説明

シロキサンハイブリッド重合体、前記シロキサンハイブリッド重合体から形成される封止材、および前記封止材を含む電子素子

【課題】本発明は、シロキサンハイブリッド重合体、前記シロキサンハイブリッド重合体から形成される封止材、および前記封止材を含む電子素子に関する。
【解決手段】下記化学式(1a)で表される部分構造および下記化学式(1b)で表される部分構造を有し、両末端に二重結合を有する鎖状の第1シロキサン樹脂、および3次元網状構造の第2シロキサン樹脂を含むシロキサンハイブリッド重合体を提供する。また、前記シロキサンハイブリッド重合体から形成される封止材、および前記封止材を含む電子素子を提供する。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサンハイブリッド重合体、前記シロキサンハイブリッド重合体から形成される封止材、および前記封止材を含む電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(light emitting diode;LED)、有機発光ダイオード装置(organic light emitting diode device;OLED装置)、およびフォトルミネセンス(photoluminescence;PL)などの発光素子は、家庭用家電製品、照明装置、表示装置、および各種自動化機器などの多様な分野において応用されている。
【0003】
このような発光素子は発光体を用いて青色、赤色、または緑色のような発光物質の固有の色を表示することができ、互いに異なる色を表わす発光体を組み合わせて白色を表示することもできる。
【0004】
このような発光素子は一般的にパッケージング(packaging)または密封(encapsulation)された構造で製造される。
【0005】
このようなパッケージングまたは密封構造は、発光体から放出した光が外部に通過することができる透光性樹脂で生成された封止材で形成される。このような封止材は光が通過する位置にあるため、耐熱性および耐光性が重要となる。このため、耐熱性および耐光性が比較的弱いエポキシ系封止材の代わりにシロキサン樹脂が開発されている。
【0006】
しかしながら、前記シロキサン樹脂は、高い熱膨張係数による硬化後の樹脂の亀裂の発生および界面接着の不良が生じるため、封止材の性能が低下し、表面の粘着性(tackiness)の増加によって、工程の操作が容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、耐熱性および耐光性を良好に維持しながらも、耐亀裂性および界面接着性を高め、粘着性を低下させて工程性を改善することができるシロキサンハイブリッド重合体を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記シロキサンハイブリッド重合体から形成される封止材を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記封止材を含む電子素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、下記化学式(1a)で表される部分構造および下記化学式(1b)で表される部分構造を有し、両末端に二重結合を有する鎖状構造の第1シロキサン樹脂、および網状構造の第2シロキサン樹脂を含む、シロキサンハイブリッド重合体が提供される。
【0011】
【化1】

【0012】
【化2】

【0013】
前記化学式(1a)または(1b)において、AはC2〜C10アルキレン基であり、R〜Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせであり、前記化学式(1b)で表される部分構造は、前記第1シロキサン樹脂中に1〜500の範囲で含まれる。
【0014】
前記第2シロキサン樹脂は、下記化学式(2)で表されうる。
【0015】
【化3】

【0016】
前記化学式(2)において、R〜R12は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせであり、R10、R11、およびR12のうちの少なくとも1つは置換もしくは非置換C2〜C20のアルケニル基であり、T>0、D≧0、M>0であり、T+D+M=1である。
【0017】
前記化学式(2)において、R〜R12のうち、少なくとも15%はアリール基を含むことが好ましい。前記化学式(1b)において、RおよびRのうち、少なくとも30%はアリール基を含むことが好ましい。
【0018】
前記第1シロキサン樹脂は、下記化学式(1c)で表される部分構造および/または(1d)で表される部分構造をさらに有していてもよい。
【0019】
【化4】

【0020】
前記化学式(1c)において、Arは置換もしくは非置換C6〜C20アリーレン基であり、Eは単結合、酸素原子、スルホニル基、C1〜C10アルキレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、またはこれらの組み合わせであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせである。
【0021】
前記第1シロキサン樹脂の前記Aは、エチレン、プロピレン、ブチレン、およびペンチレンからなる群から選択される1つでありうる。
【0022】
前記第1シロキサン樹脂は、数平均分子量が約500〜20,000でありうる。
【0023】
前記第1シロキサン樹脂および前記第2シロキサン樹脂は、前記シロキサンハイブリッド重合体の総含量に対して、それぞれ約5〜50重量%および約15〜80重量%で含まれうる。
【0024】
前記シロキサンハイブリッド重合体は、2つ以上のケイ素−水素結合を有する硬化剤をさらに含んでいてもよい。
【0025】
前記シロキサンハイブリッド重合体は、ヒドロシリル化触媒をさらに含んでいてもよい。
【0026】
また、本発明によれば、上述したシロキサンハイブリッド重合体を硬化して形成される封止材が提供される。
【0027】
さらに本発明によれば、前記封止材を含む電子素子が提供される。
【0028】
前記電子素子には、発光ダイオード、有機発光装置、フォトルミネセンス、および太陽電池が含まれうる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、屈折率、耐熱性および耐光性を良好に維持しながらも、耐亀裂性および界面接着性を高め、粘着性を低下させて工程性を改善することができるシロキサンハイブリッド重合体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、当業者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかしながら、本発明は多様な形態で実施することができ、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0031】
本明細書において別途の定義がない限り、「置換」とは、化合物中の水素原子が、ハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルバミル基、チオール基、スルホン酸基およびその塩、リン酸基およびその塩、C1〜C20アルキル基、C2〜C16アルケニル基、C2〜C16アルキニル基、C6〜C30アリール基、C7〜C13アリールアルキル基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C20ヘテロアルキル基、C3〜C20ヘテロアリールアルキル基、C3〜C30シクロアルキル基、C3〜C15シクロアルケニル基、C6〜C15シクロアルキニル基、C1〜C30ヘテロシクロアルキル基、C2〜C20アルキルカルボニル基、C2〜C20アルキルオキシカルボニル基、C1〜C20カルボキシアルキル基およびその塩、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって置換されることを意味する。
【0032】
また、本明細書において別途の定義がない限り、「ヘテロ」は、N、O、S、およびPからなる群から選択されるヘテロ原子を1〜3つ含有することを意味する。
【0033】
本明細書において別途の定義がない限り、「これらの組み合わせ」とは、シロキサンハイブリッド重合体中に複数の部分構造が含まれる場合において、当該複数の部分構造が互いに異なる構造であってもよいことを意味する。例えば、シロキサンハイブリッド重合体に化学式(1a)で表される部分構造が2つ含まれる場合において、2つの化学式(1a)で表される部分構造における対応する置換基(例えば、Rどうし等)は、それぞれ同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。
【0034】
以下、一実施形態におけるシロキサンハイブリッド重合体について説明する。
【0035】
一実施形態において、シロキサンハイブリッド重合体は、鎖状構造の第1シロキサン樹脂および網状構造の第2シロキサン樹脂を含む。
【0036】
第1シロキサン樹脂は、下記化学式(1a)で表される部分構造および下記化学式(1b)で表される部分構造を含む。
【0037】
【化5】

【0038】
【化6】

【0039】
前記化学式(1a)または(1b)において、AはC2〜C10アルキレン基であり、R〜Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせであり、前記化学式(1b)で表される部分構造は、前記第1シロキサン樹脂中に1〜500の範囲で含まれる。R〜Rの具体例としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基などのアリールアルキル基;クロロメチル基などのヘテロアルキル基;クロロシクロブチル基などのヘテロシクロアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;プロパルギル基などのアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子が挙げられる。これらのうち、好ましくは、メチル基、フェニル基、またはビニル基である。
【0040】
前記化学式(1a)で表される部分構造は2つのケイ素の間に鎖状ブリッジ炭化水素基(A)が連結している構造であり、前記構造によって工程中に表面の粘着性を大きく減らすことができる。また、低い熱膨張係数(coefficient of thermal expension;CTE)および低い弾性(modulus)を維持することができ、その結果として、シロキサンハイブリッド重合体の耐亀裂性および界面接着性を高めることが可能となる。
【0041】
鎖状ブリッジ炭化水素基(A)は、C2〜C10アルキレン基であり、好ましくはC2〜C5アルキレン基、さらに好ましくはC2またはC3アルキレン基である。具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、およびペンチレン基等が挙げられ、好ましくはエチレン基またはプロピレン基である。
【0042】
前記化学式(1b)で表される部分構造は、ケイ素−酸素−ケイ素結合を有する。
【0043】
前記化学式(1b)で表される部分構造のうち、ケイ素に結合している置換基、すなわち、RおよびRは、少なくとも30%のアリール基を含むことが好ましい。前記範囲のアリール基を含むことによって第1シロキサン樹脂が高屈折率を有することができる。
【0044】
第1シロキサン樹脂は、両末端にヒドロシリル化反応が可能な炭素−炭素二重結合を有する。ここで、下記化学式(a)で表されるように、末端炭素−炭素二重結合がケイ素に直接連結する構造であることが好ましい。
【0045】
【化7】

【0046】
前記化学式(a)において、R17およびR18は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせである。R17およびR18の具体例としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基などのアリールアルキル基;クロロメチル基などのヘテロアルキル基;クロロシクロブチル基などのヘテロシクロアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;プロパルギル基などのアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子が挙げられる。これらのうち、好ましくは、メチル基、フェニル基、またはビニル基である。
【0047】
このような鎖状構造の第1シロキサン樹脂の末端に炭素−炭素二重結合を有することにより、後述する網状構造の第2シロキサン樹脂と同等のヒドロシリル化反応を起こすことができる。通常、鎖状構造の第1シロキサン樹脂が、3次元網状構造の第2シロキサン樹脂と比較してヒドロシリル化反応に対する活性が著しく低下する場合には、最終硬化時に3次元網状構造の第2シロキサン樹脂がまず硬化し、熱膨張係数が低く、弾性が高い領域が形成された後に鎖状構造の第1シロキサン樹脂が硬化する。その結果、最終生成物の耐亀裂性および界面接着性が不良化する。しかしながら、本実施形態では、末端二重結合の存在により、鎖状構造の第1シロキサン樹脂が3次元網状構造の第2シロキサン樹脂と同等のヒドロシリル化反応を起こすことから、耐亀裂性および界面接着性の不良化を防ぐことができる。
【0048】
第1シロキサン樹脂は、数平均分子量が約500〜20,000でありうる。
【0049】
第1シロキサン樹脂は、シロキサンハイブリッド重合体の総含量に対して約5〜50重量%の量で含まれうる。第1シロキサン樹脂が前記範囲で含まれることにより、シロキサンハイブリッド重合体の硬化後に硬度を維持しながらも弾性を適正範囲に維持し、耐亀裂性および界面接着性を改善することができる。
【0050】
第1シロキサン樹脂は、例えば、下記3つの方法によって得られうる。
【0051】
第1の方法は、2つの炭素−炭素二重結合を有するシロキサン化合物と、2つのケイ素−水素結合を有するシロキサン化合物とのヒドロシリル化反応によって得られうる。
【0052】
例えば、下記化学式(b)で表される2つのケイ素−水素結合を有するシロキサン化合物と、下記化学式(c)で表される2つの炭素−炭素二重結合を有するシロキサン化合物とを、ヒドロシリル化反応させることによって下記化学式(d)で表される部分構造を有するシロキサンハイブリッド重合体が形成されうる。
【0053】
【化8】

【0054】
【化9】

【0055】
【化10】

【0056】
【化11】

【0057】
前記化学式(b)〜化学式(e)において、R〜Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子であり、nは、それぞれ独立して、0〜500であり、この際、反応によって形成された前記化学式(d)で表される部分構造のnの合計は1〜500である。これにより、前記化学式(1b)で表される部分構造が、第1シロキサン樹脂中に1〜500の範囲で含まれることとなる。ここで、前記化学式(b)および(c)で表される化合物は異なるものを混合して用いてもよく、この場合には、第1シロキサン樹脂中に複数の異なる化学式(d)で表される部分構造を有しうる。そして、第1シロキサン樹脂が複数の前記化学式(d)で表される部分構造を含む場合には、当該複数の部分構造における対応する置換基(例えば、Rどうし等)は、それぞれ同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。R〜Rの具体例としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基などのアリールアルキル基;クロロメチル基などのヘテロアルキル基;クロロシクロブチル基などのヘテロシクロアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;プロパルギル基などのアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;フッ素、臭素、塩素などのハロゲン原子が挙げられる。これらのうち、好ましくは、メチル基、フェニル基、またはビニル基である。
【0058】
また、2つのケイ素−水素結合を有するシロキサン化合物に加えて、2つのケイ素−水素結合を有し、かつ、ケイ素−ケイ素の間にアリール基が連結している化合物を用いてもよく、例えば、下記化学式(f)で表される化合物および/または下記化学式(g)で表される化合物が用いられうる。
【0059】
【化12】

【0060】
【化13】

【0061】
前記化学式(f)および化学式(g)において、Eは単結合、酸素原子、スルホニル基、C1〜C10アルキレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、またはこれらの組み合わせであり、R’、R’、R’、R’、R”、R”、R”、およびR”は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせである。R’、R’、R’、R’、R”、R”、R”、およびR”の具体例としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基などのアリールアルキル基;クロロメチル基などのヘテロアルキル基;クロロシクロブチル基などのヘテロシクロアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;プロパルギル基などのアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子が挙げられる。これらのうち、好ましくは、メチル基、フェニル基、またはビニル基である。
【0062】
この場合、第1シロキサン樹脂は、下記化学式(1c)で表される部分構造および/または(1d)で表される部分構造をさらに含むこととなる。
【0063】
【化14】

【0064】
前記化学式(1c)において、Arは置換もしくは非置換C6〜C20アリーレン基であり、Eは単結合、酸素原子、スルホニル基、C1〜C10アルキレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、またはこれらの組み合わせであり、R13〜R16それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせである。R13〜R16の具体例としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基などのアリールアルキル基;クロロメチル基などのヘテロアルキル基;クロロシクロブチル基などのヘテロシクロアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;プロパルギル基などのアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子が挙げられる。これらのうち、好ましくは、メチル基、フェニル基、またはビニル基である。
【0065】
第1シロキサン樹脂の分子量は、原料となるケイ素−水素結合を有するシロキサン化合物および末端二重結合を有するシロキサン化合物の量を調節することで制御することが可能である。
【0066】
第2の方法は、2つの炭素−炭素二重結合を有するシロキサン化合物をシラン化合物とヒドロシリル化反応させた後、例えば、アルキルジクロロシランまたはアリールジクロロシラン化合物と共加水分解する方法である。
【0067】
第3の方法は、2つのケイ素の間にエチレン基のようなアルキレン基を有する化合物をシラン化合物と共加水分解する方法である。
【0068】
第2シロキサン樹脂は、下記化学式(2)で表される化合物でありうる。
【0069】
【化15】

【0070】
前記化学式(2)において、R〜R12は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせであり、R10、R11、およびR12のうちの少なくとも1つは置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基であり、T>0、D≧0、M>0であり、T+D+M=1である。R〜R12の具体例としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基などのアリールアルキル基;クロロメチル基などのヘテロアルキル基;クロロシクロブチル基などのヘテロシクロアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;プロパルギル基などのアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子が挙げられる。これらのうち、好ましくは、メチル基、フェニル基、またはビニル基である。
【0071】
前記化学式(2)のR〜R12のうちの少なくとも15%はアリール基を含みうる。
【0072】
前記第2シロキサン樹脂は、シロキサンハイブリッド重合体が硬化するときに硬度を決定する成分である。
【0073】
第2シロキサン樹脂は、シロキサンハイブリッド重合体の総含量に対して約15〜80重量%量含まれうる。第2シロキサン樹脂が前記範囲で含まれることにより、シロキサンハイブリッド重合体の硬化後に硬度を適切に維持することができる。
網状構造のシロキサン構造は、化学式(3a)及び(3b)の加水分解及び縮重合反応の後、化学式(3c)の構造と平衡反応を通じて得られる。
【0074】
【化16】

【0075】
【化17】

【0076】
【化18】

【0077】
化学式(3a)〜(3c)において、R〜R12は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせであり、X〜Xは、それぞれ独立して、C1〜C6アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン基、カルボキシル基またはこれらの組み合わせから選択された一つである。
【0078】
シロキサンハイブリッド重合体は、硬化剤をさらに含んでいてもよい。硬化剤は末端部に2つのケイ素−水素結合を有する化合物でありうる。ただし、前記硬化剤は、第1シロキサン樹脂には含まれない。この理由は、シロキサンハイブリッド重合体の重合段階は、第1シロキサン樹脂および第2シロキサン樹脂をそれぞれ合成した後に行われるためである。したがって、前記硬化剤は、個別にシロキサンハイブリッド重合体に含まれうる。なお、第1シロキサン樹脂を製造する際に用いられる上述の化学式(b)で表されるシロキサン化合物を、重合段階において硬化剤として用いてもよい。硬化剤の具体例としては、特に制限されないが、例えば、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサンが挙げられる。
【0079】
硬化剤の前記ケイ素−水素結合は、前記第1シロキサン樹脂および前記第2シロキサン樹脂に含まれている二重結合(合計量)1モルに対して、約0.5〜2.0モルの比率で含まれうる。硬化剤のケイ素−水素結合が前記範囲で含まれることにより、シロキサンハイブリッド重合体の硬化時に十分な硬化度が確保されると同時に、未反応の水素−ケイ素結合による硬化物の酸化、変色を防ぐことができる。
【0080】
前記硬化剤は、前記シロキサンハイブリッド重合体の総含量に対して約15〜40重量%の量で含まれうる。前記硬化剤が前記範囲で含まれることにより、シロキサンハイブリッド重合体の硬化後に硬度を適切に維持することができる。
【0081】
前記シロキサンハイブリッド重合体は、上述した第1および第2シロキサン樹脂の他に水素ケイ素化触媒をさらに含んでいてもよい。
【0082】
ヒドロシリル化触媒は、例えば、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、またはこれらの組み合わせを中心金属として含む触媒である。具体的には、特に制限されないが、例えば、Speier触媒(塩化白金酸;HPtCl)、塩化白金酸と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメトキシジシロキサンとの反応によって得られるカールシュテット(Karstedt)触媒が挙げられる。ヒドロシリル化触媒はシロキサンハイブリッド重合体の総含量に対して、約0.1質量ppm〜1,000質量ppmの量で含まれうる。
【0083】
上述したシロキサンハイブリッド重合体は、硬化して電子素子の封止材として用いられうる。ここで、電子素子としては、例えば、発光ダイオード、有機発光装置、フォトルミネセンス、および太陽電池が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
前記シロキサンハイブリッド重合体から形成される封止材は、耐熱性および耐光性を確保して高透過率および高屈折率を示すことができると同時に、熱膨張係数を低下させて、耐亀裂性および界面接着性を改善することができる。同時に、シロキサン樹脂の製造過程中に低分子量のオリゴマーの副生を抑制することによって表面の粘着性を減少させ、工程性を改善することができる。
【実施例】
【0085】
以下、実施例を参照しながら、上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記実施例は説明の目的のためのものに過ぎず、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【0086】
第1シロキサン樹脂の合成
<合成例1>
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに、窒素を通過させながら1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン205.04g(1.1mol)を添加し、これを600gのトルエンに溶解した。ここに、PS−CS−1.8CS(unicore) を添加した後に撹拌を継続した。この溶液に3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン332g(1mol)をトルエン600gに溶解させた溶液を、30分間かけてゆっくり滴下した。滴下完了後に前記反応溶液を24時間加熱還流した。反応溶液を長さ5cmのシリカゲルカラムに通過させて白金錯物を除去した後に、溶媒を減圧留去し、数平均分子量8,000の鎖状構造の第1シロキサン樹脂を得た。また、ゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography;GPC)の分析結果によると、数平均分子量500以下の低分子量オリゴマーはまったく存在しなかった。
【0087】
<合成例2>
1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの代わりに3,3−ジフェニル−1,5−ジビニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサンを423.2g(1.1mol)用いたことを除いては、合成例1と同じ方法によって第1シロキサン樹脂を合成した。その結果、数平均分子量9,700の鎖状構造の第1シロキサン樹脂を得た。ゲル浸透クロマトグラフィの分析結果によると、数平均分子量500以下の低分子量オリゴマーはまったく存在しなかった。
【0088】
<合成例3>
1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの代わりに3,3−ジフェニル−1,5−ジビニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサンを442.41g(1.15mol)用いたことを除いては、合成例1と同じ方法によって第1シロキサン樹脂を合成した。その結果、数平均分子量6,700の鎖状の第1シロキサン樹脂(A−2)を得た。ゲル浸透クロマトグラフィの分析結果によると、数平均分子量500以下の低分子量オリゴマーはまったく存在しなかった。
【0089】
シロキサンハイブリッド重合体の製造
第2シロキサン樹脂の合成
水とトルエンを5:5重量比で混合した混合溶媒1kgを三つ口フラスコに投入した後、23℃で維持しながら、フェニルトリクロロシラン(phenyltrichlorosilane)、ビニルジメチルクロロシラン(vinyldimethylchlorosilane)を90:10モル比で混合した混合物300gを2時間にわたって滴下した。滴下完了の後、90℃で3時間加熱還流しながら縮重合反応を行った。続いて、室温で冷却した後、水層を除去してトルエンに溶解された高分子溶液を製造した。
得られた高分子溶液を水で洗浄して反応副産物の塩酸を除去した。続いて、中性の高分子溶液を減圧蒸留してトルエンを除去し、液体ポリシロキサンを得た。
得られたポリシロキサンをゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography)を使用して分子量を測定した結果、ポリスチレン換算分子量が1900g/molであり、H−NMR、Si−NMR及び元素分析器を使用して構造を確認した。
【0090】
<実施例1>
前記合成例1で得られた第1シロキサン樹脂2.56g、下記化学式(2a)で表される第2シロキサン樹脂5g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン(Gelest社、SID4609.0)1g、およびPS−CS−1.8CS(unicore)3ppmを混合した後、完全に溶解してシロキサンハイブリッド重合体を得た。
【0091】
【化19】

【0092】
前記シロキサンハイブリッド重合体における水素/ビニル基(H/Vi)の比率は1.1:1であった。
【0093】
<実施例2>
前記合成例1で得られた第1シロキサン樹脂1.11g、前記化学式(2a)で表される第2シロキサン樹脂5.3g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン(Gelest社、SID4609.0)1g、およびPS−CS−1.8CS(unicore)3ppmを混合した後、完全に溶解してシロキサンハイブリッド重合体を得た。
【0094】
前記シロキサンハイブリッド重合体における水素/ビニル基(H/Vi)の比率は1.1:1であった。
【0095】
<実施例3>
前記合成例2で得られた第1シロキサン樹脂3.11g、前記化学式(2a)で表される第2シロキサン樹脂5g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン(Gelest社、SID4609.0)1g、およびPS−CS−1.8CS(unicore)3ppmを混合した後、完全に溶解してシロキサンハイブリッド重合体を得た。
【0096】
前記シロキサンハイブリッド重合体における水素/ビニル基(H/Vi)の比率は1.1:1であった。
【0097】
<実施例4>
前記合成例2で得られた第1シロキサン樹脂1.34g、前記化学式(2a)で表される第2シロキサン樹脂5.3g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン(Gelest社、SID4609.0)1g、およびPS−CS−1.8CS(unicore)3ppmを混合した後、完全に溶解してシロキサンハイブリッド重合体を得た。
【0098】
前記シロキサンハイブリッド重合体中に水素/ビニル基(H/Vi)の比率は1.1:1であった。
【0099】
<実施例5>
前記合成例3で得られた第1シロキサン樹脂2.14g、前記化学式(2a)で表される第2シロキサン樹脂5g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン(Gelest社、SID4609.0)1g、およびPS−CS−1.8CS(unicore)3ppmを混合した後、完全に溶解してシロキサンハイブリッド重合体を得た。
【0100】
前記シロキサンハイブリッド重合体における水素/ビニル基(H/Vi)の比率は1.1:1であった。
【0101】
<実施例6>
前記合成例3で得られた第1シロキサン樹脂0.93g、前記化学式(2a)で表される第2シロキサン樹脂5.3g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン(Gelest社、SID4609.0)1g、およびPS−CS−1.8CS(unicore)3ppmを混合した後、完全に溶解してシロキサンハイブリッド重合体を得た。
【0102】
前記シロキサンハイブリッド重合体における水素/ビニル基(H/Vi)の比率は1.1:1であった。
【0103】
<比較例>
下記化学式(4)で表されるシロキサン樹脂1.60g、前記化学式(2a)で表される第2シロキサン樹脂5g、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン(Gelest社、SID4609.0)1g、およびPS−CS−1.8CS(unicore)3ppmを混合した後、完全に溶解してシロキサンハイブリッド重合体を得た。
【0104】
【化20】

【0105】
化学式(4)において、Meはメチル基であり、Phはフェニル基であり、nは1〜500である。
【0106】
評価
実施例1〜6および比較例のシロキサンハイブリッド重合体を、オーブンを用いて150℃で1時間加熱して硬化した後、450nmにおける初期透過度を測定した。また、硬化した樹脂を、Tack meterを用いて硬化樹脂がカラムを通過する時間を測定した。カラム通過時間は粘着性を測定する尺度となり、カラム通過時間が短いほど粘着性が低いことを意味する。
【0107】
前記硬化樹脂を、オーブンを用いて150℃で1,000時間放置した後、再び450nmにおける透過度を測定した。初期透過度と熱処理後の透過度の差が少ないほど耐熱性および耐光性が優れることを意味する。
【0108】
この結果は下記表1の通りである。
【0109】
表1において、熱膨張係数(CTE)は熱機械分析(thermomechanic alanalysis;TMA)方法によって測定し、粘着性はTack meterによって測定した。
【0110】
【表1】

【0111】
表1のように、実施例1〜6のシロキサンハイブリッド重合体は、比較例のシロキサンハイブリッド重合体と比較して、類似した屈折率を有しながらも熱膨張係数および粘着性が低く、熱処理後の透過度減少が小さいことが分かる。これにより、実施例1〜6のシロキサンハイブリッド重合体は、屈折率とともに、耐熱性および耐光性を良好に維持しながらも、耐亀裂性および界面接着性を高め、粘着性を低下させて工程性を改善することが分かる。
【0112】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の技術的範囲に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1a)で表される部分構造および下記化学式(1b)で表される部分構造を有し、両末端に二重結合を有する鎖状構造の第1シロキサン樹脂、および
網状構造の第2シロキサン樹脂を含む、シロキサンハイブリッド重合体:
【化1】

【化2】

前記化学式(1a)または(1b)において、AはC2〜C10アルキレン基であり、R〜Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせであり、前記化学式(1b)で表される部分構造は、前記第1シロキサン樹脂中に1〜500の範囲で含まれる。
【請求項2】
前記第2シロキサン樹脂が、下記化学式(2)で表される、請求項1に記載のシロキサンハイブリッド重合体:
【化3】

前記化学式(2)において、R〜R12は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせであり、R10、R11、およびR12のうちの少なくとも1つは置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基であり、T>0、D≧0、M>0であり、T+D+M=1である。
【請求項3】
前記化学式(2)のR〜R12の少なくとも15%がアリール基を含む、請求項2に記載のシロキサンハイブリッド重合体。
【請求項4】
前記化学式(1b)のRおよびRの少なくとも30%がアリール基を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシロキサンハイブリッド重合体。
【請求項5】
前記第1シロキサン樹脂が、下記化学式(1c)で表される部分をさらに有する、請求項1に記載のシロキサンハイブリッド重合体:
【化4】

前記化学式(1c)において、Arは置換もしくは非置換C6〜C20アリーレン基であり、Eは単結合、酸素原子、スルホニル基、C1〜C10アルキレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、またはこれらの組み合わせであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル基、置換もしくは非置換C3〜C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換C6〜C20アリール基、置換もしくは非置換C7〜C20アリールアルキル基、置換もしくは非置換C1〜C20ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルケニル基、置換もしくは非置換C2〜C20アルキニル基、置換もしくは非置換C1〜C10アルコキシ基、ハロゲン原子、またはこれらの組み合わせである。
【請求項6】
前記第1シロキサン樹脂の前記Aはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、およびペンチレン基からなる群から選択される1つである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシロキサンハイブリッド重合体。
【請求項7】
前記第1シロキサン樹脂の数平均分子量が、500〜20,000である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシロキサンハイブリッド重合体。
【請求項8】
前記第1シロキサン樹脂および前記第2シロキサン樹脂が、前記シロキサンハイブリッド重合体の総含量に対して、それぞれ5〜50重量%および15〜80重量%の量で含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシロキサンハイブリッド重合体。
【請求項9】
2つ以上のケイ素−水素結合を有する硬化剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシロキサンハイブリッド重合体。
【請求項10】
ヒドロシリル化触媒をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のシロキサンハイブリッド重合体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のシロキサンハイブリッド重合体を硬化して得られる、封止材。
【請求項12】
請求項11に記載の封止材を含む、電子素子。
【請求項13】
発光ダイオード、有機発光装置、フォトルミネセンス、および太陽電池である、請求項12に記載の電子素子。

【公開番号】特開2012−21157(P2012−21157A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155937(P2011−155937)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】