説明

シール装置

シール支持体と、成形シールを形成するリング部材(25)の形式の、少なくとも1つのシール部材とを有する、特に内燃機関の排ガス装置のパイプを接続するための、シール装置は、リング部材をシール支持体に失われないように固定するために、シール支持体とリング部材(25)との間に力結合を発生させる保持装置(27)が設けられていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール支持体と、成形(mold)シールを形成するリング部材の形式の、少なくとも1つのシール部材とを有する、特に内燃機関の排ガス装置にパイプを接続するための、シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシール装置は、たとえばパイプを触媒または内燃機関のシリンダヘッドに接続するために、排ガスを案内するパイプを接続結合する場合に、広く普及して適用されている。高い排ガス温度の発生に基づいて、それぞれのリング部材は、わずかな肉厚を有する金属の構成部品であって、その場合にリング部材は、通常、たとえばC字形の形状を有している。
【0003】
好ましくないことに、この種の多部材のシール装置の組立てプロセスは、比較的複雑である。というのは、結合を形成する場合に、リング部材が実際にそれぞれの接続部分間に存在し、かつ位置決めされるように、注意しなければならないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来技術に関して、本発明の課題は、組立てプロセスが比較的簡単かつ確実に実施できる、特に内燃機関の排ガス装置にパイプ接続するためのシール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、その全体において特許請求項1の特徴を有するシール装置によって、解決される。
【0006】
本発明に基づくシール装置が、それぞれのリング部材を失われないように保持するユニットを形成することによって、組み立てる場合の作業シーケンス全体が特に簡単かつ確実に構成される。というのは、シール装置を本来の取付け位置へ供給する間も(工業的に形成する場合には自動化されて行われる)、本来の接続プロセスにおいても、該当するリング部材が存在するか、および正確に位置決めされているか、注意しなくて済むからである。
【0007】
成形シールを形成するリング部材は、横断面においてC、UまたはV字形のプロフィールを有する、特に好ましい実施形態において、保持装置として、プロフィールの端縁に複数の突片を形成することができ、その突片が、プロフィールの周側にわずかに突出する保持爪を形成し、その保持爪は、リング部材をシール支持体に取り付ける場合に、シール支持体に力結合を形成するために弾性的に撓んで変形し、それによってばね爪の形式で、リング部材をシール支持体に固定する。
【0008】
突片は、リング部材のプロフィールの径方向外側に位置する端縁に形成することができ、あるいはリング部材のプロフィールの径方向内側に位置する端縁に形成することができる。従って、それぞれシール支持体の構造およびリング部材のそれぞれの配置に応じて、保持爪は内径または外径において作用することができる。
【0009】
シール支持体が、ガス流のための少なくとも1つの開口部を有するプレートであって、リング部材がそれぞれの開口部の端縁に沿って延びている場合に、失われないようにするための力結合は、突片をプレート開口部の開口部端縁内へ圧入することによって、形成される。
【0010】
特に好ましい実施例において、シール支持体は、リング部材のためのシートとして環状の凹部を有しており、その凹部が排ガス流を案内する通路を取り巻き、かつ軸方向に延びる壁によって画成されており、保持爪を形成する突片がその壁と協働する。
【0011】
その場合に、配置は、環状の凹部が、その径方向内側に位置する端部において、排ガス流を案内する通路へ向かって開放しているように、行うことができ、その場合に凹部の径方向外側に位置する壁において、保持爪として用いられる突片との力結合が形成される。
【0012】
代替的に凹部は、2つの、互いに径方向間隔を有し、軸方向に延びる壁を備えた、リング溝の形状を有することができ、その壁のうちの、径方向内側に位置する、あるいは径方向外側に位置する壁が、保持爪として用いられる突片との力結合を形成する。この種の実施例において、リング溝はリング部材のための部屋を形成し、それによってリング部材を失われないように固定することに関しても、形成されるシールの駆動安全性に関しても、著しい利点が生じる。
【0013】
本発明の対象は、リング部材でもあって、そのリング部材は、本発明に基づくシール装置において成形シールとして使用するために設けられており、かつ特許請求項10の特徴を有している。本発明に基づくリング部材の他の形態特徴が、特許請求項11から13に記載されている。
【0014】
以下、図面に示す実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】排ガス曲り管とシリンダヘッドの間の接続結合に使用するための、いわゆるシールメガネの形状のシール装置を示しており、その場合にシール支持体として平坦なプレートが設けられており、かつ図1の右と左には、プレートの異なる実施形態が示されており、それらは熱的分離に用いられる異なる形状の切欠きによって区別される。
【図2】本発明に基づくシール装置の、成形シールを形成するリング部材の上面図である。
【図3】図2にIIIで示す領域を著しく拡大して詳細に示している。
【図4】図2のリング部材と図1のプレートの開口部の、対応する端縁部分を、図2に対して著しく拡大し、かつ破断して示す部分横断面図であって、その場合にリング部材をプレートに取り付ける前の状態が示されている。
【図5】図4に相当する表示であって、その場合にプレートの開口部内へ挿入された後のリング部材が示されている。
【図6】本発明に基づくシール装置のリング部材を示す斜視図である。
【図7】シール支持体を形成する接続フランジ内の、リング部材のシートとして用いられる凹部内へ挿入されたリング部材を、図6に対して著しく拡大して示す部分横断面図である。
【図8】図7と同様の部分横断面図であるが、その場合にリング部材は、その径方向内側に位置する端縁に、保持爪を形成する突出した突片を有しており、かつリング溝によって形成される、シール支持体のシート内に組み込まれている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、本発明をまず例を用いて説明し、その例においてシール装置はいわゆるシールメガネの形状を有し、そのシールメガネにおいてシール支持体を形成するフラットな金属のプレートが、2つのプレート領域1、3を有しており、それらが比較的幅狭のプレートウェブ5を介して互いに一体的につながり合っており、その場合にウェブ5は、シール装置の長手軸7に沿って延びている。各プレート領域1、3内に、それぞれ排ガス流を通過させるための丸い開口部11が、長手軸7上に位置する円中心9をもって設けられており、その排ガス流はシリンダヘッド(図示せず)の該当する流出開口部から流出する。2つのプレート領域1、3内に位置するボルト穴13が、固定ボルトのために設けられており、その固定ボルトが図示されない曲り管およびシール装置をシリンダヘッドに固定する。
【0017】
ボルト穴13に加えて、プレート領域1、3内に、シール装置の熱伝導面を減少させ、それに伴ってシリンダヘッドと排ガス曲り管の間の熱的分離を目的とする、切欠き15が設けられている。図1において、切欠き15のために2つの異なる実施形態が示されており、すなわち左に位置するプレート領域1内には、三日月形状の切欠き15が、右に位置するプレート領域3内には、丸い穴の形状の切欠き15が設けられている。
【0018】
開口部11のために、金属のリング部材25(図2を参照)が設けられており、そのリング部材は、C字形のプロフィール19の横断面形状を有している。プレート領域1、3を有するプレートにおいてそうであるように、リング部材25も肉薄の金属の構成部品であって、その肉厚は、プレートの場合がそうであるように、たとえば0.3mmの領域内にある。付属のプレート領域1、3の該当する開口部11にリング部材25がなくならないように固定するために、リング部材25はその、径方向外側の端部21とは逆の端縁に、3つの保持突片27を有しており、それが、図2に示すように、リング部材25の周面に均一に分配されている。図3の拡大された表示から、もっともはっきりとわかるように、保持突片27は(変形されない)初期状態において、爪形状の突出部を形成し、それが、リング部材25の該当する周端縁26において径方向にわずかに突出している。
【0019】
図4は、リング部材25を該当するプレート領域1、3の開口部11の端縁に取り付ける直前の初期状態を示しており、その場合に明らかにわかるように、保持突片27は、開口部11の端縁を越えて径方向外側へわずかに延びている。リング部材が、力矢印29に従って押圧力を加えることにより開口部11内へ圧入された場合に、図5に示すように、開口部11内へ圧入する際に、保持突片27の弾性的に撓む変形が生じ、それによって開口部11において力結合が形成され、それが保持力をもたらし、その保持力によってリング部材25が開口部11に失われないように保持される。
【0020】
圧入の際にもたらされる押圧力によって、リング部材25はその、保持突片27を有する周端縁26においてわずかに変形し、それによって、C字形のプロフィール19を変形させる押圧力が、プレート1、3の下方にわずかな膨出部23を形成する。従って図5は、リング部材25について、その、端部21とは逆の端縁(図3の周端縁26)における膨出部23を示している。
【0021】
図6から8を用いて、シール装置の好ましい実施例が説明され、その実施例においてシール支持体は、フラットなプレートではなく、排ガスの通路43の外側に設けられた接続フランジ41が、シール支持体を形成している。図7が示す例において、リング部材25のためのシートは、フランジ41の当接面に穿設された環状の凹部45によって形成されており、その凹部は、径方向内側において排ガスの通路43へ向かって開放しており、径方向外側に位置する端部においては、軸方向に延びる壁47によって画成されている。リング部材25の、図6の表示に従って径方向外側に位置する周端縁26に設けられた保持突片27が、凹部45内へ次のように、すなわち突片27が軽く弾性的に撓む変形を受けて保持爪として凹部45の壁47に支持されるように、嵌め込まれている。
【0022】
図8に示す例において、リング部材25は、図4から7の例におけるのとは異なり、径方向内側へ向かって開放されており、かつ保持突片27は、径方向内側に位置する端縁に設けられている。この実施例において、シール支持体を形成するフランジ41内に、図7に示す凹部45の代わりに、排ガス通路を取り巻くリング溝48が形成されており、そのリング溝は、径方向内側に位置する、軸方向に延びる壁51と径方向外側に位置する、軸方向に延びる壁53によって画成されている。その場合に、保持突片27は、径方向内側の壁51に支持され、その場合に図7におけるのと同様に、失われない対策を形成する力結合が形成される。リング溝49によってリング部材25のための部屋が形成される、図8の例においても、リング溝49内へ、径方向外側に開放した形状を有するリング部材25を組み込むことができ、その場合に保持突片27は、径方向外側に位置する壁53に保持爪として作用する。さらに、「シールリングまたは成形リング」の概念は、楕円形状または矩形の形状を有するリング形態にもおよび、その場合に好ましくは矩形の角部は、面取りして形成されている。ここでは、他のリング形状も可能である。その限りにおいて、成形リングまたはシールリングのためのそれぞれの収容部は、好ましくはそれぞれの形状に従う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール支持体(1、3、41)と、成形シールを形成するリング部材(25)の形式の、少なくとも1つのシール部材とを有する、特に内燃機関の排ガス装置にパイプ接続するための、シール装置において、
リング部材をシール支持体(1、3;41)に失われないように固定するために、シール支持体(1、3;41)とリング部材(25)との間に力結合を発生させる保持装置(27)が設けられている、
ことを特徴とするシール装置。
【請求項2】
成形シールを形成するリング部材(25)が、横断面においてC、UまたはV字形のプロフィール(19)を有し、かつ
保持装置として、プロフィール(19)の端縁(26)に複数の突片(27)が形成されており、
前記突片が、プロフィール(19)の周側にわずかに突出する保持爪を形成し、
リング部材(25)をシール支持体に取り付ける際に、前記保持爪が、シール支持体(1、3;41)に力結合を形成するために弾性的に撓んで変形する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
突片(27)が、リング部材(25)のプロフィール(19)の径方向外側に位置する端縁(26)に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のシール装置。
【請求項4】
突片(27)が、リング部材(25)のプロフィール(19)の径方向内側に位置する端縁に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のシール装置。
【請求項5】
シール支持体が、排ガス流のための少なくとも1つの開口部(11)を備えた平坦なプレート(1、3)を有しており、かつ、
リング部材(25)が、それぞれの開口部(11)の端縁に沿って延びている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシール装置。
【請求項6】
突片(27)が、プレート(1、3)のそれぞれの開口部(11)の端縁に、保持爪として作用することを特徴とする請求項3と5に記載のシール装置。
【請求項7】
シール装置が、リング部材(25)のためのシートとして、環状の凹部(45)を有しており、
前記凹部が、排ガス流の通路(43)を取り巻き、かつ軸方向に延びる壁(47)によって画成されており、
保持爪を形成する突片(27)が前記壁と協働する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載のシール装置。
【請求項8】
凹部(45)が、径方向外側に位置する壁(47)において、保持爪として用いられる突片(27)と力結合する、ことを特徴とする請求項7に記載のシール装置。
【請求項9】
凹部が、互いに径方向間隔を有する、軸方向に延びる2つの壁(51、53)を備えたリング溝(49)の形状を有しており、
前記壁のうちの径方向内側に位置する壁(51)が、保持爪として用いられる突片(27)と力結合する、
ことを特徴とする請求項7に記載のシール装置。
【請求項10】
メインリング平面から軸方向に隔たった端縁を備えたプロフィール(19)を有し、
端縁(26)に複数の突片(27)が形成されており、
前記突片が端縁(26)にわずかに突出する保持爪を形成する、
ことを特徴とする請求項1から9のシール装置において、成形シールとして使用するためのリング部材。
【請求項11】
プロフィール(19)がC字形である、ことを特徴とする請求項10に記載のリング部材。
【請求項12】
突片(27)が、プロフィール(19)の径方向外側に位置する端縁(26)に形成されている、ことを特徴とする請求項10または11に記載のリング部材。
【請求項13】
突片(27)が、プロフィール(19)の径方向内側に位置する端縁に形成されている、ことを特徴とする請求項10または11に記載のリング部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−505055(P2010−505055A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529549(P2009−529549)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007034
【国際公開番号】WO2008/037321
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(503103316)エルリンククリンガー アクチェンゲゼルシャフト (13)
【Fターム(参考)】