説明

ジョイスティック装置

【課題】従来例の装置では、スティックレバーの長さが固定されていて、スティックレバーの押圧力を変更できる構造となっていなかった。そのため、ユーザーからの要望で押圧力の強弱調整や長さ調整等を行うためには、スプリングやレバー等の交換を要し、大掛かりな改造作業が必要であった。
【解決手段】一端に操作ノブ12が取り付けられ且つ他端に可変抵抗器75の回転軸77が連結される操作軸21と、ホルダ16と、ケース体14と、コイルバネ15と、軸方向力調整部16と、を設けた。ホルダ16は操作軸を軸方向へ移動可能に支持し、ケース体14は操作軸の軸方向と直交する方向に延在する回動軸部を回動中心としてホルダを回動可能に支持する。コイルバネ15は操作軸を軸方向へ付勢し、軸方向力調整部16はコイルバネの付勢力を変化させることにより操作軸を軸方向へ移動させるための押圧力を調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のコントロール機器に使用されるジョイスティック装置に関し、特に、操作ノブの軸方向への押圧力や前後方向への旋回力等の操作力(重さ)やストローク(移動)を調整可能なジョイスティック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、この種のジョイスティック装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、ゲーム機の操作等において制御信号の生成に用いることができるスティックレバーユニットに関するものが記載されている。この特許文献1に記載されたスティックレバーユニット(以下「第1の従来例」という。)は、固定部材と、その固定部材に設けられた第1可変抵抗器と、第1回動部材とを備えている。第1可変抵抗器は、抵抗値を変化させる回動操作部として貫通孔を有する回転体を備えている。また、第1回動部材は、スティックレバーを有し且つ固定部材に回動自在に軸支されて第1可変抵抗器を回動制御するもので、第1可変抵抗器の貫通孔に挿入されて回転体に連結される回転軸を備えている、ことを特徴としている。
【0003】
また、従来のジョイスティック装置の他のとしては、例えば、特許文献2に記載されているようなものもある。特許文献2には、複数のボリューム調整機能とスイッチング動作機能を備えたジョイスティック装置に関するものが記載されている。この特許文献2に記載されたジョイスティック装置(以下「第2の従来例」という。)は、ジョイスティックレバーと、操作摘子部と、可変抵抗器と、スイッチ付可変抵抗器と、操作筒体と、を備えている。ジョイスティックレバーはコントロール機器内に設けられた基軸に回動可能に軸支され、操作摘子部はジョイスティックレバーの先端に設けられている。可変抵抗器はジョイスティックレバーの回動によってボリューム調整を行うもので、コントロール機器内に設けられている。スイッチ付可変抵抗器は、操作軸の軸回転操作によってボリューム調整を行うと共に軸方向の押し込み操作によってスイッチング動作を行うことができ、操作摘子部内に設けられている。また、操作筒体は、回転操作部と押し込み操作部とを有し、操作摘子部においてスイッチ付可変抵抗器の操作軸に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−128620号公報
【特許文献2】特開2004−310299号公報
【0005】
しかしながら、上述した第1の従来例の場合には、スティックレバーの軸方向の長さが一定とされていて、軸方向の長さを調整できるものではなかった。即ち、スティックレバーの軸方向の長さは寸法管理によって決まる値であり、寸法管理にバラツキがある場合には、そのバラツキのある状態のまま、ユーザーの使用に供されていた。そのため、ユーザーの好みによってスティックレバーの長さを変える場合には、レバー自体の交換が必要となり、大掛かりな改造作業が必要になるばかりでなく、不経済であるという問題があった。
【0006】
また、上述した第2の従来例の場合には、操作摘子部の内部に可変抵抗器を搭載する構造となっており、ジョイスティックレバーの内部にハーネスを通過させてから、そのハーネスの先端を可変抵抗器に半田付けしていた。そのため、メンテナンスや部品交換の際、操作摘子部をジョイスティックレバーから取り外す必要がある場合には、可変抵抗器に半田付けされているハーネスをその都度外す必要があり、作業性が悪いという問題があった。更に、可変抵抗器が操作摘子部の内部に搭載されているため、操作摘子部の重量が重くなっていた。その結果、例えば、業務用カメラの操作等において、IRIS(絞り)値の調整トルクを軽い設定にすると、操作摘子部の重量バランスが崩れ、ジョイスティックレバーが操作摘子部の自重で動いてしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、第1の従来例の場合には、スティックレバーの長さが固定されていて、スティックレバーの押圧力を変更できる構造となっていなかった。そのため、ユーザーからの要望で押圧力の強弱調整や長さ調整等を行うためには、スプリングやレバー等の交換を要し、大掛かりな改造作業が必要になるという点である。また、第2の従来例の場合には、可変抵抗器が操作摘子部の内部に搭載されていて、操作摘子部の重量が重くなっていた。そのため、操作トルクを軽い設定にすると、重量バランスが崩れて、ジョイスティックレバーが操作摘子部の自重で動いてしまうことがあるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のジョイスティック装置は、一端に操作ノブが取り付けられ且つ他端に回転機器の回転部が連結される操作軸と、ホルダと、ケース体と、弾性部材と、軸方向力調整部と、を設けた。ホルダは操作軸を軸方向へ移動可能に支持し、ケース体は操作軸の軸方向と直交する方向に延在する回動軸部を回動中心としてホルダを回動可能に支持する。弾性部材は操作軸を軸方向へ付勢し、軸方向力調整部は、弾性部材の付勢力を変化させることにより操作軸を軸方向へ移動させるための押圧力を調整可能とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明のジョイスティック装置によれば、操作軸(スティックレバー)の押圧力の調整を簡単且つ迅速に行うことができ、ユーザーの好みの操作感(ストローク・重さ)を容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のジョイスティック装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のジョイスティック装置の中央部を縦方向に断面した説明図である。
【図3】図1のジョイスティック装置の図2のX−X線において図2と直交する方向に断面した説明図である。
【図4】図1のジョイスティック装置の図2のY−Y線において図2と直交する方向に断面した説明図である。
【図5】本発明のジョイスティック装置に係るホルダを示す斜視図である。
【図6】本発明のジョイスティック装置に係る第1のケース部材を示す斜視図である。
【図7】本発明のジョイスティック装置に係る第2のケース部材を示す斜視図である。
【図8】本発明のジョイスティック装置に係る第1の支持ブラケットを示す斜視図である。
【図9】本発明のジョイスティック装置に係る第2の支持ブラケットを示す斜視図である。
【図10】本発明のジョイスティック装置に係るトルクバンドを示す斜視図である。
【図11】本発明のジョイスティック装置を使用した電子機器の実施の形態の一例を示すリモートコントロール装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
軸方向力調整部によって弾性部材の付勢力を変化させることにより、操作軸を軸方向へ移動させるための押圧力を容易且つ迅速に調整することができる。これにより、操作軸の押圧力を、ユーザーの好みの大きさに設定することができるジョイスティック装置を、簡単な構成によって実現した。
【実施例】
【0012】
図11は、本発明のジョイスティック装置が使用されている電子機器の実施の形態の一例を示すもので、テレビカメラを遠隔操作するリモートコントロール装置である。このリモートコントロール装置1は、一般的には、テレビカメラの操作卓に取り付けられており、その状態でテレビカメラの遠隔操作に使用されている。
【0013】
リモートコントロール装置1は、長方形の容器からなる筐体2と、筐体2内に収納された図示しない制御装置と、この制御装置を動作させる操作情報を入力させる多数の押圧式スイッチ装置7と、複数のダイヤル装置8と、ジョイスティック装置9等を備えている。筐体2は、上面に開口した容器体4と、この容器体4の上面開口部を閉じる蓋体5と、蓋体5の上面に取り付けられた操作表示板6とを有している。容器体4の開口部には、図示しないが、蓋体5側に突出する位置合わせ用のガイドが設けられている。このガイドにより、蓋体5が容器体4に対して位置合わせされて、被された蓋体5に位置ずれが生じないようにしている。
【0014】
蓋体5は、図示しないが、下面に開口された下開口凹部と、上面に設けられた比較的底の浅い上開口凹部とを有している。下開口凹部内には基板が収納されており、その基板が、ブラケットを介して蓋体5に固定されている。蓋体5の上開口凹部には操作表示板6が装着されており、その操作表示板6は、接着剤等の固着手段によって蓋体5に一体的に固定されている。基板は、蓋体5の下開口凹部の略全体を覆うことができる大きさを有する板状の部材からなり、その一面(若しくは両面)には所定の形状に形成された回路パターンが設けられている。
【0015】
この基板11を用いて蓋体5に、多数の押圧式スイッチ装置7と、複数のダイヤル装置8と、ジョイスティック装置9と、複数の情報表示部10とが設けられている。押圧式スイッチ装置7は、図示しないが、押圧スイッチと、光源と、キートップ部材と、シート部材と、接着ゴム等によって構成されている。押圧スイッチは、一般的なオン・オフスイッチであり、入力部を1度押圧操作すると回路が開かれ(又は閉じられ)、2度目の押圧操作によって回路が閉じられ(又は開かれ)、3度目以降ではその回路の開閉動作が繰り返されるものである。このような押圧スイッチの多数個が、基板の一面の所定位置にそれぞれ実装されている。そして、各押圧スイッチの両側部には、照明用の光を放射する光源としての発光ダイオード(LED)が実装されている。
【0016】
ダイヤル装置8は、基板に固定されたスイッチ部本体と、このスイッチ部本体の回転軸に固定されたダイヤル部とをそれぞれ有している。各スイッチ部本体の回転軸が、蓋体5の上面と操作表示板6とをそれぞれ貫通しており、その回転軸の筐体2の上面から上方へ突出した部分に、それぞれのダイヤル部が固定されている。また、情報表示部10は、例えば、液晶ディスプレイによって構成されており、その表示面が蓋体5の上面と操作表示板6とを貫通して、筐体2の上面に露出されている。
【0017】
ジョイスティック装置9は、テレビカメラのプレビュースイッチのオン・オフ操作と、そのテレビカメラのアイリス(IRIS=絞り)値の調整とを行う装置である。このジョイスティック装置9は、操作レバー(スティックレバー)を軸方向へ所定距離摺動させる軸方向移動機構と、操作軸を前後方向へ所定角度回動させる回動機構とを備えている。操作軸を押圧して軸方向へ所定距離を移動することによりプレビュースイッチがオンされ、その押圧力を解除して操作軸を元の位置に戻すことによりプレビュースイッチがオフされる。また、操作軸を前後方向の一方へ回動することによりアイリス値調整用の可変抵抗器が一方へ回動されてアイリス値が大きく(明るく)なり、操作軸を他方へ回動することにより可変抵抗器が他方へ回動されてアイリス値が小さく(暗く)なる。
【0018】
ジョイスティック装置9は、図1乃至図4に示すような構成を有している。即ち、ジョイスティック装置9は、操作レバー11と操作ノブ12とホルダ13とケース体14とコイルバネ15と軸方向力調整部16とストローク調整部17と回動力調整部18等を備えて構成されている。
【0019】
図1〜図4に示すように、操作レバー11は、断面形状が円形をなす細長い棒状の操作軸21と、この操作軸21が挿通される軸方向穴22が貫通された円筒状の外筒23を有している。外筒23は、操作軸21の軸方向長さよりも短く設定されており、軸方向穴22の両端に嵌合されたブシュ24,24を操作軸21が貫通し、その操作軸21の両端が外部に突出している。従って、操作軸21は、2つのブシュ24,24を介して外筒23に回転自在に支持されている。また、操作軸21の外筒23の両端から突出した部分には止め輪25がそれぞれ装着されており、この2つの止め輪25,25によって操作軸21の軸方向への移動が防止され、軸方向に対しては操作軸21と外筒23が一体的に移動するように構成されている。
【0020】
外筒23は、軸方向の一側に設けた大径部23aと、軸方向の他側に設けた小径部23bとを有している。外筒23の大径部23aの端面側には半径方向外側に展開されたフランジ部23cが設けられており、そのフランジ部23cから端面側の大径部23aには雄ネジを有するネジ部23dが設けられている。このネジ部23dには、後述する第1の支持ブラケットが固定される。操作軸21及び外筒23の材質としては、例えば、スチール鋼やステンレス鋼等が好適である。
【0021】
この操作レバー11の軸方向の一側(外筒23のフランジ部23cと反対側)に操作ノブ12が取り付けられている。図2及び図4に示すように、操作ノブ12は、固定軸体27と回動筒体28と把持筒体29と連結ブラケット31等を有している。固定軸体27は、中央部に軸方向穴32が貫通する円盤状の部材からなり、その軸方向穴32に操作レバー11の外筒23が嵌合されている。このとき、操作軸21は軸方向穴32を貫通し、固定軸体27の端面から外側へ大きく突出されている。固定軸体27には、半径方向に延在されたネジ孔が設けられており、そのネジ孔には固定ネジ33が螺合されている。固定ネジ33は、外筒23の小径部23bに設けた周方向に連続する環状溝34に当接可能とされており、固定ネジ33の締め込みにより固定軸体27が外筒23に固定される。
【0022】
固定軸体27の上に回動筒体28と連結フラケット31が配置され、これらを覆うように把持筒体29が配置されている。回動筒体28は、円柱状の中央軸部28aと、この中央軸部28aと同心に設けられた円筒部28bと、この円筒部28bと中央軸部28aを連結するアーム部28cを有している。回動筒体28の中央軸部28aは、操作軸21よりも直径の大きな円形の軸体からなり、その中央軸部28aの軸心部分には、軸方向の中途部まで延在された軸方向穴35が設けられている。この軸方向穴35に操作軸21の一端が嵌合されていて、中央軸部28aに設けた半径方向に延在するネジ孔に螺合された固定ネジ36の締め込みにより回動筒体28が操作軸21に固定され、回動筒体28と操作軸21が回転方向に一体とされている。
【0023】
回動筒体28の円筒部28bの内径は固定軸体27の外径よりも大径とされており、円筒部28bの穴内に固定軸体27の一部が入り込む形状とされている。アーム部28cは、中央軸部28aの外周面の一部から半径方向外側へ突出するように形成されており、その半径方向外側端部に円筒部28bが連続されている。このアーム部28cには、回動筒体28の回動量を制限するためのストッパ部材37が取付ネジ38によって取り付けられている。また、中央軸部28aの固定軸体27側の端面には、回動筒体28を回動させる際の摩擦力を増加させるトルクゴム41が、両面テープや接着剤等の固定手段によって固定されている。
【0024】
トルクゴム41は、回動筒体28を回動操作する際に適当な摩擦抵抗力を生じさせ、ある程度の操作感を作業者に付与し、操作時の安心感を与えるものである。トルクゴム41の材質としては、例えば、スポンジゴムが好適である。しかしながら、トルクゴム41はスポンジゴムに限定されるものではなく、シリコンゴム等のゴム状弾性体を用いることもできる。また、回動筒体28の中央軸部28aの上端部には、スリーブ42が回転自在に嵌合されている。スリーブ42は、把持筒体29に保持されている。
【0025】
把持筒体29は、円盤状の上面部29aと、この上面部29aの一面側に連続して一体に設けられた円筒状のスカート部29bを有している。把持筒体29の上面部29aの中央部に貫通穴43が設けられており、この貫通穴43にスリーブ42が嵌合されている。スカート部29bの外径は、円筒部28bの最大外径部と同程度の大きさとされており、円筒部28bの一部に小径部を設けることにより、その小径部にスカート部29bの一部が重なり合うように構成している。
【0026】
連結ブラケット31は、把持筒体29と固定軸体27を所定の間隔あけて連結して一体化させるもので、相当の強度が必要とされる。そのため、連結ブラケット31の材質としては、例えば、スチール鋼やステンレス鋼等が好適である。連結ブラケット31はコ字状に形成されており、一端に軸体側固定部31aが設けられ、他端に筒体側固定部31bが設けられていて、軸体側固定部31aと筒体側固定部31bとが連結部31cにより連結され、これらが一体に形成されている。
【0027】
連結ブラケット31の軸体側固定部31aは固定ネジ44によって固定軸体27の端面部に固定され、筒体側固定部31bは固定ネジ45によって把持筒体29の上面部29aの内面に固定されている。また、筒体側固定部31bには位置決め用の凸部46が設けられていると共に、この凸部46に見合う凹部47が上面部29aに設けられている。この凸部46に凹部47を位置合わせすることにより、把持筒体29が固定軸体27に対して所定位置に位置決めされている。
【0028】
操作レバー11は、ホルダ13に対して所定の範囲内で軸方向へ移動可能に支持されている。ホルダ13は、図5に示すような構成を有している。即ち、ホルダ13は、扇形に展開された扇形部13aと、この扇形部13aの下方に連続して形成された筐体部13bと、筐体部13bの一側に連続して形成されたギア部13cとを有している。扇形部13aは、円弧状に湾曲させて形成した外周曲面部48aと、この外周曲面部48aに対して弦となるように対向された内側平面部48bとを有している。外周曲面部48aの円弧方向の中央部には、これを上下方向に貫通する上貫通穴49aが設けられている。また、内側平面部48bの中央部には、同じく上下方向に貫通する下貫通穴49bが設けられている。
【0029】
内側平面部48bの下貫通穴49bには、操作レバー11の外筒23の大径部23aが摺動可能に嵌合されている。また、外周曲面部48aの上貫通穴49aには、外筒23の小径部23bが摺動可能に嵌合されている。外周曲面部48aの上貫通穴49aの外側にはボス部48cが設けられており、そのボス部48cに嵌合されたブシュ51に外筒23の小径部23bが摺動可能に挿通されている。また、内側平面部48bの下には止め板52が、両面テープや接着剤等の固定手段によって固定されている。
【0030】
ホルダ13の筐体部13bは、扇形部13aが延在する方向と直交する方向に所定の隙間をあけて対向設置された正面片53a及び背面片53bと、この正面片53aと背面片53bの一側を連結する側面片53cとを有している。これら正面片53aと背面片53bと側面片53cとで囲まれた空間部に外筒23のフランジ部23cが配置されている。また、正面片53aの略中央部には、外側に突出する円筒状の筒軸受部54と、この筒軸受部54の外側に同心に配置された円筒状の胴固定部55が設けられている。筒軸受部54の穴には枢軸56が嵌合され、その枢軸56は固定ネジ57によってケース体14の第1のケース部材101に固定されている。
【0031】
筐体部13bの背面片53bの略中央部であって、正面片53aの筒軸受部54と対向する位置には、軸受穴を有するボス部58が設けられている。更に、背面片53bのボス部58の上側には、ホルダ13の前後方向への回動量を制限する切欠き部59が設けられている。切欠き部59は、扇形部13a側に延在されて内側平面部48bにまで達しており、その開口部から第2の支持ブラケットの一部が突出されている。ギア部13cは、ボス部58の中心を曲率半径の中心として円弧状に形成されており、後述するダンパ115の従動ギア117と噛合されている。
【0032】
このホルダ13の筐体部13bの正面片53a等で囲まれた空間部に第1の支持ブラケット61が配置されている。そして、扇形部13aの外周曲面部48aと内側平面部48bとの間に第2の支持ブラケット62が配置されている。第1の支持ブラケット61は、図8に示すような構成を有している。第1の支持ブラケット61は、ホルダ16の内側平面部48bに対向される上面部61aと、側面部61b及びスイッチ片61cと、底面部61dと、を有している。側面部61b及びスイッチ片61cは、上面部61aの一辺から90度折り曲げられて連続され、底面部61dは、側面部61bの下辺から90度折り曲げられて連続されている。
【0033】
第1の支持ブラケット61の上面部61aには、外筒23の大径部23aが嵌合される貫通穴63が略中央部に設けられている。更に、上面部61aには、図4に示す第2の調整ネジ72が螺合されるネジ部64と、第1の調整ネジ71のネジ軸部が挿通される挿通孔65と、第1の支持ブラケット61をホルダ13にネジ止めするための透孔66とが設けられている。側面部61bの外面には、板バネ69が配設されている。板バネ69には、外側に円弧状に突出する弾性押圧部69aが設けられている。また、スイッチ片61cは、テレビカメラのプレビュースイッチをオン・オフさせる信号を発生するもので、側面部61bの側方に配置されている。ネジ部64は、内面にネジ溝を有する円筒状のナット部材を上面部61aに設けた穴に圧入することによって一体に形成されている。
【0034】
第1の支持ブラケット61の底面部61dには、基板67が固定ネジ68によってネジ止めされている。基板67には、所定形状に形成された回路パターンが設けられており、その回路パターン上に回転機器の一具体例を示す可変抵抗器75が実装されている。可変抵抗器75は、テレビカメラのIRIS(絞り)値を調整するもので、可変抵抗部が内蔵された抵抗器筐体76と、この抵抗器筐体76の一側から外方に突出された回転軸77と、を有している。回転軸77の先端部は、ホルダ13に支持されている操作レバー11の操作軸21に対向され、カップリング78により連結されて回転方向及び軸方向に一体的に構成されている。カップリング78は2つの固定ネジ79a,79bを有しており、第1の固定ネジ79aによって操作軸21に締付固定され、第2の固定ネジ79bによって回転軸77に締付固定されている。
【0035】
可変抵抗器75が固定された第1の支持ブラケット61は、その上面部61aをロックナット81で外筒23に締め付けることにより操作レバー11と一体的に構成されている。即ち、外筒23の大径部23aのフランジ部23cより先端側が上面部61aの貫通穴63に挿通されていて、その大径部23aに螺合するロックナット81の締込により、第1の支持ブラケット61が外筒23に固定されている。また、上面部61aのネジ部64には、下方から上方に突出する第2の調整ネジ72が螺合されている。第2の調整ネジ72の先端は、ホルダ13の内側平面部48bの下面に固定された止め板52に当接される。この第2の調整ネジ72を回動することにより、止め板52と第1の支持ブラケット61との間隔を広狭調整することができる。
【0036】
第2の支持ブラケット62は、図9に示すような構成を有している。第2の支持ブラケット62は、バネ受片62aと架橋片62bと連結片62cとを有し、全体としてクランク状に形成されている。バネ受片62aは、架橋片62bの一端から一面側へ垂直に延在され、固定片62cは、架橋片62bの他端から他面側へ垂直に延在され、互いに段違いとなるように形成されている。バネ受片62aには貫通穴82が設けられており、その貫通穴82にはブシュ83が嵌合されている。ブシュ83には外筒23の大径部23aが摺動可能に挿通されている。外筒23の大径部23aには、弾性部材の一具体例を示すコイルバネ15が装着されている。コイルバネ15の一端はブシュ83に当接され、その他端はホルダ13の内側平面部48bの上面に着座されており、このコイルバネ15のバネ力によってバネ受片62aが内側平面部48bから離れる方向へ付勢されている。
【0037】
第2の支持ブラケット62の連結片62cには、図2に示す第1の調整ネジ71が螺合されるネジ部85が設けられている。ネジ部85は、内面にネジ溝を有する円筒状のナット部材を連結片62cに設けた穴に圧入することによって一体に形成されている。このネジ部85に下方から、第2の支持ブラケット62の上面部61aに設けた挿通孔65を貫通する第1の調整ネジ71のネジ軸部が螺合されている。この第1の調整ネジ71を回動することにより、第1の支持ブラケット61と第2の支持ブラケット62との間隔を広狭調整することができる。第1の調整ネジ71のネジ軸部の先端には袋ナット86が装着されている。第1の調整ネジ71とコイルバネ15と第1の支持ブラケット61と第2の支持ブラケット62によって軸方向力調整部16が構成されている。そして、第2の調整ネジ72と第1の支持ブラケット61によってストローク調整部17が構成されている。
【0038】
第1の支持ブラケット61及び第2の支持ブラケット62の材質としては、例えば、スチール鋼、ステンレス鋼等の金属が好適である。しかしながら、POMやABS等のエンジニアリングプラスチックを用いることもできる。また、ホルダ16の材質としては、例えば、POMやABS等のエンジニアリングプラスチックを適用することができる。しかしながら、アルミニウム合金等の金属を用いることもできる。
【0039】
図4に示すように、ホルダ13の正面片53aには、操作レバー11の位置を検出する位置検出器88が設けられている。この位置検出器88は、第1の支持ブラケット61に設けたスイッチ片61cを検出することにより、操作レバー11が押し込まれた状態の所定位置を検出し、その検出信号を出力する。この検出信号により、図示しないテレビカメラのプレビュースイッチがオン・オフされる。位置検出器88は、固定ネジ89によって正面片53aに締付固定されている。
【0040】
また、図5に示すように、ホルダ13の正面片53aの胴固定部55には、トルク胴90が一体に設けられている。トルク胴90は、ホルダ16を前後方向へ回動する際に摩擦抵抗力を発生させ、ユーザーの好みに応じた操作感(押圧力)を生じさせるもので、筒軸受部54の穴と同心に形成されている。トルク胴90の材質としては、例えば、黄銅が好適であるが、その他の金属材料を用いることができることは勿論である。このトルク胴90は、例えば、ホルダ13を射出成形する際に、インサート成形によって一体に形成することができる。
【0041】
トルク胴90には、トルクバンド91が締付力を調整可能に装着されている。トルクバンド91は、図10に示すような構成を有している。トルクバンド91は、リング状に形成されたリング部91aと、リング部91aの周方向の両端に設けた第1及び第2の対向片91b,91cと、周方向の中途部に設けた第1及び第2のストッパ片91d、91eとを有している。リング部91aは、略一周近くまで周方向に連続されており、その一端から半径方向外側に第1の対向片91bが延在され、他端から半径方向外側に第2の対向片91cが延在されている。そして、リング部91aの第1の対向片91b側の周方向の中途部に、半径方向外側に突出する第1のストッパ片91dが設けられ、第2の対向片91c側の周方向の中途部に、同じく半径方向外側に突出する第2のストッパ片91eが設けられている。
【0042】
図3に示すように、トルクバンド91の対向片91b,91cは、トルク胴90に組み立てた状態において、トルク胴90の下側に配置される。第1のストッパ片91dは第1のケース部材101に設けた第1の係合片104aに係合され、第2のストッパ片91eは第1のケース部材101に設けた第2の係合片104bに係合される。第1のストッパ片91dには挿通孔92が設けられており、その挿通孔92を貫通し且つ第1の係合片104aに設けたネジ孔に螺合される固定ネジ93によって第1のケース部材101に固定されている。
【0043】
また、トルクバンド91の第1の対向片91bには第3の調整ネジ73が挿通される第1の透孔94aが設けられ、第2の対向片91cには同じく第3の調整ネジ73が挿通される第2の透孔94bが設けられている。更に、第1の対向片91bには、係合爪95を設けることによってナット保持部96が設けられている。ナット保持部96にはナット97が保持され、このナット57に第3の調整ネジ73のネジ軸部が螺合されている。そして、第3の調整ネジ73のネジ軸部の先端には、ネジ軸部の先端を覆い隠すための袋ナット98が装着されている。第3の調整ネジ73とトルクバンド91とトルク胴90とナット97によって回動力調整部18が構成されている。
【0044】
第3の調整ネジ73を締め込み側に回動させ、トルク胴90に対するリング部91aの締付力を強くすることにより、操作レバー11を前後方向へ回動する際の操作力(摩擦抵抗力)を増加させることができる。これに対し、第3の調整ネジ73を緩み側に回動させ、トルク胴90に対するリング部91aの締付力を弱くすることにより、操作レバー11を前後方向へ回動する際の操作力(摩擦抵抗力)を減少させることができる。
【0045】
このように操作レバー11等が組み立てられたホルダ13がケース体14に組み立てられている。ケース体14は、第1のケース部材101と第2のケース部材102とによって構成されている。
【0046】
第1のケース部材101は、図6に示すような構成を有している。第1のケース部材101は、横長の長方形に形成された正面部101aと、この正面部101aの左側面に連続して形成された左側面部101bと、正面部101aの右側面に連続して形成された右側面部101cとを有している。正面部101aの略中央部には、枢軸56の先端部が嵌合される嵌合穴103が設けられている。この嵌合穴103に嵌合された枢軸56の先端面に、外側から固定ネジ57が螺合され、これにより、ホルダ13の正面片53aが第1のケース部材101に回動可能に支持されている。
【0047】
更に、正面部101aの嵌合穴103の両側部には、その一部を内側へ折り出すことによって前述した2つの係合片104a、104bが形成されている。また、左右の側面部101b,101cには、上端部をそれぞれ内側へ折り返すことによって2つの取付片105a、105bがそれぞれ設けられている。また、右側面部101cには、ケース体14の外から第3の調整ネジ73の調整作業が可能なように作業用穴106が設けられている。
【0048】
第2のケース部材102は、図7に示すような構成を有している。第2のケース部材102は、第1のケース部材101の正面部101aに対応させて横長とされた背面部102aと、左側面部102bと、右側面部102cとを有している。左側面部102bは、背面部102aの左側面に連続して形成され、右側面部102cは、背面部102aの右側面に連続して形成されている。背面部101aの中央部であって、正面部101aに設けた嵌合穴103と対応する位置に、内側に突出するセンタピン107が設けられている。センタピン107の軸心線は、第1のケース部材101と第2のケース部材102を組み立てた状態において、枢軸56の軸心線と一致するように構成されている。
【0049】
第2のケース部材102の背面部102aのセンタピン107の上側には、ホルダ13の前後方向への回動角を制限するストッパピン108が設けられている。ストッパピン108は、第1のケース部材101と第2のケース部材102を組み立てた状態において、ホルダ13の筐体部13bに設けた切欠き部59に係合され、その切欠き部59の開口範囲内でホルダ13の回動量を制限している。第2のケース部材102の2つの側面部102b,102cは、第1のケース部材101の2つの側面部101b,101cの一部と重なり合うように構成されている。そして、各側面部101b,102b及び101c、102cの重合部分を複数の固定ネジ110(図1を参照)でネジ止めすることによって着脱可能に組立可能とされている。
【0050】
図3及び図4に示すように、ケース体14には、操作レバー11の操作力の一部を吸収するダンパ115が固定ブラケット116によってネジ止めされている。ダンパ115は従動ギア117を有しており、この従動ギア117がホルダ13のギア部13cに噛合されている。ホルダ13が回動されると、その回動力がギア部13cから従動ギア117に伝達され、従動ギア117の回動によってダンパ115が動作される。ダンパ115は、基板118に搭載されていて、その基板118に設けた回路パターンと電気的に接続されている。
【0051】
上述したような構成を有するジョイスティック装置9は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、外筒23の軸方向穴の両端にブシュ24,24を嵌合氏、それらのブシュ24に操作軸21を挿通させ、外筒23の両端から突出した部分に止め輪25をそれぞれ装着させる。次に、外筒23の大径部23aの先端に第1の支持ブラケット61をロックナット81で締付固定する。そして、基板67に搭載された可変抵抗器75を第1の支持ブラケット61の内側に配置し、カップリング78で操作軸21の一端と可変抵抗器75の回転軸77を連結する。これにより、操作軸21と回転軸77とを同一軸心線上に一致させた状態で操作レバー11と可変抵抗器75が連結される。
【0052】
次に、ホルダ13の扇形部13a内にコイルバネ15を配置すると共に、第2の支持ブラケット62のバネ受片62aをコイルバネ15の上方に臨ませる。次いで、ホルダ13の筐体部13b内に操作レバー11の外筒23の小径部23b側を臨ませ、外筒23を止め板52とホルダ13の内側平面部48bとコイルバネ15とブシュ83を貫通させる。更に、外周曲面部48aのブシュ51を貫通させて、操作軸21及び外筒23の先部をホルダ13の上方に突出させる。
【0053】
この際、筐体部13bの正面片53aの筒軸受部54の穴には枢軸56を挿入しておくようにする。また、第1の支持ブラケット61には板バネ69を取り付けておく。これにより、操作レバー11を所定位置まで挿入すると、板バネ69の弾性押圧部69aが枢軸56の頭部56aに圧接され、第1の支持ブラケット61が背面片53b側に付勢される。
【0054】
次に、第1の支持ブラケット61の上面部61aに設けた挿通孔65に第1の調整ネジ71を挿入し、そのネジ軸部を第2の支持ブラケット62の連結片62cに設けたネジ部85に螺合させる。そして、ネジ軸部の先端をネジ部85の外側に突出させ、その先端に袋ナット86を装着する。これと前後して、上面部61aのネジ部64に第2の調整ネジ72を螺合させ、そのネジ軸部の先端を止め板52に当接させる。次いで、ホルダ13に位置検出器88を取り付ける。次に、ホルダ13に固定されているトルク胴90にトルクバンド91を装着する。このとき、トルクバンド91には第3の調整ネジ73とナット97を取り付けておき、第3の調整ネジ73のネジ軸部の先端には袋ナット98を装着しておくようにする。
【0055】
次に、操作レバー11等が組み立てられたホルダ13にケース体14を組み立てる。即ち、ホルダ13の正面側に第1のケース部材101を臨ませると共に、背面側に第2のケース体102を臨ませる。そして、第1のケース部材101の外側から固定ネジ57を、正面片53aの筒軸受部54に支持されている枢軸56に螺合させる。これにより、ホルダ13の正面側である正面片53aが第1のケース部材101に回動可能に支持される。次いで、第2のケース部材102のセンタピン107をホルダ13の背面片53bに設けたボス部58の穴に嵌合する。このとき、第2のケース部材102のストッパピン108が、ホルダ13の切欠き部59内に挿入される。この状態において、複数(本実施例では3個)の固定ネジ111の締込により、ケース体14を組み立てることができる。
【0056】
次に、操作レバー11の先端に操作ノブ12を取り付ける。これは、まず、外筒23の先端に固定軸体27を嵌合し、固定ネジ33で固定軸体27を外筒23に締付固定する。次いで、回動筒体28にストッパ部材37とトルクゴム41を取り付け、操作軸21の先端に軸方向穴35を差し込み、回動筒体28を操作軸21に装着する。そして、固定ネジ36を締め込むことにより、回動筒体28を操作軸21に固定する。次に、回動筒体28の中央軸部28aにスリーブ42を装着し、連結ブラケット31でスリーブ42を支持すると共に、その連結ブラケット31を固定ネジ44で固定軸体27の上面に締付固定する。
【0057】
次いで、回動筒体28に把持筒体29を被せ、その凹部47を連結ブラケット31の凸部46に係合させて、把持筒体29の位置合わせを行う。その後、固定ネジ45の締込により、把持筒体29が連結ブラケット31に固定される。これにより操作ノブ12の組立が終わり、全ての組立作業が完了する。
【0058】
このように組み立てられるジョイスティック装置9の動作は、次のようなものである。まず、プレビュースイッチをオン・オフする場合について説明する。このプレビュースイッチのオン・オフ操作は、操作ノブ12を軸方向へ押圧することによって実行される。この場合、押圧力が入力される把持筒体29は、連結ブラケット31を介して固定軸体27と剛体的に結合されているため、軸方向へ向かう外力の入力に対しては一体的に移動する。そして、固定軸体27が外筒23に固定されているため、コイルバネ15のバネ力に抗して外筒23がブシュ51等にガイドされて、直接押し込められる。
【0059】
このとき、外筒23の先端に固定されている第1の支持ブラケット61が一体に移動するため、スイッチ片61cが同様に移動し、位置検出器88の検出部を横切る。これにより、操作レバー11が押圧された状態が検出され、その検出信号が位置検出器88から出力される。その結果、プレビュースイッチがオン又はオフされる。
【0060】
また、回動筒体28を回動することにより、可変抵抗器75の抵抗値を大小変化させることができる。この場合、操作ノブ12のうち、固定軸体27と把持筒体29との間に介在された回動筒体28のみが回動可能とされていて、その中央軸部28aに操作軸21が固定ネジ36によって固定されている。そのため、回動筒体28を回すと、操作軸21が一体に回動され、カップリング78を介して連結された可変抵抗器75の回動軸77が同様に回動される。これにより、可変抵抗器75の抵抗値を変化させて、テレビカメラのIRIS値を変化させ、モニタ画面の明るさを調整することができる。
【0061】
このように押圧操作される操作レバー11の押圧力は、軸方向力調整部16の調整作業によって簡単に調整することができる。図2に示すように、軸方向力調整部16の第1の調整ネジ71を回動し、コイルバネ15のバネ力を変えることによって実行される。この場合、第1の調整ネジ71を回して第2の支持ブラケット62を第1の支持ブラケット61に近づけると、コイルバネ15が圧縮されてそのバネ力が強くなる。従って、この場合には、コイルバネ15のバネ力が強くなるため、操作レバー11を押下げるために必要な力が大きくなり、操作感が重くなる。これに対して、第1の調整ネジ71を回して第2の支持ブラケット62を第1の支持ブラケット61から離反させると、コイルバネ15が伸長されてそのバネ力が弱くなる。従って、この場合には、コイルバネ15のバネ力が弱くなるため、操作レバー11を押下げるために必要な力が小さくなり、操作感を軽くすることができる。
【0062】
また、操作レバー11を押下げるストロークは、ストローク調整部17の調整作業によって簡単に調整することができる。図4に示すように、ストローク調整部17の第2の調整ネジ72を回動し、第2の調整ネジ72の突出量を変えることによって実行される。この場合、第2の調整ネジ72を回して第1の支持ブラケット61の上面部61aから上方へ突出する第2の調整ネジ72の突出量を大きく(長く)すると、操作レバー11の全体が降下し、位置検出器88までの距離が近くなる。これにより、操作レバー11の軸方向へストロークを小さくして、早めにプレビュースイッチをオン・オフさせることができる。これに対して、第2の調整ネジ71を回して、上面部61aから上方へ突出する第2の調整ネジ72の突出量を小さく(短く)すると、操作レバー11の全体が上方に持ち上げられ、位置検出器88までの距離が長くなる。これにより、操作レバー11の軸方向へストロークを大きくして、遅めにプレビュースイッチをオン・オフさせることができる。
【0063】
次に、IRIS値を調整する場合について説明する。このIRIS値の調整は、操作ノブ12を前後方向へ回動することによって実行される。即ち、操作レバー11を前側へ倒すことにより、例えば、IRIS値を大きくしてモニタ画面を明るくすることができ、操作レバー11を後側へ倒すことにより、例えば、IRIS値を小さくしてモニタ画面を暗くすることができる。
【0064】
この場合、操作レバー11を前後方向へ回動させる回動力は、回動力調整部18の調整作業によって簡単に調整することができる。図3に示すように、回動力調整部18の第3の調整ネジ73を回動し、トルクバンド91の締付力を変えることによって実行される。この場合、第3の調整ネジ73を回してトルクバンド91によるトルク胴90の締付力を大きく(強く)すると、トルクバンド91とトルク胴90との間の摩擦力が増加される。これにより、操作レバー11を前後方向へ回動させるために必要な力が大きくなり、操作感が重くなる。これに対して、第3の調整ネジ73を回して、トルクバンド91によるトルク胴90の締付力を小さく(弱く)すると、トルクバンド91とトルク胴90との間の摩擦力が減少される。これにより、操作レバー11を前後方向へ回動させるために必要な力が小さくなり、操作感が軽くなる。
【0065】
本発明によれば、操作レバーの全ての動きに対して、調整ネジを回すだけの簡単な作業によって、操作レバー11の押下力と、ストロークと、前後方向への回動力の全てを調整することができる。また、可変抵抗器75を、操作ノブ内ではなく、ホルダ13側に配設する構成としたため、組立作業を容易にすることができ、メンテナンス性を改善することが可能となった。更に、可変抵抗器75に外力が伝わることが無くなったので、外力による可変抵抗器75の破損のおそれをなくすことが可能となった。また、可変抵抗器75を基板に実装する構成としたため、コネクタでの接続が可能となり、面倒な半田付け作業を無くすことができ、組立時の作業性の向上を図ることが可能となった。更に、グリップ内の部品を減らすことにより、グリップを軽量化することが可能となり、IRIS値調整のトルク調整の範囲を増やすことが可能となった。
【0066】
以上説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形実施が可能である。前述の実施例では、電子機器として、ジョイスティック装置を用いたテレビカメラ用のリモートコントロール装置に適用した例について説明したが、例えば、業務用録音機器、音響装置、その他各種の電子機器に適用できるものである。
【符号の説明】
【0067】
1…リモートコントロール装置(電子機器)、 2…筐体、 9…ジョイスティック装置、 11…操作レバー、 12…操作ノブ、 13…ホルダ、 13a…扇形部、 13b…筐体部、 14…ケース体、 15…コイルバネ(弾性部材)、 16…軸方向力調整部、 17…ストローク調整部、 18…回動力調整部、 21…操作軸、 23…外筒、 23a…大径部、 23b…小径部、 27…固定軸体、 28…回動筒体、 28a…中央軸部、 28c…アーム部、 29…把持筒体、 31…連結ブラケット、 48a…外周曲面部、 48b…内側平面部、 52…止め板、 56…枢軸、 59…切欠き部、 61…第1の支持ブラケット、 61c…スイッチ片、 62…第2の支持ブラケット、 71…第1の調整ネジ、 72…第2の調整ネジ、 73…第3の調整ネジ、 75…可変抵抗器、 77…回転軸、 78…カップリング、 88…位置検出器、 90…トルク胴、 91…トルクバンド、 91a…リング部、 97…ナット、 101…第1のケース部材、 102…第2のケース部材、 107…センタピン、 108…ストッパピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に操作ノブが取り付けられ且つ他端に回転機器の回転部が連結される操作軸と、
前記操作軸を軸方向へ移動可能に支持するホルダと、
前記操作軸の軸方向と直交する方向に延在する回動軸部を回動中心として前記ホルダを回動可能に支持するケース体と、
前記操作軸を軸方向へ付勢する弾性部材と、
前記弾性部材の付勢力を変化させることにより前記操作軸を軸方向へ移動させるための押圧力を調整可能な軸方向力調整部と、
を設けた
ジョイスティック装置。
【請求項2】
前記軸方向力調整部は、
前記操作軸と一体的に設けられた第1の支持ブラケットと、
前記第1の支持ブラケットに対向させて設けた第2のブラケットと、
前記第1の支持ブラケットに対して前記第2の支持ブラケットを接近及び離反させる第1の調整ネジと、を有し、
前記第2の支持ブラケットと前記ホルダとの間に前記弾性部材を介在させた
請求項1記載のジョイスティック装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記第2の支持ブラケットと前記ホルダとの間に介在された圧縮コイルバネであり、
前記第1の調整ネジは、前記第1の支持ブラケットに設けた挿通孔を管通し且つ前記第2の支持ブラケットに設けたナット部に螺合されるネジ軸部を有し、
前記第1の調整ネジの回動により前記第1の支持ブラケットと前記第2の支持ブラケットとの間を接近又は離反させて前記弾性部材の付勢力を変化させる
請求項2記載のジョイスティック装置。
【請求項4】
前記操作軸が軸方向へ移動するストロークを調整可能なストローク調整部を設け、
前記ストローク調整部は、
前記操作軸と軸心線を平行にして前記第1の支持ブラケットに螺合される第2の調整ネジを有し、
前記第2の調整ネジを回動させて前記第1の支持ブラケットからの突出量を変えることにより前記操作軸のストロークを調整可能とした
請求項1記載のジョイスティック装置。
【請求項5】
前記ホルダを回動させる回動力を調整可能な回動力調整部を設け、
前記回動力調整部は、
前記ホルダに設けた回動軸部に固定されたトルク胴と、
前記トルク胴に巻き付けられると共に前記ケース体に固定可能とされたトルクバンドと、
前記トルクバンドによる前記トルク胴の締付力を調整可能な第3の調整ネジと、を有する
請求項1記載のジョイスティック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−210034(P2011−210034A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77446(P2010−77446)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】