説明

シールド工法における掘削土砂処理システム

【課題】超大断面シールド、長距離シールド等の施工に際して、工期短縮、コスト削減、環境保全、発進基地の省面積化を実現するシールド工法における掘削土砂処理システムを提供する。
【解決手段】カッタヘッド22により地山を固形状態で切り出し掘削し、切り出し掘削した固形回収物を排泥ポンプP2により泥水とともに坑内の一次フィルター42まで搬送して一次フィルター42にて固形回収物を排泥管52より取り出して固形回収物をベルトコンベア44にて地上に搬出する掘削土の固形回収システム部40と、一次フィルター42で分離した固形回収物以外の余剰泥水を泥水濃縮システム部60で濃縮し、泥水濃縮システム部60で濃縮した濃縮泥水に硬化材を添加してインバート部を施工するインバート施工処理システム部120とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法における掘削土砂処理システムに関し、特に、発進基地の省面積化を考慮したシールド工法における掘削土砂処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市機能の過密化で、インフラとしての道路整備はシールド工法が主流となっている。
【0003】
このようなシールド工法においては、地上の発進基地に泥水処理設備を設置し、広いヤードが必要とされ、都市部のような広いヤードが確保できにくい地域での施工が困難となっており、しかも、シールド掘進により生じた掘削土は産業廃棄物として処理されており、処理費用がかさむものであった。
【0004】
このような事情に鑑みて、特許文献1に示されるように、坑内にシールドチャンバー内に送られる送泥水の性状をリアルタイムに調整して送泥する性状調整設備を設置して地上発進基地の省面積化を図るとともに、シールド掘進により生じる掘削土を固形回収物として回収することにより、掘進に伴って発生する建設副産物(掘削土砂)のリサイクルの推進を図って産業廃棄物としての処理費用の低減を図った技術が提案されている。
【特許文献1】特許第3245572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近では、施工技術の向上等により、超大断面シールド、長距離シールドの要請があり、このような要請に対しては、前記特許文献1に示される技術を用いた場合でも、広大な発進基地ヤードの確保、固形回収物以外の余剰泥水の処理量、処理コスト、処理時間等、いまだ解決すべき問題が残されている。
【0006】
また、インバート打設方法においても、打設材料を地上から立抗下に下ろし、ミキサー車で坑内を運搬するという工期とコストのかかる方法で計画されているのが現状である。
【0007】
本発明の目的は、超大断面シールド、長距離シールド等の施工に際しても、工期短縮、コスト削減、環境保全、発進基地の省面積化を実現するシールド工法における掘削土砂処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)前記目的を達成するため、本発明のシールド工法における掘削土砂処理システムは、送泥管によりシールドチャンバー内に泥水を供給し、カッタヘッドにより掘進経路にある地山を掘削して掘削土及び泥水を排泥管により取り出すシールド工法における掘削土砂処理システムであって、前記カッタヘッドにより前記地山を固形状態で切り出し掘削し、前記切り出し掘削した固形回収物を排泥ポンプにより泥水とともに坑内の一次フィルターまで搬送して前記一次フィルターにて前記固形回収物を前記排泥管より取り出して前記固形回収物をベルトコンベアにて地上に搬出する掘削土の固形回収システム部と、前記一次フィルターで分離した前記固形回収物以外の余剰泥水を泥水濃縮システム部で濃縮し、前記泥水濃縮システム部で濃縮した濃縮泥水に硬化材を添加してインバート部を施工するインバート施工処理システム部とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、固形回収システム部により掘進に伴って切り出し掘削した固形回収物を固形土として坑内の一次フィルターにて取り出し、ベルトコンベアにて地上に搬送し、残りの泥土は泥水濃縮システム部で濃縮してインバート施工処理システム部にて硬化材を添加してインバート施工に用いることができる。
【0010】
したがって、固形回収物は改質を必要としないため、地上の設備が残土ストックのためのピットとバックホー等の積み込み設備だけとなり、一次処理設備、二次処理設備が不要となる。
【0011】
また、残りの泥水はインバート施工に用いることで、泥水の処理設備が不要となる。
したがって、泥水処理に要する場所、時間が不要で、産業廃棄物の発生を極力抑えることができる。
【0012】
その結果、超大断面シールド、長距離シールド等の施工に際しても、工期短縮、コスト削減、環境保全、発進基地の省面積化を実現することが可能となる。
【0013】
(2)本発明においては、(1)において、前記一次フィルターで分離した前記固形回収物以外の余剰泥水は一旦坑内に配設された調整槽に送られ、前記調整槽内のアンダー泥水が泥水濃縮システム部に供給され、オーバー泥水は、そこから前記送泥管を経て前記シールドチャンバー内に供給されて送泥水として用いられるようにすることができる。
【0014】
このような構成とすることにより、調整槽内のアンダー泥水をインバート施工用とし、オーバー泥水を送泥用に用いるため、不要となる余剰水の発生を極力抑えて有効利用を図ることができる。
【0015】
(3)本発明においては、(2)において、前記泥水濃縮システム部で濃縮された後に生じる余剰泥水は坑内に配設した前記調整槽に送られ、そこから前記送泥管を経て前記シールドチャンバー内に供給されて送泥水として用いられるようにすることができる。
【0016】
このような構成とすることにより、泥水濃縮システム部で濃縮された後に生じる余剰泥水は坑内に配設した前記調整槽に送られて送泥水として利用されるため、より一層不要となる余剰水の発生を極力抑えて有効利用を図ることができる。
【0017】
(4)本発明においては、(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記インバート施工処理システム部では、泥水濃縮システム部で濃縮泥水の比重が所定値に管理された濃縮スラリーに硬化材を添加して、ポンプ圧送によりインバート施工を行うようにすることができる。
【0018】
このような構成とすることにより、濃縮泥水の比重を所定値に管理して、ポンプ圧送によりインバート施工を行うことで、良好な品質状態でインバート施工を行うことができ、しかも、ミキサー車が不要となり、インバート施工の工期短縮とコスト削減が可能となる。
【0019】
(5)本発明においては、(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記送泥管により前記シールドチャンバー内に供給される泥水は、坑内に配設され、送泥水の粘性を粘土センサーにより連続的に計測し、増粘材添加装置により適宜増粘材を添加するリアルタイム切羽安定管理システム部により適正な性状に制御されるようにすることができる。
【0020】
このような構成とすることにより、リアルタイム切羽安定管理システム部により、大掛かりな泥水の調整設備を用いることなく、コンパクトに構成することができる。
【0021】
(6)本発明においては、(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記泥水濃縮システム部は、濃縮デカンタ及び濃縮プレスを有し、地山の性状の変化によって濃縮後の泥水の性状がインバート施工に適さないようになった場合、前記濃縮プレスによって固形化した後、前記ベルトコンベアにて地上に搬出するようにすることができる。
【0022】
このような構成とすることにより、排泥管や排泥ポンプ等を用いることなく、固形回収物搬出用のベルトコンベアによって不適な性状の泥水を固形化して搬出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1〜図5は、本発明の一実施の形態にかかるシールド工法における掘削土砂処理システムを泥水式シールド工法に用いた状態を示す図である。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る泥水式シールド工法における掘削土砂処理システムの全体概略図である。
【0025】
この泥水式シールド工法は、送泥管50により泥水をシールド掘進機2内部のシールドチャンバー210に供給して切羽200の安定を図りながら、シールド掘進機2のカッタヘッド22を回転させることにより、地山を掘削してトンネルを構築するようになっている。
【0026】
シールド掘進機2は、掘進に伴ってセグメント26を順次継ぎ足し、セグメント26にシールドジャッキで反力を取りながら、シールドチャンバー210に供給された泥水圧によって切羽圧に対抗しつつ、カッタヘッド22を回転させて地山を掘削する。
【0027】
シールド掘進機2内部のシールドチャンバー210に供給される泥水は、送泥管50を介して送泥ポンプP0により送られるものであり、切羽200の安定に用いられた泥水は、シールドチャンバー210内で掘削土砂と撹拌混合され、排泥管52を介して排泥ポンプP2により取り出されるようになっている。
【0028】
送泥管50は、シールド掘進機2の後方に接続された図示せぬ後続台車上に配設された調整槽10に接続され、この調整槽10内のオーバー泥水がシールドチャンバー210へと送られるようになっている。
【0029】
また、地上設備には清水槽12が設置され、この清水槽12から送水管14を介して坑内の後続台車に配設した水槽16へと適宜清水が供給されるようになっており、この水槽16から適宜調整槽10へと清水が供給されるようになっている。
【0030】
これによって、調整槽10内の送泥水が不足するのを防止している。
【0031】
さらに、この送泥系統には、リアルタイム切羽安定管理システム部30が設けられ、排泥系統には、固形回収システム部40と、泥水濃縮システム部60と、インバート施工処理システム部120とがそれぞれ後続台車上に配設されている。
【0032】
リアルタイム切羽安定管理システム部30は、調整槽10からシールドチャンバー210にいたる送泥管50の途中に配設されて、送泥水に必要な性状調整を行うようになっている。
【0033】
具体的には、図示せぬが、増粘材を貯留する増粘材タンクと、送泥管50に設けられ、増粘材タンクから供給された増粘材と泥水とを混合撹拌するスタティックミキサーと、この混合撹拌後の泥水性状を測定する粘性計とを含んで構成されている。
【0034】
そして、排泥水の粘性、性状をセンサーで検出しながら必要に応じて増粘材タンクから所定の増粘材が添加され、スタティックミキサーにより撹拌混合された送泥水は、粘性計により粘性が測定され、シールドチャンバー210に供給される。
【0035】
粘性計による測定結果は、制御装置に送られ、制御装置は、この測定結果に基づき増粘材の添加を調整する。
【0036】
一方、排泥系統における固形回収システム部40は、カッタヘッド22により地山を固形状態で切り出し掘削し、切り出し掘削した固形回収物を排泥ポンプP2により泥水とともに坑内の後続台車に配設した一次フィルター42まで搬送して一次フィルター42にて固形回収物を排泥管52より取り出して固形回収物を搬送システム部である延長型のベルトコンベア44にて地上に搬出するようにしている。
【0037】
この場合、図2に示すように、シールド掘進機2のカッタヘッド22には、切羽200に所定間隔で筋状の先行掘削溝を形成する先行ビット70〜80と、この先行掘削溝の間に掘り残された部分の地山を、固形状態で切り出し掘削する後行ビット90、91が配置されている。
【0038】
なお、先行ビット70〜80としては、掘進方向に進退可能な先行ビット70〜75と、カッタヘッド22に固定された先行ビット80とを、適切にカッタヘッド22に配置することが好ましい。
【0039】
ここで、固形状態とは、掘削に際して土粒子の骨格構造を地山状態と同様に保持したままの状態を意味し、切り出し掘削とは、先行掘削溝間の掘り残された地山凸部を、固形状態でほぼ一定の大きさ以下に切削することを意味する。
【0040】
先行ビット70〜80および後行ビット90、91は、地山をほぼ一定の大きさで切り出し掘削するよう、カッタヘッド22の回転に伴って生じる位相差を考慮した上で、カッタヘッド22に配置されている。
【0041】
例えば、図2に示す2点鎖線は、各先行ビット70〜80の軌跡であり、各先行ビット70〜80の各軌跡がほぼ等間隔になるよう、先行ビット70〜80がカッタヘッド22に配置され、各軌跡の間、すなわち、先行ビット70〜80で掘削されなかった地山を掘削するよう後行ビット90、91がカッタヘッド22に配置されている。
【0042】
具体的には、先行ビット74、75で掘削されなかった地山を、後行ビット90−1、2で掘削する。
【0043】
同様に、先行ビット70、71に対しては、後行ビット90−3、4が対応し、先行ビット72、73に対しては、後行ビット90−5、6が対応する。
その他の先行ビット70〜80と、後行ビット90、91との対応についても同様である。
【0044】
図3は、先行ビット74、75と後行ビット90−1の相互作用による地山の掘削状態を立体的に示す概略図であり、図3(A)〜(C)は先行ビット74、75と後行ビット90−1による地山の掘削状態を示す。
【0045】
図3(A)に示すように、先行ビット74、75で地山300に筋状の溝を2つ形成する。次に、図3(B)に示すように、後行ビット90―1で帯状に残された先行掘削溝間の地山300の一部を切り出し掘削する。
【0046】
そうすると、図3(C)に示すように、ほぼ立方体の形状の掘削物110が地山300から切り出される。
排泥ポンプP2は、図4に示すように、内部に回転する複数の羽根体100−1、2を含む。
【0047】
この場合、先行掘削溝相互の間隔を、例えば図4に示す羽根体100相互の純間隔Lと同程度にすることにより、カッタヘッド22の回転により当該部分を掘削した場合、固形状態の掘削土砂の大きさをほぼLの大きさに揃えることができる。
【0048】
これにより、掘削物110の大きさを排泥ポンプ102等の輸送設備につまらない最大の大きさとすることができ、クラッシャー等の土石破砕設備を不要とし、できるだけ大きな大きさで排泥することができる。
【0049】
一次フィルター42は、配泥管52により送られてきた固形回収物としての掘削物110及び泥水をフィルターにかけ、掘削物110のみを取り出してベルトコンベア44上に供給し、他の掘削土砂を含む余剰泥水をポンプPにて調整槽10へと送るようになっている。
【0050】
この場合、掘削土砂の80〜85%が固形回収物とされ、残りのもの20〜15%がインバート施工処理システム部120でインバート施工に用いられるようになっている。
【0051】
ベルトコンベア44上に供給された固形回収物は、ベルトコンベア44によって水平方向及び垂直方向に搬送されて地上設備の土砂ピット46へと搬出され、バックホー等で外部に搬出されて一般建設残土としてリサイクルされることとなる。
【0052】
調整槽10に送られた余剰泥水は、調整槽10内で沈殿処理が行われ、そのアンダー泥水がポンプPにて泥水濃縮システム部60へと送られるようになっている。
【0053】
泥水濃縮システム部60は、濃縮デカンタ62と、濃縮プレス(フィルタープレス)64とを有し、それぞれが調整槽10と接続され、濃縮デカンタ62及び濃縮プレス(フィルタープレス)64で濃縮された前述の20〜15%の掘削土がインバート施工処理システム部120へと供給されるようになっている。
【0054】
また、濃縮デカンタ62及び濃縮プレス(フィルタープレス)64で生じた余剰水は、それぞれ調整槽10へと供給され、さらに沈殿処理がなされて送泥水としてシールドチャンバー22に供給されるようになっている。
【0055】
この泥水濃縮システム部60では、図示せぬが、供給側泥水の流量及び密度を計測する第1の流量計及び密度計と、排出側に設けられた満水調整官側でオーバー泥水の流量及び密度を計測する第2の流量計及び密度系との計測値に基づきアンダー泥水の流量を演算し、かつ、アンダー泥水の密度を演算する演算部とによって、インバート施工処理システム部120で用いる濃縮スラリーの比重を例えば1.5に維持するように管理している。
【0056】
インバート施工処理システム部120は、図5に示すように、濃縮デカンタ62及び濃縮プレス(フィルタープレス)64から供給された例えば比重1.5に維持管理され濃縮スラリー化された掘削土砂を濃縮スラリー貯留槽122に貯留し、そこで攪拌して、ポンプP5にてスラリープラント124へと供給して、そこで流動化材サイロ126より流動化材(硬化材)を添加して攪拌し、スクイズポンプ128によりインバート施工部へと供給するようにしている。
【0057】
したがって、ミキサー車を用いることなくインバート施工が可能で、工費短縮、コスト削減が可能となる。
【0058】
このように、固形回収システム部40により掘進に伴って切り出し掘削した固形回収物を固形土として坑内の一次フィルター42にて取り出し、ベルトコンベア44にて地上に搬送し、残りの泥土は泥水濃縮システム部60で濃縮してインバート施工処理システム部120にて硬化材を添加してインバート施工に用いることができる。
【0059】
したがって、固形回収物は改質を必要としないため、地上の設備が残土ストックのための土砂ピット46とバックホー等の積み込み設備だけとなり、一次処理設備、二次処理設備が不要となる。
【0060】
また、残りの泥水はインバート施工に用いることで、泥水の処理設備が不要となる。
したがって、泥水処理に要する場所、時間が不要で、産業廃棄物の発生を極力抑えことができる。
【0061】
その結果、超大断面シールド、長距離シールド等の施工に際しても、工期短縮、コスト削減、環境保全、発進基地の省面積化を実現することが可能となる。
【0062】
なお、泥水濃縮システム部60は、大断面シールドの施工等によって、互層による地山の性状の変化によって濃縮後の泥水の性状がインバート施工に適さないようになった場合、前記濃縮プレス64によって固形化した後、前記ベルトコンベアにて地上に搬出するようにするようにすることで、排泥官や排泥ポンプ等を用いることなく、固形回収物搬出用のベルトコンベアによって不適な性状の泥水を固形化して搬出することができる。
【0063】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
【0064】
例えば、前記実施の形態では、泥水式シールド工法について説明したが、この例に限定されるものではなく、泥土圧シールド工法にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態の一例に係る泥水式シールド工法における掘削土さの処理システムの全体概略図である。
【図2】図1に示すシールド掘進機のカッタヘッドの正面図である。
【図3】先行ビットと後行ビットの進退による地山の掘削状態を立体的に示す概略図であり、(A)〜(C)は先行ビットと後行ビットによる地山の掘削状態を示す図である。
【図4】図1に示す排泥ポンプの断面図である。
【図5】図1のインバート施工処理システム部の模式図である。
【符号の説明】
【0066】
2 シールド掘進機
10 調整槽
22 カッタヘッド
30 リアルタイム切羽安定管理システム部
40 固形回収システム部
42 一次フィルター
44 ベルトコンベア
46 土砂ピット
50 送泥管
52 排泥管
60 泥水濃縮システム部
62 濃縮デカンタ
64 濃縮プレス
120 インバート施工処理システム部
210 シールドチャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送泥管によりシールドチャンバー内に泥水を供給し、カッタヘッドにより掘進経路にある地山を掘削して掘削土及び泥水を排泥管により取り出すシールド工法における掘削土砂処理システムであって、
前記カッタヘッドにより前記地山を固形状態で切り出し掘削し、前記切り出し掘削した固形回収物を排泥ポンプにより泥水とともに坑内の一次フィルターまで搬送して前記一次フィルターにて前記固形回収物を前記排泥管より取り出して前記固形回収物をベルトコンベアにて地上に搬出する掘削土の固形回収システム部と、
前記一次フィルターで分離した前記固形回収物以外の余剰泥水を泥水濃縮システム部で濃縮し、前記泥水濃縮システム部で濃縮した濃縮泥水に硬化材を添加してインバート部を施工するインバート施工処理システム部とを有することを特徴とするシールド工法における掘削土砂処理システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記一次フィルターで分離した前記固形回収物以外の余剰泥水は一旦坑内に配設された調整槽に送られ、前記調整槽内のアンダー泥水が前記泥水濃縮システム部に供給され、オーバー泥水は、そこから前記送泥管を経て前記シールドチャンバー内に供給されて送泥水として用いられることを特徴とするシールド工法における掘削土砂処理システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記泥水濃縮システム部で濃縮された後に生じる余剰泥水は坑内に配設した前記調整槽に送られ、そこから前記送泥管を経て前記シールドチャンバー内に供給されて送泥水として用いられることを特徴とするシールド工法における掘削土砂処理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記インバート施工処理システム部では、泥水濃縮システム部で濃縮泥水の比重が所定値に管理された濃縮スラリーに硬化材を添加して、ポンプ圧送によりインバート施工を行うことを特徴とするシールド工法における掘削土砂処理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記送泥管により前記シールドチャンバー内に供給される泥水は、坑内に配設され、槽泥水の粘性を粘土センサーにより連続的に計測し、増粘材添加装置により適宜増粘材を添加するリアルタイム切羽安定管理システム部により適正な性状に制御されることを特徴とするシールド工法における掘削土砂処理システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記泥水濃縮システム部は、濃縮デカンタ及び濃縮プレスを有し、地山の性状の変化によって濃縮後の泥水の性状がインバート施工に適さないようになった場合、前記濃縮プレスによって固形化した後、前記ベルトコンベアにて地上に搬出することを特徴とするシールド工法における掘削土砂処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−13905(P2010−13905A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177240(P2008−177240)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【出願人】(392000408)サンエー工業株式会社 (4)
【出願人】(591075630)株式会社アクティオ (33)
【Fターム(参考)】