説明

スケーラブル及び保守可能な固体ドライブ

固体ディスクドライブを保守するための方法及び装置は、記憶容量の拡張を容易とし、例えば内部メモリ記憶メディアの保守が開示される。メモリモジュールは固体ドライブへの取り外し可能な取り付けに適合されており、ドライブ記憶容量の拡張、及び故障したか又は使い尽くされたメモリ記憶メディアの修理が可能である。データは、固体ドライブの拡張、保守及び修理の間、損失を低減するように管理され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはメモリデバイスに関する。特に、本開示の実施形態は固体データ記憶ドライブの管理及び保守に関する。
【背景技術】
【0002】
バルクメモリ記憶デバイスは、多くのタイプの電子デバイスによって利用されている。バルクメモリ記憶デバイスの一般的な例はハードディスクドライブ(HDD)である。HDDは比較的低コストで大きな記憶量が可能であり、現在のカスタマ向けHDDでは1テラバイトを越える容量を有するものが入手可能である。
【0003】
HDDは一般には、回転する磁気メディア又はプラッタ上にデータを記憶する。データは典型的には、プラッタ上の磁束反転のパターンとして記憶される。典型的なHDDにデータを書き込むには、プラッタを高速で回転させ、同時にプラッタの上に浮いている書き込みヘッドが磁気パルスの列を生成してプラッタ上の磁性粒子の向きを調整し、データを表現する。典型的なHDDからデータを読み取るには、磁気抵抗型読み取りヘッドが高速で回転しているプラッタの上に浮かせ、磁気抵抗型読み取りヘッド中に抵抗変化を誘起さる。実際に、結果として生じるデータ信号はアナログ信号であって、その山と谷はデータパターンの磁束反転の結果である。そこで、部分応答最尤(PRML)と呼ばれるデジタル信号処理技術が、アナログデータ信号をサンプルして、データ信号の生成のために尤もらしいデータパターンを決定するために用いられる。
【0004】
HDDはその構成の機械的特性に起因するある欠点を持っている。HDDは、衝撃、振動又は強磁場に起因する損傷又は過剰な読み取り/書き込みエラーを受けやすい。加えて、HDDは、携帯電子デバイス中では、比較的大きな電力を使用する部分である。
【0005】
バルク記憶デバイスの別の例は、固体ドライブ(SSD)である。回転するメディア上にデータを記憶する代わりに、SSDは半導体メモリデバイスを用いてデータを記憶し、ホストシステムにはSSDが典型的なHDDであるかのように見えるようにするインターフェイス及びフォームファクタを含んでいる。SSDのメモリデバイスは、典型的には不揮発性フラッシュメモリデバイスである。不揮発性メモリデバイスは、電力がデバイスから除去された後でさえ、データを保持するデバイスである。
【0006】
フラッシュメモリデバイスは、広い範囲の電子応用に対する不揮発性メモリのポピュラーな供給源にまで発展してきた。フラッシュメモリデバイスは典型的には、高メモリ密度、高信頼性、及び低電力消費であり得る一トランジスタメモリセルを用いる。セルのしきい電圧の変化は、電荷記憶層若しくはトラッピング層のプログラミング又は他の物理現象を通じて、各セルのデータ値を決定する。フラッシュメモリ及び他の不揮発性メモリの一般的な用途は、パーソナルコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、デジタルカメラ、デジタルメディアプレーヤ、デジタルレコーダ、電子ゲーム、家庭用機器、車両、無線デバイス及び携帯電話を含む。
【0007】
HDDと異なり、SSDはその固体的特性により、一般的には、振動、衝撃又は磁場の影響を受けにくい。同様に、可動部品を持たないので、SSDは典型的にはHDDより低い電力要求をする。しかしながら、SSDは現在のところ、同じフォームファクタのHDDと比べて、非常に低い記憶容量及びビット当たり著しく高いコストを有している。HDDと同様に、SDDは内部メモリ記憶デバイスの一つに故障が生じると修理するのはユーザには容易でないし、記憶容量が固定されたものである。
【0008】
上で述べた理由、及び本明細書を読み、理解した当業者には明らかになるであろう他の理由から、本技術分野では代替の固体ドライブへ要求が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示の一実施形態に従う少なくとも一つのSSDメモリデバイスを有する電子システムの機能ブロック図である。
【図2】本開示の一実施形態に従う固体ドライブの図である。
【図3】本開示の一実施形態に従うメモリモジュールの図である。
【図4】本開示の一実施形態に従うメモリモジュールの交換のフローチャートである。
【図5】本開示の一実施形態に従う二つのメモリモジュールの間のデータの転送のフローチャーである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の本実施形態の詳細な記述において、本実施形態の一部分を形成し、本実施形態が実施され得る特定の実施形態が例示として示されている添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるようにするために十分に詳細に記述されており、他の実施形態が利用され得ること、及び本開示の範囲から逸脱することなく、工程の変更、電気的又は機械的な変更がなされ得ることが理解されよう。以下の詳細な記述は、従って、限定的な意味ではなされていない。
【0011】
現在入手可能なSSDは、多くの場合、既存のHDDの代替品として構成され及び組み立てられている。例えば、SDDは、ラップトップコンピュータで一般的に用いられている2.5インチHDDの代替品として構成され得る。可動部品がないこと及び低電力要求は、SDDを、多くの場合バッテリで作動する携帯電子デバイスによく適したものとする。SDDはまた、高信頼性が要求されるけれど、また荒い扱い又は振動、衝撃、強磁場等による不利な動作環境に晒され得るデバイスに対してもよく適したものである。
【0012】
現在入手可能なSDDは、そのHDD対応品と一部の特性を共有している。SDD及びHDDは、デバイス内部で故障が生じると、修理をするのはユーザには容易ではない又はコスト的に有効ではない。HDD中の欠陥のある記憶メディアの交換は、ドライブの解体及びハードディスク自体の交換を必要とするであろう。SSDのメモリ記憶デバイスがプリント回路基板に半田付けされることが多いので、SSD中の欠陥のあるメモリ記憶デバイスの交換には、ドライブを解体して、メモリ記憶デバイスが半田付けされている内部回路カードを取り外すことが必要であろう。次に故障したメモリ記憶デバイスが特定され、回路カードアセンブリから半田除去され、その後、交換メモリ記憶デバイスが回路カードアセンブリに半田付けされる必要があろう。SSD中で用いられるメモリ記憶デバイスは、典型的には、多ピン数及び微細ピッチリードの表面実装型集積回路である。このタイプの回路カードアセンブリ再加工は、現在入手可能なSSD中の個々のメモリ記憶デバイスの交換を非実用的で、一般的に非常に高コストなものとする。その代わり、故障したSSDは廃棄されることになるであろうし、交換SSDがシステムに搭載されるであろう。
【0013】
SSD及びHDDによって共有される別の特性は、ドライブの記憶容量が事実上、拡張され得ないことである。記憶容量の拡張は、ハードディスク自体及びHDD中の付随するサポート回路の交換を必要とするだろう。SSDは典型的に、固定された数のメモリデバイスを有するプリント回路カードを含み、結果としてSDDでもまたその記憶容量は拡張され得ない。よって、もし記憶容量の増大が必要であるならば、より大容量の交換SSD又は追加のSSDを購入し、システムに取り付けることが必要である。さらに、これらのシナリオは、もしより大きな容量が必要とされるか又は所望されるならば、既存のHDD又はSSDが処分され、より大容量ドライブで交換されるという結果をもたらすだろう。多くの電子システムはシステムが利用することが可能であるデバイス(HDD又はSSD)の数が制限されているので、追加のデバイスを加えなければならないことはまた、実装問題を提起し得る。
【0014】
本開示の一つ以上の実施形態は、メモリデバイスの内部故障又はドライブの記憶容量の拡張の必要によってSSDを廃棄する必要をなくす。廃棄される電子機器の処分は、大きくなり続けている問題であり、本開示の実施形態は、処分が必要なハードウェアの量の減少によるコスト削減及び環境への影響の減少という利益を提供する。
【0015】
図1は、本開示の一実施形態に従う、電子システム120の部品としてのプロセッサ130と通信する(例えば、結合される)スケーラブルSSDメモリデバイス100のブロック図である。電子システムの例は、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、デジタルカメラ、デジタルメディアプレーヤ、デジタルレコーダ、電子ゲーム等を含む。プロセッサ130は、ディスクドライブコントローラ又は他の外部プロセッサであり得る。典型的には、プロセッサ130及びSSDメモリデバイス100を接続するのに用いられる標準プロトコルを使用する標準バス132が存在する。バスは、典型的には、アドレス信号、データ信号、電力信号及び様々な入出力信号を含む複数の信号から構成される。インターフェイスバス132のタイプは、システム120で用いられるドライブインターフェイスのタイプに依存するだろう。従来のディスクドライブインターフェイスバスプロトコルの幾つかの例は、IDE、ATA、SATA、PATA、ファイバーチャネル及びSCSIである。他のドライブインターフェイスが存在し、本技術分野で公知である。図1は、本開示の実施形態に焦点を当てるために単純化されていることに注意すべきである。追加の又は異なる構成要素、接続、及び入出力信号が、本開示の範囲を逸脱することなく、本技術分野で公知のとおり実装され得る。
【0016】
図1に示されているSSD100の記憶容量は、構成の自由度が高いものである。例えば、本開示の様々な実施形態に従うSSDは、1、2、又は4GBのメモリモジュールをSSDに取り外し可能に結合することによって、16、32又は64GBの容量を有するように構成され得る。他のSSD容量は、本開示の実施形態の範囲を逸脱することなく、様々な記憶容量のメモリモジュールを使用することによって達成することができる。
【0017】
図1に示されているように、本開示の一実施形態に従うSSDメモリデバイス100は、インターフェイス102を含み、標準ハードドライブバスインターフェイス132を介して、プロセッサ130、例えばドライブコントローラがSSDメモリデバイス100と相互作用することができる。インターフェイス102は、単一コネクタ又は複数のコネクタから構成され得る。例えば、インターフェイス102は電力供給のための一つのコネクタ並びにデータ信号、アドレス信号、及び制御信号のような入出力信号のための別のコネクタを有し得る。インターフェイスコネクタ102は、当業者に一般的に知られている多くの標準化されたコネクタの一つであり得る。これらのインターフェイス102コネクタの幾つかの例は、IDEコネクタ、ATAコネクタ、SATAコネクタ及びPCMCIAコネクタである。本開示の様々な実施形態は、従来型の様々なHDDをエミュレートするように構成され得るので、他の標準化されたディスクドライブコネクタもまた、インターフェイス102で使用され得る。
【0018】
図1に示されているように、本開示の一実施形態に従うSSD100はまた、マスタコントローラ104、電力調整/分配回路105及び幾つかのメモリモジュール106〜106を含む。マスタコントローラ104によって実行される機能の一部は、SSD内部の動作の管理すること及びプロセッサ130のようなSSDの外部のデバイスとインターフェイス132を介して通信することである。電力調整/分配回路105は、SSD100内部の様々な回路に電力を分配する。電力調整/分配回路はまた、SSD100に供給される電力を調節し、メモリモジュール106〜106を含むSSD100内部回路によって要求される様々な電圧を供給し得る。メモリモジュール106〜106は、SSD100に対しては、バルク記憶メディアとして機能する。
【0019】
マスタコントローラ104は、SSD100の様々な動作を管理する。議論されたように、SSDは、標準的なHDDの代替品として用いられ得て、標準的なインターフェイス及び通信プロトコルを有する多くの標準化されたHDDが存在する。よって、マスタコントローラ104の多くの機能の一つは、これらの標準化されたHDDプロトコルの一つの動作をエミュレートすることである。マスタコントローラ104の別の機能は、SSD100に取り付けられているメモリモジュールの動作を管理することである。マスタコントローラ104は、様々な標準通信プロトコル111を用いて、メモリモジュール106〜106と通信するように構成され得る。例えば、本開示の一実施形態では、マスタコントローラ104は、SATAプロトコルを用いてメモリモジュール106〜106と相互作用111する。他の実施形態は、他の通信プロトコルを利用してメモリモジュールと通信111し得る。マスタコントローラ104及びメモリモジュール106〜106の間の通信111は、共通バス及び/又は別々の接続を使用することによって実行され得る。マスタコントローラ104はまた、ECC検査及びチップキル動作のようなメモリモジュールに関する追加の機能を実行し得る。マスタコントローラ104の実装は、ハードウェア又はハードウェア/ソフトウェアの組み合わせを用いることによって達成され得て、例えば、マスタコントローラ104は、全部又は一部がステートマシンにより実装され得る。
【0020】
メモリモジュールは、図1に示されているブロック矢印112によって指示されている場所でマスタコントローラに結合される。本開示の一実施形態中のこれらのマスタコントローラメモリモジュール結合位置112は、当業者に知られているような機械的特性の電気的コネクタであり得る。結合位置112は、単一コネクタ又は複数の(例えば、独立の)コネクタで構成され得る。コネクタの例は、オス(プラグ)又はメス(レセプタクル)のいずれかの形状のDIPコネクタ、SIPPコネクタ、SIMMコネクタ、DIMMコネクタ、SO−DIMMコネクタ及びバタフライコネクタである。メモリモジュール106〜106の信号とインターフェイスを取ることができる他のコネクタもまた、使用され得る。図2は、SSD100/200内部の単一のプリント回路基板(PCB)224上に配置されたマスタコントローラ回路104/204及びマスタコントローラモジュール結合位置112/212を有する、本開示の一実施形態を示している。結合位置112/212は、コネクタ(例えば、ソケット)の列として配置され得て、SSD100/200中の複数のメモリモジュール106〜106の効率的かつ規則的な取り付けを可能とする。結合位置112/212の他の物理的レイアウト、構成及び数が、本開示の範囲から逸脱することなく用いられ得る。
【0021】
予備の(例えば、非占有の)結合位置122/222はまた、SSD100の拡張又はデータ処理動作ができるようにするために存在し得る。これらの予備の位置122/222は、メモリモジュールが取り付けられていない空の結合位置であり得る。代替の実施形態では、予備の場所には、冗長性の目的で又は一時的な記憶エリアとして取り付けられたメモリモジュールが存在し得る。本開示の様々な実施形態に従うSSD中には、多様な構成及び数の予備の場所が存在し得る。
【0022】
図1に示されたSSD100はさらに、一つ以上のメモリモジュール106〜106を含んでいる。これらのメモリモジュールは、図1中では“モジュール0”〜“モジュールN”でラベル付けされている。メモリモジュール106〜106の数は、1個からN個のメモリモジュールの範囲であり得る。メモリモジュール106〜106は、SSDに対してはバルク記憶メディアとして機能する。図3に示されている本開示の一実施形態では、各メモリモジュール306は、PCB118/318、一つ以上のメモリ記憶デバイス116/316、制御回路110/310及び電気的インターフェイス114/314を含む。メモリモジュール106〜106の一つ以上のメモリ記憶デバイス116/316は、フラッシュメモリデバイスであり得るし、PCB118/318上に装着された表面実装型集積回路の形態を取り得る。例えば、図3に示されているように、メモリ記憶デバイス316は、4GBのNANDフラッシュメモリデバイスである。当業者に知られているように、他のタイプ、パッケージング方法及び容量のメモリが使用され得る。例としては、NAND及びNOR型フラッシュメモリのようなメモリを含む。
【0023】
メモリモジュール106〜106はまた、SSDに取り付ける前に試験され得る。加えて、プロセッサ130によって使用されている外部インターフェイスに関わらず、同一のメモリモジュールがSSDによって使用され得る。例えば、あるSSDは、プロセッサ130とはPATAインターフェイスを用いるように構成され得る。別のSSDは、SATAインターフェイスによりプロセッサ130と通信するように構成され得る。両方の場合で、同一のメモリモジュール106〜106が、二つのドライブで使用され得る。これは、メモリモジュールはSSDインターフェイスの一つのタイプに専用である必要はないので、コストを削減する効果を得ることができる。
【0024】
再び図1を参照すると、制御回路110は、メモリモジュール106〜106上のメモリ記憶デバイス116の動作を管理する。制御回路110はまた、メモリモジュール106〜106と通信するために、マスタコントローラ104により使用される通信プロトコルを変換するように動作し得る。例えば、本開示の一実施形態では、マスタコントローラ104は、メモリモジュール106〜106と相互作用するためにSATAプロトコルを使用していてもよい。そのような実施形態では、制御回路110は、SATAインターフェイスをエミュレートするように構成される。制御回路110はまた、メモリモジュール中に記憶されたデータへのアクセスを規制するためのセキュリティフィーチャーのような、他のメモリ機能を管理することもできる。制御回路110はまた、シリアル番号、ウェアレベリングステータス、故障率等のような、メモリモジュールに特有の情報を記憶する目的で、様々なタイプの揮発性及び不揮発性メモリを利用し得る。制御回路110はまた、高速キャッシュとして使用されるDRAMのような揮発性メモリを使用して、モジュールの性能を改善し得る。制御回路110は、ディスクリートロジック、メモリコントローラ又はステートマシンによって実装され得る。他の実装は、当業者には公知である。
【0025】
メモリモジュール106〜106中にフラッシュメモリデバイス116を使用する実施形態では、制御回路110はまた、フラッシュメモリ記憶デバイス116の保守又はフラッシュサービス動作を実行するように構成され得る。そのような保守及びサービスタスクは、フラッシュメモリデバイスが”使い尽くされ”て、使用寿命の終わりに近づいているのかを決定するために、フラッシュメモリデバイス116を修復すること及び修復率を追跡することを含み得る。ウェアレベリング動作もまた、制御回路110によって実行され得る。制御回路110はまた、メモリデバイス116中でハード故障の発生をモニタすることができる。制御回路110はさらに、メモリモジュールを交換する必要性など、それぞれのメモリモジュールについての情報をマスタコントローラ104に提供するように構成され得る。
【0026】
メモリモジュール電気的インターフェイス114をマスタコントローラメモリモジュール結合位置112に結合して形成される、マスタコントローラ/メモリモジュールインターフェイスの構成は、コスト削減及び無駄の削減という付加的な利益とともに、高い構成の自由度及び保守性が高いSSDを提供することができる。本開示の様々な実施形態のマスタコントローラ/メモリモジュールインターフェイスは、一つ以上のメモリモジュール106〜106をマスタコントローラ104に取り外し可能に結合する方法を用いることができる。これは、現在入手可能なSSDで行われているような、メモリデバイスの永久的な結合及び構成とは対照的である。様々な実施形態で、マスタコントローラ及びメモリモジュールの幾つもの構成を考慮することができる。例えば、本開示に従う一実施形態では、マスタコントローラメモリモジュール結合位置112及びメモリモジュール電気的インターフェイス114の両方が、メモリモジュール106〜106の信号のマスタコントローラ104の信号への、信頼できるけど一時的な結合を可能とする機械的コネクタを含む。メモリ記憶デバイス中の信号完全性の重要さゆえに、永久的であろうと一時的であろうと信号の結合はどれも、データの破損を避けるために信頼できるものであるべきである。機械的接続は、一時的かつ信頼できる接続を提供するために様々な技法を利用している。これらの技法は、一つの電気伝導体を第二の電気伝導体と接触するように押圧して、接点で電気的接続を実現することに依存している。以前に議論したように、インターフェイス位置112/114/314に位置するこれらの電気的コネクタは、本技術分野で公知である、様々な標準化されたタイプ及び構成であり得る。例は、限定されるものではないが、プラグ及びレセプタクル形状のDIP、SIPP、SIMM、DIMM、SO−DIMM、バタフライ、IDE、ATA、及びSATAのコネクタを含む。マスタコントローラ104及びメモリモジュール106/306の間の一時的かつ信頼できる信号の結合を可能とする他のコネクタが、当業者に知られている。
【0027】
本開示の代替の実施形態では、マスタコントローラメモリモジュール結合位置112及びメモリモジュール電気的インターフェイス114の一つのみが、機械的コネクタを含んでいる。例えば、この実施形態では、マスタコントローラ104及びメモリモジュール106〜106の結合の手段は、PCBエッジ型コネクタのような、本技術分野で公知であるものによって実現される。この実施形態では、マスタコントローラメモリモジュール結合位置112又はメモリモジュール電気的インターフェイス114は、機械的コネクタを含み得る。もう一方の部分112又は114は、PCB上の電気的接点若しくはパッドの列若しくは他の配置、又は機械的コネクタに機械的かつ電気的に接続が可能である他の適切な構造を含んでいるだろう。この実施形態はまた、マスタコントローラ104とメモリモジュール106〜106の信頼できるけど一時的な結合を可能とする。
【0028】
マスタコントローラ104はまた、SSD100内部のデータ管理を実行するように構成され得る。例えば、メモリモジュール106〜106の制御回路110がマスタコントローラ104に対して、そのメモリモジュールが使用寿命の終わりに近づいていることを示すならば、マスタコントローラ104は次に、その“使い尽くされ”たメモリモジュールの中に記憶されているデータを、ハード故障が起こる前にSSD中の別のモジュールに転送する動作を実行することができる。データは、SSDの既に存在しているメモリモジュールに、又は使い尽くされたメモリモジュールから転送されたデータを受けるためにSSDの‘予備の’位置122に取り付けられ得る追加のメモリモジュールに、転送され得る。マスタコントローラ104はまた、使い尽くされたメモリモジュールは交換メモリモジュールに交換されるべきであるとの表示を与え得る。この表示は、SSDレベル(例えば、SSDに設置されているLED又は他の状態表示器)で生じ得る又はSSDを用いるプロセッサ若しくはコントローラ130に送信される信号から構成され得る。コントローラ又はプロセッサ130は、メモリモジュールは交換が必要である又は使用寿命の終わりが近づきつつあることなどを表示するマスタコントローラ104からの信号を処理するソフトウェアアプリケーションを利用するだろう。この機能は、伝統的なHDDに関係して用いられる自己監視、解析、及び報告技術(SMART)に類似している。SMARTは、当業者にはよく知られている。
【0029】
交換すると選択されたメモリモジュールからのデータの転送は、自動的に生じ得る又は手動で開始され得る。図4は、SSD中で交換されると選択されたメモリモジュールからの自動及び手動データ転送の両方を示している。
【0030】
本開示の一実施形態では、メモリモジュール間のデータ転送は、ある条件(例えば、予め定められた条件)が満たされることに応答して、マスタコントローラ104によって自動的に実行され得る400。例えば、メモリモジュール106〜106の制御回路110は、マスタコントローラ104に、ハード故障が生じたこと又はそのメモリモジュールが使用寿命の終わりに近づいていることを表示し得る。この実施形態では、マスタコントローラ104は、SSD100内で、故障した又は使い尽くされたメモリモジュールから別のメモリモジュールへのデータ転送を自動的に実行し得る404。マスタコントローラ104は次に、データ転送が生じ、故障した又は使い尽くされたメモリモジュールはもはや用いられておらず交換されるべきであるという表示を、プロセッサ又はコントローラ130に与え得る。この時点で、交換されるべきと選択されたメモリモジュールはSSDから取り外され得て406、交換メモリモジュールが取り付けられ得る408。交換メモリモジュールの取り付け後、保持されているデータは交換モジュールに転送されて戻されてもよいし又は戻されなくてもよい410。
【0031】
代替の実施形態では、データ転送は、手動ベースで実行され得る。例えば、もし現在使用されているメモリモジュールがより大容量のメモリモジュールに交換されようとしているならば、ユーザ又はプロセッサ130は、取り外されるべきと選択された400メモリモジュールから、ドライブから取り外されていないメモリモジュールへとデータを転送する404よう、SSD100に対してコマンドを与え402、メモリ容量アップグレードの結果として記憶されたデータを放ったらかしにしたりしないようにする。別の実施形態は、ユーザによって完全に管理される手動のデータ移動をすることができる(例えば、ユーザは直接的に、移動されるデータをSSDのどこに置くのかを選択することができる)。あるいは、手動データ転送動作は、ユーザがどのメモリモジュールが交換されるのかをユーザが指示することから成っていてもよく、マスタコントローラ104は、利用可能な容量に基づいて、移動されているデータの新しい記憶場所を決定するだろう。データが転送された後、取り外されるべきと選択されたメモリモジュールは、ドライブから取り外され406、交換メモリモジュールがSSDに取り付けられる408。交換メモリモジュールは、取り外のために選択されたメモリモジュールと同じ位置112に取り付けられてもよいし、そうでなくても構わない。(例えば、交換メモリモジュールはSSDの‘予備の’場所122に取り付けられ得る。)交換メモリモジュールが取り付けられた後、保持されているデータは交換モジュールに転送して戻し得るし、又は転戻さなくても構わない。
【0032】
議論したように、メモリモジュール106〜106は、取り外されるモジュールとは異なる記憶容量の交換メモリモジュールに交換され得る。例えば、もしメモリ記憶容量の増加が望まれるならば、既存のメモリモジュールはより大容量のモジュールに交換され得るし、又は追加のモジュールをSSDの非占有の若しくは‘予備の’場所122に追加することもできる。これは、SSDの記憶容量を徐々に増加させるコスト的に有効な手段となり得る。同様に、メモリモジュールの取り外しによって又は既存のモジュールをより小容量のメモリモジュールに交換することによって、SSDの記憶容量は減少し得る。SSDの記憶容量の変更は、いつでもすることができる。例えば、SSDの記憶容量の変更は、故障の発生、又はメモリモジュールの‘寿命の終わり’の表示に依存しないだろう。加えて、本開示の様々な実施形態は、‘ホットスワッピング’メモリモジュールの可能性を許容する。ホットスワッピングは、永久的に取り付けられているメモリデバイスを用いる現在のSSDでは、短絡をもたらしがちであり潜在的にはSSDに深刻な損傷を引き起こしがちなので、推奨はされないであろう。本開示の一つ以上の実施形態に従うと、ホットスワッピングはまた、システム120又はSSD100をオフラインにすることなく、SSD上で保守を実行することを可能にする。
【0033】
本開示の別の実施形態では、SSDの容量を増やすなどのために、現在データを記憶しているメモリモジュールの取り外しを可能とする。SSDを動作させながらメモリモジュールを取り外す前に、交換中のメモリモジュール106〜106をマスタコントローラが用いようとしないことを保障するために、コマンドがSDD100のマスタコントローラ104に送られ得る。次に、SSDから取り外され、相変わらずデータを含んでいるメモリモジュールを交換メモリモジュールに結合する手段が実行され、交換メモリモジュールをSSDに取り付ける前に、記憶されたデータを交換メモリモジュールに転送する。一実施形態に従うこの手続きは図5に示されている。このデータ転送を達成する方法は、パーソナルコンピュータ(PC)又は他の同様のコンピュータデバイスを用いて実行される。取り外されたメモリモジュール500は、メモリモジュール106〜106上の電気的インターフェイス114に結合するように構成されているインターフェイスケーブルを介するなどして、PCに接続される502。このメモリモジュールは、データ転送のソースメモリモジュールとして機能するだろう。交換メモリモジュールもまた、ソースメモリモジュールと同様の手段を介してPCに結合され504、データ転送ではターゲットモジュールとして機能するだろう。当業者には知られているように、ソース及びターゲットのメモリモジュールの結合の他の方法が用いられ得よう。PCは、ソースメモリモジュールからターゲットメモリモジュールへのデータ転送を手助けするソフトウェアを実行しており、データの転送を実行する506。データ転送アプリケーションはまた、ターゲットメモリモジュール中に記憶されているデータのリードバックを実行し、ソースからターゲットメモリモジュールへのデータの転送の間に生じたエラーはないことを確認する。ターゲットメモリモジュール(例えば、交換モジュール)は次にPCから切り離され508、SSD100/510に取り付けられる510。このようにして、SDD100のメモリ容量は、データの損失なしに増加された。この時点で、ユーザは、交換モジュールは今やSSD100によって用いられ得ることを示す何らかの形式の入力を与えることができる。別の実施形態では、マスタコントローラ104は、周期的に結合位置112をポーリングして、メモリモジュールが取り付けられてSSDによって使用することが可能かを自動的に決定し得る。従って、本開示の実施形態は、SSD(例えば、ホットスワッピングメモリモジュール)を用いるシステムの中断なしに、SSDの修理及び変更をすることができるようにする。
【0034】
RAID0又はRAID1のデータ記憶方式によりSDDを動作させるために、追加のメモリモジュール106〜106及びコントローラ104SDDを追加することが可能である。帯域幅はRAID0(‘ストライピング’)構成を用いることによって、増加され得る。RAID1(‘ミラー’)構成は、100パーセントの冗長度を許容し、よって、データを損失から保護する。RAID0及びRAID1構成及び方式は共に、当業者にはよく知られている。
【0035】
結論
本開示の様々な実施形態は、スケーラブル固体ドライブを保守及び変更する方法並びにこれらの方法を実行するように構成された装置を提供する。一実施形態では、スケーラブル且つ保守可能な固体ドライブは、一時的にメモリモジュールを取り付けておくための複数の位置を含んでいる。これらのモジュールは、固体ドライブの記憶容量の保守、修理、及び変更のために、取り付けられ、又は取り外される。固体ドライブを保守、修理、及び変更する方法もまた、開示されている。
【0036】
本明細書内で特定の実施形態を示し記述してきたが、当業者には、同一の目的を達成することが意図された方法及び装置は、示されている特定の実施形態に取って代わり得ることが認識されよう。開示内容の多くの改変が、当業者には明らかであろう。従って、この出願は、様々な実施形態のあらゆる改変及び変形を含むことが意図されている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケーラブルドライブデバイスであって、
前記ドライブデバイスの動作を管理するマスタコントローラ、及び
メモリモジュールを前記マスタコントローラに取り外し可能に結合する複数の結合位置、
を含むドライブデバイス。
【請求項2】
さらに、前記結合位置に取り外し可能に結合されている一つ以上のメモリモジュール、を含む、請求項1のドライブデバイス。
【請求項3】
さらに、前記ドライブデバイスの前記動作に関係する信号を受信する及び送信するインターフェイスを含む、請求項1のドライブデバイス。
【請求項4】
前記マスタコントローラは、前記受信された信号に応答して前記ドライブデバイスの前記動作を管理するように構成されている、請求項3のドライブデバイス。
【請求項5】
前記メモリモジュールは、各々メモリモジュール電気的インターフェイスを含む、請求項2のデバイス。
【請求項6】
メモリモジュールは一つ以上のメモリ記憶デバイスを含む、請求項2のデバイス。
【請求項7】
前記一つ以上のメモリ記憶デバイスは不揮発性メモリ記憶デバイスである、請求項6のデバイス。
【請求項8】
前記一つ以上のメモリ記憶デバイスはフラッシュメモリ記憶デバイスである、請求項6のデバイス。
【請求項9】
前記複数の結合位置の各々はメモリモジュール電気的インターフェイスと合うように適合されている、請求項5のデバイス。
【請求項10】
前記結合位置及び前記メモリモジュール電気的インターフェイスの少なくとも一つは、前記結合位置と前記メモリモジュール電気的インターフェイスが結合できるように適合されている機械的電気的コネクタを含む、請求項9のデバイス。
【請求項11】
前記結合位置及び前記メモリモジュール電気的インターフェイスの両方は、機械的電気的コネクタを含む、請求項10のデバイス。
【請求項12】
前記結合位置電気的コネクタは、前記メモリモジュール電気的インターフェイスの前記電気的コネクタと合うように適合されている、請求項11のデバイス。
【請求項13】
前記コネクタはオス又はメス構造のいずれかであり、DIP、SIPP、SIMM、DIMM、及びSO−DIMM型コネクタからなる電気的コネクタのリストから選択される、請求項11の機械的電気的コネクタ。
【請求項14】
前記インターフェイスは、機械的電気的コネクタを含む、請求項1のデバイス。
【請求項15】
前記インターフェイス機械的電気的コネクタは、IDE、ATA、SATA、PATA、SCSI、D−タイプ、IDC及びPCMCIA型コネクタからなるコネクタのリストから取得されるコネクタである、請求項14のデバイス。
【請求項16】
前記デバイスは、前記結合位置に結合されたメモリモジュールのホットスワッピングを許容するように構成される、請求項1のデバイス。
【請求項17】
さらに、
前記結合位置の一つ以上に結合された一つ以上のメモリモジュールであって、前記メモリモジュールは、
モジュールインターフェイス、
制御回路、及び
一つ以上の不揮発性メモリデバイス
を含み、
前記マスタコントローラは受信された信号を解釈し、前記解釈された受信信号に応答して前記ドライブデバイスの動作を管理するように構成されている、請求項1のスケーラブルドライブデバイス。
【請求項18】
前記マスタコントローラは、前記結合位置に結合されている二つ以上のメモリモジュールの間のデータ転送動作を行うように構成されている、請求項17のデバイス。
【請求項19】
前記マスタコントローラは、条件が満たされていることに応答して、前記データ転送動作を自動的に実行し、前記条件は、前記メモリモジュールの一つ以上でのハード故障の発生及びメモリモジュールが使い尽くされたメモリを含むことの表示、から構成される条件の群から選択される、請求項18のデバイス。
【請求項20】
前記データ転送動作は手動で与えられるコマンドに応答して実行される請求項18のデバイス。
【請求項21】
さらに、
複数のメモリモジュールであって、前記メモリモジュールは、モジュールインターフェイス、制御回路、及び一つ以上のメモリ記憶デバイスを含む前記複数のメモリモジュール、
前記複数のメモリモジュールの第一のサブセット、
前記複数のメモリモジュールの第二のサブセット、
受信された信号に応答して前記複数のメモリモジュールの前記第一のサブセットの動作を管理する第一のマスタコントローラ、
前記受信された信号に応答して前記複数のメモリモジュールの前記第二のサブセットの動作を管理する第二のマスタコントローラ、
前記複数のメモリモジュールの前記第一のサブセットを前記第一のマスタコントローラに取り外し可能に結合する第一の複数の結合位置、並びに
前記複数のメモリモジュールの前記第二のサブセットを前記第二のマスタコントローラに取り外し可能に結合する第二の複数の結合位置、
を含む請求項1のスケーラブルドライブデバイス。
【請求項22】
前記ドライブデバイスは、複数のモードで動作するように構成され、前記複数のモードは、RAID0レベルモード及びRAID1レベルモードを含む、請求項21のデバイス。
【請求項23】
ドライブを変更する方法であって、
前記ドライブの機械的結合位置からメモリモジュールを取り外すこと、及び
前記ドライブの機械的結合位置にメモリモジュールを挿入すること、
を含み、
前記機械的結合位置の各々は、前記メモリモジュールの電気的インターフェイスに合うように適合している方法。
【請求項24】
さらに、メモリモジュールを取り外すこと、及びそれを同一のメモリ記憶容量を有するメモリモジュールと交換すること、を含む請求項23の方法。
【請求項25】
さらに、交換される前記メモリモジュール中で検知された故障に応答してメモリモジュールを交換すること、を含む請求項23の方法。
【請求項26】
さらに、メモリモジュールを取り外すこと、及びそれを前記取り外されたメモリモジュールより大きなメモリ記憶容量を有するメモリモジュールと交換すること、を含む請求項23の方法。
【請求項27】
さらに、前記ドライブデバイスの第一のメモリモジュールに記憶されているデータを、前記ドライブデバイスの第二のメモリモジュールに転送すること、を含む請求項23の方法。
【請求項28】
前記第一のメモリモジュールを取り外す前に前記データを転送すること、を含む請求項27の方法。
【請求項29】
さらにウェアレベルしきい値を超えることに応答して、メモリモジュールを交換すること、を含む請求項23の方法。
【請求項30】
さらに、メモリモジュールを取り外すこと、及びそれを前記取り外されたメモリモジュールより小さなメモリ記憶容量を有するメモリモジュールと交換すること、を含む請求項23の方法。
【請求項31】
前記ドライブデバイスは、さらに、前記ドライブデバイスへの電力供給を中断することなく、メモリモジュールを取り外し及び/又は取り付けができるように適合されている、請求項23の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−538372(P2010−538372A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523130(P2010−523130)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/074611
【国際公開番号】WO2009/032743
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(595168543)マイクロン テクノロジー, インク. (444)
【Fターム(参考)】