説明

スイッチ装置

【課題】 本発明は、第1の操作では、第1スイッチ部6だけがONして、第2スイッチ部11がONすることのない操作性に優れたスイッチ装置1を提供すること。
【解決手段】 本発明のスイッチ装置1は、上部電極3aと下部電極5a、5aとを所定寸法の隙間を有して対向配置した第1スイッチ部6と、この第1スイッチ部6と対向する下部側に配置した所定高さで膨出するメタルドーム9を有する第2スイッチ部11とを備え、第1スイッチ部6には、上部電極3aと下部電極5a、5aとの間に隙間を形成するための所定厚さ(寸法A)の第1スペーサ4を配置し、第2スイッチ部には、メタルドーム9の膨出高さと同等以上の厚さ寸法(寸法B)の第2スペーサ7を配置し、この第2スペーサ7の厚さ寸法は、第1スペーサ4より厚く形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に係わり、第1スイッチ部と第2スイッチ部とを、同じ押圧位置を押圧することで、両方のスイッチ部を操作可能なスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチ装置を、特許文献1に基づいて説明すると、従来のスイッチ装置20は、図5に示すように、最上部にゴム板等からなるカバー21が配設され、このカバー21には、操作部21aが形成されている。
前記カバー21の下面には、フレキシブルな第1プリント基板22が配設され、この第1プリント基板22の下面には、第1共通電極23が形成されている。
【0003】
前記第1プリント基板22は、所定厚さの第1スペーサ24上に載置されており、この第1スペーサ24には、第1共通電極23が位置して下方に撓むことが可能な第1貫通孔24aが形成されている。
また、第1スペーサ24の下部には、フレキシブルな第2プリント基板25が配設され、この第2プリント基板25の上面で、第1共通電極23と対向する位置に、互いに絶縁された一対の第1個別電極26、26が第1共通電極23と所定の隙間を有して形成されている。
そして、第1共通電極23と第1個別電極26、26とで、第1スイッチ部が構成されている。
【0004】
また、第2プリント基板25の下面には、第2共通電極27が形成されており、前記第2プリント基板25は、第2スペーサ28に載置されている。
前記第2スペーサ28には、第2共通電極27が位置して下方に弾性変形可能な第2貫通孔28aが形成されている。
また、第2スペーサ28の下部には、フレキシブルな第3プリント基板29が配設され、この第3プリント基板29の上面で、第2共通電極27と対向する位置に、互いに絶縁された一対の第1個別電極30、30が第2共通電極27と所定の隙間を有して形成されている。
そして、第2共通電極27と第2個別電極30、30とで、第2スイッチ部が構成されている。
【0005】
このような従来のスイッチ装置20の操作を説明すると、まず、操作者の指等で操作部21aを軽く押圧する第1の操作で、カバー21が下方に撓む。
このことにより、第1共通電極23が下方に変位して、一対の第1個別電極26、26に当接する。
そして、一対の第1個別電極26、26が、第1共通電極23を介して電気的に導通して第1スイッチ部がONする。
【0006】
前記第1の操作後に、操作部21aを強く押圧する第2の操作で、カバー21が第1の操作の時より更に下方に大きく撓んで、第1スイッチ部がONした状態で、第2プリント基板25が下方に押圧されて下方に撓む。
このことにより、第2共通電極27が下方に変位して、一対の第2個別電極30、30に当接する。そして、一対の第2個別電極30、30が第2共通電極27を介して電気的に導通して第2スイッチ部がONする。
このように、従来のスイッチ装置20は、操作部21aを軽くタッチする第1の操作と、この第1の操作後に操作部21aを第1の操作より強く押圧する第2の操作で、第1、第2の2つのスイッチ部をONすることができる。
【特許文献1】実開昭48−99462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のスイッチ装置20は、第1、第2スペーサ24、28の厚さが同じであったために、操作者が操作部31aの第1の操作で、第1のスイッチ部をONしようとしたときに、第2プリント基板25も同時に押されて、第2スイッチ部がONするおそれがあった。
即ち、第1スイッチ部だけがONする第1の操作で、第2スイッチ部がONする第2の操作も同時に行われて誤入力が発生するおそれがあった。
本発明は前述したような課題を解決し、第1の操作では、第1スイッチ部だけがONして、第2スイッチ部がONすることのない操作性に優れたスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための第1の手段として本発明のスイッチ装置は、上部電極と下部電極とを所定寸法の隙間を有して対向配置した第1スイッチ部と、この第1スイッチ部と対向する下部側に配置した所定高さで膨出するメタルドームを有する第2スイッチ部とを備え、前記第1スイッチ部には、前記上部電極と前記下部電極との間に前記隙間を形成するための所定厚さの第1スペーサを配置し、前記第2スイッチ部には、前記メタルドームの膨出高さと同等以上の厚さ寸法の第2スペーサを配置し、この第2スペーサの厚さ寸法は、前記第1スペーサより厚く形成されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第2の手段として、前記上部電極を形成した上部シートと、前記下部電極を形成した下部シートとが、前記第1スペーサを挟んで互いに対向配置され、前記第2スペーサには、前記メタルドームを収納可能な四方を格子状の桟部で仕切った貫通孔が複数形成され、前記下部シートを載置した側の前記桟部の稜線には、面取り、あるいはアールが形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記課題を解決するための第3の手段として、前記桟部には、前記貫通孔に収納した前記メタルドームを押圧操作可能な操作片が片持ち支持、あるいは両持ち支持されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第4の手段として、前記操作片には、少なくとも前記メタルドームと対向する側に所定高さの突起が形成されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第5の手段として、前記操作片は、前記桟部に連結された円弧状の連結部に前記片持ち支持、あるいは両持ち支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスイッチ装置の第1スイッチ部には、上部電極と下部電極との間に隙間を形成するための所定厚さの第1スペーサを配置し、第2スイッチ部には、メタルドームの膨出高さと同等以上の厚さ寸法の第2スペーサを配置し、この第2スペーサの厚さ寸法は、第1スペーサより厚く形成されているので、第1の操作で第1スイッチ部がONしても、第2スイッチ部がONするのを防止できる。
また、上部電極を形成した上部シートと、下部電極を形成した下部シートとが、合い1スペーサを挟んで互いに対向配置され、第2スペーサには、メタルドームを収納可能な四方が格子状の桟部で仕切りられた貫通孔が複数形成され、下部シートを載置した側の桟部の稜線には、面取り、あるいはアールが形成されているので、第1、第2の操作を繰り返し行っても、下部シートに傷、あるいはクラックが発生するのを防止できる。
そのために長寿命のスイッチ装置を提供できる。
【0011】
また、桟部には、貫通孔に収納したメタルドームを押圧操作可能な操作片が、片持ち支持、あるいは両持ち支持されているので、第2の操作で操作片が無理なく降下してメタルドーム9を確実に反転させて第2スイッチ部をスムーズにONさせることができ、操作性に優れたスイッチ装置を提供できる。
また、操作片には、少なくともメタルドームと対向する側に所定高さの突起が形成されているので、突起によってメタルドームを更に確実に反転させることができる。
【0012】
また、操作片は、桟部に連結された円弧状の連結部に前記片持ち支持、あるいは両持ち支持されているので、第2の操作で第2スペーサ5が押圧されると、円弧状の連結部によって、操作片をスムーズに降下させて、メタルドームを無理なく反転させることができる。
更に、操作後の操作片は、連結部の弾性復帰力で、すみやかに初期状態に自動復帰させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のスイッチ装置の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明のスイッチ装置を説明する分解斜視図であり、図2は本発明のスイッチ装置の要部断面図であり、図3、図4は本発明に係わる第2スペーサのその他の実施の形態を説明する斜視図である。
【0014】
本発明のスイッチ装置1を図1、図2に基づいて説明すると、本発明のスイッチ装置1の最上部には、ゴム等の弾性を有するカバー2が配設され、このカバー2の上面には、上方に所定高さで突出する複数の操作部2aが、所定のピッチ寸法で形成されている。
前記カバー2の下面には、フィルム状でフレキシブルな上部シート3が配設され、この上部シート3の下面には、後述する第1スペーサ4の貫通孔4aより小さい寸法の上部電極3aが印刷等で形成されている。
【0015】
前記上部シート3の下部には、絶縁性の樹脂材料等からなる厚さ寸法Aの第1スペーサ4が配設され、この第1スペーサ4は、厚さ寸法Aが、例えば0.15mmに形成されている。
前記第1スペーサ4には、上部電極3aが位置してカバー2が下方に変位可能な第1貫通孔4aが形成されている。
また、第1スペーサ4の下部には、フィルム状でフレキシブルな下部シート5が配設されている。前記貫通孔4a内に位置する部分の下部シート5の上面には、互いに絶縁された一対の下部電極5a、5aが印刷等で対向形成され、上部電極3aと下部電極5a、5aとは、所定寸法の隙間を有して対向配置されている。
【0016】
そして、上部電極3aと下部電極5a、5aとで第1スイッチ部6が構成されており、操作部2aを軽く押圧する第1の操作で、下方に変位する上部電極3aが、一対の下部電極5a、5aに接触することで、第1スイッチ部6がONするようになっている。
また、下部シート5の下部には、絶縁性の樹脂材料等からなる厚さ寸法Bの第2スペーサ7が配設され、この第2スペーサ7は、厚さ寸法Bが、例えば1mmに形成されている。
【0017】
即ち、第2スペーサ7の厚さ寸法Bは、第1スペーサ4の厚さ寸法Aより厚く形成されている。このような、第2スペーサ7の厚さを第1スペーサ4より厚くすることで、操作部2aを軽く押圧する第1の操作で、下部シート5が下方に若干撓んだとしても、この撓みが後述するメタルドーム9に加わったとしても、メタルドーム9が反転するのを防止できるようになっている。
また、第2スペーサ7には、後述するメタルドーム9を収納可能な、四方を格子状の桟部7aで仕切られた貫通孔7bが複数形成されている。
【0018】
前記格子状の桟部7aの下部シート5を載置した側の稜線(コーナ部)には、面取り、あるいはアールが形成されている。
そのために、操作部2aを第1の操作より強く押圧する後述する第2の操作で、下部シート5が貫通孔4a内に撓んだ時に、桟部7aの稜線で下部シート5に傷が付くのを防止できる。
更には、繰り返しの第2の操作で、下部シート5が繰り返し撓んでも、下部シート5には、疲労によるクラック等が発生せず長寿命化できる。
【0019】
また、第2スペーサ7の下部には、フィルム状のドームシート8が配設され、このドームシート8には、第2スペーサ7の貫通孔7bと対向する複数の位置に、所定高さでドーム状に膨出する板バネからなるメタルドーム9が接着剤等で貼着されて、ドームシート8の開放部8aから膨出部分が上方に露出している。
前記メタルドーム9の膨出高さは、第2スペーサ7の厚さ寸法Bと同等、またはそれ以下に形成されている。
【0020】
また、ドームシート8は、所定厚さで硬質のプリント基板10に載置され、このプリント基板10の上面には、メタルドーム9の外周部が位置する部分に所定形状の第1固定接点(図示せず)と、メタルドーム9の頂部内面の天井面と対向する部分に第2固定接点(図示せず)とが互いに絶縁されて形成されている。
前記メタルドーム9と、第1、第2固定接点とで第2スイッチ部11が構成されている。
そして、第1の操作で第1スイッチ部6をONした状態で、操作部2aを第1の操作より強く押圧する第2の操作で、下部シート5の下面がメタルドーム9を押圧して、メタルドーム9が反転し、第1、第2固定接点(図示せず)が電気的に接続されて第2スイッチ部11がONする。
【0021】
このような本発明のスイッチ装置1の操作を説明すると、まず、図2に示すように、第1、第2スイッチ部6、11がそれぞれOFF状態の初期状態において、操作者の指等で操作部2aを軽くタッチする第1の操作で、操作部2aを形成した部分のカバー2が下方に撓む。
このことにより、第1スペーサ4の貫通孔4a上に位置する上部電極3aが下方に変位して一対の下部電極5a、5aに接触する。
【0022】
そして、一対の下部電極5a、5aが、上部電極3aを介して電気的に導通して第1のスイッチ部6がONする。
次ぎに、第1の操作後に、操作部2aを強く押圧する第2の操作で、第1スペーサ4の貫通孔4aに位置する部分のカバー2が、第1の操作の時より更に下方に大きく撓む。このことにより、第1スイッチ部がONした状態で、下部シート5が下方に押圧されて下方に撓む。
【0023】
このことにより、メタルドーム9の膨出頂部が下部シート5の下面に押圧されて、メタルドーム9が反転する。このメタルドーム9の反転で、互いに絶縁された第1、第2固定接点がメタルドーム9を介して電気的に接続されて、第2スイッチ部11がONされる。
また、メタルドーム9が反転することで、操作者がクリック感を得ることができ、第2スイッチ部11がONしたことを操作者が認識できる。
【0024】
このような本発明のスイッチ装置1を、例えばテレビ等のリモコン装置に用いることで、テレビ画面を観賞しながら、ブラインドタッチで操作部2aをタッチする第1の操作で、タッチした部分の第1スイッチ部6がONして、この第1スイッチ部6に対応する機能がテレビ画面に表示される。
例えば、操作者がタッチした部分の操作部2aの機能がチャネル選択ボタンだとすると、テレビ画面には第1の操作をした部分に対応したチャネル番号が表示される。
【0025】
そして、表示されたチャネル番号が所望の番号である場合は、第1の操作を行っている操作部2aを第1の操作より強く押圧する第2の操作で、第2スイッチ部11がONして、現在観賞中のチャネルから、所望のチャネルに切り換えることができる。
尚、本発明の実施の形態では、第2スペーサ7の貫通孔7bに収納されたメタルドーム9を下部シート5が直接押圧することで説明したが、その他の実施の形態として、第2スペーサ5は、図3に示すように、貫通孔7b周囲の桟部7aには、貫通孔7bに収納したメタルドーム9を押圧操作可能な操作片7cが、円弧状の連結部7dに片持ち支持されて形成されているものでも良い。
【0026】
そして、操作片7cには、図2に示すように、少なくともメタルドーム9と対向する側に、所定高さの突起7eが形成されている。
このような、桟部7aに形成した連結部7dで片持ち支持した操作片7cは、第2の操作で第2スペーサ5が押圧されると、円弧状の連結部7dによって、操作片7cがスムーズに降下して、メタルドーム9を無理なく押圧することができる。
【0027】
そして、第2の操作が終了して操作部2aの押圧を解除すると、メタルドーム9の弾性復帰力だけでなく、連結部7dの弾性復帰力も加わって、第1スイッチ部6を上方に押し上げて、初期状態にすみやかに自動復帰することができる。
更に、突起7eによって、メタルドーム9の頂部を確実に押圧することができ、メタルドーム9をスムーズに反転操作することができる。
また、操作片7cは、図4に示すように、桟部7aに形成した2本の連結部7d、7dで両持ち支持したものでも良い。
このように、操作片7cを2本の連結部7d、7dで両持ち支持することで、操作片7cを更にすみやかに初期状態に自動復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のスイッチ装置を説明する分解斜視図である。
【図2】本発明のスイッチ装置の要部断面図である。
【図3】本発明に係わる第2スペーサのその他の実施の形態を説明する斜視図である。
【図4】本発明に係わる第2スペーサのその他の実施の形態を説明する斜視図である。
【図5】従来のスイッチ装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 本発明のスイッチ装置
2 カバー
2a 操作部
3 上部シート
3a 上部電極
4 第1スペーサ
4a 第1貫通孔
5 下部シート
5a 下部電極
6 第1スイッチ部
7 第2スペーサ
7a 桟部
7b 第2貫通孔
7c 操作片
7d 連結部
7e 突起
8 ドームシート
9 メタルドーム
10 プリント基板
11 第2スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極と下部電極とを所定寸法の隙間を有して対向配置した第1スイッチ部と、この第1スイッチ部と対向する下部側に配置した所定高さで膨出するメタルドームを有する第2スイッチ部とを備え、前記第1スイッチ部には、前記上部電極と前記下部電極との間に前記隙間を形成するための所定厚さの第1スペーサを配置し、前記第2スイッチ部には、前記メタルドームの膨出高さと同等以上の厚さ寸法の第2スペーサを配置し、この第2スペーサの厚さ寸法は、前記第1スペーサより厚く形成されていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記上部電極を形成した上部シートと、前記下部電極を形成した下部シートとが、前記第1スペーサを挟んで互いに対向配置され、前記第2スペーサには、前記メタルドームを収納可能な四方を格子状の桟部で仕切った貫通孔が複数形成され、前記下部シートを載置した側の前記桟部の稜線には、面取り、あるいはアールが形成されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記桟部には、前記貫通孔に収納した前記メタルドームを押圧操作可能な操作片が片持ち支持、あるいは両持ち支持されていることを特徴とする請求項2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記操作片には、少なくとも前記メタルドームと対向する側に所定高さの突起が形成されていることを特徴とする請求項3記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記操作片は、前記桟部に連結された円弧状の連結部に前記片持ち支持、あるいは両持ち支持されていることを特徴とする請求項3、または4記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−286582(P2006−286582A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108831(P2005−108831)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】