説明

スタビライザの軸受装置

【課題】異音の発生を抑え、しかも簡単に組み付けることができるスタビライザの軸受装置を提供すること。
【解決手段】合成樹脂製の円筒ブッシュ6でスタビライザSを摺動自在に支承し、異音の発生を防止する。小径軸部2602が小径孔部1402に嵌合され、鍔部2604が大径孔部1404に挿入されて鍔部2604の環状の端面2612が係合孔14の環状の係止面1406に係止されていることから、スタビライザSへの組み付け時に弾性支持部材8の開閉に伴い弾性支持部材8に追従して円筒ブッシュ6が開閉され、スタビライザSへの組み付けが簡単になされる。また、2つの係合凸部26をそれぞれ係合孔14に係合する構成であるので、弾性支持部材8への円筒ブッシュ6の組み付けも簡単になされ、弾性支持部材8に対する円筒ブッシュ6の回転が確実に阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の懸架アーム側にボールジョイント等を介して連結されたスタビライザを車体側において支持する軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のスタビライザは、車体のロールに対しては該ロールに抵抗するモーメントを生じ、車体の上下振動に対してはバネ作用をしないように懸架アームと車体との間に取付けられたトーションバー・バネで、車体のロールを少なくして走行安定性の向上を計ることを目的とするものである。そして、一般にはU字形に曲げたバーの中央部をトーションバー・バネとして、両端部をその腕として使うもので、両端腕部はボールジョイントあるいはリンクロッド等を介して懸架アームに取付けられ、中央部は車体にゴムクッション又はゴムブッシュを介して取付けられている。
【0003】
このスタビライザを支持するゴムクッション又はゴムブッシュは該スタビライザを密に抱持し、車体のロールに対して抵抗するさいの該スタビライザの回転を支持すると共に走行中に路面から受ける振動を緩和して車体側への伝達を阻止する役割を果たすものである。
【0004】
上述した役割を果たすゴムクッション又はゴムブッシュにおいては、該スタビライザが回転する際、該スタビライザと該ゴムクッション又はゴムブッシュとの間でスティック−スリップ現象を発生し、往々にして異音を発生するという問題がある。この異音は運転者にとっては不快音となる。この異音の発生を防止する方法としては、例えばゴムクッション又はゴムブッシュの硬度を高めることによって一応の解決を計ることができるが、ゴムの硬度を高めることは該ゴムクッション又はゴムブッシュのもう一つの役割である振動緩和能力を減衰させることになるから、このゴムの硬度を高めるという方法は得策ではない。
【0005】
上記したスティクスリップ現象に起因する異音の発生を防止するべく、スタビライザとゴムクッション又はゴムブッシュとの間に合成樹脂製のすべり軸受を介在させ、スタビライザを摺動支持する軸受装置が提案されている(特許文献1、特許文献2及び特許文献2所載)。
【0006】
【特許文献1】実願昭60−112163号のマイクロフィルム
【特許文献2】特開平7−301230号公報
【特許文献3】特開2000−233626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら斯かる軸受装置では、すべり軸受と、ゴムクッション又はゴムブッシュとをスタビライザに対して簡単に組み付けることができず、組み立て作業効率を高めることができない問題がある。
本発明は上記諸点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、異音の発生を抑え、しかも簡単に組み付けることができるスタビライザの軸受装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明は、懸架アーム側に連結されたスタビライザを車体側において支持するスタビライザの軸受装置であって、軸受装置は、スタビライザを摺動自在に支承する合成樹脂製の円筒ブッシュと、該円筒ブッシュを抱持するゴム弾性体製の弾性支持部材と、円筒ブッシュを抱持した弾性支持部材を車体側に固定するブラケットとからなり、前記弾性支持部材は、前記円筒ブッシュを抱持する抱持孔と、前記抱持孔の軸方向に延在して前記抱持孔の開閉を可能としたスリットとを備え、前記弾性支持部材の周方向に間隔をおいた複数箇所に前記弾性支持部材の内周面に開口して半径方向に延在する係合孔が設けられ、前記係合孔は、前記内周面に開口する小径孔部と、前記小径孔部の端部に連接され前記小径孔部よりも直径が大きい大径孔部と、前記小径孔部と前記大径孔部との境の箇所に設けられた係止面とで構成され、前記円筒ブッシュに、軸方向に延在するスリットが設けられ、前記弾性支持部材のスリットと前記円筒ブッシュのスリットとは周方向において同位相の箇所に位置し、前記円筒ブッシュの外周面に、前記係合孔に係合可能な係合凸部が設けられ、前記係合凸部は、前記小径孔部に嵌合される小径軸部と、前記小径軸部の端部に連接され前記大径孔部に挿入されて前記係止面に係止される鍔部とで構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、懸架アーム側に連結されたスタビライザを車体側において支持するスタビライザの軸受装置であって、軸受装置は、スタビライザを摺動自在に支承する合成樹脂製の円筒ブッシュと、該円筒ブッシュを抱持するゴム弾性体製の弾性支持部材と、円筒ブッシュを抱持した弾性支持部材を車体側に固定するブラケットとからなり、前記弾性支持部材は、前記円筒ブッシュを抱持する抱持孔と、前記抱持孔の軸方向に延在して前記抱持孔の開閉を可能としたスリットとを備え、前記弾性支持部材の周方向に間隔をおいた複数箇所に前記弾性支持部材の内周面に開口し半径方向に延在する係合孔が設けられ、前記係合孔は、前記内周面に開口する小径孔部と、前記小径孔部の端部に連接され前記小径孔部よりも直径が大きい大径孔部と、前記小径孔部と前記大径孔部との境の箇所に設けられた係止面とで構成され、前記円筒ブッシュは径方向に二分割された二つの半円筒体からなり、前記二つの半円筒体の周方向の両端が向かい合う2箇所のうちの1箇所は、前記弾性支持部材のスリットと周方向において同位相の箇所に位置し、前記円筒ブッシュの外周面に、前記係合孔に係合可能な係合凸部が設けられ、前記係合凸部は、前記小径孔部に嵌合される小径軸部と、前記小径軸部の端部に連接され前記大径孔部に挿入されて前記係止面に係止される鍔部とで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスタビライザの軸受装置によれば、合成樹脂製の円筒ブッシュでスタビライザを摺動自在に支承し、スティック−スリップ現象の発生を阻止し異音の発生を防止する。
さらに、本発明のスタビライザの軸受装置によれば、係合凸部が係合孔に係合していることから、スタビライザへの組み付け時に弾性支持部材の開閉に伴い弾性支持部材に追従して円筒ブッシュが開閉され、スタビライザへの組み付けが簡単になされる。
【0011】
また、スリットが形成された円筒ブッシュを用いるスタビライザの軸受装置では、スリットに対向する円筒ブッシュの箇所に、この円筒ブッシュの肉厚を薄くした薄肉部が軸方向に延在して設けられていると、弾性支持部材及び円筒ブッシュの開閉がより簡単に行われ、スタビライザへの組み付け作業効率を高める上で有利となる。
【0012】
また、本発明のスタビライザの軸受装置では、前記鍔部を、前記小径軸部側に近づくにつれて次第に外径が大きくなる円錐面からなる外周面と、前記小径軸部の端部と前記外周面の端部とを接続し前記係止面に係止可能な環状の端面とで構成することができる。
また、本発明のスタビライザの軸受装置では、前記鍔部が半径方向の内側に撓んで前記小径孔部に挿入し易いように、突出方向の先部が開放された中空状に形成されていると、係合凸部の係合孔への係合が簡単になされ、円筒ブッシュをスタビライザへ簡単に組み付ける上で有利となる。
また、本発明で用いる円筒ブッシュは、好ましくは、自己潤滑性に優れたポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性合成樹脂から形成されているとよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1はスタビライザを支持する軸受装置の斜視図、図2は円筒ブッシュを抱持した弾性支持部材の側面図、図3は図2のA―A断面図、図4は図3のB―B断面図、図5は円筒ブッシュの側面図、図6は円筒ブッシュの正面図、図7は図5のC―C断面図、図8は図6のD―D断面図を示す。
図1において、本例のスタビライザの軸受装置2は、懸架アーム(図示せず)側に連結されたスタビライザSを摺動自在に支承する合成樹脂製の円筒ブッシュ6と、円筒ブッシュ6を抱持するゴム弾性体からなる弾性支持部材8と、円筒ブッシュ6を抱持した弾性支持部材8を車体側へ固定するブラケットBとからなる。
【0015】
図2乃至図4に示すように、弾性支持部材8は、円筒ブッシュ6を抱持する抱持孔10と、抱持孔10の軸方向に延在して抱持孔10の開閉を可能としたスリット12とを備えている。
弾性支持部材8の周方向に間隔をおいた2箇所に、半径方向に延在し弾性支持部材8の内周面と外周面とに開口する係合孔14が設けられている。
係合孔14は、前記内周面に開口する小径孔部1402と、前記外周面に開口し小径孔部1402よりも直径が大きい大径孔部1404と、小径孔部1402と大径孔部1404との境の箇所に設けられた環状の係止面1406とで構成されている。
【0016】
図5乃至図8に示すように、円筒ブッシュ6は、スタビライザSを摺動自在に支承する内周面20を備えている。
円筒ブッシュ6には、軸方向に延在するスリット22が設けられている。
また、スリット22に対向する円筒ブッシュ6の箇所に、円筒ブッシュ6の外周面を平坦面として該円筒ブッシュ6の肉厚を薄くした薄肉部24が軸方向に延在して設けられている。
したがって、円筒ブッシュ6は、薄肉部24からスリット22まで延在し薄肉部24を支点として内周面20を開閉する2つの半円筒部分2002を有している。
そして、係合孔14に係合可能な係合凸部26が、2つの半円筒部分2002が対向する箇所に1つずつ設けられている。
【0017】
係合凸部26は、小径孔部1402に嵌合される小径軸部2602と、小径軸部2602の端部に連接され大径孔部1404に挿入されて環状の係止面1406に係止される鍔部2604とで構成されている。
鍔部2604は、小径軸部2602側に近づくにつれて次第に外径が大きくなる円錐面からなる外周面2610と、小径軸部2602の端部と外周面2610の端部とを接続し環状の係止面1406に係止可能な環状の端面2612とを有している。
係合凸部26は、鍔部2604が半径方向の内側に撓んで小径孔部1402に挿入し易いように、突出方向の先部が開放された中空状に形成されている。
【0018】
円筒ブッシュ6は、その外周面が抱持孔10の内周面に当て付けられ、2つの係合凸部26がそれぞれ係合孔14に係合されて弾性支持部材8の抱持孔10に組み付けられている。
詳細には、小径軸部2602が小径孔部1402に嵌合され、鍔部2604が大径孔部1404に挿入され、鍔部2604の環状の端面2612が係合孔14の環状の係止面1406に係止されることで、円筒ブッシュ6が弾性支持部材8の抱持孔10に組み付けられている。
【0019】
このように組みつけられた状態で、弾性支持部材8のスリット12と円筒ブッシュ6のスリット22とは周方向において同位相の箇所に位置し、したがって、スリット12を境に弾性支持部材8を開くと、このスリット12の動きに連動して円筒ブッシュ6の2つの半円筒部分2002も薄肉部24を支点として開き、スタビライザ2の外面に簡単に装着できるようになっている。
そして、スタビライザ2の外面に装着された円筒ブッシュ6および弾性支持部材8は、ブラケットBを介して車体に取着される。このブラケットBは、例えば、横断面U字状をなし、U字状の部分が弾性支持部材8の外周面の凹所に嵌合され、U字状の部分の両端の取り付け片が車体側にボルト止め等によって固定される。
【0020】
上記構成からなる軸受装置1において、スタビライザSの外面に摩擦接触する内周面20を有する円筒ブッシュ6は、車体のロールに対して抵抗する際のスタビライザSの回転を許容し、弾性支持部材8は走行中の路面から受けるスタビライザSの振動を緩和して車体側への伝達を阻止する。
また、合成樹脂製の円筒ブッシュ6でスタビライザSを摺動自在に支承しているので、スティック−スリップ現象の発生を阻止し、異音の発生を防止することが可能となる。
そして、2つの係合凸部26がそれぞれ係合孔14に係合していることから、より詳細には、小径軸部2602が小径孔部1402に嵌合され、鍔部2604が大径孔部1404に挿入されて鍔部2604の環状の端面2612が係合孔14の環状の係止面1406に係止されていることから、スタビライザSへの組み付け時に弾性支持部材8の開閉に伴い弾性支持部材8に追従して円筒ブッシュ6が開閉され、スタビライザSへの組み付けが簡単になされる。
また、2つの係合凸部26をそれぞれ係合孔14に係合する構成であるので、弾性支持部材8への円筒ブッシュ6の組み付けも簡単になされ、また、弾性支持部材8に対する円筒ブッシュ6の回転が確実に阻止され、円筒ブッシュ6は弾性支持部材8に確実に抱持される。
【0021】
(第2の実施の形態)
図9は円筒ブッシュを抱持した弾性支持部材の側面図、図10は図9のA―A断面図、図11は図10のB―B断面図、図12は円筒ブッシュの側面図、図13は円筒ブッシュの正面図、図14は図12のC―C断面図、図15は図13のD―D断面図を示し、図12〜図15において2つの円筒ブッシュ36Aのうち下側に位置する円筒ブッシュ36Aを点線で示している。
【0022】
本例のスタビライザの軸受装置2'も、第1の実施の形態と同様に、懸架アーム(図示せず)側に連結されたスタビライザS(図1参照)を摺動自在に支承する合成樹脂製の円筒ブッシュ36と、円筒ブッシュ36を抱持するゴム弾性体からなる弾性支持部材38と、円筒ブッシュ36を抱持した弾性支持部材38を車体側へ固定するブラケットBとからなる。
【0023】
図9乃至図11に示すように、弾性支持部材38は、円筒ブッシュ36を抱持する抱持孔40と、抱持孔40の軸方向に延在して抱持孔40の開閉を可能としたスリット42とを備えている。
弾性支持部材38の周方向に間隔をおいた2箇所に、半径方向に延在し弾性支持部材38の内周面と外周面とに開口する係合孔44が設けられている。
係合孔44は、前記内周面に開口する小径孔部4402と、前記外周面に開口し小径孔部4402よりも直径が大きい大径孔部4404と、小径孔部4402と大径孔部4404との境の箇所に設けられた環状の係止面4406とで構成されている。
【0024】
図12乃至図15に示すように、円筒ブッシュ36は、スタビライザSを摺動自在に支承する内周面50を備えている。
円筒ブッシュ36は径方向に二分割された二つの半円筒体36Aから構成されている。
そして、係合孔44に係合可能な係合凸部46は各半円筒体36Aが対向する箇所に1つずつ設けられている。
【0025】
図14に示すように、係合凸部46は、小径孔部4402に嵌合される小径軸部4602と、小径軸部4602の端部に連接され大径孔部4404に挿入されて環状の係止面4406に係止される鍔部4604とで構成されている。
鍔部4604は、小径軸部4602側に近づくにつれて次第に外径が大きくなる円錐面からなる外周面4610と、小径軸部4602の端部と外周面4610の端部とを接続し環状の係止面4406に係止可能な環状の端面4612とを有している。
係合凸部46は、鍔部4604が半径方向の内側に撓んで小径孔部1402に挿入し易いように、突出方向の先部が開放された中空状に形成されている。
【0026】
各円筒ブッシュ36は、その外周面が抱持孔40の内周面に当て付けられ、係合凸部46が係合孔44に係合されて弾性支持部材38の抱持孔40に組み付けられている。
詳細には、小径軸部4602が小径孔部4402に嵌合され、鍔部4604が大径孔部4404に挿入され、鍔部4604の環状の端面4612が係合孔44の環状の係止面4406に係止されることで、円筒ブッシュ36が弾性支持部材38の抱持孔40に組み付けられている。
そして、2つの係合凸部46がそれぞれ係合孔44に係合していることから、スタビライザSへの組み付け時に弾性支持部材38の開閉に伴い弾性支持部材38に追従して円筒ブッシュ36が開閉され、また、弾性支持部材38に対する円筒ブッシュ36の回転が確実に阻止される。
【0027】
このように組みつけられた状態で、二つの半円筒体36Aの周方向の両端が向かい合う2箇所のうちの1箇所は、弾性支持部材38のスリット42と周方向において同位相の箇所に位置し、したがって、スリット42を境に弾性支持部材38を開くと、このスリット42の動きに連動して2つの半円筒体36Aも、両端が向かい合う2箇所のうちの他の1箇所を支点として開き、スタビライザ2の外面に簡単に装着できるようになっている。
そして、スタビライザ2の外面に装着された円筒ブッシュ36および弾性支持部材38は、ブラケットBを介して車体に取着される。このブラケットBは、例えば、横断面U字状をなし、U字状の部分が弾性支持部材8の外周面の凹所に嵌合され、U字状の部分の両端の取り付け片が車体側にボルト止め等によって固定される。
【0028】
このような第2の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
すなわち、スタビライザSの外面に摩擦接触する内周面50を有する円筒ブッシュ36は、車体のロールに対して抵抗する際のスタビライザSの回転を許容し、弾性支持部材38は走行中の路面から受けるスタビライザSの振動を緩和して車体側への伝達を阻止する。
また、合成樹脂製の円筒ブッシュ36でスタビライザSを摺動自在に支承しているので、スティック−スリップ現象の発生を阻止し、異音の発生を防止することが可能となる。
そして、各係合凸部46がそれぞれ係合孔44に係合していることから、より詳細には、小径軸部4602が小径孔部4402に嵌合され、鍔部4604が大径孔部4404に挿入されて鍔部4604の環状の端面4612が係合孔44の環状の係止面4406に係止されていることから、スタビライザSへの組み付け時に弾性支持部材38の開閉に伴い弾性支持部材38に追従して二つの半円筒体36Aが開閉され、スタビライザSへの組み付けが簡単になされる。
また、各係合凸部46をそれぞれ係合孔44に係合する構成であるので、弾性支持部材38への円筒ブッシュ36の組み付けも簡単になされ、また、弾性支持部材38に対する円筒ブッシュ36の回転が確実に阻止され、円筒ブッシュ36は弾性支持部材38に確実に抱持される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】スタビライザを支持する軸受装置の斜視図である。
【図2】円筒ブッシュを抱持した弾性支持部材の側面図である。
【図3】図2のA―A断面図である。
【図4】図3のB―B断面図である。
【図5】円筒ブッシュの側面図である。
【図6】円筒ブッシュの正面図である。
【図7】図5のC―C断面図である。
【図8】図6のD―D断面図である。
【図9】円筒ブッシュを抱持した弾性支持部材の側面図である。
【図10】図9のA―A断面図である。
【図11】図10のB―B断面図である。
【図12】円筒ブッシュの側面図である。
【図13】円筒ブッシュの正面図である。
【図14】図12のC―C断面図である。
【図15】図13のD―D断面図である。
【符号の説明】
【0030】
2、2'…スタビライザの軸受装置、6、36……円筒ブッシュ、8、38……弾性支持部材、10、40……抱持孔、12、42……スリット、14、44……係合孔、22……スリット、24……薄肉部、26、46……係合凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸架アーム側に連結されたスタビライザを車体側において支持するスタビライザの軸受装置であって、軸受装置は、スタビライザを摺動自在に支承する合成樹脂製の円筒ブッシュと、該円筒ブッシュを抱持するゴム弾性体製の弾性支持部材と、円筒ブッシュを抱持した弾性支持部材を車体側に固定するブラケットとからなり、
前記弾性支持部材は、前記円筒ブッシュを抱持する抱持孔と、前記抱持孔の軸方向に延在して前記抱持孔の開閉を可能としたスリットとを備え、
前記弾性支持部材の周方向に間隔をおいた複数箇所に前記弾性支持部材の内周面に開口して半径方向に延在する係合孔が設けられ、
前記係合孔は、前記内周面に開口する小径孔部と、前記小径孔部の端部に連接され前記小径孔部よりも直径が大きい大径孔部と、前記小径孔部と前記大径孔部との境の箇所に設けられた係止面とで構成され、
前記円筒ブッシュに、軸方向に延在するスリットが設けられ、
前記弾性支持部材のスリットと前記円筒ブッシュのスリットとは周方向において同位相の箇所に位置し、
前記円筒ブッシュの外周面に、前記係合孔に係合可能な係合凸部が設けられ、
前記係合凸部は、前記小径孔部に嵌合される小径軸部と、前記小径軸部の端部に連接され前記大径孔部に挿入されて前記係止面に係止される鍔部とで構成されている、
ことを特徴とするスタビライザの軸受装置。
【請求項2】
前記スリットに対向する前記円筒ブッシュの箇所に、前記円筒ブッシュの肉厚を薄くした薄肉部が軸方向に延在して設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のスタビライザの軸受装置。
【請求項3】
懸架アーム側に連結されたスタビライザを車体側において支持するスタビライザの軸受装置であって、軸受装置は、スタビライザを摺動自在に支承する合成樹脂製の円筒ブッシュと、該円筒ブッシュを抱持するゴム弾性体製の弾性支持部材と、円筒ブッシュを抱持した弾性支持部材を車体側に固定するブラケットとからなり、
前記弾性支持部材は、前記円筒ブッシュを抱持する抱持孔と、前記抱持孔の軸方向に延在して前記抱持孔の開閉を可能としたスリットとを備え、
前記弾性支持部材の周方向に間隔をおいた複数箇所に前記弾性支持部材の内周面に開口し半径方向に延在する係合孔が設けられ、
前記係合孔は、前記内周面に開口する小径孔部と、前記小径孔部の端部に連接され前記小径孔部よりも直径が大きい大径孔部と、前記小径孔部と前記大径孔部との境の箇所に設けられた係止面とで構成され、
前記円筒ブッシュは径方向に二分割された二つの半円筒体からなり、
前記二つの半円筒体の周方向の両端が向かい合う2箇所のうちの1箇所は、前記弾性支持部材のスリットと周方向において同位相の箇所に位置し、
前記円筒ブッシュの外周面に、前記係合孔に係合可能な係合凸部が設けられ、
前記係合凸部は、前記小径孔部に嵌合される小径軸部と、前記小径軸部の端部に連接され前記大径孔部に挿入されて前記係止面に係止される鍔部とで構成されている、
ことを特徴とするスタビライザの軸受装置。
【請求項4】
前記鍔部は、前記小径軸部側に近づくにつれて次第に外径が大きくなる円錐面からなる外周面と、前記小径軸部の端部と前記外周面の端部とを接続し前記係止面に係止可能な環状の端面とを有している、
ことを特徴とする請求項1または3記載のスタビライザの軸受装置。
【請求項5】
前記係合凸部は、前記鍔部が半径方向の内側に撓んで前記小径孔部に挿入し易いように、突出方向の先部が開放された中空状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または3記載のスタビライザの軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−113716(P2009−113716A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291051(P2007−291051)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】