説明

シールドケース、電子機器

【課題】部品点数増加に対応しながらも、保守性に優れ、組み立て工数を低減し、さらに薄型化を図る。
【解決手段】フレーム部材12の開口部13を覆うようにサブ基板20が設けられ、さらにサブ基板20の全面にわたって形成された導体層25がフレーム部材12に電気的に接続されている。これにより、フレーム部材12と、サブ基板20の導体層25とによって、電子部品50の側方および上方を覆うシールドケースを構成する。これによって、厚さを小さくし、組み立て工数も低減する。また、電子部品50の保守を行うような場合には、サブ基板20を取り外して、フレーム部材12の内部空間に実装された電子部品60にアプローチする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話をはじめとする各種電子機器、およびそれに用いられるシールドケースに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の電子機器に使用される高密度基板には、シールドケースが実装されることが多い。シールドケースを実装する目的は、シールドケース内に実装されている他部品の落下や衝撃に対する半田付け強度の確保する役割、LCDやカメラ等、他の各種デバイスより放射されるノイズから、シールドケース内に実装されている部品をカバーする役割、シールド内に実装されている部品から放射されるノイズが外部に漏洩するのを防ぐ役割、そしてシールド上に他の基板を固定する為の台座的な役割がほとんどである。
【0003】
高密度基板に実装されるシールドケースとしては、図2に示すように、基板1上に実装された部品2の側方および上方を覆うように設けられた断面コの字状をなす一体型のシールドケース3が一般に用いられている。
また、この他、図3に示すように、基板1上に実装された部品2の側方を断面L字状の覆うシールドベース5Aを基板1に実装した後、シールドベース5Aの上部開口を覆うカバーケース5Bを装着することでシールドケース5を構成するタイプのものが用いられている。
【0004】
ここで、電子機器においては、常に高機能化・多機能化が求められており、これに伴い、部品点数が増加する傾向にある。電子機器内の限られた空間において部品点数増加に対応するため、メイン基板上にサブ基板を積層させることで、配置効率の向上を図ることが進められている。
例えば、特許文献1、2においては、メイン基板上の電子機器を覆うようにシールドケースが設けられ、このシールドケース上にサブ基板が取り付けられた構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−129866号公報
【特許文献2】特開2008−192761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図2に示したような一体型のシールドケース3においては、部品搭載完了後において、シールドケース3に実装されている部品2の修理や回路動作の確認を行うことが難しく、保守性に大きな問題がある。
これに対し、図3に示したような2分割式のシールドケース5においては、カバーケース5Bを取り外せばシールドケース3に実装されている部品2の修理や回路動作の確認を行うことができる。しかし、この場合、シールドベース5Aにカバーケース5Bを嵌める組み立て工数が増加する。
【0007】
また、図4に示す特許文献1、2に記載の技術のように、シールドケース5上にサブ基板6を設けると、その厚みが大きくなってしまうため好ましくないという問題があった。
そこでなされた本発明の目的は、部品点数増加に対応しながらも、保守性に優れ、組み立て工数を低減し、さらに薄型化を図ることのできるシールドケース、電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のシールドケースは、第一の基板上に実装される電子部品の周囲を取り囲むよう設けられ、導電性材料からなるフレーム部材と、フレーム部材の開口部を覆うよう設けられ、少なくともフレーム部材の開口部よりも広い範囲に導電層を有した第二の基板と、を備え、第二の基板の導電層がフレーム部材に突き当てられて電気的に接続されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、プリント基板と、プリント基板上に実装された電子部品と、上記したようなシールドケースと、を備えることを特徴とする電子機器とすることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第二の基板の導電層がフレーム部材に突き当てられて電気的に接続されることで、フレーム部材と、フレーム部材の開口部を覆う第二の基板の導電層とで、第一の基板上に実装された電子部品を覆うシールドケースを構成することができる。
これによって、従来におけるカバーケースが不要となり、その厚さを小さくすることができ、また、組み立て工数も低減することができる。さらに、電子部品の保守を行うような場合には、第二の基板を取り外せばフレーム部材の内部空間に実装された電子部品にアプローチすることができ、保守性も維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係るシールドケースを備えた基板を示す断面図、およびサブ基板の断面図である。
【図2】従来の一体型のシールドケースの構成を示す断面図である。
【図3】従来の分割型のシールドケースの構成を示す断面図である。
【図4】従来のシールドケースにサブ基板を積層した構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明によるシールドケース、電子機器を実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0013】
図1(a)に示すように、シールドケース10は、電子機器に内蔵された基板(第一の基板)11にハンダ付けされるフレーム部材12と、フレーム部材12上に装着されるサブ基板(第二の基板)20とを備えている。
【0014】
フレーム部材12は、例えば平面視矩形の枠状をなしており、その内部には、ボールグリッドアレイなどの電子部品50が配置されて、基板11に実装されている。フレーム部材12は、枠状の天面部21と、天面部21の外周部から基板11に直交する方向に形成された側壁部22とを有して形成されている。
このようなフレーム部材12は、材料としてステンレスや洋白等の金属薄板(導電性材料)を用い、曲げ加工や絞り加工やプレス加工などを施して形成される。
【0015】
サブ基板20は、平板状をなす部材であって、フレーム部材12の天面部21の内周側に形成された開口部13の全体を覆うように設けられている。
このようなサブ基板20上には、電子部品60が実装されている。
【0016】
さて、図1(b)に示すように、サブ基板20は、サブ基板20の全面にわたって形成された導体層25と、導体層25の一面側に設けられた絶縁層26と、導体層25の他面側に設けられたレジスト層(被覆層)27と、を備えており、即ち、それぞれ層状をなす絶縁層26、導電層25及びレジスト層27が順に積層された構成をなしている。
【0017】
そして、このようなサブ基板20は、レジスト層27をフレーム部材12側に対向させて設けられている。このサブ基板20において、フレーム部材12の天面部21に対向する領域は、レジスト層27が除去されてレジスト層開口部30が形成され、導体層25が露出している。このレジスト層開口部30は、天面部21よりも大きな面積で形成されている。
【0018】
また、サブ基板20は、レジスト層開口部30に露出した導体層25をフレーム部材12の天面部21に突き当てた状態で設けられている。これにより、導電性材料からなるフレーム部材12と、サブ基板20の導体層25とが電気的に接続されることになる。
【0019】
このような構成においては、フレーム部材12の開口部13を覆うようにサブ基板20が設けられている。これにより、導体層25により、開口部13におけるシールド機能を果たすことができ、フレーム部材12とサブ基板20の導体層25とによって、いわば、電子部品50の側方および上方を覆うシールドケースを構成することができる。
さらに、サブ基板20の全面にわたって形成された導体層25がフレーム部材12に電気的に接続されているので、そのシールド効果はより高いものとなる。
【0020】
このようにすることで、図4に示したような構成におけるカバーケース5Bが不要となり、その厚さを小さくすることができ、また、部品点数の減少、およびそれに伴う組み立て工数も低減することができる。
さらに、電子部品50の保守を行うような場合には、サブ基板20を取り外せばフレーム部材12の内部空間に実装された電子部品50にアプローチすることができ、保守性も維持することができる。
加えて、サブ基板20は、レジスト層27を除去して露出させた導体層25をフレーム部材12に突き当てているため、レジスト層27の厚さRの分も、その厚さを小さくすることができ、電子機器の薄型化に寄与することができる。
【0021】
なお、本発明のシールドケース、電子機器は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、基板11やサブ基板20に実装する電子部品50、60の種類については何ら限定するものではない。
【0022】
また、基板11やサブ基板20の形状や大きさについても、何ら限定する意図はない。サブ基板20の導体層25は、少なくとも開口部13を覆うよう、開口部13よりも大きな領域に設けられていればよく、サブ基板20の全面に設けられていなくても良い。
【0023】
さらに、本発明は、携帯電話に限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance,Personal Digital Assistants)等の各種携帯型電子機器にも適用することが可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
10 シールドケース
11 基板(第一の基板)
12 フレーム部材
13 開口部
20 サブ基板(第二の基板)
21 天面部
22 側壁部
25 導体層
26 絶縁層
27 レジスト層(被覆層)
30 レジスト開口部
50 電子部品
60 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基板上に実装される電子部品の周囲を取り囲むよう設けられ、導電性材料からなるフレーム部材と、
前記フレーム部材の開口部を覆うよう設けられ、少なくとも前記フレーム部材の前記開口部よりも広い範囲に導電層を有した第二の基板と、を備え、
前記第二の基板の前記導電層が前記フレーム部材に突き当てられて電気的に接続されていることを特徴とするシールドケース。
【請求項2】
前記第二の基板は、前記導電層に対して前記フレーム部材に対向する側に被覆層が設けられるとともに、前記フレーム部材に対向する位置は前記被覆層が除去されて前記導電層が露出し、露出した当該導電層に前記フレーム部材が突き当てられていることを特徴とする請求項1に記載のシールドケース。
【請求項3】
プリント基板と、
前記プリント基板上に実装された電子部品と、
請求項1または2に記載のシールドケースと、
を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−94579(P2012−94579A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238284(P2010−238284)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】