スタッドの製造方法およびこれに使用する膨出部形成ピン
【課題】溶接開始時における通電端子あるいはフラックスとしての役割を担うアルミニウム球体等の良導電性材料からなる金属製塊状物が、スタッド本体の溶植側端面の中央部分にその一部を表面から突出した状態で固着されたスタッドにおいて、金属製塊状物の脱落防止を経済的に実現する。
【解決手段】スタッド本体10の溶植側端面の中央部分に凹部14が設けられるとともに、その開口周縁部分には内側に膨らむ環状の膨出部14aが形成される。そして、金属製塊状物13は、圧入により塑性変形しながら膨出部14aの裏側にも入り込んだ状態で凹部14内に充填されるので、衝撃等に対して脱落することがなくなる。膨出部14aは、凹部14の開口周縁部分付近の内周面を規制する突出部を先端側に備えた形状のパンチで押圧することで簡単に成形できる。
【解決手段】スタッド本体10の溶植側端面の中央部分に凹部14が設けられるとともに、その開口周縁部分には内側に膨らむ環状の膨出部14aが形成される。そして、金属製塊状物13は、圧入により塑性変形しながら膨出部14aの裏側にも入り込んだ状態で凹部14内に充填されるので、衝撃等に対して脱落することがなくなる。膨出部14aは、凹部14の開口周縁部分付近の内周面を規制する突出部を先端側に備えた形状のパンチで押圧することで簡単に成形できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築、土木分野の鉄骨構造物に適用するスタッドの製造技術に係り、詳しくはその製造方法と、そこで用いる膨出部形成ピンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築あるいは土木分野の鉄骨構造物では、耐火性や構造強度などの点から、鉄骨柱および鉄骨梁に対してコンクリートを一体化することが行われている。この場合、それら部材相互の結合性を増大することにより耐力を向上させる手段として、スタッドボルト、頭付きスタッドなどと称されるスタッド材を鉄骨表面に対して、アーク溶接により植設するのが一般的である。この種のスタッドとして、スタッド本体の溶植側端面(スタッドベース)の中央部分に、アルミニウム等の良導電性材料からなる小さな塊状物を、その一部が表面から突出するように取り付けたものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照。)。この金属製塊状物は、溶接開始時における通電端子としての役割の他に、母材との間でアーク発生中に脱酸反応を起こすフラックスとしての役割を担うものである。
【0003】
【特許文献1】特公昭52−10648号公報(第1頁第2欄第3行−同欄第27行と第6図、および第2頁第3欄第12行−同欄第17行と第4図)
【特許文献2】実公昭57−54932号公報(第1頁第2欄第1行−同欄第21行、第3図−第6図)
【特許文献3】特公平7−55352号公報(第3頁第6欄第20行−第4頁第7欄第7行、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来例のスタッドでは、金属製塊状物が圧入される溶植側端面の中央部分には、予めパンチ(ポンチとも称する)の打刻等により適宜深さの凹部が形成される。斯かる凹部は、特許文献1,3に示されるように一般的には軸心方向における断面形状が円形であり、その内周面は比較的滑らかな表面として形成される。これは、打刻時におけるパンチのスタッド本体への食付きを防止するため、パンチ外周面が滑らかな表面に仕上げられていることに起因する。したがって、圧入された金属製塊状物は、実質的に凹部内周面との間の摩擦のみでスタッド本体に係止されることになるから、僅かな衝撃でも脱落しやすいという問題点があった。
【0005】
また、特許文献2には、凹部を星形等の円形以外の断面形状にしたり、あるいは凹部の内周面を横縞状や螺旋状に形成することにより、壁面に多数の凹凸を形成する技術が開示されているが、それぞれ次のような問題点を有している。すなわち、前者の場合には、金属製塊状物との接触面積は上記のような円形断面のものに比べて増加するが、軸心方向には何ら段差が存在せず、上記円形断面のものと同様に摩擦のみによる係止である。このため、脱落防止の点ではそれほどの改善は望めない。後者の場合には、金属製塊状物の圧入時の塑性変形により、軸心方向に形成された多数の段差に対する掛止効果が期待できるものの、その成形加工がかなり面倒であり、製造コストの点から実用化はされていない。
【0006】
このような事情から、最近ではパンチによる打刻に代えてドリルで穴を開ける方法が広く行われている。この場合には、ドリルの刃の回転に伴う環状の切削痕が凹部の内周面に形成されることから、圧入された金属製塊状物との間で多少の掛合状態が生じ、金属製塊状物の脱落は少なくなる。しかしながら、このドリルによる凹部形成方法は、パンチの打刻に比べると作業性が悪く、しかも切削屑が多量に発生するという問題があり、本質的な解決策とはなっていないのが実情である。
【0007】
そこで、本発明者らは、このような従来技術が有する問題点について鋭意検討を重ねた結果、本発明に想到したのである。すなわち、本発明は、金属製塊状物の脱落がなく安価に製造することができるスタッドとその製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係るスタッドの製造方法では、スタッド本体の溶植側端面に凹部を形成した後、先端側に突起を有する膨出部形成ピンで凹部内周面を規制しながら凹部近傍の溶植側端面をその突起で軸心方向に押圧することにより、凹部の開口周縁部分の少なくとも一部を塑性変形させて内側に向けて膨らむ膨出部とし、次いで前記スタッド本体よりも軟質の金属製塊状物を、スタッド本体の凹部への圧入により塑性変形させながら凹部に充填して前記膨出部の裏側にも入り込ませ、その一部がスタッド本体の溶植側端面よりも突出した状態に係着することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、適宜の圧造装置を用いてスタッド本体を形成するとともに、その溶植側端面に凹部を形成した後、膨出部形成ピンの先端にある突起で溶植側端面の凹部近傍を軸心方向に押圧する。この押圧力を受けた部分は、塑性変形して周囲の溶植側端面よりも凹み、その変形に伴って凹部の開口周縁部分が内側に向けて膨出し、凹部の開口部分が窄まる。この際、膨出部形成ピンの突起が凹部内周面側の変形を規制することにより、開口周縁部分が必要以上に内側に向けて膨出するのを防ぐことができる。そして、金属製塊状物は、膨出量が規制された凹部内面の膨出部を、圧入に伴って塑性変形しながら乗り越えて凹部内に入り、膨出部の裏側にも回り込むので、膨出部に確実に掛止されることになる。
【0010】
なお、上記構成における膨出部形成ピンとして、溶植側端面を押圧する際に凹部内に入り込むことで開口周縁部分の過剰な膨出を規制する柱状部分を突起に設けると効果的である(請求項2)。さらに、溶植側端面を押圧する円錐台部分の中央に柱状部分が突出した二段状の突起とすることも可能である(請求項3)。これら請求項1〜3に記載の膨出部形成ピンを使用すれば、金属製塊状物の脱落がないスタッドを経済的に製造することができる(請求項4)。
【0011】
また、本発明に係る膨出部形成ピンを適用するスタッド本体の溶植側端面に形成する凹部としては、略半球状が好適であり、パンチを用いて凹部を形成する場合、金型の製造コストやその耐久性などの点から好都合である。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、スタッド本体の凹部近傍の溶植側端面を、膨出部形成ピンにより凹部の内周面側を規制しながら軸心方向に押圧することで、凹部の開口周縁部分の過剰な膨出を抑制する構成であるから、この膨出部が次工程の金属製塊状物の圧入作業において障害になりにくく、金属製塊状物の脱落を簡便な方法で確実に阻止することが可能になり、製造コストの低減を併せて達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係るスタッドの製造方法は、例えば多段フォーマー等の一般的に使用されている適宜の圧造装置を用いてスタッド本体を形成し、その溶植側端面に凹部を形成するまでは、実質的に従来方法と大差はない。本発明では、膨出部形成ピンを新たに開発し、溶植側端面の凹部近傍を内周面側で規制しながら押圧することにより、その開口周縁部分(凹部の入口付近の内面)を高い寸法精度をもって内側に向けて膨出させ、この膨出部で金属製塊状物をスタッド本体に掛止する点に技術的な特徴がある。本発明に適用される金属製塊状物としては、スタッド本体よりも軟質の金属である。さらに、スタッド本体および母材を構成する金属よりも融点が低く、かつ還元力の強い金属であり、例えばスタッド本体および母材の代表的な素材である鉄に対しては、アルミニウム、亜鉛等が挙げられ、対象となる金属に応じて適宜選定すればよい。その形状は、特に限定はされないが、球状、先の尖った円柱状などが好適である。なお、スタッドの種類としては、頭付きスタッドに限らず、異形鉄筋からなる耐震補強用のスタッドなど、本体の形状においても格別の限定はない。また、スタッド本体の溶植側端面における凹部内の膨出部の形成方法については、例えば円柱状あるいは環状の突起が先端面に形成された適宜のパンチで軸心方向に押圧して塑性変形を生じさせ、これにより凹部の入口付近の内面の全周を膨出させたり、十字状や一文字状の突起を有するパンチで部分的に塑性変形させて膨出部を形成してもよい。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る製造方法によって得られるスタッドの一実施例を示す部分断面正面図である。図示のスタッド1は、スタッド本体10の頭部11とは反対側で、スタッドベースとなる端面12の中央に、アルミニウム球体等の金属製塊状物13がその一部を埋没した状態で固着されたものである。ここで、金属製塊状物13は、図2に拡大図として示すように、スタッド本体10に設けられた略半球状の凹部14の内部に一部が挿入され、露出部分は球面部13aと鍔部13bとなっている。そして、金属製塊状物13は、凹部14の入口付近の内面、すなわち開口周縁部分の全周に渡り形成され、開口部分(入口)を狭めるように内側に向けて膨らむ膨出部14aの裏側にも回り込み、凹部14の内面に対して密着状態でその内部をほぼ隙間なく満たしている。このように、本発明のスタッド1において、金属製塊状物13は、スタッド本体10の膨出部14aに対してその裏側で掛合することにより確実に係止され、スタッド本体10から脱落することがなくなる。
【0015】
次に、図3ないし図8を参照しながら、多段フォーマーを用いた上記スタッド1の製造方法について説明する。多段フォーマーは、一般に固定台(図示せず)に取り付けられた複数のダイスと、往復移動するラム(図示せず)に取り付けられた複数のパンチとで構成される。図3において、所定長さに切断された所定外径の鉄線などの棒状素材2は、まず頭部となる所定長さ部分を残してダイス20内に挿入され、その後端側において支持ピン21で支持される。そして、この状態で先端側からパンチ22が移動し、棒状素材2の突出した端部に対してそのテーパ状内空部22aを外嵌し、パンチピン23で押圧して頭部の予備成形を行う。
【0016】
次に、図4に示すように、次工程のユニットにおいてダイス24とパンチ25とにより頭部の成形をさらに行う。ここでは、ダイス24に挿通された凹部形成ピン26に後端側を当接した状態で、パンチピン27により頭部のさらなる成形を行うとともに、棒状素材2の後端面に中間段階の凹部を形成する。なお、凹部形成ピン26における押圧部26aの形状は、先端側が幾分か偏平になった半球状であり、図5に拡大して示すように、これにより形成される中間段階の凹部2aもそれに応じた形状に形成される。
【0017】
続いて、図6に示すように、次工程のユニットにおいてダイス28とパンチ29とにより棒状素材2の頭部の最終成形を行う。この際、スタッド本体10の後端面に形成されている中間段階の凹部2a(図5参照)に対して、同じ軸心で当該凹部2aの入口よりもやや大きい外径の円柱状突起31aを先端に有する膨出部形成ピン31を宛がった状態で、パンチ29内のパンチピン30で頭部側から押圧する。この押圧により、図7に示すように中間段階の凹部2aの入口付近が塑性変形して全周において内側に膨らみ、環状の膨出部14aが形成される。このように、開口周縁部分(凹部2aの入口付近の内面)に塑性変形による膨出部14aが形成されたものが、最終的な凹部14となる。なお、図6の膨出部形成ピン31は参考例であり、図8に示す突起形状の膨出部形成ピン32が本発明に係るものである。この場合、突起は円錐台部分32aと円柱状部分32bからなる二段状に形成されている。ここで、中心に円柱状部分32bを設けた理由は、本体部分に近い円錐台部分32aで中間段階の凹部2aの入口付近を押圧する際に、円柱状部分32bが凹部2a(14)の内部に入り込むことで、最終的に膨出部14aとなる開口周縁部分が必要以上に塑性変形して内側に膨出するのを規制し、後述する金属製塊状物13の圧入作業をより円滑にするためである。
【0018】
図9は、スタッド製造の最終工程である金属製塊状物13の圧入作業の概略を示すものである。この場合、金属製塊状物13としてアルミニウム製球体が使用されている。ここで、スタッド本体10は、パンチケース33内にその頭部11側が挿入され、パンチピン34で支持されている。この状態で、打込み用ダイス35の通孔35aをスタッド本体10の凹部14に互いの軸心を合わせて宛がい、打込みピン36でアルミニウム製球体13を凹部14内に圧入する。アルミニウム製球体13は、打込み用ダイス35の先端側部分に設けられた収納部37から1個ずつ通孔35a内に供給される。この圧入操作により、アルミニウム製球体13は塑性変形しながら凹部14の内部に入り、図2にその圧入状態を拡大して示すように、内部を埋めて凹部14の内面に対して密着状態で膨出部14aの裏側にも回り込む。その後、アルミニウム製球体13が係着されたスタッド本体10は、パンチケース33の後退の後、パンチピン34で前方に押し出されるとともに、打込みピン36もバネ38により元の位置に復帰し、次の作業に備える。図2から明らかなように、軸心方向において互いが凹凸関係の嵌合状態が形成されることにより、アルミニウム製球体13は膨出部14aに確実に掛止されるので、衝撃等の外力に対して脱落することがなくなる。なお、図2に示される鍔部13bは、この圧入時に余剰の体積部分がはみ出して形成されたものである。
【0019】
図10ないし図15は、本発明の製造方法において使用する膨出部形成ピンと、それによって製造されるスタッド本体の他の実施例である。まず、図10,11について説明する。図示の膨出部形成ピン40は、図8に示す膨出部形成ピン32と同様に、必要以上の膨出を規制するための円柱状部分40bを有するものである。この場合、スタッド本体に塑性変形による膨出部を形成するための突起40aは、円柱状部分40bの外側に所定の間隔、すなわち前記中間段階の凹部2aの開口部よりも外側の位置に環状に設けられている。図11は、この膨出部形成ピン40を用いて製造されたスタッド本体41の断面図であり、凹部42の入口の周囲が膨出部形成ピン40の環状突起40aに押圧されて塑性変形し、その結果、端面に環状溝42aが形成されることに伴い、開口周縁部分(凹部42の入口付近の内面)の全周に渡って膨出部42bが形成されている。
【0020】
図12および図13に示す実施例では、膨出部形成ピン50の突起50aが、十字状に形成されている。ここで、十字の一辺の長さは、スタッド本体51の凹部52の入口部分に跨るようにその内径よりも幾分か大きく形成されている。この膨出部形成ピン50を使用した場合、スタッド本体51の凹部52の入口付近には、4個所に独立した塑性変形による膨出部52aが形成される。なお、図示はしていないが、膨出部形成ピン50の十字の中心部分に上記実施例(図8、10)のような膨出を規制するための円柱状部分を設けることが必須である。
【0021】
さらに、図14および図15に示す実施例では、膨出部形成ピン60の先端面に4個の突起60aが、軸心を挟む十字状位置に配置されている。ここで、対向関係にある突起60a間の間隔は、スタッド本体61における凹部62の入口付近の内径よりも幾分か大きく形成されている。斯かる膨出部形成ピン60を使用した場合には、図15に端面として示すように、膨出部形成ピン60の突起60aの押圧により、端面に形成される4個所の凹所62aの影響でそれぞれの軸心側部分が内側に塑性変形して膨らむことに伴い、膨出部62bが形成される。なお、図示はしていないが、4個の突起60aの中心部分に上記実施例(図8、10)のような円柱状部分を設けることは同様に必須である。
【0022】
次に、図16ないし図18は、上記各実施例とは製造方法がやや異なる参考例である。この場合、図16に示すように、スタッド本体に最初に凹部を形成するための凹部形成ピン70における押圧部70aの形状は、基本的に上記各実施例のものと共通するが、押圧部70aの外側に端面よりも凹んだ環状溝70bが設けられている。この凹部形成ピン70を使用することにより、図17に示すように、棒状素材3の端面には、塑性変形により中間段階の凹部3aが形成されるとともに、環状の突起3bが形成される。次いで、この棒状素材3の端面を、端面が平坦な膨出部形成ピン(図示せず)で突起3bを軸心方向に押圧すると、図18に示すように、突起3bが塑性変形して潰れる影響で凹部3aの入口付近が膨らみ、塑性変形による環状の膨出部72aを備える凹部72が形成されたスタッド本体71となる。
【0023】
上記各実施例では、スタッド本体の凹部が軸心方向において横断面円形状のものについて説明したが、これを多角形状にしたり、あるいは金属製塊状物を球体以外のものにするなど、この発明の技術思想内での種々の変更実施はもちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明により製造されるスタッドの一実施例を示す部分断面正面図である。
【図2】上記スタッドの要部拡大断面図である。
【図3】スタッド本体の製造工程を示す説明図である。
【図4】図3の次工程を示す説明図である。
【図5】図4の工程で形成された中間段階のスタッド本体の要部拡大断面図である。
【図6】図4の次工程を示す説明図である。
【図7】図6の工程で仕上げられたスタッド本体の要部拡大断面図である。
【図8】本発明に係る膨出部形成ピンの一実施例を示す要部拡大断面図である。
【図9】金属製塊状物の圧入作業を示す説明図である。
【図10】本発明に係る膨出部形成ピンの他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【図11】図10の膨出部形成ピンで形成されたスタッド本体の要部拡大断面図である。
【図12】膨出部形成ピンの他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【図13】図12の膨出部形成ピンで形成されたスタッド本体の要部拡大断面図である。
【図14】膨出部形成ピンの他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【図15】図14の膨出部形成ピンで形成されたスタッド本体の拡大端面図である。
【図16】凹部形成ピンの参考例を示す要部拡大断面図である。
【図17】図16の凹部形成ピンで形成された中間段階のスタッド本体の要部拡大断面図である。
【図18】図17の次工程で仕上げられたスタッド本体の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…スタッド、2,3…棒状素材、10,41,51,61,71…スタッド本体、11…頭部、12…溶植側端面、13…金属製塊状物、14,42,52,62,72…凹部、14a,42b,52a,62b,72a…膨出部、20,24,28…ダイス、22,25,29…パンチ、26,70…凹部形成ピン、31,32,40,50,60…膨出部形成ピン、33…パンチケース、35…打込み用ダイス
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築、土木分野の鉄骨構造物に適用するスタッドの製造技術に係り、詳しくはその製造方法と、そこで用いる膨出部形成ピンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築あるいは土木分野の鉄骨構造物では、耐火性や構造強度などの点から、鉄骨柱および鉄骨梁に対してコンクリートを一体化することが行われている。この場合、それら部材相互の結合性を増大することにより耐力を向上させる手段として、スタッドボルト、頭付きスタッドなどと称されるスタッド材を鉄骨表面に対して、アーク溶接により植設するのが一般的である。この種のスタッドとして、スタッド本体の溶植側端面(スタッドベース)の中央部分に、アルミニウム等の良導電性材料からなる小さな塊状物を、その一部が表面から突出するように取り付けたものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照。)。この金属製塊状物は、溶接開始時における通電端子としての役割の他に、母材との間でアーク発生中に脱酸反応を起こすフラックスとしての役割を担うものである。
【0003】
【特許文献1】特公昭52−10648号公報(第1頁第2欄第3行−同欄第27行と第6図、および第2頁第3欄第12行−同欄第17行と第4図)
【特許文献2】実公昭57−54932号公報(第1頁第2欄第1行−同欄第21行、第3図−第6図)
【特許文献3】特公平7−55352号公報(第3頁第6欄第20行−第4頁第7欄第7行、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来例のスタッドでは、金属製塊状物が圧入される溶植側端面の中央部分には、予めパンチ(ポンチとも称する)の打刻等により適宜深さの凹部が形成される。斯かる凹部は、特許文献1,3に示されるように一般的には軸心方向における断面形状が円形であり、その内周面は比較的滑らかな表面として形成される。これは、打刻時におけるパンチのスタッド本体への食付きを防止するため、パンチ外周面が滑らかな表面に仕上げられていることに起因する。したがって、圧入された金属製塊状物は、実質的に凹部内周面との間の摩擦のみでスタッド本体に係止されることになるから、僅かな衝撃でも脱落しやすいという問題点があった。
【0005】
また、特許文献2には、凹部を星形等の円形以外の断面形状にしたり、あるいは凹部の内周面を横縞状や螺旋状に形成することにより、壁面に多数の凹凸を形成する技術が開示されているが、それぞれ次のような問題点を有している。すなわち、前者の場合には、金属製塊状物との接触面積は上記のような円形断面のものに比べて増加するが、軸心方向には何ら段差が存在せず、上記円形断面のものと同様に摩擦のみによる係止である。このため、脱落防止の点ではそれほどの改善は望めない。後者の場合には、金属製塊状物の圧入時の塑性変形により、軸心方向に形成された多数の段差に対する掛止効果が期待できるものの、その成形加工がかなり面倒であり、製造コストの点から実用化はされていない。
【0006】
このような事情から、最近ではパンチによる打刻に代えてドリルで穴を開ける方法が広く行われている。この場合には、ドリルの刃の回転に伴う環状の切削痕が凹部の内周面に形成されることから、圧入された金属製塊状物との間で多少の掛合状態が生じ、金属製塊状物の脱落は少なくなる。しかしながら、このドリルによる凹部形成方法は、パンチの打刻に比べると作業性が悪く、しかも切削屑が多量に発生するという問題があり、本質的な解決策とはなっていないのが実情である。
【0007】
そこで、本発明者らは、このような従来技術が有する問題点について鋭意検討を重ねた結果、本発明に想到したのである。すなわち、本発明は、金属製塊状物の脱落がなく安価に製造することができるスタッドとその製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係るスタッドの製造方法では、スタッド本体の溶植側端面に凹部を形成した後、先端側に突起を有する膨出部形成ピンで凹部内周面を規制しながら凹部近傍の溶植側端面をその突起で軸心方向に押圧することにより、凹部の開口周縁部分の少なくとも一部を塑性変形させて内側に向けて膨らむ膨出部とし、次いで前記スタッド本体よりも軟質の金属製塊状物を、スタッド本体の凹部への圧入により塑性変形させながら凹部に充填して前記膨出部の裏側にも入り込ませ、その一部がスタッド本体の溶植側端面よりも突出した状態に係着することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、適宜の圧造装置を用いてスタッド本体を形成するとともに、その溶植側端面に凹部を形成した後、膨出部形成ピンの先端にある突起で溶植側端面の凹部近傍を軸心方向に押圧する。この押圧力を受けた部分は、塑性変形して周囲の溶植側端面よりも凹み、その変形に伴って凹部の開口周縁部分が内側に向けて膨出し、凹部の開口部分が窄まる。この際、膨出部形成ピンの突起が凹部内周面側の変形を規制することにより、開口周縁部分が必要以上に内側に向けて膨出するのを防ぐことができる。そして、金属製塊状物は、膨出量が規制された凹部内面の膨出部を、圧入に伴って塑性変形しながら乗り越えて凹部内に入り、膨出部の裏側にも回り込むので、膨出部に確実に掛止されることになる。
【0010】
なお、上記構成における膨出部形成ピンとして、溶植側端面を押圧する際に凹部内に入り込むことで開口周縁部分の過剰な膨出を規制する柱状部分を突起に設けると効果的である(請求項2)。さらに、溶植側端面を押圧する円錐台部分の中央に柱状部分が突出した二段状の突起とすることも可能である(請求項3)。これら請求項1〜3に記載の膨出部形成ピンを使用すれば、金属製塊状物の脱落がないスタッドを経済的に製造することができる(請求項4)。
【0011】
また、本発明に係る膨出部形成ピンを適用するスタッド本体の溶植側端面に形成する凹部としては、略半球状が好適であり、パンチを用いて凹部を形成する場合、金型の製造コストやその耐久性などの点から好都合である。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、スタッド本体の凹部近傍の溶植側端面を、膨出部形成ピンにより凹部の内周面側を規制しながら軸心方向に押圧することで、凹部の開口周縁部分の過剰な膨出を抑制する構成であるから、この膨出部が次工程の金属製塊状物の圧入作業において障害になりにくく、金属製塊状物の脱落を簡便な方法で確実に阻止することが可能になり、製造コストの低減を併せて達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係るスタッドの製造方法は、例えば多段フォーマー等の一般的に使用されている適宜の圧造装置を用いてスタッド本体を形成し、その溶植側端面に凹部を形成するまでは、実質的に従来方法と大差はない。本発明では、膨出部形成ピンを新たに開発し、溶植側端面の凹部近傍を内周面側で規制しながら押圧することにより、その開口周縁部分(凹部の入口付近の内面)を高い寸法精度をもって内側に向けて膨出させ、この膨出部で金属製塊状物をスタッド本体に掛止する点に技術的な特徴がある。本発明に適用される金属製塊状物としては、スタッド本体よりも軟質の金属である。さらに、スタッド本体および母材を構成する金属よりも融点が低く、かつ還元力の強い金属であり、例えばスタッド本体および母材の代表的な素材である鉄に対しては、アルミニウム、亜鉛等が挙げられ、対象となる金属に応じて適宜選定すればよい。その形状は、特に限定はされないが、球状、先の尖った円柱状などが好適である。なお、スタッドの種類としては、頭付きスタッドに限らず、異形鉄筋からなる耐震補強用のスタッドなど、本体の形状においても格別の限定はない。また、スタッド本体の溶植側端面における凹部内の膨出部の形成方法については、例えば円柱状あるいは環状の突起が先端面に形成された適宜のパンチで軸心方向に押圧して塑性変形を生じさせ、これにより凹部の入口付近の内面の全周を膨出させたり、十字状や一文字状の突起を有するパンチで部分的に塑性変形させて膨出部を形成してもよい。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る製造方法によって得られるスタッドの一実施例を示す部分断面正面図である。図示のスタッド1は、スタッド本体10の頭部11とは反対側で、スタッドベースとなる端面12の中央に、アルミニウム球体等の金属製塊状物13がその一部を埋没した状態で固着されたものである。ここで、金属製塊状物13は、図2に拡大図として示すように、スタッド本体10に設けられた略半球状の凹部14の内部に一部が挿入され、露出部分は球面部13aと鍔部13bとなっている。そして、金属製塊状物13は、凹部14の入口付近の内面、すなわち開口周縁部分の全周に渡り形成され、開口部分(入口)を狭めるように内側に向けて膨らむ膨出部14aの裏側にも回り込み、凹部14の内面に対して密着状態でその内部をほぼ隙間なく満たしている。このように、本発明のスタッド1において、金属製塊状物13は、スタッド本体10の膨出部14aに対してその裏側で掛合することにより確実に係止され、スタッド本体10から脱落することがなくなる。
【0015】
次に、図3ないし図8を参照しながら、多段フォーマーを用いた上記スタッド1の製造方法について説明する。多段フォーマーは、一般に固定台(図示せず)に取り付けられた複数のダイスと、往復移動するラム(図示せず)に取り付けられた複数のパンチとで構成される。図3において、所定長さに切断された所定外径の鉄線などの棒状素材2は、まず頭部となる所定長さ部分を残してダイス20内に挿入され、その後端側において支持ピン21で支持される。そして、この状態で先端側からパンチ22が移動し、棒状素材2の突出した端部に対してそのテーパ状内空部22aを外嵌し、パンチピン23で押圧して頭部の予備成形を行う。
【0016】
次に、図4に示すように、次工程のユニットにおいてダイス24とパンチ25とにより頭部の成形をさらに行う。ここでは、ダイス24に挿通された凹部形成ピン26に後端側を当接した状態で、パンチピン27により頭部のさらなる成形を行うとともに、棒状素材2の後端面に中間段階の凹部を形成する。なお、凹部形成ピン26における押圧部26aの形状は、先端側が幾分か偏平になった半球状であり、図5に拡大して示すように、これにより形成される中間段階の凹部2aもそれに応じた形状に形成される。
【0017】
続いて、図6に示すように、次工程のユニットにおいてダイス28とパンチ29とにより棒状素材2の頭部の最終成形を行う。この際、スタッド本体10の後端面に形成されている中間段階の凹部2a(図5参照)に対して、同じ軸心で当該凹部2aの入口よりもやや大きい外径の円柱状突起31aを先端に有する膨出部形成ピン31を宛がった状態で、パンチ29内のパンチピン30で頭部側から押圧する。この押圧により、図7に示すように中間段階の凹部2aの入口付近が塑性変形して全周において内側に膨らみ、環状の膨出部14aが形成される。このように、開口周縁部分(凹部2aの入口付近の内面)に塑性変形による膨出部14aが形成されたものが、最終的な凹部14となる。なお、図6の膨出部形成ピン31は参考例であり、図8に示す突起形状の膨出部形成ピン32が本発明に係るものである。この場合、突起は円錐台部分32aと円柱状部分32bからなる二段状に形成されている。ここで、中心に円柱状部分32bを設けた理由は、本体部分に近い円錐台部分32aで中間段階の凹部2aの入口付近を押圧する際に、円柱状部分32bが凹部2a(14)の内部に入り込むことで、最終的に膨出部14aとなる開口周縁部分が必要以上に塑性変形して内側に膨出するのを規制し、後述する金属製塊状物13の圧入作業をより円滑にするためである。
【0018】
図9は、スタッド製造の最終工程である金属製塊状物13の圧入作業の概略を示すものである。この場合、金属製塊状物13としてアルミニウム製球体が使用されている。ここで、スタッド本体10は、パンチケース33内にその頭部11側が挿入され、パンチピン34で支持されている。この状態で、打込み用ダイス35の通孔35aをスタッド本体10の凹部14に互いの軸心を合わせて宛がい、打込みピン36でアルミニウム製球体13を凹部14内に圧入する。アルミニウム製球体13は、打込み用ダイス35の先端側部分に設けられた収納部37から1個ずつ通孔35a内に供給される。この圧入操作により、アルミニウム製球体13は塑性変形しながら凹部14の内部に入り、図2にその圧入状態を拡大して示すように、内部を埋めて凹部14の内面に対して密着状態で膨出部14aの裏側にも回り込む。その後、アルミニウム製球体13が係着されたスタッド本体10は、パンチケース33の後退の後、パンチピン34で前方に押し出されるとともに、打込みピン36もバネ38により元の位置に復帰し、次の作業に備える。図2から明らかなように、軸心方向において互いが凹凸関係の嵌合状態が形成されることにより、アルミニウム製球体13は膨出部14aに確実に掛止されるので、衝撃等の外力に対して脱落することがなくなる。なお、図2に示される鍔部13bは、この圧入時に余剰の体積部分がはみ出して形成されたものである。
【0019】
図10ないし図15は、本発明の製造方法において使用する膨出部形成ピンと、それによって製造されるスタッド本体の他の実施例である。まず、図10,11について説明する。図示の膨出部形成ピン40は、図8に示す膨出部形成ピン32と同様に、必要以上の膨出を規制するための円柱状部分40bを有するものである。この場合、スタッド本体に塑性変形による膨出部を形成するための突起40aは、円柱状部分40bの外側に所定の間隔、すなわち前記中間段階の凹部2aの開口部よりも外側の位置に環状に設けられている。図11は、この膨出部形成ピン40を用いて製造されたスタッド本体41の断面図であり、凹部42の入口の周囲が膨出部形成ピン40の環状突起40aに押圧されて塑性変形し、その結果、端面に環状溝42aが形成されることに伴い、開口周縁部分(凹部42の入口付近の内面)の全周に渡って膨出部42bが形成されている。
【0020】
図12および図13に示す実施例では、膨出部形成ピン50の突起50aが、十字状に形成されている。ここで、十字の一辺の長さは、スタッド本体51の凹部52の入口部分に跨るようにその内径よりも幾分か大きく形成されている。この膨出部形成ピン50を使用した場合、スタッド本体51の凹部52の入口付近には、4個所に独立した塑性変形による膨出部52aが形成される。なお、図示はしていないが、膨出部形成ピン50の十字の中心部分に上記実施例(図8、10)のような膨出を規制するための円柱状部分を設けることが必須である。
【0021】
さらに、図14および図15に示す実施例では、膨出部形成ピン60の先端面に4個の突起60aが、軸心を挟む十字状位置に配置されている。ここで、対向関係にある突起60a間の間隔は、スタッド本体61における凹部62の入口付近の内径よりも幾分か大きく形成されている。斯かる膨出部形成ピン60を使用した場合には、図15に端面として示すように、膨出部形成ピン60の突起60aの押圧により、端面に形成される4個所の凹所62aの影響でそれぞれの軸心側部分が内側に塑性変形して膨らむことに伴い、膨出部62bが形成される。なお、図示はしていないが、4個の突起60aの中心部分に上記実施例(図8、10)のような円柱状部分を設けることは同様に必須である。
【0022】
次に、図16ないし図18は、上記各実施例とは製造方法がやや異なる参考例である。この場合、図16に示すように、スタッド本体に最初に凹部を形成するための凹部形成ピン70における押圧部70aの形状は、基本的に上記各実施例のものと共通するが、押圧部70aの外側に端面よりも凹んだ環状溝70bが設けられている。この凹部形成ピン70を使用することにより、図17に示すように、棒状素材3の端面には、塑性変形により中間段階の凹部3aが形成されるとともに、環状の突起3bが形成される。次いで、この棒状素材3の端面を、端面が平坦な膨出部形成ピン(図示せず)で突起3bを軸心方向に押圧すると、図18に示すように、突起3bが塑性変形して潰れる影響で凹部3aの入口付近が膨らみ、塑性変形による環状の膨出部72aを備える凹部72が形成されたスタッド本体71となる。
【0023】
上記各実施例では、スタッド本体の凹部が軸心方向において横断面円形状のものについて説明したが、これを多角形状にしたり、あるいは金属製塊状物を球体以外のものにするなど、この発明の技術思想内での種々の変更実施はもちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明により製造されるスタッドの一実施例を示す部分断面正面図である。
【図2】上記スタッドの要部拡大断面図である。
【図3】スタッド本体の製造工程を示す説明図である。
【図4】図3の次工程を示す説明図である。
【図5】図4の工程で形成された中間段階のスタッド本体の要部拡大断面図である。
【図6】図4の次工程を示す説明図である。
【図7】図6の工程で仕上げられたスタッド本体の要部拡大断面図である。
【図8】本発明に係る膨出部形成ピンの一実施例を示す要部拡大断面図である。
【図9】金属製塊状物の圧入作業を示す説明図である。
【図10】本発明に係る膨出部形成ピンの他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【図11】図10の膨出部形成ピンで形成されたスタッド本体の要部拡大断面図である。
【図12】膨出部形成ピンの他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【図13】図12の膨出部形成ピンで形成されたスタッド本体の要部拡大断面図である。
【図14】膨出部形成ピンの他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【図15】図14の膨出部形成ピンで形成されたスタッド本体の拡大端面図である。
【図16】凹部形成ピンの参考例を示す要部拡大断面図である。
【図17】図16の凹部形成ピンで形成された中間段階のスタッド本体の要部拡大断面図である。
【図18】図17の次工程で仕上げられたスタッド本体の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…スタッド、2,3…棒状素材、10,41,51,61,71…スタッド本体、11…頭部、12…溶植側端面、13…金属製塊状物、14,42,52,62,72…凹部、14a,42b,52a,62b,72a…膨出部、20,24,28…ダイス、22,25,29…パンチ、26,70…凹部形成ピン、31,32,40,50,60…膨出部形成ピン、33…パンチケース、35…打込み用ダイス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタッド本体の溶植側端面に凹部を形成した後、先端側に突起を有する膨出部形成ピンで凹部内周面を規制しながら凹部近傍の溶植側端面をその突起で軸心方向に押圧することにより、凹部の開口周縁部分の少なくとも一部を塑性変形させて内側に向けて膨らむ膨出部とし、次いで前記スタッド本体よりも軟質の金属製塊状物を、スタッド本体の凹部への圧入により塑性変形させながら凹部に充填して前記膨出部の裏側にも入り込ませ、その一部がスタッド本体の溶植側端面よりも突出した状態に係着することを特徴とするスタッドの製造方法。
【請求項2】
前記膨出部形成ピンの突起が、溶植側端面を押圧する際に凹部内に入り込む柱状部分を備えることを特徴とする請求項1に記載のスタッドの製造方法。
【請求項3】
前記膨出部形成ピンの突起が、溶植側端面を押圧する円錐台部分の中央に柱状部分が突出した二段状であることを特徴とする請求項2に記載のスタッドの製造方法。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれか一項に記載したスタッドの製造方法で用いる膨出部形成ピン。
【請求項1】
スタッド本体の溶植側端面に凹部を形成した後、先端側に突起を有する膨出部形成ピンで凹部内周面を規制しながら凹部近傍の溶植側端面をその突起で軸心方向に押圧することにより、凹部の開口周縁部分の少なくとも一部を塑性変形させて内側に向けて膨らむ膨出部とし、次いで前記スタッド本体よりも軟質の金属製塊状物を、スタッド本体の凹部への圧入により塑性変形させながら凹部に充填して前記膨出部の裏側にも入り込ませ、その一部がスタッド本体の溶植側端面よりも突出した状態に係着することを特徴とするスタッドの製造方法。
【請求項2】
前記膨出部形成ピンの突起が、溶植側端面を押圧する際に凹部内に入り込む柱状部分を備えることを特徴とする請求項1に記載のスタッドの製造方法。
【請求項3】
前記膨出部形成ピンの突起が、溶植側端面を押圧する円錐台部分の中央に柱状部分が突出した二段状であることを特徴とする請求項2に記載のスタッドの製造方法。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれか一項に記載したスタッドの製造方法で用いる膨出部形成ピン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−253562(P2010−253562A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177441(P2010−177441)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2002−371843(P2002−371843)の分割
【原出願日】平成14年12月24日(2002.12.24)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2002−371843(P2002−371843)の分割
【原出願日】平成14年12月24日(2002.12.24)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]