説明

シール材及びそれを用いたシール方法

【課題】水蒸気等の気体を遮蔽するガスバリア性や可撓性に優れ、しかも2枚のガラス基板を一定の間隔に保持するスペーサ材としての機能も備えたシール材を提供する。
【解決手段】シール材1は、厚み1〜100μmのガラスリボンからなり、その両面2,3と、側面4は、火造り面となっている。ガラスリボンはその偏肉が、その厚みの20%以内であり得、厚みに対する幅のアスペクト比が25〜2000であり得、遷移元素を含有し得る。ガラスリボンの表面は、成膜処理され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明デバイス、太陽電池デバイス、ディスプレイデバイス、医療デバイス、分析デバイス等に使用されるシール材及びそれを用いたシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境面等を考慮し、有機EL照明、太陽電池、有機ELディスプレイ、医療デバイス、分析デバイス等のデバイスの開発が盛んになっている。
【0003】
上記のデバイスでは、ガラス基板等の複数の部材を一定の間隔を設けてシールし、その間に素子や液体を密封する必要があり、そのシール材として有機化合物からなる樹脂や接着材、あるいはガラス粉末(ガラスフリット)が使用されている(下記特許文献1、2参照)。
【0004】
また、この種のデバイスには、厚み200μm以下で可撓性を備えたガラス基板を使用することによって、折り曲げや巻き取りが可能な可撓性のデバイスを作製することが試みられている。具体的には、折り曲げや巻き取りが可能で、持ち運びできる有機ELディスプレイや、自動車の車体表面や建築物の屋根、柱、外壁等、曲面を有する物体の表面に取り付けることが可能な太陽電池や有機EL照明を作製することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−36381号公報
【特許文献2】特表2007−516611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記のデバイスのシール材として、有機化合物からなる樹脂や接着材を使用すると、水蒸気等の気体を完全に遮蔽することができないため、長期間の使用によって、デバイスの機能が損なわれる虞れがある。
【0007】
またシール材として、ガラスフリットを使用すると、気体を遮蔽することはできるが、可撓性のデバイスに使用した場合、折り曲げ時や巻き取り時に、シール部にクラックが発生し、気密性が損なわれる可能性がある。
【0008】
また有機化合物からなる樹脂や接着材、あるいはガラスフリットを使用して2枚のガラス基板をシールする場合、ガラス基板の所定箇所にシール材を塗布する工程が必要となるため、作業性が悪く、しかもシール材の塗布状態や加熱条件等によって、加熱後のシール形状が安定しないという問題がある。
【0009】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、水蒸気等の気体を遮蔽するガスバリア性や可撓性に優れ、しかも2枚のガラス基板を一定の間隔に保持するスペーサ材としての機能も備えたシール材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、厚み1〜100μmのガラスリボンからなることを特徴とするシール材に関する。
【0011】
請求項2に係る発明は、ガラスリボンの両面が、火造り面であることを特徴とする請求項1に記載のシール材に関する。
【0012】
請求項3に係る発明は、ガラスリボンの偏肉が、その厚みの20%以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシール材に関する。
【0013】
請求項4に係る発明は、ガラスリボンの厚みに対する幅のアスペクト比が、25〜2000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシール材に関する。
【0014】
請求項5に係る発明は、遷移元素を含有するガラスリボンからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシール材に関する。
【0015】
請求項6に係る発明は、ガラスリボンの表面は、成膜処理されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシール材に関する。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のシール材を使用した部材を備えてなることを特徴とする照明デバイスに関する。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のシール材を使用した部材を備えてなることを特徴とする太陽電池デバイスに関する。
【0018】
請求項9に係る発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のシール材を使用した部材を備えてなることを特徴とするディスプレイデバイスに関する。
【0019】
請求項10に係る発明は、被接着物の所定箇所に、厚み1〜100μmのガラスリボンからなるシール材を配置した後、シール材を加熱することによって、被接着物とシール材を接着することを特徴とするシール方法に関する。
【0020】
請求項11に係る発明は、被接着物とシール材の接触面を加熱することによって、被接着物とシール材を接着することを特徴とする請求項10に記載のシール方法に関する。
【0021】
請求項12に係る発明は、被接着物とシール材の接触面の一部を加熱することによって、被接着物とシール材を接着することを特徴とする請求項10又は11に記載のシール方法に関する。
【0022】
請求項13に係る発明は、被接着物が、ガラス基板であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のシール方法に関する。
【0023】
請求項14に係る発明は、ガラス基板の厚みが、10〜200μmであることを特徴とする請求項13に記載のシール方法に関する。
【0024】
請求項15に係る発明は、ガラス基板の両面が、火造り面であることを特徴とする請求項13又は14に記載のシール方法に関する。
【0025】
請求項16に係る発明は、ガラスリボンが、遷移元素を含有することを特徴とする請求項10〜15のいずれかに記載のシール方法に関する。
【0026】
請求項17に係る発明は、ガラスリボン中の遷移元素又は遷移元素のイオンが吸収する波長の光を照射することによってシール材を加熱することを特徴とする請求項16に記載のシール方法に関する。
【0027】
請求項18に係る発明は、ガラスリボンの表面は、成膜処理されていることを特徴とする請求項10〜17のいずれかに記載のシール方法に関する。
【0028】
請求項19に係る発明は、ガラスリボンの表面に成膜された膜が吸収する波長の光を照射することによってシール材表面を加熱することを特徴とする請求項18に記載のシール方法に関する。
【0029】
請求項20に係る発明は、レーザーによってシール材を加熱することを特徴とする請求項10〜19のいずれかに記載のシール方法に関する。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に係る発明によれば、シール材が、厚み1〜100μmのガラスリボン、つまり帯状のガラス板からなるため、気体を遮蔽するガスバリア性に優れ、これを用いてデバイスの構成部材をシールすると、長期間に亘ってデバイス内の素子や溶液の劣化を抑えることができる。また本発明のシール材は、可撓性を備えてなるため、可撓性デバイスのシール材として使用でき、折り曲げ時や巻き取り時に、シール部にクラックが発生し難く、気密性が損なわれることがない。
【0031】
また近年、ガラス基板同士を、100μm以下の間隔を保持して気密シールすることが要求されているが、本発明に係るシール材を使用すれば、100μm以下の間隔で精度良く気密シールすることが可能となり、従来のような塗布、乾燥工程も省略できるため、生産性も向上する。特に、医療、分析の分野に用いられるマイクロプレパラートに、本発明に係るガラスリボンのシール材を用いることが好ましい。この場合、ガラスリボンが、間隙材として対向する2枚のガラス板間に非常に狭い隙間を均等に保持することができ、且つ、2枚のガラス板がガラスリボンによってシールされているため、2枚のガラス板のずれや被分析液体の漏出等がなく、信頼性が高い。さらに矩形状のマイクロプレパラートのうち、対向する2辺のみをガラスリボンでシールすれば、シールしていない2辺の開口した端面から毛細管現象を利用して2枚のガラス板間に被分析液体を容易に注入することができる。
【0032】
またガラスリボンの生産性や、シール材としての取り扱い性等を考慮すると、ガラスリボンの幅は1〜5mm、長さは1〜100mが適当である。尚、本発明のシール材は、厚み1〜100μmのガラスリボンからなるため、使用する際、適宜、必要な長さに切断して用いることができる。
【0033】
本発明のシール材は、母材ガラスを作製した後、加熱し、それをリボン状に延伸成形する方法(リドロー法)が好適であり、母材ガラスの大きさや材質、延伸成形時の温度条件、引っ張り速度等を適宜調整することによって所望の寸法にすることができる。
【0034】
請求項2に係る発明によれば、ガラスリボンの両面(表面と裏面)が、火造り面であることから、表面に研磨等の加工を施したガラスリボンに比べて、シール材として加熱した時、表面が均一に軟化するため、良好なシール状態が得られる。また両面に割れ、欠け、クラック等が存在しないため、ガラスリボンが破断するのを効果的に防止することができる。特にガラスリボンの側面も火造り面とし、凸曲面部を有するように形成すると、ガラスリボンを曲げた時に、断面視4隅の角部に応力が集中するのを防止できるため好ましい。
【0035】
請求項3に係る発明によれば、ガラスリボンの偏肉が、その厚みの20%以内であることから、高精度のシールが可能となる。具体的には、2枚のガラス基板を一定の間隔を保持してシールする場合、所望の間隔で精度良くシールすることが可能となる。
【0036】
請求項4に係る発明によれば、ガラスリボンの厚みに対する幅のアスペクト比が25〜2000であることから、特に有機EL照明、太陽電池デバイス、有機ELディスプレイ等のデバイスのシール材として適切な形状が得られる。
【0037】
請求項5に係る発明によれば、遷移元素を含有するガラスリボンからなることから、シール材に対し、遷移元素または遷移元素のイオンが吸収する波長の光を照射することによって容易に接着することが可能となる。
【0038】
請求項6に係る発明によれば、ガラスリボンの表面は、成膜処理されていることから、シール材表面に対して、ガラスリボン表面に成膜された膜成分が吸収する波長の光を照射することによって、容易に接着することが可能となる。
【0039】
請求項7に係る発明によれば、上記のシール材を使用した部材を備えてなる照明デバイスであることから、例えば長期間に亘って素子や液体の劣化を防ぐことができる有機EL照明を作製することが可能となる。
【0040】
請求項8に係る発明によれば、上記のシール材を使用した部材を備えてなる太陽電池デバイスであることから、例えば長期間に亘って素子や液体の劣化を防ぐことができる色素増感型太陽電池を作製することが可能となる。
【0041】
請求項9に係る発明によれば、上記のシール材を使用した部材を備えてなるディスプレイデバイスであることから、例えば長期間に亘って素子や液体の劣化を防ぐことができる有機ELディスプレイを作製することが可能となる。
【0042】
請求項10に係る発明によれば、被接着物の所定箇所に、厚み1〜100μmのガラスリボンからなるシール材を配置した後、シール材を加熱することによって、被接着物とシール材を接着することから、従来のような塗布工程が省略でき、シール時の作業性が向上する。
【0043】
請求項11に係る発明によれば、被接着物とシール材の接触面を加熱することによって、被接着物とシール材を接着することから、短時間で、良好なシールが可能となる。
【0044】
請求項12に係る発明によれば、被接着物とシール材の接触面の一部を加熱することによって、被接着物とシール材を接着することから、短時間のシールが可能となる。
【0045】
請求項13に係る発明によれば、被接着物が、ガラス基板であることから、レーザー等によって両者を同時に加熱することが可能となる。
【0046】
請求項14に係る発明によれば、ガラス基板の厚みが、10〜200μmであることから、可撓性デバイスを作製することが可能となる。
【0047】
請求項15に係る発明によれば、ガラス基板の両面が、火造り面であることから、シール材との密着性が向上し、接着しやすくなる。ガラス基板の成形法として、オーバーフローダウンドロー法やリドロー法を採用することによって、両面を火造り面にすることができる。
【0048】
請求項16に係る発明によれば、ガラスリボンが、遷移元素を含有することから、シール材に対し、遷移元素または遷移元素のイオンが吸収する波長の光を照射することによって容易に接着することが可能となる。
【0049】
請求項17に係る発明によれば、ガラスリボン中の遷移元素又は遷移元素のイオンを吸収する波長の光を照射することによってシール材を加熱することから、短時間で容易に接着することが可能となる。
【0050】
請求項18に係る発明によれば、ガラスリボンの表面は、成膜処理されていることから、シール材表面に対して、ガラスリボン表面に成膜された膜成分が吸収する波長の光を照射することによって、容易に接着することが可能となる。
【0051】
請求項19に係る発明によれば、ガラスリボンの表面に成膜された膜成分が吸収する波長の光を照射することによってシール材表面を加熱することから、短時間で容易に接着することが可能となる。
【0052】
請求項20に係る発明によれば、レーザーによってシール材を加熱することから、シール材の形状を保ちながら短時間にシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るシール材を示す図であって、(a)は断面図、(b)は一部斜視図である。
【図2】本発明に係るシール材をボビンへ巻き取りを行っている状態を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図3】本発明に係るガラスリボンの製造装置を示す説明図である。
【図4】本発明に係るガラスリボンを、指に巻きまわした写真である。
【図5】本発明に係るシール材を使用し、2枚の透明ガラス基板の間隙に電解液を密封したデバイスを示す図であり、(a)は平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
【図6】本発明に係るシール材を、凸曲面部を維持した状態で使用し、2枚の透明ガラス基板の間隙に電解液を密封したデバイスを示す断面図である。
【図7】赤外ランプの発光波長を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明に係るシール材の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0055】
図1に示す通り、本発明に係るシール材(1)は、厚み1〜100μmのガラスリボンからなり、その両面(2)(3)と、側面(4)は、火造り面となっている。
【0056】
ガラスリボンの材質としては、ケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミ珪酸ガラス、シリカガラス等、延伸成形可能なガラスであれば、いずれの材質も使用可能であるが、特に無アルカリガラスを使用すると、アルカリ成分によって劣化する素子を搭載したデバイスのシール材として使用できるという利点がある。
【0057】
ガラスリボンには、0.01〜30質量%の遷移金属イオンが含有されていることが好ましい。ガラスリボンに遷移元素が含有されていると、遷移元素または遷移金属のイオンが吸収する波長の光をシール材(1)に照射することによって、シール材(1)を効果的に加熱することができる。これによって、シール材(1)のみを選択的に加熱、軟化させてガラス基板等の被接着物にシールすることが可能となる。接触部材の加熱が抑制されるため、接触部材に加熱によって劣化しやすい部分が含まれていても、その部分を劣化させることなくシールすることが可能になる。
【0058】
遷移元素は、周期律表の第3族から11族までの元素であれば使用可能であるが、好ましくは第一系列(第4周期)または第二系列(第5周期)元素が適しており、より好ましくは第一系列元素が適し、中でもFe、Co、Ni、Cuが特に好ましい。また照射光の光源は使用している遷移元素または遷移元素のイオンが吸収する波長の光を発するものであれば特に限定はされないが、赤外ランプ、可視光ランプ、レーザー(フェトム秒レーザー、YAGレーザー等)、発光ダイオード(LED)等が使用可能である。
【0059】
ガラスリボンの表面は、成膜処理されていることが好ましい。シール材(1)表面に対して、ガラスリボン表面に成膜された膜成分が吸収する波長の光を照射することによって、シール材(1)の表面を容易に加熱することが可能となる。これにより、被接着物との界面を効果的に加熱でき、シール材(1)と被接着物とを短時間で容易に接着することが可能となる。また、成膜時の部分マスキング処理などで、シール材であるガラスリボンのガラス表面を部分的に露出させることにより、ガラスリボン表面の軟化も被接着物との溶着に寄与できる。ガラスリボンの両面(2)(3)の内、何れか一方の面にのみ成膜処理を行ってもよいが、ガラスリボンの両面(2)(3)共に、成膜処理を行うことがより好ましい。
【0060】
ガラスリボンの表面に成膜処理を行う形態において、ガラスリボンの側面(4)、特に凸曲面部(5)は、成膜処理されていないことが好ましい。これにより、シール材(1)に膜成分が吸収する波長の光を照射したとしても、シール材の両面(2)(3)のみを選択的に加熱することができ、凸曲面部(5)は加熱されず、凸曲面の形態を維持したまま、シール材(1)と被接着物とを接着することができる。シール材(1)は、凸曲面の形態を維持しているため、シール材(1)でシールされた後の可撓性デバイス(照明、太陽電池、ディスプレイデバイス等)を曲げたとしても、シール材(1)の側面に応力が集中するのを防止することができ、シール材(1)が破断するのを防止することができる。
【0061】
ガラスリボンの表面に成膜される膜成分としては、光吸収帯を持つSi膜、Ge膜、金属膜(Ni、Cr、Ti、Ta等)、酸素欠損膜(TiO(2−x)等が好ましい。また、シール材(1)の成膜面に照射する照射光の光源は、ガラスリボン表面に成膜されている膜成分が吸収可能な波長の光を発するものであれば特に限定はされないが、赤外ランプ、可視光ランプ、レーザー(フェトム秒レーザー、YAGレーザー等)、発光ダイオード(LED)等を使用することができる。
【0062】
ガラスリボンの表面に成膜する方法としては、スパッタリング法、CVD法、PVD法、抵抗加熱法、イオンプレーティング法等の公知の方法を使用することができる。
【0063】
ガラスリボンと被接着物の熱膨張係数差は小さいことが好ましいが、ガラスリボンの厚みが薄いため、被接着物とのある程度の熱膨張係数差を許容することができ、その差が30×10−7/℃以内(0〜300℃の温度範囲)であれば接着、または封止を行うことが出来る。熱膨張係数差のより好ましい範囲は20×10−7/℃以内、さらに好ましくは10×10−7/℃以内である。
【0064】
ガラスリボンの厚みが大きくなりすぎると、必要以上にガラス基板同士の間隔が大きくなる。また可撓性のデバイスに使用する場合には、シール材(1)も可撓性が要求され、ガラスリボンの厚みはできるだけ小さくすることが望ましい。ただし、厚みが小さくなりすぎると、破損しやすくなるため取り扱いが困難となる。よってガラスリボンの厚みは、100μm以下であり、50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、10μm以下であることが最も好ましい。また1μm以上が好ましく、5μm以上であることがより好ましい。
【0065】
ガラスリボンは、スペーサ材として高精度の間隔を担保する機能を有すると共に、曲げた時に外周側の表面(2)に局所的に引っ張り応力が集中することを防止し、均等に引っ張り応力がかかるようにするため、偏肉が少ないことが好ましい。具体的には、偏肉が厚みの20%以内であることが好ましく、10%以内であることがより好ましい。尚、偏肉は、幅方向において両面(2)(3)を有する部分を幅方向に等間隔に5点測定し、測定された最大値と最小値との差を平均値で割った値とする。
【0066】
ガラスリボンを曲げた場合に外周側の表面(2)に局所的に引っ張り応力が集中することを防止し、均等に引っ張り応力がかかるようにするため、両面(2)(3)は、可能な限り平坦であることが好ましい。具体的には、両面(2)(3)の表面粗さがRa値で0.5nm以下の高い表面品位であることが好ましく、0.3nm以下であることがより好ましく0.2nm以下であることが最も好ましい。
【0067】
ガラスリボンは、厚みに対する幅のアスペクト比が25〜2000であることが好ましい。これにより、特に有機EL照明、太陽電池デバイス、有機ELディスプレイ等のデバイスのシール材として適切な形状が得られる。アスペクト比が、25未満になると、ガラスロッドやガラスファイバの形態となり、厚みを小さくした場合に被接着物との接触面積が小さくなってしまう。一方、アスペクト比が2000超になると、幅広となり、シール材として必要以上に大きくなってしまう。
【0068】
ガラスリボンは、側面(4)に凸曲面部(5)を有することが好ましい。これにより、ガラスリボンを曲げた時に、断面視4隅の角部に応力が集中することを防止することができる。また、欠けやクラックの発生を防止することができる。従って、大きな曲率(小径のボビン等での巻き取り等)で曲げることを可能とするシール材(1)を得ることができる。
【0069】
ガラスリボンの凸曲面部(5)は、火造り面であることが好ましい。成形された後に研削、研磨工程等の面取り工程を経ていないため、凸曲面部(5)に割れ、欠け、クラック等が存在せず、側面からガラスリボンが破断するのを効果的に防止することができる。従って、さらに大きな曲率(小径のボビン等での巻き取り等)で曲げることを可能とするシール材(1)を得ることができる。
【0070】
ガラスリボンの凸曲面部(5)は、図1では、ガラスリボンの断面視真円の円弧状であるが、この形状には限定されず、該扇形状は楕円の円弧状でもよい。ガラスリボンを曲げた場合に、凸曲面部(5)に均等に引っ張り応力がかかるようにするため、前記円弧状は、真円の円弧状であることが好ましい。図1(b)に示す通り、凸曲面部(5)の断面視が真円の円弧状の場合は、真円の半径rは、ガラスリボンの厚みtの1/2以下であることが好ましい。これにより、凸曲面部(5)の曲率を大きくすることが可能であるため、凸曲面部(5)にかかる引っ張り応力をより広く分散させることが可能となる。また、半径rは、ガラスリボン(1)の厚みtの1/50以上であることが好ましい。半径rがガラスリボン(1)の厚みtの1/50よりも小さいと、凸曲面部(4)の曲率が小さすぎることにより、大きな曲率でガラスリボン(1)を曲げた場合に応力集中が発生し破断するおそれがある。また凸曲面部(4)に欠けやクラックが発生しやすくなるおそれもある。
【0071】
ガラスリボンの断面視において、凸曲面部(5)と両面(2)(3)、及び凸曲面部(5)と側面(4)の平面部(41)とは、滑らかに繋がっていることが好ましく、具体的には、平面から側面にいたる曲面において、平面から漸次曲率が大きくなり、極大値を経て、側面に向かうにつれ、漸次曲率が小さくなり、側面に滑らかにつながる。曲率極大値となった場合において、その曲率は、ガラスリボンの厚みtの1/2以下の半径rであることが好ましい。これにより、引っ張り応力の角部での集中を防ぎ、より大きな曲率でシール材(1)を曲げることが可能となる。ガラスリボンの凸曲面部(5)と両面(2)(3)、及び凸曲面部(5)と側面(4)の平面部(41)とが角部を有するように形成されていると、シール材(1)を曲げた場合に当該角部に引っ張り応力が集中するおそれがある。
【0072】
シール材(1)は、図2(a)に示す通り、両端部にフランジ(61)を有するボビン(6)に巻き取られていることが好ましい。これによりシール材(1)の保存、輸送、取り扱い等を容易にすることができる。
【0073】
ガラスリボンは、その側面(4)に凸曲面部(5)を有することから、ボビン(6)に巻き取る際に、図2(b)に示す通り、ボビン(6)のフランジ(61)にガラスリボンの側端部が当接した後(図2(b)のガラスリボンが破線の状態後)、ガラスリボンの側面(4)に存在する凸曲面部(5)がフランジ(61)に沿って案内され、ボビン(6)に巻き取られるため、ボビン(6)への巻き取りが容易となる。また、凸曲面部(5)がフランジ(61)に沿うため、ボビン(6)へのガラスリボン(1)の巻き取りや巻き戻しをスムーズに行うことができる。
【0074】
本発明に係るシール材(1)は、梱包緩衝シートに重ねて巻き取られていることが好ましい。これにより、シール材(1)の表面同士が擦れることによる表面の面精度の悪化を防止することができる。梱包緩衝シートとしては、発泡樹脂製シート、樹脂フィルム、合紙、不織布等を使用することができる。梱包緩衝シートは、ガラスリボンの側面(4)を保護するためにガラスリボンよりも幅広であることが好ましい。また、梱包緩衝シートは、ボビン(6)のフランジ(61)間の幅寸法と実質的に同一であることが好ましい。これにより、梱包緩衝シートがボビン(6)のフランジ(61)間でずれるのを防止することができるため、ガラスリボン(1)の両面(2)(3)や側面(4)の表面精度が悪化するのをより確実に防止することができる。
【0075】
図3は、本発明に係るシール材の製造方法を示す説明図である。
【0076】
本発明のシール材(1)を作製する場合、まず厚み2mm以下に調整されたホウ珪酸ガラスからなる母材ガラス(7)を準備する。母材ガラス(7)は、ロール成形法、フロート成形法、アップ・ドロー成形法、スロットダウンドロー成形法等の公知の成形方法により、図示しないガラス溶融炉から供給される溶融ガラスを所定寸法の略矩形状に成形して得られる。特に、オーバーフローダウンドロー法によって成形されていることが好ましい。母材ガラス(7)の表面に傷の発生がなく、高い表面品位を有する母材ガラス(7)を得ることができるからである。母材ガラス(7)の表面品位が高ければ、後述する延伸成形後のガラスリボン(9)の表面品位も高くすることが可能となり、より大きな曲率で巻き取ることが可能なガラスリボン(9)を製造することができる。
【0077】
母材ガラス(7)の側面は、未加工でもよいが、側面の4隅をいわゆるC面取りやR面取り等を行うことにより、延伸成形後のガラスリボン(9)の側面に形成される凸曲面部が所望の形状になるように適宜調整してもよい。
【0078】
次に、母材ガラス(7)を延伸成形装置(8)にセットし、ヒーター(81)を用いて、所定の条件で加熱しながら延伸することによって、厚み1〜100μmで、両面及び側面が火造り面で、側面に凸曲面部を有するガラスリボン(9)が得られる。
【0079】
ここで母材ガラスの厚みが2mmを超える場合や、ガラスリボン(9)の厚みが100μmを超える場合は、形成されるガラスリボン(9)に角部が形成されたり、耳部が形成されたりするおそれがあるため、薄肉の母材ガラスを使用することが好ましい。具体的には、厚み0.5mm以下であることが好ましく、0.1mm以下であることがより好ましい。
【0080】
延伸成形は、母材ガラス(7)の粘度が6.0〜9.0dPa・sとなる温度で行うことが好ましい。これにより、ガラスリボン幅方向における反りや両端部での折れ曲がり、偏肉等もなく均一の厚みを有する平坦なガラスリボンを得ることができる。一方、母材ガラス(7)の粘度が6.0dPa・sを下回る温度(より高い温度)で延伸成形を行った場合は、アスペクト比が大きく変化するおそれがあるため、好ましくない。また、母材ガラス(7)の粘度が、9.0dPa・sを上回る温度(より低い温度)では、粘度が高すぎることにより延伸成形を行い難くなるため、好ましくない。側面に凸曲面部(4)を有するガラスリボンを製造するためには、母材ガラス(7)の粘度が6.0〜7.5dPa・sとなる温度で行うことが、より好ましい。特に、母材ガラス(7)の厚みが0.5mm以下であり、且つ、延伸成形後のガラスリボン(1)の厚みが25μm以下で、粘度が6.0〜7.0dPa・sとなるように引き出しを行った場合は、側面が火造り面の凸曲面部となり、側面(3)に平面部(31)を有しなくなるため、最も好ましい。一方で、アスペクト比の変化を避けるならば、側面の凸曲面は小さくなる傾向であるが、母材ガラス(7)の粘度が7.5〜9.0dPa・sとなる温度で行うことが、より好ましい。特に、粘度が8.0〜9.0dPa・sとなる温度で引き出しを行った場合は、アスペクト比の変化が実質起こらない。
【0081】
延伸成形は、巻き取りドラム(10)を使用して行う。公知の延伸成形では、1対のローラでガラスを挟持することによって、引っ張り力を付与するが、ガラスリボン(9)を1対のローラで挟持することによって引っ張り力を付与しようとすると、ガラスリボン(9)が薄すぎることにより、1対のローラによる圧力によってガラスリボン(9)が破断してしまう。また、テンションローラを千鳥に配置し、ガラスリボン(9)をジグザグ状(S字状)に引っ張ることによって、テンションを付与することも考えられるが、ガラスリボン(9)の両面がローラと接触することとなり、表面品位が悪化するおそれがある。そこで、本製造方法では、延伸後のガラスリボン(9)を、直接巻き取りドラム(10)によって巻き取ることによって、延伸成形の際の引っ張り力を付与している。引っ張り力の調整(延伸速度の調整)は、巻き取りドラム(10)の巻き取り速度で調節する。これにより、表面品位の高いガラスリボン(9)を得ることができる。尚、図3では、フランジを有する巻き取りドラム(10)を使用する例を示したが、フランジなしの巻き取りドラムを使用してもよい。
【0082】
巻き取りドラム(10)によって巻き取られたガラスリボン(9)は、所定長毎(所定重量毎)に切断される。巻き取りドラム(10)が交換されたあと、ガラスリボン(9)の巻き取りを再度開始する。巻き取りドラム(10)によって巻き取られたガラスリボン(9)を、そのままの形態で梱包、出荷してもよいが、ボビンに巻きなおすことによって、小分けにして出荷してもよい。また、巻き取りドラム(10)を使用する代わりに、直接ボビンに巻き取ってもよい。
【0083】
上述の製造方法によって得られた本発明に係るシール材(1)は、図4に示す通り、人間の指に巻きつけても破断せず、大きな曲率(小径のボビン等)に巻き取ることが可能である。
【0084】
図5は、本発明に係るシール材(1)を使用し、2枚の透明ガラス基板(11)(12)の間隙に電解液(13)を密封したデバイスを示す概略図である。2枚のガラス基板(11)(12)の間隙の所定箇所にシール材(1)を配置し、シール材(1)を加熱すると、ガラス基板(11)(12)とシール材(1)を接着することが可能である。シール材の加熱方法は、特に限定はされないが、COレーザー、フェトム秒レーザー、YAGレーザー等のレーザーや、赤外ランプ、可視光ランプ、発光ダイオード(LED)等を使用することができる。この時、COレーザーを使用してデバイスの側面からシール材(1)のみを加熱しても良いし、デバイスの側面全体を加熱することにより、シール材(1)とガラス基板(11)とを同時に加熱してもよい。また、フェトム秒レーザーを使用してシール材(1)とガラス基板(11)(12)の接触面を加熱しても良い。また気密性が担保されるのであれば、フェトム秒レーザーを使用してシール材(1)とガラス基板(11)(12)の接触面の一部を加熱しても良い。特に、フェトム秒レーザーを使用して、平面方向からガラス基板(11)(12)とシール材(1)との接着界面を選択的に照射した場合、図6に示す通り、シール材(1)の凸曲面部(4)を維持した状態で、ガラス基板(11)(12)を封着することができるため好ましい。透明ガラス基板(11)(12)の厚みを10〜200μmにすると、可撓性デバイスが得られることになる。上述では電解液を密封する形態について説明したが、電解液を適宜素子等に変更することによって、照明デバイス、太陽電池デバイス、ディスプレイデバイスを作製することができる。
【0085】
シール材(1)が、遷移元素を含有するガラスリボンからなる場合には、遷移元素や遷移元素のイオンが吸収する波長の光を照射することによってシール材(1)のみを加熱することができ、ガラスリボンを介して被着物を接着することが可能となる。さらにシール材(1)同士が接触する箇所にガラス粉末のシール材を塗布すると、より確実な気密封着が得られるため好ましい。
【0086】
シール材(1)が、成膜処理されているガラスリボンからなる場合には、膜成分が吸収する波長の光を照射することによってシール材(1)の表面を加熱することができる。これによって、被接着物とシール材(1)との界面を効果的に加熱でき、短時間で容易に被接着物とシール材とを接着することが可能となる。
【実施例】
【0087】
以下、本発明のシール材を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0088】
(実施例1)母材ガラスとして、日本電気硝子株式会社製BDA(軟化点740℃)の成形体(幅50mm、厚み0.3mm)を準備した。
【0089】
母材ガラスを、延伸成形装置にセットし、温度785℃(母材ガラスの粘度6.7dPa・s)に保持された成形炉の供給口から6mm/minの速度で搬入し、巻き取りドラムで巻き取ることによって引き出し口から1350mm/minで引き出し、幅3.0mm、厚み22μm(アスペクト比135)のガラスリボンを得た。
【0090】
このガラスリボン(幅3.0mm)の厚みを、厚み測定装置(株式会社ニコン社製NEXIVを使用し、幅方向等間隔に5点(両端部、右端部と左端部から0.75mmの位置、中央(両端部から1.5mmの位置)の計5点)測定した。測定された厚みは、21.5μm〜22.0μmであり、偏肉は、0.5μm(厚みの約2%)であった。
【0091】
こうして得られたガラスリボンからなるシール材を、2枚のガラス基板(厚み1.1mmのBDAの板ガラス)の周囲間隙に配置し、COレーザーを使用して、レーザースポット径を約2mmとし、側面全体をレーザーで走査し加熱したところ、20μmの間隙で良好に気密封止することができた。
【0092】
(実施例2)母材ガラスとして、日本電気硝子株式会社製BDA(軟化点740℃)の成形体(幅50mm、厚み0.3mm)を準備した。
【0093】
母材ガラスを、延伸成形装置にセットし、温度785℃(母材ガラスの粘度6.7dPa・s)に保持された成形炉の供給口から4mm/minの速度で搬入し、巻き取りドラムで巻き取ることによって引き出し口から900mm/minで引き出し、幅3.3mm、厚み20μm(アスペクト比167)のガラスリボンを得た。
【0094】
このガラスリボン(幅3.3mm)の厚みを、厚み測定装置(株式会社ニコン社製NEXIVを使用し、幅方向等間隔に5点(両端部、右端部と左端部から0.83mmの位置、中央(両端部から1.65mmの位置)の計5点)測定した。測定された厚みは、20.20μm〜21.00μmであり、偏肉は、0.8μm(厚みの約4%)であった。アスペクト比が小さくなる変化を相殺するために、炉内温度分布の補正と延伸速度の補正を実施し延伸整形の過程で横方向へ引き伸ばす効果を与えた。その結果、中央部が薄くなった。
【0095】
こうして得られたガラスリボンからなるシール材を、2枚のガラス基板(厚み1.1mmのBDAの板ガラス)の周囲間隙に配置し、フェトム秒レーザーを使用し、シール材と各ガラス基板の接触面を加熱したところ、20μmの間隙で良好に気密封止することができた。
【0096】
(実施例3)母材ガラスとして、日本電気硝子株式会社製BDA(軟化点740℃)の成形体(幅50mm、厚み0.2mm)を準備した。
【0097】
母材ガラスを、延伸成形装置にセットし、温度725℃(母材ガラスの粘度8.0dPa・s)に保持された成形炉の供給口から8mm/minの速度で搬入し、巻き取りドラムで巻き取ることによって引き出し口から800mm/minで引き出し、幅5.0mm、厚み20μm(アスペクト比250)のガラスリボンを得た。
【0098】
こうして得られたガラスリボンからなるシール材を、2枚のガラス基板(厚み1.1mmのBDAの板ガラス)の周囲間隙に配置し、フェトム秒レーザーを使用し、シール材と各ガラス基板の接触面を加熱したところ、20μmの間隙で良好に気密封止することができた。
【0099】
(実施例4)母材ガラスに遷移元素としてCuを10原子%添加した以外は実施例2と同様の方法により、幅3.3mm、厚み20μmのガラスリボンを得た。こうして得られたガラスリボンからなるシール材を、2枚のガラス基板(厚み1.1mmのBDAの板ガラス)の周囲間隙に配置し、図7に示す発光波長を有する赤外ランプを用いて色温度3000Kの光を照射したところ、ガラス基板は軟化することなく、シール材のみが選択的に加熱、軟化し、良好に気密封止することができた。
【0100】
(実施例5)母材ガラスとして、日本電気硝子株式会社製BDA(軟化点740℃)の成形体(幅50mm、厚み0.2mm)を準備した。
【0101】
母材ガラスを、延伸成形装置にセットし、温度725℃(母材ガラスの粘度8.0dPa・s)に保持された成形炉の供給口から8mm/minの速度で搬入し、巻き取りドラムで巻き取ることによって引き出し口から800mm/minで引き出し、幅5.0mm、厚み20μm(アスペクト比250)のガラスリボンを得た。
【0102】
こうして得られたガラスリボンにニッケルを成膜した。このシール材を、2枚のガラス基板(厚み50μmのBDAの板ガラス)の周囲間隙に配置し、YAGレーザーを使用し、シール材と各ガラス基板の接触面を加熱したところ、20μmの間隙で良好に気密封止することができた。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明のシール材は、有機EL照明、太陽電池、有機ELディスプレイ、医療デバイス、分析デバイス等のデバイスに用いるシール材として好適である。
【符号の説明】
【0104】
1 シール材
2、3 ガラスリボンの両面
4 ガラスリボンの側面
5 ガラスリボンの凸曲面部
6 ボビン
7 母材ガラス
8 延伸成形装置
9 ガラスリボン
10 巻き取りドラム
11、12 ガラス基板
13 電解液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み1〜100μmのガラスリボンからなることを特徴とするシール材。
【請求項2】
ガラスリボンの両面が、火造り面であることを特徴とする請求項1に記載のシール材。
【請求項3】
ガラスリボンの偏肉が、その厚みの20%以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシール材。
【請求項4】
ガラスリボンの厚みに対する幅のアスペクト比が、25〜2000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシール材。
【請求項5】
遷移元素を含有するガラスリボンからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシール材。
【請求項6】
ガラスリボンの表面は、成膜処理されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシール材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のシール材を使用した部材を備えてなることを特徴とする照明デバイス。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のシール材を使用した部材を備えてなることを特徴とする太陽電池デバイス。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載のシール材を使用した部材を備えてなることを特徴とするディスプレイデバイス。
【請求項10】
被接着物の所定箇所に、厚み1〜100μmのガラスリボンからなるシール材を配置した後、シール材を加熱することによって、被接着物とシール材を接着することを特徴とするシール方法。
【請求項11】
被接着物とシール材の接触面を加熱することによって、被接着物とシール材を接着することを特徴とする請求項10に記載のシール方法。
【請求項12】
被接着物とシール材の接触面の一部を加熱することによって、被接着物とシール材を接着することを特徴とする請求項10又は11に記載のシール方法。
【請求項13】
被接着物が、ガラス基板であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のシール方法。
【請求項14】
ガラス基板の厚みが、10〜200μmであることを特徴とする請求項13に記載のシール方法。
【請求項15】
ガラス基板の両面が、火造り面であることを特徴とする請求項13又は14に記載のシール方法。
【請求項16】
ガラスリボンが、遷移元素を含有することを特徴とする請求項10〜15のいずれかに記載のシール方法。
【請求項17】
ガラスリボン中の遷移元素又は遷移元素のイオンが吸収する波長の光を照射することによってシール材を加熱することを特徴とする請求項16に記載のシール方法。
【請求項18】
ガラスリボンの表面は、成膜処理されていることを特徴とする請求項10〜17のいずれかに記載のシール方法。
【請求項19】
ガラスリボンの表面に成膜された膜が吸収する波長の光を照射することによってシール材表面を加熱することを特徴とする請求項18に記載のシール方法。
【請求項20】
レーザーによってシール材を加熱することを特徴とする請求項10〜19のいずれかに記載のシール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−31042(P2012−31042A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7661(P2011−7661)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】