説明

ステロイド類、それらの調製、それらの薬学的組成物およびこの化合物の使用

【課題】抗プロゲスチン効果を有する製薬的価値のある種類のステロイド化合物の提供、これらのステロイド化合物を調製する方法の提供、プロゲスチン依存性に関連した疾患を処置する薬学的組成物、および受精能抑制、中絶または避妊用の薬学的組成物および抗癌用の薬学的組成物の提供、プロゲスチン依存性に関連した疾患を処置する薬剤、および受精能抑制、中絶または避妊用の薬剤および抗癌用の薬剤の調製における該ステロイド化合物および薬学的組成物の用途の提供。
【解決手段】ステロイド化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩、それらの調製方法、それらを活性成分として含有する薬学的組成物など。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ステロイド化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩、それらの
調製方法、それらを活性成分として含有する薬学的組成物、プロゲストゲン依存
性に関連した疾患を処置する薬剤および受精能抑制、中絶または避妊用の薬剤お
よび抗癌用の薬剤の調製でのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ミフェプリストン(mifepristone)(11β−[4−(N,N−
ジメチルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキ
シ−4,9−エストラジエン−3−オン)は、Rousell−Uclafのフ
ランス特許第2,497,807号(これは、1983年5月31日に公開され
た)で開示されたステロイド化合物である。それは、臨床用途にかけられた最初
のプロゲステロンレセプタアンタゴニストであり、新規種類の抗プロゲスチンで
ある。それは、プロゲステロンレセプタおよび糖質コルチコイドレセプタに結合
し、ウサギ子宮内膜において、プロゲステロンレセプタに対する親和性がプロゲ
ステロンよりも5倍高く、強力な抗プロゲステロン効果を有する。それは、妊娠
した絨毛組織および脱落膜組織の退化、内生プロスタグランジン(PG)の放出
、黄体形成ホルモンの低下、黄体の溶解、および胚嚢(その発達は、黄体に依存
している)の壊死を引き起こし、中絶に至る。従って、それは、初期妊娠を止め
る非外科的な薬剤として、使用できる。それはまた、特に、避妊薬および抗新生
物薬としても、使用できる。(The Antiprogestin Ster
oid Ru486 and Human Fertility Contro
l,1985,New York:Plenum Press)。
【0003】
オナプリストン(Onapristone)(11β−[4−(N,N−ジメ
チルアミノ)フェニル]−17α−ヒドロキシ−17β−(3−ヒドロキシプロ
ピル)−4,9−エストラジエン−3−オン)は、Schering AGのド
イツ特許第3,321,826号(これは、1984年12月20日に公開され
た)で開示されたステロイド化合物である。それは、強力な抗プロゲスチン活性
を有し、そして中絶(American Journal of Obster
ics and Gyencology,1987,157:1065〜107
4)、抗癌(Breast Cancer Research and Tre
atment,1989,14:275〜288)などで使用できる。オナプリ
ストンがヒトの肝臓に対して毒性があることが報告された(European
Journal of Cancer,1999,35(2):214〜218
)。
【0004】
リロプリストン(Lilopristone)(11β−[4−(N,N−ジ
メチルアミノ)フェニル]−17α−[3−ヒドロキシ−1(Z)−プロペニル
]−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン)は、Scher
ing AGのドイツ特許第3,347,126号(これは、1985年7月1
1日に公開された)で開示されたステロイド化合物である。それは、強力な抗プ
ロゲスチン活性を有し、そして中絶、避妊(American Journal
of Obsterics and Gyencology,1987,15
7:1065〜1074)などで使用できる。リロプリストンが初期妊娠を止め
る臨床的な効果は、ミフェプリストンと同程度であることが報告された(Hum
an Reproduction,1994,9(1):57〜63)。
【0005】
ZK112993(11β−(4−アセチルフェニル)−17α−(1−プロ
ピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン)は、Sc
hering AGのドイツ特許第3,504,421号(これは、1986年
8月7日に公開された)で開示されたステロイド化合物である。それは、強力な
抗プロゲスチン活性を有し、そして特に、抗癌剤として使用できる(Antic
ancer Res.,1990,10:683〜688)。
【0006】
Akzo NV,The Netherlandのヨーロッパ特許第321,
010号(これは、1989年6月21日に公開された)では、強力な抗プロゲ
スチン活性を有する「11−アリールステロイド化合物」が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、特に、抗プロゲスチン効果を有する製薬的価値のある種類の
ステロイド化合物を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、これらのステロイド化合物を調製する方法を提供するこ
とにある。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、プロゲスチン依存性に関連した疾患を処置する薬
学的組成物、および受精能抑制、中絶または避妊用の薬学的組成物および抗癌用
の薬学的組成物を提供することにある。
【0010】
本発明のさらなる目的は、プロゲスチン依存性に関連した疾患を処置する薬剤
、および受精能抑制、中絶または避妊用の薬剤および抗癌用の薬剤の調製におけ
る該ステロイド化合物および薬学的組成物の用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によって以下が提供される:
(1)式(I)の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩であ
って:
【化1】


ここで、R1は、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、R2は、水素ま
たはC1〜C6アルキルであり、R3は、水素またはC1〜C6アルキルあるいはメ
チロールであり、R4は、水素またはヒドロキシメチレンであるが、但し、R1
シクロヘキシルであり、R3がメチルであり、そしてR4が水素のとき、R2は、
エチルではない、
化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
(2)R2が、水素またはメチルであり、R3が、メチルまたはメチ
ロールである、項目1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
(3)11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)
フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エス
トラジエン−3−オンである、項目1に記載の化合物およびそれらの薬学的に
受容可能な塩。
(4)11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−
17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−
3−オンである、項目1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩

(5)2−ヒドロキシメチレン−11β−[4−(N−メチル−N
−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−
ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オンである、項目1に記載の化合
物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
(6)11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)
フェニル]−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキ
シ−4,9−エストラジエン−3−オンである、項目1に記載の化合物および
それらの薬学的に受容可能な塩。
(7)11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−
17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−
エストラジエン−3−オンである、項目1に記載の化合物およびそれらの薬学
的に受容可能な塩。
(8)11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘプチルアミノ)
フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エス
トラジエン−3−オンである、項目1に記載の化合物およびそれらの薬学的に
受容可能な塩。
(9)11β−[4−(N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−
17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−
3−オンである、項目1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩

(10)2−ヒドロキシメチレン−11β−[4−(N−メチル−
N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β
−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オンである、項目1に記載の化
合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
(11)11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘプチルアミノ
)フェニル]−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロ
キシ−4,9−エストラジエン−3−オンである、項目1に記載の化合物およ
びそれらの薬学的に受容可能な塩。
(12)11β−[4−(N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]
−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9
−エストラジエン−3−オンである、項目1に記載の化合物およびそれらの薬
学的に受容可能な塩。
(13)項目3に記載の化合物を調製する方法であって、該方法
は、以下の工程を包含する:
(1)グリニヤール試薬(III)の調製:
【化2】


ここで、4−ブロモ−N−メチル−N−シクロヘキシルアニリン(II)は、
テトラヒドロフラン(THF)中にて、マグネシウムと反応されて、式(III
)のグリニヤール試薬を得る;
(2)C11付加反応:
【化3】


ここで、式(IV)の化合物および工程(1)で調製した式(III)のグリ
ニヤール試薬は、付加反応にかけられて、式(V)の化合物が得られる;および
(3)加水分解反応:
【化4】


ここで、工程(2)で調製した式(V)の化合物は、加水分解反応を受けて、
式(VI)の化合物が得られる、
方法。
(14)項目4に記載の化合物を調製する方法であって、該方法
は、以下の工程を包含する:
(1)式(IX)のグリニヤール試薬の調製:
【化5】


ここで、4−ブロモ−N−シクロヘキシルアニリン(VII)は、まず、トリ
メチルクロロシランで保護され、次いで、THF中にて、マグネシウムと反応さ
れて、式(IX)のグリニヤール試薬を得る;
(2)C11付加反応:
【化6】


ここで、式(IV)の化合物および工程(1)で調製した式(IX)のグリニ
ヤール試薬は、付加反応にかけられて、式(X)の化合物が得られる;および
(3)加水分解反応:
【化7】


ここで、工程(2)で調製した式(X)の化合物は、加水分解反応を受けて、
式(XI)の化合物が得られる、
方法。
(15)項目5に記載の化合物を調製する方法であって、該方法
は、以下のホルミル化反応を包含する:
【化8】


ここで、項目13に記載の工程(3)で調製した式(VI)の化合物は、ホ
ルミル化反応を受けて、式(XII)の化合物を得る、
方法。
(16)項目6に記載の化合物を調製する方法であって、該方法
は、以下の工程を包含する:
(1)C11付加反応:
【化9】


ここで、式(XIII)の化合物および項目13に記載の工程(1)で調製
した式(III)のグリニヤール試薬は、付加反応にかけられて、式(XIV)
の化合物が得られる;
(2)C17付加反応:
【化10】


ここで、工程(1)で調製した式(XIV)の化合物および式(XV)のグリ
ニヤール試薬は、付加反応にかけられて、式(XVI)の化合物が得られる;お
よび
(3)加水分解反応:
【化11】


ここで、工程(2)で調製した式(XVI)の化合物は、加水分解反応を受け
て、式(XVII)の化合物が得られる、
方法。
(17)項目7に記載の化合物を調製する方法であって、該方法
は、以下の工程を包含する:
(1)C11付加反応:
【化12】


ここで、式(XIII)の化合物および項目14に記載の工程(1)で調製
した式(IX)のグリニヤール試薬は、付加反応にかけられて、式(XVIII
)の化合物が得られる;
(2)C17付加反応:
【化13】


ここで、工程(1)で調製した式(XVIII)の化合物および式(XV)の
グリニヤール試薬は、付加反応にかけられて、式(XIX)の化合物が得られる
;および
(3)加水分解反応:
【化14】


ここで、工程(2)で調製した式(XIX)の化合物は、加水分解反応を受け
て、式(XX)の化合物が得られる、
方法。
(18)プロゲスチン依存に関連した疾患を処置する薬学的組成物
であって、治療有効量の項目1〜12のいずれかに記載の化合物および薬学的
に受容可能なキャリアまたは補助剤を含有する、組成物。
(19)受精能を制御する薬学的組成物であって、治療有効量の請
求項1〜12のいずれかに記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアまた
は補助剤を含有する、組成物。
(20)中絶または避妊用の薬学的組成物であって、治療有効量の
項目1〜12のいずれかに記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアま
たは補助剤を含有する、組成物。
(21)新生物を制御する薬学的組成物であって、治療有効量の請
求項1〜12のいずれかに記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアまた
は補助剤を含有する、組成物。
(22)プロゲスチン依存に関連した疾患を処置する薬剤の製造に
おける項目1〜12のいずれかに記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可
能な塩の使用。
(23)受精能を制御する薬剤の製造における項目1〜12のい
ずれかに記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の使用。
(24)中絶または避妊用の薬剤の製造における項目1〜12の
いずれかに記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の使用。
(25)抗癌剤の製造における項目1〜12のいずれかに記載の
化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩の使用。
(26)プロゲスチン依存に関連した疾患を処置する際の項目1
〜12のいずれかに記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の使用。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明のステロイド化合物は、以下の一般式(I)を有する:
【0013】
【化15】


ここで、R1は、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、R2は、水素ま
たはC1〜C6アルキルであり、R3は、水素、C1〜C6アルキルまたはメチロー
ルであり、R4は、水素またはヒドロキシメチレン(=CHOH)である。
【0014】
本発明の化合物は、それらの塩の形状で存在できる。また、その中に含有され
ている複数の非対称炭素原子のために、これらの化合物の多くの異性体が存在し
得る。これらの塩および異性体は、全て、保護を求めている本発明の化合物の範
囲内に入る。
【0015】
本発明の式(I)の化合物は、好ましくは、R2が、水素またはメチルであり
、そしてR3が、メチルまたはメチロールであるものである。
【0016】
本発明のさらに好ましい化合物には、以下が挙げられる:
11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17
α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−
オン、
11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プ
ロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン、
2−ヒドロキシメチレン−11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシル
アミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,
9−エストラジエン−3−オン、
11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17
α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エス
トラジエン−3−オン、
11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(3−ヒ
ドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−
3−オン、
11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17
α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−
オン、
11β−[4−(N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17α−(1−プ
ロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン、
2−ヒドロキシメチレン−11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシル
アミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,
9−エストラジエン−3−オン、
11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17
α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エス
トラジエン−3−オン、
11β−[4−(N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17α−(3−ヒ
ドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−
3−オン。
【0017】
本発明の調製方法は、以下の単一工程手順または複数工程手順を包含する:
1.11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−
17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−
3−オン(VI)を調製する方法であって、この方法は、以下の工程を包含する

(1)グリニヤール試薬(III)の調製:
【0018】
【化16】


4−ブロモ−N−メチル−N−シクロヘキシルアニリン(II)は、テトラヒ
ドロフラン(THF)中にて、マグネシウムと反応されて、式(III)のグリ
ニヤール試薬を得る;
(2)C11付加反応:
【0019】
【化17】


式(IV)の化合物および工程(1)で調製した式(III)のグリニヤール
試薬は、付加反応にかけられて、式(V)の化合物が得られる;および
(3)加水分解反応:
【0020】
【化18】


工程(2)で調製した式(V)の化合物は、加水分解反応を受けて、式(VI
)の化合物が得られる。
【0021】
2.11β−[4−(N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17α−(1
−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン(X
I)を調製する方法であって、この方法は、以下の工程を包含する:
(1)式(IX)のグリニヤール試薬の調製:
【0022】
【化19】


4−ブロモ−N−シクロヘキシルアニリン(VII)は、まず、トリメチルク
ロロシランで保護され、次いで、THF中にて、マグネシウムと反応されて、式
(IX)のグリニヤール試薬を得る;
(2)C11付加反応:
【0023】
【化20】


式(IV)の化合物および工程(1)で調製した式(IX)のグリニヤール試
薬は、付加反応にかけられて、式(X)の化合物が得られる;および
(3)加水分解反応:
【0024】
【化21】


工程(2)で調製した式(X)の化合物は、加水分解反応を受けて、式(XI
)の化合物が得られる。
【0025】
3.2−ヒドロキシメチレン−11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキ
シルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−
4,9−エストラジエン−3−オン(XII)を調製する方法であって、該方法
は、以下のホルミル化反応を包含する:
【0026】
【化22】


式(VI)の化合物は、ホルミル化反応を受けて、式(XII)の化合物を得
る。
【0027】
4.11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−
17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−
エストラジエン−3−オン(XVII)を調製する方法であって、該方法は、以
下の工程を包含する:
(1)C11付加反応:
【0028】
【化23】


式(XIII)の化合物および項目13に記載の工程(1)で調製した式(
III)のグリニヤール試薬は、付加反応にかけられて、式(XIV)の化合物
が得られる;
(2)C17付加反応:
【0029】
【化24】


工程(1)で調製した式(XIV)の化合物および式(XV)のグリニヤール
試薬は、付加反応にかけられて、式(XVI)の化合物が得られる;および
(3)加水分解反応:
【0030】
【化25】


工程(2)で調製した式(XVI)の化合物は、加水分解反応を受けて、式(
XVII)の化合物が得られる。
【0031】
5.11β−[4−(N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17α−(3
−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエ
ン−3−オン(XX)を調製する方法であって、該方法は、以下の工程を包含す
る:
(1)C11付加反応:
【0032】
【化26】


式(XIII)の化合物および式(IX)のグリニヤール試薬は、付加反応に
かけられて、式(XVIII)の化合物が得られる;
(2)C17付加反応:
【0033】
【化27】


工程(1)で調製した式(XVIII)の化合物および式(XV)のグリニヤ
ール試薬は、付加反応にかけられて、式(XIX)の化合物が得られる;および
(3)加水分解反応:
【0034】
【化28】


工程(2)で調製した式(XIX)の化合物は、加水分解反応を受けて、式(
XX)の化合物が得られる。
【0035】
本発明の化合物は、薬学的に受容可能なキャリア、薬学的に受容可能な補助剤
または他の薬剤と組み合わされて、プロゲスチン依存性に関連した疾患を処置す
るのに使用する薬学的組成物、受精能抑制、中絶または避妊用の薬学的組成物お
よび新生物を抑制するのに使用する薬学的組成物など、例えば、乳癌、卵巣腫、
子宮内膜癌、髄膜腫、子宮筋腫、子宮内膜症、月経前症候群、およびクッシング
症候群を処置するのに使用する薬学的組成物、および中絶および避妊溶離薬学的
組成物などを得ることができる。本発明の化合物、それらを含有する薬学的組成
物、およびプロゲスチン依存性に関連した疾患を処置する薬剤の調製でのそれら
の使用は、全て、保護を求めている本発明の化合物の範囲内に入る。
【0036】
本発明の化合物は、適当な酸とのそれらの薬学的に受容可能な塩として、調製
できる。これらの薬学的に受容可能な塩を生成するのに使用できる適当な酸には
、例えば、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸など);有
機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロパン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、コ
ハク酸、酒石酸、クエン酸など);アルキルスルホン酸(例えば、メチルスルホ
ン酸、エチルスルホン酸など);アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸など)がある。
【0037】
本発明の化合物を含有する薬学的組成物は、本発明の化合物、および本発明の
化合物と相溶性の薬学的に受容可能なキャリアまたは補助剤または他の薬剤を、
薬学的に有効な量で含有する。
【0038】
本発明の化合物用またはそれらを含有する薬学的組成物中の薬学的に受容可能
なキャリアおよび補助剤は、デンプンおよびその誘導体、セルロースおよびその
誘導体、シクロデキストリンおよびその誘導体、高分子量重合体、有機酸および
それらの塩およびエステル、無機化合物(例えば、無機カルシウム塩および酸化
物)、高級アルコール、リン脂質、糖類および他の適当な物質であり得る。
【0039】
本発明の化合物およびそれらを含有する薬学的組成物は、固形投薬形状(例え
ば、錠剤、カプセル、ドロップ状丸薬、顆粒および座剤)であり得、または液状
製剤(例えば、注射剤、懸濁液、乳濁液および溶液)であり得、または経皮投与
形状であり得、また、特定の効果(例えば、持続放出、制御放出、標的放出およ
び律動放出)を有する投薬形状であり得る。
【0040】
(発明の効果)
本発明者は、本発明の化合物が、プロゲスチン依存性に関連した疾患の処置、
および受精能の抑制、中絶または避妊および新生物の抑制に良好な効果があるこ
とを発見した。ミフェプリストンと比較すると、本発明の化合物は、腫瘍細胞を
殺し、MNU誘発のラット乳癌を阻害し、そして初期妊娠を止め、また、ラット
での着床を阻害するのに良好な効果がある。
【0041】
以下の調製実施例および作用実施例は、本発明をさらに説明することを目的と
している。これらの調製実施例および作用実施例は、本発明を限定するのではな
く、本発明を説明するためにだけ供されていることが分かる。
【0042】
(調製実施例)
(調製実施例1:4−ブロモ−N−メチル−N−シクロヘキシルアニリン(I
I)の調製)
【0043】
【化29】


(1)4−ブロモ−N−メチルアニリン(XXII)の調製
N−メチルアニリン(XXI)10.7g、臭化テトラブチルアンモニウム[
(C494+Br-]32.1gおよび塩化メチレン(CH2Cl2)100m
lを3ッ口フラスコに入れ、そして氷冷生理食塩水で0℃まで冷却した。攪拌し
ながら、臭素(Br2)15.8gをゆっくりと滴下し、そして0℃で維持しつ
つ、4時間攪拌した。その温度を室温までゆっくりと上げ、そして二酸化炭素の
発生が止まるまで、飽和炭酸ナトリウム溶液をゆっくりと滴下した。水層を分離
し、そして塩化メチレンで3回抽出した。それらの有機層を合わせて、無水硫酸
ナトリウムで乾燥した。塩化メチレンを蒸発させると、4−ブロモ−N−シクロ
ヘキシルアニリン(XXII)26gが得られた。
(2)4−ブロモ−N−メチル−N−シクロヘキシルアニリン(II)の調製
4−ブロモ−N−メチルアニリン(XXII)26gおよびN,N−ジメチル
ホルムアミド(HCONEt2)100mlを4口フラスコに入れ、そして窒素
下にて、0℃まで冷却した。攪拌しながら、n−ブチルリチウム(n−BuLi
)の2.5Mのn−ヘキサン溶液40mlを滴下し、そして0℃で維持しつつ、
2時間攪拌した。n−ヘキサンおよびn−ブタンを蒸発させ、そしてブロモ−シ
クロヘキサン16.2gを添加し、還流下にて、8時間攪拌した。冷却後、臭化
リチウムを濾過により取り除き、そしてN,N−ジメチルホルムアミドを回収し
た。その残渣を95%エタノールから2回再結晶して、4−ブロモ−N−メチル
−N−シクロヘキシルアニリン(II)16gを得た。
【0044】
【化30】


(調製実施例2;4−ブロモ−N−メチル−N−シクロヘプチルアニリン(X
XIII)の調製)
【0045】
【化31】


調製実施例1の方法と同じ方法に従って、ブロモシクロヘキサンをブロモシク
ロヘプタンで置換して、表題化合物である4−ブロモ−N−メチル−N−シクロ
ヘプチルアニリン(XXIII)を得た。
【0046】
【化32】


(調製実施例3:4−ブロモ−N−シクロヘプチルアニリン(XXV)の調製

【0047】
【化33】


N−シクロヘプチルアニリン(XXIV)(CA登録番号[61142−86
−7]18.9g、その調製については、Synthesis、1991、11
:1043−1045を参照)、臭化テトラブチルアンモニウム[(C494
+Br-]32.1gおよび塩化メチレン(CH2Cl2)100mlを3ッ口フ
ラスコに入れ、そして氷冷生理食塩水で0℃まで冷却した。攪拌しながら、臭素
(Br2)15.8gをゆっくりと滴下し、そして0℃で維持しつつ、4時間攪
拌した。その温度を室温までゆっくりと上げ、そして二酸化炭素の発生が止まる
まで、飽和炭酸ナトリウム溶液をゆっくりと滴下した。水層を分離し、そして塩
化メチレンで3回抽出した。それらの有機層を合わせて、その溶媒を蒸発させた
。その残渣を95%エタノールから2回再結晶して、4−ブロモ−N−シクロヘ
プチルアニリン(XXV)21.4gが得られた。
【0048】
【化34】


(実施例)
本発明のステロイド化合物を調製する方法を、以下のように説明する。
【0049】
(実施例1:11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェ
ニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラ
ジエン−3−オン(VI)の調製)
(1)4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル−マグネシウ
ムブロマイド(III)の調製
【0050】
【化35】


マグネシウム(Mg)1.4gおよび無水テトラヒドロフラン(少量のヨウ素
を添加するかまたはは添加しない)10mlを、4ッ口フラスコに入れた。約5
0℃で、無水テトラヒドロフラン24mlに溶解した4−ブロモ−N−メチル−
シクロヘキシルアニリン(II)(CA登録番号[88799−11−5]、そ
の調製については、調製実施態様1を参照)10.86gを滴下した。添加が完
了した後、その温度を維持しつつ、攪拌を1時間継続して、無水テトラヒドロフ
ラン中の4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニルマグネシウム
ブロマイド(III)を得た(これは、次の付加反応工程で使用する)。
【0051】
(2)3,3−エチレンジオキシ−5α,17β−ジヒドロキシ−11β−[
4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プ
ロピニル)−9(10)−エストレン(estrene)(V)の調製
【0052】
【化36】


3,3−エチレンジオキシ−5,10−エポキシ−17α−(1−プロピニル
)−17β−ヒドロキシ−9(11)−エストレン(IV)(CA登録番号[8
4371−57−3]5g、その調製については、米国特許第4,386,08
5号を参照)、無水テトラヒドロフラン(THF)29.1mlおよび塩化第一
銅(Cu2Cl2)0.1gを、4ッ口フラスコに入れた。その温度を5℃より低
く維持しつつ、テトラヒドロフラン中の4−(N−メチル−N−シクロヘキシル
アミノ)フェニルマグネシウムブロマイド(III)を滴下した。添加が完了し
た後、この温度を維持しつつ、この反応を5時間継続させた。この反応が完了し
た後、この反応物を塩化アンモニウム水溶液に注いだ。水層を分離した。その有
機層を飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄し、この水層を酢酸エチルで数回抽出し
た。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥し、減圧下にて濃縮し、そしてシリカゲルカラム(これは、展開剤として
、シクロヘキサン:アセトン=(5:1)を使用する)上で分離して、固体とし
て、3,3−エチレンジオキシ−5α,17β−ジヒドロキシ−11β−[4−
(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピ
ニル)−9(10)−エストレン(V)6gを得た。
【0053】
【化37】


(3)11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]
−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン
−3−オン(VI)の調製
【0054】
【化38】


パラトルエンスルホン酸(PTS)2.5gおよび3,3−エチレンジオキシ
−5α,17β−ジヒドロキシ−11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキ
シルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−9(10)−エストレ
ン(V)5gを、90%エタノール(v/v)50mlに溶解した。攪拌しなが
ら、5℃〜40℃で3時間反応させた後、この反応溶液を希水酸化ナトリウム水
溶液に注いだ。沈殿した固体を吸引下にて濾過し、そして水で中性になるまで洗
浄した。その濾過ケーキを酢酸エチル50mlに溶解し、そして飽和塩化ナトリ
ウム水溶液で洗浄した。その水層を分離した。その溶媒の一部を蒸発により除去
すると、固形物が沈殿し、これを吸引下で濾過し、そして乾燥して、淡黄色の固
体として、11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル
]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエ
ン−3−オン(VI)3gを得た。
【0055】
【化39】


(実施例2:11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17
α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−
オン(XI)の調製)
(1)4−(N−シクロヘキシル−N−トリメチルシリルアミノ)フェニルマ
グネシウムブロマイド(IX)の調製
【0056】
【化40】


4−ブロモ−N−シクロヘキシルアニリン(VII)(CA登録番号[113
388−04−8]、その調製については、Synthetic Commun
ications,1986,16(13):1641〜1645を参照)9g
を4口フラスコに入れ、そしてn−BuLiのn−ヘキサン溶液15ml(1.
5mol/L)を添加した。この混合物を、室温で、30分間攪拌した。次いで
、トリメチルシリルクロライド(Me3SiCl)8gを添加し、この混合物を
1時間攪拌した。減圧下にて、溶媒および過剰のMe3SiClを蒸発させて、
4−ブロモ−(N−シクロヘキシル−N−トリメチルシリルアニリン)(VII
I)を得、これを、さらに使用するために、無水テトラヒドロフラン7.5ml
で溶液に調合した。
【0057】
マグネシウム1.3gを4口フラスコに入れ、40℃で、少量の上記溶液をゆ
っくりと滴下した。添加が完了した後、その温度を1時間保持して、さらに使用
するために、4−(N−シクロヘキシル−N−トリメチルシリルアミノ)フェニ
ルマグネシウムブロマイド(IX)のテトラヒドロフラン溶液を得た。
【0058】
(2)3,3−エチレンジオキシ−5α,17β−ジヒドロキシ−11β−[
4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−
9(10)−エストレン(X)の調製
【0059】
【化41】


3,3−エチレンジオキシ−5,10−エポキシ−17α−(1−プロピニル
)−17β−ヒドロキシ−9(11)−エストレン(IV)5gを4ッ口フラス
コに入れ、無水テトラヒドロフラン10mlおよび触媒量の塩化第一銅(Cu2
Cl2)を添加した。次いで、その温度を5℃より低く制御しつつ、4−(N−
シクロヘキシルアミノ−N−トリメチルシリルアミノ)フェニルマグネシウムブ
ロマイド(IX)のテトラヒドロフラン溶液をゆっくりと滴下した。添加が完了
した後、この混合物を室温で2時間反応させ、そして一晩放置した。飽和塩化ア
ンモニウム溶液を添加し、そのテトラヒドロフラン層を分離して、それを、飽和
塩化アンモニウム溶液で洗浄した。このテトラヒドロフラン溶液を飽和生理食塩
水で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下にてテトラヒドロフ
ランを蒸発させると、残渣が得られ、これを、シリカゲルカラム(これは、展開
剤として、シクロヘキサン:アセトン=(5:1)を使用する)上で分離して、
3,3−エチレンジオキシ−5α,17β−ジヒドロキシ−11β−[4−(N
−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−9(10
)−エストレン(X)3gを得た。
【0060】
【化42】


(3)11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(
1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン(
XI)の調製
【0061】
【化43】


3,3−エチレンジオキシ−5α,17β−ジヒドロキシ−11β−[4−(
N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−9(1
0)−エストレン(X)1.5gおよびパラトルエンスルホン酸(PTS)0.
75gを、90%エタノール(v/v)15mlに溶解した。その温度を40℃
〜50℃で維持しつつ、この混合物を2時間攪拌した。この反応が完結した後、
この反応物を希水酸化ナトリウム溶液に注ぎ、ジクロロエタンで抽出し、水で中
性になるまで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶媒を蒸発し
、シリカゲルカラム上でクロマトグラフィー(これは、展開剤として、シクロヘ
キサン:酢酸エチル(5:1)を使用する)にかけると、11β−[4−(N−
シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒ
ドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン(XI)0.9gが得られた。
【0062】
【化44】


(実施例3:2−ヒドロキシメチレン−11β−[4−(N−メチル−N−シ
クロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒド
ロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン(XII)の調製)
【0063】
【化45】


11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17
α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−
オン(VI)4gを無水テトラヒドロフラン(THF)18mlに溶解し、そし
てn−ブチルリチウム(n−BuLi)のシクロヘキサン溶液13ml(1.5
mol/L)を添加した。この混合物を30分間反応させ、そして還流下にて、
無水ギ酸エチル(HCOOEt)1.2gを添加して3時間暖めた。テトラヒド
ロフランを蒸発させて、水を添加した。酢酸エチルで抽出し、そしてシリカゲル
カラム上のクロマトグラフィー(これは、展開剤として、シクロヘキサン:酢酸
エチル(5:1)を使用する)にかけて、2−ヒドロキシメチレン−11β−[
4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プ
ロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン(XII
)2gを得た。
【0064】
【化46】


(実施例4:11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェ
ニル]−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−
4,9−エストラジエン−3−オン(XVII)の調製)
(1)3,3−エチレンジオキシ−5α−ヒドロキシ−11β−[4−(N−
メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−9(10)−エストレン−1
7−オン(XIV)の調製
【0065】
【化47】


3,3−エチレンジオキシ−5,10−エポキシ−9(11)−エストレン−
17−オン(XIII)(CA登録番号[39931−87−8]、その調製に
ついては、Transaction of China Pharmaceut
ical University,1991,22(3):133〜136を参
照)3.3gを無水テトラヒドロフラン10mlに溶解し、そして触媒量の塩化
第一銅(Cu2Cl2)を添加した。その温度を0℃より低く維持しつつ、テトラ
ヒドロフラン中の4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニルマグ
ネシウムブロマイド(III)0.04モルを滴下した。添加が完了した後、こ
の混合物を4時間反応させ、飽和塩化アンモニウム溶液に添加し、酢酸エチルで
抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてシリカゲルカラム上でクロマトグ
ラフィーにかけて、3,3−エチレンジオキシ−5α−ヒドロキシ−11β−[
4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−9(10)−エス
トレン−17−オン(XIV)1.6gを得た。
【0066】
【化48】


(2)3,3−エチレンジオキシ−5α,17β−ジヒドロキシ−11β−[
4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−[3−(
2’−テトラヒドロピラニルオキシ)−1−プロピニル]−9(10)−エスト
レン(XVI)の調製
【0067】
【化49】


無水テトラヒドロフラン(THF)14mlに溶解した3,3−エチレンジオ
キシ−5α−ヒドロキシ−11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルア
ミノ)フェニル]−9(10)−エストレン−17−オン(XIV)2.0gを
、25℃で、3−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)−1−プロピニルマグ
ネシウムブロマイド(XV)(CA登録番号は、[51480−24−1]であ
り、その調製については、Organic Syntheses,1981,6
0:81〜87を参照)の0.6ml/lテトラヒドロフラン溶液36mlを滴
下した。添加が完了した後、この混合物を2時間反応させ、飽和塩化アンモニウ
ム溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてシリ
カゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、3,3−エチレンジオキシ−5
α,17β−ジヒドロキシ−11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシル
アミノ)フェニル]−17α−[3−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)−
1−プロピニル]−9(10)−エストレン(XVI)1.8gを得た。
【0068】
【化50】


(3)11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]
−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9
−エストラジエン−3−オン(XVII)の調製
【0069】
【化51】


3,3−エチレンジオキシ−5α,17β−ジヒドロキシ−11β−[4−(
N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−[3−(2’−
テトラヒドロピラニルオキシ)−1−プロピニル]−9(10)−エストレン(
XVI)1gを、90%エタノール(v/v)10mlに溶解し、そして30%
HCl(2ml)を添加した。その温度を50℃で制御しつつ、この混合物を1
時間反応させた。アルカリ性になるまで、希アンモニアを添加した。この混合物
を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてシリカゲルカラム
でのクロマトグラフィーにかけて、11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘ
キシルアミノ)フェニル]−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−1
7β−ヒドロキシ−4,9−エストラジン−3−オン(XVII)0.5gを得
た。
【0070】
【化52】


(実施例5:11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17
α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エス
トラジエン−3−オン(XX)の調製)
(1)3,3−エチレンジオキシ−5α−ヒドロキシ−11β−[4−(N−
シクロヘキシルアミノ)フェニル]−9(10)−エストレン−17−オン(X
VIII)の調製
【0071】
【化53】


3,3−エチレンジオキシ−5,10−エポキシ−9(11)−エストレン−
17−オン(XIII)5gを、無水THF(15ml)に溶解した。得られた
溶液を−5℃まで冷却し、その溶液に、触媒量の塩化第一銅(Cu2Cl2)を添
加した。次いで、4−(N−シクロヘキシル−N−トリメチルシリルアミノ)フ
ェニルマグネシウムブロマイド(IX)のテトラヒドロフラン溶液16mlをゆ
っくりと滴下した。この添加が完了した後、この混合物を5℃で1時間反応させ
、そして室温で2時間反応させて、放置した。飽和塩化アンモニウム水溶液を添
加し、そのテトラヒドロフラン層を分離し、それを、飽和生理食塩水で洗浄し、
そして無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下にてテトラヒドロフランをエバポ
レートさせると、残渣が得られ、これを、シリカゲルカラムでのクロマトグラフ
ィーにかけて、3,3−エチレンジオキシ−5α−ヒドロキシ−11β−[4−
(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−9(10)−エストレン−17−オ
ン(XVIII)3gを得た。
【0072】
【化54】


(2)3,3−エチレンジオキシ−5α,17β−ジヒドロキシ−11β−[
4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−[3−(2’−テトラ
ヒドロピラニルオキシ)−1−プロピニル]−9(10)−エストレン(XIX
)の調製
【0073】
【化55】


無水テトラヒドロフラン(THF)(14ml)に溶解した3,3−エチレン
ジオキシ−5α−ヒドロキシ−11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フ
ェニル]−9(10)−エストレン−17−オン(XVIII)2gを、テトラ
ヒドロフラン中の0.6ml/lの3−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)
−1−プロピニルマグネシウムブロマイド(XV)36mlに滴下した。この添
加が完了した後、この混合物を2時間反応させ、飽和塩化アンモニウム溶液に注
ぎ、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして酢酸エチルの残
留液体をエバポレートした後にシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーにかけ
て、、3,3−エチレンジオキシ−5α,17β−ジヒドロキシ−11β−[4
−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−[3−(2’−テトラヒ
ドロピラニルオキシ)−1−プロピニル]−9(10)−エストレン(XIX)
を得た。その収率は、72%である。
【0074】
【化56】


(3)11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(
3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジ
エン−3−オン(XX)の調製
【0075】
【化57】


3,3−エチレンジオキシ−5α,17β−ジヒドロキシ−11β−[4−(
N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−[3−(2’−テトラヒドロ
ピラニルオキシ)−1−プロピニル]−9(10)−エストレン(XIX)3g
、90%エタノール(v/v)30mlおよびPTS(1.5g)を、反応バル
ブに順次添加した。この混合物を、40℃で、2時間反応させた。薄層を使用し
て、その終点を決定した。この反応が完結した後、その反応液を希釈したNaO
H水溶液300mlに注ぎ、トルエンで抽出し、そして水で中性になるまで洗浄
し、その溶媒をエバポレートした後、酢酸メチルで再結晶化した。次いで、11
β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(3−ヒドロキ
シ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オ
ン(XX)1.8gを調製する。
【0076】
【化58】


(実施例6:11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘプチルアミノ)フ
ェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エスト
ラジエン−3−オンの調製)
実施例1で記述した方法と同じ方法に従って、4−ブロモ−N−メチル−シク
ロヘキシルアニリン(II)を4−ブロモ−N−メチル−N−シクロヘプチルア
ニリン(XXIII)で置き換えた(調製2の調製方法を参照)。最初は、4−
(N−メチル−N−シクロヘプチルアミノ)フェニルマグネシウムブロマイドを
調製する。次いで、表題化合物である11β−[4−(N−メチル−N−シクロ
ヘプチルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキ
シ−4,9−エストラジエン−3−オンを得る。
【0077】
【化59】


(実施例7:11β−[4−(N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17
α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−
オンの調製)
実施例2で記述した方法と同じ方法に従って、4−ブロモ−N−シクロヘキシ
ルアニリン(VII)を4−ブロモ−N−シクロヘプチルアニリン(XXV)で
置き換えた(調製3の調製方法を参照)。最初は、4−(N−シクロヘプチル−
N−トリメチルシリルアミノ)フェニルマグネシウムブロマイドを調製する。次
いで、表題化合物である11β−[4−(N−シクロヘプチルアミノ)フェニル
]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエ
ン−3−オンを得る。
【0078】
【化60】


(実施例8:2−メチロール−11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘプ
チルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−
4,9−エストラジエン−3−オンの調製)
実施例3で記述した方法と同じ方法に従って、11β−[4−(N−メチル−
N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β
−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン(VI)を11β−[4−(
N−メチル−N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニ
ル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オンで置き換えた。
次いで、表題化合物である2−メチロール−11β−[4−(N−メチル−N−
シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒ
ドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オンを得る。
【0079】
【化61】


(実施例9:11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘプチルアミノ)フェ
ニル]−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−
4,9−エストラジエン−3−オンの調製)
実施例4で記述した方法と同じ方法に従って、4−(N−メチル−N−シクロ
ヘキシルアミノ)フェニルマグネシウムブロマイド(III)を4−(N−メチ
ル−N−シクロヘプチルアミノ)フェニルマグネシウムブロマイドで置き換えた
。次いで、表題化合物である11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘプチル
アミノ)フェニル]−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−
ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オンを得る。
【0080】
【化62】


(実施例10:11β−[4−(N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−1
7α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エ
ストラジエン−3−オンの調製)
実施例5で記述した方法と同じ方法に従って、4−(N−シクロヘキシル−N
−トリメチルシリルアミノ)フェニルマグネシウムブロマイド(IX)を4−(
N−シクロヘプチル−N−トリメチルシリルアミノ)フェニルマグネシウムブロ
マイドで置き換えた。次いで、表題化合物である11β−[4−(N−シクロヘ
プチルアミノ)フェニル]−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−1
7β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オンを得る。
【0081】
【化63】


本発明者は、式(VI)の化合物が、プロゲスチン依存性に関連した疾患の処
置、受精能の制御、流産または避妊および抗癌に良好な効果を有することを見い
出した。ミフェプリストンと比較して、式(VI)の化合物は、腫瘍細胞の殺傷
、MNUで誘発されたラットの乳癌の阻害およびラットの抗早期妊娠抗着床に対
して良好な効果を有した。
【0082】
具体的な製薬実験は、以下のとおりである。
【0083】
(実施例11:腫瘍細胞を殺傷することにおける式(VI)の化合物の効果)
手順:10%子ウシ血清を含有するRPMI 1640培地中にて、1×10
4/mlの細胞懸濁液として、ヒト乳癌細胞(MCF−7、T47D、市販され
ている)を調製し、そして100μl/ウェルで、96ウェルプレートを接種す
るのに使用した。このプレートを、インキュベータにおいて、5%CO2中で、
37℃で、24時間インキュベートした。2個の実験群(各々に、式(VI)の
化合物またはミフェプリストン(市販)を与えた)(3連のウェル/群であり、
各々に、種々の濃度の薬物を含有する100μlのRPMI 1640培地を与
えた)および対照群(各ウェルに、当容量の溶媒を含有するRPMI培地を与え
た)を、インキュベータにおいて、5%CO2中で、37℃で、4〜6日間イン
キュベートした。その培養上清を捨て、各ウェルに、0.04%の100μlの
MTT(これは、RPMI 1640で調製した)を各ウェルに添加した。イン
キュベーションを37℃にて4時間行った。上清を捨て、そして150μlジメ
チルスルホキシドを各ウェルに添加して、Fomazan粒子を溶解した。僅か
に振盪した後、540nmの波長で、Model 550 Enzyme La
belling Equipmentを使用して、OD値を測定した。この薬物
の種々の濃度に対して、細胞の阻害割合を図式化して、投薬量応答曲線を作成し
、この曲線から50%阻害濃度IC50が誘導した。
【0084】
実験結果:表1から分かり得るように、式(VI)の化合物は、ヒト乳癌(M
CF−7、T47D)に対して、著しい阻害効果を有し、これは、ミフェプリス
トンの阻害効果よりも高い。
【0085】
【表1】


(実施例12:MNU誘発性ラット乳癌に対する式(VI)の化合物の阻害効
果)
手順:Sprague−Dawleyラット(5〜7週齢で、体重90〜12
0gである)を、ラット乳癌を誘発する量の発癌性化学物質(MNU、市販)で
処置し、そして癌を誘発しただけの群、ミフェプリストンで処置した群、および
式(VI)の化合物で処置した2つの処置群に分けた。各群には、癌を誘発した
だけの群を除いて、1日1回、対応する用量を胃内投与した。30日後、これら
の動物を断頭によって屠殺した。これらの動物の各群の体重および腫瘍重量のよ
うな指標を比較した。これらの群の平均値を算出し、腫瘍増殖阻害割合を誘導し
た。腫瘍阻害割合%=(癌を誘発しただけの群の平均値−処置群の平均値)/(
癌を誘発しただけの群の平均値)×100%。
【0086】
実験結果:表2から分かり得るように、式(VI)の化合物は、MNUで誘発
したラット乳癌に対して著しい阻害効果を有し、ミフェプリストン群の用量より
も低い用量で、癌に対して良好な阻害効果を有する。
【0087】
【表2】


(実施例13:式(VI)の化合物の早期妊娠を止める際の効果)
手順:両方の性別のSprague−Dawleyラットをケージに入れ、そ
して交尾させた。翌日、精子が膣に運ばれたことが確認された動物を、妊娠日数
1と考えた。妊娠したラットを、各10匹からなる11群にランダムに分けた
。対照群には、0.5%のCMC−Na溶液を投与した。6つの群には、それぞ
れ、2.0mg/kg、1.6mg/kg、1.28mg/kg、1.02mg
/kg、0.82mg/kgおよび0.66mg/kgの用量で、式(VI)の
化合物を投与した。4つの群には、それぞれ、3.5mg/kg、2.45mg
/kg、1.72mg/kgおよび1.2mg/kgの用量で、ミフェプリスト
ンを投与した。これらの群には、妊娠日数d7から始めて、1日1回(2ml/
kgの用量)、連続3日間にわたって、胃内投与した。解剖検査で膣出血(ec
olporrhagia)が検出されず胚着床の徴候がないと分かった動物は、
妊娠していないと考えられ、数えなかった。これらの動物を屠殺し、妊娠日数d
14に開腹術を施して、生存胎児、死亡胎児、着床部位および子宮内の黄体の数を
数えた。妊娠した動物の数を数え、対照群の数と比較した。2種の試験薬物のE
50およびその信頼区間を、Bliss法で計算した。
【0088】
実験結果:式(VI)の化合物は、2mg/kg/日で、妊娠日数d7-9のラ
ットに対して、完全で早期に妊娠を止める効果があり、ED50は、1.1439
±0.1590(0.9959〜1.3139)mg/kgであった。ミフェプ
リストンは、また、3.5mg/kgで、完全で早期に妊娠を止める効果があっ
たが、ED50は、2.123±0.4468(1.7227〜2.6164)m
g/kgであった。式(VI)の化合物が早期妊娠を止める効果は、ミフェプリ
ストンのその効果よりも高いことが明らかである。
【0089】
(実施例14:ラットでの抗着床効果に関する式(VI)の化合物の試験)
手順:両方の性別のSprague−Dawleyラットをケージに入れ、そ
して交尾させた。翌日、精子が膣に運ばれたことが確認された動物を、妊娠日数
1と考えた。妊娠したラットを、各10匹からなる10群にランダムに分けた
。対照群には、0.5%のCMC−Na溶液を投与した。5つの群には、式(V
I)の化合物を投与し、そして4つの群には、ミフェプリストンを投与した。こ
れらの群には、妊娠日数d1から始めて、1日1回、連続4日間にわたって、胃
内投与した。これらの群の動物に、妊娠日数d14で開腹術を施して、それらの子
宮を検査した。妊娠した動物の数を数えた。2種の薬物のED50を、Bliss
法で計算した。
【0090】
実験結果:妊娠日数d1-4のラットにおける式(VI)の化合物の抗着床ED5
0は、2.3409±0.6191mg/kgであるのに対して、ミフェプリス
トンの抗着床ED50は、6.6855±1.5523mg/kgであった。式(
VI)の化合物がミフェプリストンの抗着床効果よりも高い抗着床効果を有する
ことは、明らかである。
【0091】
(実施例15:錠剤の組成および調製)
1000個の錠剤あたりの組成は、以下の通りである:
式(VI)の化合物 25g
ポリビニルピロリドン 2g
ラクトース 12g
デンプン 10g
微結晶セルロース 6g
ポリエチレングリコール6000 8g
コロイドシリカ 0.2g
ステアリン酸マグネシウム 0.8g
全量 64g
式(VI)の化合物を適当な粉末度になるまで粉砕し、そしてポリビニルピロ
リドン、ラクトース、デンプン、微結晶セルロースおよびポリエチレングリコー
ル6000と共に、均一にふるい分けした。適当な量の50%エタノールを添加
した。通常の技術に従って、球粒形成を行った。コロイドシリカおよびステアリ
ン酸マグネシウムを添加した後、乾燥した粒子をプレスして、錠剤を作製した。
【0092】
(実施例16:持続放出錠剤の組成および調製)
1000個の錠剤あたりの組成は、以下の通りである:
式(VI)の化合物 25g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 15g
ラクトース 50g
カルボポール(Carbopol) 5g
ラウリル硫酸ナトリウム 0.5g
ポリエチレングリコール6000 5g
ステアリン酸マグネシウム 1g
全量 101.5g
式(VI)の化合物を適当な粉末度になるまで粉砕し、そしてヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース、ラクトース、カルボポール、ラウリル硫酸ナトリウムお
よびポリエチレングリコール6000と共に、均一にふるい分けした。適当な量
の95%エタノールを添加した。通常の技術に従って、球粒形成を行った。ステ
アリン酸マグネシウムを添加した後、乾燥した粒子をプレスして、錠剤を作製し
た。
【0093】
(実施例17:ドロップ状丸薬の組成および調製)
1000個のドロップ状丸薬あたりの組成:
式(VI)の化合物 10g
ポリエチレングリコール8000 60g
ステアリン酸 3g
全量 73g
ポリエチレングリコール8000を、ステアリン酸と均一に混合した。この混
合物を、完全に融解するまで、攪拌しながら加熱した(80〜90℃)。適当な
粉末度になるまで粉砕した式(VI)の化合物を添加した。均一な溶液になるま
で攪拌した後、その温度を70〜80℃で保持した。通常の技術に従って、ドロ
ップ状丸薬を作製した。
【0094】
(実施例18:懸濁液の組成および調製)
懸濁液100mlあたりの組成:
式(XVII)の化合物 0.25g
Tween80 1g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.5g
コロイドシリカ 0.5g
グリセリン 2g
蒸留水 100mlまで
全量 100ml
式(XVII)の化合物を適当な粉末度になるまで粉砕し、そしてカルボキシ
メチルセルロースナトリウム溶液、Tween80、コロイドシリカおよびグリ
セリンを添加した。コロイドミルで処理した後、通常の技術により、懸濁液を作
製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩であって:
【化1】


ここで、Rは、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、Rは、水素またはC
〜Cアルキルであり、Rは、水素またはC〜Cアルキルあるいはメチロールで
あり、Rは、水素またはヒドロキシメチレンであるが、但し、Rがシクロヘキシルで
あり、Rがメチルであり、そしてRが水素のとき、Rは、エチルではない、
化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
が、水素またはメチルであり、Rが、メチルまたはメチロール
である、請求項1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項3】
11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル
]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−
オンである、請求項1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項4】
11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−
(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オンである、
請求項1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項5】
2−ヒドロキシメチレン−11β−[4−(N−メチル−N−シクロ
ヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,
9−エストラジエン−3−オンである、請求項1に記載の化合物およびそれらの薬学的に
受容可能な塩。
【請求項6】
11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニル
]−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エス
トラジエン−3−オンである、請求項1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可能
な塩。
【請求項7】
11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−
(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−
3−オンである、請求項1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項8】
11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘプチルアミノ)フェニル
]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−
オンである、請求項1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項9】
11β−[4−(N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17α−
(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オンである、
請求項1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項10】
2−ヒドロキシメチレン−11β−[4−(N−メチル−N−シク
ロヘプチルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4
,9−エストラジエン−3−オンである、請求項1に記載の化合物およびそれらの薬学的
に受容可能な塩。
【請求項11】
11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘプチルアミノ)フェニ
ル]−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エ
ストラジエン−3−オンである、請求項1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可
能な塩。
【請求項12】
11β−[4−(N−シクロヘプチルアミノ)フェニル]−17α
−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン
−3−オンである、請求項1に記載の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項13】
11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニ
ル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3
−オンおよびその薬学的に受容可能な塩を調製する方法であって、該方法は、以下の工程
を包含する:
(1)グリニヤール試薬(III)の調製:
【化2】


ここで、4−ブロモ−N−メチル−N−シクロヘキシルアニリン(II)は、テトラヒ
ドロフラン(THF)中にて、マグネシウムと反応されて、式(III)のグリニヤール
試薬を得る;
(2)C11付加反応:
【化3】


ここで、式(IV)の化合物および工程(1)で調製した式(III)のグリニヤール
試薬は、付加反応にかけられて、式(V)の化合物が得られる;および
(3)加水分解反応:
【化4】


ここで、工程(2)で調製した式(V)の化合物は、加水分解反応を受けて、式(VI
)の化合物が得られる、
方法。
【請求項14】
11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α
−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オンおよび
その薬学的に受容可能な塩を調製する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:
(1)式(IX)のグリニヤール試薬の調製:
【化5】


ここで、4−ブロモ−N−シクロヘキシルアニリン(VII)は、まず、トリメチルク
ロロシランで保護され、次いで、THF中にて、マグネシウムと反応されて、式(IX)
のグリニヤール試薬を得る;
(2)C11付加反応:
【化6】


ここで、式(IV)の化合物および工程(1)で調製した式(IX)のグリニヤール試
薬は、付加反応にかけられて、式(X)の化合物が得られる;および
(3)加水分解反応:
【化7】


ここで、工程(2)で調製した式(X)の化合物は、加水分解反応を受けて、式(XI
)の化合物が得られる、
方法。
【請求項15】
2−ヒドロキシメチレン−11β−[4−(N−メチル−N−シク
ロヘキシルアミノ)フェニル]−17α−(1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4
,9−エストラジエン−3−オンおよびその薬学的に受容可能な塩を調製する方法であっ
て、該方法は、以下のホルミル化反応を包含する:
【化8】


ここで、請求項13に記載の工程(3)で調製した式(VI)の化合物は、ホルミル化
反応を受けて、式(XII)の化合物を得る、
方法。
【請求項16】
11β−[4−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フェニ
ル]−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エ
ストラジエン−3−オンおよびその薬学的に受容可能な塩を調製する方法であって、該方
法は、以下の工程を包含する:
(1)C11付加反応:
【化9】


ここで、式(XIII)の化合物および請求項13に記載の工程(1)で調製した式(
III)のグリニヤール試薬は、付加反応にかけられて、式(XIV)の化合物が得られ
る;
(2)C17付加反応:
【化10】


ここで、工程(1)で調製した式(XIV)の化合物および式(XV)のグリニヤール
試薬は、付加反応にかけられて、式(XVI)の化合物が得られる;および
(3)加水分解反応:
【化11】


ここで、工程(2)で調製した式(XVI)の化合物は、加水分解反応を受けて、式(
XVII)の化合物が得られる、
方法。
【請求項17】
11β−[4−(N−シクロヘキシルアミノ)フェニル]−17α
−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン
−3−オンおよびその薬学的に受容可能な塩を調製する方法であって、該方法は、以下の
工程を包含する:
(1)C11付加反応:
【化12】


ここで、式(XIII)の化合物および請求項14に記載の工程(1)で調製した式(
IX)のグリニヤール試薬は、付加反応にかけられて、式(XVIII)の化合物が得ら
れる;
(2)C17付加反応:
【化13】


ここで、工程(1)で調製した式(XVIII)の化合物および式(XV)のグリニヤ
ール試薬は、付加反応にかけられて、式(XIX)の化合物が得られる;および
(3)加水分解反応:
【化14】


ここで、工程(2)で調製した式(XIX)の化合物は、加水分解反応を受けて、式(
XX)の化合物が得られる、
方法。
【請求項18】
プロゲスチン依存性に関連した疾患を処置する薬学的組成物であっ
て、治療有効量の請求項1に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアまたは補助
剤を含有する、組成物。
【請求項19】
受精能を制御する薬学的組成物であって、治療有効量の請求項1に
記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアまたは補助剤を含有する、組成物。
【請求項20】
中絶または避妊用の薬学的組成物であって、治療有効量の請求項1
に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアまたは補助剤を含有する、組成物。
【請求項21】
新生物を制御する薬学的組成物であって、治療有効量の請求項1に
記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアまたは補助剤を含有する、組成物。
【請求項22】
プロゲスチン依存に関連した疾患を処置する薬剤の製造における、
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項23】
受精能を制御する薬剤の製造における、請求項1〜12のいずれか
に記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項24】
中絶または避妊用の薬剤の製造における、請求項1〜12のいずれ
かに記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項25】
抗癌剤の製造における、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物
およびそれらの薬学的に受容可能な塩の使用。
【請求項26】
プロゲスチン依存性に関連した疾患を処置するための、請求項1に
記載の化合物の治療的有効量を含有する、組成物。
【請求項27】
受精能を制御するための、請求項1に記載の化合物の治療的有効量
を含有する、組成物。
【請求項28】
プロゲスチン依存性に関連した中絶を誘導するための、請求項1に
記載の化合物の治療的有効量を含有する、組成物。
【請求項29】
プロゲスチン依存性に関連した癌を処置するための、請求項1に記
載の化合物の治療的有効量を含有する、組成物。

【公開番号】特開2007−210994(P2007−210994A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263647(P2006−263647)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【分割の表示】特願2001−522249(P2001−522249)の分割
【原出願日】平成12年8月31日(2000.8.31)
【出願人】(502076039)上海中西▲薬▼▲業▼▲股▼▲分▼有限公司 (1)
【出願人】(502076040)シェンヂィー ファーマシューティカル カンパニー, リミテッド (1)
【出願人】(503299620)シニウエスト ホールディングス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】