説明

シート搬送装置及び画像処理装置

【課題】本発明の目的は、装置本体に対して開閉可能なドアの部品点数を削減し、装置の小型化・コストダウンを図ることができるシート搬送装置及び画像処理装置を提供する。
【解決手段】装置本体に開閉可能に設けられ、シートを案内する搬送面を持つ両面ドア53や、両面ドア53を閉じた状態で装置本体に係止可能なロック部材32など、を備えたシート搬送装置において、ロック部材32を装置本体側の両面ローラと対向するドア側の両面コロ15bの軸35の両端部に設けるとともに、ロック部材32は、両面コロ軸35を両面ローラ15aの方向に移動可能に案内する案内部32dを有し、両面コロ軸35は、ロック部材32を設ける軸方向両端部に、案内部32dに沿って移動可能に、且つ、両面コロ軸35に対するロック部材32の回転を規制するように案内部32dに係合する係合部35aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に開閉可能に設けられ、シートを案内する搬送面を持つ開閉部材を有するシート搬送装置、及びこのシート搬送装置を有する画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録紙などの記録対象のシートに画像を形成し、或いは、原稿などの読取対象のシートの画像を読み取る、複写機、プリンタ、ワードプロセッサ、ファクシミリ、或いはスキャナなどの画像処理装置が提案されている。
【0003】
図13〜図16を用いて、前述の画像処理装置としてのプリンタを例示して従来構成の説明を行う。図13は、従来の画像形成装置のドアの斜視図である。図14は、従来の画像形成装置のドアロック機構部の詳細平面図である。図15は、従来の画像形成装置のドア閉時を示す断面図である。図16は、従来の画像形成装置のドア開時を示す断面図である。
【0004】
図15及び図16に示すように、プリンタFは、片面に画像が形成された後、裏面に画像を形成するためシートPを再び画像形成部20に給送するための両面搬送路Rを備えている。このプリンタFは、シートを案内する搬送面を持つドア553を有している。ドア553は、プリンタ本体に対して回転軸553c周りに回転可能に設けられている。このドア553の内壁には搬送面をなすガイド553a,553bが設けられており、対向するプリンタ本体の両面ガイド52とにより前記両面搬送路Rの一部を構成している。
【0005】
さらに、この両面搬送路Rにはシートを挟持して搬送する両面ローラ対15a,15bが設けられている。この両面ローラ対のうち、一方の両面ローラ15aはプリンタ本体に取り付けられ、他方の両面コロ15bは前記ドア553の内壁に取り付けられている。
【0006】
これにより、シートの両面に画像を形成するべく両面搬送路Rに送られたシートが、両面搬送路Rにて紙詰まり(ジャム)した場合には、前記ドア553を開くことにより容易にジャム処理し得るようになっている。
【0007】
ここで、前記ドア553のロック機構について図13及び図14を用いて説明する。
【0008】
ドア553は、ロック部材保持軸553hを有し、ロック部材532を回転可能に保持している。ロック部材532は、フック部532b、バネ掛け部532cを有している。そして、ロック部材付勢バネ533が、ドア553のバネ掛け部553eとロック部材532のバネ掛け部532cとで取り付けられ、ロック部材532を回転方向でドア553の突き当て部553fに突き当てて、ロック部材532の回転方向の姿勢を決めている。
【0009】
また、図15に示すように、装置本体はロック軸534を有しており、ロック軸534とロック部材532のフック部532bとを係止することでドア553とプリンタ本体とをロック可能にしている。
【0010】
上記従来の構成において、ドア553はプリンタの外装カバーを兼ねているため、厚く形成したり補強用のリブを増加させると、外観不良が生じてしまう。よって、ドア553は高剛性に形成し難く、撓みやすい傾向にある。
【0011】
ドア553が撓みやすいため、ユーザーがドア553の軸方向のいずれか一方を保持して閉じると、保持していた側のロック部材532は、ロック部材付勢バネ533の付勢力に打ち勝って回転し、フック部532bをロック軸534に係止することができる。
【0012】
しかし、保持していない側のロック部材532は、ドアが撓んでしまうことでロック部材付勢バネ533の付勢力に打ち勝てず、フック部532bをロック軸534に係止できないことがある。すなわち、ロック部材532の先端とロック軸534とが突き当たり、ロック部材532のフック部532bがロック軸534に係止されいない状態のままとなることが起き得る。
【0013】
このように、上記従来の構成では、ユーザーの取扱いによっては、ドア553を閉じる際に、ドア553の軸方向両側にあるロック部材532のうち、一方のロック部材532のみがロックされる、片閉まりが生じる問題がある。
【0014】
この片閉まりの状態で両面印刷を行うと、両面搬送路Rに案内されたシートPは、片閉まりのドア553がなす搬送面により斜め搬送されてしまい、正常に2面目のプリントを行うことができない状況(ジャム)が発生してしまう。
【0015】
この問題を解消するものとして、例えば、特許文献1には、軸方向両側のロック部材が取り付けられている貫通シャフトに、取っ手を回動可能に設け、前記取っ手を操作して両側のロック部材を解除する構成が開示されている。この特許文献1によれば、ドアを開閉しても、前述の片閉まりを抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平11−180585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特許文献1記載の構成においては、両面搬送路に設けられた両面ローラ対のうちの一方の両面コロを保持するための部材や取っ手を設けているため、部品点数が多くなり、また、その設置スペースが必要になる。そのため、小型化・コストダウンの弊害となっていた。
【0018】
そこで、本発明の目的は、装置本体に対して開閉可能な開閉部材の部品点数を削減し、装置の小型化・コストダウンを図ることができるシート搬送装置及び画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、本発明は、装置本体に開閉可能に設けられ、シートを案内する搬送面を持つ開閉部材と、装置本体に設けられ、シートを搬送するために駆動回転する搬送回転体と、前記搬送回転体の回転に従動する従動回転体と、前記従動回転体を支持する軸部材と、前記開閉部材に設けられ、前記軸部材を支持する軸受部材と、前記搬送回転体と前記従動回転体との間で加圧力を生じさせる加圧部材と、前記開閉部材を閉じた状態で装置本体に係止可能なロック部材と、を備えたシート搬送装置において、前記ロック部材を前記軸部材の軸方向両端部に設けるとともに、前記ロック部材は、前記軸部材を前記搬送回転体の方向に移動可能に案内する案内部を有し、前記軸部材は、前記ロック部材を設ける軸方向両端部に、前記案内部に沿って移動可能に、且つ、前記軸部材に対する前記ロック部材の回転を規制するように前記案内部に係合する係合部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、装置本体に対して開閉可能な開閉部材の片閉まり発生を防止して、開閉部材がなすシートの搬送路でのシートジャムを抑制することができる。また、前記開閉部材に設けた従動回転体の軸部材に前記ロック部材を設けたため、装置の小型化、コストダウンを図ることができる。これにより低価格を実現しながらユーザビリティを向上させ、ジャムの発生しない高品質なシート搬送装置及び画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置のドアの斜視図
【図2】第1実施形態に係る画像形成装置のドアロック機構部の詳細平面図
【図3】図2のD−D断面図
【図4】第1実施形態に係る画像形成装置のドアロック機構部の詳細斜視図
【図5】第1実施形態に係る画像形成装置のドア閉時を示す断面図
【図6】第1実施形態に係る画像形成装置のドア開時を示す断面図
【図7】第2実施形態に係る画像形成装置のドアの斜視図
【図8】第2実施形態に係る画像形成装置のドアロック機構部の詳細平面図
【図9】図8のDD−DD断面図
【図10】第2実施形態に係る画像形成装置のドアロック機構部の詳細斜視図
【図11】第2実施形態に係る画像形成装置のドア閉時を示す断面図
【図12】第2実施形態に係る画像形成装置のドア開時を示す断面図
【図13】従来の画像形成装置のドアの斜視図
【図14】従来の画像形成装置のドアロック機構部の詳細平面図
【図15】従来の画像形成装置のドア閉時を示す断面図
【図16】従来の画像形成装置のドア開時を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0023】
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係るシート搬送装置を備えた画像処理装置を図1〜図6に基づいて説明する。ここでは、画像処理装置として、記録対象のシートに画像を形成する画像形成装置としてのレーザビームプリンタを例示している。
【0024】
図1は、本実施形態に係るレーザビームプリンタFのドアの斜視図である。図2は、本実施形態に係るレーザビームプリンタFのドアロック機構部の詳細平面図である。図3は、図2のD−D断面図である。図4は、本実施形態に係るレーザビームプリンタFのドアロック機構部の詳細斜視図である。図5は、本実施形態に係るレーザビームプリンタFのドア閉時を示す断面図である。図6は、本実施形態に係るレーザビームプリンタFのドア開時を示す断面図である。
【0025】
図5及び図6に示すように、レーザビームプリンタFにおいては、装置本体内に設けられた感光体8にレーザ光を走査して記録する電子写真方式を採用する。
【0026】
このレーザビームプリンタFは画像形成を行う画像形成部20と、画像形成部20に記録紙等の記録対象のシートPを1枚ずつ分離給送する給送部21等を備えている。また、このレーザビームプリンタFは、シートPの両面に画像を形成することができるよう、両面搬送路Rを備えている。両面搬送路Rは、片面に画像が形成された後、裏面に画像を形成するため、シートPを再び画像形成部20に給送するためのシート搬送手段(シート搬送装置)である。
【0027】
給送トレイ1内には複数枚のシートPが載置可能となっている。シートPは、給送トレイ1の左側(装置奥側)に配設されたシート供給手段を構成する給送ローラ2により、そこを起点に1枚ずつ分離されて装置本体内に供給される。なお、給送トレイ1と給送ローラ2とを、シートを装置内に供給するシート供給手段という。
【0028】
さらに分離給送されたシートPは、給送ローラ2の上部に位置する搬送ローラ対3によって画像形成部20に向けて搬送される。画像形成部20に送られたシートPは、感光体8と転写手段としての転写ローラ9が対向する転写部にて、感光体8に形成された画像(トナー像)が転写ローラ9によって転写される。
【0029】
さらに画像形成部20において、プロセスカートリッジCはプリンタ本体(装置本体)に対して着脱可能にされており、像担持体である感光体8を有している。さらに、図示していないが、感光体8に作用するプロセス手段(帯電手段、現像手段、クリーニング手段など)を有している。
【0030】
そして、転写部にて画像(トナー像)が転写されたシートPは、定着手段である定着器11に送られ、定着器11にて加熱によって画像が定着される。
【0031】
そして、画像が定着されたシートPは、排出ガイド50のリブに当接して印刷されている側の面を下にした状態で、正逆転可能な排出ローラ12aの正転により排出トレイ14に排出される。
【0032】
一方、両面印刷を行う場合、排出ローラ12aは正転によりシートPを排出トレイ14に向かって搬送し、この後、シートPの後端が排出ガイド50を抜けた後に逆転する。ここで、シートPの後端が排出ガイド50を抜けると、後端は、その剛性により反転ガイド51側に向かい、さらにこの状態で排出ローラ12aが逆転すると、シートPの後端は、両面搬送路Rに侵入する。
【0033】
その後、排出ローラ12aの逆転によりシートPは両面搬送路Rを通る。そして、両面ローラ15a及びこの両面ローラ15aに圧接する両面コロ15bにより構成される両面ローラ対により搬送され、再び画像形成部20へと送られる。そして、この画像形成部20において2面目の画像が形成され、この後、排出ローラ12aにより排出トレイ14に排出される。
【0034】
図1〜図6を用いて、本実施形態に関わる両面ドア及び両面ドアのロック機構について説明する。開閉部材としての両面ドア53は、レーザビームプリンタFの本体(以下、装置本体)の背面カバーに対して、回転軸53c周りに回転可能とされている。すなわち、両面ドア53は、装置本体に対して開閉可能に設けられている。そして、閉じている時の両面ドア53の内壁(シートを案内する搬送面)であるガイド53a,53bと、装置本体の内壁である両面ガイド52とから両面搬送路Rの一部が形成されている。
【0035】
図6に示すように、両面搬送路Rにおいて、両面ローラ対を構成する一方の両面ローラ15aは、装置本体に設けられている。両面ローラ15aは、シートを搬送するために駆動回転する搬送回転体である。
【0036】
一方、図2、図3に示すように、両面搬送路Rにおいて、両面ローラ対を構成する他方の両面コロ15bは、前記ドア53に設けられている。両面コロ15bは、両面ローラ15aの対向位置に設けられ、両面コロ軸35に対して回転可能に支持されている。両面コロ15bは、前記両面ローラ15aの回転に従動する従動回転体であり、両面ローラ15aとの間でシートを挟持して搬送する。
【0037】
図3に示すように、両面コロ軸35は、前記両面コロ15bを支持する軸部材であり、両面コロ軸受36に対して回転可能に支持されている。
【0038】
図4に示すように、両面コロ軸受36は、前記両面コロ軸35を回転可能に支持する軸受部材である。両面コロ軸受36は、両面ドア53に対して両面ローラ15aの方向にスライド移動可能に取り付けられている。
【0039】
両面コロ軸受36は、加圧バネ37により両面ローラ15aの方向に加圧されている。加圧バネ37は、前記両面ローラ15aと前記両面コロ15bとの間で加圧力を生じさせる加圧部材である。
【0040】
図2に示すように、ロック部材32は、回転軸部32aと、フック部32bと、バネ掛け部32cとを有している。ロック部材32は、両面コロ15bを回転可能に支持している両面コロ軸35の軸方向両端部に取り付けられている。
【0041】
図3に示すように、ロック部材32は、回転軸部32aによって両面ドア53に対して回転可能に取り付けられている。そして、図2に示すように、ロック部材付勢バネ33が、両面ドア53のバネ掛け部53eとロック部材32のバネ掛け部32cとに取り付けられている。このロック部材付勢バネ33の付勢力により、ロック部材32を両面ドア53の突き当て部53fに突き当てて、ロック部材32の回転方向の姿勢を決めている。
【0042】
また、図5に示すように、装置本体は、両面ドア53に設けられたロック部材32のフック部32bと係止可能なロック軸34を有している。このロック軸34に、両面ドア53に設けられたロック部材32のフック部32bが係止することで、装置本体に対して両面ドア53が閉じ位置でロックされる。
【0043】
そして、図2に示すように、ロック部材32の回転軸部32aは、両面コロ軸35を両面ローラ15aの方向にスライド移動可能に案内する案内部32dが設けられた長穴部32eを有している。この長穴部32eの案内部32dは、平面が平行に対向した形状となっている。
【0044】
両面コロ軸35は、ロック部材32を設ける軸方向両端部に、前記案内部32dに沿って移動可能に、且つ、両面コロ軸35に対するロック部材32の回転を規制するように前記案内部32dに係合する係合部35aを有している。
【0045】
これにより、両面コロ軸35は、図4に示すように、ロック部材32に対して加圧バネ37の加圧方向にスライド移動可能であり、且つ、両面コロ軸35はロック部材32の回転を規制している。
【0046】
両面コロ軸35に対するロック部材32の回転が規制されているため、一方のロック部材32が回転すると、両面コロ軸35がともに回転し、これにともなって他方のロック部材32も同じ方向に回転することとなる。
【0047】
その結果、ユーザーが幅方向(軸方向)のいずれか一方を保持して両面ドア53を閉じた時、両面ドア53の一方のロック部材32が回転すると、他方のロック部材32も回転する。そのため、両面ドア53の捻れによる片閉まりが発生することなく、両面ドア53は閉じられることになる。
【0048】
本実施形態によれば、装置本体に対して開閉可能な両面ドア53の片閉まりが発生しないため、片閉まりに起因するジャムによるシートの無駄や、ジャムしたシートを取り除き、再プリントを行うユーザーの手間を省くことが可能になる。
【0049】
そして、両面コロ軸35が両端のロック部材32を同期して動作させる役割を果たしているため、部品点数の削減による装置の小型化、コストダウンや省スペース化を図ることが可能となる。その上、両面ドア53が大きく撓んでも片閉まりが発生しないため、両面ドア53の肉厚を薄くすることが可能となり、使用材料の体積を減らすことで更なるコストダウンが可能になる。
【0050】
すなわち、本実施形態によれば、装置本体に対して開閉可能な両面ドア53の片閉まり発生を防止して、両面ドア53がなすシートの搬送路でのシートジャムを抑制することができる。また、両面ドア53に設けた両面コロ15bの両面コロ軸35にロック部材32を設けたため、装置の小型化、コストダウンを図ることができる。これにより低価格を実現しながらユーザビリティを向上させ、ジャムの発生しない高品質なシート搬送装置及び画像形成装置(画像処理装置)を提供することができる。
【0051】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置を図7〜図12に基づいて説明する。本実施形態でも、画像形成装置として、レーザビームプリンタを例示している。
【0052】
図7は、本実施形態に係るレーザビームプリンタFのドアの斜視図である。図8は、本実施形態に係るレーザビームプリンタFのドアロック機構部の詳細平面図である。図9は、図8のDD−DD断面図である。図10は、本実施形態に係るレーザビームプリンタFのドアロック機構部の詳細斜視図である。図11は、本実施形態に係るレーザビームプリンタFのドア閉時を示す断面図である。図12は、本実施形態に係るレーザビームプリンタFのドア開時を示す断面図である。
【0053】
なお、本実施形態に係るレーザビームプリンタFが、前述した実施形態に係るレーザビームプリンタFと同様の箇所は符号を同一とし説明を省略する。
【0054】
前述した実施形態では、両面コロ軸受36を別個に設けた構成を例示したが、本実施形態では、ロック部材が、軸受部材を兼ねた構成となっている。
【0055】
前述した第1実施形態では、両面ローラと両面コロとの間で加圧力を生じさせる加圧部材として、両面コロ軸受36と両面ドア53との間に加圧バネ37を設けた。これに対し、本実施形態では、両面コロ軸135とロック部材132との間に加圧バネ137を設けている。以下、説明する。
【0056】
図7〜図12を用いて、本実施形態に関わる両面ドア及び両面ドアのロック機構について説明する。開閉部材としての両面ドア53は、レーザビームプリンタFの本体の背面カバーに対して、回転軸53c周りに回転可能とされている。そして、閉じている時の両面ドア53の内壁(シートを案内する搬送面)であるガイド53a、53bと、装置本体の内壁である両面ガイド52とから両面搬送路Rの一部が形成されている。
【0057】
図8に示すように、ロック部材132は、回転軸部132aと、フック部132bと、バネ掛け部132cとを有している。
【0058】
図9に示すように、ロック部材132は、回転軸部132aによって両面ドア53に対して回転可能に取り付けられている。そして、図8に示すように、ロック部材付勢バネ33が、両面ドア53のバネ掛け部53eとロック部材132のバネ掛け部132cとに取り付けられている。このロック部材付勢バネ33の付勢力により、ロック部材132を両面ドア53の突き当て部53fに突き当てて、ロック部材132の回転方向の姿勢を決めている。
【0059】
また、図11に示すように、装置本体は、両面ドア53に設けられたロック部材132のフック部132bと係止可能なロック軸34を有している。このロック軸34に、両面ドア53に設けられたロック部材132のフック部132bが係止することで、装置本体に対して両面ドア53が閉じ位置でロックされる。
【0060】
図12に示すように、両面搬送路Rにおいて、両面ローラ対を構成する一方の両面ローラ15aは、装置本体に設けられている。両面ローラ15aは、シートを搬送するために駆動回転する搬送回転体である。
【0061】
図8及び図9に示すように、両面コロ15bは、両面ローラ15aの対向位置に設けられ、両面コロ軸135に対して回転可能に支持されている。両面コロ15bは、前記両面ローラ15aの回転に従動する従動回転体であり、両面ローラ15aとの間でシートを挟持して搬送する。
【0062】
図8に示すように、ロック部材132と両面コロ軸135との間には、両面コロ軸135を両面ローラ15aの方向に加圧するための加圧バネ(加圧部材)137が設けられている。両面コロ軸135の両端部には、ロック部材132に設けた長穴部132eの案内部132dに係合する係合部135aが設けられている。この両面コロ軸135の係合部135a、ロック部材132の長穴部132e、案内部132dは、前述した実施形態における両面コロ軸35の係合部35a、ロック部材32の長穴部32e、案内部32dに相当する。
【0063】
さらに本実施形態におけるロック部材132には、前述の案内部132dだけでなく、前記加圧バネ137の付勢力を受ける受け面132f(図8参照)が設けられている。
【0064】
このロック部材132の案内部132dと両面コロ軸135の係合部135aとの係合により、両面コロ軸135に対するロック部材132の回転が規制されている。そのため、軸方向一方のロック部材132が回転すると、両面コロ軸135がともに回転し、これにともなって他方のロック部材132も同じ方向に回転することとなる。
【0065】
その結果、ユーザーが幅方向(軸方向)のいずれか一方を保持して両面ドア53を閉じた時、両面ドア53の一方のロック部材132が回転すると、他方のロック部材132も回転する。そのため、両面ドア53の捻れによる片閉まりが発生することなく、両面ドア53は閉じられることになる。つまり、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
更に、本実施形態においては、ロック部材が両面コロ軸の軸受を兼ねているため、前述した実施形態に比べて、両面コロ軸受などが不要な分だけ部品点数を削減できる。また、両面コロ軸受などが不要になったことで両面ドア53の軸方向の幅を狭くすることが可能になり、更なるコストダウンや小型化を図ることができる。
【0067】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、画像処理装置として、記録紙などの記録対象のシートに画像を形成する画像形成装置としてのプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、原稿などの読取対象のシートの画像を読み取るスキャナ等の画像読取装置であっても良い。或いは、記録対象のシートに画像を形成し、読取対象のシートの画像を読み取る複写機、ファクシミリ装置等の他の画像処理装置であっても良い。或いは、これらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像処理装置であっても良い。これらの画像処理装置に用いられるシート搬送装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0068】
また前述した実施形態では、画像処理装置が一体的に有するシート搬送装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば画像処理装置に対して着脱自在なシート搬送装置であっても良く、該シート搬送装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0069】
C …プロセスカートリッジ
F …レーザビームプリンタ
P …シート
R …両面搬送路
8 …感光体
15a …両面ローラ
15b …両面コロ
20 …画像形成部
32 …ロック部材
32a …回転軸部
32b …フック部
32c …バネ掛け部
32d …案内部
32e …長穴部
33 …ロック部材付勢バネ
35 …両面コロ軸
35a …係合部
36 …両面コロ軸受
37 …加圧バネ
50 …排出ガイド
51 …反転ガイド
52 …両面ガイド
53 …両面ドア
53a,53b …ガイド
53c …回転軸
53e …バネ掛け部
53f …突き当て部
132 …ロック部材
132a …回転軸部
132b …フック部
132c …バネ掛け部
132d …案内部
132e …長穴部
132f …受け面
135 …両面コロ軸
135a …係合部
137 …加圧バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に開閉可能に設けられ、シートを案内する搬送面を持つ開閉部材と、
装置本体に設けられ、シートを搬送するために駆動回転する搬送回転体と、
前記搬送回転体の回転に従動する従動回転体と、
前記従動回転体を支持する軸部材と、
前記開閉部材に設けられ、前記軸部材を支持する軸受部材と、
前記搬送回転体と前記従動回転体との間で加圧力を生じさせる加圧部材と、
前記開閉部材を閉じた状態で装置本体に係止可能なロック部材と、
を備えたシート搬送装置において、
前記ロック部材を前記軸部材の軸方向両端部に設けるとともに、
前記ロック部材は、前記軸部材を前記搬送回転体の方向に移動可能に案内する案内部を有し、
前記軸部材は、前記ロック部材を設ける軸方向両端部に、前記案内部に沿って移動可能に、且つ、前記軸部材に対する前記ロック部材の回転を規制するように前記案内部に係合する係合部を有することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記ロック部材が、前記軸受部材を兼ねることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
記録対象のシートに画像を形成し、或いは、読取対象のシートの画像を読み取る画像処理装置において、
前記シートを搬送するシート搬送装置を有し、前記シート搬送装置として、請求項1又は請求項2に記載のシート搬送装置を有することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−201456(P2012−201456A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67109(P2011−67109)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】