ストック装置
【課題】大きな駆動モータを用いることなく、必要なパレットのみが所定方向に走行してワークを搬送できると共に、ストックできるワークの数などを容易に増減できるストック装置を提供する。
【解決手段】ワークWを搭載する複数のパレット2A,2B,2Cと、これらのパレット2A,2B,2Cをワーク搬入部3aとワーク搬出部3bの間で走行可能A,Bに支持するコンベア本体3とからなり、前記パレット2A,2B,2Cは、所定の走行方向A,Bに走行するための動力を供給する駆動モータと、パレット2A,2B,2Cの前後にそれぞれ配置されて隣接する障害物の存在を検知するセンサと、これらのセンサに接続されて障害物を検知しない所定の走行方向A,Bにパレット2を走行するように駆動モータに電力を供給する制御回路とを備える。
【解決手段】ワークWを搭載する複数のパレット2A,2B,2Cと、これらのパレット2A,2B,2Cをワーク搬入部3aとワーク搬出部3bの間で走行可能A,Bに支持するコンベア本体3とからなり、前記パレット2A,2B,2Cは、所定の走行方向A,Bに走行するための動力を供給する駆動モータと、パレット2A,2B,2Cの前後にそれぞれ配置されて隣接する障害物の存在を検知するセンサと、これらのセンサに接続されて障害物を検知しない所定の走行方向A,Bにパレット2を走行するように駆動モータに電力を供給する制御回路とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンなどの施工対象に組み付ける複数のワークをストックし、必要とするときに搬出するストック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来のストック装置90の構成を示す図である。従来のストック装置90はワークWを搭載する複数のパレット91と、これらのパレット91をワーク搬入部92aとワーク搬出部92bの間で往復するように走行させるコンベア本体92とを備える。コンベア本体92は、駆動モータ93と、搬送方向の前後両端に設け一方が駆動モータ93の動力によって回動するスプロケット94と、これらのスプロケット94に巻回される無端状のチェーン95とを有し、チェーン95の移動に伴って各パレット91を所定の走行方向に搬送するものである。また、96はパレット91をワーク搬入および搬出のために所定の場所において停止させるためのストッパである。
【0003】
図12に示すように、前記パレット91はそれぞれ、前記チェーン95に係合するスプロケット97と、このスプロケット97の回転を所定の強さで阻止するクラッチ機構98を有する。つまり、パレット91が自在に走行可能である状態では、前記スプロケット97の回転が止まることにより、チェーン95の移動に伴ってパレット91が走行する。一方、パレット91の前に他のパレット91やストッパ96が存在する場合には、パレット91の走行が阻止されて前記クラッチ機構98によってスプロケット97が空転する。
【0004】
上記構成のストック装置90において、前記駆動モータ93はすべてのパレット91を走行させるものであるため、搭載するパレット91の数やこれらに載せるワークWの重さなどによって、十分な駆動力を供給できる容量を有するものである。また、停止するパレット91に対してもクラッチ機構98に抵抗してスプロケット97を空転させることが可能である程度の強さでチェーン95を牽引することができるように、駆動モータ93の容量を大きくする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このために、駆動モータ93の容量が大きくなり、装置が大きくなってしまうという問題がある。また、ストックするワークWの数を簡単に増やすことができないために、組み付けに手間(工数)がかかり、装置が高価になるという問題もある。さらに、パレット91の走行中には、チェーン95とそのガイドなどがすれる音、ストック装置90の稼働中にパレット同士がぶつかる大きな音が騒音として発生するという問題もあった。加えて、チェーン95のメンテナンスを行わなければ、チェーン95が伸びてパレット91を搬送できなくなるおそれがあった。
【0006】
本発明は前記問題を考慮に入れてなされたものであり、大きな駆動モータを用いることなく、必要なパレットのみが所定方向に走行してワークを搬送できると共に、ストックできるワークの数などを容易に増減できるストック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、ワークを搭載する複数のパレットと、これらのパレットをワーク搬入部とワーク搬出部の間で走行可能に支持するコンベア本体とからなり、前記パレットは、所定の走行方向に走行するための動力を供給する駆動モータと、パレットの前後にそれぞれ配置されて隣接する障害物の存在を検知するセンサと、これらのセンサに接続されて障害物を検知しない所定の走行方向にパレットを走行するように駆動モータに電力を供給する制御回路とを備えることを特徴とするストック装置を提供する(請求項1)。
【0008】
前記構成によれば、パレットの前後に設けたセンサが前後に隣接するパレットまたは障害物が無いことを検知し、制御回路がセンサによって隣接するパレットなどの障害物を検知しない所定の走行方向に走行させるように駆動モータに電力を供給するので、コンベア本体上のパレットを所定の走行方向に走行させて互いに隣接した状態でストックすることができる。各パレットがそれぞれに設けた駆動モータによって自走するので、各駆動モータは一つのパレットに搭載するワークを搬送できる程度の動力を供給する。
【0009】
前記コンベア本体は、ワークを搭載したパレットをワーク搬入部からワーク搬出部に向かう第1の走行方向に走行させてストックする第1ストックラインと、ワークを搬出した後のパレットをワーク搬出部からワーク搬入部に向かう第2の走行方向に走行させてストックする第2ストックラインと、第2ストックライン上を走行したパレットを第1ストックラインの上流端のワーク搬入部に移動させて待機しワークが搭載された後に第1ストックライン上に移動させる第1移載装置と、第1ストックラインの下流端のワーク搬出部に待機しパレットに搭載されたワークが搬出された後に第2ストックラインの上流端に移動して前記パレットを第2ストックライン上に移動させる第2移載装置とを備えることが好ましい(請求項2)。
【0010】
前記構成によれば、第1移載装置がワーク搬入部に移動させたパレットにワークが搭載されると、第1移載装置がワークが搭載されたパレットを第1ストックライン上に移動させる。第1ストックラインに移動したパレットはワーク搬出部の方向に自走し、前方のパレットに隣接した状態で第1ストックライン上にストックされる。次に、第1ストックラインの下流端部のワーク搬出部には第2移載装置が待機しワークが下流側に搬出された後に、第2移載装置がパレットを第2ストックライン上に走行させるので、パレットは第2ストックライン上をワーク搬入部の方向に自走し、前方のパレットに隣接した状態で第2ストックライン上にストックされる。
【0011】
つまり、ワーク搬入部からワーク搬出部までワークを搬送したパレットを第2ストックラインを用いて回収することにより、パレットをワーク搬入部とワーク搬出部の間で循環させることができる。第1ストックラインは第2ストックラインの上部に重ねて配置することが好ましく、この場合には前記移載装置はパレットを上下方向に移動する昇降装置である。
【0012】
前記ストックラインは、その下流端部に配置されて、前記移載装置がストックラインの下流端部から離れた状態で前記センサの検知エリア内に位置し、前記移載装置が下流端部にある状態で前記センサの検知エリア外に移動する進退自在のストッパを備えることが好ましい(請求項3)。
【0013】
前記構成によれば、ストッパがセンサの検知エリア内に位置することによりストックライン上のパレットがストックラインから落下することを防止し、ストッパがセンサの検知エリア外に移動することによりパレットが自走してストックラインの下流端部に位置する移載装置に移動することができる。
【0014】
前記コンベア本体は、前記パレットの走行軌道に沿って配置された少なくとも2本の電源レールを備え、前記パレットは、前記制御回路に接続され前記電源レールに接触する少なくとも2個の端子を備え、前記制御回路は端子を介して供給される電力の極性によってその走行方向を定めるものであることが好ましい(請求項4)。
【0015】
前記構成によれば、各端子を介して電力を制御回路に供給し、制御回路を介して制御された電力を駆動モータに供給する。つまり、バッテリのような重量や寿命のある電源を動力源として用いることなく、すべてのパレットは一つの動力源から給電することができる。電源レールに供給する電力の極性によって走行方向を定めるので、パレットを回転することなく、その走行方向を切り換えることができる。
【0016】
なお、前記電源レールおよび端子は、少なくとも正極および負極の一対の電源レールおよび端子を必要としているが、このほかにも漏電防止のためのアース電源レールおよび端子を設けることが好ましい。また、電源レールはトロリ電源線とするのが好ましいが、パレットを走行させるための少なくとも一対の車輪を電源レール上を走行させるように構成して、車輪を端子として兼用してもよい。
【0017】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、前記制御回路は、前記駆動モータの2本の電源線を前記2個の端子にそれぞれ接続すると共に駆動モータから端子の方向を順方向とするダイオードと、これらのダイオードにそれぞれ並列に接続された前記スイッチとからなることが好ましい(請求項5)。
【0018】
前記構成によれば、センサがその検知エリア内にパレットおよび障害物が存在しない状態を検出して、このセンサに備えたスイッチが導通状態となり、走行方向前方のスイッチが導通状態になった状態では走行方向後方のセンサに備えたスイッチが開放状態であったとしてもこのスイッチに並列に接続されたダイオードが接続されているので、パレットが前方に向かって走行するように駆動モータに電力を供給することができる。スイッチが何らかの導通不良を起こした場合には、パレットが動作しなくなることがあっても危険な過電流が流れることがない。加えて電源の極性を逆にすることによりパレットの走行方向を逆にすることができる。
【0019】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、前記制御回路は、前記2個の端子間に、パレット走行方向前方のセンサに備えるスイッチと第1のダイオードと第1のリレーコイルとを直列に接続する第1のリレー駆動回路、パレット走行方向後方のセンサに備えるスイッチと前記第1のダイオードとは逆極性である第2のダイオードと第2のリレーコイルとを直列に接続する第2のリレー駆動回路、および、前記第1と第2のリレーコイルへの給電によって導通する第1と第2のリレー接点の並列接続回路を介して駆動モータを接続する駆動モータ給電回路を並列に備えることが好ましい(請求項6)。
【0020】
前記構成によれば、センサに設けた走行方向前方のスイッチが導通状態になると第1のダイオードを介して第1のリレーコイルに電流が流れ、第1のリレー接点が導通状態となるので、第1のリレー接点を介して駆動モータに電流が流れる。一方、各端子への給電の極性が逆極性であるときは、他方のスイッチが導通状態になると第2のリレーコイルに電流が流れ、第2のリレー接点が導通状態となるので、第2のリレー接点を介して逆方向の電流が駆動モータに流れる。つまり、走行方向前方のスイッチが導通状態になるだけで走行方向後方のスイッチの状態にかかわらずパレットが走行する。また、駆動モータに流れる電流はリレー接点を介して供給されるので、駆動モータが大電流を必要といている場合にも駆動モータに十分な電流を流すことができる。
【0021】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、前記制御回路は、前記2個の端子間に、パレット走行方向前方のセンサに備えるスイッチと第1のダイオードの直列接続からなる前センサ回路に、パレット走行方向後方のセンサに備えるスイッチと前記第1のダイオードとは逆極性である第2のダイオードの直列接続からなる後センサ回路を並列に接続させた状態でリレーコイルに給電するリレー駆動回路、および、前記リレーコイルへの給電によって導通するリレー接点を介して駆動モータを接続する駆動モータ給電回路を並列に備えることが好ましい(請求項7)。
【0022】
前記構成によれば、センサに設けた走行方向前方のスイッチが導通状態になると第1のダイオードを介してリレーコイルに電流が流れ、リレー接点が導通状態となるので、このリレー接点を介して駆動モータに電流が流れる。一方、各端子への給電の極性が逆極性であるときは、他方のスイッチが導通状態になるとリレーコイルに電流が流れ、リレー接点が導通状態となるので、リレー接点を介して逆方向の電流が駆動モータに流れる。つまり、走行方向前方のスイッチが導通状態になるだけで走行方向後方のスイッチの状態にかかわらずパレットが走行する。また、駆動モータに流れる電流はリレー接点を介して供給されるので、駆動モータが大電流を必要といている場合にも駆動モータに十分な電流を流すことができる。
【発明の効果】
【0023】
前述したように、本発明によれば、コンベア本体上のパレットがそれぞれに搭載する駆動モータによって自走するので、従来のチェーンコンベアを用いる場合のように、チェーンの移動に伴う騒音が発生することも、チェーンが伸びるという問題が発生することもなく、チェーンのメンテナンスを行う必要もない。また、パレットの数を容易に増減してストックできるワークの数を調整することができる。さらに、パレットの走行は前後にパレットまたは障害物が存在するかどうかによって制御されるので、パレットが激しく衝突することに伴う騒音を防止できる。加えて、パレットが隣接した状態では駆動モータに電力が供給されないので、無駄なエネルギーの消耗が生じることもない。
【0024】
前記コンベア本体が往復のストックラインとその両端に位置する移載装置を備えるので、パレットの流れを円滑にすることができる。また、ストックラインの下流端部に進退自在のストッパを設けることにより、パレットがストックラインからパレットが落下することを防止しながら、ストックラインから下流端部に位置する移載装置まで走行することができる。
【0025】
コンベア本体が電源レールを備えることにより、パレットはバッテリのような電源を搭載することなく自走することができる。また、パレットを回転させることなく、パレットの走行方向を切り換えてワーク搬入部とワーク搬出部の間を往復させることができる。
【0026】
前記センサが障害物を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、制御回路がこのスイッチとダイオードの直列接続によって給電されるリレーを介して駆動モータに電力を供給するように構成することにより、前記スイッチやダイオードに流すことができない大電流を駆動モータに供給することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1〜図4は本発明の第1実施形態に係るストック装置1の構成を示す図である。図1に示すように、本発明のストック装置1はワークWとして例えばカムまたはクランクのような軸物を搭載する複数のパレット2A,2B…と、これらのパレット2A,2B…をワーク搬入部3aとワーク搬出部3bの間で走行可能に支持するコンベア本体3とからなる。なお、以下の説明において、各パレット2A,2B…を区別する必要がない場合には、パレット2という。また、パレット2のワーク搭載部におけるアタッチメントを交換可能とすることにより、ブロックやヘッドなどの箱物をワークWとして搬送し、ストックしてもよいことはいうまでもない。
【0028】
前記コンベア本体3は、ワークWを搭載したパレット2Bをワーク搬入部3aからワーク搬出部3bに向かう第1の走行方向Aに走行させてストックする第1ストックライン4Aと、ワークWを搬出した後のパレット2Dをワーク搬出部3bからワーク搬入部3aに向かう第2の走行方向Bに走行させてストックする第2ストックライン4Bと、第2ストックライン4B上を走行したパレット2Aを第1ストックライン4Aの上流端のワーク搬入部3aに移動させて待機しワークWが搭載された後に第1ストックライン4A上に移動させる第1移載装置5Aと、第1ストックライン4Aの下流端のワーク搬出部3bに待機しパレット2Cに搭載されたワークWが搬出された後に第2ストックライン4Bの上流端に移動して前記パレット2Cを第2ストックライン上に移動させる第2移載装置5Bとを備える。
【0029】
なお、本実施形態では第1ストックライン4Aを第2ストックライン4Bの真上に配置している。従って、前記第1移載装置5Aと第2移載装置5Bはそれぞれ昇降装置である。本実施形態のように往復のストックライン5を縦方向に重ねて配置することにより、工場内の占有面積を小さくして省スペース化を図ることができる。また、以下の説明において、区別が不要である場合には、第1ストックライン4Aと第2ストックライン4Bを単にストックライン4といい、第1移載装置5Aと第2移載装置5Bを単に移載装置(昇降装置)5という。
【0030】
前記ストックライン4および移載装置5には、図3を用いて後述するように、パレット2の走行軌道に沿って配置された3本の電源レールからなるトロリ電源R1〜R3を備える。また、2本のトロリ電源R1,R2をそれぞれ正極,負極の電源線とする場合にはパレット2を走行方向Aの方向に走行させ、トロリ電源R1,R2をそれぞれ負極,正極の電源線とする場合にはパレット2を走行方向Bの方向に走行させることができる。加えて、本例では1本のトロリ電源R3をアースとして用いて万一漏電が発生したときの感電防止を図っている。さらに、移載装置5は移動に伴ってトロリ電源R1,R2の極性を反転して供給するように構成しており、これによってパレット2の走行方向A,Bを反転可能としている。
【0031】
前記ストックライン4A,4Bは、その下流端部にそれぞれ進退自在のストッパ6A,6Bを備える。同様に、前記移載装置5のストックライン4と反対側の端部にもストッパ7A,7Bを備える。
【0032】
図2〜4は前記パレット2の構成を示す。図2,3に示すように、パレット2は、そのフレーム10に、回転力を出力する駆動モータ11と、この駆動モータ11によって供給される回転力を用いてパレット2を移動可能に支持する4輪のタイヤ12と、パレット2の前後のフレーム10にそれぞれ配置されて隣接するパレット2などの障害物の存在を検知するセンサ13A,13Bと、ワークWを支持するワーク支持部14とを備える。
【0033】
図3に示すように、前記パレット2は前記トロリ電源R1〜R3に接触すると共にトロリ電源R1〜R3から外れないようにトロリ電源R1〜R2を陥入可能に構成された略コ字状の凹部を形成してなる端子T1〜T3を備える。また、トロリ電源R3(つまりアース)に接触する端子T3はフレーム10に接続されている。一方、トロリ電源R1,R2に接触する端子T1,T2は、図4に示すように制御回路16に接続されている。
【0034】
図4に示すスイッチSWa,SWbは、前記センサ13A,13B内に備えるものであり、その検知エリア内にパレット2などの障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチである。本実施形態の制御回路16は、前記駆動モータ11の2本の電源線11a,11bを前記端子T1,T2にそれぞれ接続すると共に駆動モータ11から端子T1,T2の方向を順方向とするダイオードDSa,DSbと、これらのダイオードDSa,DSbにそれぞれ並列に接続された前記スイッチSWa,SWbとからなる。前記構成の制御回路16は、トロリ電源R1,R2から電力を取り込むと共に、センサ13A,13Bによって障害物を検知しない所定の走行方向(第1ストックライン4A上では走行方向A、第2ストックライン4B上では走行方向B)に、パレット2を走行させるための動力を駆動モータ11に供給するように構成する。
【0035】
前記第1移載装置5Aは、前記第2ストックライン4Bの下流端部に位置する状態では、トロリ電源R1,R2にそれぞれ負極,正極の電力を供給し、パレット2を走行方向Bに走行させてストッパ7Aに近接または当接させた状態で支持し、第1ストックライン4Aの上流端部のワーク搬入部3aに移動することにより、パレット2をワーク搬入部3aに移動させ、ワークWが搭載されたことを図外のセンサまたは入力スイッチにより検知すると、前記トロリ電源R1,R2にそれぞれ正極、負極の電源を接続することにより、パレット2を第1ストックライン4A上に移動させるように構成している。その後、第1移載装置5Aはパレット2を移動させた後に再び前記第2ストックライン4Bの下流端部に移動して、次のパレット2をワーク搬入部3aまで搬送するように構成している。
【0036】
同様に、前記第2移載装置5Bは、前記第1ストックライン4Aの下流端部において待機している状態では、トロリ電源R1,R2にそれぞれ正極,負極の電力を供給し、パレット2を走行方向Aに走行させることにより、パレット2をワーク搬出部3bに移動させ、ストッパ7Bに近接または当接させた状態で支持するように構成している。また、第2移載装置5Bは、パレット2からワークWが搬出されたことを図外のセンサまたは入力スイッチにより検知すると、第2ストックライン4Bの上流端部に移動し、前記トロリ電源R1,R2にそれぞれ負極、正極の電源を接続することによりパレット2を走行方向Bに走行させて、第2ストックライン4上に移動させるように構成している。その後、第2移動装置5Bはパレット2を移動させた後に再び前記第1ストックライン4Aの下流端部に移動して待機するように構成している。
【0037】
前記ストッパ6A,6Bは、前記移動装置5B,5Aがストックライン4A,4Bの下流端部から離れた状態で前記センサ13A,13Bの検知エリア内に位置し、前記移動装置5B,5Aがストックライン4A,4Bの下流端部にある状態で前記センサ13A,13Bの検知エリア外に移動するように構成している。つまり、ストッパ6A,6Bが移動装置5B,5Aの位置に合わせて進退移動することにより、移載装置5A、5Bにそれぞれ一つのパレット2だけが搭載され、他のパレット2をストックライン4上にストックさせることができる。
【0038】
前記ストッパ7A,7Bはパレット2が移載装置5A,5Bから落下することを防止できるように形成されたパレット2の高さより高い壁面板であるが、前記センサ13A,13Bの検知エリア内に位置することにより、ストッパ7A,7Bが障害物として検知されてパレット2の衝突を防止することができるように構成している。
【0039】
前記フレーム10はワークWを安定して支持可能である程度の幅と長さを有する略矩形の板状体であり、走行方向A,Bの前後に前記センサ13A,13B取り付け用の壁面10a,10bを形成し、走行方向A,Bに対して側面には前記タイヤ12を支持するための壁面10c,10dを形成する。
【0040】
前記駆動モータ11はトルクリミッタを備えるギヤモータであり、これによってパレット2の走行速度や駆動トルクを容易に調整することが可能である。
【0041】
前記タイヤ12は壁面10c,10d間にできるだけ離して配置され、左右のタイヤが駆動軸12sによって連結されている。また、駆動モータ11とタイヤ12は駆動モータ11の回転軸に設けたプーリ11aと、前記駆動軸12sに設けたプーリ12aにベルト15を巻回することによって連結される。つまり、4つのタイヤ12が同じ方向に同じ速度で回転できるようにしてより安定した走行を実現できるように構成している。なお、タイヤ12の数や駆動輪の数など任意に設計変更可能であることはいうまでもない。
【0042】
前記センサ13A,13Bは例えば光電管などの非接触センサであることが好ましい。また、センサ13A,13Bの検知エリア内に隣接するパレット2またはストッパ6,7を検知した状態で導通状態(ON)にするスイッチSWa,SWbを備えている。したがって、センサ13A,13Bに接続する電線に断線などが発生すると、パレット2が停止して動作しなくなることがあっても暴走することがないように構成している。また、前記スイッチSWa,SWbはノーマルクローズの接点である。したがって、パレット2は互いに隣接するようにストックされた状態ではスイッチSWa,SWbを導通状態にするための電流を不要として省エネルギーである。
【0043】
前記ワーク支持部14はフレーム10の上面の適所に配置されて軸物のワークWを載置する略V字状の凹部14aを備える左右一対の板体である。このように構成された凹部14aを設けたワーク支持部14は、あらゆる形の軸物のワークWをその長手方向が走行方向A,Bに対して横方向となるように配置した状態で安定して支持することができる。
【0044】
図5〜7は前記制御回路16およびパレット2の動作を5つの状態A〜状態Eに分けて説明する図である。より詳細には、図5は5つの状態A〜状態Eにおける前方のパレット2AにおけるスイッチSWa,SWbと駆動モータ11の駆動状態を一覧にした動作一覧表Tbl、図6(A)〜(E)は状態A〜状態Eにおけるパレット2A,2B,2Cの状態、図7(A)〜(J)は状態A〜状態Eにおけるパレット2A,2B内の制御回路16内の状態を示す図である。
【0045】
なお、以下の説明において、パレット2A,2B…が第1ストックライン4A上を走行する状態を説明する。つまり、端子T1が正極、端子T2が負極の電源レールR1,R2に接触することにより、基本的に端子T1→スイッチSWa→駆動モータ11→スイッチSWbまたはダイオードDsb→端子T2の順に電流が流れるときに駆動モータ11が正転する。一方、パレット2が第2ストックライン4B上を走行するときには、端子T1,T2に供給される電源の極性が反転するので、基本的に端子T2→スイッチSWb→駆動モータ11→スイッチSWaまたはダイオードDsa→端子T1の順に電流が流れ駆動モータ11が逆転するが、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図6(A)に示すように、パレット2A,2Bの前後に隣接するパレット2やストッパ6,7が無い場合には、図5の動作一覧表Tに示すように、パレット2A,2B共に前後のセンサ13A,13BのスイッチSWa,SWbがオンとなる。したがって、図7(A),7(B)に示すように、パレット2A,2B内の制御回路16において、端子T1→スイッチSWa→駆動モータ11→スイッチSWb→端子T2の順に電流が流れ、駆動モータ11が正転する。つまり、パレット2A,2Bは左方向に走行する。なお、以下の説明における前および後ろは、パレット2の走行方向Aに対するものである。
【0047】
図6(B)に示すように、パレット2Aがストッパ6に近接した状態では、前のセンサ13Aの検知エリア内にストッパ6があるので、図5の動作一覧表Tに示すように、パレット2AのスイッチSWaだけがオフとなる。したがって、図7(C)に示すように、パレット2Aの制御回路16による駆動モータ11への給電を停止し、駆動モータ11の回転が停止する。つまり、パレット2Aが停止する。
【0048】
このとき、パレット2Aの慣性によって、駆動モータ11への給電が停止した後にパレット2Aが前進することがあったとしても、ストッパ6に当接することによりパレット2Aの動きを確実に止めることができる。なお、センサ13A,13Bの検知エリアを調整して、駆動モータ11への給電を止めた後のパレット2の慣性による前進によって、パレット2が前方の障害物に衝突しない程度にすることが好ましい。
【0049】
なお、図7(D)に示すように、パレット2B内においてはスイッチSWa,SWbの状態が変わらないので、制御回路16は制御モータ11への給電を継続して、パレット2Bを走行し続ける。
【0050】
図6(C)に示すように、パレット2Bが前方のパレット2Aに近接した状態では、パレット2Aのセンサ13A,13Bが共にオフとなり、図7(E)に示すように、パレット2Aの制御回路16による駆動モータ11への給電が停止し続けて、パレット2Aが停止し続ける。
【0051】
一方、パレット2Bの前のセンサ13Aの検知エリア内にパレット2Aがあるので、図5の動作一覧表Tに示すように、パレット2BのスイッチSWaがオフとなる。したがって、図7(F)に示すように、パレット2Aの制御回路16による駆動モータ11への給電を停止し、駆動モータ11の回転が停止する。つまり、パレット2Bが停止する。
【0052】
このようにして、パレット2A,2Bはトロリ電源R1,R2に供給される電力を制御回路16を介して駆動モータ11に供給することにより、必要に応じて走行してストックライン上に待機する。つまり、ストックライン4上にパレット2をストックすることができる。また、ストックライン4の下流端部にストッパ6を設けることにより、ストックライン4上にあるパレット2がストックライン4を超えて更に下流側に移動することを阻止することができる。
【0053】
次に、図6(D)に示すように、ストッパ6がセンサ13Aの検知エリア外に移動すると、図7(G)に示すように、パレット2AのスイッチSWaが再びオンとなり、端子T1→スイッチSWa→駆動モータ11→ダイオードDSb→端子T2の順に電流が流れ、駆動モータ11が正転する。このとき、パレット2Aの後方のセンサ13Bはオフのままであっても、駆動モータ11から端子T2の方向を順方向とするようにダイオードDSbを並列接続しているので、駆動モータ11への給電を行うことができ、パレット2Aは走行する。
【0054】
一方、パレット2Bのセンサ13A,13Bはオフの状態のままであるから、図7(H)に示すように、制御回路16が駆動モータ11に給電することはなく、パレット2Bは停止し続ける。
【0055】
図6(E)に示すように、パレット2Aが前進し、パレット2Bの前方のセンサ13Aの検知エリア外に移動すると、パレット2Aの前後のセンサ13A,13Bが何れもオンとなり、図7(I)に示すように、パレット2Aの制御回路16において、端子T1→スイッチSWa→駆動モータ11→スイッチSWb→端子T2の順に電流が流れ、駆動モータ11が正転し、パレット2Aは走行しつづける。
【0056】
一方、パレット2Bの前方のセンサ13Aがオンとなるので、図7(J)に示すように、パレット2Bの制御回路16において、端子T1→スイッチSWa→駆動モータ11→ダイオードDSb→端子T2の順に電流が流れ、駆動モータ11が正転する。つまり、パレット2Bも走行を開始する。
【0057】
上述したように、パレット2に設けた制御回路16は前方の障害物(ストッパ6,7またはパレット2)が存在しない状態で障害物がない所定の走行方向(図5〜図7の例では図示左の走行方向A)に走行する。つまり、ストックライン4上のパレット2はワーク搬出部3bに向かって適宜自走してストックライン4上にストックすることができるように構成している。また、所定の走行方向の前方に障害物がある場合には駆動モータ11への給電を停止して、パレット2が停止するので、無駄な動力を浪費することがなく、無理な力がかかることに伴う騒音や摩耗などによる劣化が発生することがない。
【0058】
また、前記パレット2の走行を制御する制御回路16は、ダイオードDSa、DSbをスイッチSWa,SWbに並列に接続するだけの極めて簡素な回路であるから、その製造コスト必要最小限に抑えることができる。また、端子T1,T2に供給する電力を極性を反転させるだけで、パレット2の所定の走行方向A,Bを反転させることができるので、パレット2を回転させることなく、ストックライン4A,4Bの走行方向A,Bに対応する方向にパレット2が走行する。
【0059】
図8は本発明の第2実施形態にかかるストック装置20の構成を示す図である。図8に示すストック装置20が図1〜図7に示すストック装置1と異なる点は、パレット2のタイヤを導電性の車輪21として、パレット2に対する電源とガイドを兼ねる電源レールR1’,R2’に載せた状態で電源レールR1’,R2’上を走行するように構成し、この車輪21を電源レールR1’,R2’に接触する前記端子T1,T2とした点である。
【0060】
上述のように構成することにより、電源レールを別途設ける必要がなく、ストック装置20のストックライン4およびパレット2の構成をシンプルにすることができる。
【0061】
図9は本発明の第3実施形態にかかる制御回路30の構成を示す図である。図9に示す制御回路30は、前記2個の端子T1,T2の間に、パレット走行方向Aの前方のセンサ13Aに備えるスイッチSWaと第1のダイオードDSaと第1のリレーコイルRaとを直列に接続する第1のリレー駆動回路RCa、パレット走行方向Aの後方のセンサ13bに備えるスイッチSWbと前記第1のダイオードDSaとは逆極性である第2のダイオードDSbと第2のリレーコイルRbとを直列に接続する第2のリレー駆動回路RCb、および、前記第1と第2のリレーコイルRa,Rbへの給電によって導通する第1と第2のリレー接点Ta,Tbの並列接続回路TCを介して駆動モータ11を接続する駆動モータ給電回路MCを並列に備える。
【0062】
前記制御回路30を用いることにより、駆動モータ11に対する給電をリレー接点Ta,Tbによって行うことができるので、駆動モータ11の容量を引き上げることができる。つまり、各パレット2を用いてより大きなワークWを搬送することができる。なお、前記制御回路30も端子T1,T2に接続する電源の極性を変えるだけで、パレット2の走行方向A,Bを反転することができる。
【0063】
図10は本発明の第4実施形態にかかる制御回路40の構成を示す図である。図10に示す制御回路40は、前記2個の端子T1,T2間に、パレット走行方向Aの前方のセンサ13aに備えるスイッチSWaと第1のダイオードDSaの直列接続からなる前センサ回路FSに、パレット走行方向Aの後方のセンサ13bに備えるスイッチSWbと前記第1のダイオードDSaとは逆極性である第2のダイオードDSbの直列接続からなる後センサ回路RSを並列に接続させた状態でリレーコイルRに給電するリレー駆動回路RC、および、前記リレーコイルRへの給電によって導通するリレー接点Tを介して駆動モータ11を接続する駆動モータ給電回路MC’を並列に備える。
【0064】
前記制御回路40を用いることにより、駆動モータ11に対する給電をリレー接点Tによって行うことができるので、駆動モータ11の容量を引き上げることができるので、より大きなワークWを搬送することができる。また、図9に示す制御回路30に比べてリレーの数を少なくすることができるので、その製造コストを引き下げることができる。なお、前記制御回路40も端子T1,T2に接続する電源の極性を変えるだけで、パレット2の走行方向A,Bを反転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1実施形態に係るストック装置の全体構成を示す図である。
【図2】前記ストック装置のパレットの構成を示す側面図である。
【図3】前記ストック装置の搬送方向の側面から見た側面図である。
【図4】制御回路の構成を示す図である。
【図5】前記ストック装置の動作を説明する動作一覧表を示す図である。
【図6】前記ストック装置の動作を説明するための各状態を示す図である。
【図7】前記ストック装置の制御回路を流れる電流の流れを示す図である。
【図8】第2実施形態のストック装置の構成を示す側面図である。
【図9】第3実施形態の電源回路の構成を示す図である。
【図10】第4実施形態の電源回路の構成を示す図である。
【図11】従来のストック装置の構成を示す図である。
【図12】前記ストック装置のパレットの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1,20 ストック装置
2 パレット
3 コンベア本体
3a ワーク搬入部
3b ワーク搬出部
4 ストックライン
5 移載装置
6 ストッパ
11 駆動モータ
13A,13B センサ
16 駆動回路
A,B 走行方向
DSa,DSb ダイオード
SWa,SWb スイッチ
R1〜R3 電源レール
T1〜T3 端子
W ワーク
FS 前センサ回路
RS 後センサ回路
MC モータ給電回路
R,Ra,Rb リレーコイル
RC,RCa,RCb リレー駆動回路
T,Ta,Tb リレー接点
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンなどの施工対象に組み付ける複数のワークをストックし、必要とするときに搬出するストック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来のストック装置90の構成を示す図である。従来のストック装置90はワークWを搭載する複数のパレット91と、これらのパレット91をワーク搬入部92aとワーク搬出部92bの間で往復するように走行させるコンベア本体92とを備える。コンベア本体92は、駆動モータ93と、搬送方向の前後両端に設け一方が駆動モータ93の動力によって回動するスプロケット94と、これらのスプロケット94に巻回される無端状のチェーン95とを有し、チェーン95の移動に伴って各パレット91を所定の走行方向に搬送するものである。また、96はパレット91をワーク搬入および搬出のために所定の場所において停止させるためのストッパである。
【0003】
図12に示すように、前記パレット91はそれぞれ、前記チェーン95に係合するスプロケット97と、このスプロケット97の回転を所定の強さで阻止するクラッチ機構98を有する。つまり、パレット91が自在に走行可能である状態では、前記スプロケット97の回転が止まることにより、チェーン95の移動に伴ってパレット91が走行する。一方、パレット91の前に他のパレット91やストッパ96が存在する場合には、パレット91の走行が阻止されて前記クラッチ機構98によってスプロケット97が空転する。
【0004】
上記構成のストック装置90において、前記駆動モータ93はすべてのパレット91を走行させるものであるため、搭載するパレット91の数やこれらに載せるワークWの重さなどによって、十分な駆動力を供給できる容量を有するものである。また、停止するパレット91に対してもクラッチ機構98に抵抗してスプロケット97を空転させることが可能である程度の強さでチェーン95を牽引することができるように、駆動モータ93の容量を大きくする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このために、駆動モータ93の容量が大きくなり、装置が大きくなってしまうという問題がある。また、ストックするワークWの数を簡単に増やすことができないために、組み付けに手間(工数)がかかり、装置が高価になるという問題もある。さらに、パレット91の走行中には、チェーン95とそのガイドなどがすれる音、ストック装置90の稼働中にパレット同士がぶつかる大きな音が騒音として発生するという問題もあった。加えて、チェーン95のメンテナンスを行わなければ、チェーン95が伸びてパレット91を搬送できなくなるおそれがあった。
【0006】
本発明は前記問題を考慮に入れてなされたものであり、大きな駆動モータを用いることなく、必要なパレットのみが所定方向に走行してワークを搬送できると共に、ストックできるワークの数などを容易に増減できるストック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、ワークを搭載する複数のパレットと、これらのパレットをワーク搬入部とワーク搬出部の間で走行可能に支持するコンベア本体とからなり、前記パレットは、所定の走行方向に走行するための動力を供給する駆動モータと、パレットの前後にそれぞれ配置されて隣接する障害物の存在を検知するセンサと、これらのセンサに接続されて障害物を検知しない所定の走行方向にパレットを走行するように駆動モータに電力を供給する制御回路とを備えることを特徴とするストック装置を提供する(請求項1)。
【0008】
前記構成によれば、パレットの前後に設けたセンサが前後に隣接するパレットまたは障害物が無いことを検知し、制御回路がセンサによって隣接するパレットなどの障害物を検知しない所定の走行方向に走行させるように駆動モータに電力を供給するので、コンベア本体上のパレットを所定の走行方向に走行させて互いに隣接した状態でストックすることができる。各パレットがそれぞれに設けた駆動モータによって自走するので、各駆動モータは一つのパレットに搭載するワークを搬送できる程度の動力を供給する。
【0009】
前記コンベア本体は、ワークを搭載したパレットをワーク搬入部からワーク搬出部に向かう第1の走行方向に走行させてストックする第1ストックラインと、ワークを搬出した後のパレットをワーク搬出部からワーク搬入部に向かう第2の走行方向に走行させてストックする第2ストックラインと、第2ストックライン上を走行したパレットを第1ストックラインの上流端のワーク搬入部に移動させて待機しワークが搭載された後に第1ストックライン上に移動させる第1移載装置と、第1ストックラインの下流端のワーク搬出部に待機しパレットに搭載されたワークが搬出された後に第2ストックラインの上流端に移動して前記パレットを第2ストックライン上に移動させる第2移載装置とを備えることが好ましい(請求項2)。
【0010】
前記構成によれば、第1移載装置がワーク搬入部に移動させたパレットにワークが搭載されると、第1移載装置がワークが搭載されたパレットを第1ストックライン上に移動させる。第1ストックラインに移動したパレットはワーク搬出部の方向に自走し、前方のパレットに隣接した状態で第1ストックライン上にストックされる。次に、第1ストックラインの下流端部のワーク搬出部には第2移載装置が待機しワークが下流側に搬出された後に、第2移載装置がパレットを第2ストックライン上に走行させるので、パレットは第2ストックライン上をワーク搬入部の方向に自走し、前方のパレットに隣接した状態で第2ストックライン上にストックされる。
【0011】
つまり、ワーク搬入部からワーク搬出部までワークを搬送したパレットを第2ストックラインを用いて回収することにより、パレットをワーク搬入部とワーク搬出部の間で循環させることができる。第1ストックラインは第2ストックラインの上部に重ねて配置することが好ましく、この場合には前記移載装置はパレットを上下方向に移動する昇降装置である。
【0012】
前記ストックラインは、その下流端部に配置されて、前記移載装置がストックラインの下流端部から離れた状態で前記センサの検知エリア内に位置し、前記移載装置が下流端部にある状態で前記センサの検知エリア外に移動する進退自在のストッパを備えることが好ましい(請求項3)。
【0013】
前記構成によれば、ストッパがセンサの検知エリア内に位置することによりストックライン上のパレットがストックラインから落下することを防止し、ストッパがセンサの検知エリア外に移動することによりパレットが自走してストックラインの下流端部に位置する移載装置に移動することができる。
【0014】
前記コンベア本体は、前記パレットの走行軌道に沿って配置された少なくとも2本の電源レールを備え、前記パレットは、前記制御回路に接続され前記電源レールに接触する少なくとも2個の端子を備え、前記制御回路は端子を介して供給される電力の極性によってその走行方向を定めるものであることが好ましい(請求項4)。
【0015】
前記構成によれば、各端子を介して電力を制御回路に供給し、制御回路を介して制御された電力を駆動モータに供給する。つまり、バッテリのような重量や寿命のある電源を動力源として用いることなく、すべてのパレットは一つの動力源から給電することができる。電源レールに供給する電力の極性によって走行方向を定めるので、パレットを回転することなく、その走行方向を切り換えることができる。
【0016】
なお、前記電源レールおよび端子は、少なくとも正極および負極の一対の電源レールおよび端子を必要としているが、このほかにも漏電防止のためのアース電源レールおよび端子を設けることが好ましい。また、電源レールはトロリ電源線とするのが好ましいが、パレットを走行させるための少なくとも一対の車輪を電源レール上を走行させるように構成して、車輪を端子として兼用してもよい。
【0017】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、前記制御回路は、前記駆動モータの2本の電源線を前記2個の端子にそれぞれ接続すると共に駆動モータから端子の方向を順方向とするダイオードと、これらのダイオードにそれぞれ並列に接続された前記スイッチとからなることが好ましい(請求項5)。
【0018】
前記構成によれば、センサがその検知エリア内にパレットおよび障害物が存在しない状態を検出して、このセンサに備えたスイッチが導通状態となり、走行方向前方のスイッチが導通状態になった状態では走行方向後方のセンサに備えたスイッチが開放状態であったとしてもこのスイッチに並列に接続されたダイオードが接続されているので、パレットが前方に向かって走行するように駆動モータに電力を供給することができる。スイッチが何らかの導通不良を起こした場合には、パレットが動作しなくなることがあっても危険な過電流が流れることがない。加えて電源の極性を逆にすることによりパレットの走行方向を逆にすることができる。
【0019】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、前記制御回路は、前記2個の端子間に、パレット走行方向前方のセンサに備えるスイッチと第1のダイオードと第1のリレーコイルとを直列に接続する第1のリレー駆動回路、パレット走行方向後方のセンサに備えるスイッチと前記第1のダイオードとは逆極性である第2のダイオードと第2のリレーコイルとを直列に接続する第2のリレー駆動回路、および、前記第1と第2のリレーコイルへの給電によって導通する第1と第2のリレー接点の並列接続回路を介して駆動モータを接続する駆動モータ給電回路を並列に備えることが好ましい(請求項6)。
【0020】
前記構成によれば、センサに設けた走行方向前方のスイッチが導通状態になると第1のダイオードを介して第1のリレーコイルに電流が流れ、第1のリレー接点が導通状態となるので、第1のリレー接点を介して駆動モータに電流が流れる。一方、各端子への給電の極性が逆極性であるときは、他方のスイッチが導通状態になると第2のリレーコイルに電流が流れ、第2のリレー接点が導通状態となるので、第2のリレー接点を介して逆方向の電流が駆動モータに流れる。つまり、走行方向前方のスイッチが導通状態になるだけで走行方向後方のスイッチの状態にかかわらずパレットが走行する。また、駆動モータに流れる電流はリレー接点を介して供給されるので、駆動モータが大電流を必要といている場合にも駆動モータに十分な電流を流すことができる。
【0021】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、前記制御回路は、前記2個の端子間に、パレット走行方向前方のセンサに備えるスイッチと第1のダイオードの直列接続からなる前センサ回路に、パレット走行方向後方のセンサに備えるスイッチと前記第1のダイオードとは逆極性である第2のダイオードの直列接続からなる後センサ回路を並列に接続させた状態でリレーコイルに給電するリレー駆動回路、および、前記リレーコイルへの給電によって導通するリレー接点を介して駆動モータを接続する駆動モータ給電回路を並列に備えることが好ましい(請求項7)。
【0022】
前記構成によれば、センサに設けた走行方向前方のスイッチが導通状態になると第1のダイオードを介してリレーコイルに電流が流れ、リレー接点が導通状態となるので、このリレー接点を介して駆動モータに電流が流れる。一方、各端子への給電の極性が逆極性であるときは、他方のスイッチが導通状態になるとリレーコイルに電流が流れ、リレー接点が導通状態となるので、リレー接点を介して逆方向の電流が駆動モータに流れる。つまり、走行方向前方のスイッチが導通状態になるだけで走行方向後方のスイッチの状態にかかわらずパレットが走行する。また、駆動モータに流れる電流はリレー接点を介して供給されるので、駆動モータが大電流を必要といている場合にも駆動モータに十分な電流を流すことができる。
【発明の効果】
【0023】
前述したように、本発明によれば、コンベア本体上のパレットがそれぞれに搭載する駆動モータによって自走するので、従来のチェーンコンベアを用いる場合のように、チェーンの移動に伴う騒音が発生することも、チェーンが伸びるという問題が発生することもなく、チェーンのメンテナンスを行う必要もない。また、パレットの数を容易に増減してストックできるワークの数を調整することができる。さらに、パレットの走行は前後にパレットまたは障害物が存在するかどうかによって制御されるので、パレットが激しく衝突することに伴う騒音を防止できる。加えて、パレットが隣接した状態では駆動モータに電力が供給されないので、無駄なエネルギーの消耗が生じることもない。
【0024】
前記コンベア本体が往復のストックラインとその両端に位置する移載装置を備えるので、パレットの流れを円滑にすることができる。また、ストックラインの下流端部に進退自在のストッパを設けることにより、パレットがストックラインからパレットが落下することを防止しながら、ストックラインから下流端部に位置する移載装置まで走行することができる。
【0025】
コンベア本体が電源レールを備えることにより、パレットはバッテリのような電源を搭載することなく自走することができる。また、パレットを回転させることなく、パレットの走行方向を切り換えてワーク搬入部とワーク搬出部の間を往復させることができる。
【0026】
前記センサが障害物を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、制御回路がこのスイッチとダイオードの直列接続によって給電されるリレーを介して駆動モータに電力を供給するように構成することにより、前記スイッチやダイオードに流すことができない大電流を駆動モータに供給することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1〜図4は本発明の第1実施形態に係るストック装置1の構成を示す図である。図1に示すように、本発明のストック装置1はワークWとして例えばカムまたはクランクのような軸物を搭載する複数のパレット2A,2B…と、これらのパレット2A,2B…をワーク搬入部3aとワーク搬出部3bの間で走行可能に支持するコンベア本体3とからなる。なお、以下の説明において、各パレット2A,2B…を区別する必要がない場合には、パレット2という。また、パレット2のワーク搭載部におけるアタッチメントを交換可能とすることにより、ブロックやヘッドなどの箱物をワークWとして搬送し、ストックしてもよいことはいうまでもない。
【0028】
前記コンベア本体3は、ワークWを搭載したパレット2Bをワーク搬入部3aからワーク搬出部3bに向かう第1の走行方向Aに走行させてストックする第1ストックライン4Aと、ワークWを搬出した後のパレット2Dをワーク搬出部3bからワーク搬入部3aに向かう第2の走行方向Bに走行させてストックする第2ストックライン4Bと、第2ストックライン4B上を走行したパレット2Aを第1ストックライン4Aの上流端のワーク搬入部3aに移動させて待機しワークWが搭載された後に第1ストックライン4A上に移動させる第1移載装置5Aと、第1ストックライン4Aの下流端のワーク搬出部3bに待機しパレット2Cに搭載されたワークWが搬出された後に第2ストックライン4Bの上流端に移動して前記パレット2Cを第2ストックライン上に移動させる第2移載装置5Bとを備える。
【0029】
なお、本実施形態では第1ストックライン4Aを第2ストックライン4Bの真上に配置している。従って、前記第1移載装置5Aと第2移載装置5Bはそれぞれ昇降装置である。本実施形態のように往復のストックライン5を縦方向に重ねて配置することにより、工場内の占有面積を小さくして省スペース化を図ることができる。また、以下の説明において、区別が不要である場合には、第1ストックライン4Aと第2ストックライン4Bを単にストックライン4といい、第1移載装置5Aと第2移載装置5Bを単に移載装置(昇降装置)5という。
【0030】
前記ストックライン4および移載装置5には、図3を用いて後述するように、パレット2の走行軌道に沿って配置された3本の電源レールからなるトロリ電源R1〜R3を備える。また、2本のトロリ電源R1,R2をそれぞれ正極,負極の電源線とする場合にはパレット2を走行方向Aの方向に走行させ、トロリ電源R1,R2をそれぞれ負極,正極の電源線とする場合にはパレット2を走行方向Bの方向に走行させることができる。加えて、本例では1本のトロリ電源R3をアースとして用いて万一漏電が発生したときの感電防止を図っている。さらに、移載装置5は移動に伴ってトロリ電源R1,R2の極性を反転して供給するように構成しており、これによってパレット2の走行方向A,Bを反転可能としている。
【0031】
前記ストックライン4A,4Bは、その下流端部にそれぞれ進退自在のストッパ6A,6Bを備える。同様に、前記移載装置5のストックライン4と反対側の端部にもストッパ7A,7Bを備える。
【0032】
図2〜4は前記パレット2の構成を示す。図2,3に示すように、パレット2は、そのフレーム10に、回転力を出力する駆動モータ11と、この駆動モータ11によって供給される回転力を用いてパレット2を移動可能に支持する4輪のタイヤ12と、パレット2の前後のフレーム10にそれぞれ配置されて隣接するパレット2などの障害物の存在を検知するセンサ13A,13Bと、ワークWを支持するワーク支持部14とを備える。
【0033】
図3に示すように、前記パレット2は前記トロリ電源R1〜R3に接触すると共にトロリ電源R1〜R3から外れないようにトロリ電源R1〜R2を陥入可能に構成された略コ字状の凹部を形成してなる端子T1〜T3を備える。また、トロリ電源R3(つまりアース)に接触する端子T3はフレーム10に接続されている。一方、トロリ電源R1,R2に接触する端子T1,T2は、図4に示すように制御回路16に接続されている。
【0034】
図4に示すスイッチSWa,SWbは、前記センサ13A,13B内に備えるものであり、その検知エリア内にパレット2などの障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチである。本実施形態の制御回路16は、前記駆動モータ11の2本の電源線11a,11bを前記端子T1,T2にそれぞれ接続すると共に駆動モータ11から端子T1,T2の方向を順方向とするダイオードDSa,DSbと、これらのダイオードDSa,DSbにそれぞれ並列に接続された前記スイッチSWa,SWbとからなる。前記構成の制御回路16は、トロリ電源R1,R2から電力を取り込むと共に、センサ13A,13Bによって障害物を検知しない所定の走行方向(第1ストックライン4A上では走行方向A、第2ストックライン4B上では走行方向B)に、パレット2を走行させるための動力を駆動モータ11に供給するように構成する。
【0035】
前記第1移載装置5Aは、前記第2ストックライン4Bの下流端部に位置する状態では、トロリ電源R1,R2にそれぞれ負極,正極の電力を供給し、パレット2を走行方向Bに走行させてストッパ7Aに近接または当接させた状態で支持し、第1ストックライン4Aの上流端部のワーク搬入部3aに移動することにより、パレット2をワーク搬入部3aに移動させ、ワークWが搭載されたことを図外のセンサまたは入力スイッチにより検知すると、前記トロリ電源R1,R2にそれぞれ正極、負極の電源を接続することにより、パレット2を第1ストックライン4A上に移動させるように構成している。その後、第1移載装置5Aはパレット2を移動させた後に再び前記第2ストックライン4Bの下流端部に移動して、次のパレット2をワーク搬入部3aまで搬送するように構成している。
【0036】
同様に、前記第2移載装置5Bは、前記第1ストックライン4Aの下流端部において待機している状態では、トロリ電源R1,R2にそれぞれ正極,負極の電力を供給し、パレット2を走行方向Aに走行させることにより、パレット2をワーク搬出部3bに移動させ、ストッパ7Bに近接または当接させた状態で支持するように構成している。また、第2移載装置5Bは、パレット2からワークWが搬出されたことを図外のセンサまたは入力スイッチにより検知すると、第2ストックライン4Bの上流端部に移動し、前記トロリ電源R1,R2にそれぞれ負極、正極の電源を接続することによりパレット2を走行方向Bに走行させて、第2ストックライン4上に移動させるように構成している。その後、第2移動装置5Bはパレット2を移動させた後に再び前記第1ストックライン4Aの下流端部に移動して待機するように構成している。
【0037】
前記ストッパ6A,6Bは、前記移動装置5B,5Aがストックライン4A,4Bの下流端部から離れた状態で前記センサ13A,13Bの検知エリア内に位置し、前記移動装置5B,5Aがストックライン4A,4Bの下流端部にある状態で前記センサ13A,13Bの検知エリア外に移動するように構成している。つまり、ストッパ6A,6Bが移動装置5B,5Aの位置に合わせて進退移動することにより、移載装置5A、5Bにそれぞれ一つのパレット2だけが搭載され、他のパレット2をストックライン4上にストックさせることができる。
【0038】
前記ストッパ7A,7Bはパレット2が移載装置5A,5Bから落下することを防止できるように形成されたパレット2の高さより高い壁面板であるが、前記センサ13A,13Bの検知エリア内に位置することにより、ストッパ7A,7Bが障害物として検知されてパレット2の衝突を防止することができるように構成している。
【0039】
前記フレーム10はワークWを安定して支持可能である程度の幅と長さを有する略矩形の板状体であり、走行方向A,Bの前後に前記センサ13A,13B取り付け用の壁面10a,10bを形成し、走行方向A,Bに対して側面には前記タイヤ12を支持するための壁面10c,10dを形成する。
【0040】
前記駆動モータ11はトルクリミッタを備えるギヤモータであり、これによってパレット2の走行速度や駆動トルクを容易に調整することが可能である。
【0041】
前記タイヤ12は壁面10c,10d間にできるだけ離して配置され、左右のタイヤが駆動軸12sによって連結されている。また、駆動モータ11とタイヤ12は駆動モータ11の回転軸に設けたプーリ11aと、前記駆動軸12sに設けたプーリ12aにベルト15を巻回することによって連結される。つまり、4つのタイヤ12が同じ方向に同じ速度で回転できるようにしてより安定した走行を実現できるように構成している。なお、タイヤ12の数や駆動輪の数など任意に設計変更可能であることはいうまでもない。
【0042】
前記センサ13A,13Bは例えば光電管などの非接触センサであることが好ましい。また、センサ13A,13Bの検知エリア内に隣接するパレット2またはストッパ6,7を検知した状態で導通状態(ON)にするスイッチSWa,SWbを備えている。したがって、センサ13A,13Bに接続する電線に断線などが発生すると、パレット2が停止して動作しなくなることがあっても暴走することがないように構成している。また、前記スイッチSWa,SWbはノーマルクローズの接点である。したがって、パレット2は互いに隣接するようにストックされた状態ではスイッチSWa,SWbを導通状態にするための電流を不要として省エネルギーである。
【0043】
前記ワーク支持部14はフレーム10の上面の適所に配置されて軸物のワークWを載置する略V字状の凹部14aを備える左右一対の板体である。このように構成された凹部14aを設けたワーク支持部14は、あらゆる形の軸物のワークWをその長手方向が走行方向A,Bに対して横方向となるように配置した状態で安定して支持することができる。
【0044】
図5〜7は前記制御回路16およびパレット2の動作を5つの状態A〜状態Eに分けて説明する図である。より詳細には、図5は5つの状態A〜状態Eにおける前方のパレット2AにおけるスイッチSWa,SWbと駆動モータ11の駆動状態を一覧にした動作一覧表Tbl、図6(A)〜(E)は状態A〜状態Eにおけるパレット2A,2B,2Cの状態、図7(A)〜(J)は状態A〜状態Eにおけるパレット2A,2B内の制御回路16内の状態を示す図である。
【0045】
なお、以下の説明において、パレット2A,2B…が第1ストックライン4A上を走行する状態を説明する。つまり、端子T1が正極、端子T2が負極の電源レールR1,R2に接触することにより、基本的に端子T1→スイッチSWa→駆動モータ11→スイッチSWbまたはダイオードDsb→端子T2の順に電流が流れるときに駆動モータ11が正転する。一方、パレット2が第2ストックライン4B上を走行するときには、端子T1,T2に供給される電源の極性が反転するので、基本的に端子T2→スイッチSWb→駆動モータ11→スイッチSWaまたはダイオードDsa→端子T1の順に電流が流れ駆動モータ11が逆転するが、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図6(A)に示すように、パレット2A,2Bの前後に隣接するパレット2やストッパ6,7が無い場合には、図5の動作一覧表Tに示すように、パレット2A,2B共に前後のセンサ13A,13BのスイッチSWa,SWbがオンとなる。したがって、図7(A),7(B)に示すように、パレット2A,2B内の制御回路16において、端子T1→スイッチSWa→駆動モータ11→スイッチSWb→端子T2の順に電流が流れ、駆動モータ11が正転する。つまり、パレット2A,2Bは左方向に走行する。なお、以下の説明における前および後ろは、パレット2の走行方向Aに対するものである。
【0047】
図6(B)に示すように、パレット2Aがストッパ6に近接した状態では、前のセンサ13Aの検知エリア内にストッパ6があるので、図5の動作一覧表Tに示すように、パレット2AのスイッチSWaだけがオフとなる。したがって、図7(C)に示すように、パレット2Aの制御回路16による駆動モータ11への給電を停止し、駆動モータ11の回転が停止する。つまり、パレット2Aが停止する。
【0048】
このとき、パレット2Aの慣性によって、駆動モータ11への給電が停止した後にパレット2Aが前進することがあったとしても、ストッパ6に当接することによりパレット2Aの動きを確実に止めることができる。なお、センサ13A,13Bの検知エリアを調整して、駆動モータ11への給電を止めた後のパレット2の慣性による前進によって、パレット2が前方の障害物に衝突しない程度にすることが好ましい。
【0049】
なお、図7(D)に示すように、パレット2B内においてはスイッチSWa,SWbの状態が変わらないので、制御回路16は制御モータ11への給電を継続して、パレット2Bを走行し続ける。
【0050】
図6(C)に示すように、パレット2Bが前方のパレット2Aに近接した状態では、パレット2Aのセンサ13A,13Bが共にオフとなり、図7(E)に示すように、パレット2Aの制御回路16による駆動モータ11への給電が停止し続けて、パレット2Aが停止し続ける。
【0051】
一方、パレット2Bの前のセンサ13Aの検知エリア内にパレット2Aがあるので、図5の動作一覧表Tに示すように、パレット2BのスイッチSWaがオフとなる。したがって、図7(F)に示すように、パレット2Aの制御回路16による駆動モータ11への給電を停止し、駆動モータ11の回転が停止する。つまり、パレット2Bが停止する。
【0052】
このようにして、パレット2A,2Bはトロリ電源R1,R2に供給される電力を制御回路16を介して駆動モータ11に供給することにより、必要に応じて走行してストックライン上に待機する。つまり、ストックライン4上にパレット2をストックすることができる。また、ストックライン4の下流端部にストッパ6を設けることにより、ストックライン4上にあるパレット2がストックライン4を超えて更に下流側に移動することを阻止することができる。
【0053】
次に、図6(D)に示すように、ストッパ6がセンサ13Aの検知エリア外に移動すると、図7(G)に示すように、パレット2AのスイッチSWaが再びオンとなり、端子T1→スイッチSWa→駆動モータ11→ダイオードDSb→端子T2の順に電流が流れ、駆動モータ11が正転する。このとき、パレット2Aの後方のセンサ13Bはオフのままであっても、駆動モータ11から端子T2の方向を順方向とするようにダイオードDSbを並列接続しているので、駆動モータ11への給電を行うことができ、パレット2Aは走行する。
【0054】
一方、パレット2Bのセンサ13A,13Bはオフの状態のままであるから、図7(H)に示すように、制御回路16が駆動モータ11に給電することはなく、パレット2Bは停止し続ける。
【0055】
図6(E)に示すように、パレット2Aが前進し、パレット2Bの前方のセンサ13Aの検知エリア外に移動すると、パレット2Aの前後のセンサ13A,13Bが何れもオンとなり、図7(I)に示すように、パレット2Aの制御回路16において、端子T1→スイッチSWa→駆動モータ11→スイッチSWb→端子T2の順に電流が流れ、駆動モータ11が正転し、パレット2Aは走行しつづける。
【0056】
一方、パレット2Bの前方のセンサ13Aがオンとなるので、図7(J)に示すように、パレット2Bの制御回路16において、端子T1→スイッチSWa→駆動モータ11→ダイオードDSb→端子T2の順に電流が流れ、駆動モータ11が正転する。つまり、パレット2Bも走行を開始する。
【0057】
上述したように、パレット2に設けた制御回路16は前方の障害物(ストッパ6,7またはパレット2)が存在しない状態で障害物がない所定の走行方向(図5〜図7の例では図示左の走行方向A)に走行する。つまり、ストックライン4上のパレット2はワーク搬出部3bに向かって適宜自走してストックライン4上にストックすることができるように構成している。また、所定の走行方向の前方に障害物がある場合には駆動モータ11への給電を停止して、パレット2が停止するので、無駄な動力を浪費することがなく、無理な力がかかることに伴う騒音や摩耗などによる劣化が発生することがない。
【0058】
また、前記パレット2の走行を制御する制御回路16は、ダイオードDSa、DSbをスイッチSWa,SWbに並列に接続するだけの極めて簡素な回路であるから、その製造コスト必要最小限に抑えることができる。また、端子T1,T2に供給する電力を極性を反転させるだけで、パレット2の所定の走行方向A,Bを反転させることができるので、パレット2を回転させることなく、ストックライン4A,4Bの走行方向A,Bに対応する方向にパレット2が走行する。
【0059】
図8は本発明の第2実施形態にかかるストック装置20の構成を示す図である。図8に示すストック装置20が図1〜図7に示すストック装置1と異なる点は、パレット2のタイヤを導電性の車輪21として、パレット2に対する電源とガイドを兼ねる電源レールR1’,R2’に載せた状態で電源レールR1’,R2’上を走行するように構成し、この車輪21を電源レールR1’,R2’に接触する前記端子T1,T2とした点である。
【0060】
上述のように構成することにより、電源レールを別途設ける必要がなく、ストック装置20のストックライン4およびパレット2の構成をシンプルにすることができる。
【0061】
図9は本発明の第3実施形態にかかる制御回路30の構成を示す図である。図9に示す制御回路30は、前記2個の端子T1,T2の間に、パレット走行方向Aの前方のセンサ13Aに備えるスイッチSWaと第1のダイオードDSaと第1のリレーコイルRaとを直列に接続する第1のリレー駆動回路RCa、パレット走行方向Aの後方のセンサ13bに備えるスイッチSWbと前記第1のダイオードDSaとは逆極性である第2のダイオードDSbと第2のリレーコイルRbとを直列に接続する第2のリレー駆動回路RCb、および、前記第1と第2のリレーコイルRa,Rbへの給電によって導通する第1と第2のリレー接点Ta,Tbの並列接続回路TCを介して駆動モータ11を接続する駆動モータ給電回路MCを並列に備える。
【0062】
前記制御回路30を用いることにより、駆動モータ11に対する給電をリレー接点Ta,Tbによって行うことができるので、駆動モータ11の容量を引き上げることができる。つまり、各パレット2を用いてより大きなワークWを搬送することができる。なお、前記制御回路30も端子T1,T2に接続する電源の極性を変えるだけで、パレット2の走行方向A,Bを反転することができる。
【0063】
図10は本発明の第4実施形態にかかる制御回路40の構成を示す図である。図10に示す制御回路40は、前記2個の端子T1,T2間に、パレット走行方向Aの前方のセンサ13aに備えるスイッチSWaと第1のダイオードDSaの直列接続からなる前センサ回路FSに、パレット走行方向Aの後方のセンサ13bに備えるスイッチSWbと前記第1のダイオードDSaとは逆極性である第2のダイオードDSbの直列接続からなる後センサ回路RSを並列に接続させた状態でリレーコイルRに給電するリレー駆動回路RC、および、前記リレーコイルRへの給電によって導通するリレー接点Tを介して駆動モータ11を接続する駆動モータ給電回路MC’を並列に備える。
【0064】
前記制御回路40を用いることにより、駆動モータ11に対する給電をリレー接点Tによって行うことができるので、駆動モータ11の容量を引き上げることができるので、より大きなワークWを搬送することができる。また、図9に示す制御回路30に比べてリレーの数を少なくすることができるので、その製造コストを引き下げることができる。なお、前記制御回路40も端子T1,T2に接続する電源の極性を変えるだけで、パレット2の走行方向A,Bを反転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1実施形態に係るストック装置の全体構成を示す図である。
【図2】前記ストック装置のパレットの構成を示す側面図である。
【図3】前記ストック装置の搬送方向の側面から見た側面図である。
【図4】制御回路の構成を示す図である。
【図5】前記ストック装置の動作を説明する動作一覧表を示す図である。
【図6】前記ストック装置の動作を説明するための各状態を示す図である。
【図7】前記ストック装置の制御回路を流れる電流の流れを示す図である。
【図8】第2実施形態のストック装置の構成を示す側面図である。
【図9】第3実施形態の電源回路の構成を示す図である。
【図10】第4実施形態の電源回路の構成を示す図である。
【図11】従来のストック装置の構成を示す図である。
【図12】前記ストック装置のパレットの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1,20 ストック装置
2 パレット
3 コンベア本体
3a ワーク搬入部
3b ワーク搬出部
4 ストックライン
5 移載装置
6 ストッパ
11 駆動モータ
13A,13B センサ
16 駆動回路
A,B 走行方向
DSa,DSb ダイオード
SWa,SWb スイッチ
R1〜R3 電源レール
T1〜T3 端子
W ワーク
FS 前センサ回路
RS 後センサ回路
MC モータ給電回路
R,Ra,Rb リレーコイル
RC,RCa,RCb リレー駆動回路
T,Ta,Tb リレー接点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搭載する複数のパレットと、これらのパレットをワーク搬入部とワーク搬出部の間で走行可能に支持するコンベア本体とからなり、
前記パレットは、所定の走行方向に走行するための動力を供給する駆動モータと、パレットの前後にそれぞれ配置されて隣接する障害物の存在を検知するセンサと、これらのセンサに接続されて障害物を検知しない所定の走行方向にパレットを走行するように駆動モータに電力を供給する制御回路とを備えることを特徴とするストック装置。
【請求項2】
前記コンベア本体は、ワークを搭載したパレットをワーク搬入部からワーク搬出部に向かう第1の走行方向に走行させてストックする第1ストックラインと、ワークを搬出した後のパレットをワーク搬出部からワーク搬入部に向かう第2の走行方向に走行させてストックする第2ストックラインと、第2ストックライン上を走行したパレットを第1ストックラインの上流端のワーク搬入部に移動させて待機しワークが搭載された後に第1ストックライン上に移動させる第1移載装置と、第1ストックラインの下流端のワーク搬出部に待機しパレットに搭載されたワークが搬出された後に第2ストックラインの上流端に移動して前記パレットを第2ストックライン上に移動させる第2移載装置とを備える請求項1に記載のストック装置。
【請求項3】
前記ストックラインは、その下流端部に配置されて、前記移載装置がストックラインの下流端部から離れた状態で前記センサの検知エリア内に位置し、前記移載装置が下流端部にある状態で前記センサの検知エリア外に移動する進退自在のストッパを備える請求項2に記載のストック装置。
【請求項4】
前記コンベア本体は、前記パレットの走行軌道に沿って配置された少なくとも2本の電源レールを備え、
前記パレットは、前記制御回路に接続され前記電源レールに接触する少なくとも2個の端子を備え、前記制御回路は端子を介して供給される電力の極性によってその走行方向を定めるものである請求項1〜3のいずれかに記載のストック装置。
【請求項5】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、
前記制御回路は、前記駆動モータの2本の電源線を前記2個の端子にそれぞれ接続すると共に駆動モータから端子の方向を順方向とするダイオードと、これらのダイオードにそれぞれ並列に接続された前記スイッチとからなる請求項4に記載のストック装置。
【請求項6】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、
前記制御回路は、前記2個の端子間に、
パレット走行方向前方のセンサに備えるスイッチと第1のダイオードと第1のリレーコイルとを直列に接続する第1のリレー駆動回路、
パレット走行方向後方のセンサに備えるスイッチと前記第1のダイオードとは逆極性である第2のダイオードと第2のリレーコイルとを直列に接続する第2のリレー駆動回路、および、
前記第1と第2のリレーコイルへの給電によって導通する第1と第2のリレー接点の並列接続回路を介して駆動モータを接続する駆動モータ給電回路を並列に備える請求項4に記載のストック装置。
【請求項7】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、
前記制御回路は、前記2個の端子間に、
パレット走行方向前方のセンサに備えるスイッチと第1のダイオードの直列接続からなる前センサ回路に、パレット走行方向後方のセンサに備えるスイッチと前記第1のダイオードとは逆極性である第2のダイオードの直列接続からなる後センサ回路を並列に接続させた状態でリレーコイルに給電するリレー駆動回路、および、
前記リレーコイルへの給電によって導通するリレー接点を介して駆動モータを接続する駆動モータ給電回路を並列に備える請求項4に記載のストック装置。
【請求項1】
ワークを搭載する複数のパレットと、これらのパレットをワーク搬入部とワーク搬出部の間で走行可能に支持するコンベア本体とからなり、
前記パレットは、所定の走行方向に走行するための動力を供給する駆動モータと、パレットの前後にそれぞれ配置されて隣接する障害物の存在を検知するセンサと、これらのセンサに接続されて障害物を検知しない所定の走行方向にパレットを走行するように駆動モータに電力を供給する制御回路とを備えることを特徴とするストック装置。
【請求項2】
前記コンベア本体は、ワークを搭載したパレットをワーク搬入部からワーク搬出部に向かう第1の走行方向に走行させてストックする第1ストックラインと、ワークを搬出した後のパレットをワーク搬出部からワーク搬入部に向かう第2の走行方向に走行させてストックする第2ストックラインと、第2ストックライン上を走行したパレットを第1ストックラインの上流端のワーク搬入部に移動させて待機しワークが搭載された後に第1ストックライン上に移動させる第1移載装置と、第1ストックラインの下流端のワーク搬出部に待機しパレットに搭載されたワークが搬出された後に第2ストックラインの上流端に移動して前記パレットを第2ストックライン上に移動させる第2移載装置とを備える請求項1に記載のストック装置。
【請求項3】
前記ストックラインは、その下流端部に配置されて、前記移載装置がストックラインの下流端部から離れた状態で前記センサの検知エリア内に位置し、前記移載装置が下流端部にある状態で前記センサの検知エリア外に移動する進退自在のストッパを備える請求項2に記載のストック装置。
【請求項4】
前記コンベア本体は、前記パレットの走行軌道に沿って配置された少なくとも2本の電源レールを備え、
前記パレットは、前記制御回路に接続され前記電源レールに接触する少なくとも2個の端子を備え、前記制御回路は端子を介して供給される電力の極性によってその走行方向を定めるものである請求項1〜3のいずれかに記載のストック装置。
【請求項5】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、
前記制御回路は、前記駆動モータの2本の電源線を前記2個の端子にそれぞれ接続すると共に駆動モータから端子の方向を順方向とするダイオードと、これらのダイオードにそれぞれ並列に接続された前記スイッチとからなる請求項4に記載のストック装置。
【請求項6】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、
前記制御回路は、前記2個の端子間に、
パレット走行方向前方のセンサに備えるスイッチと第1のダイオードと第1のリレーコイルとを直列に接続する第1のリレー駆動回路、
パレット走行方向後方のセンサに備えるスイッチと前記第1のダイオードとは逆極性である第2のダイオードと第2のリレーコイルとを直列に接続する第2のリレー駆動回路、および、
前記第1と第2のリレーコイルへの給電によって導通する第1と第2のリレー接点の並列接続回路を介して駆動モータを接続する駆動モータ給電回路を並列に備える請求項4に記載のストック装置。
【請求項7】
前記センサは、障害物の存在を検知した状態で接点を解放するスイッチを備え、
前記制御回路は、前記2個の端子間に、
パレット走行方向前方のセンサに備えるスイッチと第1のダイオードの直列接続からなる前センサ回路に、パレット走行方向後方のセンサに備えるスイッチと前記第1のダイオードとは逆極性である第2のダイオードの直列接続からなる後センサ回路を並列に接続させた状態でリレーコイルに給電するリレー駆動回路、および、
前記リレーコイルへの給電によって導通するリレー接点を介して駆動モータを接続する駆動モータ給電回路を並列に備える請求項4に記載のストック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−150205(P2008−150205A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342870(P2006−342870)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000191353)新明工業株式会社 (75)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000191353)新明工業株式会社 (75)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]