説明

スイッチ装置

【課題】操作キーと連結手段とを一体として扱い可能として両者の管理を容易とし得るとともに、小型船舶等から運転者が脱落したときにエンジンの強制停止を確実に行わせることができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】エンジン始動用スイッチ4と、該エンジン始動用スイッチ4のロックを解除してオン・オフ操作を可能とするマグネット錠MKと、プレートPが外れることにより作動子16が作動し、エンジンを強制停止させるエンジン停止用スイッチ5と、プレートPが基端に形成されつつ先端が運転者に装着可能とされて運転者とプレートPとを連結するワイヤー30とを具備したスイッチ装置において、マグネット錠MKは、ワイヤー30に取り付けられて一体とされるとともに、エンジンの駆動時、エンジン始動用スイッチから取り外した状態とすることが可能とされたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型船舶等の搭乗手段に配設され、エンジン始動用スイッチ及びエンジン停止用スイッチを有したスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型船舶等には、操作レバーを具備した操作装置が配設されており、当該操作レバーを揺動操作することにより、エンジンの駆動力を任意制御して小型船舶等の速度、或いは前進及び後退の操作を行うよう構成されていた。かかる操作装置内には、通常、エンジンを始動させるためのエンジン始動用スイッチ、小型船舶等から運転者が脱落したときにエンジンを強制的に停止させるためのエンジン停止用スイッチ等が配設されていた。
【0003】
従来のエンジン始動用スイッチは、例えばイグニッションキーをキー孔に挿通しつつオフ位置からオン位置まで回動させることによりエンジンの始動が可能とされており、オン位置においてはイグニッションキーの抜き取りが規制されていた。また、エンジン停止用スイッチは、プレートを嵌合し得る作動子を具備するとともに、当該プレートが外れることにより作動子が作動し、エンジンを強制停止させるよう構成されていた。
【0004】
当該プレートは、先端を運転者に装着可能とされたワイヤー等の連結手段に取り付けられており、小型船舶等から運転者が脱落したときに当該プレートを引っ張って作動子から外し、エンジンを強制停止させ得るよう構成されたものである。然るに、運転者が小型船舶等から降りる際には、イグニッションキーをオフ位置として取り外すとともに、プレートを作動子から取り外していた。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のスイッチ装置においては、イグニッションキー及びプレートが接続された連結手段の両者を携帯する必要があるため、管理が煩わしく、一方を紛失してしまう可能性があるという問題があった。イグニッションキー或いは連結手段の一方でも紛失してしまうと、エンジンを始動させることができず、両者の管理を厳格に行う必要があった。
【0006】
然るに、連結手段にイグニッションキー(操作キー)を取り付け、両者を一体として取り扱うようにすれば管理が容易になるのであるが、その場合、イグニッションキーはオン位置において抜き取りが規制されているため、小型船舶等から運転者が脱落したときに当該プレートを引っ張ってもイグニッションキーが抜き取られず、エンジンを強制停止できない虞があるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、操作キーと連結手段とを一体として扱い可能として両者の管理を容易とし得るとともに、小型船舶等から運転者が脱落したときにエンジンの強制停止を確実に行わせることができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、小型船舶等の搭乗手段のエンジンを始動させるエンジン始動用スイッチと、該エンジン始動用スイッチのロックを解除し、当該エンジン始動用スイッチのオン・オフ操作を可能とする操作キーと、プレートを嵌合し得る作動子を具備するとともに、当該プレートが外れることにより作動子が作動し、前記エンジンを強制停止させるエンジン停止用スイッチと、前記プレートが基端に形成されつつ先端が運転者に装着可能とされて運転者とプレートとを連結し、前記搭乗手段から運転者が脱落したときに当該プレートを引っ張って作動子から外し得る連結手段とを具備したスイッチ装置において、前記操作キーは、前記連結手段に取り付けられて一体とされるとともに、エンジンの駆動時、エンジン始動用スイッチから取り外した状態とすることが可能、又は取り外し自在な状態とされたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスイッチ装置において、前記エンジン始動用スイッチは、押圧操作を許容する操作位置と規制する規制位置との間で回動可能とされ、規制位置から許容位置までの回動がロック可能とされた操作ボタンを具備するとともに、前記操作キーは、前記操作ボタンを覆って取り付けることにより当該操作ボタンの回動のロックを解除しつつその押圧操作を不可能とし、且つ、当該操作ボタンと共に操作位置まで回動した後に、前記エンジン始動用スイッチの操作ボタンから取り外した状態とすることが可能とされつつ、取り外した状態で当該操作ボタンの押圧操作を可能としたものであることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のスイッチ装置において、前記操作ボタンは、磁石が係止することにより回動がロックされるとともに、前記操作キーは、当該磁石に対し磁力を及ぼすことにより係止を解除して回動のロックを解除するマグネット錠から成ることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のスイッチ装置において、前記エンジン始動用スイッチ及びエンジン停止用スイッチは、エンジンの駆動力の制御を任意行うべく揺動操作可能な操作レバーのニュートラル位置を検知するニュートラルスイッチと共に一体化されてユニットを構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のスイッチ装置において、前記ユニットは、各スイッチの固定接点及び所定の電気回路が形成された共通の基板を有し、前記エンジン始動用スイッチ、エンジン停止用スイッチ及びニュートラルスイッチの可動接点が当該基板上を摺動して各スイッチのオン・オフがなされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、操作キーは、連結手段に取り付けられて一体とされたので、操作キーと連結手段とを一体として扱うことを可能として両者の管理を容易とし得るとともに、エンジンの駆動時、エンジン始動用スイッチから取り外した状態とすることが可能、又は取り外し自在な状態とされたので、小型船舶等から運転者が脱落したときにエンジンの強制停止を確実に行わせることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、操作キーは、前記操作ボタンを覆って取り付けることにより当該操作ボタンの回動のロックを解除しつつその押圧操作を不可能とし、且つ、当該操作ボタンと共に操作位置まで回動した後に、前記エンジン始動用スイッチの操作ボタンから取り外した状態とすることが可能とされつつ、取り外した状態で当該操作ボタンの押圧操作を可能としたので、操作キーを操作ボタンから取り外した状態でなければエンジンが駆動した状態とならず、エンジンの駆動時、確実にエンジン始動用スイッチから取り外した状態とすることを可能とすることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、操作ボタンは、磁石が係止することにより回動がロックされるとともに、操作キーは、当該磁石に対し磁力を及ぼすことにより係止を解除して回動のロックを解除するマグネット錠から成るので、簡易な構成にて防犯を図ることができるとともに、密閉された状態においても磁石の磁力の作用により外側からロックを解除可能であるため、防水性を維持することができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、エンジン始動用スイッチ及びエンジン停止用スイッチは、エンジンの駆動力の制御を任意行うべく揺動操作可能な操作レバーのニュートラル位置を検知するニュートラルスイッチと共に一体化されてユニットを構成したので、それぞれが別個独立に配設されたものに比べ、組み付け作業性及び部品点数を減少して製造コストを低減させることができるとともに小型化を図ることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、ユニットは、各スイッチの固定接点及び所定の電気回路が形成された共通の基板を有し、エンジン始動用スイッチ、エンジン停止用スイッチ及びニュートラルスイッチの可動接点が当該基板上を摺動して各スイッチのオン・オフがなされるので、基板を集約化することができ、更に部品点数を削減して製造コストをより低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るスイッチ装置は、モーターボートなどの小型船舶に適用されたもので、図1に示すように、小型船舶のエンジンを始動させるエンジン始動用スイッチ4と、小型船舶から運転者が脱落したときにエンジンを強制停止させるエンジン停止用スイッチ5と、当該エンジンの駆動力の制御を任意行うべく揺動操作可能な操作レバー2のニュートラル位置を検知するニュートラルスイッチ6とを具備し、操作レバー2を具備した操作装置1内に配設されたものである。
【0019】
エンジン始動用スイッチ4、エンジン停止用スイッチ5及びニュートラルスイッチ6は、一体化されてユニット3を構成しており、操作装置1内に組み付けられるようになっている。ユニット3を操作装置1内に組み付けた状態では、エンジン始動用スイッチ4の操作ボタン11、及びエンジン停止用スイッチ5の作動子16が外部へ臨んだ状態となり、ニュートラルスイッチ6の作動子20が操作レバー2の基端部2aと対向した状態となっている。
【0020】
ユニット3は、図5に示すように、本体10に対して上カバー体7、側カバー体8及び下カバー体9を嵌め込み係止してその筐体を成すものである。具体的には、本体10における係止爪10a、10b、10cを上カバー体7、側カバー体8及び下カバー体9の係止孔7a、8a、9aにそれぞれ係止させることによりユニット3の筐体を構成しており、組み付けにネジ等の締結手段が不要とされている。
【0021】
上カバー体7には、図2に示すように、エンジン始動用スイッチ4の操作ボタン11、及びエンジン停止用スイッチ5の作動子16が突出形成されているとともに、下カバー体9には、ニュートラルスイッチ6の作動子20が突出形成されている。側カバー体8は、図5に示すように、後述するコネクタ部27及びシール部材としてのブーツ28を介して本体10に取り付けられ、後述するダイレクトカプラが形成されるようになっている。
【0022】
エンジン始動用スイッチ4は、操作ボタン11を押圧操作することによりエンジンを始動させ得るものであり、その操作ボタン11が押圧操作を許容する操作位置(図2における「OPEN」位置)と、押圧操作を規制する規制位置(同図における「LOCK」位置)との間で回動可能とされつつ、当該規制位置から操作位置への回動がロックされるとともに、当該ロックを解除可能な操作キーとしてのマグネット錠MKを具備したものである。
【0023】
より具体的には、エンジン始動用スイッチ4の操作ボタン11は、図10、11に示すように、スプリングS2により突出方向へ付勢されているとともに、その裏面(押圧操作面とは反対の面)側の一部に延設された延設部11cを有しており、規制位置においては、この延設部11cが固定部材12と干渉して押圧操作が規制されている。尚、固定部材12は、上カバー体7に係止されて固定された部材から成るものであり、その一部には操作ボタン11が押圧操作された際に、延設部11cの移動を許容する凹部12aが形成されている。
【0024】
加えて、当該操作ボタン11には、同図に示すように、その裏面(押圧操作面とは反対の面)において略同心円状に複数の凹溝11bが形成されており、この凹溝11bに固定部材12側からスプリングS1にて付勢された磁石Maがそれぞれ嵌入している。この磁石Maの嵌入により、操作ボタン11は係止され、規制位置から操作位置への回動がロックされているのである。
【0025】
一方、マグネット錠MKは、エンジン始動用スイッチ4のロックを解除し、操作ボタン11の押圧操作を可能とし、当該エンジン始動用スイッチ4のオン・オフ操作を可能とするものである。かかるマグネット錠MKには、図8、9に示すように、磁石Maと対応する複数の磁石Mbが形成されている。そして、図12に示すように、マグネット錠MKを操作ボタン11を覆う如く取り付けると、磁石Maに対向した各磁石Mbの面が同極となるよう設定されており、磁力による反発によって磁石MaがスプリングS1の付勢力に抗して凹溝11bから離間し、回動動作のロックが解除されるようになっている。尚、磁石Ma及びMbの配列は、小型船舶固有のものとし、他の小型船舶用のマグネット錠MKによってはロックが解除されないよう構成されている。
【0026】
これにより、操作ボタン11は、規制位置から操作位置へ回動が許容されるのであるが、この状態では図12に示すように、操作ボタン11の下方に延設された延設部11cが固定部材12と干渉するよう設定されており、押圧操作の規制は維持されている。然るに、マグネット錠MKにおける操作ボタン11との合わせ部位には、突起a、b(図8、9参照)が形成されており、操作ボタン11の凹部(不図示)と嵌合し得るよう構成されているため、マグネット錠MKを回動操作すれば操作ボタン11も回動するようになっている。
【0027】
しかして、マグネット錠MKの回動操作に伴って操作ボタン11が規制位置から操作位置まで回動すると、図13に示すように、延設部11cが凹部12aの位置となるので、図14に示すように、マグネット錠MKを取り外せば、操作ボタン11の押圧操作が可能な状態(ロックが解除された状態)とされる。即ち、マグネット錠MKは、操作ボタン11を覆って取り付けることにより当該操作ボタン11の回動のロックを解除しつつその押圧操作を不可能とし、且つ、当該操作ボタン11と共に操作位置まで回動した後に、エンジン始動用スイッチ4の操作ボタン11から取り外した状態とすることが可能とされつつ、取り外した状態で当該操作ボタン11の押圧操作を可能としているのである。
【0028】
操作ボタン11には、その押圧操作方向に延びた操作バー11aが形成されており、押圧操作によって操作ボタン11がスプリングS2の付勢力に抗して移動するのに伴って当該操作バー11aが同方向に移動するよう構成されている。
【0029】
ところで、図4に示すように、本体10における操作バー11aと同軸延長線上には、被操作バー13が配設されており、当該被操作バー13には可動接点15が形成されたローラ14が取り付けられている。ローラ14は、スプリングS3によって操作バー11a側に付勢されているとともに、その可動接点15は後述する基板(摺動基板24)(図3参照)上を摺動し得るようになっている。よって、操作ボタン11が押圧操作されると、操作バー11a、被操作バー13を介してローラ14がスプリングS3の付勢力に抗して移動し、可動接点15が基板(摺動基板24)上を摺動し得るよう構成されている。
【0030】
エンジン停止用スイッチ5は、図2、4に示すように、その作動子16がプレートPを嵌合させることにより突出した状態とされるものであり、当該作動子16は、スプリングS4により没入する方向へ付勢されている。また、作動子16から延設された延設部17には、可動接点19が形成されたローラ18が取り付けられており、その可動接点19は摺動基板24(エンジン始動用スイッチ4と同様)上を摺動し得るようになっている。よって、プレートPが作動子16から取り外されて没入側に移動すると、延設部17を介してローラ18が移動し、それに伴って可動接点19が摺動基板24上を摺動し得るよう構成されている。
【0031】
プレートPは、図15に示すように、作動子16と嵌合し得る溝形状Paを有しているとともに、先端にクリップ30aが形成された連結手段としてのワイヤー30に取り付けられている。即ち、連結手段としてのワイヤー30の基端に形成されたプレートPを作動子16に嵌合させ、先端に形成されたクリップ30aを運転者に装着すれば、運転者とプレートPとを連結することができるのである。これにより、クリップ30aを運転者に装着しつつプレートPを作動子16に嵌合させれば、運転者が誤って小型船舶から脱落した際、ワイヤー30と共にクリップ30aが引っ張られて作動子16から外れるので、小型船舶のエンジンを強制停止させることができる。
【0032】
更に、ワイヤー30には、同図及び図16に示すように、その先端側にマグネット錠MKが取り付けられている。即ち、ワイヤー30の先端側(クリップ30aの接続側)における折り返し部に対し、マグネット錠MKの把持部に形成された貫通孔MKaを挿通させることにより、ワイヤー30にマグネット錠MKを固定させ両者を一体としているのである。この場合、クリップ30aを運転者に装着する前に、マグネット錠MKによる操作ボタン11のロック解除作業を行い、当該操作ボタン11から取り除いた後、クリップ30aを運転者に装着することとなる。
【0033】
尚、本実施形態においては、ワイヤー30の折り返し部に対し、マグネット錠MKの貫通孔MKaを直接挿通して一体としているが、これに代えて、図17に示すように、カール型ワイヤRを介してワイヤー30とマグネット錠MKとを連結し一体とするよう構成してもよい。この場合、カール型ワイヤRからマグネット錠MKを容易に取り外すことができ、当該マグネット錠MKの操作性を向上させることができる。
【0034】
ニュートラルスイッチ6は、図3、4に示すように、その作動子20が下カバー体9から突出した状態とされるものであり、当該作動子20は、スプリングS5により突出する方向へ付勢されている。また、作動子20から延設された延設部21には、可動接点23が形成されたローラ22が取り付けられており、その可動接点23は摺動基板24(エンジン始動用スイッチ4及びエンジン停止用スイッチ5と同様)上を摺動し得るようになっている。
【0035】
一方、図1に示すように、操作レバー2の基端部2aには、操作カム2bが形成されており、当該操作レバー2がニュートラル位置にあるとき、操作カム2bが作動子20を押圧するよう設定されている。よって、操作レバー2がニュートラル位置まで揺動すると、操作カム2bにて作動子20が押圧されて没入するので、ローラ22が移動し、それに伴って可動接点23が摺動基板24上を摺動し得るよう構成されている。
【0036】
ここで、本実施形態におけるユニット3は、各スイッチ(エンジン始動用スイッチ4、エンジン停止用スイッチ5及びニュートラルスイッチ6)の固定接点29及び所定の電気回路(不図示)が形成された共通の基板(24、25)を有し、エンジン始動用スイッチ4、エンジン停止用スイッチ5及びニュートラルスイッチ6の可動接点(15、19、23)が摺動基板24上を直線状に摺動して各スイッチのオン・オフがなされるよう構成されている。
【0037】
即ち、共通の基板は、図6及び図7に示すように、表面又は裏面に所定の電気回路が印刷されたプリント基板25と、固定接点29が形成されて可動接点(15、19、23)が摺動し得る摺動基板24(接点板)とから成るものであり、これらプリント基板25の表面と摺動基板24の裏面とを合わせて構成されている。摺動基板24の表面は、可動接点(15、19、23)の摺動面24bを成し、その摺動面24bにおける固定接点29の周縁には、摺動時に生じる摩耗粉を収容し得る凹形状24aが形成されている。尚、固定接点29は、例えばリベットから成り、その基端がプリント基板25側にかしめ固定されている。
【0038】
更に、本実施形態においては、プリント基板25から端子26を突出形成しているとともに、この端子26をコネクタ部27(図5参照)を介して筐体の外部に臨ませるよう構成されている。かかる端子26及びコネクタ部27は、小型船舶側へ各スイッチ(エンジン始動用スイッチ4、エンジン停止用スイッチ5及びニュートラルスイッチ6)の電気信号(オン信号)を送信するためのダイレクトカプラを成すものである。
【0039】
しかして、各スイッチ(エンジン始動用スイッチ4、エンジン停止用スイッチ5及びニュートラルスイッチ6)の操作により可動接点(15、19、23)が摺動基板24の摺動面24bをそれぞれ摺動することにより、固定接点29と接触又は離間し、所定の電気回路が形成されて各スイッチのオン・オフがなされるようになっている。これにより、エンジン始動用スイッチ4の操作ボタン11を押圧操作すればエンジンが始動され、プレートPが外れてエンジン停止用スイッチ5の作動子16が操作されればエンジンが強制停止され、或いはニュートラルスイッチ6の作動子20が押圧されている間は図示しないニュートラルランプを点灯させ得るのである。
【0040】
本実施形態のスイッチ装置によれば、操作キーとしてのマグネット錠MKは、連結手段としてのワイヤー30に取り付けられて一体とされたので、マグネット錠MKとワイヤー30とを一体として扱うことを可能として両者の管理を容易とし得るとともに、エンジンの駆動時、エンジン始動用スイッチから取り外した状態とすることが可能とされたので、小型船舶から運転者が脱落したときにエンジンの強制停止を確実に行わせることができる。
【0041】
即ち、運転者が小型船舶から脱落してワイヤー30を介してプレートPが引っ張られた際、ワイヤー30と連結されたマグネット錠MKがエンジン始動用スイッチから取り外された状態となっているため、プレートPが作動子16からスムーズに外れ、エンジンの強制停止が確実になされるのである。
【0042】
また、マグネット錠MKは、操作ボタン11を覆って取り付けることにより当該操作ボタン11の回動のロックを解除しつつその押圧操作を不可能とし、且つ、当該操作ボタン11と共に操作位置まで回動した後に、エンジン始動用スイッチ4の操作ボタン11から取り外した状態とすることが可能とされつつ、取り外した状態で当該操作ボタン11の押圧操作を可能としたので、マグネット錠MKを操作ボタン11から取り外した状態でなければエンジンが駆動した状態とならず、エンジンの駆動時、確実にエンジン始動用スイッチ4から取り外した状態とすることを可能とすることができる。
【0043】
更に、操作ボタン11は、磁石Maが係止することにより回動がロックされるとともに、操作キーは、当該磁石Maに対し磁力を及ぼすことにより係止を解除して回動のロックを解除するマグネット錠MKから成るので、簡易な構成にて防犯を図ることができるとともに、密閉された状態においても磁石の磁力の作用により外側からロックを解除可能であるため、防水性を維持することができる。
【0044】
また更に、エンジン始動用スイッチ4及びエンジン停止用スイッチ5は、エンジンの駆動力の制御を任意行うべく揺動操作可能な操作レバー2のニュートラル位置を検知するニュートラルスイッチ6と共に一体化されてユニット3を構成したので、それぞれが別個独立に配設されたものに比べ、組み付け作業性及び部品点数を減少して製造コストを低減させることができるとともに小型化を図ることができる。
【0045】
加えて、ユニット3は、各スイッチ(エンジン始動用スイッチ4、エンジン停止用スイッチ5及びニュートラルスイッチ6)の固定接点29及び所定の電気回路が形成された共通の基板を有し、エンジン始動用スイッチ4、エンジン停止用スイッチ5及びニュートラルスイッチ6の可動接点(15、19、23)が当該基板上を摺動して各スイッチのオン・オフがなされるので、基板を集約化することができ、更に部品点数を削減して製造コストをより低減させることができる。
【0046】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばマグネット錠MKから成る操作キーに代えて、従来の如きキー孔に挿通すべきイグニッションキーIK(図18、19参照)としてもよい。即ち、イグニッションキーIKは、エンジン始動用スイッチのロック(この場合、シリンダのタンブラによるロック等)を解除し、当該エンジン始動用スイッチのオン・オフ操作を可能とするものであり、連結手段としてのワイヤー30に取り付けられて一体とされるのである。一体化の方法は、図18に示すように、ワイヤー30の折り返し部にイグニッションキーIKの貫通孔を挿通させ直接取り付け、或いは図19に示すように、カール型ワイヤRを介して取り付けてもよい。
【0047】
然るに、イグニッションキーIKは、オン位置(エンジン始動位置)でも取り外し自在(キー孔に対する挿通状態は維持されるが、引っ張られると容易に抜ける状態)とする。これにより、上記実施形態と同様、操作キーとしてのイグニッションキーIKは、連結手段としてのワイヤー30に取り付けられて一体とされたので、イグニッションキーIKとワイヤー30とを一体として扱うことを可能として両者の管理を容易とし得るとともに、エンジンの駆動時、取り外し自在な状態とされたので、小型船舶から運転者が脱落したときにエンジンの強制停止を確実に行わせることができる。
【0048】
また、本実施形態においてはエンジン始動用スイッチ4、エンジン停止用スイッチ5及びニュートラルスイッチ6が一体化されてユニット3を構成しているが、これらスイッチを一体化せず、それぞれが独立なものであってもよい。更に、例えばマグネット錠MK内に固有のIDコードを送信し得るトランスポンダを具備させるとともに、上カバー体7に当該IDコードを受信し得るアンテナを配設することによりイモビライザ機能(受信したIDコードが正規のものである場合に限りエンジンの始動を許可するもの)を付加するよう構成してもよい。尚、本実施形態においては、モーターボートなどの小型船舶に適用されているが、他の搭乗手段(例えば、PWC(Personal Water Craft)や雪上車等)に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
操作キーが連結手段に取り付けられて一体とされるとともに、エンジンの駆動時、エンジン始動用スイッチから取り外した状態とすることが可能、又は取り外し自在な状態とされたスイッチ装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係るスイッチ装置を操作装置内に配設した状態を示す模式図
【図2】同スイッチ装置を示す上面図及び正面図
【図3】図2におけるIII−III線断面図
【図4】図2におけるIV−IV線断面図
【図5】同スイッチ装置を分解した状態を示す断面図
【図6】同スイッチ装置における共通の基板の裏面及び表面を示す模式図
【図7】図6におけるVII−VII線断面図
【図8】同スイッチ装置におけるマグネット錠を側面から見た図
【図9】図8におけるIX−IX線断面図
【図10】同スイッチ装置におけるエンジン始動用スイッチの操作ボタン近傍を示す模式図(操作ボタンの押圧操作及び回動が規制された状態)
【図11】図10におけるXI−XI線断面図
【図12】同スイッチ装置におけるエンジン始動用スイッチの操作ボタン近傍を示す模式図(マグネット錠を取り付けた状態)
【図13】同スイッチ装置におけるエンジン始動用スイッチの操作ボタン近傍を示す模式図(マグネット錠と共に操作ボタンを回動させた状態)
【図14】同スイッチ装置におけるエンジン始動用スイッチの操作ボタン近傍を示す模式図(操作ボタンの押圧操作が許容された状態)
【図15】同スイッチ装置におけるプレート及びそれに接続されたワイヤーを示す模式図
【図16】同スイッチ装置におけるワイヤーに取り付けられたマグネット錠を示す拡大図
【図17】本発明の他の実施形態に係るスイッチ装置におけるワイヤーに取り付けられたマグネット錠を示す拡大図
【図18】本発明の更に他の実施形態に係るスイッチ装置におけるワイヤーに取り付けられたイグニッションキーを示す拡大図
【図19】本発明の更に他の実施形態に係るスイッチ装置におけるワイヤーに取り付けられたイグニッションキーを示す拡大図
【符号の説明】
【0051】
1 操作装置
2 操作レバー
3 ユニット
4 エンジン始動用スイッチ
5 エンジン停止用スイッチ
6 ニュートラルスイッチ
7 上カバー体
8 側カバー体
9 下カバー体
10 本体
11 操作ボタン
12 固定部材
13 被操作バー
14 ローラ
15 可動接点
16 作動子
17 延設部
18 ローラ
19 可動接点
20 作動子
21 延設部
22 ローラ
23 可動接点
24 摺動基板(共通の基板)
25 プリント基板(共通の基板)
26 端子
27 コネクタ部
28 ブーツ
29 固定接点
30 ワイヤー
MK マグネット錠(操作キー)
IK イグニッションキー(操作キー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型船舶等の搭乗手段のエンジンを始動させるエンジン始動用スイッチと、
該エンジン始動用スイッチのロックを解除し、当該エンジン始動用スイッチのオン・オフ操作を可能とする操作キーと、
プレートを嵌合し得る作動子を具備するとともに、当該プレートが外れることにより作動子が作動し、前記エンジンを強制停止させるエンジン停止用スイッチと、
前記プレートが基端に形成されつつ先端が運転者に装着可能とされて運転者とプレートとを連結し、前記搭乗手段から運転者が脱落したときに当該プレートを引っ張って作動子から外し得る連結手段と、
を具備したスイッチ装置において、
前記操作キーは、前記連結手段に取り付けられて一体とされるとともに、エンジンの駆動時、エンジン始動用スイッチから取り外した状態とすることが可能、又は取り外し自在な状態とされたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記エンジン始動用スイッチは、押圧操作を許容する操作位置と規制する規制位置との間で回動可能とされ、規制位置から許容位置までの回動がロック可能とされた操作ボタンを具備するとともに、前記操作キーは、前記操作ボタンを覆って取り付けることにより当該操作ボタンの回動のロックを解除しつつその押圧操作を不可能とし、且つ、当該操作ボタンと共に操作位置まで回動した後に、前記エンジン始動用スイッチの操作ボタンから取り外した状態とすることが可能とされつつ、取り外した状態で当該操作ボタンの押圧操作を可能としたものであることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記操作ボタンは、磁石が係止することにより回動がロックされるとともに、前記操作キーは、当該磁石に対し磁力を及ぼすことにより係止を解除して回動のロックを解除するマグネット錠から成ることを特徴とする請求項2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記エンジン始動用スイッチ及びエンジン停止用スイッチは、エンジンの駆動力の制御を任意行うべく揺動操作可能な操作レバーのニュートラル位置を検知するニュートラルスイッチと共に一体化されてユニットを構成したことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記ユニットは、各スイッチの固定接点及び所定の電気回路が形成された共通の基板を有し、前記エンジン始動用スイッチ、エンジン停止用スイッチ及びニュートラルスイッチの可動接点が当該基板上を摺動して各スイッチのオン・オフがなされることを特徴とする請求項4記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−192350(P2008−192350A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22957(P2007−22957)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000213954)朝日電装株式会社 (184)
【Fターム(参考)】