説明

シートリクライニング装置

【課題】従来のシートリクライニング装置は、ロック機構とケーシングに貫設した操作軸に板バネを捲装し、板バネをケーシングと操作軸に係止し、操作軸をハンドルの操作で回転し、ロック機構のロック及びアンロックを動作し、板バネの緊張及び弛緩を図る構成であり、リクライニングシートの折畳みは、専ら板バネの反撥力に依存する構造である。従って、折畳み時の衝撃は、時として思わぬ障害を引起す虞がある。
【構成】リクライニング機構のロック、アンロックを司るロック機構と、シートバックフレームに一端を、またシートリクライニングのケーシングに他端を固止したスプリングを有し、スプリングを一端及び/又は他端の動きで規制し、シートバックが後倒時に、スプリングの一端及び/又は他端を対峙方向に移動して緊張し、また同前倒時に、スプリングの一端及び/又は他端を対峙方向に移動して緊張を弛緩するシートリクライニング装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車輌のシートリクライニング装置(シートのタンブル機構を含む)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシートリクライニング装置は、ロック機構とケーシングとに貫設した操作軸に板バネを捲装し、この板バネを、ケーシングと操作軸に係止し、この操作軸をハンドルの操作(回転)で回転し、ロック機構のロック及びアンロックを動作するとともに、板バネの緊張及び弛緩(緊張開放)を図る構成である。この構成では、リクライニングシート(シートとする)の折畳みは、専ら板バネの反撥力に依存する構造である。従って、折畳み時の衝撃は、時として思わぬ障害を引起す虞がある。その一例を説明する。〔1〕は、衝撃による問題であり、即ち、衝撃により、幼児、老人、病人等の弱者に、怪我、恐怖感を与えること、又はシートに設けられた硬質部材が、この弱者に被害を及ぼすこと、またメガネ等の破損し易い物を損傷し、場合により破壊する等の問題を発生させること等が指摘されている。〔2〕は、シートの多様な態様を達成する際の問題であり、即ち、早急なシートの折畳み及び/又は起立(適宜の傾斜角度「標準着座位置の角度」で立設)が望まれる場合、またシートの折畳み及び/又は起立を、スピーディに、またスピード変化をもって行うこと、またこれらの動作を確実に行うことに関し、必ずしも適確に対応できないこと等が指摘されている。
【0003】
その解決の一環として、従来は、スプリングの強弱を補完する手段として、最適な構成が提案されている。その一例として、シートバックリターン用のスプリングの一端(一方側)を、シートバックフレームに付設したロアアームに軸支したレバーの操作で規制する構成が採用されている。このような構成を採用する文献(1)としては、特開2002−101997の「シートリクライニング装置」がある。この発明は、シートバックを前方向に倒したときの衝撃を緩和できるシートリクライニング装置を、小型で安価に作成し、かつ提供することを意図し、シートバックフレームの軸に回転自在に軸支したアッパアームとロアアーム及び/又はフックレバーを設け、このフックレバー及び/又はロアホルダを介して前記軸上に設けたスパイラルスプリングの一端を支持し、前記シートバックフレームが前倒し領域にあるとき、フックレバー及び/又はロアホルダとの係脱を回避し、スパイラルスプリングの作用力がロアアームに伝達されないように作動する構成としたことを特徴とする。また、フルフラット状態にできるシートリクライニング装置において、シートバックリターン用のスプリングの一端を、シートバックフレームに付設したロックパウルと歯車の噛合操作で規制する構成が採用されている。このような構成を採用する文献(2)としては、特開2001−120381の「テーブル機構付きシートリクライニング装置」がある。この発明は、テーブルロックを解除しない限り、不用意にリクライニングロックを解除しても、シートバックがハンマー状態で搭乗者に衝撃を与えることがないシートリクライニング装置を提供することを意図し、べースブラケットのセンターシャフトにラチェットホイールを固定し、このラチェットホイールのラチェット歯部に係脱するロックパウルを中間プレートに軸支し、ロックパウルのピンを遊嵌できる長孔を開設したカムプレートに係合し、カムプレートはセンターシャフトを回転自在に配設されており、このセンターシャフトに設けたスプリング(渦巻きばね)で時計回りに付勢されており、かつこのカムプレートに設けたワイヤを、プーリに連繋し、このプーリをアームプレートのフレームに固止した構成であって、このプーリの回転を介して前記アームプレートが前傾することを特徴とする。尚、本出願人は、前述の文献(1)及び/又は文献(2)に類似する構成のシートリクライニング装置等を数件提案しており、その一つに文献(3)の特開2004−16480の「シートリクライニング装置」がある。その概要は、リクライニング機構のロック、アンロックを司るロック機構に着脱自在に設けたケーシングと、このケーシングにスプリングの一端を係止し、その他端をシートブラケットフレームに係止した構成であって、このスプリングをケーシングに設けた規制手段で制御することで、シートバックの急激な前傾を回避することを特徴とする。
【0004】
【特許文献1】特開2002−101997
【特許文献2】特開2001−120381
【特許文献3】特開2004−16480
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記文献(1)〜文献(3)は、シートバック(シートバックフレーム)の一方側を規制することで、シートバックの急激な折畳み(前傾)を回避すること、又はシートの確実かつスムーズな動きを確保することを意図する。
【0006】
しかし、これらの発明は、スプリングの反撥力を一方端で規制し、この規制をスプリング全体に及ぼす構成であり、このスプリングの一方端及び/又はその近傍の緊張と弛緩を利用した折畳み時の衝撃吸収である。従って、スプリングによる折畳み時の衝撃吸収、又はこの衝撃による各種の障害を回避するには、必ずしも十分とは云えない処である。
【0007】
殊に、文献(1)及び/又は文献(2)は、スプリングの一端を規制するために、種々の部品と、複雑な動きとを組合せた構成を採用することから、構造の複雑化や、コストの上昇を招来する等の問題点がある。そして、この文献(1)及び/又は文献(2)は、リクライニング機構のハンドル操作及び/又はワイヤ等を介して制御する構成であって(他の付帯設備の動作を介して制御する必要があり)、面倒であること、他の付帯設備との組合せ及び/又は構成上での制約があり、構造の複雑化と、組付けの困難化等を招来すること等の問題を抱えている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、スプリングの一端を可動するシートバックフレームの一方のフック片に、その他端をこのシートバックフレームの軸に可動自在に設けた他方のフック片にそれぞれ係止する構成とし、この一方及び/又は他方のフック片が、シートバックフレーム(シートバック)の後傾(後退、即ち、フラット)時において、スプリングの一端・他端が対峙する方向に可動し、またシートバックフレーム(シートバック)の前傾(前進、即ち、折畳み)時において、スプリングの一端・他端が対峙する方向に可動する当該スプリングの規制で、シートバックフレーム(シートバック)の迅速かつ確実な起立及び/又は移動等と、又はシートバックの緩やかで確実な折畳み及び/又は移動等を図る。これにより、各種の衝撃をなくすこと、又はこの衝撃に基づく、前述の弊害解消を図ることを意図する。また請求項1の発明は、前述した構成を採用することで、スプリングに対する規制の緩和と、スプリングの疲労回避を図ること、又はスプリングを主体とする本装置の組付けの容易化、迅速化等を図ること、またこれに併せてスプリングの加工の容易化、迅速化等を図ること等を意図する。さらにスプリングの妄動を回避して、シートバックの確実な動きと、前記のようなスムーズな動きを確保することを意図する。
【0009】
請求項1は、リクライニング機構のロック、アンロックを司るロック機構と、シートバックフレームに一端を、またリクライニングのケーシングに他端をそれぞれ固止したスプリングを有し、このスプリングを前記一端及び/又は他端の動きで規制し、前記シートバックが後倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動し、このスプリングを弛緩することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適なシートバックフレームの標準着座位置を確保すること等を意図する。
【0011】
請求項2は、請求項1に記載の後倒と前倒の境が、シートバックの略100度から略120度にあって、前記シートバックフレームが標準着座位置の角度であることを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適なスプリングの規制及び/又は機能確保を図ること等を意図する。
【0013】
請求項3は、請求項1に記載の「前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成が、前記スプリングの一端をシートバックフレームに突設した一方のフック片に固止し、またこのスプリングの他端を前記ロック機構のケーシングに軸支した歯部を有する伝達媒体に設けた他方のフック片に係止し、この伝達媒体の歯部に噛合する外歯部を有する前記シートバックフレームのピンに遊嵌したリンクを有することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の目的を達成すること、またこの目的を達成し、かつ衝突を避けるのに最適なリンクの曲面部位を提供すること等を意図する。
【0015】
請求項4は、請求項3に記載のリンクが、前記スプリングとの衝突を避けるためにその一部に曲面部位を形成することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適なスプリングに対する付帯条件を提供すること等を意図する。
【0017】
請求項5は、請求項1に記載の「前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成を、下記の条件で変更可能としたことを特徴としたシートリクライニング装置であって、
その条件は、下記の一つか、又は複数の組合せ機構で構成される。
(1) リンクの長さ及び/又はピンの位置
(2) リンクの長孔の長さ及び/又は角度
(3) 伝達媒体・リンクの外歯部のピッチ・大小・形状及び/又は径
(4) 伝達媒体の軸心とリンクの軸心の距離
(5) スプリングの一端及び/又は他端の係止位置及び/又は距離
【0018】
請求項6の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適なスプリングの規制及び/又は機能確保を図ること等を意図する。
【0019】
請求項6は、請求項1に記載の「前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成が、前記スプリングの一端をシートバックフレームに突設した一方のフック片に固止し、またこのスプリングの他端を前記ロック機構のケーシングに設けた係止部を備えた伝達媒体に係止し、この係止部に係止する係止部を備えた前記シートバックフレームのピンに遊嵌したリンクを有することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0020】
請求項7の発明は、請求項6の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適なスプリングの規制及び/又は機能確保を図ること等を意図する。
【0021】
請求項7は、請求項6に記載の係止部を、ピンを備えたリンク機構で構成することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0022】
請求項8の発明は、請求項6の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適なスプリングに対する付帯条件を提供すること等を意図する。
【0023】
請求項8は、請求項6に記載の「前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成を、下記の条件で変更可能としたことを特徴とした構成であり、
その条件は、下記の一つか、又は複数の組合せ機構で構成される。
(1) リンクの長さ及び/又はピンの位置
(2) リンクの長孔の長さ及び/又は角度
(3) 伝達媒体・リンクの係止部の大小・形状及び/又は長孔の長さ
(4) リンク機構のリンクの長さ及び/又は角度
(5) スプリングの一端及び/又は他端の係止位置及び/又は距離
【0024】
請求項9の発明は、請求項1又は請求項6の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な本体構造の囲繞を図り、この本体構造を保護すること等を意図する。
【0025】
請求項9は、請求項1又は請求項6に記載の「前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成をケーシングで囲繞することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0026】
請求項10の発明は、請求項1又は請求項6の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適なシートバックフレーム、前記リンク及び/又は前記ピンの軸心の構造を提供すること等を意図する。
【0027】
請求項10は、請求項1又は請求項6に記載のシートバックフレーム、前記リンク及び/又は前記ピンの軸心が、前記シートの標準着座位置の角度上にあることを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0028】
請求項11の発明は、請求項3の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適なシートバックフレームの荷重調整を図ること、この調整を行う際に目視して簡易に行うこと等を意図する。
【0029】
請求項11は、請求項3に記載の伝達媒体と、前記リンクの外歯部との間に適合マークを付設することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0030】
請求項12の発明は、請求項3の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適なシートバックフレームの荷重調整を図ること、この調整をワンタッチで行い、またこの調整を微妙に行うこと等を意図する。
【0031】
請求項12は、請求項3に記載のリンクを、外歯部及び/又は調整用の連結片を有するリンク基端部と、このリンク基端部に重畳されるリンク本体支持部及び/又は連結片とで構成し、この連結片間を連結する調整用の止め具及び/又はスプリングを設け、前記連結片間で形成される間隔を調整可能とすることを特徴としたシートリクライニング装置である。
【発明の効果】
【0032】
請求項1の発明は、リクライニング機構のロック、アンロックを司るロック機構と、シートバックフレームに一端を、またリクライニングのケーシングに他端をそれぞれ固止したスプリングを有し、スプリングを一端及び/又は他端の動きで規制し、シートバックが後倒する時に、スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、スプリングを緊張し、またシートバックが前倒する時に、スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動し、スプリングを弛緩することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0033】
従って、請求項1は、スプリングの一端を可動するシートバックフレームの一方のフック片に、その他端をシートバックフレームの軸に可動自在に設けた他方のフック片にそれぞれ係止する構成とし、一方及び/又は他方のフック片が、シートバックの後傾時において、スプリングの一端・他端が対峙する方向に可動し、またシートバックの前傾時において、スプリングの一端・他端が対峙する方向に可動するスプリングの規制で、シートバックの迅速かつ確実な起立及び/又は移動等と、又はシートバックの緩やかで確実な折畳み及び/又は移動等が図れる。これにより、各種の衝撃をなくし得ること、又はこの衝撃に基づく、前述の弊害解消が図れること等の特徴を有する。また請求項1は、前述した構成を採用することで、スプリングに対する規制の緩和と、スプリングの疲労回避が図れること、又はスプリングを主体とする本装置の組付けの容易化、迅速化等が図れること、またこれに併せてスプリングの加工の容易化、迅速化等が図れること等の特徴を有する。さらにスプリングの妄動(安定しない緊張及び/又は弛緩)を回避して、シートバックの確実な動きと、前記のようなスムーズな動きが確保できること等の利点がある。
【0034】
請求項2の発明は、請求項1に記載の後倒と前倒の境が、シートバックの略100度から略120度にあって、シートバックフレームが標準着座位置の角度であることを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0035】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適なシートバックフレームの標準着座位置が確保できること等の特徴を有する。
【0036】
請求項3の発明は、請求項1に記載の「スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、スプリングを緊張し、またシートバックが前倒する時に、スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動する」構成が、スプリングの一端をシートバックフレームに突設した一方のフック片に固止し、またスプリングの他端をロック機構のケーシングに軸支した歯部を有する伝達媒体に設けた他方のフック片に係止し、伝達媒体の歯部に噛合する外歯部を有するシートバックフレームのピンに遊嵌したリンクを有することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0037】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適なスプリングの規制及び/又は機能確保が図れること等の特徴を有する。
【0038】
請求項4の発明は、請求項3に記載のリンクが、スプリングとの衝突を避けるために一部に曲面部位を形成することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0039】
従って、請求項4は、請求項3の目的を達成できること、またこの目的を達成し、かつ衝突を避けるのに最適なリンクの曲面部位を提供できること等の特徴を有する。
【0040】
請求項5の発明は、請求項1に記載の「スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、スプリングを緊張し、またシートバックが前倒する時に、スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成を、下記の条件で変更可能としたことを特徴としたシートリクライニング装置であって、
その条件は、下記の一つか、又は複数の組合せ機構で構成される。
(1) リンクの長さ及び/又はピンの位置
(2) リンクの長孔の長さ及び/又は角度
(3) 伝達媒体・リンクの外歯部のピッチ・大小・形状及び/又は径
(4) 伝達媒体の軸心とリンクの軸心の距離
(5) スプリングの一端及び/又は他端の係止位置及び/又は距離
【0041】
従って、請求項5は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適なスプリングに対する付帯条件を提供できること等の特徴を有する。
【0042】
請求項6の発明は、請求項1に記載の「スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、スプリングを緊張し、またシートバックが前倒する時に、スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成が、スプリングの一端をシートバックフレームに突設した一方のフック片に固止し、またスプリングの他端をロック機構のケーシングに設けた係止部を備えた伝達媒体に係止し、係止部に係止する係止部を備えたシートバックフレームのピンに遊嵌したリンクを有することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0043】
従って、請求項6は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適なスプリングの規制及び/又は機能確保が図れること等の特徴を有する。
【0044】
請求項7の発明は、請求項6に記載の係止部を、ピンを備えたリンク機構で構成することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0045】
従って、請求項7は、請求項6の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適なスプリングの規制及び/又は機能確保が図れること等の特徴を有する。
【0046】
請求項8の発明は、請求項6に記載の「スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、スプリングを緊張し、またシートバックが前倒する時に、スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成を、下記の条件で変更可能としたことを特徴とした構成であり、
その条件は、下記の一つか、又は複数の組合せ機構で構成される。
(1) リンクの長さ及び/又はピンの位置
(2) リンクの長孔の長さ及び/又は角度
(3) 伝達媒体・リンクの係止部の大小・形状及び/又は長孔の長さ
(4) リンク機構のリンクの長さ及び/又は角度
(5) スプリングの一端及び/又は他端の係止位置及び/又は距離
【0047】
従って、請求項8は、請求項6の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適なスプリングに対する付帯条件を提供できること等の特徴を有する。
【0048】
請求項9の発明は、請求項1又は請求項6に記載の「スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、スプリングを緊張し、またシートバックが前倒する時に、スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成をケーシングで囲繞することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0049】
従って、請求項9は、請求項1又は請求項6の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な本体構造の囲繞が図れ、この本体構造の保護が図れること等の特徴を有する。
【0050】
請求項10の発明は、請求項1又は請求項6に記載のシートバックフレーム、リンク及び/又はピンの軸心が、シートの標準着座位置の角度上にあることを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0051】
従って、請求項10は、請求項1又は請求項6の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適なシートバックフレーム、前記リンク及び/又は前記ピンの軸心の構造を提供できること等の特徴を有する。
【0052】
請求項11の発明は、請求項3に記載の伝達媒体と、リンクの外歯部との間に適合マークを付設することを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0053】
従って、請求項11は、請求項3の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適なシートバックフレームの荷重調整が図れること、この調整を行う際に目視して簡易に行えること等の特徴がある。
【0054】
請求項12の発明は、請求項3に記載のリンクを、外歯部及び/又は調整用の連結片を有するリンク基端部と、リンク基端部に重畳されるリンク本体支持部及び/又は連結片とで構成し、連結片間を連結する調整用の止め具及び/又はスプリングを設け、連結片間で形成される間隔を調整可能とすることを特徴としたシートリクライニング装置である。
【0055】
従って、請求項12は、請求項3の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適なシートバックフレームの荷重調整が図れること、この調整をワンタッチで行えること、またこの調整を微妙に行えること等の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。
【0057】
先ず、後述する第一〜第四の実施例等の各実施例において、図中Aは車輌のシートで、A1はシートAのシートクッション、A2はシートAのシートバックを示す。またBはロック機構で、このロック機構BはシートバックフレームA3に設けたシートAの起立、折畳み等を司るロック、アンロック機構を備える。またこのロック機構Bには操作ハンドルCの復帰を司るスプリング(図示せず)等の復帰手段が設けられている。
【0058】
続いて、図2−1〜図2−4−2は、本発明の第一の実施例を示した模式図であって、図2−1はシートバックフレームとリンク機構及び/又はスプリングとの関係を説明するシートが標準着座位置の角度である側面模式図、図2−2は図2−1の後傾状態の側面模式図、図2−3は図2−1の前傾状態の側面模式図である。そして、図2−4−1〜図2−4−3は図2−1に示したピンとリンクとの関係であって、この第一の実施例を始めとして、後述する第二〜第四の実施例等の各実施例において採用される好ましい例であり、図2−4−1は深絞りピンに筒形状のクッション材を囲繞した要部の拡大断面、図2−4−2は深絞りピンに鍔付き筒形状のクッション材を被嵌した要部の拡大断面、図2−4−3は内鍔付き開口のピンに引掛け片を備えた筒状のクッション材を嵌入した要部の拡大断面である。
【0059】
この第一の実施例における図2−1〜図2−3に示した好ましい構成を説明する。1はリクライニング(装置)のケーシングで、このケーシング1はケーシング本体100に嵌合固止される。そして、このケーシング本体100は、後述する図3−1〜図3−4−2に示すように溶接、カシメ又は工具による押し潰し、さらに振動等の衝撃を介して一体的に組付ける等の手段で前記ロック機構Bの本体B1に固止されている。このケーシング1内には、前記ケーシング本体100よりプレス成形を介して切欠き・突設した支持片101と、この支持片101に設けた軸2に軸支した歯部30を下面に有する伝達媒体3と、この伝達媒体3に設けた他方のフック片31に他端41を係止したスプリング4と、このスプリング4の一端40が係止される前記シートバックフレームA3に設けた一方のフック片5と、前記伝達媒体3の歯部30に螺合する外歯部70を一端7aに有するリンク7と、このリンク7の他端7bに設けた長孔71が遊嵌されるピン8とを備えている。尚、このピン8は前記シートバックフレームA3の所定の位置に設けられている。図中10はそれぞれ止め具を示す。尚、この例では、図3−1及び3−2に示すように、伝達媒体3は他方のフック片31が図面に向かって左側に、また歯部30が図面に向かって右側に位置しており、この右側に位置する歯部30にリンク7の外歯部70が位置する構成であって、本体B1とスプリング4の僅かな隙間を利用して、このリンク7の設置と、確実な可動を図る構成とする。尚、ピン8を複数設けて荷重調整することも可能である。このピン8と長孔71との係合関係で、リンク7、伝達媒体3とリンク7の外歯部70又はスプリング4等のガタ付き及び/又はガタ音の発生防止に有効である。またシートバックフレームA3とリンク7との回転半径の違いを吸収する。また図2−4−1は成形上、又はコスト面で有益である深絞りピン8に筒形状のクッション材80を囲繞した構成であり、ガタ付き及び/又はガタ音の発生回避と、ピン8及び/又は長孔71の磨耗回避、美感の向上等を図る。また図2−4−2は深絞りピン8に鍔付き筒形状81のクッション材80を被嵌した一例であり、前述の例に準ずる。さらに、図2−4−3は内鍔付き開口8aを備えたピン8に引掛け片82を備えた筒状のクッション材80を嵌入した一例であり、前述の例に準ずる。尚、ピン8はクッション材80を付設しない簡単な例もあり得る。
【0060】
以上の構成において、その後傾及び/又は前傾について説明すると、図2−1におけるシートAが標準着座位置にある場合は、ピン8、シートバックフレームA3の軸2及び/又はリンク7の軸72(本体B1に突設した形状)は、シートAの水平面に対して略100度から略120度の仮想傾斜線D上にある。この状態から、ロック機構Bを解除し、体重等の外的要因で矢印「イ」の方向にシートバックフレームA3が軸2を支点として後傾することで、一方のフック片5が時計方向(図示する)に移動する。この移動でスプリング4の一端40が緊張される(圧縮される)。また同時にリンク7が時計方向に可動するとともに、このリンク7に設けた外歯部70も同様に時計方向に可動する。この外歯部70の時計方向への可動で、この外歯部70に噛合する伝達媒体3が反時計方向(図示する)に可動する。この伝達媒体3の反時計方向の回転で、他方のフック片31が反時計方向に移動する。この移動(緊張する対峙方向への移動)でスプリング4の他端41が緊張される。即ち、この一方のフック片5と他方のフック片31の対峙する方向への移動を介してスプリング4が緊張する対峙方向に移動して緊張され、僅かな時間で、かつ速やかな緊締が図れる。この緊締が図れ、かつシートバックA2が最終の後傾になった状態(フルフラットの状態)を図2−2で示す。そして、ロック機構Bを解除し、矢印「ロ」の方向にシートバックフレームA3が軸2を支点としてリターンすることで、一方のフック片5が反時計方向に移動する。この移動でスプリング4の一端40が弛緩される(圧縮開放に向かう)。また同時にリンク7が反時計方向に可動するとともに、このリンク7に設けた外歯部70も同様に反時計方向に可動する。この外歯部70の反時計方向への可動で、この外歯部70に噛合する伝達媒体3が時計方向に可動する。この伝達媒体3の時計方向の回転で、他方のフック片31が時計方向に移動する。この移動(弛緩する対峙方向への移動)でスプリング4の他端41が弛緩される。即ち、この一方のフック片5と他方のフック片31の対峙する方向への移動を介してスプリング4が弛緩する対峙方向に移動して弛緩され、僅かな時間で、かつ速やかな弛緩と、このシートバックA2のリターンが図れ、かつシートバックA2が標準着座位置に戻った状態が最初の図2−1である。その後、さらにロック機構Bを解除したままで、前記リターンの力を利用すると、矢印「ハ」の方向にシートバックフレームA3が軸2を支点として前傾し、一方のフック片5が反時計方向に惰性で移動するとともに、このスプリング4の緊締力は作用しない。この移動でスプリング4の一端40が惰性で移動する。また同時にリンク7が反時計方向に惰性で可動するとともに、このリンク7に設けた外歯部70も同様に反時計方向に惰性で可動する。この外歯部70の反時計方向への惰性による可動で、この外歯部70に噛合する伝達媒体3が時計方向に緩やかに可動する。この伝達媒体3の時計方向の緩やかな回転で、他方のフック片31が時計方向に惰性で移動する。この移動でスプリング4の他端41が惰性で移動するとともに、このスプリング4の緊締力は作用しない。即ち、この一方のフック片5と他方のフック片31の対峙する方向への惰性による移動を介してスプリング4が対峙方向に緩やかな反力を介して弛緩されるが、人に衝撃を与えるほどの反力はない。従って、シートバックA2の緩やかで確実な折畳み及び/又は起立等が図れる。これにより、各種の衝撃をなくし得ること、又はこの衝撃に基づく、前述の弊害解消が図れること等の特徴を有する。このリターンが図れ、かつシートバックA2が前傾の状態となったのが図2−3である。
【0061】
また図3−1は図2−1に示したX−Xにおける要部の一部欠截の断面図であって、本体B1にケーシング本体100を溶接で一体的に組付ける構成の好ましい一例を示している。そして、図3−2〜図3−4−2に同様にカシメ又は工具による押し潰し、また振動等の衝撃を介して一体的に組付ける構成の要部が示されている。この図3−2は突起をカシメで潰した断面図、図3−3は深絞りをローリングカシメ等の手段で潰した断面図、また図3−4−1と図3−4−2は突起筒部を工具で潰した断面図をそれぞれ示している。何れも一例であり限定されないこと、工具でのワンタッチ固止方法及び/又はロボットでの取付け方法が望ましい。勿論、人手でも可能である(他の構成も同じ)。
【0062】
次に図4−1〜図4−3は、スプリング4の好ましい一例であり、このスプリング4に剛性を付与すること、又は接触面積を少なくして、摩擦の軽減化と、スムーズな動きを保証すること等を意図する。図中42は長手方向の凸条、43は同凹条を示す。このスプリング4の特殊な断面形状で、フリクションの増加等の調整と、重畳時の摩擦抵抗、接触磨耗等の軽減化を図る。また他の各図に示した、通常の帯状のスプリング4も採用可能である。
【0063】
また図5は、第一の実施例に示した構成の他の構成であって、この例は、伝達媒体3とリンク7の接合箇所に適合マーク12を刻設し、この適合マーク12を適宜組合せることで、例えば、荷重調整用又は組付けの容易化、又は使用の簡便化等を図る構成であり、必要により採用される。
【0064】
さらに図6は、第一の実施例に示した構成のさらに他の構成であって、この例は、リンク7に複数のピン8を設ける構成であり、このリンク7に設けた長孔71との関係を利用し、このリンク7の可動距離を調整することで、例えば、荷重調整用又は機敏な可動等を図る構成であり、必要により採用される。
【0065】
図7−1〜図7−4は、ロック機構Bの本体B1に設けた複数の係止帯部B2に、ケーシング1を着脱自在に設ける他の例を示しており、後付け方式と、既設のロック機構Bへの取付け、又は選択の範囲の拡充等を意図する。そして図7−1は、ロック機構Bの本体B1に設けた複数の係止帯部B2に、ケーシング本体100に設けた複数の係止挿入片102を介して本発明のシートリクライニング装置を組付けた状態を示しており、また図7−2は、ロック機構Bの本体B1に設けた本発明のシートリクライニング装置を組付ける前の分解した状態を示している。そして、図7−3は、少なくとも三個(他の例も同じ)の係止帯部B2に、三個の係止挿入片102を圧入する状態を示した拡大横断面図であって、ワンタッチ操作及び/又はロボット操作を可能とした構成の一例を示した。また図7−4は、この支持片101の一例を示した断面図であり、プレス成形の好ましい構成の一例であり、またワンタッチ操作及び/又はロボット操作で組付け可能とした構成の一例を示した。勿論、このケーシング本体100のロック機構Bの本体B1への取付けは一例であり限定されない。
【0066】
図8−1〜図8−3は、本発明の第二の実施例を示したリンクの長短を利用し、荷重調整を図る好ましい一例を示した要部の側面模式図であって、その基本的な構成は、前述の第一の実施例に準ずるので、その相違点のみ説明する。この例は、この荷重調整を微調整可能とする一例であり、即ち、リンク7を、外歯部70及び/又は調整用の曲折した連結片74を有するリンク基端部7cと、リンク基端部7cに軸72及び/又はカラー、スリーブ等の部材7eを介して重畳されるリンク本体支持部7d及び/又はこのリンク本体支持部7dより曲折した連結片75と、連結片74、75間を連結する調整用の螺部を備えた一部に螺子を備えた止め具76及び/又はスプリング77で構成し、連結片74、75間で形成される間隔Hを調整可能とする。この間隔Hを狭広可能とし、リンク7の外歯部70と、伝達媒体3の歯部30との螺合調整でスプリング4の緊張及び/又は弛緩を図る。このスプリング4の緊張及び/又は弛緩を介してシートバックフレームA3の荷重調整が図れること、この調整をワンタッチで行えること、またこの調整を微妙に行えること等の特徴がある。そして、同じ形状、重量のシートバックA2及び/又はヘッドレスト等であってもリクライニング時のフリクションのバラツキを微調整できること、また他の形状、重量のシートバックA2及び/又はヘッドレスト等であっても微調整可能であり、極めて有益で、また多段の(微)調整が可能となり重宝することと、部品点数の軽減化、組付けの容易化、低コスト化等にも寄与できる実益がある。前述の如く、止め具76は一部に螺子を備えていることから、この螺子の長さの範囲内で、間隔Hを狭広し、微調整可能である。そして、止め具76は、螺子嵌合方式を採用することから、この止め具76の螺入螺戻で微調整は可能であり、スプリング77を省略できる。そして、前述の如く、カラー、スリーブ等の部材7e等を介してリンク基端部7c及び/又はこのリンク本体支持部7dを重畳して設けることで、可動の確実性と、ガタ付き及び/又はガタ音・磨耗等の回避と、精緻な組付けを図る。尚、図8−2は図8−1に示した要部のY−Yにおける拡大断面図である。
【0067】
また図9−1は、本発明の第三の実施例を示したシートバックフレームとリンク機構及び/又はスプリングとの関係を説明するシートが標準着座位置の角度である要部の側面模式図であり、その基本的な構成は、前述の第一の実施例に準ずるので、その相違点のみ説明する。この例では、前述の伝達媒体3に二股形状の突起付き凹部位32a(凸部)を備えた係止部32を設けた構成であり、これに対応してリンク7(図示の如く、軸72の位置を近接し、その可動ストロークを大きくするのが望ましい。尚、他の例で同じ場合もあり得る)に突起73a−1付き凸部位73a(凹部)を備えた係止部73が設けられている。そして、リンク7が前述の例と同様に可動した場合に、係止部32と係止部73の連繋でスプリング4の緊張及び/又は弛緩を図る構成であり、その動作と機能は前述の第一の実施例に準ずる。
【0068】
尚、図9−2は図9−1の変更例であり、二股形状の突起付き凹部位32a(凸部)を備えた係止部32を、単独形状の突起32a−1付き凸部位32a−2(凸部)を備えた係止部32とした例であり、これに対応してリンク7に凸部位73a(凹部)を備えた係止部73が設けられている。その他は前述の例に準ずる。
【0069】
また図9−3は、本発明の第四の実施例を示したシートバックフレームとリンク機構及び/又はスプリングとの関係を説明するシートが標準着座位置の角度である要部の側面模式図であり、その基本的な構成は、前述の第一の実施例に準ずるので、その相違点のみ説明する。この例では、前述の伝達媒体3に長孔32bを備えた係止部32を設けた構成であり、これに対応してリンク7に長孔73bを備えた係止部73が設けられている。そして、この例では、長孔32bと長孔73bの連繋関係を連結ピン11で確保する構成である。従って、この連繋関係を介してリンク7が前述の例と同様に可動した場合に、係止部32と係止部73の連繋でスプリング4の緊張及び/又は弛緩を図る構成であり、その動作と機能は前述の第一の実施例に準ずる。
【0070】
そして、図10−1と図10−2は、前記スプリング4の緊張及び/又は弛緩、換言すると、シートバックA2の荷重調整を示している。
【0071】
例えば、図10−1は、第一・第四の実施例では、次のような条件の一つか、又は複数の組合せ機構で構成される。
【0072】
(1) リンク7の長さ及び/又はピン8の位置
(2) リンク7の長孔71の長さ及び/又は角度
(3) 伝達媒体3・リンク7の外歯部70のピッチ・大小・形状及び/又は径
(4) 伝達媒体3の軸2の軸心とリンク7の軸72の軸心の距離
(5) スプリング4の一端40及び/又は他端41の係止位置及び/又は距離
また図10−2は、第二・第三の実施例では、次のような条件の一つか、又は複数の組合せ機構で構成される。
【0073】
(1) リンク7の長さ及び/又はピン8の位置
(2) リンク7の長孔71の長さ及び/又は角度
(3) 伝達媒体3・リンク7の係止部32・73の大小・形状及び/又は長孔32b・73bの長さ
(4) リンク機構のリンクの長さ及び/又は角度
(5) スプリング4の一端40及び/又は他端41の係止位置及び/又は距離
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1はシートのリクライニング装置に本発明を採用した縮尺模式図
【図2−1】図2−1は、本発明の第一の実施例を示した模式図であって、シートバックフレームとリンク機構及び/又はスプリングとの関係を説明するシートが標準着座位置の角度である側面模式図
【図2−2】図2−2は図2−1の後傾状態の側面模式図
【図2−3】図2−3は図2−1の前傾状態の側面模式図
【図2−4−1】図2−4−1は図2−1に示したピンとリンクとの関係であって、第一の実施例を始めとして、第二〜第四の実施例等の各実施例において採用される好ましい例であり、深絞りピンに筒形状のクッション材を囲繞した要部の拡大断面図
【図2−4−2】図2−4−2は図2−1に示したピンとリンクとの関係であって、第一の実施例を始めとして、第二〜第四の実施例等の各実施例において採用される好ましい例であり、深絞りピンに鍔付き筒形状のクッション材を被嵌した要部の拡大断面図
【図2−4−3】図2−4−3は図2−1に示したピンとリンクとの関係であって、第一の実施例を始めとして、第二〜第四の実施例等の各実施例において採用される好ましい例であり、内鍔付き開口を備えたピンに引掛け片を備えた筒状のクッション材を嵌入した要部の拡大断面図
【図3−1】図3−1は図2−1に示したX−Xにおける要部の一部欠截の断面図であって、本体にケーシング本体を溶接で一体的に組付ける構成の好ましい一例を示した全体の断面模式図
【図3−2】図3−2は本体にケーシング本体を溶接で一体的に組付ける構成の好ましい一例を示したものであって、突起をカシメで潰した断面図
【図3−3】図3−3は本体にケーシング本体を溶接で一体的に組付ける構成の好ましい一例を示したものであって、深絞りをローリングカシメ等の手段で潰した断面図
【図3−4−1】図3−4−1は本体にケーシング本体を溶接で一体的に組付ける構成の好ましい一例を示したものであって、突起筒部を工具で潰す前の断面図
【図3−4−2】図3−4−2に示した突起筒部を工具で潰した断面図
【図4−1】図4−1はスプリングの好ましい一例を示した捲装状態を想定した模式図
【図4−2】図4−2は図4−1の要部の拡大断面図
【図4−3】図4−3は図4−1を展開して示した模式図
【図5】図5は第一の実施例の他の構成であって、伝達媒体とリンクの接合箇所に適合マークを刻設した構成例を説明する要部の模式図
【図6】図6は第一の実施例のさらに他の構成であって、リンクに複数のピンを設ける構成であり、このリンクに設けた長孔との関係を利用した構成例を説明する要部の模式図
【図7−1】図7−1は、ロック機構の本体に設けた複数の係止帯部に、ケーシングを着脱自在に設ける他の例を示しており、この複数の係止帯部に、ケーシング本体に設けた複数の係止挿入片を介して本発明のシートリクライニング装置を組付けた状態を示した全体の断面模式図
【図7−2】図7−2は、ロック機構の本体に設けた本発明のシートリクライニング装置を組付ける前の分解した状態を示した全体の断面模式図
【図7−3】図7−3は、少なくとも三個の係止帯部に、三個の係止挿入片を圧入する状態を示した拡大横断面図
【図7−4】図7−4は、この支持片の一例を示した断面図
【図8−1】図8−1は、本発明の第二の実施例を示したリンクの長短を利用し、荷重調整を図る好ましい一例を示した要部の側面模式図
【図8−2】図8−2は図8−1に示した要部のY−Yにおける拡大断面図
【図8−3】図8−3は図8−1に示した第二の実施例を組付けた全体の断面模式図
【図9−1】図9−1は、本発明の第三の実施例を示したシートバックフレームとリンク機構及び/又はスプリングとの関係を説明するシートが標準着座位置の角度である要部の側面模式図
【図9−2】図9−1の変更例を示した要部の側面模式図
【図9−3】図9−3は本発明の第四の実施例を示したシートバックフレームとリンク機構及び/又はスプリングとの関係を説明するシートが標準着座位置の角度である要部の側面模式図
【図10−1】図10−1はシートバックの荷重調整を説明する図表
【図10−2】図10−2はシートバックの荷重調整を説明する図表
【図11】図11は前述の各実施例の組合せパターンを示し、第一案から第十案が考えられるので、一例を説明した図表
【符号の説明】
【0075】
A シート
A1 シートクッション
A2 シートバック
A3 シートバックフレーム
B ロック機構
B1 本体
B2 係止帯部
C 操作ハンドル
D 仮想傾斜線
1 ケーシング
100 ケーシング本体
101 支持片
102 係止挿入片
2 軸
3 伝達媒体
30 歯部
31 他方のフック片
32 係止部
32a 凹部位
32a−1 突起
32a−2 凸部位
32b 長孔
4 スプリング
40 一端
41 他端
42 凸条
43 凹条
5 一方のフック片
7 リンク
7a 一端
7b 他端
7c リンク基端部
7d リンク本体支持部
7e カラー、スリーブ等の部材
70 外歯部
71 長孔
72 軸
73 係止部
73a 凸部位
73a−1 突起
73b 長孔
74 連結片
75 連結片
76 止め具
77 スプリング
8 ピン
8a 内鍔付き開口
80 クッション材
81 鍔付き筒形状
82 引掛け片
10 止め具
11 連結ピン
12 適合マーク
H 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リクライニング機構のロック、アンロックを司るロック機構と、シートバックフレームに一端を、またリクライニングのケーシングに他端をそれぞれ固止したスプリングを有し、このスプリングを前記一端及び/又は他端の動きで規制し、シートバックが後倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動し、このスプリングを弛緩することを特徴としたシートリクライニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の後倒と前倒の境が、シートバックの略100度から略120度にあって、前記シートバックフレームが標準着座位置の角度であることを特徴としたシートリクライニング装置。
【請求項3】
請求項1に記載の「前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成が、前記スプリングの一端をシートバックフレームに突設した一方のフック片に固止し、またこのスプリングの他端を前記ロック機構のケーシングに軸支した歯部を有する伝達媒体に設けた他方のフック片に係止し、この伝達媒体の歯部に噛合する外歯部を有する前記シートバックフレームのピンに遊嵌したリンクを有することを特徴としたシートリクライニング装置。
【請求項4】
請求項3に記載のリンクは、前記スプリングとの衝突を避けるためにその一部に曲面部位を形成することを特徴としたシートリクライニング装置。
【請求項5】
請求項1に記載の「前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成を、下記の条件で変更可能としたことを特徴としたシートリクライニング装置であって、
その条件は、下記の一つか、又は複数の組合せ機構で構成される。
(1) リンクの長さ及び/又はピンの位置
(2) リンクの長孔の長さ及び/又は角度
(3) 伝達媒体・リンクの外歯部のピッチ・大小・形状及び/又は径
(4) 伝達媒体の軸心とリンクの軸心の距離
(5) スプリングの一端及び/又は他端の係止位置及び/又は距離
【請求項6】
請求項1に記載の「前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成が、前記スプリングの一端をシートバックフレームに突設した一方のフック片に固止し、またこのスプリングの他端を前記ロック機構のケーシングに設けた係止部を備えた伝達媒体に係止し、この係止部に係止する係止部を備えた前記シートバックフレームのピンに遊嵌したリンクを有することを特徴としたシートリクライニング装置。
【請求項7】
請求項6に記載の係止部を、ピンを備えたリンク機構で構成することを特徴としたシートリクライニング装置。
【請求項8】
請求項6に記載の「前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成を、下記の条件で変更可能としたことを特徴とした構成であり、
その条件は、下記の一つか、又は複数の組合せ機構で構成される。
(1) リンクの長さ及び/又はピンの位置
(2) リンクの長孔の長さ及び/又は角度
(3) 伝達媒体・リンクの係止部の大小・形状及び/又は長孔の長さ
(4) リンク機構のリンクの長さ及び/又は角度
(5) スプリングの一端及び/又は他端の係止位置及び/又は距離
【請求項9】
請求項1又は請求項6に記載の「前記スプリングの一端及び/又は他端を緊張する対峙方向に移動し、このスプリングを緊張し、また前記シートバックが前倒する時に、前記スプリングの一端及び/又は他端を弛緩する対峙方向に移動」する構成をケーシングで囲繞することを特徴としたシートリクライニング装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項6に記載のシートバックフレーム、前記リンク及び/又は前記ピンの軸心が、前記シートの標準着座位置の角度上にあることを特徴としたシートリクライニング装置。
【請求項11】
請求項3に記載の伝達媒体と、前記リンクの外歯部との間に適合マークを付設することを特徴としたシートリクライニング装置。
【請求項12】
請求項3に記載のリンクを、外歯部及び/又は調整用の連結片を有するリンク基端部と、このリンク基端部に重畳されるリンク本体支持部及び/又は連結片とで構成し、この連結片間を連結する調整用の止め具及び/又はスプリングを設け、前記連結片間で形成される間隔を調整可能とすることを特徴としたシートリクライニング装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4−1】
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【図2−4−2】
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【図2−4−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4−1】
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【図3−4−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−143603(P2007−143603A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338605(P2005−338605)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(593141090)日本テクニカ株式会社 (45)
【Fターム(参考)】