説明

シート調整装置及びそのシート調整装置を備えた車両用シート装置

【課題】回動自在に連結された第1シート部材及び第2シート部材のなす回動角度の調整に係る回転調整機構に要するモーメント強度を低減することができるシート調整装置及びそのシート調整装置を備えた車両用シート装置を提供する。
【解決手段】上部サイドフレームの上端に掛かる荷重Foによってヒンジ軸33による上部サイドフレーム(アッパ部材32)及びロア部材31の連結点である第1連結点P1に掛かるモーメントに基づく、ロア部材31からアーム部及びガイドピン52(ガイド孔53)の連結点である第2連結点P2に掛かる荷重の作用線A2に直交する方向において、第1連結点P1から第2連結点P2までの距離L1よりも、該第2連結点P2から回動部の中心点Cまでの距離L2の方が短くなるように設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動自在に連結された第1シート部材及び第2シート部材のなす回動角度を調整するシート調整装置、及び上下方向に分割されているシートバックの下部に対し上部を前記シート調整装置により前後方向に傾動可能とした車両用シート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、こうした車両用シート装置として種々のものが提案されている(例えば特許文献1、2など)。これらの車両用シート装置のシートバックは、該車両用シート装置に着座する乗員の腰部を支持可能な下部と、肩甲骨を支持可能な上部とに分割されている。シートバックの上部の骨格をなす上部フレーム(第1シート部材)及び下部の骨格をなす下部フレーム(第2シート部材)は、シート調整装置によりそれらの間が連結されることで、下部フレームに対する上部フレームの前後方向の傾動が可能となっている。
【0003】
特に、特許文献1では、シート調整装置(中折れ機構)を主としてリンク機構で構成することで下部フレーム及び上部フレームの見かけ上の回動中心を、シートバックフレーム前面を被覆するシートバック表皮よりも前方に配置することが提案されている。これにより、シートバックの上部が傾動する際の動きが、乗員が前方に屈曲する際の動きに近付き、シートバックの上部にて乗員の背中が押されることが抑制されるとともに、圧迫感や窮屈感が軽減されるとしている。
【0004】
一方、特許文献2では、上部フレーム(第1シート部材)及び下部フレーム(第2シート部材)は、乗員に近い側に配置されたヒンジ軸によって回動自在に連結されるとともに、中折れ機構によりそれらの間が連結されている。中折れ機構は、上部フレームに一方の端部が回動自在に連結された第1リンクと、下部フレームに一方の端部が回動自在に連結され第1リンクに他方の端部が回動自在に連結された第2リンクと、駆動装置と、該駆動装置により往復直線伸縮運動可能な伸縮機構とを備えて構成される。そして、伸縮機構に第1リンクの他方の端部が回動自在に連結されるとともに、駆動装置に第2リンクの他方の端部が回動自在に連結されている。なお、伸縮機構は、例えばスクリュー・ナット機構で構成されている。この場合、第1リンク及び第2リンクの連結点、上部フレーム及び第1リンクの連結点、下部フレーム及び第2リンクの連結点、第1リンク及び伸縮機構の連結点、下部フレーム及び駆動装置の連結点の各配置の設定により、上部フレームの上端への荷重入力時、第1リンク及び伸縮機構の連結点に掛かる荷重を、上部フレーム及び第1リンクの連結点に掛かる荷重よりも低減している。これにより、伸縮機構が小荷重に耐え得る簡易な構造とされるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−11603号公報
【特許文献2】特開2010−228602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、シート調整装置がリンク機構からなることで、これを構成する全てのリンクやそれらの回動軸部の強度を十分に確保する必要があり、板厚増大など装置全体としての大型化を余儀なくされる。
【0007】
一方、特許文献2では、前記した各連結点の設定によって、第1リンク及び伸縮機構の連結点や該伸縮機構自体に掛かる荷重の低減が図られている。しかしながら、車両用シート装置が、シートベルトの巻取り装置が内蔵されるとともにショルダーアンカ部がシートバックの上端に設けられる、いわゆるシートベルト一体シートの場合には、例えば車両衝突時に伸縮機構の回動軸から離隔するシートバック(上部フレーム)の上端にシートベルトの張力として著しい荷重が掛かることとなる。この場合、伸縮機構の回動軸に、該回動軸までの距離とシートベルトの張力との乗数に相関する著しいモーメントが掛けられることになり、伸縮機構自体の強度(モーメント強度)を十分に確保する必要がある。このため、伸縮機構を構成するスクリュー及びナットの大型化、ひいては装置全体としての大型化を余儀なくされる。
【0008】
本発明の目的は、回動自在に連結された第1シート部材及び第2シート部材のなす回動角度の調整に係る回転調整機構に要するモーメント強度を低減することができるシート調整装置及びそのシート調整装置を備えた車両用シート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ヒンジ軸により相対回動自在に支持される第1シート部材及び第2シート部材のなす回動角度を調整するシート調整装置において、前記第1シート部材に固定される固定部と、前記ヒンジ軸の軸線に平行な軸線で前記固定部に回動可能に連結される回動部とを有し、前記固定部及び前記回動部のなす回転角度を調整する回転調整機構と、前記回動部に設けられ、該回動部の軸心における径方向に延出するアーム部と、前記第2シート部材と前記アーム部との間に設けられ、前記ヒンジ軸の軸線に対する前記回動部の軸線の偏心分を吸収した状態で、前記固定部に対する前記回動部の回転に連動して前記第1シート部材及び前記第2シート部材を相対回動させる連結手段とを備え、前記第1シート部材及び前記第2シート部材のいずれか一方の先端に掛かる荷重によって前記ヒンジ軸による前記第1シート部材及び前記第2シート部材の連結点である第1連結点に掛かるモーメントに基づく、前記第1シート部材及び前記第2シート部材のいずれか他方から前記アーム部及び前記連結手段の連結点である第2連結点に掛かる荷重の作用線に直交する方向において、前記第1連結点から前記第2連結点までの距離よりも、該第2連結点から前記回動部の軸心までの距離の方が短くなるように設定したことを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、例えば前記第1シート部材及び前記第2シート部材のいずれか一方の先端に著しい荷重が掛かると、前記第1連結点に著しいモーメントが掛かる。これに伴い、前記第2連結点において、前記第1シート部材及び前記第2シート部材のいずれか他方から荷重(反力)を受けると、該荷重に基づいて前記回動部の軸心(回転調整機構)にモーメントが掛かる。このときのモーメントは、前記第1連結点におけるモーメントに、前記第1連結点から前記第2連結点までの前記距離に対する前記第2連結点から前記回動部の軸心までの前記距離の比の値を乗じた大きさになる。この場合、前記第1連結点から前記第2連結点までの前記距離よりも、前記第2連結点から前記回動部の軸心までの前記距離の方が短くなるように設定されていることで、その分だけ前記回動部の軸心(回転調整機構)におけるモーメントの大きさが縮小される。従って、前記回転調整機構に要する強度(モーメント強度)を低減することができ、ひいては該回転調整機構の大型化を抑制することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシート調整装置において、前記連結手段は、前記アーム部及び前記第2シート部材のいずれか一方に突設されたガイドピンと、前記アーム部及び前記第2シート部材のいずれか他方に形成され、前記ガイドピンの挿入される長穴状のガイド部とを備え、前記固定部に対する前記回動部の回転に伴い、前記ガイド部内で前記ガイドピンを移動させることで、前記ヒンジ軸の軸線に対する前記回動部の軸線の偏心分を吸収してなることを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、前記固定部に対する前記回動部の回転に伴い、前記ガイド部内で前記ガイドピンを移動させることで、前記ヒンジ軸の軸線に対する前記回動部の軸線の偏心分を吸収することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のシート調整装置において、前記連結手段は、前記アーム部及び前記第2シート部材のいずれか一方に突設されたガイドピンと、前記アーム部及び前記第2シート部材のいずれか他方に形成された軸受部と、前記軸受部に軸支され、該軸受部の軸線とは異なる軸線で前記ガイドピンを軸支する軸受穴を有する軸部材とを備え、前記固定部に対する前記回動部の回転に伴い、前記軸受部内で前記軸部材を回動させることで、前記ヒンジ軸の軸線に対する前記回動部の軸線の偏心分を吸収してなることを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、前記固定部に対する前記回動部の回転に伴い、前記軸受部内で前記軸部材を回動させることで、前記ヒンジ軸の軸線に対する前記回動部の軸線の偏心分を吸収することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のシート調整装置において、前記連結手段は、前記ヒンジ軸の軸線及び前記回動部の軸線に平行な軸線で前記第2シート部材に一方の端部が回動自在に連結され、前記アーム部に他方の端部が回動自在に連結された棒部材であり、前記固定部に対する前記回動部の回転に伴い、前記棒部材を揺動させることで、前記ヒンジ軸の軸線に対する前記回動部の軸線の偏心分を吸収してなることを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、前記固定部に対する前記回動部の回転に伴い、前記棒部材を揺動させることで、前記ヒンジ軸の軸線に対する前記回動部の軸線の偏心分を吸収することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、シートクッション及びシートバックを備えた車両用シート装置において、前記シートバックは、前記シートクッション内に配設されたシートクッションフレームの後端部に対して傾動可能に下端部で支持された前記第1シート部材及び前記第2シート部材のいずれか一方を構成する下部フレームと、前記下部フレームの上部に配設された前記第1シート部材及び前記第2シート部材のいずれか他方を構成する上部フレームと、前記上部フレーム及び前記下部フレームのなす前後方向の傾斜角度を調整する請求項1〜4のいずれか一項に記載のシート調整装置とを備えていることを要旨とする。
【0018】
同構成によれば、前記シート調整装置により、前記上部フレーム及び前記下部フレームのなす前後方向の傾斜角度を調整することで、前記シートバックの姿勢をより細やかに調整することができ、座り心地の快適性を向上することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両用シート装置において、前記ヒンジ軸の軸線は、前記回動部の軸線よりも前記シートバックの前側に配置されていることを要旨とする。
【0020】
同構成によれば、前記ヒンジ軸の軸線は、前記回動部の軸線よりも前記シートバックの前側、即ち乗員側に配置されていることで、前記シートバックの上部(上部フレーム)が傾動する際の動きが、乗員が前方に屈曲する際の動きにより近付く。従って、前記シートバックの上部にて乗員の背中が押されることを抑制でき、圧迫感や窮屈感を軽減することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の車両用シート装置において、前記上部フレーム及び前記下部フレームをそれぞれ幅方向に対で備え、幅方向一側の前記上部フレームの上端に設けられたシートベルトのショルダーアンカ部を備え、前記シート調整装置は、前記ショルダーアンカ部の設けられた幅方向一側にのみ配置されていることを要旨とする。
【0022】
同構成によれば、車両用シート装置が、前記上部フレームの上端に前記ショルダーアンカ部の設けられる、いわゆるシートベルト一体シートの場合には、例えば車両衝突時に幅方向において前記ショルダーアンカ部の配置側により大きな荷重が掛かることになる。従って、このような荷重特性に合わせて当該幅方向一側にのみ前記シート調整装置を配置することで、必要な強度を確保しながらも部品点数を削減することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、回動自在に連結された第1シート部材及び第2シート部材のなす回動角度の調整に係る回転調整機構に要するモーメント強度を低減することができるシート調整装置及びそのシート調整装置を備えた車両用シート装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明が適用される車両用シート装置を概略的に示す側面図。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す斜視図。
【図3】同実施形態を示す分解斜視図。
【図4】(a)(b)は、同実施形態における上部シートバックの後傾位置及び前傾位置を示す側面図。
【図5】同実施形態のモーメント等を説明する概略図。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す分解斜視図。
【図7】同実施形態のモーメント等を説明する概略図。
【図8】本発明の第3の実施形態を示す分解斜視図。
【図9】同実施形態のモーメント等を説明する概略図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
図1を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。同図1に示すように、例えば自動車などの車両の前席側に搭載される車両用シート装置は、乗員の着座部をなすシートクッション1の後端部に、背もたれ部をなすシートバック2がその下端部において前後方向に傾動自在に支持されてなる。そして、シートバック2は、乗員の腰部を支持可能な下部シートバック21と、肩甲骨を支持可能な上部シートバック22とに分割されている。シートバック2は、下部シートバック21の下端部においてシートクッション1の後端部に前後方向に傾動自在に支持されている。また、シートバック2(上部シートバック22)の上端には、乗員の頭部を支えるためのヘッドレスト3が上下方向に進退自在に設置されている。
【0026】
すなわち、シートクッション1の幅方向(図1において紙面に直交する方向)両側には、その骨格をなす例えば金属板からなる対のシートクッションフレーム5が配設されるとともに、これら両シートクッションフレーム5の後端部には、周知のリクライニング機構6がそれぞれ設置されている。一方、図2に併せ示すように、下部シートバック21の骨格をなす例えば金属板からなる下部シートバックフレーム23は、幅方向両側に配設された第2シート部材及び下部フレームとしての対の下部サイドフレーム23a,23bを有するとともに、両下部サイドフレーム23a,23b間をそれらの下端部で橋渡しする接続フレーム23cを有する。下部シートバックフレーム23は、各下部サイドフレーム23a,23bの下端部において、リクライニング機構6を介してシートクッションフレーム5の後端部に連結されている。
【0027】
これにより、シートクッションフレーム5に対する下部シートバックフレーム23の前後方向の傾動が可能となって、シートクッション1に対する下部シートバック21(シートバック2)の前後方向の傾動が可能となる。あるいは、シートクッション1に対する下部シートバック21(シートバック2)の前後方向の傾斜角度がその可動範囲内で任意に保持可能となる。なお、下部シートバックフレーム23の一側(図2の右側)の下部サイドフレーム23aの上端部には、その幅方向外側面において、例えば金属板からなる第2シート部材及び下部フレームとしてのロア部材31が溶接にて固着されている。
【0028】
上部シートバック22の骨格をなす例えば金属板からなる上部シートバックフレーム24は、幅方向両側に配設された第1シート部材及び上部フレームとしての対の上部サイドフレーム24a,24bを有するとともに、両上部サイドフレーム24a,24b間をそれらの下端部で橋渡しする接続フレーム24cを有する。また、高低差のある両上部サイドフレーム24a,24bの上端間は、例えば略L字状の金属棒からなる接続バー25によって橋渡しされている。そして、上部シートバックフレーム24の一側(図2の右側)の上部サイドフレーム24aの下端部には、その幅方向内側面において、例えば金属板からなる第1シート部材及び上部フレームとしてのアッパ部材32が溶接にて固着されている。
【0029】
ロア部材31及びアッパ部材32の両下端部前部は、それらを幅方向に貫通する略段付き円柱状のヒンジ軸33によって相対回動自在に支持されている。また、下部シートバックフレーム23の他側(図2の左側)の下部サイドフレーム23bの上端部及び上部シートバックフレーム24の他側の上部サイドフレーム24bの下端部は、それらを幅方向に貫通するピン状のヒンジ軸34によって相対回動自在に支持されている。これら両ヒンジ軸33,34の軸線が一致することはいうまでもない。これにより、下部シートバックフレーム23に対する上部シートバックフレーム24の前後方向の傾動が可能となって、下部シートバック21に対する上部シートバック22の前後方向の傾動が可能となる。
【0030】
なお、ロア部材31及びアッパ部材32の配置側である上部サイドフレーム24aの上端には、シートベルトのショルダーアンカ部26が設置されている。つまり、本実施形態の車両用シート装置は、シートバック2内にシートベルトの巻取り装置(図示略)が内蔵される、いわゆるシートベルト一体シートとなっている。ショルダーアンカ部26の配置側は、車両幅方向において車外側に相当する。
【0031】
ここで、ロア部材31及びアッパ部材32間に形成される幅方向の空間には、シート調整装置40が搭載されている。すなわち、図3に示すように、前記ヒンジ軸33は、ロア部材31に形成された円形の軸受孔31aに遊挿されるねじ部33aを有するとともに、該ねじ部33aよりも拡径されて軸受孔31aに軸支される略円柱状の軸部33bを有する。また、ヒンジ軸33は、軸部33bよりも更に拡径された略円柱状の中間軸部33cを有するとともに、該中間軸部33cよりも縮径されてアッパ部材32に形成された円形の取付孔32aに挿入・溶接にて一体回転するように固着される略円柱状の取付部33dを有する。ロア部材31及びアッパ部材32は、該アッパ部材32に固着されたヒンジ軸33の軸部33bがロア部材31の軸受孔31aに軸支されるとともに、該軸受孔31aから突出するねじ部33aにナット35が締め付けられることで相対回動可能に締結される。このとき、ロア部材31及びアッパ部材32間にヒンジ軸33の中間軸部33cが介在されることで幅方向の空間が確保されている。
【0032】
アッパ部材32には、取付孔32aの上側後方となる略中央部でその軸線に平行な軸線を有する円形の軸挿通孔32bが形成されるとともに、該軸挿通孔32b周りとなるロア部材31の対向面側で、ハイポサイクロイド減速機で構成される汎用の回転調整機構41が設置されている。
【0033】
この回転調整機構41は、軸挿通孔32bと同心でアッパ部材32に溶接にて固着された略有底円筒状の固定部42を備える。この固定部42は、金属板の半抜き(ハーフブランキング)により成形されたもので、その内周部に内歯歯車42aを有するとともに、中央部に円筒状のボス部42bを有する。また、回転調整機構41は、金属板の半抜きにより成形された回動部43を備える。この回動部43は、固定部42の内径(内歯歯車42aの歯先内径)よりも小さい外径を有して固定部42側に円環状に突設された円環部44を有する。この円環部44は、外周部に外歯歯車44aを有するとともに、中央部にボス部42bの外径よりも大きい内径の円筒状のボス部44bを有する。
【0034】
ここで、内歯歯車42aは、外歯歯車44aよりも所定枚数(例えば1枚)だけ多い歯数を有しており、内歯歯車42aの歯形は外歯歯車44aと噛み合うように成形されている。そして、内歯歯車42a及び外歯歯車44aが噛み合う状態では、内歯歯車42aの軸線と外歯歯車44aの軸線とが偏心している。
【0035】
内歯歯車42a及び外歯歯車44aの偏心した噛合いにより、ボス部42bの外周面とボス部44bの内周面との間に形成される環状の空間には、これら内歯歯車42a及び外歯歯車44aの噛み合う角度位置及びその反対側の角度位置で周方向で2分された互いに対称形状の一対の楔部材45,46が装着されている。これら楔部材45,46は、ボス部42bの外径よりも大きい内径を有する内壁面及びボス部44bと同心でその内径と同等の外径を有する外壁面にて略弓形に成形されており、内歯歯車42a及び外歯歯車44aの噛み合う角度位置側となる周方向先端部側に向かって径方向の幅が広くなっている。そして、両楔部材45,46は、いわゆるΩ形状の保持スプリング47によって互いに押し広げられるように、即ち内歯歯車42a及び外歯歯車44aの偏心量を増加させる側に付勢されている。これにより、楔部材45,46は、その内壁面をボス部42bの外周面に線接触させる態様で、外壁面においてボス部44bの内周面に軸支され、内歯歯車42a及び外歯歯車44aの噛み合い位置及び中心位置を保持する。なお、楔部材45,46には、ボス部42b,44bの外側に突出する突起部45a,46aが形成されている。
【0036】
固定部42及び回動部43の中央部に配置される駆動カム48は、ボス部42bの内周面に軸支される略円筒状の軸部48aを有するとともに、ボス部42bから突出する軸部48aの先端から径方向外側に延出するカム部48bを有する。カム部48bは、切り欠き48cを有して扇形状を呈しており、駆動カム48がボス部42b周りに回転する際に切り欠き48cで楔部材45,46の突起部45a,46aを押圧等することでこれらを一体回転させる。このとき、楔部材45,46に押圧される保持スプリング47がその付勢力に抗して縮径することで、楔部材45,46の内壁面とボス部42bの外周面との接触位置が移動するとともに、内歯歯車42a及び外歯歯車44aの偏心量が変化する。そして、両楔部材45,46の移動により、内歯歯車42a及び外歯歯車44aの噛合い状態を保ったまま回動部43が公転し、この公転時における回動部43の自転数として駆動カム48の回転が減速される。すなわち、回動部43は、駆動カム48の1回転ごとに内歯歯車42a及び外歯歯車44aの歯数の差分相当の角度だけ固定部42に対し回動する。なお、駆動カム48には、多角形の嵌合孔48dが形成されている。
【0037】
固定部42は、その外周縁部に嵌着・溶接にて固着される環状の押え部材49によって、回動部43を前述の回転等を許容する状態で保持する。
回動部43には、ロア部材31の対向面側で、例えば金属板からなるアーム部材50が溶接にて固着されている。このアーム部材50は、外歯歯車44a等と同心の円形の軸挿通孔50aを有するとともに、該軸挿通孔50aの中心(即ち回動部43の軸心)における径方向に延出するアーム部50bを有する。なお、アーム部50bの先端部には、前記ヒンジ軸33の軸線及び回動部43の軸線に平行な軸線を有する円形の取付孔50cが形成されている。
【0038】
取付孔50cには、これを幅方向に貫通する略段付き円柱状のガイドピン52が固定されている。すなわち、このガイドピン52は、取付孔50cに遊挿されるねじ部52aを有するとともに、該ねじ部52aよりも拡径されて取付孔50cに挿入・溶接にて固着される略円柱状の軸部52bを有し、更に該軸部52bよりも拡径されて回動部43の対向面側で取付孔50cの周縁部に当接されるフランジ52cを有する。
【0039】
一方、ロア部材31の上端部には、アーム部50bの延在方向に略沿って延在するガイド部としての略小判状のガイド孔53が形成されている。そして、このガイド孔53には、ブッシュ54が装着されている。このブッシュ54は、取付孔50cの内径(軸部52bの外径)と同等の内径を有してこれに同心の円形の軸受孔54aを有するとともに、ガイド孔53に挿入される略小判柱状の摺動部54bを有し、更に該摺動部54bよりも拡径されて回動部43の反対面側でガイド孔53の周縁部に当接されるフランジ54cを有する。なお、摺動部54bの長手方向の長さは、ガイド孔53の長手方向の長さよりも短く設定されている。また、摺動部54bの短手方向の長さは、ガイド孔53の短手方向の長さと同等に設定されている。これにより、ブッシュ54は、ガイド孔53の長手方向に移動可能に、且つ、該ガイド孔53の短手方向に移動不能に支持されている。
【0040】
アーム部材50の取付孔50cに固着されたガイドピン52は、取付孔50cから突出する軸部52bの先端部が、ガイド孔53に装着されたブッシュ54の軸受孔54aに軸支されるとともに、該軸受孔54aから突出するねじ部52aにナット55が締め付けられることで、ロア部材31及びアーム部材50を締結する。
【0041】
アッパ部材32には、固定部42の反対面側で、段付きボルト59により減速部56が締結されている。この減速部56は、電動モータ57の回転軸に駆動連結されており、該回転軸の回転を減速してその出力軸(図示略)から出力する。そして、この出力軸に一体回転するように連結された多角柱状のシャフト58は、軸挿通孔32b及びボス部42bに遊挿されて前記駆動カム48の嵌合孔48dに嵌合する。
【0042】
従って、電動モータ57により減速部56を介してシャフト58が回転駆動されることで、該シャフト58と一体で駆動カム48が回転する。この駆動カム48の回転が回転調整機構41において減速されて回動部43(及びアーム部材50)に伝達されることは既述のとおりである。このとき、アーム部材50(アーム部50b)に支持されたガイドピン52は、ブッシュ54を介して、ガイド孔53の長手方向に摺動しつつ、該ガイド孔53の短手方向の内壁面を押圧する。これにより、回転調整機構41における固定部42及び回動部43のなす回転角度の調整に伴って、ヒンジ軸33を中心とするロア部材31及びアッパ部材32のなす前後方向の傾斜角度が調整される。換言すれば、固定部42に対する回動部43の回転に際し、ガイド孔53内でガイドピン52が移動することで、ヒンジ軸33の軸線に対する回動部43の軸線の偏心分が吸収されている。つまり、ガイドピン52及びガイド孔53等は、ヒンジ軸33の軸線に対する回動部43の軸線の偏心分を吸収した状態で、固定部42に対する回動部43の回転に連動するロア部材31及びアッパ部材32(下部サイドフレーム23a及び上部サイドフレーム24a)の前後方向の相対回動を許容する連結手段51を構成する。
【0043】
具体的には、図4(a)に示すように、ガイド孔53の上側寄りにガイドピン52が配置されている状態では、ロア部材31(下部サイドフレーム23a)及びアッパ部材32(上部サイドフレーム24a)が概ね直線状に繋がるようにその姿勢が調整・保持されている。一方、図4(b)に示すように、ガイド孔53の下側寄りにガイドピン52が配置されている状態では、ロア部材31(下部サイドフレーム23a)に対しアッパ部材32(上部サイドフレーム24a)が前側寄りに傾斜するようにその姿勢が調整・保持されている。
【0044】
このように、固定部42に対する回動部43(及びアーム部材50)の回転に伴って、ガイド孔53内でガイドピン52が移動することで、ヒンジ軸33を中心にロア部材31(下部サイドフレーム23a)に対しアッパ部材32(上部サイドフレーム24a)が傾動する。すなわち、アーム部材50の時計回りの回転によりガイド孔53内でガイドピン52が下側に移動すると、ロア部材31(下部サイドフレーム23a)に対しアッパ部材32(上部サイドフレーム24a)が前傾する。反対に、アーム部材50の反時計回りの回転によりガイド孔53内でガイドピン52が上側に移動すると、ロア部材31(下部サイドフレーム23a)に対しアッパ部材32(上部サイドフレーム24a)が後傾する。一方、固定部42に対する回動部43の回転停止に伴い、ガイド孔53内でのガイドピン52の移動が停止することで、該ガイドピン52の停止位置に応じて、ヒンジ軸33を中心とするロア部材31(下部サイドフレーム23a)に対するアッパ部材32(上部サイドフレーム24a)の傾斜角度を保持する。
【0045】
次に、ロア部材31、アッパ部材32(上部サイドフレーム24a)、ヒンジ軸33、回転調整機構41、アーム部材50及びガイドピン52等の配置と、回転調整機構41に掛かるモーメントとの関係について説明する。なお、以下では、便宜的にヒンジ軸33等の軸線に直交する単一の平面(即ち紙面)で定義される二次元空間を用いて簡略的に説明する。これは、回転調整機構41に掛かる支配的なモーメントのみを考慮すれば事足りることによる。
【0046】
図5に模式的に示したように、ヒンジ軸33によるロア部材31及びアッパ部材32の連結点を第1連結点P1とし、ガイドピン52(ガイド孔53)及びアーム部50bの連結点を第2連結点P2とする。また、回動部43の軸心を中心点Cとする。
【0047】
ここで、例えば上部サイドフレーム24aの上端に概ね前後方向の荷重Foが掛かったとして、該荷重Foの作用線A1に直交する方向(概ね高さ方向に一致)での第1連結点P1から作用線A1までの距離を距離Hとする。このときのモーメントの大きさ、即ち第1連結点P1におけるモーメントの大きさM1は、下式によって表される。
【0048】
M1=Fo・H
このとき、ロア部材31から第2連結点P2に反力として荷重Roが掛かったとすると、該荷重Roの作用線A2は、第1及び第2連結点P1,P2を結ぶ直線に直交する第2連結点P2を通る直線に一致する。そして、この作用線A2に直交する方向での第1連結点P1から第2連結点P2までの距離を距離L1とすると、モーメントのつり合いから荷重Roは、下式によって表される。
【0049】
Ro=M1/L1=Fo・H/L1
そして、作用線A2に直交する方向での第2連結点P2から中心点Cまでの距離を距離L2とすると、該中心点Cに掛かるモーメントの大きさMoは、下式によって表される。
【0050】
Mo=Ro・L2=Fo・H・L2/L1
本実施形態では、下部サイドフレーム23aに対する上部サイドフレーム24aのヒンジ軸33を中心とする傾動範囲内において、第1連結点P1から第2連結点P2までの前記距離L1よりも、第2連結点P2から中心点Cまでの前記距離L2の方が短くなるように設定されている(L1>L2)。換言すれば、下部サイドフレーム23aに対する上部サイドフレーム24aのヒンジ軸33を中心とする傾動範囲は、上記設定(L1>L2)が覆ることがないように制限されている。従って、前記距離L1に対する前記距離L2の比の値(=L2/L1)が「1」未満になり、中心点C(即ち回転調整機構41)に掛かるモーメントの大きさMoは、上部サイドフレーム24aの上端に掛かるモーメントの大きさM1よりも縮小され、回転調整機構41に必要なモーメント強度が低減される。この回転調整機構41に必要なモーメント強度の低減は、距離L1を長く設定するほど、距離L2を短く設定するほど効果的である。本実施形態では、回動部43の軸心における径方向であって、ヒンジ軸33(第1連結点P1)から離隔する径方向にアーム部50bを延出させて、該アーム部50bに第2連結点P2を配置したことで、前記距離L1が比較的大きく確保されている。そして、ヒンジ軸33(第1連結点P1)及び第2連結点P2間を利用して回動部43(回転調整機構41)を配置したことで、前記距離L2が前記距離L1よりも小さくなる前記した設定を簡易に実現している。
【0051】
次に、本実施形態の動作について説明する。
例えば乗員により適宜の操作スイッチが操作されて、電動モータ57が駆動されたとする。これに伴い、電動モータ57により減速部56を介してシャフト58が回転駆動されると、該シャフト58と一体で駆動カム48が回転する。この駆動カム48の回転が回転調整機構41において減速されて回動部43(及びアーム部材50)に伝達されると、アーム部材50(アーム部50b)に支持されたガイドピン52がブッシュ54を介して、ガイド孔53の長手方向に摺動しつつ、該ガイド孔53の短手方向の内壁面を押圧する。これにより、ヒンジ軸33を中心にロア部材31に対しアッパ部材32が回動し、下部サイドフレーム23aに対し上部サイドフレーム24aが前後方向に傾動する。
【0052】
また、上部サイドフレーム24aの傾動は、接続バー25を介して反対側の上部サイドフレーム24bに伝達される。これにより、ヒンジ軸34を中心に下部サイドフレーム23bに対し上部サイドフレーム24bが前後方向に傾動する。これにより、ヒンジ軸33,34を中心に下部シートバックフレーム23に対して上部シートバックフレーム24全体が前後方向に傾動し、下部シートバック21に対して上部シートバック22が前後方向に傾動する。
【0053】
さらに、例えば車両衝突などで乗員を支えるシートベルトからショルダーアンカ部26を介して下部サイドフレーム23aの上端に著しい荷重(Fo)が掛かったとする。このとき、回動部43の軸心(回転調整機構41)におけるモーメントの大きさ(Mo)は、前述の態様で下部サイドフレーム23aの上端におけるモーメントの大きさ(M1)よりも縮小される。
【0054】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、例えば上部サイドフレーム24aの上端に著しい荷重(Fo)が掛かると、第1連結点P1に著しいモーメント(M1)が掛かる。これに伴い、第2連結点P2において、ロア部材31(下部サイドフレーム23a)から荷重(Ro)を受けると、該荷重に基づいて回動部43の軸心(回転調整機構41)にモーメントが掛かる。このときのモーメントは、第1連結点P1におけるモーメントに、前記距離L1に対する前記距離L2の比の値(L2/L1)を乗じた大きさになる。この場合、前記距離L1よりも、前記距離L2の方が短くなるように設定されていることで、その分だけ回動部43の軸心(回転調整機構41)におけるモーメントの大きさが縮小される。従って、回転調整機構41に要する強度(モーメント強度)を低減することができ、ひいては該回転調整機構41の大型化及び質量増加を抑制することができる。
【0055】
特に、回転調整機構41として、電動式のリクライナ装置で採用されるようなハイポサイクロイド減速機で構成される既存の回転調整機構を利用することができ、汎用性を向上することができる。これにより、開発工数を削減することができ、ひいてはコストを削減することができる。
【0056】
(2)本実施形態では、固定部42に対する回動部43の回転に伴い、ガイド孔53内でガイドピン52を移動させることで、ヒンジ軸33の軸線に対する回動部43の軸線の偏心分を吸収することができる。この場合、ガイドピン52の移動がガイド孔53によって堅固に規制されることで、ヒンジ軸33を中心とするロア部材31に対するアッパ部材32の回動、即ち下部サイドフレーム23aに対する上部サイドフレーム24aの前後方向の傾動をより高精度に行うことができる。
【0057】
(3)本実施形態では、シート調整装置40により、下部シートバックフレーム23(下部サイドフレーム23a)及び上部シートバックフレーム24(上部サイドフレーム24a)のなす前後方向の傾斜角度を調整することで、シートバック2の姿勢をより細やかに調整することができ、座り心地の快適性を向上することができる。
【0058】
(4)本実施形態では、ヒンジ軸33の軸線は、回動部43の軸線よりもシートバック2の前側、即ち乗員側に配置されていることで、上部シートバック22(上部シートバックフレーム24)が傾動する際の動きが、乗員が前方に屈曲する際の動きにより近付いて背中とのずれが低減する。従って、上部シートバック22にて乗員の背中が押されることを抑制でき、圧迫感や窮屈感を軽減することができる。
【0059】
(5)本実施形態では、例えば車両衝突時に幅方向においてショルダーアンカ部26の配置側により大きな荷重が掛かるという荷重特性に合わせて当該幅方向一側(車両幅方向外側に相当)にのみシート調整装置40を配置することで、必要な強度を確保しながらも部品点数を削減することができる。つまり、車両用シート装置が高負荷を想定したシートベルト一体シートであっても、シート調整装置40の片側配置が可能になる。そして、シート調整装置40の反対側(車両幅方向内側に相当)は、ヒンジ軸34のみの簡易な構造で、下部サイドフレーム23b及び上部サイドフレーム24bを連結することができる。
【0060】
(6)本実施形態では、片側に配置されたシート調整装置40を駆動するための1つの減速部56及び電動モータ57でよいため、部品点数及びコストを更に削減することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
図6を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態のヒンジ軸33の軸線に対する回動部43の軸線の偏心分の吸収態様を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0062】
図6に示すように、前記下部サイドフレーム23aの幅方向外側面においてその上端部に溶接にて固着される、例えば金属板からなる第2シート部材及び下部フレームとしてのロア部材61は、上端部に軸受部としての円形の軸受孔62が形成されている。この軸受孔62は、前記ガイドピン52に対向して開口しており、該ガイドピン52(軸部52b)の外径よりも十分に大きな内径を有する。そして、この軸受孔62には、軸部材としての偏心ブッシュ63が装着されている。この偏心ブッシュ63は、前記軸部52bの外径と同等の内径を有してこれに同心の円形の軸受孔63aを有するとともに、前記軸受孔62に挿入・軸支される略円柱状の軸部63bを有し、更に該軸部63bよりも拡径されてアーム部材50の反対面側で軸受孔62の周縁部に当接されるフランジ63cを有する。なお、軸受孔63a(ガイドピン52)の軸線は、軸部63b(軸受孔62)の軸線に平行に設定されている。
【0063】
前記ガイドピン52は、軸部52bの先端部が、軸受孔62に装着された偏心ブッシュ63の軸受孔63aに軸支されるとともに、該軸受孔63aから突出するねじ部52aにナット55が締め付けられることで、ロア部材61及びアーム部材50を締結する。
【0064】
ここで、電動モータ57により減速部56を介して前述の態様で回転調整機構41(回動部43)が回転駆動されると、アーム部材50(アーム部50b)に支持されたガイドピン52は、軸受孔63a周りに回動しつつ、軸受孔62周りに偏心ブッシュ63が回動するように軸受孔63aの内壁面を押圧する。これにより、回転調整機構41における固定部42及び回動部43のなす回転角度の調整に伴って、ヒンジ軸33を中心とするロア部材61及びアッパ部材32のなす前後方向の傾斜角度が調整される。換言すれば、固定部42に対する回動部43の回転に際し、ガイドピン52を軸支する偏心ブッシュ63が軸受孔62周りを回動することで、ヒンジ軸33の軸線に対する回動部43の軸線の偏心分が吸収されている。つまり、ガイドピン52、軸受孔62及び偏心ブッシュ63等は、ヒンジ軸33の軸線に対する回動部43の軸線の偏心分を吸収した状態で、固定部42に対する回動部43の回転に連動するロア部材61及びアッパ部材32(下部サイドフレーム23a及び上部サイドフレーム24a)の前後方向の相対回動を許容する連結手段64を構成する。
【0065】
そして、前記第1の実施形態に準じ、固定部42に対する回動部43(及びアーム部材50)の回転に伴って、ガイドピン52を軸支する偏心ブッシュ63が軸受孔62周りを回動することで、ヒンジ軸33を中心にロア部材61(下部サイドフレーム23a)に対しアッパ部材32(上部サイドフレーム24a)が傾動する。一方、固定部42に対する回動部43の回転停止に伴い、ガイドピン52を軸支する偏心ブッシュ63の軸受孔62内での回動が停止することで、偏心ブッシュ63(及びガイドピン52)の停止位置に応じて、ヒンジ軸33を中心とするロア部材61(下部サイドフレーム23a)に対するアッパ部材32(上部サイドフレーム24a)の傾斜角度を保持する。
【0066】
次に、ロア部材61、アッパ部材32(上部サイドフレーム24a)、ヒンジ軸33、回転調整機構41及びアーム部材50等の配置と、回転調整機構41に掛かるモーメントとの関係について説明する。ヒンジ軸33等の軸線に直交する単一の平面(即ち紙面)で定義される二次元空間を用いることは前記第1の実施形態と同様である。
【0067】
図7に模式的に示したように、ヒンジ軸33によるロア部材61及びアッパ部材32の連結点を第1連結点P11とし、ガイドピン52(軸受孔62、偏心ブッシュ63)及びアーム部50b(アーム部材50)の連結点を第2連結点P12とする。
【0068】
そして、例えば上部サイドフレーム24aの上端に前記荷重Foが掛かったとして、該荷重Foの作用線A1に直交する方向での第1連結点P11から作用線A1までの距離を距離H1とする。このときのモーメントの大きさ、即ち第1連結点P11におけるモーメントの大きさM11は、下式によって表される。
【0069】
M11=Fo・H1
このとき、ロア部材31から第2連結点P12に反力として荷重R1oが掛かったとすると、該荷重R1oの作用線A12は、偏心ブッシュ63(軸受孔62)の中心点及び第2連結点P2を結ぶ直線に一致する。そして、この作用線A12に直交する方向での第1連結点P11から第2連結点P12までの距離を距離L11とすると、モーメントのつり合いから荷重R1oは、下式によって表される。
【0070】
R1o=M11/L11=Fo・H1/L11
そして、作用線A12に直交する方向での第2連結点P12から前記中心点Cまでの距離を距離L12として、該中心点Cに掛かるモーメントの大きさM1oは、下式によって表される。
【0071】
M1o=R1o・L12=Fo・H1・L12/L11
本実施形態でも、下部サイドフレーム23aに対する上部サイドフレーム24aのヒンジ軸33を中心とする傾動範囲内において、第1連結点P11から第2連結点P12までの前記距離L11よりも、第2連結点P12から中心点Cまでの前記距離L12の方が短くなるように設定されている(L11>L12)。従って、前記距離L11に対する前記距離L12の比の値(=L12/L11)が「1」未満になり、中心点C(即ち回転調整機構41)に掛かるモーメントの大きさM1oは、上部サイドフレーム24aの上端に掛かるモーメントの大きさM11よりも縮小され、回転調整機構41に必要なモーメント強度が低減される。この回転調整機構41に必要なモーメント強度の低減は、距離L11を長く設定するほど、距離L12を短く設定するほど効果的である。本実施形態でも、回動部43の軸心における径方向であって、ヒンジ軸33(第1連結点P11)から離隔する径方向にアーム部50bを延出させて、該アーム部50bに第2連結点P12を配置したことで、前記距離L11が比較的大きく確保されている。そして、ヒンジ軸33(第1連結点P11)及び第2連結点P12間を利用して回動部43(回転調整機構41)を配置したことで、前記距離L12が前記距離L11よりも小さくなる前記した設定を簡易に実現している。
【0072】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)(3)〜(6)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、固定部42に対する回動部43の回転に伴い、ガイドピン52を軸支する偏心ブッシュ63を軸受孔62周りに回動させることで、ヒンジ軸33の軸線に対する回動部43の軸線の偏心分を吸収することができる。
【0073】
(第3の実施形態)
図8を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態のヒンジ軸33の軸線に対する回動部43の軸線の偏心分の吸収態様を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0074】
図8に示すように、前記下部サイドフレーム23aの幅方向外側面においてその上端部に溶接にて固着される、例えば金属板からなる第2シート部材及び下部フレームとしてのロア部材71は、例えば金属板からなる長尺状の棒部材72に回動自在に連結されている。すなわち、ロア部材71には、前記軸受孔31aの後側で円形の取付孔73が形成されている。そして、取付孔73には、これを幅方向に貫通する略段付き円柱状の支持ピン74が固定されている。この支持ピン74は、取付孔73に遊挿されるねじ部74aを有するとともに、該ねじ部74aよりも拡径されて取付孔73に挿入・溶接にて固着される略円柱状の軸部74bを有し、更に該軸部74bよりも拡径されて回転調整機構41の対向面側で取付孔73の周縁部に当接されるフランジ74cを有する。一方、棒部材72の下端部には、軸部74bの取付孔73から突出する先端部を軸支する円形の軸受孔72aが形成されている。ロア部材71及び棒部材72は、ロア部材71に固着された支持ピン74の軸部74bが棒部材72の軸受孔72aに軸支されるとともに、該軸受孔72aから突出するねじ部74aにナット75が締め付けられることで相対回動可能に締結される。
【0075】
また、棒部材72の上端部は、前記ガイドピン52により前記アーム部材50に回動自在に連結されている。すなわち、棒部材72の上端部には、前記ガイドピン52に対向して開口する円形の軸受孔72bが形成されている。棒部材72及びアーム部材50は、ガイドピン52の前記軸部52bの先端部が軸受孔72bに軸支されるとともに、該軸受孔72bから突出するねじ部52aに前記ナット55が締め付けられることで相対回動可能に締結される。なお、軸受孔72b(ガイドピン52)の軸線及び軸受孔72a(支持ピン74)の軸線は、ヒンジ軸33の軸線に平行に設定されている。
【0076】
ここで、電動モータ57により減速部56を介して前述の態様で回転調整機構41(回動部43)が回転駆動されると、アーム部材50(アーム部50b)に支持されたガイドピン52は、軸受孔72b周りに回動しつつ、軸受孔72a(支持ピン74)周りに棒部材72が回動するように軸受孔72bの内壁面を押圧する。これにより、回転調整機構41における固定部42及び回動部43のなす回転角度の調整に伴って、ヒンジ軸33を中心とするロア部材71及びアッパ部材32のなす前後方向の傾斜角度が調整される。換言すれば、固定部42に対する回動部43の回転に際し、ガイドピン52を軸支する棒部材72が軸受孔72a周りを回動することで、ヒンジ軸33の軸線に対する回動部43の軸線の偏心分が吸収されている。つまり、棒部材72等は、ヒンジ軸33の軸線に対する回動部43の軸線の偏心分を吸収した状態で、固定部42に対する回動部43の回転に連動するロア部材71及びアッパ部材32(下部サイドフレーム23a及び上部サイドフレーム24a)の前後方向の相対回動を許容する連結手段76を構成する。
【0077】
そして、前記第1の実施形態に準じ、固定部42に対する回動部43(及びアーム部材50)の回転に伴って、ガイドピン52を軸支する棒部材72が軸受孔72a周りに揺動することで、ヒンジ軸33を中心にロア部材61(下部サイドフレーム23a)に対しアッパ部材32(上部サイドフレーム24a)が傾動する。一方、固定部42に対する回動部43の回転停止に伴い、ガイドピン52を軸支する棒部材72の軸受孔72a周りの揺動が停止することで、棒部材72(及びガイドピン52)の停止位置に応じて、ヒンジ軸33を中心とするロア部材71(下部サイドフレーム23a)に対するアッパ部材32(上部サイドフレーム24a)の傾斜角度を保持する。
【0078】
次に、ロア部材71、アッパ部材32(上部サイドフレーム24a)、ヒンジ軸33、回転調整機構41及びアーム部材50等の配置と、回転調整機構41に掛かるモーメントとの関係について説明する。ヒンジ軸33等の軸線に直交する単一の平面(即ち紙面)で定義される二次元空間を用いることは前記第1の実施形態と同様である。
【0079】
図9に模式的に示したように、ヒンジ軸33によるロア部材71及びアッパ部材32の連結点を第1連結点P21とし、棒部材72及びアーム部50b(アーム部材50)の連結点を第2連結点P22とする。
【0080】
そして、例えば上部サイドフレーム24aの上端に前記荷重Foが掛かったとして、該荷重Foの作用線A1に直交する方向での第1連結点P21から作用線A1までの距離を距離H2とする。このときのモーメントの大きさ、即ち第1連結点P21におけるモーメントの大きさM21は、下式によって表される。
【0081】
M21=Fo・H2
このとき、ロア部材31から第2連結点P22に反力として荷重R2oが掛かったとすると、該荷重R2oの作用線A22は、支持ピン74(軸受孔72a)の中心点及び第2連結点P2を結ぶ直線に一致する。そして、この作用線A22に直交する方向での第1連結点P21から第2連結点P22までの距離を距離L21とすると、モーメントのつり合いから荷重R2oは、下式によって表される。
【0082】
R2o=M21/L21=Fo・H2/L21
そして、作用線A22に直交する方向での第2連結点P22から前記中心点Cまでの距離を距離L22として、該中心点Cに掛かるモーメントの大きさM2oは、下式によって表される。
【0083】
M2o=R2o・L22=Fo・H2・L22/L21
本実施形態でも、下部サイドフレーム23aに対する上部サイドフレーム24aのヒンジ軸33を中心とする傾動範囲内において、第1連結点P21から第2連結点P22までの前記距離L21よりも、第2連結点P22から中心点Cまでの前記距離L22の方が短くなるように設定されている(L21>L22)。従って、前記距離L21に対する前記距離L22の比の値(=L22/L21)が「1」未満になり、中心点C(即ち回転調整機構41)に掛かるモーメントの大きさM2oは、上部サイドフレーム24aの上端に掛かるモーメントの大きさM21よりも縮小され、回転調整機構41に必要なモーメント強度が低減される。この回転調整機構41に必要なモーメント強度の低減は、距離L21を長く設定するほど、距離L22を短く設定するほど効果的である。本実施形態でも、回動部43の軸心における径方向であって、ヒンジ軸33(第1連結点P21)から離隔する径方向にアーム部50bを延出させて、該アーム部50bに第2連結点P22を配置したことで、前記距離L21が比較的大きく確保されている。そして、ヒンジ軸33(第1連結点P21)及び第2連結点P22間を利用して回動部43(回転調整機構41)を配置したことで、前記距離L22が前記距離L21よりも小さくなる前記した設定を簡易に実現している。
【0084】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)(3)〜(6)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、固定部42に対する回動部43の回転に伴い、棒部材72を揺動させることで、ヒンジ軸33の軸線に対する回動部43の軸線の偏心分を吸収することができる。また、前記した偏心分の吸収を、棒部材72からなる極めて簡易な構造で行うことができる。
【0085】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記第1の実施形態において、ガイド孔53は非貫通の溝状であってもよい。
・前記第1の実施形態において、アーム部50b(アーム部材50)及びロア部材31と、ガイドピン52及びガイド孔53の配置関係は逆であってもよい。
【0086】
・前記第2の実施形態において、軸受孔62又は軸受孔63aは非貫通の凹状であってもよい。
・前記第1の実施形態において、アーム部50b(アーム部材50)及びロア部材61と、ガイドピン52及び軸受孔62(偏心ブッシュ63)の配置関係は逆であってもよい。
【0087】
・前記各実施形態において、シート調整装置40は、ロア部材31,61,71及びアッパ部材32に対し上下方向に逆向きで配置してもよい。この場合、ロア部材31,61,71及び下部サイドフレーム23aが第1シート部材を構成し、アッパ部材32及び上部サイドフレーム24aが第2シート部材を構成することになる。
【0088】
・前記各実施形態において、回転調整機構41として、遊星歯車機構やウォームホイールギヤなどを使用した減速機構を採用してもよい。
・前記各実施形態において、回転調整機構41として、手動式のリクライニング機構で多用されるロック機構を採用してもよい。すなわち、このロック機構は、内歯を有する第1プレートと、複数のポールが径方向に移動可能に装着された第2プレートとを備え、回転軸周りに設けたカムの回転により、第1プレートの内歯とポールの外歯とを噛合又は解除することで、第2プレートに対する第1プレートの回動を規制又は許容するものである。
【0089】
・前記各実施形態において、シートの幅方向両側に回転調整機構41を配設してもよい。
・前記各実施形態において、電動モータ57等を割愛し、シャフト58(回動部43等)の回転駆動を、該シャフト58と一体回転するように連結した操作ハンドルにて手動で行うようにしてもよい。
【0090】
・前記各実施形態において、アーム部50b(アーム部材50)は回動部43に一体形成してもよい。
・前記各実施形態において、ロア部材31及び下部サイドフレーム23aを一体形成してもよい。同様に、アッパ部材32及び上部サイドフレーム24aを一体形成してもよい。
【0091】
・前記各実施形態において、固定部42を第1シート部材(アッパ部材32等)に一体形成してもよい。
・前記各実施形態では、車両用シート装置の上部シートバック22を下部シートバック21に対して傾動させるためのシート調整装置40について説明したが、これに限定されるものではない。例えばリクライニング機構6、シートクッション1の前後、上下のスライド機構、シートクッション1の長さ調整機構、オットマン機構等に適用可能である。また、車両用シート装置の各種調整機構に限定されるものではなく、例えばステアリング装置のチルト調整機構、ロック機構等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
P1,P11,P21…第1連結点、P2,P12,P22…第2連結点、1…シートクッション、2…シートバック、5…シートクッションフレーム、21…下部シートバック、22…上部シートバック、23…下部シートバックフレーム、23a,23b…下部サイドフレーム(下部フレーム)、24…上部シートバックフレーム、24a,24b…上部サイドフレーム(上部フレーム)、26…ショルダーアンカ部、33…ヒンジ軸、31,61,71…ロア部材(第2シート部材又は第1シート部材)、32…アッパ部材(第1シート部材又は第2シート部材)、40…シート調整装置、41…回転調整機構、42…固定部、43…回動部、50…アーム部材、50b…アーム部、51,64,76…連結手段、52…ガイドピン(連結手段)、53…ガイド孔(ガイド部、連結手段)、54…ブッシュ(連結手段)、62…軸受孔(軸受部、連結手段)、63…偏心ブッシュ(軸部材、連結手段)、63a…軸受孔(軸受穴)、72…棒部材(連結手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ軸により相対回動自在に支持される第1シート部材及び第2シート部材のなす回動角度を調整するシート調整装置において、
前記第1シート部材に固定される固定部と、前記ヒンジ軸の軸線に平行な軸線で前記固定部に回動可能に連結される回動部とを有し、前記固定部及び前記回動部のなす回転角度を調整する回転調整機構と、
前記回動部に設けられ、該回動部の軸心における径方向に延出するアーム部と、
前記第2シート部材と前記アーム部との間に設けられ、前記ヒンジ軸の軸線に対する前記回動部の軸線の偏心分を吸収した状態で、前記固定部に対する前記回動部の回転に連動して前記第1シート部材及び前記第2シート部材を相対回動させる連結手段とを備え、
前記第1シート部材及び前記第2シート部材のいずれか一方の先端に掛かる荷重によって前記ヒンジ軸による前記第1シート部材及び前記第2シート部材の連結点である第1連結点に掛かるモーメントに基づく、前記第1シート部材及び前記第2シート部材のいずれか他方から前記アーム部及び前記連結手段の連結点である第2連結点に掛かる荷重の作用線に直交する方向において、前記第1連結点から前記第2連結点までの距離よりも、該第2連結点から前記回動部の軸心までの距離の方が短くなるように設定したことを特徴とするシート調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート調整装置において、
前記連結手段は、
前記アーム部及び前記第2シート部材のいずれか一方に突設されたガイドピンと、
前記アーム部及び前記第2シート部材のいずれか他方に形成され、前記ガイドピンの挿入される長穴状のガイド部とを備え、
前記固定部に対する前記回動部の回転に伴い、前記ガイド部内で前記ガイドピンを移動させることで、前記ヒンジ軸の軸線に対する前記回動部の軸線の偏心分を吸収してなることを特徴とするシート調整装置。
【請求項3】
請求項1に記載のシート調整装置において、
前記連結手段は、
前記アーム部及び前記第2シート部材のいずれか一方に突設されたガイドピンと、
前記アーム部及び前記第2シート部材のいずれか他方に形成された軸受部と、
前記軸受部に軸支され、該軸受部の軸線とは異なる軸線で前記ガイドピンを軸支する軸受穴を有する軸部材とを備え、
前記固定部に対する前記回動部の回転に伴い、前記軸受部内で前記軸部材を回動させることで、前記ヒンジ軸の軸線に対する前記回動部の軸線の偏心分を吸収してなることを特徴とするシート調整装置。
【請求項4】
請求項1に記載のシート調整装置において、
前記連結手段は、
前記ヒンジ軸の軸線及び前記回動部の軸線に平行な軸線で前記第2シート部材に一方の端部が回動自在に連結され、前記アーム部に他方の端部が回動自在に連結された棒部材であり、
前記固定部に対する前記回動部の回転に伴い、前記棒部材を揺動させることで、前記ヒンジ軸の軸線に対する前記回動部の軸線の偏心分を吸収してなることを特徴とするシート調整装置。
【請求項5】
シートクッション及びシートバックを備えた車両用シート装置において、
前記シートバックは、前記シートクッション内に配設されたシートクッションフレームの後端部に対して傾動可能に下端部で支持された前記第1シート部材及び前記第2シート部材のいずれか一方を構成する下部フレームと、
前記下部フレームの上部に配設された前記第1シート部材及び前記第2シート部材のいずれか他方を構成する上部フレームと、
前記上部フレーム及び前記下部フレームのなす前後方向の傾斜角度を調整する請求項1〜4のいずれか一項に記載のシート調整装置とを備えていることを特徴とする車両用シート装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用シート装置において、
前記ヒンジ軸の軸線は、前記回動部の軸線よりも前記シートバックの前側に配置されていることを特徴とする車両用シート装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の車両用シート装置において、
前記上部フレーム及び前記下部フレームをそれぞれ幅方向に対で備え、
幅方向一側の前記上部フレームの上端に設けられたシートベルトのショルダーアンカ部を備え、
前記シート調整装置は、前記ショルダーアンカ部の設けられた幅方向一側にのみ配置されていることを特徴とする車両用シート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−158302(P2012−158302A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20963(P2011−20963)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】