説明

シート積載装置及び画像形成装置

【課題】障害物の除去を簡単に行うことのできるシート積載装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】トップトレイ106の下方に移動可能に設けられた障害物検知カバー124の障害物128の載置に基づく移動を障害物検知センサ127が検知すると、まずトップトレイ106へのシートの積載を停止させ、この後、障害物検知カバー124を駆動し、障害物検知カバー124に載置された障害物128を取り除くことができる位置までトップトレイ106を上昇させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載装置及び画像形成装置に関し、特にシート積載部に大量のシートを積載するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シートに画像を形成する画像形成装置においては、技術の進歩により画像形成の高速化が図られており、このような画像形成の高速化に伴い画像形成装置本体から排出されるシートの排出速度も高速化している。そして、このように高速で排出されるシートを大量に整列、積載するため、従来の画像形成装置においては、大容量のシート積載装置を備えたものがある。
【0003】
ところで、このような従来の大容量のシート積載装置において、シートを、シート積載部の一例である積載トレイ上に大量に積載するためには、積載トレイの上下方向駆動領域のストロークを大きく取る必要が生じる。したがって、積載トレイが移動する駆動領域には障害物があってはならず、常にスペースを空けておかなければならない。
【0004】
しかし、積載トレイの下方は、狭い空間を有効に使いたいユーザにとってはデッドスペースと見なされがちであり、画像形成装置のシートやトナー等の補給用品の置き場所になったり、ゴミ箱等のオフィス用品を置くスペースとして利用されていた。
【0005】
ところで、このように積載トレイの下方にシート等の物品が置かれると、シートが順次積載されて積載トレイが下降する場合、この物品が障害物となって積載トレイが下降不能になりエラーを発生したり、装置が故障したりする原因となっていた。このため、大量のシートを積載する場合には、積載トレイの下方に物品があるかを確認する必要がある。
【0006】
ここで、積載トレイの下方に、障害物となる物品があるかを検知するために、例えば光センサを用いるようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0007】
図12は、このような光センサを用いた従来のシート積載装置の構成を示す図である。シート積載装置Cはシート処理装置Bに設けられ、画像形成装置本体Aから排出されたシートを積載する上下方向に移動可能なシート積載部の一例である排紙トレイ12を備えている。そして、排紙トレイ12の下部には反射型の光センサ11が設けられており、この光センサ11により物品10を検知するようにしている。
【0008】
また、積載トレイの下方に、障害物となる物品があるかを検知するために、スイッチを用いるようにしたものがある(特許文献2参照)。
【0009】
図13は、このようなスイッチを用いた従来の他のシート積載装置の構成を示す図であり、このシート積載装置は、排出されたシートの積載枚数に応じて上下方向に移動可能なシート積載部の一例であるスタッカトレイ13を備えている。そして、このスタッカトレイ13は、スタッカトレイ13の底面に固定された固定部材2と、この固定部材2に対して揺動自在に設けられ、固定部材2とは離れる方向に付勢されたダンパ部材3とを備えている。
【0010】
また、固定部材2には、ダンパ部材3が所定距離以内に達したことを検知するスイッチ41が設けられている。なお、図13において、10はスタッカトレイ13の下方に置かれた障害物となる物品である。
【0011】
そして、シートの積載量が増加し、これにスタッカトレイ13が下降すると、やがてダンパ部材3が物品10と干渉するようになる。この場合、スタッカトレイ13がさらに下降すると、ダンパ部材3に設けてある突出部31がスイッチ41の凹部に進入してスイッチ41がオンとなり、これによりスタッカトレイ13の下方に物品10があることを検知することができる。
【0012】
【特許文献1】特開平8−26570号公報
【特許文献2】特開2001−348162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、このような従来のシート積載装置及び画像形成装置では、排紙トレイの移動領域に障害物(物品)を検知した場合には、排紙トレイへのシート積載を停止するようにしている。ここで、排紙トレイへのシート積載を再開するためには、障害物を取り除く必要があるが、障害物を取り除く際に排紙トレイが邪魔になり、障害物の除去が困難な場合がある。
【0014】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、障害物の除去を簡単に行うことのできるシート積載装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、シートを積載する昇降可能なシート積載部を備え、シートの積載量の増加に伴い前記シート積載部を下方に移動させるシート積載装置において、前記シート積載部を昇降させる駆動手段と、前記シート積載部の下方に移動可能に設けられている移動部材と、前記移動部材の移動を検知する移動検知手段と、を備え、シートの積載が開始された後、前記移動部材の移動を検知すると、前記シート積載部へのシートの積載を停止させ、前記シート積載部を上昇させるよう前記駆動手段の駆動を制御することを特徴とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のように、物品の載置に基づく移動部材の移動を検知すると、シート積載を停止させると共に、移動部材に載置された物品を取り除くことができる位置までシート積載部を上昇させるようにすることにより、障害物の除去を簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係るシート積載装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。
【0019】
図1において、900は画像形成装置、901は画像形成装置本体であり、画像形成装置本体901の上部には、スキャナユニット955及びイメージセンサ954を備えた画像読取装置951が設けられている。また、画像読取装置951の上面には、原稿をプラテンガラス952に給送する原稿給送装置950が設けられている。
【0020】
さらに、画像形成装置本体901の中央部にはシートに画像を形成する画像形成部902、両面反転装置953が設けられている。画像形成部902には、円筒状の感光体ドラム906、帯電器907、現像器909、クリーニング装置913等がそれぞれ備えられており、さらに画像形成部902の下流側には定着装置912、排出ローラ対914等が配設されている。
【0021】
また、この画像形成装置本体901には、画像形成装置本体901から排出される画像形成後のシートを積載するシート積載装置であるスタッカ100が接続されている。なお、960は画像形成装置本体901及びスタッカ100の制御を司るコントローラである。
【0022】
次に、このような構成の画像形成装置本体901の画像形成動作について説明する。
【0023】
コントローラ960から画像形成信号が出力されると、まず原稿給送装置950によりプラテンガラス952上に原稿が載置され、この原稿画像が画像読取装置951により読み取られ、読み取られたデジタルデータは露光手段908に入力される。そして、露光手段908により、このデジタルデータに応じた光が感光体ドラム906に照射される。
【0024】
このとき、感光体ドラム906の表面は帯電器907により一様に帯電されており、このように光が照射されると、感光体ドラム表面に静電潜像が形成され、この静電潜像を現像器909により現像することにより、感光体ドラム表面にトナー像が形成される。
【0025】
一方、コントローラ960から給紙信号が出力されると、まずカセット902a〜902d及び給紙デッキ902eにセットされたシートSが給紙ローラ903a〜903e、搬送ローラ対904によってレジストローラ910まで搬送される。
【0026】
次に、シートSは、レジストローラ910によってシート先端と感光体ドラム906のトナー像の先端を合わせるようなタイミングで転写分離帯電器905を備えた転写部まで搬送される。そして、この転写部において、シートSに転写バイアスが転写分離帯電器905によって印加されることにより、感光体ドラム906上のトナー像がシート側に転写される。
【0027】
次に、トナー像が転写されたシートSは、搬送ベルト911によって定着装置912まで搬送された後、定着装置912の加熱ローラと加圧ローラに挟持搬送される際に、トナー像が熱定着される。この時、感光体ドラム906上ではシートに転写されずに付着している残存トナー等の異物がクリーニング装置913のブレードにより掻き落とされており、この結果、感光体ドラム906の表面がクリアーとなり、次の画像形成に備えることができる。
【0028】
定着されたシートは、そのまま排出ローラ対914によりスタッカ100に搬送されるか、切換部材915により両面反転装置953に搬送され、再度画像形成が行われることになる。
【0029】
図2は、コントローラ960の構成を示すブロック図である。コントローラ960は、CPU回路部206を有し、CPU回路部206は、不図示のCPU、ROM207、RAM208を内蔵している。そして、ROM207に格納されている制御プログラムによりDF(原稿給紙)制御部202、イメージリーダ制御部203、画像信号制御部204、プリンタ制御部205、スタッカ制御部210、操作部209を総括的に制御する。RAM208は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
【0030】
DF(原稿給紙)制御部202は、原稿給送装置950をCPU回路部206からの指示に基づき駆動制御するものである。イメージリーダ制御部203は、画像読取装置951に設けられたスキャナユニット955及びイメージセンサ954等に対する駆動制御を行い、イメージセンサ954から出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部204に転送するものである。
【0031】
画像信号制御部204は、イメージセンサ954からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を施し、このデジタル信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部205に出力するものである。
【0032】
また、画像信号制御部204は、コンピュータ200、あるいは外部から外部I/F201を介して入力されたデジタル画像信号に対して各種処理を施すと共に、デジタル画像信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部205に出力するものである。なお、この画像信号制御部204による処理動作は、CPU回路部206により制御される。
【0033】
プリンタ制御部205は、入力されたビデオ信号に基づいての不図示の露光制御部を介して露光手段908を駆動するものである。操作部209は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための表示部及び後述する報知手段であるタッチパネル209a等を有している。そして、各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部206に出力すると共に、CPU回路部206からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示するものである。
【0034】
スタッカ制御部210はスタッカ100に搭載され、CPU回路部206と情報のやり取りを行うことによってスタッカ全体の駆動制御を行う。このスタッカ制御部210は、昇降モータ800、後述するトップトレイ106を昇降させる駆動手段であるトップトレイ昇降モータ801及び不図示のソレノイド等が接続される。この制御内容については後述する。なお、スタッカ制御部210を画像形成装置本体901側のCPU回路部206に一体的に組み込み、画像形成装置本体901から直接スタッカ100を制御するようにしてもよい。
【0035】
図3は、スタッカ100の構成を示す図である。スタッカ100は、その上面に画像形成装置本体901から排出されたシートを積載するためのシート積載部であるトップトレイ106を昇降可能に備えている。なお、このトップトレイ106は、シートの積載量の増加に伴って下降する。
【0036】
また、スタッカ100は、シートを積載するためのスタッカトレイ112を有するシート積載部であるスタック部100Aを備えている。ここで、スタック部100Aのスタッカトレイ112は、昇降モータ800(図2参照)により矢印C,Dに示す方向に昇降可能に配置されている。
【0037】
さらに、スタッカ100は、不図示のソレノイドにより駆動され、スタッカ内に搬送されたシートSをトップトレイ106又はスタック部100Aに向かわせる第1切換え部材103を備えている。なお、図3において、108は第2切換え部材であり、シート排出先が下流の不図示のシート処理装置(スタッカ装置)の場合は、不図示のソレノイドにより駆動される。
【0038】
また、図3において、115はシート排出手段である排出ローラ対110により排出されたシートをスタッカトレイ側に引込む引込み手段であるシート引込みユニットである。このシート引込みユニット115は、時計回りに回転し、シートをスタッカトレイ上方に引込むための弾性を備えたローレットベルト116と、シートのシート排出方向の位置決めを行う突当て部である先端ストッパ121を具備している。
【0039】
そして、シート引込みユニット115は、排出されたシートをローレットベルト116により、ローレットベルト116とスタッカトレイ112との間に引き込んだ後、先端ストッパ121に突き当てるようになっている。これにより、排出されたシートをスタッカトレイ112に位置決めした状態で積載することができる。
【0040】
なお、シート引込みユニット115はスライド軸118に沿って矢印A及びB方向に移動可能に取付けられており、不図示の引込みユニット駆動モータにより駆動され、シートサイズに応じた位置まで移動することができる。また、このシート引込みユニット115のフレームには、引き込こまれたシートをローレットベルト116に案内するようテーパ部115aが形成されている。
【0041】
117は、シート引込みユニット115とシート上面との距離を一定に保つために設けられた紙面検知センサであり、この紙面検知センサ117からの信号はスタッカ制御部210に入力される(図2参照)。なお、本実施の形態において、シート上面の位置は積載されたシートが上向きにカールしているときに、後続シートの先端が排出ローラ対110に引っかからないように排出ローラ対110よりも下方に設定されている。
【0042】
113はホームポジションセンサであり、このホームポジションセンサ113は、初期動作時にはスタッカトレイ112のホームポジションを検知する。また、積載動作中はスタッカトレイ112の紙面検知センサの役目を果たすものである。なお、スタッカトレイ112は、シートが排出される際には、ホームポジションセンサ113により、図3に示すようなシートの積載が可能なホームポジションに位置している。
【0043】
次に、このような構成のスタッカ100のシート積載動作について図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0044】
画像形成装置本体901から排出されると、シートは、まずスタッカ100の入り口ローラ対101により内部に搬送され、第1切換え部材103まで搬送される。なお、スタッカ制御部210にはシートが搬送される前に、画像形成装置本体901のコントローラ960(のCPU回路部206)から予めシートの情報、例えばシートサイズ、紙種及びシートの排出先の情報等が送られて来ている。
【0045】
ここで、スタッカ制御部210はコントローラ960から送られてきたシートの排出先がトップトレイ106か否かを判断する(S301)。シートの排出先がトップトレイ106の場合は(S301のY)、第1切換え部材103及び第2切換え部材108を図3に示す破線の位置に切り換える(S302)。これにより、シートは搬送ローラ対104に導かれ、この後、排出ローラ対105によりトップトレイ106へ排出され(S303)、積載される。
【0046】
シートの排出先がトップトレイ106でない場合には(S301のN)、次にシート排出先がスタッカトレイ112か否かを判断する(S304)。ここで、排出先がスタッカトレイ112でないと判断した場合(S304のN)、例えばシートの排出先が下流の不図示のスタッカ装置と判断した場合、第1切換え部材103を破線位置に、第2切換え部材108を図3の実線で示す位置に切り換える(S306)。これにより、入り口ローラ対101により搬送されてきたシートは、搬送ローラ対102により搬送されて、出口ローラ対109に導かれた後、下流の不図示のスタッカ装置に搬送される(S307)。
【0047】
シート排出先がスタッカトレイ112の場合(S304のY)、第1切換え部材103を実線で示す位置に切り換える(S308)。これにより、シートは、第1切換え部材103に案内されながら排出ローラ対110まで搬送され、この後、スタッカトレイ112へ排出される(S309)。
【0048】
ここで、シートは、排出ローラ対110に達する前に、排出ローラ対110の上流に配置されているタイミングセンサ111により、先端の通過タイミングが検知される。この後、シートは、排出ローラ対110により搬送されてシート引込みユニット115のテーパ部115aに当接し、テーパ部115aにより先端がスタッカトレイ側に案内されながら搬送され、ローレットベルト116に導かれる。なお、このときシートは、搬送される際の慣性力、即ち搬送されてきた勢いにより、ローレットベルト116に当接する。
【0049】
この後、ローレットベルト116により、シートは、ローレットベルト116とスタッカトレイ112、あるいは、シートが積載されているときには、最上位のシートとの間に進入する。
【0050】
次に、このようにシートが排出された後、整合板119を、シート束のシート搬送方向と直交する幅方向、例えば画像形成装置本体正面側に移動させることより幅方向の整合が行われる。なお、整合板119は、シート束を整合した後、所定量幅方向に退避し、新たなシートが搬送されてくるのを待つ。この後、スタッカトレイ112にシートを順次積載する。
【0051】
ここで、スタッカ制御部210は、紙面検知センサ117を介して排出積載されたシートの上面を常時監視している。そして、シート引込みユニット115(のローレットベルト116)と積載シート上面との間隔が所定量よりも狭くなった場合には、スタッカトレイ112を所定量下降させる。このような制御により、シート引込みユニット115(のローレットベルト116)と積載シート上面との間隔を拡げることができ、後続シートの積載が可能になる。
【0052】
この動作を繰り返すことにより、スタッカトレイ112に順次シートが積載され、やがて所定の積載高さに達し、スタッカトレイ112が満載状態となる。なお、スタッカトレイ112の満載は、排出ローラ対110から排出されるシートを検知するシート検知手段であるタイミングセンサ111の検知信号をスタッカ制御部210でカウントすることにより所定の積載高さに達したことが検知される。あるいは、スタッカ制御部210が、スタッカトレイの下降位置と最上位のシートの位置とを検知することにより、所定の積載高さに達したことが検知される。
【0053】
そして、このような構成によりスタッカトレイ112の満載を検知した場合、スタッカ制御部210が、昇降モータ800を駆動し、スタッカトレイ112を下降させ、スタッカトレイごと、積載されたシート束を図5に示すドリー120(台車)に載置する。なお、このようにスタッカトレイ112が積載された後、取出し手段であるドリー120をスタッカ100から取り出すことにより、スタッカトレイ112に満載されたシート束SAを一体的に取り出すことができる。
【0054】
この後、ドリー120からシート束SAが取り除かれ、再びドリー120とスタッカトレイ112をスタッカ100に取付けた後、スタッカトレイ112を上昇させる。これにより、スタッカトレイ112は、図3の状態に再び戻り、新たなシートの積載が可能となる。
【0055】
図6は、スタッカ100の上部の構成を示す図であり、図6において、100Bは、スタッカ100の上面である。このスタッカ100の上面100Bのトップトレイ106に面する位置には、シート等の物品が載置される移動部材である障害物検知カバー124が回転軸125を支点として上下方向に回動可能(移動可能)に設けられている。
【0056】
なお、図6において、126は障害物検知カバー124を上方に付勢する付勢手段である圧縮ばねである。そして、この圧縮ばね126によって付勢されることにより、障害物検知カバー124は不図示のストッパと圧接し、スタッカ100の上面100Bと同一面を形成する位置に保持される。
【0057】
129は、上下方向に移動可能なトップトレイ上に積載された最上位のシートと排出ローラ対105との間隔を検知するトップトレイ紙面検知センサ、130は満載検知センサである。また、127は圧縮ばね126により回転軸125を中心に反時計回り方向に付勢されている障害物検知カバー上に物品(以下、障害物という)128が置かれて障害物検知カバー124が移動したことを検知する移動検知手段としての障害物検知センサである。なお、この障害物検知センサは、例えば光学的に障害物検知カバー124の移動を検知するものである。
【0058】
ここで、本実施の形態において、障害物検知カバー124は、所定以上の重さを有する障害物128が置かれた場合、圧縮ばね126の付勢力に抗して下方(時計回り)に回動するようになっている。そして、障害物検知センサ127は、障害物128が置かれた場合に、障害物128の荷重によって下方回動した障害物検知カバー124を検知することにより、障害物128が置かれたことを検知する。
【0059】
なお、本実施の形態において障害物検知カバー124を板状の部材として説明するが、これに限らず、例えばボタン形状、棒状、球面形状等であってもよい。ただし、障害物128が置かれたことを広い範囲で検知するにはある程度の面積を持った板状部材を用いる方がよい。
【0060】
また、図6において、131はトップトレイ106上のシートの有無を検知するトップトレイシート有無検知センサである。なお、これらトップトレイ紙面検知センサ129、満載検知センサ130、障害物検知センサ127、トップトレイシート有無検知センサ131は、既述した図2に示すようにスタッカ制御部210に接続される。
【0061】
次に、このように構成されたスタッカ100のトップトレイ106へのシート排出時の動作について説明する。
【0062】
図6では、スタッカ100がスタンバイの状態で画像形成装置本体901からシートが搬送されてくるのを待っている状態である。そして、既述したようにシートがトップトレイ106に排出される場合には、搬送ローラ対104により排出ローラ対105までシートが搬送され、この後、シートは排出ローラ対105によりトップトレイ106に排出積載される。
【0063】
この後、シートが排出ローラ対105から順次排紙され、やがて最上位シートと排出ローラ対105の間隔が所定の距離よりも小さくなると、これをシートの上面位置を検知する紙面検知手段としてのトップトレイ紙面検知センサ129が検知する。そして、このトップトレイ紙面検知センサ129からの検知信号に基づき、スタッカ制御部210はトップトレイ昇降モータ801を駆動し、トップトレイ106を所定量下降させる。これにより、さらにシートをトップトレイ上に積載することができ、この動作を繰返し行うことで、多量のシートがトップトレイ106に積載される。
【0064】
一方、この後、シートがさらに積載され、やがてトップトレイ106が、トップトレイ106に積載されたシートが所定の積載高さに達し、満載状態となったことを示す位置まで下降する。そして、これを満載検知センサ130が検知すると、満載検知センサ130からの検知信号に基づき、スタッカ制御部210は、CPU回路部206にトップトレイ106が満載であることを通知し、積載を終了、あるいは一時停止する。
【0065】
ところで、スタッカ100が動作中、若しくはスタンバイ中にユーザが、図7に示すように、トップトレイ106の稼動領域内、すなわち障害物検知カバー124の上に所定の重さ以上の障害物128を置く場合がある。この場合、障害物128の自重(荷重)により障害物検知カバー124は回転軸125を中心に時計回り方向に回動し、障害物検知カバー124の先端部が障害物検知センサ127を遮光する。これにより、スタッカ制御部210は障害物検知カバー124上に障害物128が置かれたことを検知する。
【0066】
そして、このように障害物検知カバー124上に障害物128が置かれたことを検知すると、スタッカ制御部210はCPU回路部206に障害物を検知したことを示す信号を送信する。これに伴い、CPU回路部206は、通知手段である操作部209に設けられたタッチパネル209aにより、障害物を取り除く旨、あるいはスタッカ上に障害物が置かれた旨の表示を行うと共に、画像形成動作及びシートのスタッカ100への搬送を停止する。
【0067】
なお、この表示を見たユーザが障害物検知カバー124上に置かれた障害物128を除去すると、障害物検知カバー124は圧縮ばね126により回転軸125を中心に反時計回り方向に回動し、図6に示す状態に戻る。また、これに伴い障害物検知センサ127は障害物が取り除かれたことを示す信号を出力し、この信号に基づきスタッカ制御部210は障害物検知カバー124上の障害物128が取り除かれたことを検知する。
【0068】
そして、このように障害物128が取り除かれたことを検知すると、スタッカ制御部210は、これをCPU回路部206に通知する。また、障害物128が取り除かれたことを通知されたCPU回路部206は、画像形成動作及びスタッカ100へのシートの搬送を再開する。
【0069】
ところで、スタッカ100が動作中、若しくはスタンバイ中にユーザが障害物検知カバー上に障害物128を置いた場合、この障害物128が所定の重さ以下の軽いものの場合は図8に示すように障害物検知カバー124は障害物128が乗った状態で静止する。この場合、障害物検知カバー124は回動しないのでスタッカ制御部210は障害物検知カバー124上に障害物128が置かれたことを検知することはできない。
【0070】
このため、この場合、CPU回路部206は、画像形成動作及びスタッカ100へのシートの搬送を継続、若しくは開始する。これにより、シートが順次スタッカ100へ搬送され、この後、トップトレイ106上に排出される。そして、最上位シートと排出ローラ対105の間隔が所定の距離よりも小さくなると、スタッカ制御部210はトップトレイ昇降モータ801を駆動し、トップトレイ106を所定量下降させる。これにより、さらにシートをトップトレイ上に積載することができ、この動作を繰返し行うことで、多量のシートがトップトレイ106に積載される。
【0071】
ところで、このようにシートがトップトレイ106に順次積載され、これに伴いトップトレイ106が下降すると、図9に示すように、トップトレイ106の下面が障害物128に当接し、上方より押えるようになる。そして、このようにトップトレイ106により障害物検知カバー上(移動部材上)に載置された障害物128が上方より押えられると、これに伴い障害物検知カバー124は回転軸125を中心に時計回り方向に回動する。
【0072】
ここで、このように障害物検知カバー124が回動すると、障害物検知カバー124の先端部が障害物検知センサ127を遮光する。これにより、スタッカ制御部210はCPU回路部206に障害物128を検知したことを示す信号を送信する。これに伴い、CPU回路部206は、操作部209に設けられたタッチパネル209aにより、まずトップトレイ106に積載されたシートを取り除く旨の表示を行う。
【0073】
この後、トップトレイ106に積載されたシートが取り除かれ、これをトップトレイシート有無検知センサ131が検知すると、トップトレイ昇降モータ801を駆動制御し、トップトレイ106を最上位置まで上昇させる。そして、このようにトップトレイ106を排出ローラ対105との間隔が所定の距離となる最上位置まで上昇させることにより、障害物128を簡単に取り除くことができる。
【0074】
上述した実施の形態に限らず、トップトレイ106に積載されたシートの一部を残して取り除かれた場合には、トップトレイ紙面検知センサ129が取り除き処理後のシート上面を検知するまでトップトレイ106を上昇させるようにしてもよい。ただし、容易に障害物を除去するためにはトップトレイ106と障害物の間に取り除くための間隔を確保しなければならず、トップトレイ106を所定距離上昇させる必要がある。
【0075】
トップトレイ106が所定距離上昇したかどうかは、トップトレイ昇降モータ801の回転数をカウントすることにより算出した結果で判断する。トップトレイ106が所定距離上昇しない場合は、タッチパネル209aにはトップトレイ106に積載されたシートを取り除く旨の表示が再度行われる。
【0076】
なお、トップトレイ106が最上位置まで上昇した後、タッチパネル209aには障害物128を取り除く表示が行われる。そして、この表示が行われた後、ユーザは障害物128を取り除くと共に、タッチパネル209aに表示された、障害物128を取り除いたことを確認するボタンを押す。これにより、障害物128が除去されたことがCPU回路部206及びスタッカ制御部210に通知され、スタッカ100はトップトレイ106への積載を再開する。
【0077】
次に、このように構成されたスタッカ100のトップトレイへのシート積載動作時の障害物検知について図10に示すフローチャートを用いて説明する。
【0078】
トップトレイ106へのシートの積載がCPU回路部206から指示されると、スタッカ制御部210は、まずトップトレイ106にシートを排出する前に、すなわち積載を開始する前に障害物検知センサ127が障害物を検知しているかを判断する(S100)。このとき、障害物検知センサ127が障害物を検知していない場合は(S100のN)、トップトレイ106にシートを積載する(S120)。
【0079】
この後、トップトレイ106に対するシートの積載が続けられると、シートの積載枚数が増加し、これに伴いトップトレイ106が徐々に下降する。障害物検知カバー124に軽い障害物が載置されている場合、障害物検知センサ127は障害物を検知していないが、トップトレイ106の下降により障害物が押圧され、これに伴い障害物検知カバー124が下方回動すると、障害物検知センサ127が検知する。
【0080】
このように障害物検知センサ127が障害物検知カバー124に載置されている障害物を検知すると(S100のY)、スタッカ制御部210は、トップトレイシート有無センサの信号によりトップトレイ上にシートが積載されているかを確認する(S101)。
【0081】
ここで、トップトレイ上にシートが積載されている場合、即ちトップトレイシート有無センサがONしている場合には(S101のY)、トップトレイ上のシートを取り除く旨の表示をタッチパネル209aに表示する(S102)。この後、トップトレイ上のシートが除去され、トップトレイシート有無センサがOFFすると(S101のN)、スタッカ制御部210は、トップトレイ昇降モータ801を駆動制御し、トップトレイ106を最上位置まで上昇させる(S103)。
【0082】
なお、このときトップトレイ上のシートは取り除かれているので、トップトレイ106は最上位置まで上昇することができる。そして、このようにトップトレイ106を最上位置まで上昇させることにより、障害物128とトップトレイ106との間の空間を拡げることができ、障害物128を除去し易くすることができる。
【0083】
次に、CPU回路部206は操作部209に設けられたタッチパネル209aに障害物を取り除く表示を行う(S104)。ここで、ユーザは、この表示に基づき障害物128を除去し、この後、障害物128を除去したことを確認する、例えば了解のボタンを押す等の操作を行う。そして、この操作により、障害物128を除去したことを示す作業完了の情報が入力(通知)されると(S105のY)、スタッカ制御部210は、トップトレイ106に対するシートの積載を再び開始する(S106)。そして、この後、満載検知センサ130が満載を検知する、又はシートの積載が完了すると(S107のY)、シートの積載を終了する。
【0084】
なお、本実施の形態においては、図11に示すように、障害物検知センサ127からの信号により障害物が取り除かれたと判断した後、トップトレイ106を稼動領域全域にわたって昇降させるようにしている。つまり、障害物検知センサ127による検知が解除された後、トップトレイ106へのシートの積載を再開する前に、トップトレイ106を、一旦、下降させるようにしている。
【0085】
これにより、障害物が取り除かれたかどうかを自動的に検知することができる。そして、このように障害物が無いことを確認した後、トップトレイ106への積載を再開させることにより、より確実に、下方にある物品を確実に除去した状態でトップトレイ106にシートを積載することができる。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態においては、障害物検知カバー124の移動を検知すると、シート積載を停止させると共に、障害物検知カバー124に載置された物品の取り除きが可能な位置までトップトレイ106を上昇させるようにしている。これにより、障害物の除去を簡単に行うことができる。
【0087】
また、本実施の形態では、既述したように障害物検知カバー124の移動を検知すると、トップトレイ上のシートを除去した後、トップトレイ106を上昇させるようにしている。これにより、障害物検知カバー124の移動を検知したときのトップトレイ106のシート積載量に拘らず、トップトレイ106を最上位置まで上昇させることができる。
【0088】
なお、これまでの説明においては、トップトレイ106の下降による障害物の押圧に基づいて障害物検知カバー124が回動することにより障害物を検知する構成について述べてきたが、本発明はこれに限らない。例えば、障害物検知カバーとして障害物が載置されると移動(下降)するものを用い、この障害物検知カバーの移動を検知することにより障害物を検知するようにしても良い。
【0089】
また、障害物の自重で障害物検知カバーを移動させた場合でも、トップトレイ106を最上位置まで上昇させるようにしてもよい。このようにすることで、トップトレイ106と障害物が接近している場合はもちろん、あらゆる場合において障害物の除去が容易になる。さらにいうならば、トップトレイ稼動領域に障害物が置かれたことを検知する構成の障害物検知カバーであれば、本発明と同様の効果を得ることが出来る。
【0090】
また、これまでの説明では、障害物が載置されたこと及び障害物が除去されたことをユーザへの通知(報知)するための手段としてタッチパネルを用いる場合について述べてきたが、本発明はこれに限らない。例えば、スタッカ表示部を設けて障害物の載置及び障害物の除去を表示したり、音声等で通知したりすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート積載装置を備えた画像形成装置の構成を示す図。
【図2】上記画像形成装置に設けられたコントローラの制御ブロック図。
【図3】上記スタッカの構成を示す図。
【図4】上記スタッカのシート積載動作を説明するフローチャート。
【図5】上記スタッカのスタッカトレイが満載状態となって下降し、積載されたシート束ごとドリーに載置された状態を示す図。
【図6】上記スタッカの上部の構成を示す図。
【図7】上記スタッカの上面に設けられた障害物検知カバーに障害物が置かれたときの状態を示す図。
【図8】上記スタッカの上面に設けられた障害物検知カバーから障害物が除去されたときの状態を示す図。
【図9】上記障害物検知カバーに軽い障害物が置かれたときの状態を示す図。
【図10】上記トップトレイへのシート積載動作を説明するフローチャート。
【図11】上記スタッカの障害物の有無を確認する動作を説明する図。
【図12】従来のシート積載装置の構成を示す図。
【図13】従来の他のシート積載装置の構成を示す図。
【符号の説明】
【0092】
100 スタッカ
100B スタッカの上面
106 トップトレイ
117 紙面検知センサ
124 障害物検知カバー
126 圧縮ばね
127 障害物検知センサ
128 障害物
129 トップトレイ紙面検知センサ
130 満載検知センサ
131 トップトレイシート有無検知センサ
205 プリンタ制御部
206 CPU回路部
209 操作部
209a タッチパネル
210 スタッカ制御部
800 昇降モータ
801 トップトレイ昇降モータ
900 画像形成装置
901 画像形成装置本体
902 画像形成部
S シート
SA シート束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載する昇降可能なシート積載部を備え、シートの積載量の増加に伴い前記シート積載部を下方に移動させるシート積載装置において、
前記シート積載部を昇降させる駆動手段と、
前記シート積載部の下方に移動可能に設けられている移動部材と、
前記移動部材の移動を検知する移動検知手段と、を備え、
シートの積載が開始された後、前記移動部材の移動を検知すると、前記シート積載部へのシートの積載を停止させ、前記シート積載部を上昇させるよう前記駆動手段の駆動を制御することを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記移動検知手段は、シートの積載が開始された後、前記シート積載部の下降による移動部材上に載置された物品の押圧に基づく前記移動部材の移動を検知すると、前記シート積載部へのシートの積載を停止させ、前記シート積載部を上昇させるよう前記駆動手段の駆動を制御することを特徴とする請求項1記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記シート積載部に積載されたシートの有無を検知するシート有無検知手段を備え、
前記移動検知手段が前記移動部材の移動を検知すると、前記シート積載部へのシートの積載を停止させ、前記シート有無検知手段により前記シート積載部に積載されたシートが取り除かれたことを検知した後、前記シート積載部を所定距離上昇させるよう前記駆動手段を駆動することを特徴とする請求項1又は2記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記シート積載部に積載されたシートの上面位置を検知する紙面検知手段を備え、
前記移動検知手段が前記移動部材の移動を検知すると、前記シート積載部へのシートの積載を停止させ、前記紙面検知手段により前記シート積載部に積載されたシートが取り除かれた後のシート上面を検知するまで、前記シート積載部を上昇させるよう前記駆動手段を駆動することを特徴とする請求項1又は2記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記移動部材は、前記移動部材を前記シート積載部の方向に付勢する付勢手段を備え、
前記移動部材は、所定の重さ以上の物品が載置されると、前記付勢手段の付勢力に抗して下方に移動し、所定の重さ以下の物品が載置されると、シートの積載に伴って下方に移動する前記シート積載部によって前記物品が押圧されることにより、前記付勢手段の付勢力に抗して下方に移動することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項6】
前記移動部材に載置された物品を除去したことを通知する通知手段を設け、
前記通知手段からの前記物品の除去の通知に基づき前記シート積載部へのシートの積載を再開することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項7】
前記通知手段からの通知の後、前記シート積載部へのシートの積載を開始する前に一旦、前記シート積載部を下降させるよう前記駆動手段の駆動を制御することを特徴とする請求項6記載のシート積載装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成部と、画像形成されたシートを積載する請求項1ないし7のいずれか1項に記載のシート積載装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−203010(P2009−203010A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47143(P2008−47143)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】