説明

シルデナフィル類似体のアミン錯塩の調製方法及びその応用

【課題】本発明の主な目的は、脂質を低下させるとともに、肺高血圧症及び肺線維化を抑制し、更に、プロドラッグ(prodrug)の活性形態及び種々の医薬機能を有する錯塩組成物を提供することにある。
【解決手段】本発明は、式(I)又は式(III)の構造を含むアミン錯塩を提供する。式中の各記号の意味は、明細書に記載した通りである。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミン錯塩及びその製法に関連する。
【背景技術】
【0002】
ファイザー社のシルデナフィルクエン酸塩(登録商標バイアグラ)については、その薬理学的メカニズムが、ホスホジエステラーゼ(PDE 5)の阻害を介して、サイクリックグアノシン3',5'-一リン酸(cGMP)を増加させる。前の研究では、cGMPのおよびプロテインキナーゼ(Protein kinase G-1、PKG-1)が左室肥大の抑制が可能であることを証明する。男性性機能を増進するとともに、肺動脈高血圧(PAH)、勃起不全(ED)、泌尿器に関する症状治療するために、臨床でのシルデナフィルクエン酸塩を使用する。患者は前立腺肥大(BPH)による下部尿路症状(LUTS)やうつ病に苦しんでいる。
【0003】
特許文献1は、シルデナフィルの合成方法を開示している。他の研究では、2-ペンタノンとシュウ酸ジエチルを原料としてシルデナフィルを合成することができ(非特許文献1)。このような合成方法は、通常、シルデナフィル化合物のピラゾロ[4,3- d]ピリミジン-7-ケトンの部分構造のみを合成する。これらの明細書に開示されていたシルデナフィル塩は、一般的な薬学的に許容される塩類等である。特許文献2乃至4には、シルデナフィルクエン酸塩の合成方法が開示されている。特許文献5には、アポモルフィン(Apomorphine)とシルデナフィルから形成される医薬組成物が開示される。前記医薬組成物は、シクロデキストリン(cyclodextrin)を賦形剤として用いる。
【0004】
テオフィリンを枠組みとするキサンチン系誘導体化合物KMUP-1は、その活動は、内皮細胞NOSの活性化(eNOS)、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)とホスホジエステラーゼ-5Aの抑制(PDE-5A抑制剤)に関連する活性化を含むことを示している。KMUP-1は、環状アデノシン一リン酸を(cyclic adenosine monophosphate、cAMP)/プロテインキナーゼ(protein kinase A、PKA)及びcGMP/ PKGの経路に影響を与え、気管平滑筋細胞内のsGCを活性化することが既に証明されている(Wu et al.、2004)。KMUP-1は、eNOSの放出を誘発するだけでなく、一酸化窒素(NO donor)を供給する薬理効果も持っている。高血圧の治療と関連する発明は、特許文献6が挙げられる。特許文献7は、前立腺肥大症の治療を開示している。特許文献6は、肺高血圧症の治療を開示している。だが、従来技術に基づき、従来の化合物は、プロドラッグ(prodrug)の活性形態及び種々の治療機能がなお欠如している。
【0005】
したがって、本発明は、上記従来技術の欠点に鑑み、ついに「シルデナフィル類似体のピペラジニウム塩の調製方法及びその応用」を提出し、プロドラッグ(prodrug)の活性形態及び種々の治療機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開特許WO9849166A1
【特許文献2】欧州特許番号EP2024369
【特許文献3】欧州特許番号EP1779852
【特許文献4】米国特許番号7,618,976
【特許文献5】米国特許番号6,087,362
【特許文献6】米国特許公開番号20080312249
【特許文献7】米国特許公開番号20050085486
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】宮平等、瀋陽薬科大学学報、19(3)、2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主な目的は、プロドラッグの活性形態及び種々の治療機能を有するシルデナフィル類似体のピペラジニウム塩を提供することにある。
【0009】
発明者による長年の研究によると、KMUP-1化合物は、いくつかの多面的な活性(pleitropic activity)があることが判明した。発明者は、KMUP系化合物又はピペラジンにより、次の式(I)
【化1】

【0010】
または式(II)
【化2】

【0011】
で表されるように、四級ピペラジニウム錯塩組成物を調製する方法を考えた。
【0012】
2010年1月29日に出願された米国特許出願第12/878,451号に示すように、四級ピペラジン錯塩の合成反応が開示された。具体的には、KMUP系化合物がC1〜C4の低級アルコールと水の混合溶液に溶け、更に十分な鉱酸や有機酸に反応し、KMUP四級ピペラジニウム錯塩を得る。一方、KMUP-鉱酸またはKMUP-有機酸等の四級ピペラジニウム錯塩は、C1〜C4の低級アルコールと水の混合溶液に溶け、十分な有機酸または無機酸により"RX"反応物を溶解する。反応物の"RX"部分は、スタチンのカルボキシル基、スタチンのエステル誘導体、保護基があるスタチン誘導体、抗炎症薬、抗糖尿病薬、プロスタサイクリン、アルギン酸ナトリウム、γ-ポリグルタミン酸、ポリグルタメートナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(sodium CMC)、レパグリニド(repaglinide)、ナテグリニド(nateglinide)、モンテルカスト(montelukast)、クロモグリク酸ナトリウム(cromolyn sodium)、ネドクロミル(nedocromil)、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)およびベザフィブラート(bezafibrate)を有する。C1〜C4の低級アルコールが選択され、混合溶液の量が、水の割合、反応温度及びスタチンエステル誘導体の純度などの要因に基づいて調整される。結果としては、KMUP系四級ピペラジニウム錯塩化合物は、再濾過後に、別の混合溶液に溶解する必要があり、好ましくは、室温下で再結晶化される。
【0013】
本発明による"RX"は、鉱酸または有機酸であり、前記鉱酸は、塩酸(HCl)、臭化水素酸(HBr)、ヨウ化水素酸(HI)を、硫酸(H2SO4)、硝酸(HNO3)、リン酸(H3PO4)、リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)及びリン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)が挙げられる。前記有機酸は、クエン酸(citric acid)、フマル酸(fumaric acid)、マレイン酸(maleic acid)、ニコチン酸(nicotinic acid)、イソニコチン酸(isonicotinic acid)、酒石酸(tartaric acid)、コハク酸(succinic acid)、アジピン酸(adipic acid)、脂肪酸(fatty acid)、メタンスルホン酸(methanesulfonic acid)およびゲムフィブロジルが挙げられる。
【0014】
上述の目的を達成するために、本発明の錯塩組成物は、式(I)と式(III)の構造を含む。
【化3】

【0015】
式(I)について、R1は、C1〜C5のアルコキシ基である置換基を有するベンゼン環、スルホニル基とアセチル基のいずれかである置換基を有するベンゼン環、C1〜C6のアルコキシ基とC1〜C6のアルキル基のいずれかである置換基を有するピラゾロ[4,3d]ピリミジン、及びC1〜C6のアルコキシ基とC1〜C6のアルキル基のいずれかである置換基を有するイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン、からなる群から選択され、Raは、水素基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、C1〜C5のアルキル基及びC1〜C5のヒドロキシアルキル基からなる群から選択され、RXは、鉱酸、有機酸、スタチン誘導体、ビタミン、γ-ポリグルタミン酸誘導体及びナトリウムカルボキシメチルセルロースからなる群から供与されたカルボキシル基を含み、ここで、RX-は、負の電荷を運ぶカルボキシル基のアニオンであることを特徴とする。上記のハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。式(III)には、(N)がリンクされているアミンまたは環状アミノ原子を示し、すなわち、線状アミン、C3〜C8の環式アミン及び複素環N-H基である。 nは0から5までの整数である。R1、Ra及びRX置換基は、上記のように説明された。本発明の実施形態は、前記式(I)および(III)の化合物が含まれている。ここで、C1〜C6アルキルは、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含むアルキル基を示す。本発明の実施形態に基づき、式(I)又は式(III)のようなアミン錯塩組成物を調製する。本発明の実施形態によると、式(I)に関連している"シルデナフィル類似体の四級アミン錯塩"及び式(III)に関連している"ウデナフィル類似体のアミン錯塩"が、プロドラッグ活性及び種々の治療機能を証明している。
【0016】
上記構造の本発明に係る錯塩組成物において、前記RXは、アトルバスタチン(Atorvastatin)、セリバスタチン(Cerivastatin)、フルバスタチン(Fluvastatin)、ロバスタチン(Lovastatin)、メバスタチン(Mevastatin)、プラバスタチン(Pravastatin)、ロスバスタチン(Rosuvastatin)およびシンバスタチン(Simvastatin)からなる群から一つを選ぶスタチン誘導体である。
【0017】
上述の目的を達成するために、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体と、スタチン誘導体及びγ-ポリグルタミン酸誘導体の一つから供与され、シルデナフィル類似体とカルボキシル基との有効混合物と、を含むことを特徴とする。
【0018】
上記構成の本発明に係る医薬組成物において、前記スタチン誘導体は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンからなる群から選択され、前記γ-ポリグルタミン酸誘導体は、アルギン酸ナトリウム(alginate sodium)、γ-ポリグルタミン酸、γ-ポリグルタミン酸ナトリウム、並びにγ-ポリグルタミン酸、リジン(Lysine)及びチロシン(tyrosine)から架橋結合されたγ-ポリグルタミン酸錯塩組成物(Co-polymer salt, GLT)からなる群から選択され、前記シルデナフィル類似体は、シルデナフィル (Sildenafil)、ホモシルデナフィル(Homosildenafil)、ヒドロキシホモシルデナフィル(Hydroxyhomosildenafil)、デスメチルシルデナフィル(Desmethylsildenafil)、アセチルデナフィル(Acetidenafil)、バルデナフィル(Vardenafil)及びウデナフィル(Udenafil)からなる群から一つを選ぶ。
本発明の一つの構想に基づく医薬組成物は、薬学的に許容される担体と、有効量の錯体化合物とを含む。これらの錯塩組成物は、式(I)又は式(III)のように、シルデナフィル類似体又はウデナフィル類似体、スタチン誘導体、γ-ポリグルタミン酸誘導体、ビタミン、及びナトリウムカルボキシメチルセルロースから調製されるものである。式(I)又は式(III)の医薬組成物の各製剤は、既知の調製技術に基づいて調製することができる。シルデナフィル類似体の四級アミン錯塩及びウデナフィル類似体のアミン錯塩は、臨床に適用できるものであり、本発明に開示された治療効果を引き起こせる。
【0019】
本発明のもう一つの構想に基づく医薬合剤は、薬学的に許容される担体と、有効量の各配合薬物とを含む。前記配合薬物は、既知の調製技術に基づき、スタチン誘導体、γ-ポリグルタミン酸誘導体、ビタミン、又はナトリウムカルボキシメチルセルロースを選び、シルデナフィル類似体、ウデナフィル類似体またはその塩を混合して調製することができる。デナフィル類似体やウデナフィル類似体とスタチン誘導体、デナフィル類似体やウデナフィル類似体とγ-ポリグルタミン酸誘導体、デナフィル類似体やウデナフィル類似体とビタミン、或いは、デナフィル類似体やウデナフィル類似体とナトリウムカルボキシメチルセルロースからなる前記医薬合剤は、臨床に適用できるものであり、本発明に開示された治療効果を引き起こせる。
【0020】
本発明の明細書に特に説明しない限り、シルデナフィル類似体を、前記シルデナフィル(Sildenafil)、ホモシルデナフィル(Homosildenafil)、ヒドロキシホモシルデナフィル(Hydroxyhomosildenafil)、デスメチルシルデナフィル(Desmethylsildenafil)、アセチルデナフィル(Acetidenafil)、バルデナフィル(Vardenafil)及びウデナフィル(Udenafil)とする。従って、シルデナフィル類似体とスタチン誘導体から合成された四級アンモニウム塩、又は、シルデナフィル類似体とγ-ポリグルタミン酸誘導体から合成された四級アンモニウム塩には、必要であれば、その「シルデナフィル類似体」を、「シルデナフィル」と表す。
【0021】
シルデナフィル類似体は、ヘテロ置換基とピペラジニウム構造の一般的な骨格を持っている。ヘテロ置換基は、ピラゾロ[4,3d]ピリミジンまたはイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジンから選ばれる。
【0022】
シルデナフィル類似体の四級ピペラジニウム錯体は、式(I)
【化4】

【0023】
で表される。ここで、R1は、ピラゾロ[4,3d]ピリミジン基およびスルホニル基から選択され、Raは、メチル基から選択されている場合、この化合物は、一般的名称がシルデナフィルであり、化学名が 5-[2-エトキシ-5-(4-メチルピペラジン-1-イル-スルホニル)フェニル]-1-メチル-3-n-プロピル-1,6-ジヒドロ-7h-ピラゾロ[4,3d]ピリミジン-7-オン、または1-[3-(4,7-ジヒドロ-1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)-4-エトキシフェニル]スルホニル] -4-メチルピペラジン(1)である。Raは、エチル基から選択されている場合、この化合物は、一般的名称がホモシルデナフィルであり、化学名が5-[2-エトキシ-5-[(4-エチル-1-ピペラジニル)-スルホニルフェニル]-1,6-ジヒドロ-1-メチル-3-プロピル-7h-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-オン(2)である。Raは、エタノール基(N-ヒドロキシエチル基)から選択されている場合、この化合物は、一般的名称がヒドロキシホモシルデナフィルであり、化学名が1-[3-(6,7-ジヒドロ-1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)-4-エトキシフェニル]-スルホニル]-4-ヒドロキシエチルピペラジン(3)である。Raは、水素基から選択されている場合、この化合物は、一般的名称がデスメチルシルデナフィルであり、化学名が5-[2-エトキシ-5-(1-ピペラジニルスルホニル)フェニル]-1,6-ジヒドロ-1-メチル-3-プロピル-7h-ピラゾロ[4,3 -d]ピリミジン-7- オン(4)である。 アセチル基から選ばれるR1置換基だけは、ホモシルデナフィルのスルホニル基を変更する。このシルデナフィル類似体は、一般的名称がアセチルデナフィルであり、化学名が5-{2-エトキシ-5-[2-(4-エチルピペラジン-1-イル)-アセチル]フェニル}-1-メチル-3-n-プロピル-1,6-ジヒドロ-7h-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-オン(5)である。R1置換基は、ホモシルデナフィルのピラゾロ[4,3- d]ピリミジン基内にあるイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン基から選択されている場合、その化学名が2-[2-エトキシ-5-(4-エチルピペラジン-1-イルスルホニル)フェニル]-5-メチル-7-プロピルイミダゾール[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4(3H)-オン(6)である。ウデナフィル類似体のアミン錯塩は、式(III)で表され、R1は、ピラゾロ[4,3d]ピリミジン基およびスルホニル基を有し、(N)はピロリジニルであり、nは整数の3である。Raは、メチル基から選択され、ウデナフィルの一般的な名前を持って、その化学名は、[2-プロピルオキシ-5-(1-メチル-2-ピロリジニルエチルアミドスルホニル )フェニル]-1-メチル-3-プロピル-1,6-ジヒドロ-7H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-7-オン(7)である。化合物(6)は、米国特許6,362,178で示されるように、一般的名称がバルデナフィルであり、上記のシルデナフィル類似体との間に、分岐骨格を有する。これらのシルデナフィル類似体は、図1に記載されている。
【0024】
したがって、シルデナフィル類似体は、シルデナフィル、ホモシルデナフィル、ヒドロキシホモシルデナフィル、デスメチルシルデナフィル、アセチルデナフィル、バルデナフィル、及びウデナフィルを含む。シルデナフィルは、これらの七つの化合物で表すことができ、シルデナフィル類似体の四級ピペラジニウム錯塩およびウデナフィル類似体のアミン錯塩を形成するために、スタチン誘導体、γ-ポリグルタミン酸誘導体、ビタミンやナトリウムカルボキシメチルセルロースと反応させる。入り組んだピペラジンまたはアミン部分、スタチン、γ-ポリ酸誘導体、ビタミンやナトリウムカルボキシメチルセルロースは、上記の"RX"又は"RX-"で表すことができ、必要に応じて、本発明のアミン塩の調製に関与する化合物である。
【0025】
また、本発明の方法によると、"RX"置換基という用語は、カルボキシル基の誘導体を含むスタチン、ビタミン、γ-ポリグルタミン酸、またはナトリウムカルボキシメチルセルロースを示し、上記のアミン錯塩を得るように、シルデナフィル類似体のピペラジニウム基又はウデナフィル類似体のピロリジニル基と反応することができる。これらの合成されたシルデナフィル類似体の四級アミン錯塩及びウデナフィル類似体のアミン錯塩は、体内に化学的または酵素的加水分解を介して、プロドラッグの活性形態及び種々の治療機能を示す。
【0026】
これにより、シルデナフィルは、シルデナフィル類似体を表し、スタチン、ビタミン、γ-ポリグルタミン酸、またはナトリウムカルボキシメチルセルロースのそれぞれは、上記"RX"、"RX-"置換基、スタチン誘導体、γ-ポリグルタミン酸誘導体、ビタミン、またはナトリウムカルボキシメチルセルロースを表し、必要に応じて、本発明によるシルデナフィル類似体の四級アミン錯塩又はウデナフィル類似体のアミン錯塩の調製に関する。
【0027】
本発明によれば、"RX"、"RX-"置換基は、カルボキシル部分を化学的に有し、スタチン誘導体、γ-ポリグルタミン酸誘導体、ビタミン、またはナトリウムカルボキシメチルセルロースから選択し、化学的前処理を介して、シルデナフィル類似体のピペラジン部分又はウデナフィル類似体のピロリジニル基と組み合わせることができる。
【0028】
したがって、本発明によるシルデナフィル類似体の四級アミン錯塩又はウデナフィル類似体のアミン錯塩を調製するために、ラクトン環、エステル、及びスタチン系薬剤の保護誘導体を利用できる。
【0029】
本発明によれば、スタチン誘導体、γ-ポリグルタミン酸誘導体、ビタミン、またはナトリウムカルボキシメチルセルロースのそれぞれは、シルデナフィル類似体のピペラジニウム基又はウデナフィル類似体のピロリジニル基と反応し、シルデナフィル類似体の四級アミン錯塩又はウデナフィル類似体のアミン錯塩を調製する。好むスタチン誘導体は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンから選択され、γ-ポリグルタミン酸誘導体は、アルギン酸ナトリウム(alginate sodium)、γ-ポリグルタミン酸、γ-ポリグルタミン酸ナトリウムから選択され、γ-ポリグルタミン酸錯塩組成物(Co-polymer salt, GLT)は、リジン(Lysine)、グルタミン酸、チロシン(tyrosine)及びポリグルタミン酸カルシウムとアルギン酸ナトリウムとの架橋結合物の共重合体のようなものであり、ビタミンは、レチノイン酸、アスコルビン酸、葉酸、γ-リノレン酸、ニコチン酸およびパントテン酸から選択された。これにより、シルデナフィル-γ-ポリグルタミン酸、シルデナフィル-シムバスタチン酸、シルデナフィル-プラバスタチン酸、シルデナフィル-ロバスタチン酸、シルデナフィル-ピタバスタチン、シルデナフィル-ロスバスタチン、シルデナフィル-L-アルギニン、シルデナフィル-CMC、シルデナフィル- メバスタチン酸シルデナフィル- ロスバスタチン酸、シルデナフィル-ロバスタチン酸、ウデナフィル-CMC、ウデナフィルニコチン酸及びウデナフィル-L型レチノイン酸が得られる。
【0030】
図2は、本発明の実施例によるシルデナフィルの四級アミン錯塩組成物を示す。シルデナフィルの四級アミン錯塩組成物は、脂質を低下させ、肺高血圧症及び肺線維化を抑制する等の多くの治療機能を有する。
【0031】
上記賦形剤または「医薬上許容される担体や賦形剤」と「バイオ利用可能な担体や賦形剤」という用語は、剤形を調製するための適切な化合物を含み、例えば溶媒、分散剤、被覆剤、抗細菌又は抗真菌剤、及び保存剤または遅延吸収剤等である。通常、このような担体または賦形剤は、治療活性(therapeutic activity)を持っていない。本発明に開示された誘導体は、薬学的に許容される担体や賦形剤を組み合わせることによって調製し、得われた各製剤が動物や人間に投与され、アレルギーやその他の望ましくない影響を発生させることができなく、臨床使用で人間に適応される。本発明の剤形は、静脈、経口、吸入、直腸、又は膣経路等を介して使用することによって、治療効果を達成することができる。様々な疾患の患者に対し、一日当たりの有効成分は、0.1 mg〜100 mgで投与する。
【0032】
担体は、各々の剤形に伴って変化させる。滅菌注射用組成物は、非毒性の静脈注射希釈剤や溶媒(1,3-ブタンジオール)に溶解又は懸濁させることができる。そこで、許容される担体は、マンニトールまたは水であってもよい。又、固定油または合成されたグリセリンエステルやジ-グリセリンエステルは、一般的に使用される溶剤である。脂肪酸は、例えばオレイン酸、オリーブ油、ヒマシ油又はそのグリセリンエステル誘導体などであり、特にオキシ-アセチル化型は、注射剤を調製し天然医学的に許容される油として役立つ。このような油溶液や懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、カルボキシメチルセルロースまたはそれに類似した分散剤を含める。他の担体は、一般的な界面活性剤であり、例えばSpan、Tweenや他の乳剤、または製薬業界で製剤を開発するために、薬学的に許容される固体、液体や他の生物学的に利用可能な増強剤などに使用される。
【0033】
経口投与用組成物は、カプセル、錠剤、丸剤、乳剤、水性懸濁液、分散剤、溶剤を含む経口的に許容される製剤形態を採用している。錠剤を一例として、一般的な経口製剤で使用される担体は、乳糖、トウモロコシ澱粉及び潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム)等の基本添加剤である。カプセルに使用される希釈剤は、乳糖と乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁液または乳化製剤を調製するために、有効成分を乳剤や懸濁化剤と組み合わせる油インターフェイスに懸濁又は溶解させ、甘味剤、調味料や色素は必要に応じて適当な量を追加する。
【0034】
鼻エアロゾルまたは吸入組成物は、よく知られている製造技術によって調製することができる。たとえば、前記組成物を生理食塩水に溶解し、ベンジルアルコールや他の適当な防腐剤、又は吸収増強剤を追加することによって生物学的利用能を増加させることができる。本発明による化合物は、直腸や膣の投与のための坐剤として使用できる。
【0035】
本発明による化合物は、静脈内投与することができ、例えば皮下、腹腔内、静脈内、筋肉、関節腔、頭蓋内、関節滑液、脊髄、大動脈、胸膜、内病変の注入、または他の適当な投与経路等を介して投与する。
【0036】
シルデナフィル塩酸塩とアトルバスタチンカルシウム塩とを複分解反応にし、水とアルコールとの混合溶媒系に溶解して反応し、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムや塩化アンモニウムを分離する。このようなスタチン系薬剤は、シルデナフィル塩酸塩と接触し、水溶性の塩化ナトリウムや塩化カルシウムを生成することができる。非塩形態のカルボン酸スタチンは、シルデナフィルのピペラジン基と反応し、"シルデナフィル-スタチン錯塩"を形成する。
【0037】
アトルバスタチンの類似アセトアミド構造が、シルデナフィル類似体の四級ピペラジニウム錯塩に変換することができる。 たとえば、(4R-シス)-6-(2-アミノエチル)-2,2-ジメチル-N,N-ビス(フェニルメチル)-1,3-ジオキサン-4-アセトアミドは、まず、〔R-(R *,R *)]-5-(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-2-(1-メチルエチル)-4-フェニル-3-[(フェニルアミノ)カルボニル]-N,N-ビス(フェニルメチル)-1H-ピロール-1-ヘプタンアミドに変換し、更に反応してシルデナフィル類似体の四級ピペラジニウム基を有するスタチン酸錯塩に変換する。また、(4R-シス)-6-(2-アミノエチル)-N,N-ジエチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4-アセトアミドは、〔R-(R *,R *)]-N,N-ジエチル-5-(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-2-(1-メチルエチル)-4-フェニル-3-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタンアミドに変換し、さらにシルデナフィル類似体-スタチン酸の錯塩に変換する。類似の方法では、上述した条件を用いて行われる。(4R-シス)-6-(2-アミノエチル)-N-ブチル-N,2,2-トリメチル-1,3-ジオキサン-4-アセトアミドは、〔R-(R *,R *)]-N-ブチル-5-(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-N-メチル-2-(1-メチルエチル)-4- フェニル-3-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタンアミドに変換し、次に、シルデナフィル-スタチン酸の錯塩を形成するように反応する。(4R-シス)-6-(2-アミノエチル)-N-(1,1-ジメチルエチル)-2,2-ジメチル-N-(フェニルメチル)-1,3-ジオキサン-4-アセトアミドは、〔R-(R *のは、R*)]-N-(1,1-(ジメチルエチル)-5-(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-2-(1-メチルエチル)-4-フェニル-3-[(フェニルアミノ)カルボニル]-N-(フェニルメチル)-1H-ピロール-1-ヘプタンアミドに変換し、さらにシルデナフィル-スタチン酸の錯塩を形成するように反応する。さらに、(4R-シス)-1-[6-(2-アミノエチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4-イル]-アセチル]ピペリジンも〔R-(R*,R*)]-1-[3,5-ジヒドロキシ-7-オキソ-7-(1-ピペリジニル)ヘプチル]-5-(4-フルオロフェニル-2-(1 -メチルエチル)-N-4-ジフェニル-1H-ピロール-3-カルボキサミドに変換することができ、次に、シルデナフィル類似体の四級ピペラジニウム基を有するシルデナフィル類似体-スタチン酸の錯塩を形成する。
【0038】
本発明の方法によれば、窒素雰囲気下でロスバスタチンナトリウム塩を水に溶解し、シルデナフィル塩を追加し、沈殿と結晶化の後、「シルデナフィル-ロスバスタチン四級ピペラジニウム錯塩」が形成されている。
【0039】
シルデナフィル類似体のピペラジニウム基又はピロリジニル基は、本発明のスタチン系薬剤のカルボン酸基と反応することができる。アトルバスタチンは、エステル基によって保護されているが、アトルバスタチンセミカルシウム塩(atorvastatin semicalcium salt)に変換することができる。本発明によるシルデナフィル類似体スタチンの四級アミン錯塩を調製するためのプロセスは、エステル誘導体及び保護されたスタチン誘導体の調製に適用される。プロセスでは、スタチンおよびそのプロドラッグの分解を防止するために、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニアなどの金属の水酸化物をスタチンのエステル誘導体、シルデナフィル類似体、水及びC1〜C4のアルコールの混合溶液に加え、穏やかに加熱して反応する。
【0040】
好ましいスタチンは、アトルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン及びシンバスタチンであり、それらの薬剤のスタチン構造が、ナトリウム、カリウム及びカルシウムなどの金属水酸化物、水酸化アンモニウム、及び他の適当な酸によって加水分解される。
【0041】
シルデナフィル塩酸塩からシルデナフィル-スタチン酸錯体は、容易に形成するものであり、例えば、等しいモルの水酸化ナトリウムを、加水分解性のスタチンやスタチンエステル、及びその誘導体の存在下で、シルデナフィル塩酸と反応することによって得られる。等しいモル中和の前、ナトリウムイオンがシルデナフィル塩酸のHCl部分に起こる。結果としてのNaClは、含水アルコール溶液に溶解される。スタチンは、水及C1〜C4の低級アルコール(エタノール、イソプロパノール)の混合溶液に、イオン化や遊離状態を示し、又は、他の未反応のスタチンのエステル誘導体と混合する。水酸化ナトリウムにより加水分解される各スタチン誘導体の用量に従うことで、「ピペラジニウム基又はピロリジニル基の十分な量」という用語については、ほぼ等しいモル量である。
【0042】
一方、水酸化カルシウムは、エステル加水分解のためのアルカリ触媒として機能し、セミカルシウムイオンを供給するとともに、シルデナフィル類似体のHClと等しいモル中和を行う二重の役割を果たすと、1つまたは2つの分子のシルデナフィル類似体のスタチン酸錯体塩の沈殿物を生成する。シルデナフィルと完全に反応しない残留スタチン誘導体化合物は、含水アルコール溶液に溶解される。本発明の方法では、反応状態が薄層クロマトグラフィー(TLC)によって監視され、展開溶媒がメタノール(MeOH):酢酸エチル=1:9で使われる。
【0043】
アルギン酸ナトリウム、γ-ポリグルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、又はポリグルタミン酸カルシウムとアルギン酸ナトリウムとの架橋結合物と反応する場合は、反応を完了しながら除去可能なナトリウム製品を合成するように、シルデナフィル塩酸塩の過剰量を必要とする。沈殿物を濾過する後、含水アルコール溶液の濾液に残留したシルデナフィル塩酸塩が溶解される。
【0044】
四級アミン錯塩の合成は、C1〜C4は低級アルコールと水との溶液を混合することによって実行される。混合溶液は、 反応物質を溶解するための十分な量を有する。反応物質の"RX"部分は、スタチンのカルボキシル基、スタチンのエステル誘導体、 保護基があるスタチン誘導体、アルギン酸ナトリウム、γ-ポリグルタミン酸、 ポリグルタミン酸ナトリウム、、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はポリグルタミン酸カルシウムとアルギン酸ナトリウムとの架橋結合物を有する。 C1〜C4の低級アルコールの選択及び混合溶液量の調整が、水の割合、反応温度及びスタチンエステル誘導体の純度によって変化する。C1〜C4の低級アルコールは、エタノール、イソプロパノール(IPA)などが挙げられる。アルコールの濃度を低減するために、混合溶媒を選択し、好ましくは、約5%〜30%(v / v)の水がエタノールやIPAに含まれ、更に好ましくは、10%の水が90%のエタノールやIPAに含まれている。スタチンエステル誘導体は、アルカリ触媒で加水分解され、約10ミリモルL-1〜1モルL-1の混合溶液に追加される。混合溶液の温度は、混合溶液を還流し反応を促進するために、約40℃〜70℃に加熱する必要がある。結果として、再濾過の後、シルデナフィルの四級アミン錯塩は、別の混合溶液に溶解する必要があり、好ましくは室温下で再結晶化される。
【発明の効果】
【0045】
以上の説明によると、本発明は、シルデナフィル類似体の四級アミン錯塩及びウデナフィル類似体のアミン錯塩を提供することにより、脂質を低下させるとともに、肺高血圧症及び肺線維化を抑制し、更に、プロドラッグ(prodrug)の活性形態及び種々の医薬機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態によるシルデナフィル類似体の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態によるシルデナフィル−スタチンの四級アミン錯塩の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下のように、本発明を実施例に基づいて詳述するが、あくまでも例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載されており、さらに特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内での全ての変更を含んでいる。
【0048】
本発明の実施形態によるシルデナフィル-スタチンの四級アミン錯塩は、図2に示すようなものである。前記錯塩は、以下の活性測定で、脂質低下効果(表1)、モノクロタリン(MCT)によるラットの肺動脈高血圧の低下(表2)、肺線維症の抑制効果(表3)を示す。このような測定によると、式(I)のシルデナフィル類似体の四級アミン錯塩、又は式(III)のウデナフィル類似体のアミン錯塩およびそれらの薬学的組成物は、動物実験に有効な薬理学的特性を示す。特に、それらの錯塩組成物は、レステロールやトリグリセリドの血中濃度値の著しい減少、脂質を低下させる性質、肺高血圧、および肺線維症の抑制に影響を与え、これらの疾患のためのヒトの医学において使用することができる。このような疾患は、主に心血管系障害(cardiovascular disorder)であり、特に血栓症(thrombosis)、動脈硬化症(arteriosclerosis)、心筋梗塞(myocardial infarction)や狭心症(angina pectoris)である。前記シルデナフィル類似体の四級アミン錯塩またはウデナフィル類似体のアミン錯塩は、経腸や非経口で動物に投与し、特に経口でヒトに投与することができる。
【0049】
実験材料と方法:
活性測定:
1、 C57BL/6Jマウスの脂質低下効果
8週のC57BL/6Jマウスは、標準食(STD)グループと高脂肪食(HFD)グループに分かれている。HFDグループでは、シンバスタチン(5 mg/kg)、シルデナフィル-アトルバスタチン酸錯塩、シルデナフィル-ロスバスタチン酸錯塩、シルデナフィル-シンバスタチン酸錯塩(2.5 mg/kg)がそれぞれに経口投与される。21日後、各グループ(6匹)のマウスのトリグリセリド(TG)、総コレステロール(Tot.-C)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)及び低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)等の脂肪含有量(mg / dl)が測定される。測定結果は、表1に示す。
【表1】

【0050】
2、モノクロタリン(MCT)によって治療されるラットの肺動脈高血圧の低下を示す
60 mg/kgのMCTで処理されたラットは、皮内注射の21日後、肺動脈高血圧が発生する。毎日に、シルデナフィル-シンバスタチン酸錯塩とシルデナフィル-γ-ポリグルタミン酸錯塩(2.5 mg/kg)をそれぞれ経口投与することにより、MCT処理されたWistar系雄性ラットの肺動脈血圧(PABP)を抑制できる。
【0051】
3、シルデナフィル-シンバスタチン酸錯塩は、TGF-βを介するブレオマイシン(BM)によるマウスの肺線維症を抑制できる
合成膠原量の増加と肺胞におけるマクロファージの発生は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)を促進することができ、TGF-βを表すことが肺線維症の生物標識として見られる。マウスは、60 mg/kg BMを吸入し、気管洗浄液にTGF-βを表すことによって肺線維症が誘導される。肺線維症を抑制するために、シンバスタチン(5 mg/kg)とシルデナフィル-シンバスタチン酸錯塩(2.5 mg/kg)が経口でマウスに投与する(表2)。洗浄液にTGF-βを表す状態は、酵素免疫測定法(EIA)によって測定される。
【表2】

【0052】
例:次の例で提供される化合物のそれぞれの量(g)は、各化合物(2モルまたは2ミリモル)の等しい分子量で与えられる。これらの化合物の取得された部分は、本発明の活性測定に使用される。
【0053】
スタチン酸は、カルボン酸部分を有するオープンラクトン型スタチンを示している。例えば、シンバスタチン酸は、シンバスタチンがカルボン酸部分を化学的に有することを示している。アトルバスタチン酸は、ロスバスタチン酸、ロバスタチン酸およびその他のスタチン酸は、アトルバスタチン、ロスバスタチンおよびロバスタチンがカルボン酸部分を化学的に有することを示している。
【0054】
例1:シルデナフィル-ロバスタチン酸錯塩の調製(8)
ロバスタチン(8.8 g)は、エタノール(50 ml)に溶解し、室温で水酸化ナトリウム(4g/60 ml)の水溶液を追加して、ロバスタチン酸ナトリウム(300 ml)のエタノール溶液を使用するために作る。
【0055】
マグネチックスターラーを備えたフラスコに、シルデナフィルクエン酸塩(13.2 g)は、エタノール(100 ml)および水(30 ml)のエタノール溶液に溶解し、ロバスタチン酸ナトリウムのエタノール溶液を追加する後、50℃で20分反応させる。冷却によって白い沈殿を生じ、濾過により、クエン酸ナトリウムを除去する後、室温でメタノール(100 ml)を追加し、一晩を経て再沈殿になって、シルデナフィル-ロバスタチン酸錯塩(16.8 g)が得られる。
【0056】
例2:シルデナフィル-ロスバスタチン酸錯塩の調製(9)
ロスバスタチン(10.5 g)は、エタノール(50 ml)に溶解し、室温で水酸化ナトリウム(4g/60 ml)の水溶液を追加して、ロスバスタチン酸ナトリウム(300 ml)のエタノール溶液を使用するために作る。
【0057】
マグネチックスターラーを備えたフラスコにおいて、シルデナフィルクエン酸塩(9.5 g)は、エタノール(100 ml)および水(30 ml)からなるエタノール溶液に溶解し、ロスバスタチン酸ナトリウムのエタノール溶液を追加する後、50℃で20分反応させる。冷却によって白い沈殿を生じ、濾過により、クエン酸ナトリウムを除去する後、室温でメタノール(100 ml)を追加し、一晩を経て再沈殿をして、シルデナフィル-ロスバスタチン酸錯塩(16.5 g)が得られる。
【0058】
例3:シルデナフィル-メバスタチン酸錯塩の調製(10)
シルデナフィルクエン酸塩(9.5 g)は、エタノール(10 ml)および塩酸(1N、60 ml)からなる混合溶液に溶解する。
【0059】
マグネチックスターラーを備えたフラスコにおいて、メバスタチン(4 g)は、エタノール(50 ml)に溶解し、室温で水酸化ナトリウム(4g/60 ml)の水溶液を追加する。10分後、前記シルデナフィルクエン酸塩の混合溶液を追加し、50℃で20分反応させて新混合溶液を成す。新混合溶液は急速に濾過し、1時間放置して再沈殿をして、シルデナフィル-メバスタチン酸錯塩(12.8 g)が得られる。
【0060】
例4:シルデナフィル-アトルバスタチン酸錯塩の調製
マグネチックスターラーを備えたフラスコにおいて、アトルバスタチン酸(11.2 g)は、エタノール(50 ml)に溶解し、室温で水酸化ナトリウム(4g/60 ml)の水溶液を追加する。10分後、例3の前記シルデナフィルクエン酸塩の混合溶液を追加し、50℃で20分反応させて新混合溶液を成す。新混合溶液は急速に濾過し、1時間放置して結晶化し、シルデナフィル-アトルバスタチン酸錯塩(16.8 g)が得られる。
【0061】
マグネチックスターラーを備えたフラスコにおいて、アトルバスタチン酸カルシウム(11.6 g)は、塩酸(1N、60 ml)に溶解し、室温で水酸化ナトリウム(6g/60 ml)溶液を追加する。10分後、例3の前記シルデナフィルクエン酸塩の混合溶液を追加し、50℃で20分反応させて新混合溶液を成す。クエン酸ナトリウムを除去するように、新混合溶液は急速に濾過し、1時間放置して再結晶化し、シルデナフィル-アトルバスタチン酸錯塩(16.4 g)が得られる。
【0062】
例5:シルデナフィル-γ-ポリグルタミン酸錯体の調製
5%の粘性水溶液(40 ml)を形成するように、γ-ポリグルタミン酸ナトリウム(2 g)を水に溶解する。シルデナフィルクエン酸(19 g)を前記粘性水溶液に加えて、50℃で1時間攪拌し、白い沈殿物が得られる。前記粘性水溶液を流れ出し、次いで、脱水のために、エタノール(100 ml)を加える。未反応シルデナフィルを洗い落とすように、エタノール(100 ml)を更に加え、一晩を経て50℃の水浴で温めて、室温で一晩冷却して、シルデナフィル-γ-ポリグルタミン酸錯体(26.4 g)の沈殿物が得られる。
【0063】
例6:シルデナフィル-カルボキシメチルセルロース(Sildenafil-CMC)錯体の調製
5%の粘性水溶液(40 ml)を形成するように、20 gのナトリウムカルボキシメチルセルロース(sodium CMC)を水に溶解する。シルデナフィルクエン酸(13.3 g)を前記粘性水溶液に加えて、50℃で1時間攪拌し、白い沈殿物が得られる。前記粘性水溶液を流れ出し、次いで、脱水のために、エタノール(100 ml)を加える。未反応シルデナフィルを洗い落とすように、エタノール(100 ml)を更に加え、一晩を経て50℃の水浴で温めて、室温で一晩冷却して、シルデナフィル-カルボキシメチルセルロース錯体(29.6 g)の沈殿物が得られる。
【0064】
例7:シルデナフィル-L-アルギニン(Sildenafil-L-Arginine)錯塩の調製
シルデナフィルクエン酸(9.5 g)は、エタノール(10 ml)および塩酸(1N、60 ml)からなる混合溶液に溶解する後、50℃で10分反応させる。室温でメタノールを追加し、一晩を経て、濾過によりシルデナフィル塩酸塩(6.4 g)の沈殿物が得られる。
【0065】
アルギニン(3.5 g)はエタノール(10 ml)に溶解し、アルギニンナトリウムのエタノール溶液を形成するように、室温で水酸化ナトリウム水溶液(4 g/60 ml)を加える。
【0066】
マグネチックスターラーを備えたフラスコにおいて、シルデナフィル塩酸塩(8.8 g)は、エタノール(100 ml)および水(30 ml)からなる混合溶液に溶解し、前記アルギニンナトリウムのエタノール溶液を加えて、50℃で60分反応させて新混合溶液を成す。冷却により沈殿を生じ、濾過によってNaClを除去し、室温でメタノール(100 ml)を加え、一晩を経て、濾過により、シルデナフィル-L-アルギニン錯塩(10.8 g)の再沈殿物が得られる。
【0067】
例8:シルデナフィル-L-レチノイン酸錯塩の調製
レチノイン酸(6.0 g)は、エタノール(10 ml)に溶解し、レチノイン酸ナトリウムのエタノール溶液を形成するように、室温で水酸化ナトリウム水溶液(4 g/60 ml)を加える。
【0068】
マグネチックスターラーを備えたフラスコにおいて、シルデナフィル塩酸塩(8.8 g)は、エタノール(100 ml)および水(30 ml)からなる混合溶液に溶解し、前記レチノイン酸ナトリウムのエタノール溶液を加えて、50℃で60分反応させて新混合溶液を成す。新混合溶液は、冷却により沈殿を生じ、濾過によってNaClを除去し、室温でメタノール(100 ml)を加え、一晩を経て、濾過により、シルデナフィル-L-レチノイン酸錯塩(12.8 g)の再沈殿物が得られる。
【0069】
例9:ウデナフィル-カルボキシメチルセルロース(Udenafil-CMC)錯体の調製
ウデナフィル塩酸塩(10.3 g)は、エタノール(10 ml)および塩酸(1 N、60 ml)からなる混合溶液に溶解する後、50℃で10分反応させて新混合溶液を成す。室温でメタノールを新混合溶液に加え、一晩を経て、濾過により、ウデナフィル塩酸塩(8.8 g)の沈殿物が得られる。
【0070】
5%の粘性水溶液(40 ml)を形成するように、20 gのナトリウムカルボキシメチルセルロース(sodium CMC)を水に溶解する。ウデナフィル塩酸塩(20.6 g)を前記粘性水溶液に加えて、50℃で1時間攪拌し、白い沈殿物が得られる。前記粘性水溶液を流れ出し、次いで、脱水のために、エタノール(100 ml)を加える。未反応ウデナフィルを洗い落とすように、エタノール(100 ml)を更に加え、一晩を経て50℃の水浴で温めて、室温で一晩冷却して、ウデナフィル-カルボキシメチルセルロース錯体(32.8 g)の沈殿物が得られる。
【0071】
例10:ウデナフィル-ニコチン酸塩の調製
ウデナフィル(10.3 g)は、エタノール(10 ml)及びニコチン酸(2.4 g)からなる混合溶液に溶解する後、50℃で20分反応させて新混合溶液を成す。室温でメタノールを新混合溶液に加え、一晩を経て、濾過により、ウデナフィル-ニコチン酸塩(11.6 g)が得られる。
【0072】
例11:ウデナフィル-L-レチノイン酸錯塩の調製
レチノイン酸(6.0 g)は、エタノール(10 ml)に溶解し、レチノイン酸ナトリウムのエタノール溶液を形成するように、室温で水酸化ナトリウム水溶液(4 g/60 ml)を加える。
【0073】
マグネチックスターラーを備えたフラスコにおいて、ウデナフィル塩酸塩(11 g)は、エタノール(100 mL)および水(30 mL)からなる混合溶液に溶解し、前記レチノイン酸ナトリウムのエタノール溶液を加えて、50℃で60分反応させて新混合溶液を成す。新混合溶液は、冷却により沈殿を生じ、濾過によってNaClを除去し、室温でメタノール(100 ml)を加え、一晩を経て、濾過により、ウデナフィル-L-レチノイン酸錯塩(12.8 g)の再沈殿物が得られる。
【0074】
例12:シルデナフィル-カルボキシメチルセルロース(Sildenafil-CMC)錯体の錠剤処方
錠剤の調製は、米国特許番号5,358,941に記載された標準の混合と形成技術を用いて製造される。その特許の記載により、本明細書に組み込まれている。
【表3】

【0075】
例13:子供の肺高血圧症(BID)を治療するためのシルデナフィル-アトルバスタチン錯体の処方
【表4】

【0076】
例14:子供の肺高血圧症を治療するためのシルデナフィル-シンバスタチン錯体の処方
【表5】

【0077】
例15:子供の肺高血圧症を治療するためのシルデナフィル-ロバスタチン錯体のカプセル処方
【表6】

【0078】
例16:男性性器の勃起を治療するためのシルデナフィル-アトルバスタチン錯体のカプセル処方(一回量)
【表7】

【0079】
例17:男性脱毛症を治療するためのシルデナフィル-L-アルギニン錯体のローションや軟膏の調製処方
【表8】

【0080】
例18:男性脱毛症を治療するためのシルデナフィル-レチノイン酸錯体のローションや軟膏の調製処方
【表9】

【0081】
以上の説明によると、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、多様な変更及び修正が可能であることが分かる。従って、本発明の技術的な範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限らず、特許請求の範囲によって定めなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の構造を含む錯塩組成物であって、
R1は、
C1〜C5のアルコキシ基である置換基を有するベンゼン環、
スルホニル基とアセチル基のいずれかである置換基を有するベンゼン環、
C1〜C6のアルコキシ基とC1〜C6のアルキル基のいずれかである置換基を有するピラゾロ[4,3d]ピリミジン、及び
C1〜C6のアルコキシ基とC1〜C6のアルキル基のいずれかである置換基を有するイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン、からなる群から選択され、
Raは、水素基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、C1〜C5のアルキル基及びC1〜C5のヒドロキシアルキル基からなる群から選択され、
RXは、鉱酸、有機酸、スタチン誘導体、ビタミン、γ-ポリグルタミン酸誘導体及びナトリウムカルボキシメチルセルロースからなる群から供与されたカルボキシル基を含み、ここで、RX-は、負の電荷を運ぶカルボキシル基のアニオンである、ことを特徴とする錯塩組成物。
【請求項2】
RXは、アトルバスタチン(Atorvastatin)、セリバスタチン(Cerivastatin)、フルバスタチン(Fluvastatin)、ロバスタチン(Lovastatin)、メバスタチン(Mevastatin)、プラバスタチン(Pravastatin)、ロスバスタチン(Rosuvastatin)およびシンバスタチン(Simvastatin)からなる群から一つを選ぶスタチン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の錯塩組成物。
【請求項3】
RXは、アルギン酸ナトリウム(alginate sodium)、γ-ポリグルタミン酸、γ-ポリグルタミン酸ナトリウム、並びにγ-ポリグルタミン酸、リジン(Lysine)及びチロシン(tyrosine)から架橋結合されたγ-ポリグルタミン酸錯塩組成物(Co-polymer salt, GLT)からなる群から一つを選ぶγ-ポリグルタミン酸誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の錯塩組成物。
【請求項4】
薬学的に許容される担体と、
スタチン誘導体及びγ-ポリグルタミン酸誘導体の一つから供与され、シルデナフィル類似体とカルボキシル基との有効混合物と、を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項5】
前記スタチン誘導体は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチンからなる群から選択され、
前記γ-ポリグルタミン酸誘導体は、アルギン酸ナトリウム(alginate sodium)、γ-ポリグルタミン酸、γ-ポリグルタミン酸ナトリウム、並びにγ-ポリグルタミン酸、リジン(Lysine)及びチロシン(tyrosine)から架橋結合されたγ-ポリグルタミン酸錯塩組成物(Co-polymer salt, GLT)からなる群から選択され、
前記シルデナフィル類似体は、シルデナフィル (Sildenafil)、ホモシルデナフィル(Homosildenafil)、ヒドロキシホモシルデナフィル(Hydroxyhomosildenafil)、デスメチルシルデナフィル(Desmethylsildenafil)、アセチルデナフィル(Acetidenafil)、バルデナフィル(Vardenafil)及びウデナフィル(Udenafil)からなる群から一つを選ぶことを特徴とする請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
式(III):
【化2】

の構造を含む錯塩組成物であって、
R1は、
C1〜C5のアルコキシ基である置換基を有するベンゼン環、
スルホニル基とアセチル基のいずれかである置換基を有するベンゼン環、
C1〜C6のアルコキシ基とC1〜C6のアルキル基のいずれかである置換基を有するピラゾロ[4,3d]ピリミジン、及び
C1〜C6のアルコキシ基とC1〜C6のアルキル基のいずれかである置換基を有するイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン、からなる群から選択され、
Raは、水素基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、C1〜C5のアルキル基及びC1〜C5のヒドロキシアルキル基からなる群から選択され、
RXは、鉱酸、有機酸、スタチン誘導体、ビタミン、γ-ポリグルタミン酸誘導体及びナトリウムカルボキシメチルセルロースからなる群から供与されたカルボキシル基を含み、
ここで、RX-は、負の電荷を運ぶカルボキシル基のアニオンであり、
(N)置換基は、アミン、C3〜C8の環式アミン及び複素環N-H基から成る群から選択された一つであり、
nは、0から5までの整数であり、
前記錯塩組成物は、薬学的に許容できる担体を有する、ことを特徴とする錯塩組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−97069(P2012−97069A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99358(P2011−99358)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(505302362)高雄醫學大學 (11)
【Fターム(参考)】