン導入後)徐々に凝固する。
【0104】
マイクロカプセルをより親油性にするために、マイクロカプセルの表面にグラフトする親油性シランを導入することができる。このシランは、ブチルトリメトキシシラン又はブチルトリエトキシシランとすることができる。このシランは、壁の部分的凝固後に導入され、その結果、形成される壁の本体ではなく表面に残留する。実際には、凝集傾向が現れる直前に導入される。凝集傾向は粘度変化によって示される。
【0105】
その少なくとも1個がカチオン化されたアミン官能基を有するシランをこの重合相中に導入することも極めて有利である。これは、それがカチオン電荷を有するマイクロカプセルをもたらすからである。このタイプの表面修飾は、水中のマイクロカプセルの有機混合物の乳化可能性を大いに改善し、織物を含めて多数の適用例において有利である。さらにまた、反応を加速するために、上述した金属触媒を添加することができる。
【0106】
pHの上昇:
この操作は必須ではないが、5.5から8.5のpHを得るために、塩基(主に有機アミン)を有機相に導入することによって内相のpHを上昇させることができる。
【0107】
続いて、油中水型又は水中油型の乳濁液又は分散液を含むマイクロカプセルを続いてスプレー塔若しくは流動層、又は凍結乾燥若しくは任意の等価な手段で乾燥させることができる。
【0108】
耐漏洩性マイクロカプセルを得るために、壁はコンパクトで非多孔性であることが必要である。上述したように、これは、壁を極めてゆっくりと重合させて、壁ができるだけ長く液体のままであり、分子量及び架橋を増加させることによって操作の最後にのみ凝固することによって得ることができる。
【0109】
本発明の主題をより良く理解するために、本発明の範囲の純粋に説明のための非限定的例として実施形態を記述する。
【実施例】
【0110】
(実施例1)
化粧品有効成分を含むポリメチルシルセスキオキサンマイクロカプセル
水道水70g、40%クエン酸1.4g及びピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(BASF製Collacral VAL)16.0gを、40℃に維持された500cmビーカーに撹拌しながら導入する。
【0111】
乳化するために、撹拌速度を増加させ、次いで(Unipexによって販売されている)Lipex 205シアバターノキ油86gとトリブチルアミン0.72gの混合物、続いてMTES(Degussa製Dynasylan MTES)40gを導入する。40℃で40分後、以下の混合物を添加する:Bisynthis製6%PEG−14M水溶液12g(分子量300000から400000)、20%トリフルオロメタンスルホン酸水溶液3.0g及び20%フッ化水素酸水溶液9.2g。
【0112】
温度を40℃で2時間維持し、20μmのマイクロカプセル直径を得るために撹拌を調節する。
【0113】
次いで、マイクロカプセルの親水性を保持するために、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(Momentive製Wetlink78)4.0gを導入する。次いで、65℃に昇温して12時間維持し、蒸発(アルコール及び水の損失)の結果として低下するレベルを維持するために、水を添加する。
【0114】
乳濁液を25℃に徐冷する。続いて、30%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6に徐々に上昇させる。
【0115】
(実施例2)
化粧品有効成分を含むポリメチルシルセスキオキサンマイクロカプセル
水道水35g、40%クエン酸2.5g、20%トリフルオロメタンスルホン酸1.5g、20%塩酸1.0g、ピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(BASF製Collacral VAL)6.0g、MTES15.0g及び3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Degussa製Dynasylan 1505)0.5gを、40℃に維持された300cmビーカーに撹拌しながら導入する。
【0116】
乳化するために、撹拌速度を増加させ、次いで前もって50℃にしてホモジナイズされたオリーブ油スクアレン43g、MTES5g及びトリブチルアミン0.36gの混合物を導入する。15μmの直径を得るために撹拌を調節する。
【0117】
15分後、以下の混合物を添加する:Biosynthis製6%PEG−14M水溶液4g(分子量300000から400000)及び20%フッ化水素酸水溶液4.6g。
【0118】
温度を40℃で1時間30分維持する。マイクロカプセルの親水性を保持するために、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(Momentive製Wetlink 78)2.0gを導入する。
【0119】
次いで、65℃に昇温して12時間維持し、蒸発(アルコール及び水の損失)の結果として低下するレベルを維持するために、水を添加する。
【0120】
乳濁液を25℃に徐冷する。30%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0に徐々に上昇させる。
【0121】
(実施例3)
芳香剤を含むポリメチルシルセスキオキサンコポリマーマイクロカプセル
水道水168g、65%酢酸1.4g及びMTMS(Degussa製Dynasylan MTMS)77.0gを、25℃に維持された800cm反応器に撹拌しながら導入する。
【0122】
混合物を25℃で20分間撹拌する。
【0123】
次いで、水道水14g、20%トリフルオロメタンスルホン酸水溶液7g及び20%フッ化水素酸水溶液21gの混合物を添加する。
【0124】
次いで、乳濁液を製造するために、より激しく撹拌しながら以下を添加する。
【0125】
1)Rose Freesia07 006 02芳香剤(Expressions Parfumees)196g、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル(Dow製Dowanol TPnB)17.5g、ポリ(エチルシリケート)(Degussa製Dynasil40)56g及びトリブチルアミン2gの混合物、
2)ピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(BASF製Collacral VAL)17.5g。
【0126】
温度を25℃で1時間30分、次いで40℃で2時間、次いで75℃で30分間維持する。この時間中、6μmの直径を得るために撹拌を調節する。
【0127】
マイクロカプセルの親水性を保持するために、(Momentive製)Wetlink 78 12.0gを導入する。
【0128】
温度を75℃で3時間30分維持し、蒸発(アルコール及び水の損失)の結果として低下するレベルを維持するために、水を添加する。
【0129】
乳濁液を25℃に徐冷する。16時間後、30%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.5に徐々に上昇させる。
【0130】
(実施例4)
相変化材料(PCM)を含むポリメチルシルセスキオキサンコポリマーマイクロカプセル
水道水440g、65%酢酸5.5g及びMTMS(Degussa製Dynasylan MTMS)357.5gを、35℃に維持された2.5リットル反応器に撹拌しながら導入する。
【0131】
混合物を35℃で20分間撹拌する。
【0132】
次いで、8%カルボキシル化PVA水道水溶液(Kuraray製Poval KL318)412gを添加する。次いで、ポリ(エチルシリケート)(Degussa製Dynasil 40)192gと前もって混合された有効成分RT31(Rubitherm製の31℃で融解するパラフィン蝋)770gで構成され、35℃にされた混合物を徐々に導入し、混合物を乳化する。
【0133】
次いで、20%トリフルオロメタンスルホン酸水溶液13.75g、20%フッ化水素酸水溶液35.75g及び水道水55gの混合物を添加する。
【0134】
6μmの直径を得るために撹拌機の速度を調節し、混合物を35℃で3時間維持する。
【0135】
次いで、トリブチルアミン6.9gを添加し、混合物を35℃で1時間維持する。次いで、それを45℃で1時間30分、続いて75℃で3時間加熱する。
【0136】
それを冷却し、翌日、30%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0に上昇させる。
【0137】
(実施例5)
有効成分水溶液を含むポリメチルシルセスキオキサンコポリマーマイクロカプセル
イソノナン酸イソノニル220g、シクロペンタシロキサン879g、ポリ(エチルシリケート)(Degussa製Dynasil 40)161g及びセチルジメチコンコポリオール(Goldschmidt製Abil EM 90)4.4gを3リットルジャケット付き容器に撹拌しながら導入する。
【0138】
この連続相が均一になると、30%硫酸アルミニウム溶液988g、20%フッ化水素酸水溶液29.3g及び50%AMP(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)水溶液11.7gの混合物で構成される水相を、激しく撹拌しながらその中で分散させる。
【0139】
次いで、MTMS(Degussa製Dynasylan MTMS)190gを乳濁液に導入する。
【0140】
混合物を25℃で1時間、次いで40℃で2時間、次いで60℃で2時間維持する。20μmの直径を得るために撹拌を調節する。
【0141】
次いで、トリエタノールアミン7.3g、続いてジブチルスズジアセタート3.5gを導入する。
【0142】
混合物を60℃で4時間維持し、次いで冷却する。
【0143】
(実施例6)
有効成分水溶液を含むポリメチルシルセスキオキサンコポリマーマイクロカプセル
イソノナン酸イソノニル40g、ヤシ脂肪酸2−エチルヘキシル40g、シクロペンタシロキサン10g、ポリ(エチルシリケート)(Degussa製Dynasil 40)9.6g、トリエチルアミン0.2g及びセチルジメチコンコポリオール(Goldschmidt製Abil EM 90)1gを、20℃の水浴に浸漬された350mlビーカーに撹拌しながら導入する。
【0144】
この連続相が均一になると、「Fleur de bach」(水溶液抽出物)74g、20%フッ化水素酸水溶液3.0g及びトリエチルアミン0.2gからなるプレホモジナイズされた水相を、激しく撹拌しながらその中に分散する。
【0145】
次いで、MTMS(Degussa製Dynasylan MTMS)20gを乳濁液に導入する。
【0146】
温度を20℃で2時間、次いで40℃で2時間維持する。8μmの直径を得るために撹拌を調節する。
【0147】
次いで、カチオン性アミノシラン(Degussa製Dynasylan 1172)2.0gを導入する。次いで、混合物を40℃で4時間維持する。得られたマイクロカプセルの有機混合物は、マイクロカプセルに付着したカチオン電荷のために、水中で容易に乳化することができる。
【0148】
(実施例7)
有効成分水溶液を含むポリメチルシルセスキオキサンコポリマーマイクロカプセル
イソノナン酸イソノニル12.30g、シクロペンタシロキサン49.1g、ポリ(エチルシリケート)(Degussa製Dynasil 40)9.9g及びセチルジメチコンコポリオール(Goldschmidt製Abil EM 90)0.3gを250mlジャケット付きビーカーに撹拌しながら導入する。
【0149】
50%グルタルアルデヒド水溶液60.7mlを20%フッ化水素酸溶液1.8gと100mlビーカー中で混合する。MTES(Degussa製Dynasylan MTES)1.4gをこの混合物に周囲温度で分散させる。
【0150】
15分後、水相は透明になる。次いで、それを前述の有機相中で激しく撹拌しながら乳化し、次いでMTMS(Degussa製Dynasylan MTMS)12.5gを乳濁液に導入する。
【0151】
混合物を周囲温度で1時間維持し、その間に8μmの直径が得られるように撹拌を調節し、次いでトリブチルアミン0.5gを導入する。
【0152】
次いで、混合物を40℃で2時間、次いで60℃で1時間加熱する。
【0153】
続いて、ジブチルスズジアセタート0.1gを導入する。
【0154】
反応を完了させるために混合物を60℃で2時間維持し、次いで冷却する。
【0155】
実施例1から7によって、耐漏洩性及び耐性であるシルセスキオキサンでその壁が形成されたリザーバマイクロカプセルを得ることができる。
【0156】
本発明を特定の実施形態に関連して記述したが、本発明がそれに決して限定されないことは明白であり、本発明は、記述した手段のすべての技術的等価物及びその組合せが本発明の範囲内に入る場合、それを含むことは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の有効成分を含むコアを含み、前記コアがポリマーシェルで包囲されたリザーバマイクロカプセルであって、前記ポリマーシェルが、前記シェルの総重量に対して50から100重量%のシルセスキオキサン型化合物で形成されることを特徴とする、リザーバマイクロカプセル。
【請求項2】
前記シルセスキオキサン型ポリマー化合物が前記シェルの総重量に対して70重量%以上である、請求項1に記載のリザーバマイクロカプセル。
【請求項3】
前記シルセスキオキサン型ポリマー化合物がR−SiO3/2であって、Rが、
− 例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシルなどのヘキシル、n−ヘプチルなどのヘプチル、n−オクチル若しくはイソオクチルなどのオクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリルなどのアリール、o−、m−及びp−トリル、キシリル及びエチルフェニルなどのアルカリール、並びにベンジル、α−フェニルエチル及びβ−フェニルエチルなどのアラルキル基などの、1から20個の炭素原子を有する置換又は非置換アルキル基、
− メトキシエチル及びエトキシエチルなどの酸素含有アルキル基、
− クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロイソプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル又はo−、m−及びp−クロロフェニルなどの、ハロゲン化基、或いは
− ビニル、5−ヘキセニル、2,4−ジビニルシクロヘキシルエチル、アリル、3−ブテニル、4−ペンテニル、エチニル及びプロパルギルなどの不飽和基
である、先行する請求項のいずれかに記載のリザーバマイクロカプセル。
【請求項4】
前記有効成分(単数又は複数)が、脂肪酸及びアルコール、有機溶媒、炭化水素、エステル、シリコーン流体及びゴム、植物油及び親油性若しくは親水性植物抽出物、反応性若しくは非反応性染料及び色素分散体、UV遮断剤、純粋な又は水溶液若しくは有機溶液のビタミン及び薬用活性分子、芳香剤及び香味剤、殺虫剤及び忌避剤、触媒、相変化材料、フェノール化合物、発色剤、水、過酸化水素水溶液などの消毒剤、グルタルアルデヒド溶液、塩、アミノ酸、タンパク質、ポリペプチド、酵素、DHA、糖類及び多糖類、アミン塩、又はそれらの混合物から選択される、請求項3に記載のリザーバマイクロカプセル。
【請求項5】
請求項1から4の一項に記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセスであって、
(i)それぞれ水中油型若しくは油中水型の乳濁液又は分散液を形成するように、少なくとも1種類の親油性又は親水性有効成分をそれぞれ水性又は有機連続相中に分散させる工程、
(ii)シルセスキオキサンホモポリマー又はコポリマーを形成するように、前記シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体を加水分解し、それを前記水中油型若しくは油中水型の分散液又は乳濁液の水相中で、又は該水相と接触させて、in situで重合する工程
に存する段階を含み、
(iii)重合又は封入時に前記マイクロカプセルの耐漏洩性に好適な界面性質を与えるように
− 前記加水分解状態で水に好ましくは不溶である、ポリ(エチルシリケート)などのシリケート、
− 前記シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前駆体、又は
− それらの混合物
から選択される化合物が、前記加水分解及び/又は重合反応の最初に前記マイクロカプセルの有機相に導入されることを特徴とする、製造プロセス。
【請求項6】
前記重合段階が酸性媒体中で実施されることを特徴とする、請求項5に記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項7】
前記重合中のpHが6未満である、請求項6に記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項8】
前記pHが前記加水分解中及び前記重合の最初に3から5であり、次いで前記重合の最後まで1から4、好ましくは1.5から2.5である、請求項6及び7のいずれかに記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項9】
前記pHが前記加水分解段階から1から4である、請求項6及び7のいずれかに記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項10】
フッ化物イオン、又はその構造中にフッ化物イオンを含む1種類以上の化合物が、前記重合中に前記媒体中に存在する、請求項6から9の一項に記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項11】
前記フッ化物イオンが、アミン官能基を有する化合物の存在下で使用される、請求項6から10の一項に記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項12】
前記重合反応の最後のpHが5.5から8.5、好ましくは6から7に上昇される、請求項6から11の一項に記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項13】
水中油型乳濁液の場合に、親水基を有する1個以上のシランが、前記マイクロカプセルの壁の少なくとも部分的凝固後に導入される、請求項5から12の一項に記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項14】
油中水型乳濁液の場合に、親油基を有する1個以上のシランが、前記マイクロカプセルの壁の少なくとも部分的凝固後に導入される、請求項5から12の一項に記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項15】
少なくとも1個のシランがカチオン電荷を有する、請求項13及び14のいずれかに記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項16】
温度が前記分散又は加水分解段階中に10℃から50℃であり、次いで前記重合段階中に40℃から90℃である、請求項5から15の一項に記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項17】
前記シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前記前駆体がR−Si(R)型であって、Rは上で定義したとおりであり、
、R及びRは各々独立に、アセトキシ、アミノ、酸、アミド、オキシイミノ、塩素又はOR基を表し、R
− 例えば、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル基など、1から3個の炭素原子を有する置換又は非置換アルキル基、
− メトキシエチル及びエトキシエチルなどの酸素含有アルキル基、或いは
− ビニル又はアリルなどの不飽和基である、
請求項5から16の一項に記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項18】
前記シルセスキオキサン型ポリマー化合物の前記前駆体がメチルトリメトキシシラン(MTMS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、メチルトリクロロシラン又はそれらの混合物である、請求項15に記載のリザーバマイクロカプセルの製造プロセス。
【請求項19】
UV遮断剤を示す化粧品又は医薬品の製造における、請求項1から4の一項に記載のリザーバマイクロカプセルの使用。

【公表番号】特表2012−505742(P2012−505742A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531542(P2011−531542)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051970
【国際公開番号】WO2010/046583
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(511097588)ミクロカプシュール テクノロジー (1)
【Fターム(参考)】