説明

シート積載装置、及び画像形成装置

【課題】 装置本体の開口部を開閉し、シートを積載する積載面を構成するカバーを開けた際に、開口部へのシート端部の進入を防止することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 開閉カバー2が積載トレイ16の積載面の一部を兼ねる画像形成装置において、補助トレイ18が開閉カバー2の開放と連動して積載面から突出してシートPを支持することにより、開閉カバー2を開いた際のシートPの開口部へ進入を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載装置、及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に画像形成装置本体内部にアクセスするための開口部を開閉するカバーの一部がシートの積載トレイの一部を兼ねるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等の画像形成装置においては、シートを積載する積載トレイを画像形成装置本体の上面に設けたものが知られている。
【0003】
このような画像形成装置において、感光体ドラム、現像器等を一体に備えたプロセスユニットの着脱、あるいはシートのジャム処理を行うための開口部を装置本体上部に設けたものがある。そして、この開口部を開閉するために画像形成装置本体上部に設けられた開閉カバーが、積載トレイの積載面の一部として構成されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−242167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような画像形成装置において、積載トレイ上にシートが積載された状態で開閉カバーを開くと、開閉カバーに支持されていたシートの端部が開口部から装置本体内に進入してしまう場合がある。このようにシートの端部が開口部から装置本体内に進入してしまうと、プロセスユニットの着脱、ジャム処理、あるいは開閉カバーを閉じる際の妨げになってしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような現状を鑑みてなされたものであり、装置本体の開口部を開閉し、シートを積載する積載面を構成するカバーを開けた際に、開口部から装置本体内へのシート端部の進入を防止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の代表的な構成は、装置本体と、前記装置本体上部に設けられた開口部を開閉するために前記装置本体に取り付けられたカバーと、前記カバーが前記開口部を閉塞したときシートを積載する積載面が構成される積載手段と、前記カバーが前記開口部を閉塞する位置にあるときは前記積載面から突出せず、前記カバーが前記開口部を開放する位置にあるときは前記積載面から突出してシートを支持する支持部材と、前記カバーの開放と前記支持部材の突出動作とを連動させる連動手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のように、シートを積載する積載トレイの積載面の一部を構成する開閉カバーを開けた際、支持部材を積載トレイの積載面より突出させて積載トレイ上に積載されていたシートを保持することにより、開口部から装置本体内へのシートの進入を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの構成を示す図。
【図2】上記画像形成装置の開閉カバーの開閉動作を説明する縦断面図。
【図3】上記開閉カバーを閉じた場合と開いた場合の積載されたシートの状態を示す斜視図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る開閉カバーの開閉動作を説明する断面図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る開閉カバーの開閉動作を説明する断面図。
【図6】上記開閉カバーの開閉動作を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1において、1は本発明に係るシート積載装置としての画像形成装置である。
画像形成装置1における画像形成動作を、図1(a)に示す断面図を用いて説明する。本実施の形態においては、電子写真プロセスを利用した画像形成装置としてレーザービームプリンタについて説明する。
【0011】
シートPはシート積載台3の上に積載されており、シート積載台3の下方に設けられたバネ4により、給紙ローラ5に圧接されている。給紙ローラ5が不図示の駆動ユニットから駆動を伝達されて回転すると、シート積載台3に積載されたシートPのうちの最上シートが給紙される。給紙ローラ5によりシートPが複数枚重なった状態で給紙されても、分離パッド6によりシートPは捌かれ、最上シート1枚が搬送ローラ対7に送られる。その後、シートPはレジストローラ対8を経て、後述する感光体ドラム11と現像器等を一体に備えたプロセスユニット9の画像形成位置に搬送される。画像形成部を構成するプロセスユニット9においては、画像形成処理の一環として感光体ドラム11と現像器等により静電潜像形成、現像が行われる。
【0012】
まず、スキャナユニット10から照射されたレーザー光によって、感光体ドラム11に静電潜像が形成される。その静電潜像を不図示の現像器によりトナーで現像することで可視像化されたトナー像が形成される。トナー像は、感光体ドラム11と、転写ローラ12のニップ部(転写部)において、レジストローラ対8から画像形成のタイミングと合わせて搬送されてきたシートPに転写される。トナー像が転写されたシートPは、定着ローラ対13により熱、圧力が加えられ、トナー像がシートP上に定着される。その後、シートPはローラ対14、排紙ローラ対15を通過し、排紙トレイ16上に排出される。
【0013】
図1(b)に示すように、本発明に係る画像形成装置1は、装置本体の上部に開口部が設けられており、装置本体に取り付けられている開閉カバー2により、プロセスユニット9を着脱可能な開口部が開閉される構成となっている。また、カバーとしての開閉カバー2を開放した後、プロセスユニット9を装置本体から抜脱することでシート搬送路へのアクセスが可能となり、シートジャム処理等のメインテナンスが可能となる。
【0014】
図1(c)に示すように、積載手段としての排紙トレイ16は、上カバー17と、開閉カバー2と、一対の支持部材である補助トレイ18から構成されている。補助トレイ18は、上カバー17から突出して、開閉カバー2を開放することにより構成される開口部に張り出したシートの一端部と交差する両端部を支持するよう設けられている。そして、通常のシート排出時、補助トレイ18は上カバー17の積載面(シートが積載される面)から突出しないため、上カバー17と開閉カバー2の上にシートPが積載される。
【0015】
次に、排紙トレイ16上にシートPが積載された状態において、開閉カバー2を画像形成装置1本体に対して開閉する際の動作について説明する。
図2は、本実施形態に係る積載手段としての排紙トレイ16の断面図である。図2に示されるカム19、連結棒20も補助トレイ18と同様に、シートPの幅方向で対向して一対設けられている。
【0016】
上カバー17は、画像形成装置1本体の外装カバーであり、開閉カバー2とともに排紙トレイ16の積載面(シートが積載される面)を形成している。開閉カバー2は、軸2sを中心に、画像形成装置1本体上部に設けられた開口部を閉塞して排紙トレイ16に積載されたシートの一端部を支持する位置と、開口部を開放して積載されたシートの一端部を開口部に張り出させる位置とに移動可能に支持されている。さらに、補助トレイ18は軸18sを中心に、カム19は軸19sを中心に、上カバー17にそれぞれ回動可能に支持されている。開閉カバー2とカム19は連結部材としての連結棒20を介して連結されており、開閉カバー2と連結棒20は軸21回りに回動可能に、またカム19と連結棒20は軸22回りに回動可能となっている。補助トレイ18は、係合面18cがカム19のカム面19c、19dと接触し、カム19と連動して回動する。以上のような構成により、開閉カバー2の開放と補助トレイ18の突出動作とが連結棒20、カム19を介して連動する構成となっている。
【0017】
図2(a)は、開閉カバー2が閉じられ、排紙トレイ16上にシートPが積載された状態を示し、図3(a)は、図2(a)の斜視図である。この状態から、開閉カバー2を開けていくと、図2(b)に示すように補助トレイ18が排紙トレイ16の積載面から突出し始める。
【0018】
さらに開閉カバー2を開いた状態を示すのが図2(c)である。カム19のカム面19dは、その軸19sを中心とする円弧形状になっており、円弧形状のカム面19dが補助トレイ18の係合面18cに接触した後は、開閉カバー2をさらに開いても、補助トレイ18はそれ以上、排紙トレイ16の積載面から突出しない。
【0019】
図2(d)は開閉カバー2を開き切った状態であり、図3(b)は、図2(d)の斜視図である。補助トレイ18が、シートPの先端部を幅方向に湾曲させた状態で保持することにより、シートPの先端部が腰つけされるため自重で垂れ下がることを防止している。こうすることで、図1(b)に示すように、シートPの端部が開口部から装置本体内へ進入してプロセスユニット9の着脱動作を妨げることを防止することが可能となる。
【0020】
開閉カバー2を閉める過程は、図2(d)→図2(c)→図2(b)→図2(a)のように上述した開閉カバー2を開ける過程を逆にしたものである。
開閉カバー2を閉める過程においても、カム19のカム面19dが補助トレイ18の係合面18cと接触している間は補助トレイ18の姿勢は変わらず、シートPも同様に姿勢が変わらず保持されている状態である。その後、シート搬送方向において開閉カバー2の先端部2tは、シートPの先端Ptを通過した後(図2(c))、排紙トレイ16の積載面からの補助トレイ18の突出量が減少し始めるようになっている。この構成により、開閉カバー2を閉じる際に開閉カバー2と上カバー17との間にシートPを挟んでしまうことを防止している。
【0021】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は本実施形態における排紙トレイ16に関わる部分の縦断面図である。本実施形態と第1の実施の形態との違いは、補助トレイ18が積載面(シートが積載される面)から突出する方向と逆(時計回り)方向に付勢する付勢部材としての引張コイルバネ23を追加した点である。その他の構成は、第1の実施の形態と同じである。開閉カバー2の開閉に伴う補助トレイ18の一連の動作に関しても第1の実施の形態と同じであるため詳細な説明を省略する。
【0022】
図4(a)に示す状態から開閉カバー2を開く際、引張コイルバネ23の付勢よりカム19のカム面19dと補助トレイ18の係合面18cとの間に摩擦が発生し、開閉カバー2の自重による急激な開動作を抑制することができ、操作性が向上する。
【0023】
また、図4(b)に示す状態から開閉カバー2を閉じる際には、引張コイルバネ23によりカム19が時計回り方向に回転する力が働き、それにより開閉カバー2を自動的に閉じる方向に引き込むことが可能となり、操作性が向上する。
【0024】
図5、図6は、本発明の第3の実施の形態に関わる排紙トレイ16の縦断面図である。本実施形態は第1の実施の形態に対して、連結棒20とカム19との連結部を変更したものである。その他の構成は、第1の実施の形態と同じである。本実施形態における、排紙トレイ16上にシートPが積載された状態から、排紙トレイ16の一部を構成する開閉カバー2を開閉する際の説明を以下に行う。
【0025】
上カバー17は画像形成装置1本体に対して固定され、補助トレイ18は軸18sを中心に、カム19は軸19sを中心に、開閉カバー2は軸2sを中心に回動可能に支持されている。開閉カバー2とカム19は連結棒20を介して連結されており、開閉カバー2と連結棒は軸21回りに回動可能になっている。
【0026】
一方、カム19と連結棒20は、連結棒20に設けられた長孔24に沿って、カム19の軸22が自由に動ける状態になっている。補助トレイ18は、係合面18cがカム19のカム面19c、19dと接触し、カム19と連動する。以上のような構成により、開閉カバー2と補助トレイ18とが連結棒20、カム19を介して連動する仕組みとなっている。本実施の形態において、長孔24を連結棒20に、軸22をカム19に各々設けた構成について説明するが、軸22を連結棒20に、長孔24をカム19に設けるようにしてもよい。
【0027】
図5(a)に示す、開閉カバー2が閉じられ、排紙トレイ16上にシートPが積載された状態から開閉カバー2を開けていくと、図5(b)に示すように補助トレイ18が積載面から突出し始める。
【0028】
その後、さらに開閉カバー2を開いた状態が図5(c)である。カム19のカム面19dは、その軸19sを中心とする円弧になっており、その部分が補助トレイ18の係合面18cに接触した後は、開閉カバー2を開いていっても、補助トレイ18はそれ以上排紙トレイ16の積載面から突出しない。
【0029】
図5(d)は開閉カバー2を開ききった状態である。第1の実施の形態と同様、図3(b)に示すとおり、補助トレイ18がシートPの先端部を幅方向に湾曲させた状態で保持することにより、シートPの先端部が腰つけされるため自重で垂れ下がることを防止している。こうすることで、図1(b)に示すように、シートPがプロセスユニット9の着脱動作を妨げることを防止することができる。
【0030】
次に、開閉カバー2を閉める過程について説明する。
図6(a)は開閉カバー2を開ききった状態から一定角度閉じた状態の図である。連結棒20の長孔24とカム19の軸22との間に遊びがあるため、長孔24の面24aがカム19の軸22と接触するまでは、カム19は回動しない。
【0031】
さらに開閉カバー2を閉じていくと、カム19が回転し始めるが、カム19のカム面19dが補助トレイ18の係合面18cと接触している間は補助トレイ18の姿勢は変わらず、シートPも同様に姿勢が変わらずに保持されている状態である。
【0032】
その後、シート搬送方向において開閉カバー2の先端部2tがシートPの先端位置Ptを通過(図6(b))した後、補助トレイ18の積載面からの突出量が減少し始めるようになっている。本実施形態においては連結棒20とカム19とを長孔24を介して連結したことにより、開閉カバー2の先端部2tがシートPの先端Ptを通過してから補助トレイ18が下がり始めるまでのタイムラグを大きくなる。それにより、開閉カバー2を閉じる際の開閉カバー2とシートPとのクリアランスがより確保しやすくなり、開閉カバー2と上カバー17との間にシートを挟んでしまうことがない。
【0033】
この後、開閉カバー2を完全に閉じると、図6(c)に示す位置から補助トレイ18の自重により補助トレイ18、及び、カム19は時計回りに回転し、補助トレイ18が排紙トレイ16の積載面から突出しない図5(a)の状態に戻る。
【0034】
なお、上記実施の形態では、補助トレイ18を上カバー17の端部の左右に設けたが、補助トレイ18を上カバー17の端部の中央に設けてもよく、この構成でも上記実施の形態に示した補助トレイ18を上カバー17の回動に連動させる構成を適用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 画像形成装置
2 開閉カバー
17 上カバー
18 補助トレイ
19 カム
20 連結棒
23 引張コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体上部に設けられた開口部を開閉するために前記装置本体に取り付けられたカバーと、
前記カバーが前記開口部を閉塞したときシートを積載する積載面が構成される積載手段と、
前記カバーが前記開口部を閉塞する位置にあるときは前記積載面から突出せず、前記カバーが前記開口部を開放する位置にあるときは前記積載面から突出してシートを支持する支持部材と、
前記カバーの開放と前記支持部材の突出動作とを連動させる連動手段と、
を備えたことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記積載面から突出したとき前記開口部に張り出したシートの一端部と交差する両端部を支持することを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記連動手段は、前記支持部材を前記積載手段の積載面に対して突出させるカムと、前記カムと前記カバーを連結する連結部材と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記連結部材と前記カムを、前記連結部材と前記カムのいずれか一方に設けられた長孔と他方に設けられた軸により連結したことを特徴とする請求項3に記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記支持部材に対して、前記支持部材が前記積載面から突出する方向と逆方向に付勢する付勢部材を備えたことを特徴とする請求項4に記載のシート積載装置。
【請求項6】
シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部で画像が形成されたシートを積載する請求項1乃至5に記載のシート積載装置と、を備えた画像形成装置。
【請求項7】
装置本体に対して着脱可能に設けられ、画像形成を行うプロセスユニットと、請求項1乃至5に記載のシート積載装置と、を備え、前記カバーは前記プロセスユニットを着脱する際に前記開口部を開閉することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−188198(P2012−188198A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51788(P2011−51788)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】