説明

スクリーン印刷装置および部品実装システムならびに部品実装システムにおける基板供給方法

【課題】必要なクリーニング品質を確保しつつ下流側の部品実装装置が印刷後の基板の搬入待ちのために待機する無駄時間を排除することができるスクリーン印刷装置および部品実装システムならびにこの部品実装システムにおける基板供給方法を提供することを目的とする。
【解決手段】スクリーン印刷装置M1と部品実装装置M2との間に、ペーストが印刷された後の基板4をストックする基板ストック部6を配設し、基板ストック部6における基板4のストック量が所定量に到達したならばスクリーン印刷装置M1による印刷作業を停止して、基板ストック部6から下流への基板4の供給を継続しながら、クリーニングヘッド33によってマスクプレート22の清掃作業を行う。これにより、必要なクリーニング品質を確保しつつ部品実装装置M2が印刷後の基板4の搬入待ちのために待機する無駄時間を排除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に半田接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置および基板に電子部品を実装して実装基板を製造する部品実装システムならびにこの部品実装システムにおいて印刷後の基板を部品実装装置に供給する基板供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装して実装基板を製造する部品実装システムは、基板に半田接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置や、印刷後の基板に電子部品を実装する部品実装装置などを連結して構成されている。部品実装システムにおいて高い生産性を実現するには、システムを構成する各装置のラインバランスが保たれて、いずれの装置においても待機時間などのタクトロスが極力発生しないことが求められる。
【0003】
しかしながら、装置種類によってはある頻度での装置停止が避けられない場合がある。例えばスクリーン印刷装置では、印刷動作の反復に伴い基板に当接するスクリーンマスクの下面にペーストが付着することによる汚損が進行し、印刷品質を低下させる要因となる。このような不具合を防止するため、スクリーンマスクの下面をクリーニングツールによって清掃して汚損を除去するマスククリーニング機構を備えたスクリーン印刷装置が用いられ、所定のインターバルでマスククリーニング動作を行うようにしている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献例においては、マスクプレートの下面を清掃するクリーニングユニットを、基板を保持して位置決めする基板位置決め部と一体に設け、基板位置決め部に保持された基板を撮像のためにマスクプレートの下方から移動させる度に、クリーニングユニットによってマスクプレートの下面を清掃するようにしている。これにより、マスククリーニングのための専用の時間を設定することなく、通常の印刷動作時間中にマスククリーニングを実行することができる。したがってスクリーン印刷装置をマスククリーニングのために停止させる必要がなく、下流側の部品実装装置が印刷後の基板の搬入待ちのために待機する無駄時間を排除することができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−315300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上述の特許文献例に示す先行技術においては、印刷動作時間中の利用可能なタイミングにマスククリーニングを実行するようにしていることからクリーニング時間が制約され、必ずしも必要とされるクリーニング品質が確保されるとは限らない。このため、クリーニング不良に起因する印刷不良の発生を完全に防止することが難しく、このような印刷不良が発生するとその都度マスククリーニングを改めて実行することを余儀なくされ、同様に生産性の低下を招く結果となっていた。
【0007】
そこで本発明は、必要なクリーニング品質を確保しつつ下流側の部品実装装置が印刷後の基板の搬入待ちのために待機する無駄時間を排除することができるスクリーン印刷装置および部品実装システムならびにこの部品実装システムにおける基板供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスクリーン印刷装置は、基板に電子部品を搭載する部品実装装置の上流側に連結されて部品実装システムを構成し、前記基板に部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、上流側装置より供給された基板を保持して所定の印刷位置に位置決めする基板位置決め部と、パターン孔が設けられ前記ペーストが供給されたマスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記基板位置決め部によって位置決め保持された前記基板に前記パターン孔を介してペーストを印刷するスクリーン印刷部と、前記マスクプレートの下面にクリーニングヘッドを摺接させることによりこのマスクプレートを清掃するマスククリーニング機構と、前記スクリーン印刷部によってペーストが印刷され前記基板位置決め部から搬出された後の基板をストックする基板ストック部と、前記基板ストック部における基板のストック量を検出するストック量検出部と、前記ストック量検出部によって前記ストック量が所定量に到達したことが検出されたならば、前記スクリーン印刷部による印刷作業を停止して前記マスククリーニング機構によるマスクプレートの清掃作業を実行させる制御処理部とを備えた。
【0009】
本発明の部品実装システムは、基板に電子部品を搭載する部品実装装置の上流側に、前記基板に電子部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置を連結して構成される部品実装システムであって、前記スクリーン印刷装置は、上流側装置より供給された基板を保持して所定の印刷位置に位置決めする基板位置決め部と、パターン孔が設けられ前記ペーストが供給されたマスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記基板位置決め部によって位置決め保持された前記基板に前記パターン孔を介してペーストを印刷するスクリーン印刷部と、前記マスクプレートの下面にクリーニングヘッドを摺接させることによりマスクプレートを清掃するマスククリーニング機構とを有し、前記スクリーン印刷装置と前記部品実装装置との間に配設され、前記スクリーン印刷装置によってペーストが印刷された後の基板をストックする基板ストック部と、前記基板ストック部における基板のストック量を検出するストック量検出部と、前記ストック量検出部によって前記ストック量が所定量に到達したことが検出されたならば、前記スクリーン印刷装置による印刷作業を停止して前記マスククリーニング機構によるマスクプレートの清掃作業を実行させる制御処理部とを備えた。
【0010】
本発明の部品実装システムにおける基板供給方法は、基板に電子部品を搭載する部品実装装置の上流側に前記基板に電子部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置を連結して構成される部品実装システムにおいて、ペーストが印刷された後の基板を前記部品実装装置に供給する基板供給方法であって、前記スクリーン印刷装置は、上流側装置より供給された基板を保持して所定の印刷位置に位置決めする基板位置決め部と、パターン孔が設けられ前記ペーストが供給されたマスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記基板位置決め部によって位置決め保持された前記基板に前記パターン孔を介してペーストを印刷するスクリーン印刷部と、前記マスクプレートの下面にクリーニングヘッドを摺接させることによりマスクプレートを清掃するマスククリーニング機構とを有し、前記スクリーン印刷装置と前記部品実装装置との間には、前記スクリーン印刷装置によってペーストが印刷された後の基板をストックする基板ストック部が配設されており、前記スクリーン印刷装置において複数の前記基板に対して連続的にペーストを印刷する印刷実行工程と、ペーストが印刷された後の基板を前記基板ストック部に搬送してストックする基板ストック工程と、前記ストックされた基板を前記基板ストック部から下流側の部品実装装置へ順次供給する基板供給工程とを含み、前記基板ストック工程において前記基板ストック部における基板のストック量が所定量に到達したならば、前記スクリーン印刷装置による印刷作業を停止して前記マスククリーニング機構によるマスクプレートの清掃作業を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スクリーン印刷装置と部品実装装置との間にペーストが印刷された後の基板をストックする基板ストック部を配設し、この基板ストック部における基板のストック量が所定量に到達したならばスクリーン印刷装置による印刷作業を停止して、マスククリーニング機構によるマスクプレートの清掃作業を実行させることにより、必要なクリーニング品質を確保しつつ下流側の部品実装装置が印刷後の基板の搬入待ちのために待機する無駄時間を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図
【図4】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置における基板ストック部の構成説明図
【図5】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置における制御系の構成を示すブロック図
【図6】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおける基板供給方法の工程説明図
【図7】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。図1において、部品実装システム1は、スクリーン印刷装置M1、部品実装装置M2、M3、M4、M5をX方向(基板搬送方向)に直列に接続して構成されている。これらの各装置はLAN2によって相互に接続されており、LAN2に接続されたホストコンピュータ3によって統括して制御される。実装対象となる基板4は、上流側(図面において左側)から各装置を順次下流側に搬送され(矢印a)、これにより、基板4には電子部品が実装される。すなわちまず上流側からスクリーン印刷装置M1に供給された基板4に対して、印刷機構5によって電子部品接合用のペーストが印刷により供給され、ペースト印刷後の基板4はスクリーン印刷装置M1に内蔵して設けられた基板ストック部6によって一時的にストックされる。
【0014】
ストックされたペースト印刷後の基板4は、部品実装装置M2の搬送コンベア7に搬入され、この基板4に対して電子部品が実装される。すなわち、部品供給部8に装着された複数のパーツフィーダ9から搭載ヘッド10によって電子部品を取り出し、搬送コンベア7に位置決め保持された基板4に移送搭載する。部品実装装置M2の下流側に接続された部品実装装置M3、M4,M5は、部品実装装置M2と同様構成となっており、基板4がこれらの各装置に順次搬入されることにより、基板4を対象とした部品実装工程が完了する。
【0015】
ここで、スクリーン印刷装置M1によって1枚の基板4にペーストを印刷するタクトタイムは、部品実装装置M2などの部品実装装置によって1枚の基板4に電子部品を実装するタクトタイムよりも短い。したがって、部品実装システム1の定常的な稼働状態では、部品実装装置M2に供給されるために取り出される数よりも多い数量の基板4が基板ストック部6に搬入され、基板ストック部6における基板4のストック量は逐次増加する。このため、定常的な稼働状態においては、印刷機構5の稼働を所定インターバルで停止させる必要があり、本実施の形態においては、後述するようにこの停止時間を利用して印刷機構5におけるマスククリーニング作業を実行するようにしている。
【0016】
次に図2,図3を参照して、印刷機構5の構成および機能を説明する。図2において、印刷機構5は、基板位置決め部11の上方にスクリーン印刷部20を配設して構成されて
いる。基板位置決め部11は、上流側装置より供給された基板4を保持して所定の印刷位置に位置決めする機能を有しており、Y軸テーブル12、X軸テーブル13およびθ軸テーブル14を段積みし、更にその上にZ軸テーブル15を載置して構成されている。Z軸テーブル15上には基板4を下面側から下受けして保持する基板保持部16が設けられている。上流側から搬入コンベア18A(図3)を介して搬入された基板4は基板保持部16上に搬入され、クランパ17によって両側から挟み込まれて位置が固定される。以下に説明するスクリーン印刷部20によって印刷された後の基板4は、搬出コンベア18B(図3参照)を介して下流側へ搬出される。
【0017】
基板位置決め部11の上方に配設されたスクリーン印刷部20は、マスク枠21に展張されたマスクプレート22を備えている。マスクプレート22には、印刷対象に応じたパターン孔22aが設けられている。マスクプレート22上にはスキージヘッド23が配設されている。スキージヘッド23は、水平なプレート24にスキージ26を昇降させるスキージ昇降機構25を配設した構成となっており、スキージ移動機構(図示省略)によってY方向に水平移動する(矢印b)。またスキージ昇降機構25を駆動することにより、スキージ26は昇降して(矢印c)マスクプレート22の上面に当接する。
【0018】
Z軸テーブル15を上昇させてマスクプレート22の下面を基板4に当接させた状態で、ペーストが供給されたマスクプレート22上で、スキージ移動手段を駆動してスキージ26をY方向に移動させることにより、パターン孔22aを介して基板4にはペーストが印刷される。すなわちスクリーン印刷部20は、パターン孔22aが設けられペーストが供給されたマスクプレート22上でスキージ26を摺動させることにより、基板位置決め部11によって位置決め保持された基板4にパターン孔22aを介して基板4の電極4aにペーストを印刷する。
【0019】
次に、マスクプレート22の下面をクリーニングするマスククリーニング機構について説明する。図2,図3に示すように、本実施の形態においては、クリーニングヘッドユニット30は基板4およびマスクプレート22を撮像するカメラヘッドユニット31と一体的に移動する構成となっている。カメラヘッドユニット31は、基板4を上方から撮像するための基板認識カメラ31aと、マスクプレート22を下面側から撮像するためのマスク認識カメラ31bとを備えており、カメラヘッドユニット31を移動させることにより、基板4の認識とマスクプレート22の認識とを同時に行うことができる。
【0020】
図3に示すように、クリーニングヘッドユニット30は水平なユニットベース30aに未使用のクリーニングペーパ(図示省略)を巻回したペーパロール32Aと、使用済みのクリーニングペーパを巻回したペーパロール32Bおよびクリーニングヘッド33を配設した構成となっており、ペーパロール32Aから引き出されたクリーニングペーパは、クリーニングヘッド33を経由してペーパロール32Bに回収される。カメラヘッドユニット31およびクリーニングヘッドユニット30は、ヘッドX軸テーブル34Xに装着されてX方向に一体的に移動し、さらにヘッドX軸テーブル34Xは、ヘッドY軸テーブル34YによってY方向に移動する。ヘッドX軸テーブル34XおよびヘッドY軸テーブル34Yは、カメラヘッドユニット31およびクリーニングヘッドユニット30を一体的に水平移動させるヘッド移動手段34を構成する。
【0021】
カメラヘッドユニット31による基板4やマスクプレート22の認識を行わず、またクリーニングヘッドユニット30によるマスククリーニングを行わないときには、図2に示すように、カメラヘッドユニット31、クリーニングヘッドユニット30はともに基板位置決め部11の上方から側方に退避する。そしてマスククリーニングを実行する際には、クリーニングヘッドユニット30をカメラヘッドユニット31とともにマスクプレート22の下方に進出させ、次いでクリーニングヘッド33を上昇させる。
【0022】
そしてクリーニングヘッド33によってクリーニングペーパをマスクプレート22の下面に押し当てた状態で(図6(b)参照)、クリーニングヘッドユニット30をヘッド移動手段34によって水平移動させることにより、マスクプレート22の下面を拭き取ってクリーニングする。クリーニングヘッドユニット30およびヘッド移動手段34は、マスクプレート22の下面にクリーニングヘッド33を摺接させることにより、マスクプレート22を清掃するマスククリーニング機構35を構成する。
【0023】
次に図4を参照して、印刷機構5(スクリーン印刷装置)と部品実装装置M2との間に配設され、印刷機構5によってペーストが印刷された後の基板4をストックする基板ストック部6の構成および機能について説明する。基板ストック部6は、ペースト印刷後の基板4を複数枚段積みして収納可能なマガジン40を備えている。昇降機構41によってマガジン40を昇降させることにより(矢印d)、マガジン40の内部に設けられた複数の収納棚の各段を、基板4の搬送高さに一致させ、マガジン40への基板4の搬入・搬出を行うことができる。
【0024】
印刷機構5によってペースト印刷が行われて搬出コンベア18Bによって搬送された基板4は、基板搬入ユニット45によってマガジン40内に収納される。すなわち、基板搬入ユニット45は基板4を搬出コンベア18B上で押送する押送部材46を備えており、基板搬入ユニット45を昇降させ(矢印e)、押送部材46を水平移動させることにより(矢印f)、基板4は搬出コンベア18Bの上面を押送されてマガジン40内の所定の収納棚に収納される。
【0025】
また基板ストック部6の下流側には、部品実装装置M2の搬送コンベア7の上方に位置して、基板4を取り出すためのチャック機構48を備えた基板搬出ユニット47が水平移動可能に設けられている。取り出し対象の基板4を搬送コンベア7の高さレベルに一致させた状態で、基板搬出ユニット47を水平移動させ(矢印g)、基板4をチャック機構48によって把持することにより、基板4はマガジン40から搬送コンベア7上に引き出される。
【0026】
マガジン40には温調ユニット42(温度調整手段)が付随して設けられており、温調ユニット42を作動させることにより、基板4がストックされる収納スペース40a内の温度を、基板4に印刷されたペーストの経時劣化が進行しないように調整することができる。すなわち、基板ストック部6は、基板4がストックされる雰囲気の温度を調整する温度調整手段を備えている。さらにマガジン40の上部において、予め設定された所定量の基板枚数に相当する高さ位置には、投光部43a、受光部43bより成る透過型の光センサを用いた基板検出センサ43が配設されている。収納スペース40a内において下段から順次段積みされた基板4の枚数が、予め設定された所定量に到達すると、投光部43aから投射された光軸が基板4によって遮光される。この遮光を受光部43bが検知し、この検知信号がストック量検出部44に伝達されることにより、ストック量検出部44は基板ストック部6における基板4のストック量が所定量に到達したことを検出する。
【0027】
次に図5を参照して、制御系の構成を説明する。図5において、制御処理部50はCPU機能であり、記憶部51に記憶された制御プログラムや作業データに基づき、以下の各部を制御する。機構駆動部52は、制御処理部50によって制御されて、基板位置決め部11、スクリーン印刷部20、マスククリーニング機構35および基板ストック部6を駆動し、それぞれの作業動作を実行させる。認識処理部53は、基板認識カメラ31a、マスク認識カメラ31bによって撮像された画像を認識処理する。これにより、マスクプレート22や基板4の位置が検出され、この検出結果に基づき基板位置決め部11により基板位置決めが行われる。ストック量検出部44は、基板検出センサ43の検出信号に基づ
き、基板ストック部6における基板4のストック量を検出する。
【0028】
ここで、制御処理部50は、ストック量検出部44によって基板ストック部6内の基板4のストック量が所定量に到達したことが検出されたならば、印刷機構5による印刷作業を停止して、マスククリーニング機構35によるマスクプレートの清掃作業を実行させるように、上述の各部を制御する。そしてマスククリーニングのために印刷機構5による印刷作業が停止している間は、基板ストック部6にストックされた印刷後の基板4が下流の部品実装装置M2以下の各装置に連続して供給される。
【0029】
この基板供給方法について、図6を参照して説明する。図6(a)は、部品実装システム1においてスクリーン印刷装置M1、部品実装装置M2がともに定常的に稼働している状態を示している。すなわち、スクリーン印刷装置M1の印刷機構5においては、搬入コンベア18Aに順次搬入される複数の基板4を対象として、スクリーン印刷部20によって連続的にペーストを印刷するスクリーン印刷が実行される(印刷実行工程)。そしてペーストが印刷された後の基板4は搬出コンベア18Bを介して基板ストック部6へ搬送され、基板搬入ユニット45の押送部材46によって押送されてマガジン40内にストックされる(矢印h)(基板ストック工程)。そしてストックされた基板4は、基板ストック部6のマガジン40から基板搬出ユニット47のチャック機構48によって把持されて、搬送コンベア7上に順次引き出され、これにより基板4は、部品実装装置M2上に供給される(基板供給工程)。
【0030】
図6(b)は、スクリーン印刷装置M1の印刷機構5において、スクリーン印刷部20による印刷作業が停止され、基板ストック部6のマガジン40から基板4を搬送コンベア7上に順次引き出して部品実装装置M2に供給する基板供給のみが継続されている状態を示している。すなわち、前述のように、スクリーン印刷装置M1の処理能力は部品実装装置M2などの部品実装装置の処理能力よりも大きく、部品実装システム1の定常的な稼働状態では、基板ストック部6においてマガジン40内の基板4のストック量は次第に増加する。
【0031】
そして上述の基板ストック工程において、基板ストック部6における基板4のストック量が、図4に示す所定量に到達したならば、スクリーン印刷装置M1による基板4への印刷作業を停止して、マスククリーニング機構35によるマスクプレート22の清掃作業を実行する。すなわち、クリーニングヘッドユニット30のクリーニングヘッド33を上昇させてマスクプレート22の下面に当接させ、クリーニングヘッドユニット30をY方向へ移動させることにより、マスクプレート22の下面をクリーニングヘッド33によってクリーニングする。
【0032】
これにより、下流側の部品実装装置M2への基板4の供給を中断することなく、マスククリーニング作業を実行することができる。このとき、クリーニング時間には大きな制約がないことから、クリーニング品質を確保するために必要な時間を費やして十分なクリーニングを行うことができる。したがってクリーニング品質を確保しつつ下流側の部品実装装置が印刷後の基板4の搬入待ちのために待機する無駄時間を排除して、生産性の低下を防止することができる。
【0033】
なお、上述の実施の形態においては、基板ストック部6をスクリーン印刷装置M1内に取り込んだ装置形態の例を示したが、基板ストック部6の機能を単独の装置として部品実装システムを構成するようにしてもよい。すなわち、図7に示すように、印刷機構5を主体とする単独のスクリーン印刷装置M1Aと部品実装装置M2との間に、基板ストック部6を主体とする基板ストック装置M1Bを配置するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のスクリーン印刷装置、部品実装システムおよび基板供給方法は、必要なクリーニング品質を確保しつつ下流側の部品実装装置が印刷後の基板の搬入待ちのために待機する無駄時間を排除することができるという効果を有し、基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 部品実装システム
4 基板
5 印刷機構
6 基板ストック部
11 基板位置決め部
20 スクリーン印刷部
22 マスクプレート
22a パターン孔
23 スキージユニット
26 スキージ
30 クリーニングヘッドユニット
33 クリーニングヘッド
35 マスククリーニング機構
40 マガジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電子部品を搭載する部品実装装置の上流側に連結されて部品実装システムを構成し、前記基板に部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、
上流側装置より供給された基板を保持して所定の印刷位置に位置決めする基板位置決め部と、パターン孔が設けられ前記ペーストが供給されたマスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記基板位置決め部によって位置決め保持された前記基板に前記パターン孔を介してペーストを印刷するスクリーン印刷部と、前記マスクプレートの下面にクリーニングヘッドを摺接させることによりこのマスクプレートを清掃するマスククリーニング機構と、
前記スクリーン印刷部によってペーストが印刷され前記基板位置決め部から搬出された後の基板をストックする基板ストック部と、前記基板ストック部における基板のストック量を検出するストック量検出部と、
前記ストック量検出部によって前記ストック量が所定量に到達したことが検出されたならば、前記スクリーン印刷部による印刷作業を停止して前記マスククリーニング機構によるマスクプレートの清掃作業を実行させる制御処理部とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記基板ストック部は、前記基板がストックされる雰囲気の温度を調整する温度調整手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
基板に電子部品を搭載する部品実装装置の上流側に、前記基板に電子部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置を連結して構成される部品実装システムであって、
前記スクリーン印刷装置は、上流側装置より供給された基板を保持して所定の印刷位置に位置決めする基板位置決め部と、パターン孔が設けられ前記ペーストが供給されたマスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記基板位置決め部によって位置決め保持された前記基板に前記パターン孔を介してペーストを印刷するスクリーン印刷部と、前記マスクプレートの下面にクリーニングヘッドを摺接させることによりマスクプレートを清掃するマスククリーニング機構とを有し、
前記スクリーン印刷装置と前記部品実装装置との間に配設され、前記スクリーン印刷装置によってペーストが印刷された後の基板をストックする基板ストック部と、前記基板ストック部における基板のストック量を検出するストック量検出部と、
前記ストック量検出部によって前記ストック量が所定量に到達したことが検出されたならば、前記スクリーン印刷装置による印刷作業を停止して前記マスククリーニング機構によるマスクプレートの清掃作業を実行させる制御処理部とを備えたことを特徴とする部品実装システム。
【請求項4】
基板に電子部品を搭載する部品実装装置の上流側に前記基板に電子部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置を連結して構成される部品実装システムにおいて、ペーストが印刷された後の基板を前記部品実装装置に供給する基板供給方法であって、
前記スクリーン印刷装置は、上流側装置より供給された基板を保持して所定の印刷位置に位置決めする基板位置決め部と、パターン孔が設けられ前記ペーストが供給されたマスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記基板位置決め部によって位置決め保持された前記基板に前記パターン孔を介してペーストを印刷するスクリーン印刷部と、前記マスクプレートの下面にクリーニングヘッドを摺接させることによりマスクプレートを清掃するマスククリーニング機構とを有し、
前記スクリーン印刷装置と前記部品実装装置との間には、前記スクリーン印刷装置によってペーストが印刷された後の基板をストックする基板ストック部が配設されており、
前記スクリーン印刷装置において複数の前記基板に対して連続的にペーストを印刷する印刷実行工程と、ペーストが印刷された後の基板を前記基板ストック部に搬送してストッ
クする基板ストック工程と、前記ストックされた基板を前記基板ストック部から下流側の部品実装装置へ順次供給する基板供給工程とを含み、
前記基板ストック工程において前記基板ストック部における基板のストック量が所定量に到達したならば、前記スクリーン印刷装置による印刷作業を停止して前記マスククリーニング機構によるマスクプレートの清掃作業を実行させることを特徴とする部品実装システムにおける基板供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−129598(P2011−129598A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284684(P2009−284684)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】