説明

スキンケア方法

【課題】スキンケアにおいて、高い保湿効果および肌改善効果をもたらすと共に、べたつきがなくかつ化粧のりのよい肌状態を提供する。
【解決手段】9〜12質量%のグリセリンを含有する第1の水性化粧料を皮膚に適用し、次いで、1〜4質量%のグリセリンを含有する第2の水性化粧料を皮膚に適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリセリン含量の異なる2つの化粧料を用いたスキンケア方法およびスキンケア化粧料キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
きめが整い、うるおいに満ち、透明感がある肌を維持するためには、角質や表皮などの皮膚表層が正常に機能することが重要である。皮膚表面には、水分、天然保湿因子(NMF)、および脂質が存在し、この三者のバランスすなわちモイスチャーバランスが皮膚機能のホメオスタシスに重要である。角層は通常20%程度の水を保持しているが、様々な外的および内的要因により、MNFや細胞間脂質などが減少してモイスチャーバランスが崩れると、皮膚表層の機能が低下して、角層の水分保持力の低下、皮膚の乾燥、きめの乱れ、さらには肌荒れなどが生じる。そのような皮膚表層の機能低下に対して、化粧水や乳液のようなスキンケア化粧品を用いてスキンケアを行うことにより、水分、保湿成分、および油分等を補給してモイスチャーバランスを整え、皮膚表面を健康な状態に維持することができる。
【0003】
通常、水分や保湿成分を補給して皮膚にみずみずしさや潤いを与える化粧水と、水分や保湿成分と共に油分を補給して皮膚の保湿柔軟機能を高める乳液とを組み合わせて二段階で肌のお手入れが行われるが、その際に、より高い保湿効果を得るために化粧水と乳液の両方に保湿剤を配合したものを用いることが行われている。
【0004】
グリセリンは、高い保湿効果を有しており、化粧品等の皮膚外用剤において保湿剤として長年汎用されている。例えば、非特許文献1には、40%グリセリン含有保湿クリームを塗布することにより水分保持機能が上昇することが記載されている。さらに、グリセリンは、保湿効果に加えて優れた肌改善効果を有しており、たとえば特許文献1には、グリセリンを3〜25%含有する肌荒れ防止用油中水型乳化化粧料が記載されている。しかしながら、グリセリンは、ポリオール系化合物特有の特性により、配合量が高くなると独特のべたつき感が生じて使用感が悪くなる。さらに、より保湿効果や肌改善効果を高めるために、化粧水、乳液ともにグリセリンを多量に配合したものを用いた場合、スキンケア後の肌がべたつき、またその後メーキャップを行う場合にファンデーションが厚付きしまた不均一になるなど、化粧のりが悪くなるという問題があった。一方、化粧水と乳液に配合するトータルのグリセリン量を減らすと、べたつき感やファンデーションの厚付き等は改善されるが、保湿効果が十分ではなく、特に乾燥肌の場合肌荒れを生じるなど、十分なスキンケア効果をもたらすことはできない。
【特許文献1】特開2002−356416号公報
【非特許文献1】化粧品の有効性 評価技術の進歩と将来展望(南山堂)第44から第45頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑み、高い保湿効果および肌改善効果をもたらすと共に、べたつきがなくかつ化粧のりのよい肌状態を提供できるスキンケア方法およびスキンケア化粧料キットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、例えば化粧水のような第1の化粧料と乳液のような第2の化粧料を順次用いた二段階でのスキンケアにおいて、第1の化粧料と第2の化粧料に配合するトータルのグリセリン量が同じであれば同程度の角層水分量をもたらすことができ、さらにその際に、第1の化粧料にグリセリンを多く配合して、第2の化粧料のグリセリン配合量を少なくすることによって、保湿および肌改善効果をもたらすのに十分なトータルのグリセリン配合量を維持しながら、スキンケア後のべたつきを改善することができ、またそのスキンケア後の肌にファンデーションを薄く且つ均一に塗布できることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0007】
本願発明のスキンケア化粧料キットは、9〜12質量%のグリセリンを含有する第1の水性化粧料と、1〜4質量%のグリセリンを含有する第2の水性化粧料とを含むことを特徴とする。本発明のスキンケア化粧料キットは、第1の化粧料を皮膚に適用し、次いで、第2の化粧料を皮膚に適用するための指示書をさらに含むことが好ましい。
【0008】
また、本発明のスキンケア方法は、9〜12質量%のグリセリンを含有する第1の水性化粧料を皮膚に適用し、次いで、1〜4質量%のグリセリンを含有する第2の水性化粧料を皮膚に適用することを特徴とする。
【0009】
そのようなグリセリン配合量の異なる2つの化粧料を順次適用することによって、高い角層水分量をもたらすと共に、べたつきがなくかつ化粧のりのよい肌状態にすることができる。
【0010】
好ましくは、第1の化粧料のグリセリン含量と第2の化粧料のグリセリン含量の合計が12〜16質量%である。斯かる範囲のトータルのグリセリン量によって、より効果的な保湿および肌改善効果が得られる。
【0011】
また、第1の化粧料の油分含量が3質量%以下であり、第2の化粧料の油分含量が5〜20質量%であることが好ましい。スキンケアにおいて通常、比較的油分含量の少ない第1の化粧料でまず水分や保湿成分を補給して皮膚にみずみずしさや潤いを与え、次いで相対的に油分含量の多い第2の化粧料で水分や保湿成分と共に油分を補給して皮膚の保湿柔軟機能を高めて、良好な肌状態をもたらすことができる。
【0012】
さらに、より好ましくは第2の化粧料の油分中の固形油分の割合は1〜30%である。第2の化粧料中の固形油分含量が多すぎると、肌になじみにくくなり、またその後の化粧のりが悪くなる。
【0013】
本発明のメーキャップ方法は、本発明のスキンケア方法を施した後にファンデーションを塗布することを特徴とする。本発明の方法によりスキンケアを行った後にファンデーションを施すことによって、薄くかつ均一にファンデーションを付けることができ、化粧のりがよい良好な仕上がりのメーキャップを行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスキンケアキットおよびスキンケア方法は、第1の水性化粧料に9〜12質量%のグリセリンを配合し、第2の水性化粧料に1〜4質量%のグリセリンを配合し、それらを順次皮膚に適用することによって、肌に十分な潤いや保湿柔軟性をもたらすと共に、べたつきがなくかつ化粧のりのよい肌状態にすることができ、就寝前などの肌のお手入れに使用できるのみならず、その後メーキャップを行う場合でも適用でき、より簡便かつ効果的に肌改善効果をもたらすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のスキンケア化粧料キットは、9〜12質量%のグリセリンを含有する第1の水性化粧料と、1〜4質量%のグリセリンを含有する第2の水性化粧料とを含む。
【0016】
本発明において水性化粧料とは、水と均一に混合できる親水性の化粧料であり、水に配合成分が溶解および/または分散しているものを意味する。例えば、配合成分が水に溶解したり分散した化粧水、美容液、乳液状化粧料、クリーム状化粧料、ゲル状化粧料等が挙げられ、乳化タイプのものは水中油型(O/W型)の化粧料である。
【0017】
本発明において用いられる第1の水性化粧料は、9〜12質量%のグリセリンを含有するものであれば、通常のスキンケア化粧料に配合される任意の成分を配合して通常の方法により調製することができる。そのような化粧料として、例えば化粧水、美容液、乳液、クリームなどが挙げられるが、特に化粧水であることが好ましい。
【0018】
第1の水性化粧料は水分や保湿成分を補給して皮膚にみずみずしさや潤いを与えるものであることが望ましい。第1の化粧料の油分含量は3質量%以下であることが好ましく、例えば0.01〜3質量%であり、より好ましくは0.01〜1質量%である。また、使用性等の観点から第1の化粧料の油分中の固形油分の割合は1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下であり、最も好ましくは固形油分を含まない。尚、本発明において固形油分とは、常温(25℃)で固形状の油性成分を意味する。
【0019】
第1の水性化粧料は、本発明の目的を達成できる限り、通常スキンケア化粧料に配合される任意の成分を配合して調製することができる。例えば化粧水である場合、例えば、アルコール類、中和剤、保湿剤、増粘剤または水溶性高分子などの水性成分、エステル系油、植物系油、シリコーン系油などの液状油分、香料、ビタミン等の油性成分、界面活性剤、緩衝剤、防腐剤、酸化防止剤、色材、香料等を、順次精製水に溶解または分散させることによって調製することができる。
【0020】
本発明において用いられる第2の水性化粧料は、1〜4質量%のグリセリンを含有するものであれば、通常のスキンケア化粧料に配合される任意の成分を配合して通常の方法により調製することができる。そのような化粧料として、化粧水、美容液、乳液、クリームなどが挙げられるが、乳液であることが好ましい。
【0021】
第2の水性化粧料は水分や保湿成分と共に油分を補給して皮膚の保湿柔軟機能を高めるものであることが望ましい。第2の化粧料の油分含量は5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜10質量%である。また、第2の化粧料の油分中の固形油分の割合は1〜30%であることが好ましく、より好ましくは1〜20%、さらに好ましくは1〜10%である。第2の化粧料中の固形油分含量が多すぎると、肌になじみにくくなり、またその後の化粧のりが悪くなる。
【0022】
第2の水性化粧料は、本発明の目的を達成できる限り、通常スキンケア化粧料に配合される任意の成分を配合して調製することができる。例えば乳液である場合、例えば、アルコール類、保湿剤、中和剤、増粘剤または水溶性高分子などの水性成分、エステル系油、植物系油、シリコーン系油等の液状油分、炭化水素系油、高級アルコール、ロウ類などの固形油分、ワセリン等の半固形油分、界面活性剤、緩衝剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤、香料などを配合し、水相に油相を攪拌しながら添加して乳化させることによって調製することができる。
【0023】
保湿および肌改善効果の観点から、第1の化粧料と第2の化粧料のグリセリン含量の合計が12〜16質量%であることが好ましく、より好ましくは12〜14質量%である。本発明のスキンケア方法により、べたつきやファンデーションの厚付きなどの不都合を生じることなくグリセリンを多量に配合することができ、十分かつ高い保湿および肌改善効果をもたらすことができる。
【0024】
本発明で用いる第1および第2の水性化粧料は、本発明の目的を達成できる限り、グリセリンに加えて他の任意の保湿剤を含んでいてよく、そのような保湿剤として限定はされないが、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物、トラネキサム酸等が挙げられる。
【0025】
また、本発明の第1および第2化粧料は、限定はされないが、通常化粧料で用いられる下記の任意の成分を必要に応じて適宜選択して配合することができる。
【0026】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0027】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0028】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0029】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が挙げられる。
【0030】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0031】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0032】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム重合体メチル エーテル 等が挙げられる。
【0033】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0034】
ブチルヒドロキシトルエン,トコフェロール,フィチン等の酸化防止剤;安息香酸,サリチル酸,ソルビン酸,パラオキシ安息香酸アルキルエステル,ヘキサクロロフェン等の抗菌剤;アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸,リンゴ酸,酒石酸,乳酸等の有機酸;ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2及びその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸,アスコルビン酸硫酸エステル(塩),アスコルビン酸リン酸エステル(塩),アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,δ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカルプトーン、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、セファランチン、プラセンタエキス等の各種薬剤、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ、セイヨウサンザシエキス、セイヨウオトギリソウエキス、アイリス・インエキス、アセンヤクエキス、イチョウ葉エキス、イブキジャコウエキス、ウイキョウエキス、ウーロン茶エキス、ウオーターリリーエキス、エイジツエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、クチナシエキス、紅茶エキス、セイカリュウエキス、トルメンチラエキス、バラエキス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ローズマリーエキス、ローヤルゼリーエキス等の植物の抽出物、色素、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル等の非イオン性活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリン等のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、水酸化カリウム、トリエタノールアミン等の中和剤、δ−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、フェノキシエタノール、パラベン等の防腐剤、パラアミノ安息香酸(以下 PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル等の紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム等の紫外線散乱剤、ハイドロキノン配糖体、トラネキサム酸またはその誘導体、レゾルシン、4−n−ブチルレゾルシノールなどのアルキルレゾルシノール、およびこれらの塩のようなレゾルシンおよびその誘導体、グルタチオン、コウジ酸、エラグ酸、生薬等の美白剤などが挙げられる。
【0035】
本発明のメーキャップ方法は、上記方法によりスキンケアを施した後にファンデーションを塗布する。第2の水性化粧料を適用した後直接ファンデーションを塗布してもよいが、化粧下地等他の化粧料をさらに適用した上にファンデーションを塗布してもよい。また、ファンデーションの剤形も特に限定されず、粉末固形ファンデーション、乳化型ファンデーション、油性ファンデーションなど、任意のものを含む。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定され
るものではない。
【0037】
1.化粧料の調製
表1に示す処方で、グリセリンの配合量をそれぞれ0〜12質量%の間で変化させて下記方法に従い化粧水および乳液を調製した。以下の試験において、そのように調製した化粧水を第1の水性化粧料として、また乳液を第2の水性化粧料として用いた。
【表1】

【0038】
(1)化粧水の調製
精製水に保湿剤を加え、室温下で溶解する。また、エタノールに油分、界面活性剤、パラベンを加え室温下で溶解する。アルコール相を前述の水相に添加して混合する。
【0039】
(2)乳液の調製
一部の精製水に、アルコール、保湿剤、水酸化カリウムを混合・溶解後、70℃に加熱し、同じく70℃で溶解した活性剤・油分・パラベンを混合したものを加えて乳化する。その後、カルボキシビシルポリマ−を精製水に分散させたものを添加し、機械力にて混合し、30℃まで冷却する。
【0040】
2.第1の化粧料と第2の化粧料に配合するグリセリン量の検討
表1に示す試験例1〜6のグリセリン配合量の組合せについて、適用後に皮膚表面〜角層部に残存するグリセリンの量を評価した。
【0041】
皮膚に残存するグリセリン量は、デタッチャブルベアファイバーATRプローブ((株)システムズエンジニアリング)を用いて赤外吸収スペクトル(IR)法により測定した。プローブの接界面から深さ約5μmでの赤外吸収スペクトルを計測することにより、皮膚表面から深さ5μmまでの角層部に残存する物質の量の変化を、ピーク強度差として求めることができる。
【0042】
メーク落としおよび洗顔料を用いてダブル洗顔した後、IR測定を行った(適用前)。各試験例の組合せで、コットンを用いて、第1の化粧料(化粧水)2mlを1分間かけて顔に塗布し、次いで第2の化粧料(乳液)1.5mlを1分間かけてその上に塗布し、120分間放置した後、再度IR測定を行った(適用120分後)。さらにその後、お湯で洗顔を行った後にIR測定を行った(再洗顔後)。(n=9)
適用120分後および再洗顔後のピーク強度から、適用前のピーク強度を引いてピーク強度差を求めた。それぞれ図1および図2に結果を示す。ピーク強度差は、適用により皮膚表面から深さ5μmまでの角層部に残存するグリセリン残量の指標となる。適用後120分の値(図1)は、角層に取り込まれたグリセリンと皮膚表面に残存するグリセリン量の合計量を示す。一方、再洗顔後の値(図2)は、皮膚表面に存在するグリセリンが除かれた後に角層に残存するグリセリン量を示すと考えられる。
【0043】
図1に示すように、第1化粧料と第2化粧料のグリセリンのトータルの配合量が同じ(試験例3〜6)であっても、第2の化粧料のグリセリン含量が多い程、適用後残存するグリセリン量が多かった。皮膚表面に残存するグリセリン量が多いと、べたつきや、その後のファンデーションの厚付きの原因になると考えられる。
【0044】
図2に示すように、その後再洗顔すると、皮膚表面に残っていたグリセリンが除かれて、グリセリンのトータルの配合量が同じ(13%)である試験例3〜6ではほぼ同程度の量のグリセリンが角層部に残存することが示された。グリセリンのトータルの配合量に依存してグリセリンが角層部に取り込まれ、保湿効果および皮膚改善効果をもたらすことができると考えられる。
【0045】
さらに、データは示していないが、上記のIR測定法により、グリセリン量の測定と同時に同様の方法で皮膚表面から深さ5μmまでに存在する水分量をピーク強度差として測定した。試験例3〜6では、再洗顔後、適用前と比較して皮膚の水分量の増加が認められた。
【0046】
一方、グリセリンを全く配合しなかった試験例1およびグリセリンのトータルの配合量が4%の試験例2では、再洗顔後全くグリセリンが残存せず、また水分量も適用前と同程度かむしろ減少した。
【0047】
3.グリセリン配合量の化粧のりに対する影響
上記と同様に、試験例2、3、4および6について、適用後さらにファンデーションを塗布した際の化粧のりを画像解析により評価した。
【0048】
メーク落としおよび洗顔料を用いてダブル洗顔した後、各試験例の組合せで、コットンを用いて、第1の化粧料(化粧水)2mlを1分間かけて顔に塗布し、次いで第2の化粧料(乳液)1.5mlを1分間かけてその上に塗布し、さらにその上にパウダリングファンデーションを塗布した。ほほ部をスキンビジオムII((株)資生堂)(100倍偏光VMS(Visual Monitoring System))を用いて画像解析して、ファンデーションの付着量、不均一さおよび粗さを計測した。
【0049】
図3に、ほほ部の偏光画像写真を示す。また、その解析結果を下記の表2に示す:
【表2】

【0050】
試験例3、4および6はグリセリンのトータルの配合量が同じであるが、第1の化粧料のグリセリン配合量が多く第2の化粧料のグリセリン配合量が少ない試験例6では、ファンデーションの付着量が少なくまた付きが滑らかで均一であったのに対して、第1の化粧料のグリセリン配合量が少なく第2の化粧料のグリセリン配合量が多い試験例3および4では、ファンデーションの付着量が多くまた付きが粗く不均一であった。
【0051】
上記の結果から、第1の化粧料にグリセリンを多く配合して、第2の化粧料のグリセリン配合量を少なくすることによって、保湿および肌改善効果をもたらすのに十分なトータルのグリセリン量を維持しながら、スキンケア後の肌にファンデーションを薄く且つ均一に塗布でき、化粧のりのよい肌状態を提供できることが示された。
【0052】
4.長期連用効果の検討
上記試験例1〜6の各組合せで、朝と夜に1ヶ月連続でスキンケアを行った後、使用感、角層水分量等について評価した。
【0053】
毎回、化粧水をコットンで2ml塗布し、その後乳液をコットンで1.5mlずつ塗布した。1ヶ月適用後、使用感(化粧水塗布後のべたつきのなさおよびみずみずしさ、乳液塗布後のべたつきのなさ)、およびファンデーションののり(付きの厚さおよび均一性)について、下記評価基準に基づきアンケートで評価した(N=8):

各項目について感じる人の人数
6名以上:◎
4〜5名:○
2〜3名:△
0〜1名:×

さらに、連用前と1ヶ月連用後にほほ部の角層水分量を水分計Corneometer(登録商標)CM825(CK社)を用いて測定し、下記基準により評価した(N=8):

連用前と比較した連用後の角層水分量
有意に増加:○
変化なし :△
有意に減少:×
【0054】
結果を表3に示す:
【表3】

【0055】
第1の化粧料中のグリセリン配合量が9〜12質量%で、第2の化粧料中のグリセリン配合量が1〜4質量%である試験例5および6では、1ヶ月連用後、使用感に優れ、またファンデーションののりもよく、さらに角層水分量が有意に増加して高い保湿効果も認められた。一方、第1の化粧料中のグリセリン配合量よりも第2の化粧料中のグリセリン配合量が多い試験例3および4では、角層水分量は有意に増加したが、第2の化粧料塗布後の使用性が悪く、またファンデーションののりも悪かった。グリセリンを配合しない試験例1およびトータルのグリセリン配合量が少ない試験例2では、連用により角層水分量は増加せず、保湿効果を全くもたらすことができなかった。
【0056】
以下に、本発明の化粧料キットの他の処方例を示す。配合量は全て製剤全量に対する質量%で表す。
【0057】
処方例1:
第1の化粧料(化粧水)
配合成分 配合量(質量%)
精製水 残部
エタノール 5
グリセリン 10
1,3−ブチレングリコール 5
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル 0.2
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.03
トリメチルグリシン 1
α−トコフェロール2−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム 0.1
EDTA3ナトリウム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.05
水酸化カリウム 0.02
フェノキシエタノール 0.05
香料 適量

第2の化粧料(乳液)
配合成分 配合量(質量%)
精製水 残部
グリセリン 2
1,3−ブチレングリコール 7
エリスリトール 2
ジメチルポリシロキサン 3
ベヘニルアルコール 1
バチルアルコール 0.5
硬化油 2
スクワラン 6
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2
イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 1
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1
水酸化カリウム 適量
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
フェノキシエタノール 0.03
カルボキシビニルポリマー 0.1
【0058】
処方例2:
第1の化粧料(化粧水)
配合成分 配合量(質量%)
精製水 残部
グリセリン 11
ジプロピレングリコール 12
エタノール 8
POEメチルグルコシド 3
POE(24)POP(13)デシルテトラデシルエーテル 0.5
クエン酸 0.02
クエン酸ナトリウム 0.08
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 0.5
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
EDTA3ナトリウム 0.01
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
パラベン 0.1
香料 適量

第2の化粧料(乳液)
配合成分 配合量(質量%)
精製水 残部
グリセリン 4
1,3−ブチレングリコール 7
1,2−ペンタンジオール 1
キシリット 3
ポリエチレングリコール20000 2
ワセリン 5
ベヘニルアルコール 0.5
バチルアルコール 0.5
硬化油 2
ホホバ油 2
スクワラン 5
イソステアリン酸 0.5
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.4
水酸化カリウム 適量
ピロ亜硫酸ナトリウム 0.01
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
トリメチルグリシン 3
アルブチン 3
酢酸トコフェロール 0.1
クララエキス 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.2
フェノキシエタノール 0.03
【0059】
上記処方例の化粧料キットを適用することにより、優れた保湿効果および肌改善効果をもたらすと共に、その上にファンデーションを均一かつ薄付けすることができ、化粧のりのよい肌状態をもたらすことができた。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】各グリセリン配合量の組合せにおける、適用120分後の肌上グリセリンピーク強度差を示すグラフ。
【図2】各グリセリン配合量の組合せにおける、再洗顔後の肌上グリセリンピーク強度差を示すグラフ。
【図3】各グリセリン配合量の組合せにおける、ファンデーション塗布後のほほ部のスキンビジオムII 100倍偏光画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
9〜12質量%のグリセリンを含有する第1の水性化粧料と、1〜4質量%のグリセリンを含有する第2の水性化粧料とを含む、スキンケア化粧料キット。
【請求項2】
前記第1の化粧料のグリセリン含量と前記第2の化粧料のグリセリン含量の合計が、12〜16質量%であることを特徴とする請求項1記載の化粧料キット。
【請求項3】
前記第1の化粧料の油分含量が3質量%以下であり、前記第2の化粧料の油分含量が5〜20質量%である請求項1または2記載の化粧料キット。
【請求項4】
前記第2の化粧料の油分中の固形油分の割合が1〜30%である請求項3記載の化粧料キット。
【請求項5】
前記第1の化粧料を皮膚に適用し、次いで、前記第2の化粧料を皮膚に適用するための指示書をさらに含む請求項1から4いずれか1項記載の化粧料キット。
【請求項6】
9〜12質量%のグリセリンを含有する第1の水性化粧料を皮膚に適用し、次いで、1〜4質量%のグリセリンを含有する第2の水性化粧料を皮膚に適用するスキンケア方法。
【請求項7】
前記第1の化粧料のグリセリン含量と前記第2の化粧料のグリセリン含量の合計が、12〜16質量%である請求項6記載のスキンケア方法。
【請求項8】
前記第1の化粧料の油分含量が3質量%以下であり、前記第2の化粧料の油分含量が5〜20質量%である請求項6または7記載のスキンケア方法。
【請求項9】
前記第2の化粧料の油分中の固形油分の割合が1〜30%である請求項8記載のスキンケア方法。
【請求項10】
請求項6から9いずれか1項記載のスキンケア方法を施した後にファンデーションを塗布するメーキャップ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−59115(P2010−59115A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227955(P2008−227955)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【Fターム(参考)】