説明

ジェット燃料の凝固点を改善するための水素化処理および脱ロウ処理

本発明は、ケロシン原料由来のジェット燃料の収量および特性を改善するための方法に関する。より詳細には、ZSM−48触媒を用いてケロシン原料油が水素化処理され脱ロウされて、改善された収量で改善された特性を有するジェット燃料が製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケロシン原料由来のジェット燃料の収量および特性を改善するための方法に関する。より詳細には、ケロシン原料油が水素化処理され脱ロウされて、改善された特性を有するジェット燃料を生産する。
【背景技術】
【0002】
ジェット燃料は、石油精製方法から生産される。ジェット燃料生産物は、単に精油塔由来のカットであり得る。より頻繁には、ジェット燃料は、酸性度、芳香族化合物、オレフィン類、ナフタレン、煙点、硫黄、メルカプタン、凝固点および色などの仕様を満たすためにさまざまな処理工程を受ける。必要とされる特別な処理は、生産されるジェット燃料の品質等級に応じたものである。ジェット燃料1等級を有する軽質ジェット燃料は一般に、原油の精製から生産される直留ケロシンである。JP−5およびJP−8などの更に高いジェット燃料品質等級は、具体的最終使用要件を満たすため、酸化防止剤、腐食抑制剤、分散剤などのさまざまな添加剤を含む。ジェット燃料は世界市場で使用されていることから、このような要件はその範囲が国際的なものであり得る。
【0003】
1970年代以降ケロシンの市場全体は衰退の道をたどってきたものの、ジェット燃料の市場は大部分の国において拡張しつつあった。こうして、大部分の米国の精製事業者は、ジェット燃料に対するニーズを含めた燃料顧客の燃料ニーズを満たすために生産能力ぎりぎりで稼動してきた。現在(2005〜2006年)、米国は、一日に200万バレルをわずかに下回る量のジェット燃料を使用している。この用途向けの大部分が国内で生産され、輸入は少量にすぎない。輸出もまた少なく、ほとんどが国際線向けに使用される航空機に搭載される燃料を構成する。
【0004】
寒冷気候では、ケロシンベースの大量のジェット燃料がディーゼル燃料と配合するために使用される。ジェット燃料は通常新しい超低硫黄ディーゼル(ULSD)規則の下で許可されているものよりも多くの硫黄を含んでいることから、この使用は減少するかもしれない。しかしながら、ディーゼル燃料よりもケロシンから硫黄を除去する方が容易であることから、ULSD規則の施行によって、精油所内部においてディーゼル配合原料としてのケロシンの需要が増大するかもしれない。
【0005】
ジェット燃料のコストは、航空会社にとって重大な問題になっている。一般に、ジェット燃料のコストは、原油コストにほぼ連動している。従って航空会社は、ジェット燃料コストの著しい上昇を経験してきた。
【0006】
ケロシンに由来する高品質のジェット燃料の収量を最大限にする必要性が存在する。硫黄、引火点、凝固点および煙点などの要因を、ジェット燃料に適用される変動する規則に照らして、考慮する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
従って、ケロシン原料油からジェット燃料を生産するための方法において、
− 水素化処理条件下で水素化処理触媒の存在下でケロシン原料油を水素化処理して水素化処理済みのケロシン原料油を生産する工程と;
− 脱ロウ条件下で10員環1−D分子ふるいを含む触媒の存在下で前記水素化処理済みケロシン原料油を脱ロウして、水素化脱ロウ済みケロシン原料油を生産する工程と;
− 前記水素化脱ロウ済みケロシン原料油を分留してジェット燃料を生産する工程と;
を含むことを特徴とする方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る方法を実施するための反応系を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
原料油
一実施形態において、本方法用の原料油はケロシンである。直留ケロシンなどのケロシンは、原油を分留するかまたはその留分を蒸留するために使用される分留塔から入手してよい。別の実施形態においては、適切な原料油には、従来の原油由来のケロシン並びに水素添加分解装置のケロシンなどのその他の精油所供給源由来のパラフィン系炭化水素が含まれ得る。更にその他のプロセス原料は、フィッシャー・トロプシュなどの合成原油供給源からのニートかまたはコフィード(co−feed)されたままのパラフィン系炭化水素および/または脂肪酸メチルエステル(FAME)などの関連する化合物および油産生藻類を含めた、トリグリセリド植物性および動物性脂肪などのバイオ成分供給源に由来する炭化水素を含んでいてよい。酸素化物を含む原料については、水素化を介して原料を前処理して酸素を除去し、不飽和側鎖をパラフィン系炭化水素に転換することが好ましい。ハイドロ異性化を介したパラフィン系炭化水素からジェット燃料への変換は、開示されている現方法および触媒系の1つの特殊な特徴である。
【0010】
適切な原料油は、ASTM D86またはASTM D2887により測定された場合に、149〜343℃(300〜650°F)、好ましくは163〜316℃(325〜600°F)の沸点範囲を有する。従来のケロシンに比べた場合、沸点範囲の上端の上昇は、ジェット燃料の収量を維持する上で一助となり、一方下端の上昇は、引火点を上昇させる一助となる。上端が上昇した場合、雲り点および凝固点が上昇する。
【0011】
凝固点(ロウの結晶化)は、ジェット燃料の生産における制約的仕様であり得る。一次的制御は、(重質ロウ分子を除外するために)最終段階収量を削減し、(最終段階の重質分子を可溶化する溶剤を添加してために)初期段階収量を最大限にすることである。ロウの異性化は、凝固点に対する重質ロウ分子の影響を著しく削減し、それらのより多くのものを含み入れることができるようにし、その結果ジェット燃料収量は増大する。ディーゼル燃料または燃料油などのその他の原料は、重質すぎてジェット燃料の(蒸発)性能要件を満たすことができない。
【0012】
この方法の別の利点は、それが二重の目的をもつ、ケロシン即ち市場のニーズに応じて冬季配合用のNo.1ディーゼルとしてかまたはジェット燃料として使用してよいケロシンの収量を拡大できるという点にある。
【0013】
水素化処理
ケロシン原料油は典型的には、ジェット燃料として許容不可能な量で硫黄および/または窒素汚染物質を含む。従って、水素化処理済みケロシンを生産するため、ケロシン原料油は、硫黄および/または窒素汚染物質の少なくとも一部を除去するのに有効な条件下で水素化処理触媒と接触させられる。本明細書中で使用するのに適した水素化処理触媒は、(第1〜18族を有するIUPAC周期表に基づく)少なくとも1種の第6族金属および少なくとも1種の第8〜10族金属並びにそれらの混合物を含むものである。好ましい金属としては、Ni、W、Mo、Coおよびその混合物が含まれる。これらの金属または金属混合物は典型的には、耐火性金属酸化物担体上に酸化物または硫化物として存在する。金属混合物は同様に、金属量が触媒に基づき30wt%以上であるバルク金属触媒として存在してもよい。
【0014】
適切な金属酸化物担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナまたはチタニアが含まれ、好ましくはアルミナである。好ましいアルミナは、多孔質アルミナ例えばガンマまたはエータである。これらの触媒は典型的には、バルク触媒との関係において以上で記述された範囲内の金属および少なくとも1種の押出し剤を含む。第6族および第8〜10族金属の好ましい混合物の場合、第8〜10族金属は、触媒に基づいて0.5〜35wt%の量で存在し、第6族金属は、5〜30wt%の量で存在する。金属の量は、原子吸光分光法、誘導結合プラズマ原子発光分析または、個々の金属についてASTMが規定するその他の方法によって測定してよい。適切な市販の水素化処理触媒の非制限的な例としては、NEBULATM、KF−840、KF−848、KF−757、およびDN−200が含まれる。好ましい触媒は、KF−848およびNEBULATMを含めた低酸性度、高金属含有量の触媒である。
【0015】
水素化処理触媒と接触させたケロシン原料油では、原料油の窒素および/または硫黄含有量が削減される。原料油の窒素含有量は典型的には、10wppm以下、好ましくは5wppm以下に削減される。原料油の硫黄含有量は、典型的には500wppm以下、好ましくは300wppm以下まで削減される。
【0016】
水素化処理条件には、1480〜20786kPa(200〜3000psig)、好ましくは2859〜13891kPa(400〜2000psig)の範囲内の圧力で240℃〜400℃、好ましくは300℃〜380℃の範囲内の温度、0.1〜10LHSV、好ましくは0.1〜5LHSVの空間速度、および18〜890m/m(100〜5000scf/B)、好ましくは44〜178m/m(250〜1000scf/B)の水素処理ガス比が関与する。
【0017】
水素化処理は典型的には、ケロシン原料油中の窒素および硫黄汚染物質をそれぞれアンモニアおよび硫化水素に転換することにより、これらの汚染物質を削減する。これらの気体汚染物質は好ましくは、ストリッパー、ノックアウトドラムなどの従来の技術を用いて水素化処理済みケロシンから分離されてよい。一変形態様においては、水素化処理装置からの気体および液体流出物全体を、次の段に送ってよい。段間分離を有していない既存の反応装置に対するドロップインのためには、直接カスケードが好ましい。
【0018】
水素化処理用反応段は、各々が同じ水素化処理触媒の1つ以上の触媒床を含み得る1つ以上の固定床反応装置または反応ゾーンで構成され得る。その他のタイプの触媒床を使用することもできるが、固定床が好ましい。このようなその他のタイプの触媒床としては、流動床、沸騰床、スラリー床および移動床が含まれる。脱硫反応は一般に発熱反応であることから、反応装置または反応ゾーン間または同じ反応装置または反応ゾーン内の触媒床間の段間冷却または加熱を利用することができる。水素化処理中に発生する熱の一部を回収することが可能である。この熱回収の選択が利用できない場合、冷却水または空気などの冷却用役を通してか、または水素急冷流を使用することによって、従来の冷却を実施してよい。このようにして、最適な反応温度をより容易に維持することができる。
【0019】
一変形実施形態においては、汚染物質レベルが低いケロシン原料を選択してもよい。このような実施形態においては、水素化処理工程を省略してもよい。汚染物質レベルが充分に低いことが考えられるケロシン原料の例としては、水素添加分解装置ケロシンおよびフィッシャー・トロプシュ油に由来するケロシンがある。
【0020】
水素化脱ロウ
水素化処理装置からの流出物、好ましくは全ての流出物、最も好ましくは全てのストリッピング済み流出物を、次に第2の反応段においてハイドロ異性化条件下でハイドロ異性化脱ロウ触媒と接触させて、ハイドロ脱ロウ済みのケロシン原料油を生産する。脱ロウ触媒は標準的には、耐火性金属酸化物上に担持された10員環1−D分子ふるいおよび金属水素化成分を含む。金属水素化成分は、好ましくは第8〜10族金属、より好ましくは貴金属、最も好ましくはPd、Ptまたはその混合物である。金属成分の量は、触媒に基づいて0.1〜5wt%、好ましくは0.1〜2wt%の範囲内にある。耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニアなどであってよく、好ましくはアルミナ、最も好ましくはガンマアルミナである。
【0021】
脱ロウ触媒内の分子ふるいの量は、触媒に基づき10〜100wt%、好ましくは40〜80wt%である。脱ロウ触媒の残りの部分は耐火性担体および金属水素化成分である。このような触媒は、噴霧乾燥、押出しなどの方法により形成可能である。脱ロウ触媒は、硫化または未硫化形態で使用してよく、好ましくは硫化形態をしている。
【0022】
10員環1−D分子ふるいはZSM−23、ZSM−35、ZSM−48または別の適切な分子ふるいであり得る。好ましくは、分子ふるいは、ZSM−48中のシリカ対アルミナの比率が約110:1未満であるZSM−48である。
【0023】
少なくとも1種の水素化金属は、耐火性金属酸化物担体などの担体および/または結合材が分子ふるいと共に取込まれる前またはその後、好ましくはその後に触媒上に取込まれる、即ち被着される。少なくとも1種の水素化金属は、それを行なうのに有効であることが公知であるあらゆる手段によって被着させることができる。適切な取込み手段の非限定的な例としては、含浸法(incipient wetness)、イオン交換、分子ふるいおよび結合材と1つまたは複数の金属酸化物前駆体の機械的混合、またはそれらの組合せがあり、好ましい方法は含浸法である。
【0024】
本発明の一実施形態においては、ケロシン原料流が、有効な水素化脱ロウ条件下で反応段内で上述の水素化脱ロウ触媒と接触させられる。本発明において使用される水素化脱ロウ触媒を含む反応段は、各々同じまたは異なる触媒の1つ以上の触媒床を含み得る1つ以上の固定床反応装置または反応ゾーンで構成され得る。他のタイプの触媒床を使用することも可能であるが、固定床が好ましい。このような他のタイプの触媒床としては、流動床、沸騰床、スラリー床および移動床が含まれる。反応装置、反応ゾーンの間または同じ反応装置内の触媒床の間での段間冷却または加熱を利用することが可能である。発生したあらゆる熱の一部を回収することも可能である。この熱回収の選択肢が利用可能でない場合、冷却水または空気などの冷却用役を通してかまたは水素急冷流を使用することによって、従来の冷却を実施してよい。このようにして、最適な反応温度をより容易に維持することができる。脱ロウ触媒を含む反応段は、第2の反応段と呼ばれる場合もあるという点に留意すべきである。
【0025】
有効な水素化脱ロウ条件には、水素化処理条件には、1480〜20786kPa(200〜3000psig)、好ましくは2859〜13891kPa(400〜2000psig)の範囲内の圧力で240℃〜400℃、好ましくは300℃〜380℃の範囲内の温度、0.1〜10LHSV、好ましくは0.1〜5LHSVの空間速度、および18〜890m/m(100〜5000scf/B)、好ましくは44〜178m/m(250〜1000scf/B)の水素処理ガス比が関与する。
【0026】
10員環1−D分子ふるいを含む触媒を使用することにより、ナフサなどの比較的低沸点の留分に転換されるケロシンの量を最小限におさえながら低温特性が改善される。こうして、単一イソパラフィンが、水素化分解するかまたはより好ましくは比較的分岐度の高い分子へと異性化するかもしれない。これらの比較的分岐度の高いイソパラフィンは、クラッキングなどの更なる反応から保護されている。特に、ZSM−48は、有意なクラッキングが発生することなく、直鎖および単一分岐イソパラフィンをハイドロ異性化するための優れた触媒である。これにより、ジェット燃料の収量は改善される。更に、プロセス全体は、芳香族化合物を飽和させることにより煙点を許容可能なレベルまで改善させ、同時に硫黄および窒素含有汚染物質を許容可能なレベルまで低下させるための経済的な方法も提供する。
【0027】
プロセス
一実施形態においては、水素化処理触媒および脱ロウ触媒は同じ反応装置内の異なる固定床を占有している。水素化処理触媒が最初にケロシン原料油と接触すること即ち、脱ロウ触媒の上流側に設置されることが好ましい。ZSM−48が分子ふるいとして選択される実施形態においては、水素化処理により形成されたHS/NHの量が過度なものではない場合、ZSM−48がその他の異性化脱ロウ触媒よりもこれらの汚染物質に対し寛容性があることを理由として、水素化処理段からの流出物全体を脱ロウ段に送ることが好ましい。しかしながら、水素化処理により形成されるHS/NHの量が過度である場合には、水素化処理段からの流出物をストリッピングしてこれらの汚染物質を除去してよい。反応装置を通る原料油の流れは、並流であっても向流であってもよく、好ましくは向流である。反応装置に入る前の原料油に水素を添加してもよい。
【0028】
別の実施形態においては、水素化処理触媒は別個の第1の反応装置内にある。第1の反応装置からの流出物は、軽質炭化水素およびHS/NHなどの気体を除去するためのストリッピングを伴ってまたは伴わずに、脱ロウ触媒を含む第2の反応装置まで導かれる。ここでもまた、段間ストリッパーを迂回するか否かは、分子ふるいの性質および第1の反応装置からの流出物の汚染度に応じて決定される。或いは、水素化処理と脱ロウ段の間に別のタイプの分離装置を使用してもよい。
【0029】
いずれの実施形態においても、脱ロウ段からの流出物は、分離装置、好ましくは高圧分離装置に送られてよく、分離装置由来の液体流出物は精留塔に送られて、改善された収量および特性を有する所望のジェット燃料を生産する。
【0030】
上述のプロセスを実施するのに適した反応系が、図1に概略的に示されている。図1中では、ケロシン原料油108が第1の水素化処理反応装置110内に導入されている。水素処理ガス流115も同様に水素化処理反応装置110内に導入される。ケロシン原料油は、水素化処理触媒を含む1つ以上の触媒床の存在下で第1の水素化処理反応装置110内の水素化処理条件に曝露される。任意には、処理済み原料油は分離装置122内に流れ込み、ここで気相生成物が液相生成物から分離される。任意には、分離装置122により分離された気相生成物の一部を、再生水素処理ガス流(図示せず)として、第1の反応装置に逆送してよい。第1の水素化処理反応装置110および任意には分離装置122を通過した後、処理済み原料油は、第2の水素処理ガス流125と共に脱ロウ反応装置140に入る。処理済み原料油は次に、ジェット燃料として使用するのに適した燃料を分離するための分離装置142を通過することができる。一変形実施形態においては、水素化処理段および脱ロウ段を単一の反応装置内に含めてもよい。
【0031】
以上の記述は、本発明の好ましい実施形態に向けられている。当業者であれば、本発明の精神を実施するために、同等に有効なその他の実施形態を考案することができるということを認識するものである。
【0032】
以下の実施例は本発明の改善された有効性を例証するものであるが、いかなる形であれ本発明を限定するようには意図されていない。
【実施例】
【0033】
反応装置1および2の間にいかなる段間ストリッピングも無い2反応装置系の中で、ケロシン原料油の水素化処理および脱ロウを行った。反応装置1に、市販の(Criterion)CoMo水素化処理触媒を投入した。反応装置2には、Pt/ZSM−48脱ロウ触媒を投入した。
【0034】
ケロシン原料油は、より重質のケロシンを製造するためのより深い原油カットを代表するように主にアラビア軽質原油から調製した。標準的な市販のジェット燃料カットは300〜550°F(149〜288℃)の標準沸点範囲を有するものの、ケロシンカットは325〜575°F(163〜302℃)の沸点範囲を有していた。引火点を上昇させるために、より高い初期沸点を使用し、原油に対して同じ全体的収量を維持するためにより高い終点を使用した。原料油(原料#2)および特性は表1にまとめられている。実験結果は、表2にまとめられている。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
MB330と呼称されている第1の実験において、Pt/ZSM−48触媒は、低温で作動させることにより「オフ切替え」されている。結果は、水素化処理単独では、凝固点を所要仕様まで低減させるのに有効でないということを示している。第2の実験(MB329)において、Pt/ZSM48触媒は650°F(343℃)での稼働中に導入され、結果として90.2wt%という高引火点の超低硫黄ジェット燃料の収量が得られている。最後の実験(MB334)は、更に高いpt/ZSM48触媒過酷度(675°F、359℃)を利用して、引火点が高く凝固点の非常に低いジェット燃料を優れた収量(83.0wt%)で生産できるということを実証している。煙点および芳香族化合物は全てのケースにおいて改善されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケロシン原料油からジェット燃料を生産する方法であって、
水素化処理触媒の存在下、水素化処理条件下でケロシン原料油を水素化処理して、水素化処理済みケロシン原料油を製造する工程;
10員環1−D分子ふるいを含む触媒の存在下、脱ロウ条件下で前記水素化処理済みケロシン原料油を脱ロウして、水素化脱ロウ済みケロシン原料油を製造する工程;および
前記水素化脱ロウ済みケロシン原料油を分留して、ジェット燃料を製造する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記ケロシン原料油が149〜343℃の沸点範囲を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水素化処理条件には、280℃〜400℃の範囲内の温度、1480〜20786kPa(200〜3000psig)の範囲内の圧力、0.1〜10LHSVの空間速度および89〜1780m/m(500〜10000scf/Bの水素処理ガス比が含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水素化処理触媒が、少なくとも1種の第6族金属、少なくとも1種の第8族〜第10族金属またはその混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水素化処理触媒が、担持または非担持触媒であってよいことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記脱ロウ条件には、250℃〜400℃の温度、791〜20786kPa(100〜3000psig)の圧力、0.1〜10hr−1の液体毎時空間速度および45〜1780m/m(250〜10000scf/B)の水素処理ガス比が含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記10員環1−D分子ふるいが、ZSM−48であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記脱ロウ触媒が、少なくとも1種の金属水素化成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記金属水素化成分が、Pt、Pdまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記水素化処理触媒および前記脱ロウ触媒が、反応装置内部で別個の床を占有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記水素化処理触媒および脱ロウ触媒が、別個の反応装置内に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ケロシン原料油が、少なくとも部分的にバイオ成分供給源に由来することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ケロシン原料油が、少なくとも部分的にトリグリセリド植物油に由来することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ケロシン原料油が、少なくとも部分的に脂肪酸メチルエステルに由来することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ケロシン原料油が、少なくとも部分的に動物性脂肪に由来することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ケロシン原料油が、少なくとも部分的に油産生藻類に由来することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
脱ロウに先立ち、前記水素化処理済みケロシン原料油について分離を実施する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記分離には、前記水素化処理済みケロシン原料油をストリッピングする工程が含まれることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ケロシン原料油からジェット燃料を製造する方法であって、
10員環1−D分子ふるいを含む触媒の存在下、脱ロウ条件下でケロシン原料油を脱ロウして、水素化脱ロウ済みケロシン原料油を製造する工程;および
前記水素化脱ロウ済みケロシン原料油を分留して、ジェット燃料を製造する工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記10員環1−D分子ふるいが、ZSM−48であることを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−504681(P2012−504681A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530062(P2011−530062)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/005458
【国際公開番号】WO2010/042154
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】