説明

シート収納装置、及び画像形成装置

【課題】シートの波打ちをより適切に抑制することが可能なシート収納装置を提供すること。
【解決手段】複写機の装置本体に搬送するシートを収納する給紙カセット10と、収納されたシートのうち最上面に配置されているシートの先端部分の波打ちを検知する赤外線反射位置検知センサ24、収納されたシートを加熱するヒータ25と、赤外線反射位置検知センサ24の検知結果から波打ちが発生していると判断した場合に、ヒータ25を動作させる制御部26とを備え、シート収納装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いるシート収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、画像形成装置では、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像が、現像器から供給されるトナーによって現像される。この動作とともに、シート収納装置に収納されている紙が搬送され、現像されたトナー画像が紙に転写される。そして、定着器においてトナー画像が紙に定着された後、紙は装置外へと排出される。
【0003】
このような画像形成装置では、設置されている場所によって、給紙カセットに収納されている紙が吸湿し、紙の先端が波打つ場合がある。この波打った紙に画像を形成すると、画像にしわが発生するという問題が生じる。
【0004】
そのため、シート収納装置にヒータなどの加熱手段を設けて、紙の吸湿を抑制する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この特許文献1に示すシート収納装置では、紙(シート)の吸湿度を検知する吸湿度検知手段が設けられており、吸湿度検知手段による吸湿度の高さに応じて、加熱手段に流す電流を段階的に増大して加熱手段を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11―255361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、紙は、その端部から吸湿が始まり、端部に波打ちが発生するが、吸湿が全体に行き渡ると波打ちがなくなる。又、このような波打ちが発生する温度は、紙の保管状態や紙の種類によっても異なる。
【0008】
ところが、特許文献1に示すシート収納装置では、予め決められた吸湿度を基準にして加熱手段の動作が判断されているため、実際に波打ちが発生していないにもかかわらず加熱が行われる場合や、波打ちが発生しているにもかかわらず加熱が行われない場合等があった。
【0009】
本発明は、従来のシート収納装置の課題を考慮し、シートの波打ちをより適切に低減することが可能なシート収納装置及びそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
画像形成装置の装置本体に搬送するシートを収納するシート収納部と、
収納された前記シートのうち最上面に配置されているシートの所定部分の波打ちを検知する波打ち検知部と、
収納された前記シートを加熱する加熱部と、
前記波打ち検知部の検知結果から波打ちが発生していると判断した場合に、前記加熱部を動作させる制御部とを備え、
前記所定部分とは、前記シートの給紙方向の先端部、後端部、又は側端部である、シート収納装置である。
【0011】
又、第2の本発明は、
前記波打ち検知部は、
前記最上面に配置されているシートの所定部分の変位を計測し、
前記制御部は、前記変位が所定量以上になった場合に、前記波打ちが発生していると判断し、前記加熱部を動作させる、第1の本発明のシート収納装置である。
【0012】
又、第3の本発明は、
前記波打ち検知部は、
赤外線を出射する赤外線出射部と、
前記シートの先端部分で反射された前記赤外線を受光する受光部とを備え、
前記赤外線の受光位置の変化に基づいて、前記変位を検知する、第2の本発明のシート収納装置である。
【0013】
又、第4の本発明は、
前記波打ち検知部は、カメラであって、
前記制御部は、前記カメラによって撮影された画像中に縞模様が検知された場合に、前記波打ちが発生していると判断し、前記加熱部を動作させる、第1の本発明のシート収納装置である。
【0014】
又、第5の本発明は、
前記加熱部は、電流を流すことにより発熱する抵抗発熱体である、第1〜4のいずれかの本発明のシート収納装置である。
【0015】
又、第6の本発明は、
第1〜5のいずれかの本発明のシート収納部と、
前記シート収納部から搬送される前記シートに、現像剤画像を形成する画像形成ユニットと、
前記現像剤画像を前記シートに定着させる定着ユニットとを備えた、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シートの波打ちをより適切に低減することが可能なシート収納装置、及びそれを用いた画像形成装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における複写機の正面構成図
【図2】本発明にかかる実施の形態1における給紙カセットの平面図
【図3】本発明にかかる実施の形態1におけるシート収納装置の正面構成図
【図4】(a)本発明にかかる実施の形態1における赤外線反射位置検知センサと波打ちが発生していない紙の模式図、(b)本発明にかかる実施の形態1における赤外線反射位置検知センサと波打ちが発生した紙の模式図、
【図5】本発明にかかる実施の形態1における赤外線反射位置検知センサの構成を説明するための図
【図6】(a)(b)本発明にかかる実施の形態1におけるシート収納装置の変形例を説明するための図
【図7】本発明にかかる実施の形態2におけるシート収納装置の正面構成図
【図8】(a)波打ちが発生した紙の正面図、(b)波打ちが発生した紙の撮影画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の画像形成装置の一例としての複写機にかかる実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明にかかる実施の形態の複写機の正面図である。図1に示すように、本実施の形態の複写機は、装置本体100と、装置本体100の上部に設けられた原稿自動搬送ユニット110と、装置本体100の下部に設けられ、本発明のシートの一例である紙を収納する3種類のシート収納装置1、2、3とを備えている。原稿自動搬送ユニット110の下側には、読み取りガラス面、露光ランプ、レンズ、ミラー等により原稿の画像を読み取る原稿読み取りユニット120が設けられている。
【0020】
又、シート収納装置1、2、3から供給された紙に、トナー画像を形成するための、画像形成ユニット130が装置本体100の中央上部に設けられている。画像形成ユニット130は、本発明の現像剤画像の一例であるトナー画像が形成される感光体ドラム131と、感光体ドラム131の表面を帯電させる帯電ユニット132と、帯電された感光体ドラム131の表面を露光することにより静電潜像を形成する露光ユニット133と、静電潜像に基づいてトナー画像を形成する現像ユニット134と、トナー画像を紙に転写する転写ユニット135と、感光体ドラム131の表面から残留トナーを取り除くためのクリーニングユニット136と、感光体ドラム131の表面を除電する除電ユニット137が設けられている。
【0021】
又、画像形成ユニット130の下流側には、紙にトナー画像を定着させるための定着ユニット140と、トナー画像が定着された紙が排出される排出トレイ150が設けられている。
【0022】
又、紙の両面にトナー画像を形成するために、定着ユニット140と排出トレイ150の間から再び画像形成ユニット130へと用紙を搬送するための両面搬送ユニット160が設けられている。なお、図1において、両面搬送ユニット160は点線で示されている。
【0023】
図1に示すように、装置本体100の最下部に、大容量のシート収納装置2、3が配置されており、その上部に2つのシート収納装置1が配置されている。又、シート収納装置1、2、3からそれぞれ送り出された紙が搬送される搬送路170が、図1において装置本体100の右端に、上下方向に形成されている。この搬送路170は、装置本体100の右端上部から、感光体ドラム131と転写ユニット135の間、及び定着ユニット140を経て左側面の排出トレイ150まで形成されている。
【0024】
又、シート収納装置1には、紙を収納する給紙カセット10が設けられている。尚、シート収納装置2、3にも同様に給紙カセット40、50が設けられている。
【0025】
図2は、給紙カセット10の平面図である。尚、図2における下方が複写機の正面側10aであり、給紙カセット10は正面側に引き出し可能であり、その引き出す方向が矢印Aで示されている。又、矢印Bが、紙が給紙カセット10から送り出される方向を示している。又、図3は、シート収納装置1周辺の正面図である。
【0026】
図1及び図3に示すように、シート収納装置1からのシートの搬送方向B側の端10bから搬送路170まで、紙を送り出すための送出路27が設けられている。又、端10b近傍の上方であって、給紙カセット10の上方には、給紙カセット10に収納されている紙を装置本体100に送り出す前送りローラ20が設けられている。搬送方向Bを基準として、前送りローラ20の下流側の送出路27には、2枚以上の用紙が重なって送り出された場合に、1枚を分離するための捌きローラ対21が設けられている。この捌きローラ対21は、上側に配置されているフィードローラ22と、その下側に配置されているリタードローラ23とを有している。フィードローラ22及びリタードローラ23には駆動部(図示せず)が設けられており、リタードローラ23は、トルクリミッタを介して駆動部に連結されている。リタードローラ23は、所定以上のトルクがかかった場合、搬送方向に紙を送るように時計回り(矢印G方向)に回転し、所定よりも小さいトルクでは、逆搬送方向に紙を送るように反時計回り(矢印J方向)に回転する。
【0027】
又、給紙カセット10は、収納されている紙Pを載置するリフト板11を備えている。このリフト板11が、その下側に配置されている作動板12によって搬送方向Bと反対側の端を軸として回動する。リフト板11の搬送方向B側の端が持ち上げられることにより、紙Pが前送りローラ20に当接する。尚、作動板12も、搬送方向Bと反対側の端を軸として回動する構成であり、この軸に駆動手段(図示せず)が連結されている。また、図中、前送りローラ20に当接している紙PをP1とする。
【0028】
図1〜図3に示すように、給紙カセット10には、搬送方向Bに対して垂直な用紙の幅方向の両端位置を規制するために、2つのサイドフェンス13が設けられている。又、搬送方向Bと反対方向の紙の端である後端位置を規制するための後端フェンス14が設けられている。サイドフェンス13は、搬送方向Bと垂直な方向(矢印C参照)に移動可能に構成されており、後端フェンス14は、搬送方向Bと並行な方向(矢印D参照)に移動可能に構成されている。このサイドフェンス13と後端フェンス14の位置によって、給紙カセット10に収納されている紙のサイズが検知される。
【0029】
又、給紙カセット10の下側には、給紙カセット10に収納されている紙を温めるためにヒータ25が設けられている。このヒータ25は、電流を流すことにより発熱する抵抗発熱体である。
【0030】
又、紙Pの搬送方向を基準として、前送りローラ20の下流側であって、紙Pの先端部分PFの上方には、紙の波打ちを検知するための赤外線反射位置検知センサ24が設けられている。また、この赤外線反射位置検知センサ24によって検出された変位量に基づいて、ヒータ25に流す電流を制御する制御部26が設けられている。尚、制御部26の動作について、詳しくは後述する。
【0031】
次に、紙の波打ち及び赤外線反射位置検知センサ24の構成について説明する。
【0032】
図4(a)は、給紙カセット10に収納されている紙束及び赤外線反射位置検知センサ24を、図3における矢印A方向から見た模式図である。このように給紙カセット10に収納されている紙は、設置されている環境によって、その周縁から吸湿し、波打ちが発生する。図4(b)は、図4(a)において、紙の先端に波打ちが発生した状態を示す模式図である。
【0033】
図5は、赤外線反射位置検知センサ24の構成図である。図5に示すように、赤外線反射位置検知センサ24には、赤外線を出射する出射部241と、対象物300で反射した赤外線を受光する受光部242が設けられている。この受光部242は、位置受光素子(Position Sensitive Device)であり、一次元方向における受光位置を検出することが出来る。位置受光素子は、その両端に出力が設けられており、受光した光の位置が異なると、2つの出力バランスが変化するため、受光位置を特定することが出来る。
【0034】
図5に示すように、波打ちが発生していない紙P1が実線で示されている。この場合、紙P1に出射部241から赤外線を照射すると、受光部242は、位置aで反射した赤外線を受光することになる。
【0035】
一方、波打ちが発生した状態の紙P1´が、一点鎖線で示されており、この場合、受光部242は、位置aよりも図中右方向に移動した位置bで、反射赤外線を受光することになる。更に、別の形状の波打ちが発生した状態の紙P1´´が、点線で図示されている。この場合、受光部242は、位置bよりも更に右側の位置cで、反射赤外線を受光することになる。このように波打ちが発生すると、受光位置が位置aから変化することになる。
【0036】
ここで、波打ちが発生していない状態の紙に赤外線を照射した場合の受光位置aを中心としてhの幅の許容領域が設定され、この許容領域内の位置で反射赤外線が受光された場合には、制御部26は、波打ちが発生していないとして判定する。一方、許容領域外の位置で、反射赤外線が受光された場合には、制御部26は、波打ちが発生しているとして判定する。この許容領域としては、波打ちが発生していないとみなされる紙の変位量に対応した領域に設定することが出来る。又、波打ちが発生していない紙に赤外線を照射した場合の誤差範囲に設定してもよい。
【0037】
尚、シート収納装置2、3は、紙を大量に収納可能な大容量用の給紙カセットであり、用紙サイズが予め設定されており、給紙カセット10と同様に前送りローラ30及び捌きローラ対31が設けられている。このような大容量のシート収納装置2、3には、上記図3に示すようなリフト板11は設けられておらず、紙を水平に保った状態で持ち上げ、前送りローラ20に当接させるようなリフト板が設けられている。又、シート収納装置1と同様に、シート収納装置2、3にもヒータ及び赤外線反射位置検知センサが設けられている。
【0038】
尚、本発明のシート収納部の一例は、本実施の形態の給紙カセット10に相当し、本発明の波打ち検知部の一例は、赤外線反射位置検知センサ24に相当する。又、本発明の加熱部の一例は、本実施の形態のヒータ25に相当する。
【0039】
次に、本実施の形態の複写機の動作について説明する。
【0040】
はじめに、画像形成動作の概要について説明した後、紙の波打ちを検知する動作、及び波打ちを解消する動作について説明する。
【0041】
原稿読み取りユニット120によって読み取られた画像データに基づいて、帯電ユニット132によって一様に帯電された感光体ドラム131の表面が、露光ユニット133によって露光され、静電潜像が形成される。この静電潜像が、現像ユニット134から供給されるトナーによって現像される(図1参照)。
【0042】
上記動作と同時に、前送りローラ20及びフィードローラ22が回転駆動し、図3に示すように、前送りローラ20の回転(矢印E参照)により、前送りローラ20に当接している紙P1が送り出される。ここで、紙Pが通過していない状態では、リタードローラ23は、フィードローラ22との表面の摩擦力により、フィードローラ22の回転(矢印F)に合わせて紙を送り出す方向である矢印G方向に回転している。
【0043】
そして、前送りローラ20によって紙Pが一枚だけ捌きローラ対21に挿入された場合には、紙Pを介したフィードローラ22の回転力によってリタードローラ23も紙を送り出す方向である矢印G方向に回転し、紙は搬送路170へと送り出される。
【0044】
一方、前送りローラ20によって複数枚の紙Pが重なって捌きローラ対21に挿入された場合、紙P同士の滑りによって、リタードローラ23にフィードローラ22の回転力が伝わりにくくなり、トルクが小さくなってリタードローラ23は、逆搬送する方向に回転(矢印J方向)する。この回転により、複数枚の紙Pのうち、最も上に位置する、フィードローラ22と接している紙以外の紙は給紙カセット10側に戻され、重送が防止される。
【0045】
このようにして、最上部の紙P1が一枚だけ搬送路170を搬送される。搬送路170中を搬送される紙は、レジストローラ171で一旦停止される。そして、感光体ドラム131上のトナー画像が形成された部分の移動とタイミングを合わせて、紙P1はレジストローラ171から転写ユニット135へと送り出され、トナー画像が転写される。続いて、紙P1は定着ユニット140に搬送され、トナー画像が定着されて排出トレイ150上へ排出される。
【0046】
次に、波打ちを検知する動作について説明する。
【0047】
複写機の電源オン後の立ち上げ終了後、給紙カセット10に紙を収納した後、又は画像形成動作が終了した後、画像形成動作が行われず待機状態に入ると、赤外線反射位置検知センサ24によって最上部の紙P1の位置が計測される。すなわち、図3に示す最上部の紙P1の先端部分に、出射部241から赤外線が照射され、紙P1で反射した赤外線が受光部242で受光される。この反射赤外線を受光した位置を中心として、所定幅の許容領域hが設定され、制御部26のメモリに記憶される。この反射赤外線を受光した位置を、例えば、図5に示す位置aとする。
【0048】
そして、待機状態の間、所定時間毎、例えば1時間毎に、最上部の紙P1の先端部分に出射部241から赤外線が照射され、反射赤外線を受光した位置が制御部26に送られる。この受光した位置を、例えば、図5で示す位置cとする。制御部26は、この位置cの情報が送られてくると、位置cが許容領域h内の位置であるか否かを判定する。
【0049】
そして、受光位置が位置cの場合、制御部26は、受光位置が、許容領域h外の位置であると判定し、紙に波打ちが発生していると判定し、紙の除湿を行うためにヒータ25への通電を開始する。この通電によって加熱が開始される。一方、仮に、受光位置が許容領域h内に位置している場合には、ヒータ25への通電は行われず、所定時間毎に、紙P1の先端部分の変位の検出が行われる。
【0050】
尚、加熱時間としては、紙の大きさがA3サイズ、ヒータ25が15Wの場合、例えば、以下の表1のように設定することが出来る。下記表の変位量とは、最上部の紙面の変位量のことであり、位置aからの受光位置の移動量から換算して求めた値である。
【0051】
【表1】

【0052】
この表1によると、紙P1の表面の変位量が、0.5mm以上、1.0mm未満であり、且つ紙束の厚みが10mmまでの場合、ヒータ25によって1時間の間、加熱を実行することで、波打ちが十分に低減される。又、変位量が、1.0mm以上、1.5mm未満であり、且つ紙束の厚みが20mmよりも大きく30mm以下の場合は、ヒータ25によって4時間加熱を実行することによって波打ちが十分に低減される。この波打ちが十分に低減されるとは、紙の表面の変位量が、波打ちが発生しているみなされる変位量よりも小さくなることである。
【0053】
上記加熱動作を行っている間に、画像形成指令がある場合には、例えば、「画像にしわが発生する場合がある」旨の警告を行い、それに対してユーザが許可した場合には、画像形成動作を行うよう制御が行われる。このように制御を行うことによって、ユーザを待たす必要がないためユーザフレンドリーな仕様となる。尚、警告を行うことなく、画像形成動作を行うような制御が行われても良い。又、画像形成動作があった場合には、上記位置aを中心とした許容領域hはリセットされ、待機状態に入った時に再度許容領域が設定される。
【0054】
以上のように、本実施の形態1の複写機では、波打ちによるシートの変位量を計測して加熱するため、実際に波打ちが発生している時に限って加熱が実行されるため、適切に紙の波打ちを抑制することが出来る。
【0055】
又、従来技術のように、波打ちが発生していない時に加熱されることがないため、無駄な電力が消費されず、省エネルギー化を図ることが出来る。
【0056】
尚、本実施の形態1では、赤外線反射位置検知センサ24は紙の先端部分の中央上方に1つのみ配置されていたが、図6に示すように、紙の先端部分の中央上方に赤外線反射位置検知センサ24を設けた上に、更に、紙の先端部分の端上方に赤外線反射位置検知センサ24を設けてもよい。この場合、どちらか一方の赤外線反射位置検知センサ24による変位が閾値以上になった場合に、波打ちが発生していると判断され、ヒータ25による加熱が行われる。
【0057】
本実施の形態1のように赤外線反射位置検知センサ24が1つの場合、赤外線の照射される位置が、紙の波打ちの谷部分に相当すると、受光部242における位置の変化が大きくなく、閾値に達しない場合がある。対して、図6に示すように、中央と端の2箇所に赤外線反射位置検知センサ24a、24bを設ける構成とすることで、より確実に紙の波打ちを検出することが出来る。
【0058】
又、2つの赤外線反射位置検知センサ24a、24bにおける受光位置の変化から換算した紙の変位量について、平均値を求め、その平均値を下記(表2)の変化として加熱時間を設定することが出来る。
【0059】
【表2】

【0060】
又、平均値に限らず、2つの紙の変位量のうち大きい変位量を(表2)の変化として加熱時間を設定しても良い。
【0061】
更に、2箇所に限らず、複数の赤外線反射位置検知センサ24を紙の搬送方向と垂直な方向に連続配置してもよい。このような構成とすることにより、より確実に紙の波打ちの発生を検知することが可能となる。
【0062】
尚、本実施の形態1では、待機状態になる度に、最上部の紙の位置を計測して許容領域を設定しているが、リフト板11の上下等によって紙の先端部分の位置に生じる誤差が小さい場合には、固定した許容領域が用いられても良い。例えば、紙に波打ちが発生していないときの受光位置aが受光部242の長手方向中央になるように予め設定されていれば、受光部242の長手方向中央を、中心として許容領域hを固定して設定することが出来る。
【0063】
又、本実施の形態1では、紙の先端部分の上方に赤外線反射位置検知センサ24が設けられているが、吸湿による波打ちは、紙の端部分から発生するため、紙の後端部分又は側短部分に設けられていても良い。但し、紙を搬送する観点から考慮すると、紙の先端部分の波打ちを検知する方が、より好ましい。すなわち、紙の先端の波打ちが非常に大きい場合には、紙詰まりが発生する可能性があるとして紙の供給を停止するよう制御を行うことが出来るためである。
【0064】
又、本実施の形態1では、(表1)に示すように、紙面の変位量及び紙束の厚みから、加熱時間が設定されているが、このように予め定められた一定時間加熱を行うような制御でなくてもよい。例えば、ヒータ25による加熱を開始してから定期的に紙の先端部に赤外線を照射し、反射赤外線が許容領域h内に入ったら、加熱を停止するように制御が行われても良い。
【0065】
又、本実施の形態1では、紙に赤外線を照射しているが、赤外線に限らなくてもよく、例えば、レーザーを用いても良い。
【0066】
又、本実施の形態1では、受光部242として位置受光素子(Position Sensitive Device)を用いているが、フォトダイオードが複数配列されたCCD(Charge CoupledDevice)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semi-conductor)等を用いてもよい。この場合、複数配列されたフォトダイオードによって受光位置を特定することが出来る。
【0067】
又、本実施の形態1では、赤外線反射位置検知センサ24を用いて、受光部242における受光位置の変化を利用して、紙の変位を計測しているが、このような変位センサに限らなくても良く、例えば、超音波式の変位センサを用いても良い。超音波式の変位センサを用いる場合は、超音波の発信から受信までの時間を計測することによって対象物までの距離を検知することが出来るため、その距離の変化によって紙面の変位を計測することが出来る。更に、投光用の光ファイバと受光用の光ファイバを用いた構成の変位計を用いても良く、この変位計では、対象物の距離による受光量の変化により、対象物の変位が計測される。要するに、紙の変位を計測することが出来さえすれば、どのようなセンサを用いても良い。
【0068】
又、本実施の形態1では、待機状態において所定時間毎に波打ちの発生を検知していたが、待機状態だけでなく他の状態においても波打ちの発生を検知しても良い。この他の状態としては、待機状態が所定時間以上続いた場合にディスプレイ画面の電源をオフする等したスリープ状態(待機状態よりも省電力な状態)が挙げられる。又、複写機がサブスイッチとメインスイッチの2つのスイッチを備え、サブスイッチのみユーザがオフ可能な構成とし、サブスイッチがオフにされている状態において、定期的に波打ちの発生を検知し、波打ちを低減する動作を実行してもよい。
【0069】
(実施の形態2)
本実施の形態2の複写機は、実施の形態1と基本的な構成は同じであるが、紙の波打ちを検知する構成が異なる。そのため、本相違点を中心に説明する。尚、本実施の形態2において、実施の形態1と同じ又は相当する構成には、同じ符号が付されている。
【0070】
図7は、本実施の形態2のシート収納装置4の構成図である。本実施の形態2のシート収納装置4には、実施の形態1の赤外線反射位置検知センサ24の代わりに、ストロボ付きのカメラ34が設けられている。また、カメラ34によって撮影された画像に基づいて波打ちの有無を検知する制御部36が設けられている。
【0071】
図8(a)は、波打ちが発生している紙P1の側面図である。又、図8(b)は、波打ちが発生している紙P1の平面図である。図8(a)、(b)に示すように、紙の上方からストロボによって光を照射すると、波打ちの山部分Tと谷部分Rは明るくなり、山部分Tと谷部分Rの間の傾斜部分Sは暗くなるため、カメラ34によって撮影した画像には、縞模様が形成されることになる。この縞模様が発生している場合に、紙に波打ちが発生しているとして、ヒータ25による加熱が実行される。
【0072】
詳しく説明すると、複写機が待機状態であるときに、所定時間毎に、カメラ34によって紙が撮影される。撮影された画像は、デジタルデータとして制御部36に取り込まれ、画素毎の色の濃淡が数値化される。そして、撮影された画像内に、所定量以上の濃淡の差が生じている場合に、制御部36は、縞模様が発生していると判断し、波打ちの発生を検知する。また、誤検知を防ぐために、所定数以上の画素において濃淡の差が生じている場合に、波打ちが発生していると判断しても良い。
【0073】
以上のように、本実施の形態2においても、波打ちによる紙(シート)の発生を撮影した画像を解析することにより判断するので、実際に波打ちが発生している時に加熱が実行されるため、適切に紙の波打ちを低減することが出来る。
【0074】
尚、本実施の形態2では、紙の上方からストロボを照射しているが、斜め方向から照射してもよい。
【0075】
尚、上記実施の形態1、2では、本発明の画像形成装置としてモノクロの複写機を例に挙げたが、フルカラーの複写機であっても良く、モノクロ又はフルカラーのファクシミリ、プリンタ、複合機であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のシート収納装置は、シートの波打ちをより適切に低減することが可能な効果を有し、プリンタ、複写機、ファクシミリ、及び複合機等として有用である。
【符号の説明】
【0077】
1、2、3 シート収納装置
10 給紙カセット
11 リフト板
12 作動板
13 サイドフェンス
14 後端フェンス
20 前送りローラ
21 捌きローラ対
22 フィードローラ
23 リタードローラ
24 赤外線反射位置検知センサ
25 ヒータ
26、36 制御部
34 カメラ
100 装置本体
110 原稿自動搬送ユニット
120 原稿読み取りユニット
130 画像形成ユニット
140 定着ユニット
150 排出トレイ
160 両面搬送ユニット
170 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に搬送するシートを収納するシート収納部と、
収納された前記シートのうち最上面に配置されているシートの所定部分の波打ちを検知する波打ち検知部と、
収納された前記シートを加熱する加熱部と、
前記波打ち検知部の検知結果から波打ちが発生していると判断した場合に、前記加熱部を動作させる制御部とを備え、
前記所定部分とは、前記シートの給紙方向の先端部、後端部、又は側端部である、シート収納装置。
【請求項2】
前記波打ち検知部は、
前記最上面に配置されているシートの所定部分の変位を計測し、
前記制御部は、前記変位が所定量以上になった場合に、前記波打ちが発生していると判断し、前記加熱部を動作させる、請求項1記載のシート収納装置。
【請求項3】
前記波打ち検知部は、
赤外線を出射する赤外線出射部と、
前記シートの先端部分で反射された前記赤外線を受光する受光部とを備え、
前記赤外線の受光位置の変化に基づいて、前記変位を検知する、請求項2記載のシート収納装置。
【請求項4】
前記波打ち検知部は、カメラであって、
前記制御部は、前記カメラによって撮影された画像中に縞模様が検知された場合に、前記波打ちが発生していると判断し、前記加熱部を動作させる、請求項1記載のシート収納装置。
【請求項5】
前記加熱部は、電流を流すことにより発熱する抵抗発熱体である、請求項1〜4のいずれかに記載のシート収納装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のシート収納部と、
前記シート収納部から搬送される前記シートに、現像剤画像を形成する画像形成ユニットと、
前記現像剤画像を前記シートに定着させる定着ユニットとを備えた、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−269924(P2010−269924A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125204(P2009−125204)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】