説明

ジョグスイッチ

【課題】 ジョグダイヤルの所望方向および所望角度を選択した後、回転させた指を離すことなく所望位置を確定できるジョグスイッチの提供。
【解決手段】 平面内で回転可能であると共に回転平面と交差方向へ揺動可能なジョグダイヤル21と、ジョグダイヤル21の裏面下方に設ける複数の確定スイッチ25と、ジョグダイヤル21裏面下方に設けジョグダイヤル21の回転方向および回転角を検出可能なジョグ動作検出部22とからなり、ジョグダイヤル21を揺動させることで確定スイッチ25を押圧してジョグダイヤル21の操作を確定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーソルスイッチ付きのジョグスイッチに係り、詳細には、カーソル機能スイッチによってジョグスイッチによる選択の決定が可能なジョグスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジョグスイッチは、ジョグダイヤルを回転操作することによりロータの回転をパルス信号として発生させ、該パルス信号により回転角を検出してスイッチング動作させていた。
図5は従来のジョグスイッチの1例である。図5(a)は従来のジョグスイッチの平面図説明図であり、図5(b)は(a)の中央断面の説明図である。
図5に表す従来のジョグスイッチ100は、プリント板PCB上に実装され、左右に回転自在に軸支されるジョグダイヤル101をプリント基板PCB上に回転可能に軸支されてなる。また、ジョグダイヤル101の裏側となるプリント板PCB上には、ジョグダイヤル101の回転方向および回転角度を検出可能なジョグ動作検出部102が設けられている。
【0003】
また、ジョグダイヤル101は、ドーナツ状に中央部に開口103が設けてあり、該開口103には、プッシュ式のセンタースイッチ104が設けられている。プッシュ式のセンタースイッチ104は、開口103の直下に位置するようプリント基板PCBの上に実装されるスイッチ部104aと、スイッチ部104aの上部に即ち開口103に位置されスイッチ部104aをスイッチング可能な押ボタン部104bとからなる。
このように構成される従来のジョグスイッチ100は、ジョグダイヤル101を回転させると、ジョグ動作検出部102がジョグダイヤル101の回転方向および回転角を検出し該情報をパルス信号として出力する。
【0004】
そして、ジョグダイヤル101の回転によって、例えば、ディスプレイ上のカーソルがジョグダイヤル101の回転方向および回転角によるパルス信号に合わせ移動させ所望の移動位置となった時等、ジョグダイヤル101による所定の操作を終了すると、操作者は、ジョグダイヤル101の操作に対する実行をさせるため、センタースイッチ104を押圧してジョグダイヤル101による指示を確定させていた。勿論センタースイッチ104以外のスイッチ(図示せず)等を利用することで、ジョグダイヤル101によって位置等が確定されて行われる他の動作を実行させることもできる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来例に表すようなジョグスイッチ100では、ジョグダイヤル101の操作を終了した時点で、ジョグダイヤル101を回していた指をジョグダイヤル101から離してセンタースイッチ104や他のスイッチ(図示せず)等を操作する必要があり、ジョグダイヤル101の回転動作の精度を有する作業では、ジョグダイヤル101から指を離す際に所望していたジョグダイヤル101の回転動作とずれてしまい、所定の作業が行えない、あるいは行い難いという問題点を有した。
【0006】
また、少なくとも従来のジョグスイッチ100では、ジョグダイヤル101による回転方向および角度を確定するための例えばセンタースイッチ104のような確定スイッチを設ける必要があり、小さなリモートコントロール装置などに設ける場合には、確定スイッチを操作面に設置するスペースを余分に必要としてしまうという問題点を有した。
【0007】
この発明は上記のような問題点に鑑み、ジョグダイヤルを所望量回転させた位置で正確にしかも簡単にその回転位置で確定可能であり、確定のための余分なスイッチ等を装置の操作面に設けなくとも確定可能なジョグスイッチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこでこの発明では、ジョグダイヤルの所望操作後にジョグダイヤルから指を離さずとも確定が可能とするため、
【0009】
平面内で回転可能であると共に回転平面と交差方向へ揺動可能なジョグダイヤルと、ジョグダイヤルの裏面下方に設ける複数の確定スイッチと、ジョグダイヤル裏面下方に設けジョグダイヤルの回転方向および回転角を検出可能なジョグ動作検出部とからなり、
ジョグダイヤルを揺動させることで確定スイッチを押圧してジョグダイヤル操作を確定可能なジョグスイッチ、
【0010】
を提供する。従ってジョグスイッチでは、ジョグダイヤルを回転平面に所望方向および所望角度回転させた後、ジョグダイヤルを揺動させる。その際ジョグダイヤルの揺動時には操作者はジョグダイヤルから指を外すことなく操作できる。
揺動されたジョグダイヤルは、ジョグダイヤル裏面下部に設置した複数の確定スイッチのうち少なくとも何れかを押圧し、操作者が操作して所望方向および所望角度で確定する。
【発明の効果】
【0011】
従ってこの発明によれば、ジョグダイヤルの所望方向および所望角度を選択した後、ジョグダイヤルを揺動させることで該選択を確定できるので、ジョグダイヤルから指を外すことなく確実に所望方向および所望角度を確定できるという本願特有の効果を有する。
【0012】
また、ジョグスイッチを設ける際、ジョグダイヤルによって作業者が操作した所望方向および所望角度回転の確定のためのスイッチが必要ないので、ジョグスイッチ以外に確定スイッチを設けずとも良いので、ジョグスイッチを取付けた操作面に確定用の余分なスイッチを設けるスペースを必要としないので、ジョグスイッチを使用する装置を小型化できるという本願特有の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ジョグスイッチには、円盤状のジョグダイヤルを設ける。該ジョグダイヤルは、平面上、即ちジョグスイッチが取付けられたプリント基板と平行な平面上で回動可能に軸支される。また該ジョグダイヤルは、操作者が押圧することで回転面と交差する方向に揺動可能に設ける。この揺動面は、ジョグダイヤルの全周に亙って自由に揺動可能に設置される。そしてジョグダイヤルの揺動は、クリック感を持って行われ、押圧解除後には、付勢力により回転平面に戻る。
【0014】
ジョグダイヤルの下面、即ちジョグダイヤル下部となるジョグスイッチが取付けられるプリント基板のジョグダイヤル側表面には、揺動された際にジョグダイヤルによってON状態とされる確定スイッチを複数設ける。該確定スイッチは、ジョグダイヤルの平面視45°方向にジョグダイヤルの回転軸から等距離となるように周状に8箇所設ける。
【0015】
更に、ジョグダイヤル下部となるプリント基板上面には、ジョグダイヤルの回転角度および回転方向を検出可能なジョグ動作検出部を設ける。ジョグ動作検出部は、ジョグダイヤル下部に周状に設ける櫛状の検出突起によって揺動される、ジョグダイヤルの左右回転方向である2方向に揺動可能であって該方向を検出可能なスイッチであり、且つ櫛状の検出突起が揺動させるたびにパルス状にON・OFFを繰返してジョグダイヤルの回転角度を検出可能である。
尚、ジョグ動作検出部は、ジョグダイヤル下面のジョグ動作検出部と対向する周上に縞状に模様を付しておき、ジョグ動作検出部から照射したレーザー光の反射を利用して回転方向および回転角度をさせる、光学式の検出部であっても良い。
【実施例1】
【0016】
以下にこの発明の実施例を図面に基づき説明する。図1はこの発明のジョグスイッチを設けたリモートコントローラを表す正面説明図であり、図2はジョグスイッチを表す説明図であり、図3は図2の中央断面説明図であり、図4は表示状態を表す説明図である。
【0017】
1はリモートコントローラである。リモートコントローラ1は、図1に表すように、この発明にかかるジョグスイッチ2を設けたもので、実施例では衛星放送を受信可能なテレビのリモートコントローラである。リモートコントローラ1は、テレビのチャンネルを変更可能なチャンネルスイッチや音量調整スイッチ等を設けてあり、またジョグスイッチ2によって各種選択が可能である。
図2はジョグスイッチ2部分を拡大した正面説明図であり、図3は図2の中央断面説明図である。ジョグスイッチ2は、左右に回転可能なジョグダイヤル21を設ける。ジョグダイヤル21は、中心に穿設孔を設けた五円硬貨状をした円盤からなり、その表面には回転させやすいように利用者の指が引っ掛かりやすいように凹凸を設けてあり、左右の回転は該穿設孔の中心となるように回転可能、且つ揺動可能にカップ状に形成されたシリコンラバー等によってリモートコントローラ1に支持される。
【0018】
また、ジョグダイヤル21の裏面には、その回転軸と同心円となる円周に回転動作指示突起23を設ける。回転動作指示突起23は、複数の板状体を所定の等間隔でプリント基板PCB側へ突設して構成する。即ち、回転動作指示突起23は、ドミノ状に等間隔で突設される。
そして、ジョグダイヤル21の裏面と対向するプリント基板PCB上には、ジョグ動作検出部22を設ける。ジョグ動作検出部22は、回転動作指示突起23によってジョグダイヤル21の回転角度を検出可能である。
【0019】
即ちジョグ動作検出部22は、ジョグダイヤル21の回転方向である2方向にスイッチング可能なカウンタスイッチからなり、そのスイッチング方向および回数によって回転方向および回転角度をカウントするように構成されている。従って、ジョグ動作検出部22は、図3において回転動作指示突起23が手前側に移動してくると、即ちジョグダイヤル21が図2中時計回りに回転されると、検出突起22aが手前側に倒れ、検出部本体22bがその倒れた方向にスイッチングされる。そして、回転動作指示突起23が通過すると再び検出突起22aは元に戻り、更に次の回転動作指示突起23が検出突起22aを再び回転方向へ倒すと、検出部本体22bがその倒れた方向にスイッチングされてカウントしていく。このカウントは、ジョグ動作検出部22では単にパルス状に検出信号を出力することで図示しない制御部がカウントする。また、ジョグダイヤル21が図3中手前側ではなく奥側へ回転された(図2中では反時計回り)時には、検出突起22aは奥側に倒れ、検出部本体22bがその倒れた方向にスイッチングされ、そのスイッチングの信号を出力するように構成されている。
【0020】
また、ジョグダイヤル21は、その円周外側をクリック可能に構成される。即ち、図3において、ジョグダイヤル21の左右に表される円周外側はそれぞれプリント基板PCB側へ押圧することで傾斜し、押圧力を解除することで該傾斜が解除される。そして、押圧して傾斜した際にはクリック感を得られるように構成する。この押圧による傾斜は、ジョグダイヤル21の全外周で可能であり、ジョグダイヤル21を回転させ所定の状態とさせてる。
【0021】
更に、ジョグダイヤル21には、プリント基板PCBと対向する裏面の外周縁部に、全周にわたってスイッチング突起部24を突設する。また、プリント基板PCB上には、スイッチング突起部24に対向するようにジョグダイヤル21の放射方向45度毎に確定スイッチ25を設ける。確定スイッチ25は、押圧されることでオンとなるマイクロスイッチからなり、スイッチング突起部24によってオンとされる。確定スイッチ25は、8カ所のいずれか押圧されることで確定信号を出力し、8カ所いずれのスイッチもジョグダイヤル21による確定動作を検知する。
従って、ジョグダイヤル21を所望量回転させてからその回転量にて確定させるためにジョグダイヤル21を傾斜させるように押圧する。するとジョグダイヤル21は押圧によって傾斜し、スイッチング突起部24がその押圧された部位に近い確定スイッチ25を押圧してオンとさせ、該確定スイッチ25が確定信号を出力する。
この実施例では、確定スイッチ25を45度毎に8カ所設置して8カ所にてジョグダイヤル21の傾斜を検知するようにしたが、90度毎に4カ所や60度毎に6カ所等適宜設ければよい。
【0022】
3はセンタースイッチである。センタースイッチ3は、押圧部32がジョグダイヤル21の中央に穿設した穿設孔部に設け、押圧部32に対向するプリント基板PCB上にはマイクロスイッチからなるスイッチ本体31を設ける。従って、センタースイッチ3は、押圧部32を押圧することでマイクロスイッチからなるスイッチ本体31をオンにしてオン信号を出力可能である。
【0023】
このように構成するジョグスイッチ2は、リモートコントローラ1の制御部とプリント基板PCB上で電気的に接続され、ジョグ動作検出部22の検出した回転方向および回転角度の信号や確定スイッチ25の確定信号に基づいて、例えば、ジョグダイヤル21の回転に伴って、図4に表すようにテレビ画面上で「○○○」で表す情報を、矢印のようにその回転方向によって上下にスクロールし所望の情報が選択されたところでジョグダイヤル21を傾斜させることで確定スイッチ25をオンとさせ確定させる。
上記実施例では、ジョグダイヤル21に対向してプリント基板PCB上に設けるジョグ動作検出部22およびジョグダイヤル21の裏面に設ける回転動作指示突起23によって、ジョグダイヤル21の回転量および回転方向を検出するように構成したが、ジョグ動作検出部22を光センサーによって構成し、ジョグダイヤル21の裏面には回転動作指示突起23に代えてスリット状に黒い模様をその円周方向に設け、ジョグダイヤル21が回転された際に光センサーが通過したスリット模様の数をカウントして出力するように工学的な検出スイッチとしてジョグダイヤル21の回転方向および回転角度を検出するように構成する等他の構成としてもよい。
尚、この実施例ではジョグスイッチ2をリモートコントローラ1に設けたが、パソコンのキーボードや携帯電話等他の装置に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
従って、この発明にかかるジョグスイッチは、リモートコントローラのみならず携帯電話やキーボード等、あらゆる入力装置として利用できるので、家電製品のスイッチ、自動車のスイッチ等、回転動作を行うことで所望の位置へ移動させ、該位置を確定するスイッチとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ジョグスイッチを設けたリモートコントローラを表す正面説明図
【図2】ジョグスイッチを表す説明図
【図3】図2の中央断面説明図
【図4】表示状態を表す説明図
【図5】従来のジョグスイッチの1例を表し、(a)は従来のジョグスイッチの平面図説明図、(b)は(a)の中央断面の説明図
【符号の説明】
【0026】
1 リモートコントローラ
2 ジョグスイッチ
21 ジョグダイヤル
22 ジョグ動作検出部
22a 検出突起
22b 検出部本体
23 回転動作指示突起
24 スイッチング突起部
25 確定スイッチ
3 センタースイッチ
31 スイッチ本体
32 押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面内で回転可能であると共に回転平面と交差方向へ揺動可能なジョグダイヤルと、ジョグダイヤルの裏面下方に設ける複数の確定スイッチと、ジョグダイヤル裏面下方に設けジョグダイヤルの回転方向および回転角を検出可能なジョグ動作検出部とからなり、
ジョグダイヤルを揺動させることで確定スイッチを押圧してジョグダイヤル操作を確定可能なことを特徴とするジョグスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−323692(P2006−323692A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147223(P2005−147223)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】