説明

ジアザ二環系アリール誘導体及びそれらのニコチン様アセチルコリン受容体におけるコリン作動性リガンドとしての使用

本発明は、ニコチン様アセチルコリン受容体におけるコリン作動性リガンドであり、モノアミン受容体及びトランスポーターのモジュレーターであることが認められる新規なジアザ二環系アリール誘導体に関する。それらの薬理学的プロファイルのため、本発明の化合物は、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)のコリン作動系に関連する多様な疾患若しくは障害、平滑筋収縮に関連する疾患若しくは障害、内分泌疾患若しくは障害、神経変性に関連する疾患若しくは障害、炎症、疼痛に関連する疾患若しくは障害、及び化学物質の乱用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状の治療に有用である可能性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチン様アセチルコリン受容体におけるコリン作動性リガンドであり、モノアミン受容体及びトランスポーターのモジュレーターであることが認められる新規なジアザ二環系アリール誘導体に関する。それらの薬理学的プロファイルのため、本発明の化合物は、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)のコリン作動系に関連する多様な疾患若しくは障害、平滑筋収縮に関連する疾患若しくは障害、内分泌疾患若しくは障害、神経変性に関連する疾患若しくは障害、炎症、疼痛に関連する疾患若しくは障害、及び化学物質の乱用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状の治療に有用である可能性がある。
【背景技術】
【0002】
内因性コリン作動性神経伝達物質であるアセチルコリンは、2種類のコリン作動性受容体であるムスカリン様アセチルコリン受容体(mAChR)及びニコチン様アセチルコリン受容体(nAChR)を介してその生物学的作用を及ぼす。
【0003】
ムスカリン様アセチルコリン受容体は記憶及び認識に重要な脳領域においてニコチン様アセチルコリン受容体と比較して定量的に優位を占めていることは十分に立証されているので、記憶に関連する障害の治療用の薬物の開発を目的とする多くの研究は、ムスカリン様アセチルコリン受容体モジュレーターの合成に重点がおかれている。
【0004】
しかし、最近、nAChRモジュレーターの開発への関心が発生した。いくつかの疾患は、コリン作動系の変性に関連するものであり、すなわち、アルツハイマー型の老年性痴呆、血管性痴呆及びアルコール中毒に直接関連する器質性脳損傷疾患に起因する認知障害である。実際、いくつかのCNS障害は、コリン作動性欠損、ドーパミン作動性欠損、アドレナリン作動性欠損又はセロトニン作動性欠損が原因である場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、そのモジュレーターがコリン作動性受容体、特にニコチン様アセチルコリン受容体(nAChR)、セロトニン受容体(5−HTR)、ドーパミン受容体(DAR)及びノルエピネフリン受容体(NER)に関連する疾患又は障害の治療に有用である、ニコチン様及び/又はモノアミン受容体の、並びにセロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)及びノルエピネフリン(NE)の生体アミン輸送体の、新規なモジュレーターの提供を対象とする。
【0006】
それらの薬理学的プロファイルのため、本発明の化合物は、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)のコリン作動系に関連するような多様な疾患若しくは障害、平滑筋収縮に関連する疾患若しくは障害、内分泌疾患若しくは障害、神経変性に関連する疾患若しくは障害、炎症、疼痛に関連する疾患若しくは障害、及び化学物質の乱用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状の治療に有用である可能性がある。
【0007】
本発明の化合物は、様々な診断法における、及び特にin vivo受容体撮像法(神経撮像法)用の、診断ツール又はモニタリング物質としても有用であり、標識若しくは非標識の形態で用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
その第1の態様において、本発明は、式Iにより表されるジアザ二環系アリール誘導体、
【化1】


その鏡像異性体のいずれか若しくはその鏡像異性体のいずれかの混合物、又はその製薬上許容できる塩[式中、
mは2又は3であり、
nは1又は2であり、
は水素、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキル−アルキルを表し、
Aは芳香族単環系若しくは二環系炭素環基又は複素環基を表し、この炭素環基又は複素環基はアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ及びニトロからなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されており、
Bはフェニル若しくはナフチル基、5〜6員芳香族単環系複素環基又は芳香族二環系複素環基を表し、この芳香族基はアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’は水素、アルキル、シクロアルキル又はフェニルを表し、
Lは−O−、−S−、−S−CH−、−CH−S−、−SO−、−SO−、−NR’’−、−CH−、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−NR’’CO−、−NR’’CONR’’−又は−NR’’(SO)−を表し、R’’は水素又はアルキルを表す]を提供する。
【0009】
その第2の態様において、本発明は、本発明の治療有効量のジアザ二環系アリール誘導体、又はその製薬上許容できる付加塩、又はそのプロドラッグを、少なくとも1つの製薬上許容できる担体若しくは希釈剤と一緒に含む薬剤組成物を提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳動物の、コリン作動性受容体及び/又はモノアミン受容体の調節に反応する疾患、障害又は状態の治療、予防若しくは軽減のための薬剤組成物/薬剤の製造のための本発明のジアザ二環系アリール誘導体、又はその製薬上許容できる付加塩の使用に関する。
【0011】
最後の態様において、本発明は、ヒトを含む動物生体の、コリン作動性受容体及び/又はモノアミン受容体の調節に反応する疾患、障害又は状態の治療、予防若しくは軽減の方法であって、それを必要とするそのような動物生体に治療有効量の本発明のジアザ二環系アリール誘導体を投与するステップを含む方法を提供する。
【0012】
本発明の他の目的は、当業者には以下の詳細な説明及び実施例から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ジアザ二環系アリール誘導体
第1の態様において、新規なジアザ二環系アリール誘導体を提供する。本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、一般式I
【化2】


により表され、その鏡像異性体のいずれか若しくはその鏡像異性体のいずれかの混合物、又はその製薬上許容できる塩であってよい[式中、
mは2又は3であり、
nは1又は2であり、
は水素、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキル−アルキルを表し、
Aは芳香族単環系若しくは二環系炭素環基又は複素環基を表し、この炭素環基又は複素環基はアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ及びニトロからなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されており、
Bはフェニル若しくはナフチル基、5〜6員芳香族単環系複素環基又は芳香族二環系複素環基を表し、この芳香族基はアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’は水素、アルキル、シクロアルキル又はフェニルを表し、
Lは−O−、−S−、−S−CH−、−CH−S−、−SO−、−SO−、−NR’’−、−CH−、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−NR’’CO−、−NR’’CONR’’−又は−NR’’(SO)−を表し、R’’は水素又はアルキルを表す]。
【0014】
好ましい実施形態において、本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、mが2又は3であり、nが1又は2である式Iの化合物である。
【0015】
より好ましい実施形態において、mは2であり、nは1又は2である。
【0016】
より好ましい実施形態において、mは2であり、nは1である。
【0017】
より好ましい実施形態において、mは2であり、nは2である。
【0018】
より好ましい実施形態において、mは3であり、nは1である。
【0019】
より好ましい実施形態において、本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、Rが水素、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキル−アルキルを表す式Iの化合物である。
【0020】
より好ましい実施形態において、Rは水素又はアルキルを表す。
【0021】
より好ましい実施形態において、Rはアルキルを表す。
【0022】
より好ましい実施形態において、Rは水素、メチル、エチル又はプロピルを表す。
【0023】
より好ましい実施形態において、Rはメチル、エチル又はプロピルを表す。
【0024】
より好ましい実施形態において、Rはメチルを表す。
【0025】
第3の好ましい実施形態において、本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、式Iの化合物であり、Aは芳香族単環系若しくは二環系炭素環基又は複素環基を表し、この炭素環基又は複素環基はアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ及びニトロからなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されている。
【0026】
より好ましい実施形態において、Aはフェニル基を表す。
【0027】
より好ましい実施形態において、Aはフラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル及びチアジアゾリルから選択される5員芳香族単環系複素環基を表す。
【0028】
より好ましい実施形態において、Aはピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びトリアジニルから選択される6員芳香族単環系複素環基を表す。
【0029】
より好ましい実施形態において、Aはピリド−2,5−ジイル基、ピリド−3,6−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基、ピリミジン−4,6−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,6−ジイル基又はトリアジン−2,4−ジイル基である。
【0030】
より好ましい実施形態において、Aはフェニル、チアジアゾリル、ピリジニル又はピリダジニル基を表す。
【0031】
さらなる好ましい実施形態において、Aはピリダジニル基、特に、ピリダジン−3,6−ジイル又はピリダジン−3,5−ジイルを表す。
【0032】
最も好ましい実施形態において、Aはピリダジン−3,6−ジイル基を表す。
【0033】
第4の好ましい実施形態において、本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、式Iの化合物であり、Bがフェニル若しくはナフチル基、5〜6員芳香族単環系複素環基又は芳香族二環系複素環基を表し、この芳香族基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’は水素、アルキル、シクロアルキル又はフェニルを表す。
【0034】
より好ましい実施形態において、Bはフェニル若しくはナフチル基、5〜6員芳香族単環系複素環基又は芳香族二環系複素環基を表し、この芳香族基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ及び−NH(CO)R’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’は水素、アルキル又はシクロアルキルを表す。
【0035】
より好ましい実施形態において、Bはフェニル若しくはナフチル基、チアジアゾリル基、ピリジニル基又はピリダジニル基であり、芳香族基はアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル及びトリハロアルコキシからなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよい。
【0036】
第5の好ましい実施形態において、本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、式Iの化合物であり、Bがフェニル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル又はインドリルを表し、芳香族基はアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’がアルキル、シクロアルキル又はフェニルを表す。
【0037】
より好ましい実施形態において、Bはフェニル、チアジアゾリル基、ピリジニル基又はピリダジニル基を表し、この芳香族基はアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ及び−NH(CO)R’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’はアルキル又はシクロアルキルを表す。
【0038】
より好ましい実施形態において、Bは、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル及びトリハロアルコキシからなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されているフェニルを表す。
【0039】
より好ましい実施形態において、Bはフェニル基を表し、芳香族基がアミノ又は−NH(CO)R’で場合によって置換されていてもよく、R’はアルキルを表す。
【0040】
第6の好ましい実施形態において、本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、式Iの化合物であり、Bが芳香族二環系複素環基を表し、この芳香族基はアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’がアルキル、シクロアルキル又はフェニルを表す。
【0041】
より好ましい実施形態において、Bは芳香族二環系複素環基を表し、この芳香族基はアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ及び−NH(CO)R’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’が水素、アルキル又はシクロアルキルを表す。
【0042】
より好ましい実施形態において、Bは、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、及び−NH(CO)R’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていて、R’はアルキル又はシクロアルキルを表す、インドリル基を表す。
【0043】
より好ましい実施形態において、Bはインドリル基を表す。
【0044】
第7のより好ましい実施形態において、本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、式Iの化合物であり、mは2又は3であり、nは1又は2であり、Aは式
【化3】


[式中、XはO、S又はSeを表す]の5員芳香族単環系複素環基、又は
【化4】


から選択される6員芳香族単環系複素環基を表し、
Bはフェニル、ナフチル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル又はインドリルを表し、この芳香族基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’はアルキル、シクロアルキル又はフェニルを表す。
【0045】
より好ましい実施形態において、mは2又は3であり、nは1又は2であり、Aは式
【化5】


[式中、XはO、S又はSeを表す]の5員芳香族単環系複素環基、又は
【化6】


から選択される6員芳香族単環系複素環基を表し、
Bはフェニル若しくはナフチル基、チアジアゾリル基、ピリジニル基又はピリダジニル基を表し、芳香族基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、アミノ、ニトロ及び−NH(CO)R’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’はアルキル又はシクロアルキルを表す。
【0046】
より好ましい実施形態において、mは2であり、nは1又は2であり、Aは式
【化7】


[式中、XはO、S又はSeを表す]の5員芳香族単環系複素環基、又は
【化8】


から選択される6員芳香族単環系複素環基を表し、
Bはフェニル若しくはナフチル基、チアジアゾリル基、ピリジニル基又はピリダジニル基を表し、芳香族基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル及びトリハロアルコキシからなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよい。
【0047】
より好ましい実施形態において、mは2であり、nは1又は2であり、Aは
【化9】


から選択される6員芳香族単環系複素環基を表し、
Bはフェニル基、チアジアゾリル基、ピリジニル基又はピリダジニル基を表し、芳香族基がアミノ又は−NH(CO)R’で場合によって置換されていてもよく、R’はアルキル又はシクロアルキルを表す。
【0048】
より好ましい実施形態において、mは2であり、nは1又は2であり、Aは
【化10】


から選択される6員芳香族単環系複素環基を表し、
Bはアミノ又は−NH(CO)R’で場合によって置換されているフェニル基を表し、R’はアルキルを表す。
【0049】
さらにより好ましい実施形態において、mは2であり、nは1又は2であり、Aは
【化11】


を表し、
Bはアミノ又は−NH(CO)R’で場合によって置換されているフェニル基を表し、R’はアルキルを表す。
【0050】
第8の好ましい実施形態において、本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、式Iの化合物であり、Lが−O−、−S−、−S−CH−、−CH−S−、−SO−、−SO−、−NR’’−、−CH−、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−NR’’CO−、−NR’’CONR’’−又は−NR’’(SO)−を表し、R’’は水素又はアルキルを表す。
【0051】
より好ましい実施形態において、Lは−O−、−S−、−S−CH−、−SO−、−C≡C−、−NHCO−、−NHCONH−又は−NH(SO)−を表す。
【0052】
より好ましい実施形態において、Lは−C≡C−を表す。
【0053】
第9の好ましい実施形態において、本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、式Iの化合物であり、nが1又は2であり、Aがフェニル、チアジアゾリル、ピリジニル又はピリダジニルであり、Bが、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で場合によって置換されていて、R’がアルキル、シクロアルキル又はフェニルを表す、フェニル、ピリジニル又はインドリルを表し、Lが−O−、−S−、−S−CH−、−SO−、−C≡C−、−NHCO−、−NHCONH−又は−NH(SO)−を表す。
【0054】
より好ましい実施形態において、mは2であり、nは1又は2であり、Aはフェニル、チアジアゾリル、ピリジニル又はピリダジニルを表し、Bは、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ及び−NH(CO)R’からなる群から選択される置換基で場合によって置換されているフェニル又はピリジニル基を表し、Lは−O−、−S−、−S−CH−、−SO−、−C≡C−、−NHCO−、−NHCONH−又は−NH(SO)−を表す。
【0055】
より好ましい実施形態において、mは2であり、nは1又は2であり、Aはピリダジニルを表し、Bは、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ及び−NH(CO)−アルキルからなる群から選択される置換基で場合によって置換されているフェニルを表し、Lは−O−、−S−、−S−CH−、−SO−、−C≡C−、−NHCO−、−NHCONH−又は−NH(SO)−を表す。
【0056】
第10の好ましい実施形態において、本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、式Iの化合物であり、mは2又は3であり、nは1又は2であり、Aが式
【化12】


[式中、XはO、S又はSeを表す]の5員芳香族単環系複素環基、又は
【化13】


から選択される6員芳香族単環系複素環基を表し、
Bはフェニル、ナフチル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル又はインドリルを表し、この芳香族基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’はアルキル、シクロアルキル又はフェニルを表す。
【0057】
より好ましい実施形態において、mは3であり、nは1又は2であり、Aは式
【化14】


[式中、XはO、S又はSeを表す]の5員芳香族単環系複素環基、又は
【化15】


から選択される6員芳香族単環系複素環基を表し、
Bはフェニル若しくはナフチル基、チアジアゾリル基、ピリジニル基又はピリダジニル基を表し、芳香族基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、アミノ、ニトロ及び−NH(CO)R’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’がアルキル又はシクロアルキルを表す。
【0058】
より好ましい実施形態において、mは3であり、nは1であり、Aは
【化16】


から選択される6員芳香族単環系複素環基を表し、
Bはフェニル基、チアジアゾリル基、ピリジニル基又はピリダジニル基を表し、芳香族基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、アミノ、ニトロ及び−NH(CO)R’からなる群から選択される置換基で場合によって1又は複数回置換されていてもよく、R’がアルキル又はシクロアルキルを表す。
【0059】
より好ましい実施形態において、mは3であり、nは1であり、Aは
【化17】


から選択される6員芳香族単環系複素環基を表し、
Bは、アミノ又は−NH(CO)R’で場合によって置換されているフェニル基を表し、R’はアルキルを表す。
【0060】
よりさらに好ましい実施形態において、mは3であり、nは1であり、Aは
【化18】


を表し、
Bは、アミノ又は−NH(CO)R’で場合によって置換されているフェニル基を表し、R’はアルキルを表す。
【0061】
その最も好ましい実施形態において、本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、
8−メチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン;
(±)−9−メチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−3,9−ジアザ−ビシクロ[4.2.1]ノナン;
N−{4−[6−(9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−アセトアミド;
9−メチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
4−[4−(9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−3−イル)−フェニルエチニル]−フェニルアミン;
3−[4−(1H−インドール−5−イルエチニル)−フェニル]−9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−アセトアミド;
4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニルアミン;
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−ベンズアミド;
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−プロピオンアミド;
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−イソブチルアミド;
3−[6−(1H−インドール−5−イルエチニル)−ピリダジン−3−イル]−8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン;
1−エチル−3−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−尿素;又は
8,8−ジメチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンオニウムヨウ化物塩;
又は鏡像異性体若しくはその鏡像異性体の混合物、又はその製薬上許容できる塩である。
【0062】
本明細書に記載する実施形態の2つ又はそれ以上のあらゆる組合せは、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0063】
置換基の定義
本発明の状況において、ハロは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する。したがって、トリハロメチル基は、例えば、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基及び類似のトリハロ置換メチル基を意味する。
【0064】
本発明の状況において、アルキル基は、1価飽和線状又は枝分かれ炭化水素鎖を意味する。炭化水素鎖は、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルなどの1個から18個までの炭素原子(C1〜18アルキル)、より好ましくは1個から6個までの炭素原子(C1〜6アルキル、低級アルキル)を含む。好ましい実施形態において、アルキルは、ブチル、イソブチル、第二級ブチル及び第三級ブチルなどのC1〜4アルキル基を意味する。本発明の他の好ましい実施形態において、アルキルは、特に、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってよいC1〜3アルキル基を意味する。
【0065】
本発明の状況において、シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルなどの、好ましくは3個から7個の炭素原子を含む環状アルキル基(C3〜7シクロアルキル)を意味する。
【0066】
本発明の状況において、シクロアルキル−アルキル基は、シクロアルキル基が上で定義したアルキル基上で置換されている、上で定義したシクロアルキル基を意味する。本発明の好ましいシクロアルキル−アルキル基の例としては、シクロプロピルメチル及びシクロプロピルエチルなどがある。
【0067】
本発明の状況において、アルコキシ基は、アルキルが上で定義したとおりである、「アルキル−O−」基を意味する。本発明の好ましいアルコキシ基の例としては、メトキシ及びエトキシなどがある。
【0068】
本発明の状況において、シアノアルキル基は、アルキルが上で定義したとおりである、「−アルキル−CN」基を意味する。
【0069】
本発明の状況において、芳香族単環系又は二環系炭素環基は、単環式又は多環式芳香族炭化水素基を意味する。本発明の好ましいアリール基の例としては、フェニル、インデニル、ナフチル、アズレニル、フルオレニル及びアントラセニルなどがある。
【0070】
本発明の状況において、5〜6員芳香族単環系複素環式は、その環構造において1つ又は複数のヘテロ原子を保有する5〜6員ヘテロアリールを意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素(N)、酸素(O)及び硫黄(S)を含む。
【0071】
本発明の好ましい5〜6員ヘテロアリール基は、フラニル、チエニル、セレノフェニル、ピロリル(アゾリル)、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びトリアジニルなどである。
【0072】
本発明のより好ましい5員ヘテロアリール基は、フラニル、チエニル、ピロリル(アゾリル)、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル及びチアジアゾリルなどである。
【0073】
本発明のより好ましい5員ヘテロアリール基は、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル及びチアジアゾリルなどである。
【0074】
本発明のより好ましい6員ヘテロアリール基は、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びトリアジニルなどである。
【0075】
本発明の状況において、芳香族二環系複素環基は、その環構造に1つ又は複数のヘテロ原子を保有する二環系複素環基を意味する。本発明の状況において、「二環系複素環基」という用語は、1つ又は複数のヘテロ原子を含むベンゾ縮合5及び6員複素環基を含む。好ましいヘテロ原子は、窒素(N)、酸素(O)及び硫黄(S)を含む。
【0076】
本発明の好ましい二環系ヘテロアリール基は、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル及びイソキノリニルなどである。
【0077】
本発明のより好ましい二環系ヘテロアリール基は、インドリル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾイミダゾリル及びベンゾチアゾリルなどである。
【0078】
本発明のより好ましい二環系ヘテロアリール基は、インドリル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チエニル及びベンゾチアゾリルなどである。
【0079】
製薬上許容できる塩
本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、意図される投与に適するあらゆる形態で提供することができる。適切な形態は、本発明の化合物の製薬上(すなわち、生理学的に)許容できる塩及びプレ又はプロドラッグの形態を含む。
【0080】
製薬上許容できる付加塩の例としては、制限なしに、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩誘導体、ナフタレン酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩等の無毒無機及び有機酸付加塩などがある。そのような塩は、当技術分野でよく知られ、記載されている方法により生成させることができる。
【0081】
本発明の化合物の金属塩は、カルボキシ基を含む本発明の化合物のナトリウム塩などのアルカリ金属塩を含む。
【0082】
本発明の状況において、N含有化合物の「オニウム塩」も製薬上許容できる塩として考えられる。好ましい「オニウム塩」は、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩などである。
【0083】
立体異性体
本発明の化合物は、(+)及び(−)体並びにラセミ体で存在していてよい。これらの異性体のラセミ体及び個々の異性体自体は、本発明の範囲内である。
【0084】
ラセミ体は、既知の方法及び技術により光学対掌体に分割することができる。ジアステレオマー塩を分離する1つの方法は、光学的に活性な酸を用い、塩基による処理により光学的に活性なアミン化合物を遊離させることである。ラセミ体を光学対掌体に分割する他の方法は、光学活性マトリックス上のクロマトグラフィーに基づいている。したがって、本発明のラセミ化合物は、例えばd又はl(酒石酸、マンデル酸又はショウノウスルホン酸)塩の例えば、分別結晶化によりそれらの光学対掌体に分割することができる。
【0085】
本発明の化合物はまた、本発明の化合物と(+)若しくは(−)フェニルアラニン、(+)若しくは(−)フェニルグリシン、(+)若しくは(−)カンファン酸から誘導されたものなどの光学的に活性な活性化カルボン酸との反応によるジアステレオマーアミドの生成により、又は本発明の化合物と光学的に活性なクロロギ酸塩等との反応によるジアステレオマーカルバメートの生成により分割することができる。
【0086】
光学異性体を分割するさらなる方法は、当技術分野で知られている。そのような方法は、「鏡像異性体、ラセミ化合物及び分割(Enantiomers,Racemates,and Resolutions)」、John Wiley and Sons、New York(1981)においてJaques J、Collet A及びWilen Sによって記載されたものなどがある。
【0087】
光学活性化合物は、光学活性出発物質からも調製することができる。
【0088】
ジアザ二環系アリール誘導体を製造する方法
本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、化学合成の従来の方法、例えば、実施例に記載されているものにより調製することができる。本願書に記載する方法用の出発物質は、知られているか、又は市販の化学物質から従来の方法により容易に調製することができる。
【0089】
また、本発明の1つの化合物は、従来の方法を用いて本発明の他の化合物に変換することができる。
【0090】
本明細書に記載する反応の最終生成物は、従来の技術、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィー等により分離することができる。
【0091】
生物学的活性
本発明は、そのリガンド及びモジュレーターがコリン作動性受容体、並びに特にニコチン様アセチルコリン受容体(nAChR)に関連する疾患若しくは障害の治療に有用である、ニコチン様受容体のprovision新規なリガンド及びモジュレーターを対象とする。本発明の好ましい化合物は、顕著なニコチン様アセチルコリンα7受容体サブタイプ選択性を示す。
【0092】
それらの薬理学的プロファイルのため、本発明の化合物は、CNS関連疾患、PNS関連疾患、平滑筋収縮に関連する疾患、内分泌障害、神経変性に関連する疾患、炎症、疼痛に関連する疾患、及び化学物質の乱用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状のような多様な疾患若しくは障害の治療に有用である可能性がある。
【0093】
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、認知障害、学習障害、記憶障害及び不全、アルツハイマー病、注意欠陥、注意欠陥多動性障害(ADHD)、トゥレット症候群、精神病、うつ病、双極性障害、躁病、躁うつ病、分裂病、分裂病に関連する認知若しくは注意欠陥障害、強迫性障害(OCD)、パニック障害、神経性食欲不振症、多食症及び肥満などの摂食障害、睡眠発作、侵害受容、AIDS痴呆、老年痴呆、自閉症、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、不安、非OCD不安障害、けいれん性疾患、てんかん、神経変性疾患、一過性無酸素症、誘発性神経変性、神経障害、糖尿病性神経障害、ペリフェリック(periferic)失読症、遅発性ジスキネジア、多動、軽度疼痛、中等度若しくは重度疼痛、急性、慢性若しくは再発性の疼痛、片頭痛により引き起こされる疼痛、術後痛、幻影肢痛、炎症性痛、神経因性疼痛、慢性頭痛、中枢痛、糖尿病性神経障害に、治療後神経痛に、若しくは末梢神経損傷に関連する疼痛、多食症、外傷後症候群、社会への恐怖、睡眠障害、偽痴呆、ガンザー症候群、月経前症候群、黄体後期症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖、時差ボケ、不整脈、平滑筋収縮、狭心症、早産、下痢、喘息、遅発性ジスキネジア、多動、早漏、勃起障害、高血圧、炎症性疾患、炎症性皮膚障害、座瘡、酒さ、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、下痢、又はタバコなどのニコチン含有製品、ヘロイン、コカイン及びモルヒネなどのオピオイド、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピン様薬物並びにアルコールを含む嗜癖性物質の使用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状の治療、予防又は軽減に有用である可能性がある。
【0094】
より好ましい実施形態において、本発明の化合物は、疼痛、軽度若しくは中等度若しくは重度疼痛、急性、慢性若しくは再発性の疼痛、片頭痛により引き起こされる疼痛、術後痛、幻影肢痛、炎症性痛、神経因性疼痛、慢性頭痛、中枢痛、糖尿病性神経障害、治療後神経痛、若しくは末梢神経損傷に関連する疼痛の治療、予防又は軽減に有用である可能性がある。
【0095】
より好ましい実施形態において、本発明の化合物は、平滑筋収縮に関連する疾患若しくは障害、けいれん性疾患、狭心症、早産、けいれん、下痢、喘息、てんかん、遅発性ジスキネジア、多動、早漏又は勃起障害の治療、予防又は軽減に有用である可能性がある。
【0096】
より好ましい実施形態において、本発明の化合物は、神経変性疾患、一過性無酸素症又は誘発性神経変性の治療、予防又は軽減に有用である可能性がある。
【0097】
より好ましい実施形態において、本発明の化合物は、炎症性障害、炎症性皮膚障害、座瘡、酒さ、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎又は下痢の治療、予防又は軽減に有用である可能性がある。
【0098】
さらに好ましい実施形態において、本発明の化合物は、糖尿病性神経障害、分裂病、分裂病に関連する認知若しくは注意欠陥障害又はうつ病の治療、予防又は軽減に有用である可能性がある。
【0099】
最後に、本発明の化合物は、嗜癖性物質の使用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状の治療、予防又は軽減に有用である可能性がある。そのような嗜癖性物質は、タバコなどのニコチン含有製品、ヘロイン、コカイン及びモルヒネなどのオピオイド、ベンゾジアゼピン、ベンゾジアゼピン様薬物並びにアルコールなどである。嗜癖性物質からの禁断症状は、一般的に、不安及び欲求不満、怒り、不安、集中困難、情動不安、心拍数の低下及び食欲亢進並びに体重増加を特徴とする外傷性経験である。
【0100】
この状況において、「治療」は、離脱症状及び禁断の治療、防止、予防及び軽減並びに嗜癖物質の摂取量の自発的減少をもたらす治療を含む。
【0101】
他の態様において、本発明の化合物は、例えば、様々な組織におけるニコチン様受容体の同定及び位置推定のための診断薬として用いる。
【0102】
薬剤有効成分(API)の適切な用量は、約0.1〜約1000mgAPI/日、より好ましくは約10〜約500mgAPI/日、最も好ましくは約30〜約100mgAPI/日の範囲内にあるが、投与の正確な方式、投与される形態、考慮される適応、対象及び特に当対象の体重並びにさらに担当する医師又は獣医の好み及び経験に依存することが現在予想される。
【0103】
本発明の好ましい化合物は、マイクロモル以下及びマイクロモル範囲で、すなわち、1μM以下から約100μMの範囲で生物学的活性を示す。
【0104】
標識化合物
本発明の化合物は、それらの標識又は非標識形で用いることができる。本発明の状況において、標識化合物は、通常天然に見いだされる原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子により置換されている1つ又は複数の原子を有する。標識は、前記化合物の容易な定量的検出を可能にする。
【0105】
本発明の標識化合物は、診断手段、放射性トレーサー又は様々な診断方法におけるモニタリング薬、及びin vivo受容体撮像に有用であると思われる。
【0106】
本発明の標識異性体は、好ましくは少なくとも1つの放射性核種を標識として含む。陽電子放射放射性核種は、すべて使用の候補である。本発明の状況において、放射性核種は、好ましくはH(重水素)、H(トリチウム)、13C、14C、131I、125I、123I及び18Fから選択される。
【0107】
本発明の標識異性体を検出する物理的方法は、陽電子放射断層撮影(PET)、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴画像法(MRI)及びコンピュータ軸方向X線断層撮影(CAT)又はその組合せから選択することができる。
【0108】
薬剤組成物
他の態様において、本発明は、治療有効量の本発明のジアザ二環系アリール誘導体を含む新規な薬剤組成物を提供する。
【0109】
治療用の本発明の化合物は生の化合物の形で投与することができるが、該有効成分を場合によって生理学的に許容できる塩の形態で、1つ又は複数のアジュバント、添加剤、担体、緩衝剤、希釈剤及び/又は他の通常の薬剤補助物質とともに薬剤組成物に導入することが好ましい。
【0110】
好ましい実施形態において、本発明は、本発明のジアザ二環系アリール誘導体又は製薬上許容できる塩若しくはその誘導体を、1つ若しくは複数の製薬上許容できる担体と一緒に、及び場合によって、当技術分野で知られ、使用されている他の治療及び/又は予防用成分を含む薬剤組成物を提供する。担体は、製剤の他の成分と適合性があり、その受容者に対して害がないという意味において「許容でき」なければならない。
【0111】
本発明の薬剤組成物は、所望の療法に適するあらゆる都合のよい経路により投与することができる。好ましい投与経路は、特に錠剤、カプセル剤、ドラジェ、散剤若しくは液体の形態での経口投与、並びに非経口投与、特に、皮膚、皮下、筋肉内又は静脈内注射を含む。本発明の薬剤組成物は、所望の製剤に適切な標準的方法及び従来の技術を用いて当業者が製造することができる。所望の場合、有効成分の持続的放出をもたらすように構成されている組成物を用いることができる。
【0112】
製剤及び投与に関するさらなる技術の詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.、Easton、PA)の最新版に見いだすことができる。
【0113】
実際の用量は、治療する疾患の性質及び重症度に依存し、医師の裁量の範囲内であり、所望の治療効果を得るための本発明の個別の状況に対する用量の調節によって異なる可能性がある。しかし、現在のところ、個別の投与につき約0.1〜約500mg、好ましくは約1〜約100mg、最も好ましくは約1〜約10mgの有効成分を含む薬剤組成物が治療に適すると予想される。
【0114】
有効成分は、1日当たり1又は数回投与することができる。十分な結果は、特定の例において、0.1μg/kgi.v.及び1μg/kgp.o.と低い用量で得ることができる。用量範囲の上限は、現在のところ、約10mg/kgi.v.及び100mg/kgp.o.であると考えられる。好ましい範囲は、約0.1μg/kg〜約10mg/kg/日i.v.及び約1μg/kg〜約100mg/kg/日p.o.である。
【0115】
治療方法
本発明のジアザ二環系アリール誘導体は、有用なニコチン様及びモノアミン受容体モジュレーターであり、したがって、コリン作用性機能不全を伴う一連の疾患並びにnAChRモジュレーターの作用に反応する一連の障害の治療に有用である。
【0116】
他の態様において、本発明は、ヒトを含む動物生体の、コリン作動性受容体及び/又はモノアミン受容体の調節に反応する疾患、障害又は状態の治療、予防若しくは軽減の方法であって、それを必要とするヒトを含むそのような動物生体に有効な量の本発明のジアザ二環系アリール誘導体を投与することを含む方法を提供する。
【0117】
好ましい実施形態において、疾患、障害又は状態は、中枢神経系に関連する。
【0118】
好ましい実施形態において、疾患、障害又は状態は、不安、認知障害、学習障害、記憶障害及び不全、アルツハイマー病、注意欠陥、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ジルドラトゥレット症候群、うつ病、躁病、躁うつ病、分裂病、強迫性障害(OCD)、パニック障害、神経性食欲不振症、多食症及び肥満などの摂食障害、睡眠発作、侵害受容、AIDS痴呆、老年痴呆、ペリフェリック(periferic)神経障害、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジア、多動、てんかん、多食症、外傷後症候群、社会への恐怖、睡眠障害、偽痴呆、ガンザー症候群、月経前症候群、黄体後期症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖及び時差ボケである。
【0119】
他の好ましい実施形態において、疾患、障害又は状態は、平滑筋収縮に関連し、けいれん性疾患、狭心症、早産、けいれん、下痢、喘息、てんかん、遅発性ジスキネジア、多動、早漏及び勃起不全などである。
【0120】
第3の好ましい実施形態において、疾患、障害又は状態は、甲状腺中毒症、褐色細胞腫、高血圧及び不整脈などの内分泌系に関連するものである。
【0121】
第4の好ましい実施形態において、疾患、障害又は状態は、一過性無酸素症及び誘発性神経変性などの神経変性障害である。
【0122】
第5の好ましい実施形態において、疾患、障害又は状態は、座瘡及び酒さなどの炎症性皮膚障害、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎並びに下痢などの炎症性疾患である。
【0123】
第6の好ましい実施形態において、疾患、障害又は状態は、急性、慢性又は再発性の軽度、中等度又は重度疼痛、並びに片頭痛により引き起こされる疼痛、術後痛及び幻影肢痛である。
【0124】
第7の好ましい実施形態において、疾患、障害又は状態は、タバコなどのニコチン含有製品、ヘロイン、コカイン及びモルヒネなどのオピオイド、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピン様薬物並びにアルコールを含む嗜癖性物質の使用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状に関連する。
【0125】
適切な用量範囲は、0.1〜1000mg/日、10〜500mg/日、及び特に30〜100mg/日で、通常のように、投与の正確な方式、投与される形態、投与の対象となる適応症、当対象及び当対象の体重並びにさらに担当する医師又は獣医の好み及び経験に依存することが現在予想される。
【0126】
十分な結果は、特定の例において、0.005mg/kgi.v.及び0.01mg/kgp.o.と低い用量で得ることができる。用量範囲の上限は、約10mg/kgi.v.及び100mg/kgp.o.である。好ましい範囲は、約0.001〜約1mg/kgi.v.及び約0.1〜約10mg/kgp.o.である。
【実施例】
【0127】
本発明は、請求の範囲に記載されている本発明の範囲に限定することを意図するものでない以下の実施例に関してさらに説明する。
【0128】
(実施例1)
調製例
空気に敏感な試薬又は中間体が関係するすべての反応は、窒素雰囲気中及び無水溶媒中で行わせた。硫酸マグネシウムを後処理における乾燥剤として用い、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0129】
シス−1−メチルピロリジン−2,5−ジカルボン酸ジエチル(中間体化合物)
メゾ−2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(101.7g、0.283モル)をアルゴン雰囲気中でTHF(400ml)に加熱して溶解し、次いで、0℃に冷却した。得られた溶液にTHF(150ml)中メチルアミン(27.3g、0.88モル)のあらかじめ冷却した溶液を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。分離した結晶性物質をろ別し、ろ液を濃縮し、ヘキサン−酢酸エチル4:1を溶離液として用いて、残留物をシリカゲルカラム(長さ10cm)上クロマトグラフにかけて58.9g(91%)を得た。
【化19】

【0130】
3−ベンジル−8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン(中間体化合物)
キシレン(150ml)中シス−1−メチルピロリジン−2,5−ジカルボン酸ジエチル(74.8g、0.383モル)の溶液にベンジルアミン(41.0g、0.383モル)を加え、混合物を加熱して16時間還流した。次いで、キシレンを減圧下で除去し、残留物を220℃で18時間加熱した。得られた粗生成物を、180℃、0.1mバールで蒸留するために、少しずつ(30〜40g)Buchiオーブン上で蒸留し、最初のフラクションを収集した(約1時間後)。合わせた最初のフラクションをヘキサンと酢酸エチルとの混合物(1:1)から結晶化させて30.6(34%)を得た。
【化20】

【0131】
3−ベンジル−8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(中間体化合物)
200mlの無水ジオキサン中3−ベンジル−8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオンの溶液にLiAlH(7.6g、0.2モル)を加え、混合物をアルゴン雰囲気中で18時間沸騰させた。次いで、水(7.5ml)とジオキサン(40ml)との混合物を反応混合物に1滴ずつ加えた。懸濁液を20分間混合し、高密度のガラスフィルターによりろ過した。ろ液を蒸発し、残留物を、120℃、0.1mバールで蒸留するために、Buchiオーブン上で蒸留した。収量17.6g(70%)。
【化21】

【0132】
8−メチル3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(中間体化合物)
メタノール(50ml)中3−ベンジル−8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(17.6g、0.08モル)のアルゴンにより脱気した溶液に10%Pd/C(1.0g)を加え、反応混合物中に水素を24時間通気した。触媒をろ別し、ろ液を蒸発し、残留物を、100℃、0.1mバールで蒸留するために、Buchiオーブン上で蒸留した。収量8.5g(85%)。
【化22】

【0133】
方法A
3−(6−ブロモピリダジン−3−イル)−8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンフマル酸塩(中間体化合物)
8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(2.0g、15.85mモル)、3,6−ジブロモピリダジン(3.77g、15.85mモル)及びジオキサン(20ml)の混合物を室温で15時間撹拌した。水性水酸化ナトリウム(1M、20ml)を加え、混合物をジクロロメタン(2×20ml)で2回抽出した。ジクロロメタン、10%メタノール及び1%水性アンモニアを溶媒として用いたシリカゲル上クロマトグラフィーにより、化合物を遊離塩基として得た。収量1.83g(41%)。フマル酸で飽和したジエチルエーテルとメタノールとの混合物(9:1)を加えて、対応する塩を得た。融点118.5〜119.5℃。
【0134】
(±)−3−(6−ブロモピリダジン−3−イル)−9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[4.2.1]ノナンフマル酸塩(中間体化合物)
方法Aに従って(±)−9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[4.2.1]ノナンから調製した。(±)−9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[4.2.1]ノナンは、[Michaels RJ及びZaugg HE、J.Org.Chem.1960、第25巻、637頁]に従って調製した。融点175.6℃。
【0135】
方法B
8−メチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンフマル酸塩(化合物B1)
3−(6−ブロモピリダジン−3−イル)−8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(1.63g、5.76mモル)、フェニルアセチレン(2.94g、28.8mモル)、パラダサイクル(109mg、0.115mモル)、CuI(1.09g、5.75mモル)、KI(955mg、5.76mモル)、ジイソプロピルエチルアミン(1.49g、11.5mモル)、ジエチルアミン(842mg、11.5mモル)及びジオキサン(40ml)の混合物を還流下で15時間撹拌した。水性水酸化ナトリウム(1M、20ml)を加え、混合物をジクロロメタン(2×20ml)で2回抽出した。ジクロロメタン、10%メタノール及び1%水性アンモニアを溶媒として用いたシリカゲル上クロマトグラフィーにより、化合物を遊離塩基として得た。収量1.2g(68%)。フマル酸で飽和したジエチルエーテルとメタノールとの混合物(9:1)を加えて、対応する塩を得た。融点142.4℃。
【0136】
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−アセトアミド(化合物B2)
方法Bに従って3−(6−ブロモピリダジン−3−イル)−8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン及びN−(4−エチニルフェニル)アセトアミドから調製した。融点292℃。
【0137】
3−[6−(1H−インドール−5−イルエチニル)−ピリダジン−3−イル]−8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンフマル酸塩(化合物B3)
方法Bに従って3−(6−ブロモピリダジン−3−イル)−8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン及び5−エチニル−1H−インドールから調製した。融点159℃。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは、344.189Daを示している。計算値344.18752Da、偏差4.3ppm。
【0138】
(±)−9−メチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−3,9−ジアザ−ビシクロ[4.2.1]ノナンフマル酸塩(化合物B4)
方法Bに従って(±)−3−(6−ブロモピリダジン−3−イル)−9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[4.2.1]ノナンから調製した。融点121.3〜122.2℃。
【0139】
メソ−3,6−ジブロモピメリン酸ジエチル(中間体化合物1)
ピメリン酸(240g、1.5モル)を、還流冷却器及びアルゴン入口を取り付けた二口丸底フラスコ(1000ml)に入れた。還流冷却器に2つの連続するフラスコ(500及び1000ml)を接続した。第1のフラスコ(500ml)をドライアイス−イソプロパノール容器に入れ、第2フラスコにHCl吸収用の水を半分満たした。塩化チオニル(368g、3.09モル)を3つに分けて(180、100及び88g)加え、ガスの溶離が止まるまで40℃で撹拌した。最後に、温度を100℃に上昇させ、液体SOを含む第1のフラスコを取り外した。該フラスコに滴下漏斗及びガス出口を取り付けた。3時間にわたりフラスコに300WのUVランプで連続照射し、臭素(490g、3.06モル)を1滴ずつ加えた。生成したHBrを、水を入れた2つの連続するフラスコ(2×1000ml)に吸収させた。HBrの溶離が止まったとき、滴下漏斗に無水エタノール(200ml)を満たし、1滴ずつ注意深く加えた。冷却した溶液を水、水性酢酸ナトリウム及びチオ硫酸ナトリウムで洗浄した。分離した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、複数の部分に分けて(約40mlずつ)Buchiオーブンにより減圧下(0.5〜1.0mバール)で150℃で蒸留し、第3のフラスコからの画分を収集した。収量487g(87%)。
【0140】
シス−1−メチルピペリジン−2,6−ジカルボン酸ジエチル(中間体化合物2)
メソ−2,6−ジブロモアジピン酸ジエチル(1)(236g、0.631モル)を、還流冷却器及び温度計を取り付けた二口丸底フラスコ(2000ml)に入れ、アルゴン雰囲気中で無水THF(400ml)に溶解した。無水THF(400ml)中メチルアミン(62g、2.0モル)を化合物1の溶液に加えた。温まることを防ぐために、フラスコを冷水中に入れた。反応混合物をアルゴン雰囲気中で18時間撹拌し、分離した臭化N−メチルアンモニウムをろ過により除去し、THFで十分に洗浄した。ろ液をロータリーエバポレータで減圧下で濃縮し、残留物(156g)を4つに分けて(約39gずつ)Buchiオーブンにより減圧下(0.1〜0.4mバール)で125℃で蒸留し(平均蒸留時間1時間)、第3のフラスコからの画分を収集した。淡黄色油状物としての化合物2の収量127.5g(83%)。
【0141】
3−ベンジル−9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン−2,4−ジオン(中間体化合物3)
キシレン(150ml)中シス−1−メチルピペリジン−2,6−カルボン酸ジエチル(127.5g、0.524モル)及びベンジルアミン(57.8g、0.540モル)の溶液を丸底フラスコ(250ml)中で44時間還流した。後者に垂直な空冷コンデンサー(15cm)と、続いてリービッヒ冷却器を取り付けて、反応混合物からエタノールを除去できるようにした。キシレンを減圧下でリービッヒ冷却器を通して除去し、油浴温度を205℃に上昇させ、混合物をアルゴン雰囲気中で20時間加熱した。得られた生成物を4つに分けて(約45gずつ)Buchiオーブンにより減圧下(0.1mバール)で160℃で蒸留し(平均蒸留時間1時間)、第3のフラスコからの画分を収集した。3つの合わせた第3の画分(96g)を50mlの酢酸エチルに沸騰により溶解し、室温で3日間結晶化させた。結晶性物質をろ別し、少量の酢酸エチルで洗浄し、減圧下で乾燥して39.5gの生成物を白色結晶性固体として得た。ろ液を濃縮し、残留物を4℃で2日間にわたり酢酸エチル(30ml)から結晶化させて、6.2gの同じ生成物を得た。化合物3の収量は45.7g(34%)であった。融点117〜118℃
【0142】
3−ベンジル−9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン(中間体化合物4)
三口丸底フラスコ(1000ml)に入れた1,4−ジオキサン中化合物3(45.7g、0.177モル)の溶液にLiAlH(9.0g、0.237モル)を少しずつ加え、混合物をアルゴン雰囲気中で18時間還流した。反応混合物を80℃に冷却し、水(9ml)と1,4−ジオキサン(40ml)との混合物を1滴ずつ注意深く反応フラスコ中に加えた(注意:激しく水素が発生する)。微細懸濁液を室温に冷却し、KOH溶液(50mlの水中20g)で処理した。有機相を傾斜し、濃縮し、減圧下で濃縮した。残留物をBuchiオーブンで減圧下(0.1mバール)で130℃で蒸留した。第3の収集フラスコは3,9−ジアザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン4(29.2g、72%)を粘稠な無色油状物として含んでいた。
【0143】
9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン(中間体化合物5)
無水エタノール(100ml)中化合物4(28.7g、0.125モル)の溶液に10%Pd/C触媒(6.3g)をアルゴン雰囲気中で加えた。溶液を60バール、100℃で16時間Hで水素化した。溶液をブフナー漏斗でろ過し、ろ液をロータリーエバポレータで減圧下で濃縮し、残留物をBuchiオーブンで減圧下(0.1mバール)で100℃で蒸留して化合物5(8.5g、49%)を無色ゲルとして得た。
【0144】
中間体化合物1〜5の調製に関する参考文献:II Farmaco 55(8)、2000年8月、553〜562頁
【0145】
方法C
3−(6−ロド−ピラジン−3−イル)−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン遊離塩基(中間体化合物;JBP18097−a)
9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン(4.0g、28.5mモル)、3,6−ジヨードピリダジン(9.5g、28.5mモル)、ジイソプロピルエチルアミン(7.4g、57.0mモル)及びジオキサン(50ml)の混合物を75℃で4日間撹拌した。水性水酸化ナトリウム(75ml、1M)を加え、ジオキサンを蒸発し、混合物をジクロロメタン(2×75ml)で2回抽出した。ジクロロメタン、10%メタノール及び1%水性アンモニアを溶媒として用いたシリカゲル上クロマトグラフィーにより、表題化合物を得た。収量4.61g(47%)。融点163〜166℃。
【0146】
方法D
9−メチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナンフマル酸塩(化合物D1)
3−(6−ロド−ピラジン−3−イル)−9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノナン(0.50g、1.45mモル)、フェニルアセチレン(0.30g、2.90mモル)、ジイソプロピルエチルアミン(0.37g、2.90mモル)、CuI(28mg、0.14mモル)、パラダサイクル(27mg、0.029mモル)及びジオキサン(20ml)を還流下で3日間撹拌した。水性水酸化ナトリウム(30ml、1M)を加え、ジオキサンを蒸発し、混合物をジクロロメタン(2×30ml)で2回抽出した。ジクロロメタン、10%メタノール及び1%水性アンモニアを溶媒として用いたシリカゲル上クロマトグラフィーにより、表題化合物を得た。収量0.38g(82%)。フマル酸で飽和したジエチルエーテルとメタノールとの混合物(9:1)を加えることにより、対応する塩を得た。融点196〜204℃。
【0147】
N−{4−[6−(9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノン−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}アセトアミド遊離塩基(化合物D2)
方法DによりN−(4−エチニルフェニル)アセトアミドから調製した。融点270〜271℃。
【0148】
3−[4−(1H−インドール−5−イルエチニル)−フェニル]−9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[3.3.1]ノナンフマル酸塩(化合物D3)
方法Bにより5−エチニル−1H−インドールから調製した。融点298℃。
【0149】
5−エチニル−1H−インドール(中間体化合物)
4−(1H−インドール−5−イル)−2−メチルブト−3−イン−2−オール(6.6g、33.1mモル)、鉱油中60%水素化ナトリウム(0.13g、3.3mモル)及び無水トルエン(100ml)の混合物を110℃で5時間撹拌した。粗混合物を蒸発した。ジクロロメタン、10%メタノール及び1%水性アンモニアを溶媒として用いたシリカゲル上クロマトグラフィーにより表題化合物を得た。収量3.44g(74%)。油。
【0150】
4−(1H−インドール−5−イル)−2−メチルブト−3−イン−2−オール(中間体化合物)
5−ヨードインドール(25g、102.9mモル)、トリフェニルホスフィン(2.70g、10.3mモル)、CuI(1.96g、10.3mモル)、炭酸カリウム(35.5g、257.2mモル)、パラジウム(炭酸カリウム上5重量%、鉛で活性阻害)(0.55g、5.14mモル)及び1,2−ジメトキシエタン(250ml)の混合物を室温で0.5時間撹拌した。2−メチル−3−ブチン−2−オール(21.6g、257mモル)を加え、混合物を100℃で15時間撹拌した。粗混合物をシリカゲルを通してろ過し、水性塩酸(250ml、2M)を加え、トルエンで抽出した。有機相を乾燥し、蒸発した。ジクロロメタン、10%メタノール及び1%水性アンモニアを溶媒として用いたシリカゲル上クロマトグラフィーにより表題化合物を得た。収量6.7g(33%)。融点119〜123℃。
【0151】
方法E
4−[4−(9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−3−イル)−フェニルエチニル]−フェニルアミン遊離塩基(化合物E1)
N−{4−[6−(9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノン−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−アセトアミド(0.42g、1.11mモル)、水性水酸化ナトリウム(10ml、4M)及びエタノール(10ml、96%)の混合物を還流下で2時間撹拌した。混合物を蒸発した。水(30ml)を加え、混合物をジクロロメタン(2×30ml)で2回抽出した。ジクロロメタン、10%メタノール及び1%水性アンモニアを溶媒として用いたシリカゲル上クロマトグラフィーにより表題化合物を得た。収量0.30g(80%)。融点191℃。
【0152】
4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニルアミン遊離塩基(化合物E2)
方法Eに従ってN−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]フェニル}−アセトアミドから調製した。融点204〜210℃。
【0153】
方法F
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−ベンズアミド遊離塩基(化合物F1)
4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニルアミン(0.53g、1.66mモル)及びジクロロメタン(20ml)の撹拌混合物に、ジクロロメタン(20ml)に溶解した塩化ベンゾイル(0.35g、2.5mモル)を加えた。混合物を0℃で2時間撹拌し、次いで、室温で15時間撹拌した。水性水酸化ナトリウム(20ml、1M)を加え、混合物をジクロロメタン(3×30ml)で抽出した。混合物を乾燥し、蒸発した。融点88〜96℃。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは424.2145Daを示す。計算424.213735Da、偏差1.8ppm。
【0154】
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−プロピオンアミドフマル酸塩(化合物F2)
方法Fに従って4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニルアミン及びプロピオン酸無水物から調製した。融点238℃。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは376.2153Daを示す。計算376.213735Da、偏差4.2ppm。
【0155】
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−イソブチルアミドフマル酸塩(化合物F3)
方法Fに従って4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニルアミン及びイソブチル酸無水物から調製した。融点214℃。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは390.231Daを示す。計算390.229385Da、偏差4.1ppm。
【0156】
1−エチル−3−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−尿素遊離塩基(化合物F4)
方法Fに従って4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニルアミン及びエチルイソシアネートから調製した。融点269℃。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは391.2253Daを示す。計算391.224634Da、偏差1.7ppm。
【0157】
N−(4−エチニルフェニル)−アセトアミド(中間体化合物)
方法Fに従って4−エチニルフェニルアミンから調製した。
【0158】
8,8−ジメチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンオニウムヨウ化物塩(化合物F5)
ジクロロメタン(20ml)に溶解したヨードメタン(0.23g、1.6mモル)を、−70℃の8−メチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(0.50g、1.6mモル)及びジクロロメタン(20ml)の混合物に加えた。混合物を−70℃で1時間撹拌した。混合物を室温にさせ、3日間撹拌した。混合物を蒸発し、メタノール/エーテルの混合物(5%、20ml)を加えた後、ろ過した。生成した結晶を乾燥した。M+のLC−ESI−HRMSは319.1935Daを示す。計算319.1923Da、偏差3.8ppm。
【0159】
(実施例2)
ラット脳におけるH−α−ブンガロトキシン結合のin vitro阻害
この実施例では、本発明の化合物のニコチン様受容体のαサブタイプへの結合親和力を測定する。
【0160】
α−ブンガロトキシンは、コブラ科ヘビであるブンガラスマルチシンクタス(Bungarus multicinctus)の毒液から分離されたペプチドである。α−ブンガロトキシンは、ニューロン及び神経筋ニコチン様受容体に対して高い親和力を有し、強力な拮抗薬として作用する。H−α−ブンガロトキシン標識ニコチン様アセチルコリン受容体は、脳に認められるαサブユニットイソ型及び神経筋接合部におけるαイソ型によって形成されている。
【0161】
組織の調製
調製は、0〜4℃で行った。雄Wistarラット(150〜250g)の大脳皮質を、Ultra−Turraxホモジナイザーを用いて118mM NaCl、4.8mM KCl、1.2mM MgSO及び2.5mM CaClを含む15mlの20mMHepes緩衝液(pH7.5)中で10秒間ホモジナイズする。組織懸濁液を27000×gで10分間遠心分離にかける。上清を捨て、ペレットを20mlの新しい緩衝液で27000×gでの10分間の遠心分離により2回洗浄し、次いで、最終ペレットを0.01%BSAを含む新しい緩衝液(最初の組織1g当たり35ml)に再懸濁し、結合アッセイに用いる。
【0162】
アッセイ
ホモジネートの一部500μlを25μlの試験溶液及び25μlのH−α−ブンガロトキシン(2nM、最終濃度)に加え、混合し、37℃で2時間インキュベートする。(−)−ニコチン(1mM、最終濃度)を用いて非特異的結合を測定する。インキュベーションの後、試料を0.05%PEIを含む5mlの氷冷Hepes緩衝液に加え、Whatman GF/Cガラス繊維フィルター(0.1%PEIに少なくとも6時間あらかじめ浸漬)上に吸引下で直接注加し、2×5ml氷冷緩衝液で直ちに洗浄する。
【0163】
フィルター上の放射能の量を従来の液体シンチレーション計数法により測定する。特異的結合は、総結合から非特異的結合を差し引いたものである。
【0164】
試験値をIC50H−α−ブンガロトキシンの特異的結合を50%抑制する被験物質の濃度)として示す。
【0165】
これらの実験の結果を下の表1に示す。
【0166】
表1
H−α−ブンガロトキシン結合の阻害
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iにより表されるジアザ二環系アリール誘導体
【化1】


その鏡像異性体のいずれか若しくはその鏡像異性体のいずれかの混合物、又はその製薬上許容できる塩[式中、
mは2又は3であり、
nは1又は2であり、
は水素、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキル−アルキルを表し、
Aは芳香族単環系若しくは二環系炭素環基又は複素環基を表し、この炭素環基又は複素環基はアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ及びニトロからなる群から選択される置換基で任意に1又は複数回置換されており、
Bはフェニル若しくはナフチル基、5〜6員芳香族単環系複素環基又は芳香族二環系複素環基を表し、この芳香族基はアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で任意に1又は複数回置換されていてもよく、R’は水素、アルキル、シクロアルキル又はフェニルを表し、
Lは−O−、−S−、−S−CH−、−CH−S−、−SO−、−SO−、−NR’’−、−CH−、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−NR’’CO−、−NR’’CONR’’−又は−NR’’(SO)−を表し、R’’は水素又はアルキルを表す]。
【請求項2】
mが2又は3であり、
nが1又は2である、
請求項1に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項3】
が水素、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキル−アルキルを表す、請求項1又は2に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項4】
Aが芳香族単環系若しくは二環系炭素環基又は複素環基を表し、この炭素環基又は複素環基はアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ及びニトロからなる群から選択される置換基で任意に1又は複数回置換されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項5】
Aがフェニル基を表す、請求項4に記載のジアザビシクロヘプタンアリール誘導体。
【請求項6】
Aがフラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル及びチアジアゾリルから選択される5員芳香族単環系複素環基を表す、請求項4に記載のジアザビシクロヘプタンアリール誘導体。
【請求項7】
Aがピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びトリアジニルから選択される6員芳香族単環系複素環基を表す、請求項4に記載のジアザビシクロヘプタンアリール誘導体。
【請求項8】
Aがフェニル、チアジアゾリル、ピリジニル又はピリダジニル基を表す、請求項4に記載のジアザビシクロヘプタンアリール誘導体。
【請求項9】
Bがフェニル若しくはナフチル基、5〜6員芳香族単環系複素環基又は芳香族二環系複素環基を表し、この芳香族基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で任意に1又は複数回置換されていてもよく、R’が水素、アルキル、シクロアルキル又はフェニルを表す、請求項1から8までのいずれか一項に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項10】
Bがフェニル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル又はインドリルを表し、この芳香族基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で任意に1又は複数回置換されていてもよく、R’がアルキル、シクロアルキル又はフェニルを表す、請求項9に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項11】
Bが芳香族二環系複素環基を表し、この芳香族基がアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で任意に1又は複数回置換されていてもよく、R’がアルキル、シクロアルキル又はフェニルを表す、請求項1から8までのいずれか一項に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項12】
mが2又は3であり、
nが1又は2であり、
Aが式
【化2】


[式中、XはO、S又はSeを表す]の5員芳香族単環系複素環基を表し、或いは
【化3】


から選択される6員芳香族単環系複素環基を表し、
Bがフェニル、ナフチル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル又はインドリルを表し、この芳香族基はアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で任意に1又は複数回置換されていてもよく、R’はアルキル、シクロアルキル又はフェニルを表す、
請求項1に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項13】
Lが−O−、−S−、−S−CH−、−CH−S−、−SO−、−SO−、−NR’’−、−CH−、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−NR’’CO−、−NR’’CONR’’−又は−NR’’(SO)−を表し、R’’が水素又はアルキルを表す、請求項1から12までのいずれか一項に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項14】
Lが−O−、−S−、−S−CH−、−SO−、−C≡C−、−NHCO−、−NHCONH−又は−NH(SO)−を表す、請求項13に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項15】
nが1又は2であり、
Aがフェニル、チアジアゾリル、ピリジル又はピリダジニルを表し、
Bがアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で任意に置換されているフェニル、ピリジル又はインドリルを表し、
Lが−O−、−S−、−S−CH−、−SO−、−C≡C−、−NHCO−、−NHCONH−又は−NH(SO)−を表す、請求項1に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項16】
mが2又は3であり、
nが1又は2であり、
Aが式
【化4】


[式中、XはO、S又はSeを表す]の5員芳香族単環系複素環基を表し、或いは
【化5】


から選択される6員芳香族単環系複素環基を表し、
Bがフェニル、ナフチル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル又はインドリルを表し、この芳香族基はアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、アミノ、ニトロ、−NH(CO)R’及びNH(CO)NHR’からなる群から選択される置換基で任意に1又は2回置換されていてもよく、R’はアルキル、シクロアルキル又はフェニルを表す、
請求項12に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項17】
8−メチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン;
(±)−9−メチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−3,9−ジアザ−ビシクロ[4.2.1]ノナン;
N−{4−[6−(9−メチル−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−アセトアミド;
9−メチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
4−[4−(9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[3.3.1]ノン−3−イル)−フェニルエチニル]−フェニルアミン;
3−[4−(1H−インドール−5−イルエチニル)−フェニル]−9−メチル−3,9−ジアザ−ビシクロ[3.3.1]ノナン;
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−アセトアミド;
4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニルアミン;
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−ベンズアミド;
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−プロピオンアミド;
N−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−イソブチルアミド;
3−[6−(1H−インドール−5−イルエチニル)−ピリダジン−3−イル]−8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン;
1−エチル−3−{4−[6−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−ピリダジン−3−イルエチニル]−フェニル}−尿素;又は
8,8−ジメチル−3−(6−フェニルエチニル−ピリダジン−3−イル)−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンオニウムヨウ化物塩;
又は鏡像異性体若しくはその鏡像異性体の混合物、又はその製薬上許容できる塩である、
請求項16に記載のジアザ二環系アリール誘導体。
【請求項18】
治療有効量の請求項1から17までのいずれか一項に記載のジアザ二環系アリール誘導体、又はその製薬上許容できる付加塩、又はそのプロドラッグを、少なくとも1つの製薬上許容できる担体若しくは希釈剤と一緒に含む薬剤組成物。
【請求項19】
ヒトを含む哺乳動物の、コリン作動性受容体及び/又はモノアミン受容体の調節に反応する疾患、障害又は状態の治療、予防又は軽減のための薬剤組成物/薬剤の製造のための請求項1から17までのいずれか一項に記載のジアザ二環系アリール誘導体、又はその製薬上許容できる付加塩の使用。
【請求項20】
疾患、障害又は状態が認知障害、学習障害、記憶障害及び不全、アルツハイマー病、注意欠陥、注意欠陥多動性障害(ADHD)、トゥレット症候群、精神病、うつ病、双極性障害、躁病、躁うつ病、分裂病、分裂病に関連する認知若しくは注意欠陥障害、強迫性障害(OCD)、パニック障害、神経性食欲不振症、多食症及び肥満などの摂食障害、睡眠発作、侵害受容、AIDS痴呆、老年痴呆、自閉症、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、不安、非OCD不安障害、けいれん性疾患、てんかん、神経変性疾患、一過性無酸素症、誘発性神経変性、神経障害、糖尿病性神経障害、ペリフェリック(periferic)失読症、遅発性ジスキネジア、多動、軽度疼痛、中等度若しくは重度疼痛、急性、慢性若しくは再発性の疼痛、片頭痛により引き起こされる疼痛、術後痛、幻影肢痛、炎症性痛、神経因性疼痛、慢性頭痛、中枢痛、糖尿病性神経障害に、治療後神経痛に、若しくは末梢神経損傷に関連する疼痛、多食症、外傷後症候群、社会への恐怖、睡眠障害、偽痴呆、ガンザー症候群、月経前症候群、黄体後期症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖、時差ボケ、不整脈、平滑筋収縮、狭心症、早産、下痢、喘息、遅発性ジスキネジア、多動、早漏、勃起障害、高血圧、炎症性疾患、炎症性皮膚障害、座瘡、酒さ、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、下痢、又はタバコなどのニコチン含有製品、ヘロイン、コカイン及びモルヒネなどのオピオイド、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピン様薬物並びにアルコールを含む嗜癖性物質の使用の打ち切りによって引き起こされる禁断症状である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
ヒトを含む動物生体の、コリン作動性受容体及び/又はモノアミン受容体の調節に反応する疾患、障害又は状態の治療、予防若しくは軽減の方法であって、それを必要とするそのような動物生体に治療有効量の請求項1から17までのいずれか一項に記載のジアザ二環系アリール誘導体を投与するステップを含む上記方法。

【公表番号】特表2008−530172(P2008−530172A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555582(P2007−555582)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050874
【国際公開番号】WO2006/087306
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】