ステアリングコラム装置
【課題】摩擦部材を取り付けるにあたって、複数の摩擦板を簡単かつ正確に組み付けることができるステアリングコラム装置を提供する。
【解決手段】車体側ブラケット4の壁部41の外側に、第1の摩擦部材100および第2の摩擦部材110を配置させるとともに、第1の摩擦部材100および第2の摩擦部材110の外側縁部を拘束して複数の摩擦板102を束ねる枠体200を設け、枠体200の対向辺部200a、200bに各摩擦板102の外側縁部102a、102bを拘束する複数の溝部205を形成するとともに、第2の摩擦部材110の摩擦板を挿通するスリット206を形成した。
【解決手段】車体側ブラケット4の壁部41の外側に、第1の摩擦部材100および第2の摩擦部材110を配置させるとともに、第1の摩擦部材100および第2の摩擦部材110の外側縁部を拘束して複数の摩擦板102を束ねる枠体200を設け、枠体200の対向辺部200a、200bに各摩擦板102の外側縁部102a、102bを拘束する複数の溝部205を形成するとともに、第2の摩擦部材110の摩擦板を挿通するスリット206を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールのチルト操作やテレスコピック操作が可能なステアリングシャフトを収容したステアリングコラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリングホイールには、運転者の体格に合わせて上下調整するチルト操作や前後調整するテレスコピック操作が可能となったものがあり、それらステアリングホイールの上下調整位置や前後調整位置は、ステアリングシャフトを収容するステアリングコラムを車体側に支持する支持装置によって固定されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、前記支持装置は、ステアリングコラムの左右両側を挟むようにして左・右側壁部が配置される断面逆U字状の車体側ブラケットを備え、それの左・右側壁部間にステアリングコラムを保持するようになっている。このとき、ステアリングコラムは車体側ブラケットの左・右側壁部の内側面に沿って相対移動可能となっており、それら左・右側壁部間には締付け軸を貫通させて、その締付け軸に操作レバーおよびカム機構を設けてある。そして、操作レバーをクランプ方向に操作することにより締付け軸を介して左・右側壁部間に締付け力を付加し、それら左・右側壁部を互いに近接方向に撓み変形させてステアリングコラムを圧接時の摩擦力によりクランプするようになっている。
【0004】
前記特許文献1では、締付け軸の締付け力を左・右側壁部に伝達する際に、複数の摩擦板(薄板)を重ねた摩擦部材(薄板セット)を介して行うようになっている。摩擦部材は、複数の摩擦板を重ねた状態で、それらの両端部がピンによってステアリングコラム側に支持されるとともに、中間部分には前記締付け軸を挿通する長穴が形成される。そして、締付け軸の締付け力により、その締付け軸に設けた押圧板を介して摩擦部材に摩擦力を発生させ、ステアリングコラムの支持剛性を向上させている。
【特許文献1】特許第3939806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来のステアリングコラム装置は、摩擦部材が複数の摩擦板を重ねて構成されており、その摩擦部材を上記ステアリングコラム装置に取り付ける際に、複数の摩擦板を順次組み付けて行くことになる。
【0006】
このため、上記摩擦部材は複数の摩擦板を仮組み付けした状態で取り付ける手法が取られるが、この場合には、取り付け前に各摩擦板がばらけてしまうことがあり、摩擦板を正規の位置に直す作業が発生し、摩擦部材の取り付けに手間取ってしまう虞がある。
【0007】
また、複数の摩擦板が仮組み付け状態であるため、一部の摩擦板が正規位置に取り付けられないことがあり、ステアリングコラムを当初の設計通りにクランプさせることができなくなる虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、摩擦部材を取り付けるにあたって、複数の摩擦板を簡単かつ正確に組み付けることができるステアリングコラム装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、ステアリングホイールのチルト操作やテレスコピック操作が可能なステアリングシャフトを、相対回転自在および軸方向の相対移動自在に収容するステアリングコラムを備え、当該ステアリングコラムは、互いに軸方向移動可能に嵌合されるアウタチューブとインナチューブとを有し、それら両チューブを車体側に支持するステアリングコラム装置であって、前記ステアリングコラムの両側に跨って配置される側壁部を有し、当該側壁部の間に前記ステアリングコラムをそれら側壁部の内側面に沿って相対移動可能に保持する車体側ブラケットと、前記車体側ブラケットの両側壁部を貫通し、操作レバーの操作により当該両側壁部を互いに近接方向に締付けおよび締付け解除する締付け軸と、テレスコピック操作およびチルト操作のいずれか一方の操作方向に延びて前記締付け軸が挿通される第1の長孔を有する複数の摩擦板を重ねた状態からなる第1の摩擦部材と、前記第1の長孔に交叉してテレスコピック操作およびチルト操作の他方の操作方向に延びて前記締付け軸が挿通される第2の長孔を有する少なくとも1枚の摩擦板からなり、前記第1の摩擦部材に付設される第2の摩擦部材と、前記第1の摩擦部材および第2の摩擦部材の複数の前記摩擦板を束ねる枠体と、を備え、前記枠体の対向辺部に、前記第1の摩擦部材の各摩擦板の外側縁部を拘束する溝部を設けるとともに、前記第2の摩擦部材の摩擦板を挿通するスリットを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1のステアリングコラム装置において、前記枠体の溝部には、前記第1の摩擦部材の摩擦板同士の間隔を開ける突部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2のステアリングコラム装置において、前記枠体は、前記スリットの形成部分において前記第1の長孔の延在方向に着脱自在に分割されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、第1の摩擦部材および第2の摩擦部材の複数の摩擦板を束ねる枠体を設けたので、仮組み付けした状態で第1の摩擦部材および第2の摩擦部材を取り付ける際に、複数の摩擦板がばらけるのを抑制することができる。また、枠体の対向辺部に、第1の摩擦部材の各摩擦板を拘束する溝部を設けるとともに、第2の摩擦部材の摩擦板を挿通するスリットを形成したので、第1の摩擦部材と第2の摩擦部材に枠体を取り付けることができる。従って、第1の摩擦部材と第2の摩擦部材とを一体に組み付けた状態で、それら両摩擦部材を取り付けることができるため、摩擦部材の組付作業性を向上することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、枠体の溝部に突部を形成し、第1の摩擦部材の摩擦板同士の間隔を開けるようにしたので、複数の摩擦板の相互間の位置関係を適正に維持できる。従って、第1の摩擦部材をステアリングコラム装置に取り付けるにあたって、複数の摩擦板のばらけを抑制しつつ簡単かつ正確に組み付けることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、枠体を、スリットの形成部分において第1の長孔の延在方向に着脱自在に分割したので、第1の摩擦部材に第2の摩擦部材を付設した状態で上記枠体を第1の摩擦部材の外側縁部に取り付けることができ、枠体の取付作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0016】
図1〜図12は本発明にかかるステアリングコラム装置の一実施形態を示し、図1はステアリングコラム装置の斜視図、図2はステアリングコラム装置を操作レバー側から見た側面図、図3は図2中III−III線に沿った拡大断面図、図4は図3中IV部の拡大断面図である。また、図5は第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を示す斜視図、図6は第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を車両左舷側から見た側面図、図7は第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を車両後方から見た背面図である。更に、図8は枠体の斜視図、図9は枠体を車両左舷側から見た側面図、図10は枠体を車両後方から見た背面図、図11は枠体を上方から見た平面図、図12は図10中XII部の拡大図である。
【0017】
図1〜図3に示すように、本実施形態のステアリングコラム装置1は、図示省略したステアリングホイールのチルト操作やテレスコピック操作が可能なステアリングシャフト2(図1中2点鎖線で示す)を収容するステアリングコラム3を車体側に支持するようになっている。ステアリングコラム3は、互いに軸方向移動可能に嵌合されるアウタチューブ31とインナチューブ32とを有し、それら両チューブ31、32の重なり部分が後述する車体側ブラケット4によって車体側に支持される。
【0018】
アウタチューブ31は、ステアリングホイールが配置される車両後方側に配置されるとともに、インナチューブ32は、図示省略したステアリングラックやフロントサスペンションが配置される車両前方側に配置され、インナチューブ32の後端部の外側にアウタチューブ31の前端部が軸方向の相対移動を可能に嵌合されている。
【0019】
インナチューブ31の軸方向前端部は、図示省略したロアサポートブラケットに設けたチルト軸を介して車体側に連結され、そのチルト軸を中心としてステアリングコラム3が全体的に上下回動可能となっている。
【0020】
また、ステアリングシャフト2は、車両後方側に配置されて、その後端部にステアリングホイールが取り付けられる筒状のアッパシャフト21と、車両前方側に配置されて、その前端部に図示省略した自在継手を介してステアリングギヤボックスに連結される中実のロアシャフト22と、によって構成される。そして、ロアシャフト22の後端部に、アッパシャフト21の前端部がスプライン嵌合されて、両者の軸方向の相対移動が可能となっている。
【0021】
従って、ステアリングシャフト2のアッパシャフト21とロアシャフト22の軸方向相対移動と、ステアリングコラム3のアウタチューブ31とインナチューブ32の軸方向相対移動とによって、ステアリングホイールのテレスコピック調節が可能となる。また、ステアリングコラム3のチルト軸を中心とする上下回動によって、ステアリングホイールのチルト調節が可能となっている。
【0022】
ステアリングコラム装置1は、ステアリングコラム3の上述した重なり部分の左右両側に跨って配置される側壁部41、42を有する断面逆U字状の車体側ブラケット4と、それら左・右側壁部41、42の内側とアウタチューブ31の外側との間に、車体側ブラケット4と相対移動自在に配置される断面U字状のディスタンスブラケット5と、を備える。
【0023】
車体側ブラケット4は、上述した左右の左・右側壁部41、42の上端を上側板43によって連結することにより全体的に断面逆U字状に形成され、上側板43の上面に固設したフランジ部44を介して車体側である図示省略したステアリングメンバに結合される。
【0024】
ディスタンスブラケット5は、左・右側壁部41、42の内側にそれぞれ面接触する左右の縦壁部51、52と、それら左・右縦壁部51、52の下端部どうしを連結する下壁部53と、によって断面U字状に形成され、左・右縦壁部51、52の上端部間にアウタチューブ31が溶接などにより固設されて保持される。
【0025】
車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42には、上下方向に延びるチルト用長孔41a、42aが設けられるとともに、ディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52には、チルト用長孔41a、42aに対向して前後方向に延びるテレスコピック用長孔51a、52aが設けられている。
【0026】
チルト用長孔41a、42aは、ステアリングコラム3に設けた後述のチルト軸を中心として、曲率半径の大きな円弧状をもって上下方向に延び、ステアリングホイールのチルト操作を許容する。また、テレスコピック用長孔51a、52aは、ステアリングコラム3の中心軸方向に直線状に延び、ステアリングホイールのテレスコピック操作を許容する。
【0027】
更に、ステアリングコラム装置1は、チルト用長孔41a、42aとテレスコピック用長孔51a、52aとに挿通される締付け軸としてのクランプボルト6を備えるとともに、そのクランプボルト6と車体側ブラケット4の片側(左側)の側壁部41外側との間に配置され、操作レバー7の操作により車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42を互いに近接方向に押圧または押圧解除するカム部8と、を備えている。操作レバー7は、取付部71と、この取付部71から突出するアーム部72と、このアーム部72の先端部に設けられる操作部73と、を設けて構成される。
【0028】
クランプボルト6は、図3に示すように、一端部(図3中左端部)に頭部61が設けられるとともに、他端部(図3中右端部)にねじ部62が形成される。クランプボルト6の頭部61は、外側中央部に六角穴61a(図1参照)が形成されるとともに、右側壁部42から突出するねじ部62にナット63が螺合される。そして、頭部61とナット63との間に、車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42およびディスタンスブラケット5が挟持されている。また、右側の側壁部42とナット63との間には、摺動座金64とスラストベアリング65とが介在されており、摺動座金64のボス部64aがチルト用長穴42aおよびテレスコピック用長穴52aに相対移動自在かつ回転防止されて嵌合されている。
【0029】
カム部8は、一方(左側)の側壁部41と操作レバー7との間に配置される固定カム部材81と可動カム部材82とによって構成される。固定カム部材81は、そのボス部81aがチルト用長孔41aおよびテレスコピック用長孔51aに相対移動自在かつ回転防止されて嵌合される。可動カム部材82は、ボス部82aが操作レバー7の取付孔71aに回転防止されて嵌合される。固定カム部材81と可動カム部材82の対向面には、操作レバー7のクランプ方向またはアンクランプ方向の回動操作により、両カム部材81、82間の距離を増大または減少するカム本体部が形成されている。
【0030】
操作レバー7は、図2に示す状態がクランプ状態であり、このクランプ状態から図中時計回り方向に操作レバー7を回動することによりアンクランプ状態、つまり、クランプ状態を解除した状態となる。カム部8は、クランプ状態では両カム部材81、82間の距離が増大して、クランプボルト6に締付け力が作用するとともに、アンクランプ状態では両カム部材81、82間の距離が減少して、クランプボルト6の締付け力が減少若しくは除去される。
【0031】
ディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52間には、ボス部91がクランプボルト6の外周に嵌合される偏心カム9が配置される。偏心カム9は、ボス部91の長さ方向中央部に形成される偏心したカム本体部92を備え、カム本体部92はアウタチューブ31に形成した開口部31aから挿入されて、そのカム面92aをインナチューブ32の外側に接触させてある。このとき、偏心カム9のボス部91は、クランプボルト6の外周にスプライン嵌合され、偏心カム9とクランプボルト6とは一体に回転される。勿論、カム本体部92は、クランプボルト6のクランプ方向(締付け方向)の回転方向に突出量が増大するようになっており、操作レバー7のクランプ操作位置でインナチューブ32をアウタチューブ31の内面上部に押し付けて固定するようになっている。
【0032】
また、偏心カム9のボス部91の軸方向(図3中左右方向)の長さは、ディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52の内側間の間隔とほぼ等しく形成され、クランプボルト6に締付け力が作用した場合にも、左・右縦壁部51、52の近接方向の撓み変形を阻止してある。これにより、クランプボルト6に作用する締付け力で車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42が近接方向に押圧された際に、左・右側壁部41、42と左・右縦壁部51、52との圧接力を高め、車体側ブラケット4によるディスタンスブラケット5のクランプ力、つまり、ステアリングコラム3の固定力が増大されるようになっている。
【0033】
更に、本実施形態では、図3に示すように、車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42の外側に、クランプボルト6の締付け力により締め付けられる第1の摩擦部材100、101を配置させてある。本実施形態では、操作レバー7が配置される側の一方の摩擦部材100は、側壁部41とクランプボルト6の締付け力が作用する固定カム部材81との間に配置されるとともに、反対側に配置される他方の摩擦部材101は、側壁部42と摺動座金64との間に配置されている。
【0034】
第1の摩擦部材100、101を、図5〜図7に示すように、一方の第1の摩擦部材100に例を取って以下説明する。第1の摩擦部材100は、薄板からなる複数の摩擦板102を重ねて構成される。この第1の摩擦部材100は、所定幅をもってステアリングコラム3の軸方向に細長く延びる形状を成し、その前方端部に各摩擦板102を貫通したカラー103が取り付けられている。そして、このカラー103により薄板の一端部が束ねられている。また、第1の摩擦部材100の幅方向中央部には、ステアリングコラム3の軸方向、つまり、テレスコピック操作方向に延びてクランプボルト6が挿通される第1の長孔104が形成されている。
【0035】
また、他方の第1の摩擦部材101は、図示は省略したが上述の一方の第1の摩擦部材100と同様の形状をもって形成され、複数の摩擦板102を重ねて構成されるとともに、前方端部にカラー103が取り付けられ、かつ、第1の長孔104が形成される。そして、アンクランプ状態のときには、隣接される各摩擦板102間に一定の隙間がそれぞれ設けられている。
【0036】
そして、左右一対の摩擦部材100、101のカラー103は、図2に示すように、ディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52を車両前方に延設した延長部51b、52bに亘って取り付けた支持ピン106に挿通されて、各摩擦部材100、101は支持ピン106に取り付けられている。
【0037】
また、第1の摩擦部材100、101には、第1の長孔104に交叉してチルト操作方向に延びてクランプボルト6が挿通される第2の長孔112を有する薄板からなる第2の摩擦部材110、111が付設されている。その第2の摩擦部材110、111は、1枚の摩擦板113で形成されるとともに、所定幅をもってほぼ上下方向に細長く延びる形状を成し、その下方端部にカラー114が取り付けられている。そして、摩擦板113の幅方向中央部に上述の第2の長孔112が形成されている。
【0038】
第2の摩擦部材110、111はそれぞれが同様の形状をもって形成され、それぞれのカラー114は、図2、図3に示すように、車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42の下端部に取り付けた支持ピン115に挿通されて、各摩擦部材110、111は支持ピン115に取り付けられている。
【0039】
従って、第1の摩擦部材100、101と第2の摩擦部材110、111とは、それぞれがほぼ十字状を成すように交叉し、重ねて合体され、第2の摩擦部材110、111の摩擦板113は、第1の摩擦部材100、101の重ねられた複数の摩擦板102の中程に差し込まれて配置される。例えば、本実施形態では図4に示すように、第1の摩擦部材100、101がそれぞれ2枚の摩擦板102で形成され、かつ、第2の摩擦部材110、111が1枚の摩擦板113によって形成されるが、第2の摩擦部材110、111の摩擦板113は、第1の摩擦部材100、101の2枚の摩擦板112の間に挟まれた状態で配置される。
【0040】
ここで、本実施形態では、図3〜図7に示すように、左右一対の第1の摩擦部材100、101のうち操作レバー7が配置された側の摩擦部材100に、その第1の摩擦部材100の外側縁部を拘束して複数の摩擦板102を束ねる枠体200を設けている。
【0041】
この枠体200は、図8、図9にも示すように、全体的にほぼ矩形状の枠構造として形成され、その中央部に形成されるほぼ矩形状の開口部202には、図5、図6に示すように、固定カム部材81が嵌合・配置されている。
【0042】
そして、図8〜図11に示すように、枠体200の対向辺部(本実施形態では上・下対向辺部200a、200b)に、枠体200の背面方向(図10中右方)に突出させた厚肉の上・下棚部203、204を設け、それら上・下棚部203、204の間に第1の摩擦部材100の上・下外周縁部を拘束するようにしている。
【0043】
具体的には、上・下棚部203、204の対向面203a、204aにそれぞれ溝部205を形成するとともに、上記対向面203a、204aの溝部205に2条の突部201を所定間隔を設けて形成し、これら突部201の間に摩擦板102の上・下外側縁部102a、102b(図6参照)を摺動自在に差し込むことで、複数の摩擦板102を枠体200に束ねている。勿論、摩擦板102の上・下外側縁部102a、102bは平行に形成されている。
【0044】
また、本実施形態では、上述した枠体200には、上記第1の摩擦部材100に付設された第2の摩擦部材110の摩擦板113を挿通するスリット206が形成されている。このスリット206は、上述した溝部205に位置して、上・下棚部203、204を上下に貫通して形成される。
【0045】
さらに、枠体200は、上述したスリット206の形成部分において第1の長孔104の延在方向、つまり、テレスコピック操作方向に着脱自在に分割されている。即ち、枠体200の上・下対向辺部200a、200bの長さ方向(前後方向)のほぼ中央部に、枠体200を2分割するクランク状の分割部207が形成される。このとき、図9に示すように、クランク状に形成した分割部207の中央部分には、対向辺部200a、200bの長さ方向に沿った対向面207a、207bが形成されるが、それら対向面207a、207b間には、係脱自在な凸部208aと凹部208bとからなる係合部208が設けられている。
【0046】
従って、枠体200を第1の摩擦部材100に組み付ける際には、まず、その枠体200を分割部207から分割し、それぞれ分割した枠体200の前後分割部分200F、200R(図8参照)を、十字状に合体させた第1の摩擦部材100と第2の摩擦部材110の前後方向に配置する。そして、前後分割部分200F、200Rの上・下棚部203、204の溝部205に、摩擦板102の上・下外側縁部102a、102bを挿入しつつ前後分割部分200F、200Rを近接方向にスライドさせる。このとき、スリット206に摩擦板113が挿入される。そして、前後分割部分200F、200Rを最終的に突き合わせることにより、分割部207に設けた係合部208の突部208aと凹部208bが相互に係合して前後分割部200F、200Rが合体して枠体200となる。
【0047】
そして、このように枠体200を取り付けた状態では、第1の摩擦部材100と第2の摩擦部材200とがサブアッシイされ、このサブアッシィ状態で第1の摩擦部材100のカラー103を支持ピン106に取り付けるとともに、第2の摩擦部材200のカラー114を支持ピン115に取り付ける。その後、図5、図6に示すように、枠体200の中央開口部202に固定カム部材81を嵌合する一方、図3に示すように、操作レバー7の取付部71および可動カム部材82に挿通したクランプボルト6を、上記固定カム部材81の孔81aに挿通することになる。尚、固定カム部材81に挿通したクランプボルト6は、第1の長孔104および第2の長孔112に挿通された状態となる。
【0048】
また、このようにサブアッシイされた第1の摩擦部材100および第2の摩擦部材110に挿通したクランプボルト6は、図3に示すように、車体側ブラケット4のチルト用長孔41a、42a、ディスタンスブラケット5のテレスコピック用長孔51a、52aおよび偏心カム9に挿通され、かつ、反対側の第1の摩擦部材101および第2の摩擦部材201に挿通される。そして、クランプボルト6の先端部に、摺動座金64とスラストベアリング65を挿通した後、ねじ部62にナット63を螺合・締付けして組み付けが完了される。
【0049】
このように組み付け完了されたステアリングコラム装置1は、図2、図3に示すように、操作レバー7のクランプ状態では、カム部8によってクランプボルト6に締付け力が作用し、その締付け力が第1の摩擦部材100、101および第2の摩擦部材110、111を介して車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42に入力される。つまり、第1の摩擦部材100、101の2枚の摩擦板102に、第2の摩擦部材110、111の摩擦板113が挟まれた状態で締付け力が伝達される。これにより、それら左・右側壁部41、42は、偏心カム9のボス部91によって撓み阻止されたディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52との圧接力が高められ、そのディスタンスブラケット5に結合されたアウタチューブ31を車体側に固定することができる。このとき、第1の摩擦部材100、101は、テレスコピック方向の摩擦力を増大させ、第2の摩擦部材110、111は、チルト方向の摩擦力を増大させ、車体側ブラケット4に対するステアリングコラム3の支持剛性を向上させている。
【0050】
一方、操作レバー7のクランプ方向の操作によりクランプボルト6は回転され、その回転により偏心カム9が回転されてカム本体部92がインナチューブ32をアウタチューブ31の内面に押圧し、インナチューブ32をアウタチューブ31に固定することができる。
【0051】
このようにして、インナチューブ32がアウタチューブ31に固定され、かつ、アウタチューブ31が車体側ブラケット4に固定されることにより、ステアリングコラム3はクランプ状態となり、ステアリングホイールのチルト方向およびテレスコピック方向の位置を調整した位置に固定できる。
【0052】
また、操作レバー7をアンクランプ方向に操作した場合には、カム部8によりクランプボルト6の締付け力が除去されるので、車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42とディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52との圧接力が取り除かれるとともに、第1の摩擦部材100、101と第2の摩擦部材110、111の圧接力がなくなり、摩擦板102と摩擦板113の間には隙間ができる。これと同時に、偏心カム9によるインナチューブ32の押圧力が除去されるので、そのインナチューブ32とアウタチューブ31との圧接力が取り除かれる。これにより、ステアリングホイールのチルト調整およびテレスコピック調整が可能となり、所望位置にステアリングホイールを調整した後、調整レバー7を上述のクランプ位置に操作することになる。
【0053】
以上の本実施形態によれば、第1の摩擦部材100および第2の摩擦部材110に枠体200を設けて、複数の摩擦板102、113を束ねるようにしたので、第1の摩擦部材100および第2の摩擦部材110を取り付ける際に、複数の摩擦板102、113がばらけるのを抑制することができる。また、枠体200の対向辺部200a、200bに各摩擦板102の外側縁部102a、102bを嵌合する複数の突部201を形成し、隣接する摩擦板102間に一定の間隔を開けるようにしたので、複数の摩擦板102の相互間の位置関係を適正に維持できる。従って、第1の摩擦部材100をステアリングコラム装置1に取り付けるにあたって、複数の摩擦板102のばらけを抑制しつつ簡単かつ正確に組み付けることができる。
【0054】
また、枠体200の対向辺部200a、200bに複数の突部201を形成することで、アンクランプ状態の際に、隣り合う摩擦板102同士が当接するのが抑制されるため、ステアリングホイールのチルト方向およびテレスコピック方向の位置調整をよりスムーズに行うことができるようになる。
【0055】
また、枠体200に、第1の摩擦部材100に交叉して配置される第2の摩擦部材110の摩擦板を挿通するスリット206を形成したので、第1の摩擦部材100と第2の摩擦部材110とを枠体200に取り付けることができる。
【0056】
更に、枠体200を、スリット206の形成部分において第1の長孔104の延在方向に着脱自在に分割したので、第1の摩擦部材100に第2の摩擦部材110を付設した状態で、枠体200を第1の摩擦部材100の外側縁部に取り付けることができ、枠体200の取付作業性を向上することができる。
【0057】
ところで、本発明のステアリングコラム装置1は上述した実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、本実施形態では操作レバー7の配置側の第1の摩擦部材100に枠体200を取り付けた場合を示したが、これに限ることなく反対側の第1の摩擦部材101にあっても枠体200を取り付けることができる。
【0058】
更に、第1の摩擦部材100、101を第1の長孔104とともにテレスコピック操作方向に延びる形状とし、第2の摩擦部材110、111を第2の長孔112とともにチルト操作方向の延びる形状としたが、それらを相互に逆方法に延びる形状として形成した場合、つまり、第1の摩擦部材100、101をチルト操作用とし、第2の摩擦部材110、111をテレスコピック操作用とした場合にも本発明を適用することができる。また、本実施形態では、第2の摩擦部材110、111の摩擦板113は1枚であるが、枠体200のスリット206を増やすことにより、複数枚の摩擦板113を設けることができる。
【0059】
尚、枠体200を一体形成したり、溝部205に突部201を設けないようにしても本発明を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態にかかるステアリングコラム装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるステアリングコラム装置を操作レバー側から見た側面図である。
【図3】図2中III−III線に沿った拡大断面図である。
【図4】図3中IV部の拡大断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を車両左舷側から見た側面図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を車両後方から見た背面図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる枠体の斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる枠体を車両左舷側から見た側面図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかる枠体を車両後方から見た背面図である。
【図11】本発明の一実施形態にかかる枠体を上方から見た平面図である。
【図12】図10中XII部の拡大図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ステアリングコラム装置
2 ステアリングシャフト
3 ステアリングコラム
31 アウタチューブ
32 インナチューブ
4 車体側ブラケット
41、42 側壁部
6 クランプボルト(締付け軸)
7 操作レバー
100、101 第1の摩擦部材
102 第1の摩擦部材の摩擦板
102a、102b 摩擦板の外側縁部
104 第1の長孔
110、111 第2の摩擦部材
112 第2の長孔
113 第2の摩擦部材の摩擦板
200 枠体
200a、200b 対向辺部
201 突部
205 溝部
206 スリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールのチルト操作やテレスコピック操作が可能なステアリングシャフトを収容したステアリングコラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のステアリングホイールには、運転者の体格に合わせて上下調整するチルト操作や前後調整するテレスコピック操作が可能となったものがあり、それらステアリングホイールの上下調整位置や前後調整位置は、ステアリングシャフトを収容するステアリングコラムを車体側に支持する支持装置によって固定されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、前記支持装置は、ステアリングコラムの左右両側を挟むようにして左・右側壁部が配置される断面逆U字状の車体側ブラケットを備え、それの左・右側壁部間にステアリングコラムを保持するようになっている。このとき、ステアリングコラムは車体側ブラケットの左・右側壁部の内側面に沿って相対移動可能となっており、それら左・右側壁部間には締付け軸を貫通させて、その締付け軸に操作レバーおよびカム機構を設けてある。そして、操作レバーをクランプ方向に操作することにより締付け軸を介して左・右側壁部間に締付け力を付加し、それら左・右側壁部を互いに近接方向に撓み変形させてステアリングコラムを圧接時の摩擦力によりクランプするようになっている。
【0004】
前記特許文献1では、締付け軸の締付け力を左・右側壁部に伝達する際に、複数の摩擦板(薄板)を重ねた摩擦部材(薄板セット)を介して行うようになっている。摩擦部材は、複数の摩擦板を重ねた状態で、それらの両端部がピンによってステアリングコラム側に支持されるとともに、中間部分には前記締付け軸を挿通する長穴が形成される。そして、締付け軸の締付け力により、その締付け軸に設けた押圧板を介して摩擦部材に摩擦力を発生させ、ステアリングコラムの支持剛性を向上させている。
【特許文献1】特許第3939806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来のステアリングコラム装置は、摩擦部材が複数の摩擦板を重ねて構成されており、その摩擦部材を上記ステアリングコラム装置に取り付ける際に、複数の摩擦板を順次組み付けて行くことになる。
【0006】
このため、上記摩擦部材は複数の摩擦板を仮組み付けした状態で取り付ける手法が取られるが、この場合には、取り付け前に各摩擦板がばらけてしまうことがあり、摩擦板を正規の位置に直す作業が発生し、摩擦部材の取り付けに手間取ってしまう虞がある。
【0007】
また、複数の摩擦板が仮組み付け状態であるため、一部の摩擦板が正規位置に取り付けられないことがあり、ステアリングコラムを当初の設計通りにクランプさせることができなくなる虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、摩擦部材を取り付けるにあたって、複数の摩擦板を簡単かつ正確に組み付けることができるステアリングコラム装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、ステアリングホイールのチルト操作やテレスコピック操作が可能なステアリングシャフトを、相対回転自在および軸方向の相対移動自在に収容するステアリングコラムを備え、当該ステアリングコラムは、互いに軸方向移動可能に嵌合されるアウタチューブとインナチューブとを有し、それら両チューブを車体側に支持するステアリングコラム装置であって、前記ステアリングコラムの両側に跨って配置される側壁部を有し、当該側壁部の間に前記ステアリングコラムをそれら側壁部の内側面に沿って相対移動可能に保持する車体側ブラケットと、前記車体側ブラケットの両側壁部を貫通し、操作レバーの操作により当該両側壁部を互いに近接方向に締付けおよび締付け解除する締付け軸と、テレスコピック操作およびチルト操作のいずれか一方の操作方向に延びて前記締付け軸が挿通される第1の長孔を有する複数の摩擦板を重ねた状態からなる第1の摩擦部材と、前記第1の長孔に交叉してテレスコピック操作およびチルト操作の他方の操作方向に延びて前記締付け軸が挿通される第2の長孔を有する少なくとも1枚の摩擦板からなり、前記第1の摩擦部材に付設される第2の摩擦部材と、前記第1の摩擦部材および第2の摩擦部材の複数の前記摩擦板を束ねる枠体と、を備え、前記枠体の対向辺部に、前記第1の摩擦部材の各摩擦板の外側縁部を拘束する溝部を設けるとともに、前記第2の摩擦部材の摩擦板を挿通するスリットを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1のステアリングコラム装置において、前記枠体の溝部には、前記第1の摩擦部材の摩擦板同士の間隔を開ける突部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2のステアリングコラム装置において、前記枠体は、前記スリットの形成部分において前記第1の長孔の延在方向に着脱自在に分割されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、第1の摩擦部材および第2の摩擦部材の複数の摩擦板を束ねる枠体を設けたので、仮組み付けした状態で第1の摩擦部材および第2の摩擦部材を取り付ける際に、複数の摩擦板がばらけるのを抑制することができる。また、枠体の対向辺部に、第1の摩擦部材の各摩擦板を拘束する溝部を設けるとともに、第2の摩擦部材の摩擦板を挿通するスリットを形成したので、第1の摩擦部材と第2の摩擦部材に枠体を取り付けることができる。従って、第1の摩擦部材と第2の摩擦部材とを一体に組み付けた状態で、それら両摩擦部材を取り付けることができるため、摩擦部材の組付作業性を向上することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、枠体の溝部に突部を形成し、第1の摩擦部材の摩擦板同士の間隔を開けるようにしたので、複数の摩擦板の相互間の位置関係を適正に維持できる。従って、第1の摩擦部材をステアリングコラム装置に取り付けるにあたって、複数の摩擦板のばらけを抑制しつつ簡単かつ正確に組み付けることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、枠体を、スリットの形成部分において第1の長孔の延在方向に着脱自在に分割したので、第1の摩擦部材に第2の摩擦部材を付設した状態で上記枠体を第1の摩擦部材の外側縁部に取り付けることができ、枠体の取付作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0016】
図1〜図12は本発明にかかるステアリングコラム装置の一実施形態を示し、図1はステアリングコラム装置の斜視図、図2はステアリングコラム装置を操作レバー側から見た側面図、図3は図2中III−III線に沿った拡大断面図、図4は図3中IV部の拡大断面図である。また、図5は第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を示す斜視図、図6は第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を車両左舷側から見た側面図、図7は第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を車両後方から見た背面図である。更に、図8は枠体の斜視図、図9は枠体を車両左舷側から見た側面図、図10は枠体を車両後方から見た背面図、図11は枠体を上方から見た平面図、図12は図10中XII部の拡大図である。
【0017】
図1〜図3に示すように、本実施形態のステアリングコラム装置1は、図示省略したステアリングホイールのチルト操作やテレスコピック操作が可能なステアリングシャフト2(図1中2点鎖線で示す)を収容するステアリングコラム3を車体側に支持するようになっている。ステアリングコラム3は、互いに軸方向移動可能に嵌合されるアウタチューブ31とインナチューブ32とを有し、それら両チューブ31、32の重なり部分が後述する車体側ブラケット4によって車体側に支持される。
【0018】
アウタチューブ31は、ステアリングホイールが配置される車両後方側に配置されるとともに、インナチューブ32は、図示省略したステアリングラックやフロントサスペンションが配置される車両前方側に配置され、インナチューブ32の後端部の外側にアウタチューブ31の前端部が軸方向の相対移動を可能に嵌合されている。
【0019】
インナチューブ31の軸方向前端部は、図示省略したロアサポートブラケットに設けたチルト軸を介して車体側に連結され、そのチルト軸を中心としてステアリングコラム3が全体的に上下回動可能となっている。
【0020】
また、ステアリングシャフト2は、車両後方側に配置されて、その後端部にステアリングホイールが取り付けられる筒状のアッパシャフト21と、車両前方側に配置されて、その前端部に図示省略した自在継手を介してステアリングギヤボックスに連結される中実のロアシャフト22と、によって構成される。そして、ロアシャフト22の後端部に、アッパシャフト21の前端部がスプライン嵌合されて、両者の軸方向の相対移動が可能となっている。
【0021】
従って、ステアリングシャフト2のアッパシャフト21とロアシャフト22の軸方向相対移動と、ステアリングコラム3のアウタチューブ31とインナチューブ32の軸方向相対移動とによって、ステアリングホイールのテレスコピック調節が可能となる。また、ステアリングコラム3のチルト軸を中心とする上下回動によって、ステアリングホイールのチルト調節が可能となっている。
【0022】
ステアリングコラム装置1は、ステアリングコラム3の上述した重なり部分の左右両側に跨って配置される側壁部41、42を有する断面逆U字状の車体側ブラケット4と、それら左・右側壁部41、42の内側とアウタチューブ31の外側との間に、車体側ブラケット4と相対移動自在に配置される断面U字状のディスタンスブラケット5と、を備える。
【0023】
車体側ブラケット4は、上述した左右の左・右側壁部41、42の上端を上側板43によって連結することにより全体的に断面逆U字状に形成され、上側板43の上面に固設したフランジ部44を介して車体側である図示省略したステアリングメンバに結合される。
【0024】
ディスタンスブラケット5は、左・右側壁部41、42の内側にそれぞれ面接触する左右の縦壁部51、52と、それら左・右縦壁部51、52の下端部どうしを連結する下壁部53と、によって断面U字状に形成され、左・右縦壁部51、52の上端部間にアウタチューブ31が溶接などにより固設されて保持される。
【0025】
車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42には、上下方向に延びるチルト用長孔41a、42aが設けられるとともに、ディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52には、チルト用長孔41a、42aに対向して前後方向に延びるテレスコピック用長孔51a、52aが設けられている。
【0026】
チルト用長孔41a、42aは、ステアリングコラム3に設けた後述のチルト軸を中心として、曲率半径の大きな円弧状をもって上下方向に延び、ステアリングホイールのチルト操作を許容する。また、テレスコピック用長孔51a、52aは、ステアリングコラム3の中心軸方向に直線状に延び、ステアリングホイールのテレスコピック操作を許容する。
【0027】
更に、ステアリングコラム装置1は、チルト用長孔41a、42aとテレスコピック用長孔51a、52aとに挿通される締付け軸としてのクランプボルト6を備えるとともに、そのクランプボルト6と車体側ブラケット4の片側(左側)の側壁部41外側との間に配置され、操作レバー7の操作により車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42を互いに近接方向に押圧または押圧解除するカム部8と、を備えている。操作レバー7は、取付部71と、この取付部71から突出するアーム部72と、このアーム部72の先端部に設けられる操作部73と、を設けて構成される。
【0028】
クランプボルト6は、図3に示すように、一端部(図3中左端部)に頭部61が設けられるとともに、他端部(図3中右端部)にねじ部62が形成される。クランプボルト6の頭部61は、外側中央部に六角穴61a(図1参照)が形成されるとともに、右側壁部42から突出するねじ部62にナット63が螺合される。そして、頭部61とナット63との間に、車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42およびディスタンスブラケット5が挟持されている。また、右側の側壁部42とナット63との間には、摺動座金64とスラストベアリング65とが介在されており、摺動座金64のボス部64aがチルト用長穴42aおよびテレスコピック用長穴52aに相対移動自在かつ回転防止されて嵌合されている。
【0029】
カム部8は、一方(左側)の側壁部41と操作レバー7との間に配置される固定カム部材81と可動カム部材82とによって構成される。固定カム部材81は、そのボス部81aがチルト用長孔41aおよびテレスコピック用長孔51aに相対移動自在かつ回転防止されて嵌合される。可動カム部材82は、ボス部82aが操作レバー7の取付孔71aに回転防止されて嵌合される。固定カム部材81と可動カム部材82の対向面には、操作レバー7のクランプ方向またはアンクランプ方向の回動操作により、両カム部材81、82間の距離を増大または減少するカム本体部が形成されている。
【0030】
操作レバー7は、図2に示す状態がクランプ状態であり、このクランプ状態から図中時計回り方向に操作レバー7を回動することによりアンクランプ状態、つまり、クランプ状態を解除した状態となる。カム部8は、クランプ状態では両カム部材81、82間の距離が増大して、クランプボルト6に締付け力が作用するとともに、アンクランプ状態では両カム部材81、82間の距離が減少して、クランプボルト6の締付け力が減少若しくは除去される。
【0031】
ディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52間には、ボス部91がクランプボルト6の外周に嵌合される偏心カム9が配置される。偏心カム9は、ボス部91の長さ方向中央部に形成される偏心したカム本体部92を備え、カム本体部92はアウタチューブ31に形成した開口部31aから挿入されて、そのカム面92aをインナチューブ32の外側に接触させてある。このとき、偏心カム9のボス部91は、クランプボルト6の外周にスプライン嵌合され、偏心カム9とクランプボルト6とは一体に回転される。勿論、カム本体部92は、クランプボルト6のクランプ方向(締付け方向)の回転方向に突出量が増大するようになっており、操作レバー7のクランプ操作位置でインナチューブ32をアウタチューブ31の内面上部に押し付けて固定するようになっている。
【0032】
また、偏心カム9のボス部91の軸方向(図3中左右方向)の長さは、ディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52の内側間の間隔とほぼ等しく形成され、クランプボルト6に締付け力が作用した場合にも、左・右縦壁部51、52の近接方向の撓み変形を阻止してある。これにより、クランプボルト6に作用する締付け力で車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42が近接方向に押圧された際に、左・右側壁部41、42と左・右縦壁部51、52との圧接力を高め、車体側ブラケット4によるディスタンスブラケット5のクランプ力、つまり、ステアリングコラム3の固定力が増大されるようになっている。
【0033】
更に、本実施形態では、図3に示すように、車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42の外側に、クランプボルト6の締付け力により締め付けられる第1の摩擦部材100、101を配置させてある。本実施形態では、操作レバー7が配置される側の一方の摩擦部材100は、側壁部41とクランプボルト6の締付け力が作用する固定カム部材81との間に配置されるとともに、反対側に配置される他方の摩擦部材101は、側壁部42と摺動座金64との間に配置されている。
【0034】
第1の摩擦部材100、101を、図5〜図7に示すように、一方の第1の摩擦部材100に例を取って以下説明する。第1の摩擦部材100は、薄板からなる複数の摩擦板102を重ねて構成される。この第1の摩擦部材100は、所定幅をもってステアリングコラム3の軸方向に細長く延びる形状を成し、その前方端部に各摩擦板102を貫通したカラー103が取り付けられている。そして、このカラー103により薄板の一端部が束ねられている。また、第1の摩擦部材100の幅方向中央部には、ステアリングコラム3の軸方向、つまり、テレスコピック操作方向に延びてクランプボルト6が挿通される第1の長孔104が形成されている。
【0035】
また、他方の第1の摩擦部材101は、図示は省略したが上述の一方の第1の摩擦部材100と同様の形状をもって形成され、複数の摩擦板102を重ねて構成されるとともに、前方端部にカラー103が取り付けられ、かつ、第1の長孔104が形成される。そして、アンクランプ状態のときには、隣接される各摩擦板102間に一定の隙間がそれぞれ設けられている。
【0036】
そして、左右一対の摩擦部材100、101のカラー103は、図2に示すように、ディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52を車両前方に延設した延長部51b、52bに亘って取り付けた支持ピン106に挿通されて、各摩擦部材100、101は支持ピン106に取り付けられている。
【0037】
また、第1の摩擦部材100、101には、第1の長孔104に交叉してチルト操作方向に延びてクランプボルト6が挿通される第2の長孔112を有する薄板からなる第2の摩擦部材110、111が付設されている。その第2の摩擦部材110、111は、1枚の摩擦板113で形成されるとともに、所定幅をもってほぼ上下方向に細長く延びる形状を成し、その下方端部にカラー114が取り付けられている。そして、摩擦板113の幅方向中央部に上述の第2の長孔112が形成されている。
【0038】
第2の摩擦部材110、111はそれぞれが同様の形状をもって形成され、それぞれのカラー114は、図2、図3に示すように、車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42の下端部に取り付けた支持ピン115に挿通されて、各摩擦部材110、111は支持ピン115に取り付けられている。
【0039】
従って、第1の摩擦部材100、101と第2の摩擦部材110、111とは、それぞれがほぼ十字状を成すように交叉し、重ねて合体され、第2の摩擦部材110、111の摩擦板113は、第1の摩擦部材100、101の重ねられた複数の摩擦板102の中程に差し込まれて配置される。例えば、本実施形態では図4に示すように、第1の摩擦部材100、101がそれぞれ2枚の摩擦板102で形成され、かつ、第2の摩擦部材110、111が1枚の摩擦板113によって形成されるが、第2の摩擦部材110、111の摩擦板113は、第1の摩擦部材100、101の2枚の摩擦板112の間に挟まれた状態で配置される。
【0040】
ここで、本実施形態では、図3〜図7に示すように、左右一対の第1の摩擦部材100、101のうち操作レバー7が配置された側の摩擦部材100に、その第1の摩擦部材100の外側縁部を拘束して複数の摩擦板102を束ねる枠体200を設けている。
【0041】
この枠体200は、図8、図9にも示すように、全体的にほぼ矩形状の枠構造として形成され、その中央部に形成されるほぼ矩形状の開口部202には、図5、図6に示すように、固定カム部材81が嵌合・配置されている。
【0042】
そして、図8〜図11に示すように、枠体200の対向辺部(本実施形態では上・下対向辺部200a、200b)に、枠体200の背面方向(図10中右方)に突出させた厚肉の上・下棚部203、204を設け、それら上・下棚部203、204の間に第1の摩擦部材100の上・下外周縁部を拘束するようにしている。
【0043】
具体的には、上・下棚部203、204の対向面203a、204aにそれぞれ溝部205を形成するとともに、上記対向面203a、204aの溝部205に2条の突部201を所定間隔を設けて形成し、これら突部201の間に摩擦板102の上・下外側縁部102a、102b(図6参照)を摺動自在に差し込むことで、複数の摩擦板102を枠体200に束ねている。勿論、摩擦板102の上・下外側縁部102a、102bは平行に形成されている。
【0044】
また、本実施形態では、上述した枠体200には、上記第1の摩擦部材100に付設された第2の摩擦部材110の摩擦板113を挿通するスリット206が形成されている。このスリット206は、上述した溝部205に位置して、上・下棚部203、204を上下に貫通して形成される。
【0045】
さらに、枠体200は、上述したスリット206の形成部分において第1の長孔104の延在方向、つまり、テレスコピック操作方向に着脱自在に分割されている。即ち、枠体200の上・下対向辺部200a、200bの長さ方向(前後方向)のほぼ中央部に、枠体200を2分割するクランク状の分割部207が形成される。このとき、図9に示すように、クランク状に形成した分割部207の中央部分には、対向辺部200a、200bの長さ方向に沿った対向面207a、207bが形成されるが、それら対向面207a、207b間には、係脱自在な凸部208aと凹部208bとからなる係合部208が設けられている。
【0046】
従って、枠体200を第1の摩擦部材100に組み付ける際には、まず、その枠体200を分割部207から分割し、それぞれ分割した枠体200の前後分割部分200F、200R(図8参照)を、十字状に合体させた第1の摩擦部材100と第2の摩擦部材110の前後方向に配置する。そして、前後分割部分200F、200Rの上・下棚部203、204の溝部205に、摩擦板102の上・下外側縁部102a、102bを挿入しつつ前後分割部分200F、200Rを近接方向にスライドさせる。このとき、スリット206に摩擦板113が挿入される。そして、前後分割部分200F、200Rを最終的に突き合わせることにより、分割部207に設けた係合部208の突部208aと凹部208bが相互に係合して前後分割部200F、200Rが合体して枠体200となる。
【0047】
そして、このように枠体200を取り付けた状態では、第1の摩擦部材100と第2の摩擦部材200とがサブアッシイされ、このサブアッシィ状態で第1の摩擦部材100のカラー103を支持ピン106に取り付けるとともに、第2の摩擦部材200のカラー114を支持ピン115に取り付ける。その後、図5、図6に示すように、枠体200の中央開口部202に固定カム部材81を嵌合する一方、図3に示すように、操作レバー7の取付部71および可動カム部材82に挿通したクランプボルト6を、上記固定カム部材81の孔81aに挿通することになる。尚、固定カム部材81に挿通したクランプボルト6は、第1の長孔104および第2の長孔112に挿通された状態となる。
【0048】
また、このようにサブアッシイされた第1の摩擦部材100および第2の摩擦部材110に挿通したクランプボルト6は、図3に示すように、車体側ブラケット4のチルト用長孔41a、42a、ディスタンスブラケット5のテレスコピック用長孔51a、52aおよび偏心カム9に挿通され、かつ、反対側の第1の摩擦部材101および第2の摩擦部材201に挿通される。そして、クランプボルト6の先端部に、摺動座金64とスラストベアリング65を挿通した後、ねじ部62にナット63を螺合・締付けして組み付けが完了される。
【0049】
このように組み付け完了されたステアリングコラム装置1は、図2、図3に示すように、操作レバー7のクランプ状態では、カム部8によってクランプボルト6に締付け力が作用し、その締付け力が第1の摩擦部材100、101および第2の摩擦部材110、111を介して車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42に入力される。つまり、第1の摩擦部材100、101の2枚の摩擦板102に、第2の摩擦部材110、111の摩擦板113が挟まれた状態で締付け力が伝達される。これにより、それら左・右側壁部41、42は、偏心カム9のボス部91によって撓み阻止されたディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52との圧接力が高められ、そのディスタンスブラケット5に結合されたアウタチューブ31を車体側に固定することができる。このとき、第1の摩擦部材100、101は、テレスコピック方向の摩擦力を増大させ、第2の摩擦部材110、111は、チルト方向の摩擦力を増大させ、車体側ブラケット4に対するステアリングコラム3の支持剛性を向上させている。
【0050】
一方、操作レバー7のクランプ方向の操作によりクランプボルト6は回転され、その回転により偏心カム9が回転されてカム本体部92がインナチューブ32をアウタチューブ31の内面に押圧し、インナチューブ32をアウタチューブ31に固定することができる。
【0051】
このようにして、インナチューブ32がアウタチューブ31に固定され、かつ、アウタチューブ31が車体側ブラケット4に固定されることにより、ステアリングコラム3はクランプ状態となり、ステアリングホイールのチルト方向およびテレスコピック方向の位置を調整した位置に固定できる。
【0052】
また、操作レバー7をアンクランプ方向に操作した場合には、カム部8によりクランプボルト6の締付け力が除去されるので、車体側ブラケット4の左・右側壁部41、42とディスタンスブラケット5の左・右縦壁部51、52との圧接力が取り除かれるとともに、第1の摩擦部材100、101と第2の摩擦部材110、111の圧接力がなくなり、摩擦板102と摩擦板113の間には隙間ができる。これと同時に、偏心カム9によるインナチューブ32の押圧力が除去されるので、そのインナチューブ32とアウタチューブ31との圧接力が取り除かれる。これにより、ステアリングホイールのチルト調整およびテレスコピック調整が可能となり、所望位置にステアリングホイールを調整した後、調整レバー7を上述のクランプ位置に操作することになる。
【0053】
以上の本実施形態によれば、第1の摩擦部材100および第2の摩擦部材110に枠体200を設けて、複数の摩擦板102、113を束ねるようにしたので、第1の摩擦部材100および第2の摩擦部材110を取り付ける際に、複数の摩擦板102、113がばらけるのを抑制することができる。また、枠体200の対向辺部200a、200bに各摩擦板102の外側縁部102a、102bを嵌合する複数の突部201を形成し、隣接する摩擦板102間に一定の間隔を開けるようにしたので、複数の摩擦板102の相互間の位置関係を適正に維持できる。従って、第1の摩擦部材100をステアリングコラム装置1に取り付けるにあたって、複数の摩擦板102のばらけを抑制しつつ簡単かつ正確に組み付けることができる。
【0054】
また、枠体200の対向辺部200a、200bに複数の突部201を形成することで、アンクランプ状態の際に、隣り合う摩擦板102同士が当接するのが抑制されるため、ステアリングホイールのチルト方向およびテレスコピック方向の位置調整をよりスムーズに行うことができるようになる。
【0055】
また、枠体200に、第1の摩擦部材100に交叉して配置される第2の摩擦部材110の摩擦板を挿通するスリット206を形成したので、第1の摩擦部材100と第2の摩擦部材110とを枠体200に取り付けることができる。
【0056】
更に、枠体200を、スリット206の形成部分において第1の長孔104の延在方向に着脱自在に分割したので、第1の摩擦部材100に第2の摩擦部材110を付設した状態で、枠体200を第1の摩擦部材100の外側縁部に取り付けることができ、枠体200の取付作業性を向上することができる。
【0057】
ところで、本発明のステアリングコラム装置1は上述した実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、本実施形態では操作レバー7の配置側の第1の摩擦部材100に枠体200を取り付けた場合を示したが、これに限ることなく反対側の第1の摩擦部材101にあっても枠体200を取り付けることができる。
【0058】
更に、第1の摩擦部材100、101を第1の長孔104とともにテレスコピック操作方向に延びる形状とし、第2の摩擦部材110、111を第2の長孔112とともにチルト操作方向の延びる形状としたが、それらを相互に逆方法に延びる形状として形成した場合、つまり、第1の摩擦部材100、101をチルト操作用とし、第2の摩擦部材110、111をテレスコピック操作用とした場合にも本発明を適用することができる。また、本実施形態では、第2の摩擦部材110、111の摩擦板113は1枚であるが、枠体200のスリット206を増やすことにより、複数枚の摩擦板113を設けることができる。
【0059】
尚、枠体200を一体形成したり、溝部205に突部201を設けないようにしても本発明を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態にかかるステアリングコラム装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるステアリングコラム装置を操作レバー側から見た側面図である。
【図3】図2中III−III線に沿った拡大断面図である。
【図4】図3中IV部の拡大断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を車両左舷側から見た側面図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる第1の摩擦部材と第2の摩擦部材との組付状態を車両後方から見た背面図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる枠体の斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる枠体を車両左舷側から見た側面図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかる枠体を車両後方から見た背面図である。
【図11】本発明の一実施形態にかかる枠体を上方から見た平面図である。
【図12】図10中XII部の拡大図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ステアリングコラム装置
2 ステアリングシャフト
3 ステアリングコラム
31 アウタチューブ
32 インナチューブ
4 車体側ブラケット
41、42 側壁部
6 クランプボルト(締付け軸)
7 操作レバー
100、101 第1の摩擦部材
102 第1の摩擦部材の摩擦板
102a、102b 摩擦板の外側縁部
104 第1の長孔
110、111 第2の摩擦部材
112 第2の長孔
113 第2の摩擦部材の摩擦板
200 枠体
200a、200b 対向辺部
201 突部
205 溝部
206 スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールのチルト操作やテレスコピック操作が可能なステアリングシャフトを、相対回転自在および軸方向の相対移動自在に収容するステアリングコラムを備え、当該ステアリングコラムは、互いに軸方向移動可能に嵌合されるアウタチューブとインナチューブとを有し、それら両チューブを車体側に支持するステアリングコラム装置であって、
前記ステアリングコラムの両側に跨って配置される側壁部を有し、当該側壁部の間に前記ステアリングコラムをそれら側壁部の内側面に沿って相対移動可能に保持する車体側ブラケットと、
前記車体側ブラケットの両側壁部を貫通し、操作レバーの操作により当該両側壁部を互いに近接方向に締付けおよび締付け解除する締付け軸と、
テレスコピック操作およびチルト操作のいずれか一方の操作方向に延びて前記締付け軸が挿通される第1の長孔を有する複数の摩擦板を重ねた状態からなる第1の摩擦部材と、
前記第1の長孔に交叉してテレスコピック操作およびチルト操作の他方の操作方向に延びて前記締付け軸が挿通される第2の長孔を有する少なくとも1枚の摩擦板からなり、前記第1の摩擦部材に付設される第2の摩擦部材と、
前記第1の摩擦部材および第2の摩擦部材の複数の前記摩擦板を束ねる枠体と、を備え、
前記枠体の対向辺部に、前記第1の摩擦部材の各摩擦板の外側縁部を拘束する溝部を設けるとともに、前記第2の摩擦部材の摩擦板を挿通するスリットを設けたことを特徴とするステアリングコラム装置。
【請求項2】
前記枠体の溝部には、前記第1の摩擦部材の摩擦板同士の間隔を開ける突部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングコラム装置。
【請求項3】
前記枠体は、前記スリットの形成部分において前記第1の長孔の延在方向に着脱自在に分割されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステアリングコラム装置。
【請求項1】
ステアリングホイールのチルト操作やテレスコピック操作が可能なステアリングシャフトを、相対回転自在および軸方向の相対移動自在に収容するステアリングコラムを備え、当該ステアリングコラムは、互いに軸方向移動可能に嵌合されるアウタチューブとインナチューブとを有し、それら両チューブを車体側に支持するステアリングコラム装置であって、
前記ステアリングコラムの両側に跨って配置される側壁部を有し、当該側壁部の間に前記ステアリングコラムをそれら側壁部の内側面に沿って相対移動可能に保持する車体側ブラケットと、
前記車体側ブラケットの両側壁部を貫通し、操作レバーの操作により当該両側壁部を互いに近接方向に締付けおよび締付け解除する締付け軸と、
テレスコピック操作およびチルト操作のいずれか一方の操作方向に延びて前記締付け軸が挿通される第1の長孔を有する複数の摩擦板を重ねた状態からなる第1の摩擦部材と、
前記第1の長孔に交叉してテレスコピック操作およびチルト操作の他方の操作方向に延びて前記締付け軸が挿通される第2の長孔を有する少なくとも1枚の摩擦板からなり、前記第1の摩擦部材に付設される第2の摩擦部材と、
前記第1の摩擦部材および第2の摩擦部材の複数の前記摩擦板を束ねる枠体と、を備え、
前記枠体の対向辺部に、前記第1の摩擦部材の各摩擦板の外側縁部を拘束する溝部を設けるとともに、前記第2の摩擦部材の摩擦板を挿通するスリットを設けたことを特徴とするステアリングコラム装置。
【請求項2】
前記枠体の溝部には、前記第1の摩擦部材の摩擦板同士の間隔を開ける突部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングコラム装置。
【請求項3】
前記枠体は、前記スリットの形成部分において前記第1の長孔の延在方向に着脱自在に分割されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステアリングコラム装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−126142(P2010−126142A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306800(P2008−306800)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000237307)富士機工株式会社 (392)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000237307)富士機工株式会社 (392)
【Fターム(参考)】
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