説明

ジヒドロピリドフタラジノン誘導体を合成する方法

本明細書で提供されるのは、強力なポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤である、例えば5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン及びその立体異性体などのジヒドロピリドフタラジノン誘導体を合成するためのプロセス、並びに新規の合成の中間化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本出願は、強力なポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤である、例えば5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン及びその立体異性体などのジヒドロピリドフタラジノン誘導体を合成するための改良されたプロセス、並びに新規の合成の中間化合物を開示する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)のファミリーには、約18種のタンパク質が含まれ、これらはすべて、その触媒ドメインにおけるある程度の相同性を示すが、その細胞機能は異なる(Ameらの文献、BioEssays.,26(8),882-893(2004))。PARP-1及びPARP-2は、PARP-1及びPARP-2の触媒活性がDNA鎖切断の発生によって刺激される点で、このファミリーのユニークなメンバーである。
【0003】
PARPは、DNA一本又は二本鎖切断を認識し、これと速やかに結合するその能力を通して、DNA損傷のシグナル伝達に関与している(D'Amoursらの文献、Biochem. J.,342,249-268(1999))。PARPは、遺伝子増幅、細胞分裂、分化、アポトーシス、DNA塩基除去修復を含めた様々なDNA関連の機能、並びにテロメア長及び染色体安定性に対する影響に関与する(d'Adda di Fagagnaらの文献、Nature Gen.,23(1),76-80(1999))。
【0004】
ジヒドロピリドフタラジノン誘導体の合成は、米国特許公開US 2010/0035883 A1に開示されており、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。しかし、US 2010/0035883 A1に開示された合成経路は、特に、量産化課題を提示している。したがって、このクラスの化合物への、特に5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン及びその立体異性体のための、改良された合成経路を提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
本明細書で提供されるのは、式(1)に示す通りの5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン、及び式(1a)及び(1b)に示す通りのその鏡像異性体化合物:
【化1】

又はそれらの塩を製造するための量産可能かつ効率的なプロセスを提供する、改良された合成経路及び新規中間体である。特に、本明細書に包含される合成の全収率が、当分野を通して改良される。
【0006】
第1の実施態様では、該方法は、次のステップを含む:
【0007】
ステップa)式(2)の化合物:
【化2】

を1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-カルバルデヒドと反応させて、式(3)の化合物:
【化3】

又はその塩を生成すること;
【0008】
ステップb)式(3)の化合物を、例えばHO-R(式中、R=C1〜C4アルキル)などの低級アルキルアルコール、好ましくはメタノールで処理して、式(4)の化合物:
【化4】

又はその塩を生成すること;
【0009】
ステップc)式(4)の化合物又はその塩を、還元試薬及び酸又はルイス酸の存在下で、4-フルオロベンズアルデヒドと反応させて、式(5)の化合物:
【化5】

又はその塩を生成すること;
【0010】
ステップd)式(5)の化合物の分離、例えばキラルクロマトグラフィー分離を実施して、式(6a)及び(6b):
【化6】

という2つの鏡像異性体化合物をもたらすこと;並びに
【0011】
ステップe)式(6a)又は(6b)の鏡像異性体をヒドラジンと反応させて、式(1a)又は(1b)の鏡像異性体を得ること。
【0012】
第2の実施態様では、式(1a)又は(1b)の鏡像異性体は、最初に式(5)の化合物をヒドラジンで処理して式(1)のラセミ体を提供し、次いでキラルクロマトグラフィー分離を実施して、式(1a)及び(1b)の2つの鏡像異性体をもたらすことによって調製される。
【0013】
第3の実施態様では、代替方法は、次のステップを含む:
【0014】
ステップa)式(3)の化合物又はその塩をヒドラジン水和物と反応させて、式(7)の化合物:
【化7】

又はその塩を生成すること;
【0015】
ステップb)式(7)の化合物を、不活性な溶媒中で高温で4-フルオロベンズアルデヒドと反応させて、式(8)の化合物:
【化8】

又はその塩を生成すること;
【0016】
ステップc)式(8)の化合物を、不活性な溶媒中で塩基で処理して、式(1)の化合物を生成すること;並びに
【0017】
ステップd)式(1)の化合物のキラルクロマトグラフィー分離を実施して、式(1a)及び(1b)の2つの鏡像異性体をもたらすこと。
【0018】
第4の実施態様では、さらに別の方法は、次のステップを含む:
【0019】
ステップa)式(4)の化合物を、塩基の存在下で4-フルオロベンズアルデヒドと反応させて、式(9)の化合物:
【化9】

(式中、Rは、C1〜C6アルキル(低級アルキル)である)又はその塩を生成すること:
【0020】
ステップb)式(9)の化合物を、還元試薬と反応させて、式(5)の化合物又は式(10)の化合物:
【化10】

(式中、Rは、C1〜C6アルキルである)又はその塩を生成すること;
【0021】
ステップc)式(10)の化合物を、還元試薬を用いて還元して、式(5)の化合物を生成すること;
【0022】
ステップd)式(5)の化合物のキラルクロマトグラフィー分離を実施して、式(6a)及び(6b)の鏡像異性体を得ること;並びに
【0023】
ステップe)式(6a)又は(6b)の鏡像異性体を、ヒドラジン水和物と反応させて、式(1a)又は(1b)の鏡像異性体を生成すること。
【0024】
第5の実施態様では、さらに別の方法は、式(9)の化合物を、ヒドラジンと反応させて、式(1)の化合物を生成することと、キラルクロマトグラフィー分離を介して分離して2つの鏡像異性体(1a)及び(1b)をもたらすこととを含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(発明の詳細な説明)
PARPは、DNA修復を容易にすること、RNA転写を制御すること、細胞死を仲介すること、及び免疫応答を調節することにおける基本的役割を有する。PARP阻害剤は、疾患の多数のモデルにおける、特に、虚血再灌流障害、炎症性疾患、変性疾患のモデルにおける有効性、細胞障害性化合物の上記有害作用からの保護、及び細胞障害性の癌治療の増強作用を示す。PARP阻害剤は、心筋梗塞、脳卒中、他の神経損傷、臓器移植、並びに眼、腎臓、消化管、及び骨格筋の再潅流のモデルにおける虚血再灌流障害の予防に有効である。PARP阻害剤は、関節炎、痛風、炎症性腸疾患、MS及びアレルギー性脳炎などのCNS炎症、敗血症、敗血症性ショック、出血性ショック、肺線維症、並びにブドウ膜炎などの、炎症性疾患に有効である。PARP阻害剤はまた、糖尿病及びパーキンソン病を含めた変性疾患のいくつかのモデルにおける有益性も示す。PARP阻害剤は、アセトアミノフェン過剰後の肝臓毒性、ドキソルビシン及び白金ベースの抗新生物薬由来の心臓及び腎臓毒性、並びにスルファマスタードによる皮膚損傷を改善する。様々な癌モデルでは、PARP阻害剤は、癌細胞のアポトーシスを増大させること、腫瘍増殖を制限すること、転移を減少させること、及び腫瘍を有する動物の生存を延長させることによって、放射線及び化学療法を増強することが示されている。
【0026】
本明細書で提供されるのは、ジヒドロピリドフタラジノン誘導体、及び特に式(1)の化合物、又は式(1a)及び(1b)という式(1)の化合物の鏡像異性体化合物:
【化11】

或いはそれらの塩を調製するための、改良されたプロセス及び新規中間体である。
【0027】
一実施態様では、本明細書で提供されるのは、式(5)の化合物:
【化12】

又はその塩をヒドラジン一水和物と反応させることを含む、式(1)の化合物を製造するプロセスである。ある実施態様では、この反応は、不活性な溶媒中で、約0から約140℃の温度で約1から約24時間行う。
【0028】
ある実施態様では、不活性な溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、又はエチレングリコールなどの、アルコール;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、又はジオキサンなどの、エーテル;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドなどの、アミド;酢酸エチル、酢酸メチル、又はギ酸エチルなどの、エステル;ジクロロメタン、クロロホルム、又はジクロロエタンなどの、塩素化炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、又はキシレンなどの、炭化水素;又はアセトニトリルなどのニトリル;或いはこれらの組み合わせを挙げることができる。ある実施態様では、該溶媒は、アルコールである。ある実施態様では、該溶媒は、メタノール又はエタノールである。
【0029】
ある実施態様では、反応温度は、約0℃と約140℃の間の及び約0℃と約140℃を含めた任意の値又は範囲であり得る。例えば、ある実施態様では、反応温度は、約0℃から約25℃まで;約0℃から約100℃まで;約0から約120℃まで;約20℃から約40℃まで;約25℃から約60℃まで;約100℃から約140℃まで;或いは約25℃;約40℃;約50℃;又は約60℃であり得る。
【0030】
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、式(5)の化合物(式中、Rは、C1〜C6アルキルである)又はその塩を調製するためのプロセスである。ある実施態様では、このプロセスは、式(4)の化合物:
【化13】

又はその塩を、酸又はルイス酸及び還元試薬の存在下で、不活性な溶媒中で、約0から約80℃の温度で約1から約5時間、4-フルオロベンズアルデヒドと反応させることを含む。
【0031】
ある実施態様では、酸は、適切な無機又は有機酸であり得る。適切な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、フルフリック(fulfuric)、及びリン酸が挙げられる。他の実施態様では、適切な有機酸は、脂肪族の、脂環式の、芳香族の、アラリファティックな(araliphatic)、カルボキシル基を有する、及びスルホ基を有するクラスの酸から選択することができる。これらの酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸、メチルスルホン酸、トリフルロメタンスルホン酸(trifluromethanesulfonic)、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、アンファースルホン酸(amphorsulfonic)、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシラアミノスルホン酸(cyclohexylaaminoethanesulfonic)、ステアリン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸が挙げられる。ある実施態様では、酸は無機酸である。ある実施態様では、酸はHClである。他の実施態様では、酸は有機酸である。ある実施態様では、有機酸は酢酸である。ある実施態様では、有機酸はトリフルオロ酢酸である。ある実施態様では、酸はp-トルエンスルホン酸である。
【0032】
ある実施態様では、ルイス酸は、金属トリフラート、金属ハロゲン化物、過塩素酸金属塩、又はテトラフルオロホウ酸金属塩からなる群から選択される。金属トリフラートの例としては、Li(OTf)、Sn(OTf)2、Cu(OTf)2、Bi(OTf)3、Ca(OTf)2、Al(OTf)3、Sm(OTf)3、Yb(OTf)3、及びSc(OTf)3が挙げられる。金属ハロゲン化物の例としては、CeCl3、WCl3、ZrCl4、RuCl3、AlCl3、SbCl3、CoCl2、CdCl2、ZnCl2、TaCl5、InCl3、BiCl3、VCl3、SnCl4、TiCl4、ZrCl4、InBr3、MgBr2、SmI2、及びSmCl3が挙げられる。過塩素酸塩の例としては、LiClO4、NaClO4、Zn(ClO4)2、及びCu(ClO4)2が挙げられる。ある実施態様では、ルイス酸はAlCl3である。
【0033】
ある実施態様では、還元試薬は、遷移金属触媒の存在下で、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、粉末状のFe、TiCl3、SnCl2、ヒドラジン、及び水素からなる群から選択される。ある実施態様では、還元試薬はTiCl3である。ある実施態様では、還元試薬は粉末状のFeである。ある実施態様では、還元試薬は、遷移金属触媒の存在下で水素である。ある実施態様では、還元試薬はSnCl2である。
【0034】
ある実施態様では、遷移金属触媒は、パラジウム、ニッケル、及び白金からなる群から選択される。
【0035】
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、式(4)の化合物(式中、Rは、C1〜C6アルキルである)又はその塩を調製するためのプロセスである。ある実施態様では、このプロセスは、式(3)の化合物:
【化14】

又はその塩を、酸の存在下又は非存在下で、約0から約140℃の温度で約1から約24時間、アルコールと反応させることを含む。
【0036】
ある実施態様では、アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノールなどの、低級アルキルアルコールからなる群から選択される。ある実施態様では、アルコールはメタノールである。ある実施態様では、HClなどの無機酸及び酢酸又はトリフルオロ酢酸などの有機酸が使用される。ある実施態様では、酢酸が使用される。
【0037】
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、式(3)の化合物を調製するためのプロセスである。ある実施態様では、この方法は、式(2)の化合物:
【化15】

を、不活性な溶媒中で、塩基及び水捕捉剤(water scavenger agent)の存在下で、約0℃から約140℃の温度で約1から約24時間、1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-カルバルデヒドと反応させることを含む。
【0038】
ある実施態様では、塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化カリウム、及び水素化ナトリウムなどの、無機塩基;又は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアミノピリジン、ルチジン、イミダゾール、及びピペリジンなどの、有機塩基;から選択される。ある実施態様では、塩基は有機塩基である。ある実施態様では、塩基はトリエチルアミンである。
【0039】
ある実施態様では、水捕捉剤(water scavenger)は、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、分子ふるい、及び酸無水物からなる群から選択される。ある実施態様では、水捕捉剤は無水酢酸である。
【0040】
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、式(5)の化合物を製造する方法である。この方法は、式(9)の化合物:
【化16】

又はその塩の、不活性な溶媒中での還元試薬の存在下での反応を実施することを含む。ある実施態様では、還元試薬は粉末状のFeである。ある実施態様では、還元試薬は水素化ホウ素ナトリウムである。ある実施態様では、還元試薬は、遷移金属触媒の存在下で水素である。ある実施態様では、遷移金属触媒はパラジウム炭素である。
【0041】
ある実施態様では、式(9)の化合物は、式(10)の化合物:
【化17】

(式中、Rは、C1〜C6アルキルである)又はその塩に転換される。このケースでは、式(10)の化合物は、還元試薬を用いて、式(5)の化合物にさらに還元される。
【0042】
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、式(9)の化合物を製造するための方法である。ある実施態様では、このプロセスは、式(4)の化合物:
【化18】

又はその塩を、不活性な溶媒中で、アルドール縮合脱水条件(これには、それだけには限らないが、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、リチウムジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、及びプロリンから選択される塩基を使用することが含まれる)下で、約0から約140℃の温度で約1から約60時間、1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-カルバルデヒドと反応させることを含む。ある実施態様では、塩基はL-プロリンであり、不活性な溶媒はメタノールとジクロロメタンとの混合物である。ある実施態様では、溶媒はDMSOである。
【0043】
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、式(8)の化合物:
【化19】

又はその塩を、不活性な溶媒中で、約0℃から約140℃の温度で約1から約24時間、塩基と反応させることを含む、式(1)の化合物を調製する代替方法である。ある実施態様では、塩基は水素化ナトリウムである。ある実施態様では、塩基は炭酸セシウムであり、溶媒はテトラヒドロフランである。ある実施態様では、反応温度は約50から約60℃である。
【0044】
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、式(8)の化合物又はその塩を調製するためのプロセスである。ある実施態様では、この方法は、式(7)の化合物:
【化20】

又はその塩を、不活性な溶媒中で、約0℃から約140℃で約1から約48時間、4-フルオロベンズアルデヒドと反応させることを含む。ある実施態様では、溶媒はアセトニトリルである。
【0045】
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、式(3)の化合物:
【化21】

又はその塩を、酸の存在下で、不活性な溶媒中で、約0℃から約140℃の反応温度で約1から約48時間、ヒドラジン一水和物と反応させることを含む、式(7)の化合物又はその塩を調製するための方法である。ある実施態様では、溶媒はテトラヒドロフランであり、酸は酢酸である。
【0046】
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、式(9)の化合物:
【化22】

又はその塩の、不活性な溶媒中での約0から約140℃の温度での約1から約48時間の、ヒドラジン一水和物との反応を実施することを含む、式(1)の化合物を調製する代替方法である。ある実施態様では、不活性な溶媒はアルコールである。ある実施態様では、アルコールはメタノールである。
【0047】
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、式(1)の化合物のキラルクロマトグラフィー分割を実施することを含む、式(1a)又は(1b)の鏡像異性体を製造するプロセスである。
【化23】

【0048】
ある実施態様では、キラルクロマトグラフィー分割は、キラル固定相上での分取HPLC、分取超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、又は疑似移動床クロマトグラフィー(SMB)を用いることを含む。ある実施態様では、キラル分割は、CHIRALPAK AD又はIAカラムと移動相としてのCO2/MeOH又はCO2/EtOHとを使用するSFCによって達成される。
【0049】
本明細書で提供されるのはまた、式(6a)又は(6b)の鏡像異性体:
【化24】

(式中、Rは、C1〜C6アルキルである)をヒドラジン一水和物で処理することを含む、式(1a)又は(1b)の鏡像異性体を製造するためのプロセスでである。ある実施態様では、この反応は、不活性な溶媒中で、約0から約140℃の温度で約1から約24時間行う。ある実施態様では、不活性な溶媒はアルコールである。ある実施態様では、該溶媒はメタノール又はエタノールである。
【0050】
本明細書で提供されるのはまた、キラルクロマトグラフィー分割を使用する、式(5)の化合物:
【化25】

の分割を含む、式(6a)又は(6b)の鏡像異性体を製造するための方法である。
【0051】
ある実施態様では、式(5)の化合物のキラルクロマトグラフィー分割は、キラル固定相上での分取HPLC、分取超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、又は疑似移動床クロマトグラフィー(SMB)を用いることを含む。ある実施態様では、キラル分割は、CHIRALPAK ICカラムと移動相としてのCO2/MeOHとを使用するSFCによって達成される。ある実施態様では、キラル分割は、CHIRALPAK ICカラムと移動相としてのアセトニトリルとを使用するSMBによって達成される。
【実施例】
【0052】
以下の実施例は、本明細書に開示する種々の実施態様の実例と意図される。ある実施態様では、本発明化合物は、様々な合成経路によって調製される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではないし、本発明の範囲を限定すると解釈するべきでもない。本明細書に引用するすべての刊行物、特許、及び特許出願の内容全体を、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込む。
【0053】
(実施例1)
(Z)-6-フルオロ-3-((1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)メチレン)-4-ニトロイソベンゾフラン-1(3H)-オン(3)
【化26】

冷却装置、自動撹拌装置、熱電対、及び窒素出/入口を備えた80Lジャケット付きガラス反応器に、15〜25℃で、無水2-メチル-テトラヒドロフラン(22.7kg)、6-フルオロ-4-ニトロイソベンゾフラン-1(3H)-オン(2)(2.4kg、12.2mol、1.00当量)、及び2-メチル-2H-1,2,4-トリアゾール-3-カルバルデヒド(GCによるジクロロメタン中の濃度49.6〜52.6%、3.59〜3.38kg、16.0mol、1.31当量)を連続的に装入した。上の反応混合物に、トリエチルアミン(1.50kg、14.8mol、1.21当量)を装入した。反応混合物を、さらに10分間撹拌した。上の反応混合物に、無水酢酸(9.09〜9.10kg、89.0〜89.1mol、7.30当量)を、室温で20〜30分かけて装入した。反応混合物を、周囲温度から還流温度(85〜95℃)まで80〜90分間加熱し、この混合物を、さらに70〜90分間還流させた。この反応混合物を、HPLCによってモニタリングし、化合物(2)が≦5%まで減少したことが示された。得られたスラリーを5〜15℃に150〜250分間冷却した。このスラリーを、5〜15℃でさらに80〜90分間ねかせた。このスラリーを濾過し、湿ったケークを酢酸エチル(2L×3)で洗浄した。この湿ったケークを、真空中で、40〜50℃で8時間乾燥させて、黄色固体として2.65〜2.76kgの(Z)-6-フルオロ-3-((1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチレン)-4-ニトロイソベンゾフラン-1(3H)-オン(3)が与えられた(2.66kg、収率:75.3%、純度:98.6〜98.8% HPLCによる)。
【化27】

【0054】
(実施例2)
5-フルオロ-2-(2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アセチル)-3-ニトロ安息香酸メチル(4)
【化28】

(実施例2A)
(Z)-6-フルオロ-3-((1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチレン)-4-ニトロイソベンゾフラン-1(3H)-オン(3)(177g、0.6mol、1.0当量)と、HCl(メタノール中2N、3L、6mol、10当量)を、自動撹拌装置、温度計、及び出/入口を備えた5L 3頸フラスコに装入した。反応混合物を、室温で25時間撹拌した。この反応混合物を、HPLCによってモニタリングし、化合物(3)が0.8%残存していることが示された。この反応混合物を、真空中で、乾燥するまで40℃で濃縮し、黄色固体として5-フルオロ-2-(2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アセチル)-3-ニトロ安息香酸メチル・塩酸塩(4)を得た(201g、収率:93.4%)。これを、さらなる精製を行わずに次のステップに使用した。
【化29】

【0055】
(実施例2B)
実施例2Aに例示した手順に代わる仕上げ手順は次の通りである。反応混合物を乾燥するまで蒸発させる代わりに、2体積に濃縮し、それに続いて、12体積のTHF、次いで12体積のヘプタンを用いて溶媒交換を行った。このスラリー混合物を2体積に濃縮し、濾過して該生成物が与えられた。このようにして、1.8キログラムの(Z)-6-フルオロ-3-((1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチレン)-4-ニトロイソベンゾフラン-1(3H)-オン(3)によって、2.15キログラム(収率96.4%)の該生成物5-フルオロ-2-(2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アセチル)-3-ニトロ安息香酸メチル・塩酸塩(4)が与えられた。
【0056】
(実施例3)
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸メチル(5)
【化30】

(実施例3A)
溶媒テトラヒドロフラン(30mL)とMeOH(5mL)との混合物に、5-フルオロ-2-(2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アセチル)-3-ニトロ安息香酸メチル(4)(5g、15.5ミリモル、1当量)と4-フルオロベンズアルデヒド(3.6g、29ミリモル、1.87当量)とを入れた懸濁液に、塩化チタン(III)(2N塩酸の20% w/w溶液)(80mL、6当量)を、室温で撹拌しながら滴加した。反応混合物を、30〜50℃で2時間撹拌させた。次いで、この混合物を、水(160mL)で希釈し、得られた溶液を、酢酸エチル(100mL×4)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NaHCO3(50mL×3)及びNaHSO3水溶液(100mL×3)で洗浄し、Na2SO4によって乾燥させ、乾燥するまで濃縮した。これによって未精製の固体が提供され、これを石油エーテル(120mL)で洗浄して、黄色固体として表題化合物を得た(5.9g、収率: 95%、純度: 97%)。
【化31】

【0057】
(実施例3B)
実施例3Aに例示した手順に代わる仕上げ手順は次の通りである。反応の完了後、混合物を、水で希釈せずに酢酸イソプロピル(20体積×4)で抽出した。この生成物を、ヘプタンを用いる酢酸イソプロピルの溶媒交換、それに続くMTBEを用いる再スラリー化及び濾過によって単離した。このようにして、3キログラムの5-フルオロ-2-(2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アセチル)-3-ニトロ安息香酸メチル(4)によって、2.822キログラムの表題化合物(5)が提供された(収率81%)。
【0058】
(実施例3C)
メタノール(0.75mL)とテトラヒドロフラン(4.5mL)に、5-フルオロ-2-(2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アセチル)-3-ニトロ安息香酸メチル(4)(580mg、2ミリモル)と4-フルオロベンズアルデヒド(488mg、4ミリモル)とを入れた撹拌溶液に、濃HCl溶液(w/w 37%、6mL)を加え、次いで、この反応系に、粉末状の還元Fe(672mg、12ミリモル)をゆっくりと加えた。添加が完了した後、得られた混合物を60℃に加熱し、3時間この温度に維持した。LC-MSによってモニタリングされる通りの出発材料(4)の消失後、反応混合物を酢酸エチル(30mL)と水(30mL)とに分配し、水相を酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)によって精製し、淡黄色固体として表題化合物(5)が与えられた(300mg、収率40%)。
【化32】

【0059】
(実施例3D)
メタノール(0.75mL)とテトラヒドロフラン(4.5mL)に、5-フルオロ-2-(2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アセチル)-3-ニトロ安息香酸メチル(4)(580mg、2ミリモル)と4-フルオロベンズアルデヒド(488mg、4ミリモル)とを入れた撹拌溶液に、SnCl2(2.28g、12ミリモル)と濃HCl(w/w 37%、6mL)を加え、得られた混合物を、出発材料(4)の消失と該生成物の約50%形成がLC-MSによって示されるまで、45℃で3時間反応させた。次いで、この混合物を、酢酸エチル(30mL)と水(30mL)とに分配し、水相を酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)によって精製し、淡黄色固体として表題化合物(5)が与えられた(10mg、収率1.3%)。
【化33】

【0060】
(実施例3E)
メタノール(20mL)と酢酸(1mL)に、5-フルオロ-2-(2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アセチル)-3-ニトロ安息香酸メチル(4)(580mg、2ミリモル)と4-フルオロベンズアルデヒド(488mg、4ミリモル)とを入れた溶液を、触媒量の10% Pd/C(212mg、0.2ミリモル)の存在下で、水素(1バール)下で室温で24時間撹拌した。反応が完了した後、Celiteのパッドを通過させる濾過によって触媒を除去し、溶媒を真空中で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)によって精製し、淡黄色固体として表題化合物(5)が与えられた(63mg、収率8%)。
【化34】

【0061】
(実施例4)
5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(1)
【化35】

7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸メチル(5)(150g、0.38mol、1.0当量)とメタノール(1.7L)を、自動撹拌装置、温度計、及び出/入口を備えた3L 3-頸フラスコに装入した。得られた懸濁液を室温で15分間撹拌した。上の反応混合物に、30分以内に、周囲温度で、ヒドラジン水和物(85%の純度、78.1g、1.33mol、3.5当量)を液滴として装入した。この反応混合物を室温で終夜撹拌した。この反応を、HPLCによってモニタリングし、約2%の化合物(5)が残っていることが示された。得られたスラリーを濾過した。この湿ったケークをメタノール(2L)に懸濁し、室温で3時間撹拌した。上のスラリーを濾過し、湿ったケークをメタノール(0.5L)で洗浄した。次いで、湿ったケークを真空中で45〜55℃で12時間乾燥させた。これによって、淡黄色固体として表題化合物が提供された(112g、収率:78.1%、純度:95.98% HPLCによる)。
【化36】

【0062】
(実施例5)
5-アミノ-7-フルオロ-4-((1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン
【化37】

6-フルオロ-3-((1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチレン)-4-ニトロイソベンゾフラン-1(3H)-オン(3)(4.0g、135ミリモル)のTHF(100mL)溶液に、室温で、窒素雰囲気中で、ヒドラジン一水和物(85%)(6mL)を加えた。この混合物を2時間撹拌し、次いで酢酸(6mL)を加え、この混合物を加熱して18時間60℃に維持した。得られた混合物を水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、乾燥するまで蒸発させ、黄色固体(1.6g、収率42%)として表題化合物を提供した。LC-MS(ESI) m/z: 275(M+1)+.
【0063】
(実施例6)
(E)-7-フルオロ-5-(4-フルオロベンジリデンアミノ)-4-((1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン
【化38】

5-アミノ-7-フルオロ-4-((1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(7)(1.6g、5.8ミリモル)のアセトニトリル(50mL)懸濁液に、4-フルオロベンズアルデヒド(2.2g、17.5ミリモル)を加えた。この混合物を、還流下で窒素下で48時間撹拌した。沈殿を濾過し、溶媒の混合物(酢酸エチル/ヘキサン、1:1、10mL)で洗浄した。これによって、真空中で乾燥させた後、黄色固体として表題化合物が提供された(1.2g、収率52%)。LC-MS(ESI) m/z: 381(M+1)+.
【0064】
(実施例7)
5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(1)
【化39】

(E)-7-フルオロ-5-(4-フルオロベンジリデンアミノ)-4-((1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(8)(2.0g、5.3ミリモル)のTHF(80mL)懸濁液に、炭酸セシウム(3.4g、10.6ミリモル)を加えた。反応混合物を55℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。この混合物を、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、乾燥するまで蒸発させ、白色固体として表題化合物を提供した(1.6g、収率80%)。
【化40】

【0065】
(実施例8)
5-フルオロ-2-(3-(4-フルオロフェニル)-2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アクリロイル)-3-ニトロ安息香酸(E)-メチル(9)
【化41】

5-フルオロ-2-(2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アセチル)-3-ニトロ安息香酸メチル(4)(580mg、2ミリモル)と4-フルオロベンズアルデヒド(488mg、4ミリモル)とをジメチルスルホキシド(2mL)に入れた撹拌溶液に、L-プロリン(230mg、2ミリモル)を加えた。得られた混合物を、撹拌しながら48時間45℃に維持した。次いで、この反応系を、酢酸エチル(50mL)と水(30mL)とに分配し、有機相を水(20mL×3)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:3)によって精製し、淡黄色の泡として表題化合物(9)が与えられた(340mg、収率40%)。
【化42】

【0066】
(実施例9)
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-1-ヒドロキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸メチル(10)
【化43】

5-フルオロ-2-(3-(4-フルオロフェニル)-2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アクリロイル)-3-ニトロ安息香酸(E)-メチル(9)(200mg、0.467ミリモル)のメタノール(20mL)溶液に、10% Pd/C(24mg)を加えた。添加後、混合物を、H2(1気圧)下で、室温で0.5時間撹拌した。次いで、この反応系を濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)によって精製し、オフホワイトの泡として表題化合物(10)(110mg、収率57%)が与えられた。
【化44】

【0067】
(実施例10)
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸メチル(5)
【化45】

7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-1-ヒドロキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸メチル(10)(41.4mg、0.1ミリモル)をメタノール(5mL)に入れた撹拌溶液に、濃HCl溶液(w/w 37%、1mL)と粉末状の還元Fe(56mg、1ミリモル)を加えた。反応混合物を3時間還流させた。LC-MSによってモニタリングされる通りの化合物(10)の消失後、この反応系を、酢酸エチル(20mL)と水(20mL)とに分配し、次いで、酢酸エチル(10mL×3)で水相を抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)によって精製し、淡黄色固体として表題化合物(5)が与えられた(12mg、収率30%)。
【化46】

【0068】
(実施例11)
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸メチル(5)
【化47】

5-フルオロ-2-(3-(4-フルオロフェニル)-2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アクリロイル)-3-ニトロ安息香酸(E)-メチル(9)(214mg、0.5ミリモル)のメタノール(5mL)溶液に、濃HCl溶液(w/w 37%、1mL)を加え、次いで、この反応系に、還元Fe粉末(140mg、2.5ミリモル)をゆっくりと加えた。添加が完了した後、得られた混合物を、24時間還流させた。次いで、反応混合物を濾過し、濃縮し、飽和NaHCO3(20mL)で中和し、酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。残渣をクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)によって精製し、オフホワイトの泡として表題化合物(5)(30mg、収率15%)が与えられた。
【化48】

【0069】
(実施例12)
(8R,9S)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(1a)及び(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(1b)
【化49】

5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(1)(52.5g)のキラル分割を、CHIRALPAK IAカラムと移動相としてのCO2/メタノール/ジエチルアミン(80/30/0.1)とを使用する超流体(super-fluid)クロマトグラフィー(SFC)ユニット上で実施した。これによって、CHIRALPAK IA 0.46cm×15cmカラムと移動相としての流速2g/分のCO2/メタノール/ジエチルアミン(80/30/0.1)とを用いて分析した場合に保持時間が7.9分(23.6g、回収率90%、>98% ee)と9.5分(20.4g、回収率78%、>98% ee)である2つの鏡像異性体が提供された。
【0070】
(実施例13)
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸(2R,3R)-メチル(6a)及び7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸(2S,3S)-メチル(6b)
【化50】

(実施例13A)
化合物(5)のキラル分割を、移動相として流速65g/分のCO2/MeOH(80/20)を使用する、CHIRALPAK(登録商標)IC 3cm(I.D.)×25cm、5μmカラムを用いるSFCユニット上で、35℃のカラム温度を維持しながら、かつ254nmの検出UV波長を用いて実施した。このようにして、メタノール溶液中の化合物(5)のラセミ体(5g)が分割されて、CHIRALPAK(登録商標)IC 0.46cm×15cmカラムと移動相としての流速2mL/分のCO2/MeOH(80/20)とを使用して分析した時に保持時間がそれぞれ2.35分(2.2g、88%回収率、>98% ee)と4.25分(2.3g、92%回収率、>98% ee)である2つの鏡像異性体がもたらされた。
【0071】
(実施例13B)
化合物(5)のキラル分割を、移動相として流速200mL/分のCO2/MeOH(75/25)を使用する、CHIRALPAK(登録商標)IC 5cm(I.D.)×25cm、5μmカラムを用いるSFCユニット上で、40℃のカラム温度を維持しながら、かつ255nmの検出UV波長を用いて実施した。このようにして、メタノール溶液中の化合物(5)(1.25kg)のラセミ体が分割されて、約83%の収率及び97.4%の純度で、2つの鏡像異性体がもたらされた。
【0072】
(実施例13C)
あるいは、分離は、CHIRALPAK(登録商標)ICカラムと移動相としてのアセトニトリルとを用いる疑似移動床(SMB)ユニット上で達成することもできる。2つの鏡像異性体の保持時間は、それぞれ3.3及び4.1分である。ある実施態様では、生産性は、6kg供給/日/kg(キラル固定相)を超えることができる。
【0073】
(実施例14)
(8R,9S)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(1a)及び(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(1b)
【化51】

(実施例14A)
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸(2R,3R)-メチル(6a)又は7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸(2S,3S)-メチル(6b)(400mg、1.0ミリモル)のエタノール(8.0mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(85%、2.0mL)を加え、この溶液を、室温で2時間撹拌した。次いで、得られた溶液を、2mLの体積に濃縮し、濾過し、生じたケークをエタノール(1mL)で洗浄した。これによって、真空中で50℃で乾燥させた後、白色固体として表題化合物が提供された(209mg、収率55%)。
【化52】

【0074】
(実施例14B)
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸(2R,3R)-メチル(6a)又は7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボン酸(2S,3S)-メチル(6b)(446g)のアセトニトリル(10体積)溶液に、ヒドラジン一水和物(2.9当量)を加え、この溶液を、室温で2時間撹拌した。次いで、得られた溶液を、2mLの体積に濃縮し、濾過した。未精製の生成物を、15〜16℃の水(3〜5体積)で再スラリー化した。これによって、真空中で50℃で乾燥させた後、白色固体として表題化合物が提供された(329g、収率77%、純度99.93%)。
【化53】

【0075】
本明細書で、いくつかの実施態様を記述してきた。しかし、本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに様々な改変を行うことができることを理解するべきである。したがって、他の実施態様も、以下の特許請求の範囲の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物:
【化1】

又はその塩を製造する方法であって、
式(5)の化合物
【化2】

(式中、RはC1〜C6アルキルである)又はその塩を、ヒドラジン一水和物と反応させること
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記式(5)の化合物又はその塩が、式(4)の化合物:
【化3】

(式中、RはC1〜C6アルキルである)又はその塩を、還元試薬及び酸又はルイス酸の存在下で、4-フルオロベンズアルデヒドと反応させることによって製造される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記還元試薬が、金属ハロゲン化物である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記金属ハロゲン化物が、TiCl3又はSnCl2である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記還元試薬が、粉末状のFeである、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記還元試薬が、金属触媒の存在下で、水素である、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記金属触媒が、パラジウム、ニッケル、及び白金からなる群から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記還元試薬がMCNBH3(式中、Mは、Li、Na、K、及びBu4Nからなる群から選択される)である、請求項2記載の方法。
【請求項9】
前記酸が、HCl、HBr、HI、H2SO4、及びH3PO4からなる群から選択される無機酸である、請求項2記載の方法。
【請求項10】
前記酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、及びメチルスルホン酸からなる群から選択される有機酸である、請求項2記載の方法。
【請求項11】
前記ルイス酸が、AlCl3、TiCl4、SnCl4、及びZnCl2からなる群から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項12】
前記式(4)の化合物又はその塩が、式(3)の化合物:
【化4】

(式中、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びイソブチルからなる群から選択される)又はその塩を、酸の存在下で、R-OHで処理することによって製造され;該酸が、HCl、酢酸、p-トルエンスルホン酸、及びトリフルオロ酢酸からなる群から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項13】
前記式(3)の化合物又はその塩が、式(2)の化合物:
【化5】

を、1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-カルバルデヒドと、縮合条件下で反応させることによって製造される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記縮合条件が、約80から約90℃の温度で水捕捉剤の存在下で塩基を使用することを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記塩基がトリエチルアミンであり、前記水捕捉剤が無水酢酸である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
式(1)の化合物:
【化6】

又はその塩を製造する方法であって、式(8)の化合物:
【化7】

又はその塩を塩基と反応させること
を含む、前記方法。
【請求項17】
前記塩基が、金属炭酸塩又は金属水素化物である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記金属炭酸塩が、Na2CO3、K2CO3、及びCs2CO3からなる群から選択される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記金属水素化物が、NaH又はKHである、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記化合物(8)又はその塩が、式(7)の化合物:
【化8】

又はその塩を、4-フルオロベンズアルデヒドと反応させることによって製造される、請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記式(7)の化合物又はその塩が、式(3)の化合物:
【化9】

又はその塩を、ヒドラジン一水和物と、酸の存在下で反応させることによって製造される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記酸が、酢酸、トリフルオロ酢酸、HCl、及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記式(5)の化合物又はその塩が、式(9)の化合物:
【化10】

(式中、Rは、C1〜C6アルキルである)又はその塩を、還元試薬と、不活性な溶媒中で、約0から約140℃の温度で約1から約48時間反応させることによって製造される、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記還元試薬が、水素化ホウ素金属である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記水素化ホウ素金属が、NaBH4又はNaCNBH3である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記還元試薬が、粉末状のFeである、請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記還元試薬が、TiCl3又はSnCl2である、請求項23記載の方法。
【請求項28】
前記還元試薬が、遷移金属の存在下で、水素である、請求項23記載の方法。
【請求項29】
前記遷移金属が、パラジウム、ニッケル、及び白金からなる群から選択される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記式(5)の化合物又はその塩が、式(10)の化合物:
【化11】

(式中、Rは、C1〜C6アルキルである)又はその塩を還元試薬と反応させることによって製造される、請求項1記載の方法。
【請求項31】
前記還元試薬が、粉末状のFeである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記還元試薬が、水素化ホウ素金属である、請求項30記載の方法。
【請求項33】
前記水素化ホウ素金属が、NaBH4である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記還元試薬が、遷移金属の存在下で、水素である、請求項30記載の方法。
【請求項35】
前記遷移金属が、パラジウム、ニッケル、及び白金からなる群から選択される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記式(10)の化合物又はその塩が、式(9)の化合物:
【化12】

(式中、Rは、C1〜C6アルキルである)又はその塩を還元試薬と反応させることによって製造される、請求項30記載の方法。
【請求項37】
前記還元試薬が、周囲温度で大気圧下で、水素である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
式(1a)又は(1b)の化合物:
【化13】

又はその塩を製造する方法であって、式(1)の化合物:
【化14】

のキラルクロマトグラフィー分割を含む、前記方法。
【請求項39】
前記キラル分割が、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)ユニットによって達成される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
キラル固定相の使用をさらに含み、ここで、該キラル固定相がCHIRALPAKカラムである、請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記CHIRALPAKカラムが、AD、IA、OJ、及びODカラムからなる群から選択される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
移動相の使用をさらに含み、ここで、該移動相がCO2及びアルコールを含み、ここで、該アルコールがMeOH又はEtOHである、請求項38記載の方法。
【請求項43】
式(1a)又は(1b)の化合物:
【化15】

又はその塩を製造する方法であって、式(6a)又は(6b)の化合物:
【化16】

(式中、Rは、C1〜C6アルキルである)又はその塩をヒドラジンとアルコール中で反応させることを含む、前記方法。
【請求項44】
式(6a)又は(6b)の化合物が、式(5)の化合物:
【化17】

のキラルクロマトグラフィー分割を実施することによって製造される、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記キラル分割が、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)ユニットを用いて達成される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
キラル固定相の使用をさらに含み、ここで、該キラル固定相がCHIRALPAKカラムである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記CHIRALPAKカラムが、IC又はAYカラムである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
移動相の使用をさらに含み、ここで、該移動相がCO2及びMeOHを含む、請求項45記載の方法。
【請求項49】
前記キラル分割が、疑似移動床クロマトグラフィー(SMB)ユニットを用いて達成される、請求項44記載の方法。
【請求項50】
キラル固定相の使用をさらに含み、ここで、該キラル固定相がCHIRALPAKカラムである、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記CHIRALPAKカラムが、ICカラムである、請求項50記載の方法。
【請求項52】
移動相の使用をさらに含み、ここで、該移動相がアセトニトリルである、請求項49記載の方法。
【請求項53】
下記からなる群から選択される化合物:
【化18】

(式中、Rは、C1〜C6アルキルである)。

【公表番号】特表2013−518910(P2013−518910A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552143(P2012−552143)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2011/023965
【国際公開番号】WO2011/097602
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(509193898)ビオマリン プハルマセウトイカル インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】