説明

スクリューポイントの製造方法

【課題】効率よく製造でき、コストの低減化が図れるスクリューポイントの製造方法を提供する。
【解決手段】四角錐体を捩じったような4条のスクリューからなるスクリューポイント10の製造方法において、パーティングライン20が、形成すべきスクリューポイント10の平面視における外形線に対応する、不連続に現れる各条の山部の稜線に当たる山部ライン22と、各条の谷部における該谷部を横切る谷部ライン24とが順次交互に連続して、上下方向にジグザグ状をなすパーティングライン20に設定された上型16と下型18とを用い、加熱した材料を熱間鍛造してスクリューに形成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリューポイントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
土質や地耐力を調査するために、いわゆるスウェーデン式サウンディング試験(JIS A 1221)が一般に広く行われている。
スウェーデン式サウンディング試験は、ロッドの先端にスクリューポイントを取り付け、ロッドに荷重と回転を掛けつつ、スクリューポイントを地中に貫入させ、所要貫入位置での荷重やロッドの回転数等から土地の地層構造を判定するものである。
スクリューポイントは、長さ20cmのほぼ四角錐をなす棒状体を1回転捩ったような4条のスクリュー形状をなしており、その具体的な形状、寸法はJIS規格に定められている。
従来、一般的には、スクリューポイントは丸棒を切削することによって製造されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−263868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、スクリューポイントは荷重や回転を加えられながら地中に貫入されるものであるため、貫入時に土砂や礫などとの接触により摩耗する。そのため、頻繁に交換する必要があり、費用面から、より低廉なものが求められている。
しかしながら、上記のように、スクリューポイントを切削により製造すると、複雑な形状をしていることから、効率よく製造できず、コストがかかり、低廉に提供できないという課題がある。また、スクリューポイントを鋳造により製造することも考えられるが、鋳造の場合には製品に巣が入り易く、必要な強度が得られないという課題がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、効率よく製造でき、コストの低減化が図れるスクリューポイントの製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明に係るスクリューポイントの製造方法は、四角錐体を捩じったような4条のスクリューからなるスクリューポイントの製造方法において、パーティングラインが、形成すべきスクリューポイントの平面視における外形線に対応する、不連続に現れる各条の山部の稜線に当たる山部ラインと、各条の谷部における該谷部を横切る谷部ラインとが順次交互に連続して、上下方向にジグザグ状をなすパーティングラインに設定された上型と下型とを用い、加熱した材料を熱間鍛造してスクリューに形成することを特徴とする。
【0007】
また、前記上型と下型とが、前記パーティングラインに沿う、上下方向に凸凹したパーティング面を有し、鍛造工程において該パーティング面間に材料をバリとして流出させ、該バリを除去する工程を含むことを特徴とする。
また、前記バリを除去した跡を仕上げ研削する仕上げ工程を含むことを特徴とする。
また、ロッドへの取り付け部たるネジを形成するネジ切り工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パーティングラインを所要の凸凹状のパーティングラインに設定することによって、2つの割型とすることができ、平面視アンダーカットとなる部位を有する複雑な形状のスクリューポイントを鍛造で、容易に生産、かつ量産することができ、コストの低減化が図れる。
また、鍛造によって形成するので、品質に優れたスクリューポイントを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】スクリューポイントの平面図である。
【図2】鍛造した際のバリ跡を示す説明図である。
【図3】上型と下型の凸凹のパーティングラインを示す説明図である。
【図4】下型の説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1はスクリューポイント10の平面図である。
スクリューポイント10は四角錐体を捩じったような4条のスクリューからなり、スクリュー部12と、所定のロッド(図示せず)への取り付け部たる雄ネジ部14を有する。
本実施の形態では、図3に示すように、上下に型割した上型16と下型18との2つの鍛造金型を用いて、熱間鍛造してスクリューポイント10を製造する。
【0011】
上記のように、スクリューポイント10は、四角錐体を捩じったような4条のスクリュー形状をなすことから、平面視、アンダーカット部分が生じ、単純な平坦なパーティングラインの割型では製造できない。
4条のスクリュー状をなすことから、4方向からの4つの割型を用いれば、平坦なパーティングラインの割型とすることができるが、鍛造の際には、4方向から打ちつけることとなり、製造が事実上不可能であろう。また、金型コストも高騰する。
【0012】
そこで、本実施の形態では、上型16と下型18のパーティングラインを以下のように設定することで、2つの割型のみでスクリューポイント10を鍛造によって製造することを可能にした。
図2は、鍛造品に残るバリ跡を示す説明図であり、このバリ跡からパーティングラインが理解される。
【0013】
すなわち、本実施の形態では、パーティングライン20が、形成すべきスクリューポイント10の平面視における外形線(図1に示す輪郭線)に対応する、不連続に現れる各条の山部の稜線に当たる山部ライン22と、各条の谷部における該谷部を横切る谷部ライン24とが順次交互に連続して、上下方向にジグザグ状をなすパーティングライン20に設定された上型16と下型18とを用いる。
なお、雄ネジ部14のネジ切りは鍛造加工後に行うので、鍛造の際は、雄ネジ部14に対応する部位は単なる棒状体に形成するので、この部位におけるパーティングライン(棒状体ライン)26は平坦なラインとなる。
【0014】
図3は、金型の正面図であり、パーティングラインが上下方向にジグザグ状をなすことが理解されよう、なお、図3において、22a、24a、26aは金型の手前側の縁におけるパーティングライン20aであり、22b、24b、26bは金型の奥側の縁におけるパーティングライン20bである。この両パーティングライン20a、20bの間は、スクリュー部12、および雄ネジ部14を形成するための棒状部に対応する所要内面形状をなす凹部28(図4)に形成されていることは言うまでもない。
【0015】
図4は下型18の平面図である。図4に示されるように、凹部28の両側には、パーティングライン20に沿う、上下方向に凸凹したパーティング面30が形成されている。上型16にも、下型18のパーティング面30に対して逆向きの凸凹したパーティング面(図示せず)が形成されている。
下型18のパーティング面30と上型16のパーティング面との間は、完全型閉じした際に、所要の厚さの空間が形成されるように設定され、鍛造の際、材料の余分な肉がバリとして上記空間内に流出するようになっている。このようにすることで、鍛造の際、材料が下型18および上型16の両凹部30内に十分に行き渡り、正確な形状のスクリューポイント10の製造が可能となる。
【0016】
下型18および上型16は上記のように形成されている。
したがって、下型18と上型16とを鍛造機(図示せず)にセットし、常法により、下型18と上型16との間に、加熱された丸棒状の材料を配置し、鍛造機により型打ちすることによって、パーティングラインに沿ってバリの発生した、スクリューポイント10の素製品を得ることができる。
なお、下型18と上型16を用いた型打ちは、荒打ちと仕上げ打ちの2回行うことによって、素製品を得ることができた。あるいは、必要に応じて、専用のつぶし用の金型、荒打ち用金型、仕上げ用金型を用意し、複数段の型打ちによって素製品を形成してもよい。
【0017】
次に、バリ取りを行う。
バリ取りは専用のダイスとポンチを用意する(図示せず)。
ダイスとポンチも、下型18と上型16のパーティングラインに沿う凸凹面であって、かつ、スクリューポイント10の外形線よりは若干大きなダイス口と、押面とをそれぞれ有するダイスおよびポンチに形成する。このダイスとポンチを用いて、素製品の抜き加工を行う。これによって、パーティングラインに沿って若干バリの残ったトリミング品を得ることができる。
このトリミング品に残ったバリは、砥石を用いて研削する仕上げ加工を行って除去する。
【0018】
また、雄ネジ部に対応する棒状部にネジ切り加工を行って雄ネジ部14を形成する。
そして必要に応じて、焼き入れ加工および焼き戻し加工を行ってスクリューポイント10に完成する。
さらには、ニッケルめっき等の仕上げめっき皮膜を形成して完成品としてもよい。
【0019】
本実施の形態によれば、パーティングラインを所要の凸凹状のパーティングラインに設定することによって、2つの割型とすることができ、平面視アンダーカットとなる部位を有する複雑な形状のスクリューポイントを鍛造で、容易、かつ量産することができ、コストの低減化が図れる。
また、鍛造によって形成するので、品質に優れたスクリューポイントを提供できる。
【符号の説明】
【0020】
10 スクリューポイント
12 スクリュー部
14 雄ネジ部
16 上型
18 下型
20 パーティングライン
22 山部ライン
24 谷部ライン
26 棒状体ライン
28 パーティング面
30 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角錐体を捩じったような4条のスクリューからなるスクリューポイントの製造方法において、
パーティングラインが、形成すべきスクリューポイントの平面視における外形線に対応する、不連続に現れる各条の山部の稜線に当たる山部ラインと、各条の谷部における該谷部を横切る谷部ラインとが順次交互に連続して、上下方向にジグザグ状をなすパーティングラインに設定された上型と下型とを用い、加熱した材料を熱間鍛造してスクリューに形成することを特徴とするスクリューポイントの製造方法。
【請求項2】
前記上型と下型とが、前記パーティングラインに沿う、上下方向に凸凹したパーティング面を有し、鍛造工程において該パーティング面間に材料をバリとして流出させ、該バリを除去する工程を含むことを特徴とする請求項1記載のスクリューポイントの製造方法。
【請求項3】
前記バリを除去した跡を仕上げ研削する仕上げ工程を含むことを特徴とする請求項2記載のスクリューポイントの製造方法。
【請求項4】
ロッドへの取り付け部たるネジを形成するネジ切り工程を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のスクリューポイントの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−200737(P2012−200737A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65325(P2011−65325)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【特許番号】特許第4751967号(P4751967)
【特許公報発行日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(310008778)
【Fターム(参考)】