説明

スクリューコンベアの磨耗計測装置及び磨耗計測方法

【課題】ケーシングやスクリューの磨耗量を容易に計測することができるスクリューコンベアの磨耗計測装置及び磨耗計測方法を提供する。
【解決手段】筒状のケーシング16と、該ケーシング16の内部に回転可能に設けられたスクリューとを備えたスクリューコンベアの磨耗計測装置22であって、前記ケーシング16に設けられた孔部23と、該孔部23からケーシング16内に先端側が挿脱可能に挿入され後端側がケーシング16外に突出される計測棒24と、該計測棒24を摺動可能に案内するように前記ケーシング16に取付けられる案内通路を有する本体と、該本体に設けられ前記計測棒24を挿入した状態又は引き抜いた状態に保持する保持部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機に設けられたスクリューコンベアの磨耗計測装置及び磨耗計測方法に係り、特にスクリューコンベアを分解することなくケーシングやスクリューの磨耗量を計測する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機は、掘削した土砂を後方に搬出する排土装置としてスクリューコンベアを備えている(特許文献1参照)。スクリューコンベアは、ケーシングと、このケーシング内に回転可能に設けられたスクリューと、ケーシングの後端部に設けられスクリューを回転駆動する駆動部とから主に構成されている。スクリューは、回転軸の外周に螺旋状の送り羽根(フライトともいう)を設けて構成されている。
【0003】
前記スクリューコンベアにおいては、掘削が進むにつれてスクリューコンベアのスクリューやケーシングが磨耗していく。磨耗が進行し、万が一、スクリューの送り羽根が摩滅したり、ケーシングに穴が開いてしまうと、土砂を搬出することが困難となり、トンネルの掘削を行うことが困難となる。このため、シールド掘進機においては、超音波板圧計を用いてスクリューコンベアのケーシングの板厚を定期的に計測し、管理することが行われている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−336489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記シールド掘進機においては、超音波板圧計を用いることによりスクリューコンベアを分解することなくそのケーシングの磨耗量を計測することが可能であるが、スクリューの磨耗量を計測することは困難であった。なお、ケーシングが2重構造の場合や、補強用の鋼板がケーシングの内面に張られている場合には、超音波が2層の境界面で反射してしまうため、ケーシングの磨耗量を超音波式板圧計で計測することが困難であった。
【0006】
本発明は、前記事情を考慮してなされたものであり、ケーシングやスクリューの磨耗量を容易に計測することができるスクリューコンベアの磨耗計測装置及び磨耗計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のスクリューコンベアの磨耗計測装置は、筒状のケーシングと、該ケーシングの内部に回転可能に設けられたスクリューとを備えたスクリューコンベアの磨耗計測装置であって、前記ケーシングに設けられた孔部と、該孔部からケーシング内に先端側が挿脱可能に挿入され後端側がケーシング外に突出される計測棒と、該計測棒を摺動可能に案内するように前記ケーシングに取付けられる案内通路を有する本体と、該本体に設けられ前記計測棒を挿入した状態又は引き抜いた状態に保持する保持部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
前記本体には、前記計測棒を挿入する時に前記案内通路を開き、計測棒を引き抜いたときに前記案内通路を閉じるための開閉弁が介設されていることが好ましい。
【0009】
前記保持部は、前記本体における前記案内通路の開口端に設けられた固定側フランジ部と、前記計測棒の後端に設けられた可動側フランジ部と、該可動側フランジ部を前記固定側フランジ部に対して進退移動させた挿入位置又は引き抜き位置に保持するボルト及びナットとを備えていることが好ましい。
【0010】
本発明のスクリューコンベアの磨耗計測方法は、請求項1に記載の磨耗計測装置をスクリューコンベアのケーシングの下部に設置し、前記計測棒をその先端がケーシングの内周面と略同一位置にあるスクリューの周縁部に当接した状態に前記保持部で保持しておき、スクリューコンベアの所定の稼働時間後に前記ケーシングの内周面と一緒に先端が磨耗した前記計測棒を引き抜いて該計測棒の長さを計測し、予め計測しておいた磨耗前の計測棒の長さと磨耗後の計測棒の長さの差からケーシングの内面の磨耗量を計測することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のスクリューコンベアの磨耗計測方法は、請求項1に記載の磨耗計測装置をスクリューコンベアのケーシングの側部に設置し、前記計測棒の先端を前記孔部から前記ケーシング内に挿入してスクリューの周縁部に当接させたときの計測棒の後端側の突出長さを予め計測し又は突出した長さが分かる目印を予め付けておき、その後計測棒を引き抜いた状態に保持し、所定の稼働時間後に前記計測棒の先端を前記ケーシング内に再度挿入してスクリューの周縁部に当接させたときの計測棒の後端側の突出長さを計測し又は突出した長さが分かる目印を付け、その突出長さと予め計測しておいた突出長さの差又はその目印と予め付けておいた目印との間隔からスクリューの磨耗量を計測することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スクリューコンベアのケーシング及びスクリューの磨耗量を容易に計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基いて詳述する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係るシールド掘進機を概略的に示す縦断面図、図2はスクリューコンベアの要部を拡大して示す一部断面側面図、図3はスクリューコンベアの要部である先端側を拡大して示す平面図、図4は図3のB−B線側面図、図5はスクリューコンベアのフライト及びケーシング内面の磨耗量を計測する方法を説明する図である。
【0015】
図1に示すように、シールド掘進機1は、筒状のシールドフレーム2の内部にこれを前後に仕切る隔壁3を設け、シールドフレーム2の前面に切羽地山を掘削する回転式のカッター4を設けて構成されている。カッター4は、センターボス4aに複数本のカッタースポーク4bを放射状に設け、カッタースポーク4bには地山を掘削するカッタービット4cやカッタースポーク4bの内部から径方向外方に突出して地山を掘削するオーバーカッター(図示省略)が設けられている。
【0016】
隔壁3には回転リング5が回転可能に設けられ、この回転リング5と前記カッタースポーク4bが中間ビーム6を介して連結されている。前記回転リング5にはリング状の歯車7が設けられ、前記隔壁3にはその歯車7に駆動歯車8を噛合させてカッター4を回転駆動する駆動部(例えばモータ)9が設けられている。隔壁3は、例えば前記シールドフレーム2の内周に設けられた環状の第1隔壁3aと、該第1隔壁3aの内周側に配置される第2隔壁3bとからなり、図示例では第2隔壁3bは、第1隔壁3aと同様に固定の隔壁になっているが、回転リング5と一緒に回転する構造になっていてもよい。
【0017】
前記カッター4と隔壁3の間には、カッタービット4cやオーバーカッターにより掘削された土砂を取り込むための土砂取り込み室(チャンバー)10が形成されている。なお、カッタースポーク4bの背面部には、該カッタースポーク4bと一体に回転して土砂取り込み室10内の土砂を混練したり、第1隔壁3aへの土砂の付着を抑制するための攪拌翼11が突設されていることが好ましい。なお、図示例のカッターフレーム2は、中折れ用のジャッキ12を介して屈曲可能に連結された前胴部2aと後胴部2bからなり、前胴部2aには推進用のシールドジャッキ13が設けられ、後胴部2bには旋回リング14を介して図示しないセグメント組立装置が設けられている。
【0018】
前記隔壁3を構成する第1隔壁3aの下側には土砂取り込み室10から土砂を後方に搬出するためのスクリューコンベヤ15が設けられている。このスクリューコンベア15は、円筒状のケーシング16と、このケーシング16内に回転可能に設けられたスクリュー17と、このスクリュー17を回転駆動する駆動部(例えば電動モータ)18とを有している。スクリュー17は、回転軸17aと、この回転軸17aに設けられた螺旋状の送り羽根17bとからなる。ケーシング16の後端部には駆動部18が取付けられ、この駆動部18によってスクリュー17の回転軸17aの後端部が回転駆動されるようになっている。スクリュー17は、先端側が自由端になっており、駆動部18をケーシング16との固定を解除して後方に移動させることによりスクリュー17をケーシング16内に沿って後退させたり、ケーシング16から引き抜くことが可能になっている。
【0019】
スクリューコンベア15は、前端部が前記第1隔壁3aの下側に接続され、後端側が斜め上方に向って延出されている。前記ケーシング16の前端部は第1隔壁3aに接続するために斜めに切断されている。第1隔壁3aにはケーシング16の内部と連通する開口部が設けられ、この開口部19からスクリュー17の先端部が土砂取込室10内に突出されている。
【0020】
第1隔壁3aには、メンテナンスのためにスクリュー17の先端側を開口部19から後退させたときに、開口部19を閉鎖することが可能な入口ゲート(図示省略)が設けられている。また、ケーシング16の後部側の下部には排土口(図示省略)が設けられていると共に、この排土口を開閉する出口ゲート20が設けられている。
【0021】
スクリュー17は、先端側が自由端となった片持ち構造であり、スクリュー17の先端側がケーシング16の内面に自重で接触しうるため、スクリュー17の先端側及びこれに対応するケーシング16の内面(下面)が磨耗しやすい。このため、図2に示すように、ケーシング16は、メンテナンスが可能なように先端ケース16aと、中間ケース16bと、後端ケース16cとに分割可能に構成されている。
【0022】
この場合、後端ケース16cは、先端ケース16aに比して長尺であり、中間ケース16bは、先端ケース16aと略同じ長さである。先端ケース16aと中間ケース16bの対向部には両者をボルトとナットで接合するためのフランジ部21a,21bが設けられている。また、中間ケース16bと後端ケース16cの対向部には両者をボルトとナットで接合するためのフランジ部21c,21dが設けられている。
【0023】
中間ケース16bは、上下に分割可能な半割り構造の上ケース部材16b1と下ケース部材16b2とからなり、これら上ケース部材16b1と下ケース部材16b2とには両者をボルトとナットで連結するためのフランジ部21e,21fが設けられている。下ケース部材16b2から上ケース部材16b1を取外し、スクリュー17の先端側を後退させ、スクリュー17の先端側の溶断及び溶接による交換作業が可能になっている。
【0024】
先端ケース16aは、外ケース16a1と内ケース16a2の二重構造とされ、内ケース16a2が磨耗した場合、外ケース16a1から内ケース16a2を引き抜いて交換できるようになっている。内ケース16a2の基端には外向きのフランジ部21gが設けられ、このフランジ部21gが外ケース16a1のフランジ部21aと中間ケース16bのフランジ部21bとの間に挟まれた状態で固定される。図2ないし図3に示すように、先端ケース16aの先端部、具体的には外ケース16a1の先端部にはこれを第1隔壁3aの開口部19周縁部に接続するための接続フランジ部21hが設けられている。
【0025】
このよう構成されたスクリューコンベア15のケーシング16やスクリュー17の磨耗を検知ないし計測するために、ケーシング16の先端ケース16aには次のような磨耗計測装置22が取付けられている。図6は磨耗計測装置の一例を示す図で、計測棒を挿入位置に保持した状態の拡大断面図、図7は磨耗計測装置の一例を示す図で、計測棒を引き抜き位置に保持した状態の拡大断面図である。
【0026】
この磨耗計測装置22は、図6ないし図7に示すように、前記ケーシング16に設けられた孔部23と、該孔部23からケーシング16内に先端側が挿脱可能に挿入され後端側がケーシング16外に突出される計測棒24と、該計測棒24を摺動可能に案内するように前記ケーシング16に取付けられる案内通路22bを有する本体(磨耗計測装置本体)22aと、該本体22aに設けられ前記計測棒24を挿入した状態又は引き抜いた状態に保持する保持部26とを備えている。
【0027】
計測棒24は所定の太さ例えば直径30mmで所定の長さ例えば270mmを有し、基端部には後述する所定の直径例えば100mmの可動側フランジ部24aが設けられている。ケーシング16の磨耗計測用として、前記孔部23は、先端ケース16aの下部に例えば前後2箇所設けられ(図2参照)、且つスクリュー17の磨耗計測用として、先端ケース16aの両側部に設けられる(図3参照)。この場合、先端ケース16aの両側部の孔部23は、送り羽根17bに対応するピッチで設けられている。
【0028】
前記本体22aは、前記孔部23に取付けられる取付部25と、案内通路22bの開口端に設けられる固定側フランジ部26aとを有し、取付部25と固定側フランジ部26aとの間に前記計測棒24を挿入する時に前記案内通路22bを開き、計測棒24を引き抜いたときに前記案内通路22bを閉じるための開閉手段である開閉弁例えばボールバルブ28が介設されている。前記取付部25は、前記孔部23に嵌合する嵌合部25aと、ケーシング16の外面にパッキン27を介して当接されると共にボルト止めされる鍔部25bとを有している。
【0029】
前記ボールバルブ28は、球形の弁体28aと、この弁体28aを回動可能に収容する弁箱28bと、弁体28aを回動するハンドル28cとを有し、弁体28aには計測棒24を挿通する挿通孔28dが形成されている。前記ハンドル28cを図6に示すように案内通路22bと同じ方向に操作すると開弁位置になり挿通孔28dと案内通路22bとが連通し、ハンドル28cを図7に示すように案内通路22bと直交する方向に操作すると閉弁位置になり案内通路22bが遮断される。
【0030】
前記弁箱28bの両端部にはフランジ部28e,28fが設けられ、一方のフランジ部28eが前記取付部25の鍔部25bにボルト止めされ、他方のフランジ部28fに前記固定側フランジ部26aが埋め込みボルト29aとナット29bにより取付けられている。埋め込みボルト29aを用いるのは、可動側フランジ部24aの内面が当接される固定側フランジ部26aの外面に不要な突起物を設けないようにするためである。
【0031】
保持部26は、前記本体22aにおける前記案内通路22bの開口端に設けられた固定側フランジ部26aと、前記計測棒24の後端に設けられた可動側フランジ部24aと、該可動側フランジ部24aを前記固定側フランジ部26aに対して進退移動させた挿入位置又は引き抜き位置に保持するボルト(主ボルト)30a及びナット(主ナット)30bとを備えている。
【0032】
可動側フランジ部24aには主ボルト30aを挿通するボルト挿通孔31が形成され、このボルト挿通孔31に主ボルト30aを挿通した状態で主ボルト30aが、先端を固定側フランジ部26aに設けられた雌ねじ孔32に螺着することにより固定側フランジ部26aに対して垂直に立設されている。この主ボルト30aには、計測棒24の可動側フランジ部24aの外面に当接して計測棒24の位置決めを行うための主ナット30bが螺着されており、例えば計測棒24を挿入位置(図6参照)や引き抜き位置(図7参照)に位置決めすることができる。なお、この引き抜き位置では、計測棒24の先端がボールバルブ28よりも外側に位置されるので、ボールバルブ28を閉じることができ、ボールバルブ28を閉じることにより案内通路22bを通ってスクリューコンベヤ15のケーシング16内からの土砂や水が漏れるのを防止することができる。
【0033】
可動側フランジ部24aには計測棒24を挿入位置から引き抜き方向にねじ送りしたり、挿入位置の調整を行うことが可能な補助ボルト33aを着脱可能に羅合する雌ねじ孔34が設けられており、この雌ねじ孔34にねじ込まれた補助ボルト33aは先端を固定側フランジ部26aの外面に当接させてその反力で計測棒24を引き抜き方向にねじ送りすることができる。この補助ボルト33aには可動側フランジ部24aの外面に当接して前記主ナット30bと同様に計測棒24の位置決めをすることが可能な補助ナット33bが螺着されている。なお、前記補助ボルト33aは、前記主ボルト30aよりも長さが半分程度と短いため、計測棒24を引き抜き位置に移動する場合には雌ねじ孔34から取外される(図7参照)。
【0034】
次に、以上の構成からなる磨耗計測装置22を用いたスクリューコンベア15の磨耗計測方法ついて説明する。ケーシング16の磨耗を計測するために、図4に示すように磨耗計測装置22をスクリューコンベア15のケーシング16の下部に設置し、前記計測棒24をその先端がケーシング16の内周面(内ケース16a2の内面)と略同一位置にあるスクリュー17の送り羽根17bの周縁部に当接した状態に前記保持部26を構成する主ボルト30aの主ナット30b及び補助ボルト33aと補助ナット33bの回動調節により保持しておく。この状態で、スクリューコンベア15を稼動(運転)すると、スクリュー17の下部が自重で先端ケース16aの内周面の下面に接触することにより、図5に示すように先端ケース16aの内周面(内ケース16a2の内面)及び計測棒24の先端が一緒に磨耗する。
【0035】
そして、スクリューコンベア15の所定の稼働時間後に前記計測棒24を本体22aから引き抜いて該計測棒24の長さを計測し、予め計測しておいた磨耗前の計測棒24の長さと磨耗後の計測棒24の長さの差(すなわち計測棒24の磨耗量)からケーシング16の内面の磨耗量を計測することができる。すなわち、計測棒24の磨耗量とケーシング16の内面の磨耗量が等しいため、計測棒24の磨耗量を計測することによりケーシング16の内面の磨耗量を計測することができる。
【0036】
また、スクリュー17の磨耗を計測するために、図4に示すように磨耗計測装置22をスクリューコンベア15のケーシング16の両側部に設置し、前記計測棒24の先端を前記孔部23から前記ケーシング16内に挿入してスクリュー17の周縁部に当接させたときの計測棒24の後端側の突出長さ(例えば固定側フランジ部26a外面からの可動側フランジ部24a外面までの突出長さ)を予め計測し又は突出した長さが分かる目印(例えば固定側フランジ部26a外面が位置する計測棒24の表面に目印となる傷)を予め付けておく。その後、図7に示すように計測棒24を引き抜いた状態に保持し、ボールバルブ28を閉にしておく。そして、スクリューコンベア15の所定の稼働時間後に図5に示すように前記計測棒24の先端を前記ケーシング16内に再度挿入してスクリュー17の周縁部に当接させ、このときの計測棒24の後端側の突出長さを計測し又は突出した長さが分かる目印を付け、その突出長さと予め計測しておいた突出長さの差又はその目印と予め付けておいた目印との間隔を測定することによりスクリュー17の磨耗量(送り羽根17bの磨耗量)を計測することができる。
【0037】
このようにして、ケーシング16及びスクリュー17の磨耗をスクリューコンベア15を分解することなく容易且つ正確に計測することができる。そして、これらの計測結果に基いて、先端ケース16aにおける内ケース16a2の交換やスクリュー17の先端部の交換を含むメンテナンスを行えばよい。ケーシング用の磨耗計測装置22においては、計測棒24が磨耗するため、計測棒24の交換のみを行えばよく、スクリュー用の磨耗計測装置22においては、計測棒24が磨耗しないため、計測棒の交換を行う必要がない。
【0038】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係るシールド掘進機を概略的に示す縦断面図である。
【図2】スクリューコンベアの要部を拡大して示す一部断面側面図である。
【図3】スクリューコンベアの要部である先端側を拡大して示す平面図である。
【図4】図3のB−B線側面図である。
【図5】スクリューコンベアのフライト及びケーシング内面の磨耗量を計測する方法を説明する図である。
【図6】磨耗計測装置の一例を示す図で、計測棒を挿入位置に保持した状態の拡大断面図である。
【図7】磨耗計測装置の一例を示す図で、計測棒を引き抜き位置に保持した状態の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0040】
15 スクリューコンベア
16 ケーシング
17 スクリュー
22 磨耗計測装置
22a 本体
22b 案内通路
23 孔部
24 計測棒
24a 可動側フランジ部
26 保持部
26a 固定側フランジ部
28 ボールバルブ(開閉弁)
30a 主ボルト(ボルト)
30b 主ナット(ナット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケーシングと、該ケーシングの内部に回転可能に設けられたスクリューとを備えたスクリューコンベアの磨耗計測装置であって、前記ケーシングに設けられた孔部と、該孔部からケーシング内に先端側が挿脱可能に挿入され後端側がケーシング外に突出される計測棒と、該計測棒を摺動可能に案内するように前記ケーシングに取付けられる案内通路を有する本体と、該本体に設けられ前記計測棒を挿入した状態又は引き抜いた状態に保持する保持部と、を備えたことを特徴とするスクリューコンベアの磨耗計測装置。
【請求項2】
前記本体には、前記計測棒を挿入する時に前記案内通路を開き、計測棒を引き抜いたときに前記案内通路を閉じるための開閉弁が介設されていることを特徴とする請求項1記載のスクリューコンベアの磨耗計測装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記本体における前記案内通路の開口端に設けられた固定側フランジ部と、前記計測棒の後端に設けられた可動側フランジ部と、該可動側フランジ部を前記固定側フランジ部に対して進退移動させた挿入位置又は引き抜き位置に保持するボルト及びナットとを備えたことを特徴とする請求項1記載のスクリューコンベアの磨耗計測装置。
【請求項4】
請求項1に記載の磨耗計測装置をスクリューコンベアのケーシングの下部に設置し、前記計測棒をその先端がケーシングの内周面と略同一位置にあるスクリューの周縁部に当接した状態に前記保持部で保持しておき、スクリューコンベアの所定の稼働時間後に前記ケーシングの内周面と一緒に先端が磨耗した前記計測棒を引き抜いて該計測棒の長さを計測し、予め計測しておいた磨耗前の計測棒の長さと磨耗後の計測棒の長さの差からケーシングの内面の磨耗量を計測することを特徴とするスクリューコンベアの磨耗計測方法。
【請求項5】
請求項1に記載の磨耗計測装置をスクリューコンベアのケーシングの側部に設置し、前記計測棒の先端を前記孔部から前記ケーシング内に挿入してスクリューの周縁部に当接させたときの計測棒の後端側の突出長さを予め計測し又は突出した長さが分かる目印を予め付けておき、その後計測棒を引き抜いた状態に保持し、所定の稼働時間後に前記計測棒の先端を前記ケーシング内に再度挿入してスクリューの周縁部に当接させたときの計測棒の後端側の突出長さを計測し又は突出した長さが分かる目印を付け、その突出長さと予め計測しておいた突出長さの差又はその目印と予め付けておいた目印との間隔からスクリューの磨耗量を計測することを特徴とするスクリューコンベアの磨耗計測方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−144450(P2010−144450A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323986(P2008−323986)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(390026549)小西咲株式会社 (2)
【Fターム(参考)】