スパッタリングチャンバのためのターゲット及びプロセスキット部品
【課題】スパッタリングチャンバのためのターゲットを提供する。
【解決手段】スパッタリングチャンバは、熱伝導率が少なくとも約200W/mKで、電気抵抗率が約2〜5μΩcmのバッキングプレート141及びスパッタリングプレート137で構成されるスパッタリングターゲット136を有する。バッキングプレートは、溝を有する。スパッタリングプレート137は、平面を有する円柱状メサと、この円柱状メサを取り巻く環状の傾斜リムとを備えている。1つの変形例において、バッキングプレートは、高い熱伝導率と、低い電気抵抗率とを有する材料で構成される。別の変形例において、バッキングプレートは、単一の溝又は複数の溝をもつ背面を含む。スパッタリングチャンバ用のプロセスキットは、スパッタリングチャンバ内で基板支持体の周りに配置するための堆積リング、カバーリング及びシールドアッセンブリを備えている。
【解決手段】スパッタリングチャンバは、熱伝導率が少なくとも約200W/mKで、電気抵抗率が約2〜5μΩcmのバッキングプレート141及びスパッタリングプレート137で構成されるスパッタリングターゲット136を有する。バッキングプレートは、溝を有する。スパッタリングプレート137は、平面を有する円柱状メサと、この円柱状メサを取り巻く環状の傾斜リムとを備えている。1つの変形例において、バッキングプレートは、高い熱伝導率と、低い電気抵抗率とを有する材料で構成される。別の変形例において、バッキングプレートは、単一の溝又は複数の溝をもつ背面を含む。スパッタリングチャンバ用のプロセスキットは、スパッタリングチャンバ内で基板支持体の周りに配置するための堆積リング、カバーリング及びシールドアッセンブリを備えている。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本出願は、(i)2005年11月25日に出願された“TARGET AND PROCESS KIT FOR TITANIUM SPUTTERING CHAMBER”と題するプロビジョナル特許出願第60/739,658号、及び(ii)2006年3月30日に出願された“TARGET AND PROCESS KIT COMPONENTS FOR SPUTTERING CHAMBER”と題するプロビジョナル特許出願第60/788,378号の、35U.S.C.§119(e)のもとでの出願日の利益を請求する。両プロビジョナル特許出願は、その全体を参考としてここに援用する。
【背景】
【0002】
本発明の実施形態は、スパッタリングチャンバのためのターゲットに係る。
【0003】
集積回路及びディスプレイの製造においては、半導体ウェハ又はディスプレイパネルのような基板がプロセスチャンバに入れられ、基板に材料を堆積するか又は基板をエッチングするための処理条件がチャンバにセットされる。典型的なチャンバは、プラズマゾーンを包囲するエンクロージャー壁と、基板を支持するための基板支持体と、チャンバにプロセスガスを供給するためのガス供給源と、基板を処理するためのガスにエネルギを与えるガスエナジャイザーと、ガス圧力を維持するためのガス排気口とを備えている。このようなチャンバは、例えば、スパッタリング(PVD)、化学気相堆積(CVD)、及びエッチングチャンバを含むことができる。スパッタリングチャンバでは、ターゲットがスパッタされて、そのスパッタされたターゲット材料を、ターゲットに対向する基板に堆積させる。スパッタリングプロセスでは、不活性ガス及び/又は反応ガスで構成されたプロセスガスがチャンバへ供給され、ターゲット及び基板が互いに電気的にバイアスされて、エネルギに満ちたイオンを形成し、これらイオンがターゲットに衝撃を与えて、スパッタ材料をターゲットからたたき出し、基板上に膜として堆積させる。マグネトロンスパッタリングチャンバでは、磁界発生装置がターゲットの周りの磁界を整形し、ターゲットのスパッタリングを改善する。
【0004】
これらのスパッタリングプロセスにおいては、ターゲットのある領域が、他の領域よりも高いスパッタリング率でしばしばスパッタリングされ、ターゲット面の不均一なスパッタリングを生じさせる。例えば、不均一なターゲットスパッタリングは、エネルギが与えられたガスイオンをターゲット面の周りに閉じ込め又はかき混ぜるのに使用される輪郭付けされた磁界から生じ得る。この輪郭付けされた磁界は、ターゲット材料をターゲットの特定領域においてより高い率でスパッタリングさせ、多数のプロセスサイクルの運転の後にターゲットにスパッタ溝を形成することになる。このような溝がターゲットに形成されることは、基板にわたりスパッタ材料を実質的に不均一に堆積させるので、望ましくない。ターゲットのスパッタリングプレートがバッキングプレートから熱膨張ストレスのために剥離(debond)するときには、別の問題が生じる。これらのストレス及び剥離の原因は、正確に分かっていない。
【0005】
スパッタリングプロセスにおいて、ターゲットからスパッタされた材料がチャンバの内面、例えば、チャンバ壁及び部品の面に蓄積するのは、望ましくない。というのは、蓄積された堆積物が剥がれ落ちて基板を汚染するか又はチャンバ壁とターゲットとの間に電気的短絡を引き起こす場合がある。従って、スパッタリングチャンバには、基板支持体及びチャンバ側壁の周りに配列されて、ターゲットからのスパッタリング堆積物を受け入れ、これら堆積物がチャンバ壁や他の部品面に蓄積しないようにする部品を有するプロセスキットも含まれる。定期的に、これらプロセスキット部品は、清掃のために分解されてチャンバから取り外される。しかしながら、プロセスキット部品に蓄積するスパッタされた堆積物も、プロセスサイクル中に発生する熱ストレスから、清掃サイクルと清掃サイクルとの間に剥がれ落ちることがある。チャンバ内の剥がれ落ちた堆積物は、基板を汚染し得るので、望ましくない。この問題を解消するために、より短い時間間隔でキット部品を清掃すべくチャンバを停止することができるが、それにより生じるチャンバ休止時間は、処理コストを更に増加させる。従って、大量の蓄積された堆積物を受け入れて許容し、それらが互いに又は基板にくっついたりせず、又は処理中に蓄積した堆積物が剥がれ落ちたりしないように設計されたプロセスキット部品が要望される。また、ターゲットが、プロセスキット部品におけるスパッタ堆積物の形成を減少する形状とされることも要望される。
【0006】
以下の説明、特許請求の範囲、及び添付図面は、種々の特徴の実施形態を例示するもので、これら特徴は、それ自体でも使用できるし又は他の特徴と組み合せて使用することもでき、更に、添付図面に示された例示的形態に限定されるものではない。
【説明】
【0007】
スパッタリングプロセスチャンバに使用して、スパッタされた材料を基板に堆積するのに使用できるスパッタリングターゲット136の一実施形態が図1及び2に示されている。ターゲット136のスパッタリングプレート137のスパッタリング面135は、図9のチャンバ実施形態に示すように、チャンバ100における処理中に基板104に対向するように位置される。1つの変形例では、スパッタリングプレート137は、基板104の平面に平行な平面を形成するスパッタリング面135を有する中央の円柱状メサ143を備えている。環状の傾斜したリム145が円柱状メサ143を取り巻いている。1つの変形例では、環状リム145は、円柱状メサ143の平面に対して、少なくとも約8°、例えば、約10°から約20°、例えば、15°の角度で傾斜されている。段133を有する周囲の傾斜側壁146が環状リム145を取り巻いている。周囲の側壁146は、円柱状メサ143の平面に対して、少なくとも約60°、例えば、約75°から約85°の角度で傾斜されている。1つの変形例では、段133は、突起129とくぼみ131との間に生じ、また、段133は、面129、131を約35°のカットバック角度で接合する。図9及び9Aに示すように、環状の傾斜リム145と、チャンバ100の上部シールド147に隣接する側壁146との複雑な形状は、入り組んだギャップ149を形成し、このギャップは、これを通るスパッタ種子又はプラズマ種子の通過を妨げる迷路として働く。
【0008】
スパッタリングプレート137は、金属又は金属化合物で構成される。例えば、スパッタリングプレート137は、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、コバルト、ニッケル、又はタンタルのような金属でよい。また、スパッタリングプレート137は、例えば、窒化タンタル、窒化タングステン、又は窒化チタンのような金属化合物でもよい。1つの変形例では、スパッタリングプレート137は、チタンを、例えば、少なくとも約99.9%、又は少なくとも約99.99%の高い純度レベルで含む。
【0009】
スパッタリングプレート137は、このスパッタリングプレート137を支持するための支持面151と、スパッタリングプレート137の半径を越えて延びる周囲棚154とを有するバッキングプレート141に装着される。周囲棚154は、チャンバ100のアイソレータ144(図9)に載せられる外部足155を備えている。アイソレータ144は、バッキングプレート141をチャンバ100から電気的に隔離及び分離するもので、通常は、酸化アルミニウムのようなセラミック材料から作られたリングである。周囲棚154は、ターゲット136とアイソレータ144との間のギャップ149を経てスパッタ材料及びプラズマ種子が流れ又は移動するのを防止し、低い角度のスパッタ堆積物がギャップ149へ貫通するのを妨げる形状とされる。
【0010】
1つの変形例では、バッキングプレート141は、ステンレススチール又はアルミニウムのような金属で作られる。別の変形例では、バッキングプレート141は、例えば、約59から約62wt%の量の銅と、約38%から約41%の量の亜鉛とを含む銅−亜鉛で構成される。この銅−亜鉛は、反磁性であり、その抵抗率は、温度と共に変化しない。この銅−亜鉛は、熱伝導率が約130w/mKであり、また、電気抵抗率が約6.8μΩcmである。一実施形態では、2枚のプレート137、141を互いの上に載せて、通常、少なくとも約200℃の適当な温度に加熱することにより、スパッタリングプレート137がバッキングプレート141に拡散ボンディングで装着される。
【0011】
ターゲット136の更に別の変形例では、ターゲットのバッキングプレート141を、高い熱伝導率及び/又は低い電気抵抗率を有する材料から作ることにより、ターゲット136における浸食溝及びマイクロクラックを減少できると決定された。スパッタリングチャンバ100が磁界発生装置102(図9のチャンバの実施形態に示すような)を有する場合に、回転移動する磁界は、図3A1から図3A3に示すように、浸食溝121と、この浸食溝121から下方に延びるマイクロクラック123とを形成させると決定された。図3A1は、3000個の基板のバッチを処理する間に800kW時のプラズマに露出されたスパッタリングターゲットのスパッタリング面135に生じる円形の浸食溝121を示し、図3A2及び3A3は、浸食溝121及びマイクロクラック123を更に詳細に示している。図4Aは、ターゲットの表面上の浸食溝121から下方に延びる複数のマイクロクラック123を有するターゲット136の研磨されたサンプルの写真である。図4Bは、約4181ミクロン深さのマイクロクラック123の1つを示す拡大SEM写真である。マイクロクラック123及び浸食溝121は、多数の基板を処理した後にターゲット135のこれら領域からのスパッタリングを非均一にすると共に、スパッタリング特性を悪化させる場合がある。その結果、ターゲットを、より頻繁に交換しなければならず、例えば、少数の基板104を処理しただけで交換しなければならず、これは、望ましくない。
【0012】
1つの方法において、浸食溝の問題は、スパッタリングプレート137及びバッキングプレート141の両方で形成されるターゲット136に発生する熱を消散するに充分なほど高い熱伝導率を有する材料で作られたバッキングプレート141を使用することにより緩和される。熱は、これらのプレートに生じる渦電流から発生されると共に、プラズマからのエネルギに富んだイオンがターゲット136のスパッタリング面136に衝撃を与えることからも発生される。より高い熱伝導率のバッキングプレートは、ターゲット136に発生する熱を周囲の構造物又は熱交換器へ消散するのを許容し、熱交換器は、バッキングプレート141の後方に装着されてもよいし、又はバッキングプレート141自体の中にあってもよい。例えば、バッキングプレート141は、熱伝達流体を循環するためのチャンネル(図示せず)を備えることができる。バッキングプレート141の適当な高い熱伝導率は、少なくとも約200W/mK、例えば、約220から約400W/mKであると決定されている。このような熱伝導率レベルでは、ターゲットに発生する熱をより効率的に消散することで、より長いプロセス時間周期にわたりターゲットを動作することが許される。
【0013】
また、バッキングプレート141は、浸食溝の発生を減少しつつ、長い時間周期にわたるターゲット136の動作を許容すると分かっている希望の範囲内の電気抵抗率を有するように設計することもできる。電気抵抗率は、スパッタリング中にターゲットを電気的にバイアスし又は荷電するのを許容するには、充分低くなければならない。しかしながら、電気抵抗率は、また、ターゲット136における渦電流の作用を減少するには、充分高くなければならない。というのは、ターゲット136を通る経路に沿って進行する渦電流により発生される熱が、その経路に沿って遭遇する電気抵抗に比例するからである。1つの変形例では、バッキングプレート141の電気抵抗率は、約2から約5μΩcm、又は約2.2から約4.1μΩcmでなければならないと決定されている。
【0014】
所望の熱伝導率及び電気抵抗率を有する金属合金から作られるバッキングプレート141は、例えば、銅−クロムで構成されるバッキングプレート141である。この銅−クロムは、温度と共に変化する電気抵抗率を有する常磁性材料である。このような変化は、望ましくない。というのは、材料の特性を変化させ、ひいては、スパッタリング特性を変化させるからである。しかしながら、銅−クロムの抵抗率は、その温度が、通常のスパッタリングプロセス温度を越えるに充分なほど高い600℃を越えるまで変化しない。C−180000温度は、400℃より高い。1つの変形例において、銅−クロム合金は、銅対クロムの比が約80:1から約165:1である。銅−クロム合金は、約98.5wt%から約99.1wt%の銅と、約0.6wt%から約1.2wt%のクロムで構成される。銅−クロム合金は、熱伝導率が約340W/mKで、電気抵抗率が約2.2μΩcmである。1つの変形例では、銅−クロム合金は、C−18000又はC−18200で構成される。C−18000合金は、熱伝導率が約225W/mKで、電気抵抗率が約4.1μΩcmである。
【0015】
高い熱伝導率及び低い抵抗率を有する材料で作られたバッキングプレート141と組み合せるか、又は別々に及びそれ自体で使用できる別の変形例では、バッキングプレート141は、1つ以上の溝127を有する背面126を備えている。例えば、環状溝である溝127を伴うバッキングプレート141の1つの変形例が図5Aに示されている。この変形例では、溝127は、バッキングプレート141の半径をRとすれば、約0.3Rから約0.8Rまで延びる半径で配置される。この範囲の半径では、溝127は、環状浸食溝121に対応する領域の真向かいのターゲット136の背面141に対応する重要な環状領域に効率的な冷却を与えると決定されている。半径約250mmのサイズのバッキングプレート141の場合に、適当な溝127は、中心半径が約75から約200mmというサイズである。溝127は、溝127の外側半径と内側半径との間の距離rが約2から約10mm、例えば、約6mmである。1つの変形例では、溝127の外側半径からバッキングプレート141の周囲までの距離が約50から約100mmである。
【0016】
別の変形例では、バッキングプレート141は、互いに離間された複数の溝127をもつ背面126を備え、その変形例が図5Bに示されている。1つの変形例では、溝127は、同心的で、環状で、互いに離間され且つ峰129により分離され、これらの峰は、背面141からの熱を良好に消散するように協働的に機能して、ターゲット136全体をスパッタリング処理中に低い温度で動作させる。1つの変形例では、背面126は、少なくとも4つの溝を有し、例えば、約3個から約20個の溝を有し、1つの変形例では、9個の溝を有する。各溝127は、r(特定の溝127の外側半径とその内側半径との間の距離)が約2から約10mm、例えば、約6mmである。峰129は、その巾が約2から約10mm、例えば、約6mmである。図5Bは、5つの溝129が同心的で且つ環状にされ、それらの間に4つの峰127が介在する背面を示している。図5Cは、3つの同心的な環状溝127を有し、それらの間に2つの峰129をもつスパッタリングターゲット136の一実施形態の背面126を示す上面図である。
【0017】
溝127及び峰129は、他のパターン、例えば、長方形の格子パターン、鶏の足パターン、又は背面126を横切って延びる単純な直線を有することもできる。図6Aは、主として半径方向に沿って延びるカーブした半径方向溝127aである複数の溝127を有するスパッタリングターゲットの一実施形態の背側の上面図である。図6Aの変形例では、溝127は、矢印128で示すチャンバ内の回転磁石の方向に対して凸状となるようにカーブしている。図6Bの変形例では、溝127は、まっすぐな半径方向の溝127bであり、半径方向に沿ってまっすぐに向けられる。まっすぐな半径方向の溝127bは、背面126の中心で合流する。図6B1は、図6Bのターゲットの側面断面図であり、溝127の一般的な長方形断面を示している。しかしながら、溝の先端127cは、図6B2に示すように、表面126に到達するときに先細になるカーブした断面を有する。図6A及び6Bにおいて複数の溝127間のエリアは、浸食エリア119である。
【0018】
ターゲット136の異なる実施形態から得られる予期せぬ結果が、モデリング及び実験結果から実証された。テーブル1は、シミュレーションされる定常ターゲット温度、そり及びストレスを決定するために、異なる厚みをもち、異なる材料で作られたバッキングプレート141を有し、且つ溝をもったりもたなかったりするチタンターゲット136で行われたシミュレーションモデリング調査の結果を示す。限定エレメント分析モデリングプログラムを使用して、シミュレーションされるスパッタリングプロセス条件においてターゲットに対する二次元定常熱ストレスモデリングを決定した。モデリングプログラムは、ANSYS10.0であった。コンピュータシミュレーションでテストされる変数は、(1)ターゲットの厚み、(2)バッキングプレートに使用される材料、及び(3)バッキングプレートの特定設計を含む。12.7mm(0.5インチ)、8.89mm(0.35インチ)及び6.35mm(0.25インチ)を含む3つのターゲット厚み値がテストされた。テストされたバッキングプレート141の2つの形式は、銅−亜鉛及び銅−クロムプレートであった。バッキングプレート141は、平坦面、単一の環状溝、又は複数の溝のいずれかを有するものであった。これらの変数は、異なるターゲット最大温度、ターゲット最大そり値、及び最大熱ストレス値を生じた。
【0019】
【表1】
【0020】
バッキングプレート141の特性は、シミュレーションされるスパッタリングプロセスの間にターゲット136が到達する定常温度を著しく変化させることが決定された。例えば、テーブルIに示すように、厚みが12.7mmのターゲット136と、平坦な背面をもつ銅−亜鉛合金で作られたバッキングプレート141とを使用した実施例1は、360℃のターゲット温度、0.88mmのそり、及び97MPaの熱ストレスを与えた。これに対して、銅−クロム合金で作られたバッキングプレート141を、厚みが8.9mmのターゲット136と共に使用し、且つ背面126に複数の溝129を有する実施例9は、232℃の最も低いターゲット温度、0.93mmのそり、及び77MPaの熱ストレスを与えた。従って、実施例1のプレートより薄い8.89mm(0.35インチ)のターゲット厚みを有し、熱伝導性の良い銅−クロムで作られ、且つ背面126に複数の溝129を有した実施例9により、232℃の最も低いターゲット温度が得られた。
【0021】
これらの結果から、銅−亜鉛ではなく銅−クロムで構成されたバッキングプレート141は、他の全ての変数が等しい状態で、非常に低いシミュレーション運転ターゲット温度を生じることが決定された。また、最大ターゲット温度は、平坦面ではなく単一の溝を背面に有するバッキングプレートの場合に低いものであった。また、実施例9のように複数の溝129を有するバッキングプレート141は、実施例7のように単一の溝を有するバッキングプレート141より低いターゲット温度を生じた。従って、ターゲット136の1つの望ましい変形例は、8.9mm(0.35インチ)の厚みを有し、許容レベルのそり及びストレスで驚くほど低いターゲット温度を生じ、銅−クロムで作られたバッキングプレート141を有し、複数の溝129を有するものであった。図7は、銅−クロムで作られたバッキングプレート141を有し、背面126に複数の溝129が設けられた望ましいターゲット136について、同じ二次元定常熱モデルにより発生された断面温度プロフィールを示す。バッキングプレート141の背面126上で、複数の溝129の下に、最も高温のエリア113が生じる。複数の溝129から最も遠く離れたエリアに、最も低音のエリア111が生じる。
【0022】
【表2】
【0023】
テーブルIIは、銅−亜鉛又は銅−クロムから作られたバッキングプレート141を有するターゲット136であって、4つの異なる厚みの1つを有し、且つターゲット136の背面126が平坦であるか、単一の溝129をもつか、又は複数の溝129をもつようなチタンターゲットから得た実際のスパッタリングプロセスデータを示す。チャンバ内で処理される基板のバッチのうちの単一基板にスパッタ堆積するための合計スパッタプロセス時間は、ターゲット136に浸食溝及びマイクロクラックを形成するに充分なほど高い温度にターゲット136が到達しないようにセットされた。従って、銅−亜鉛で作られ且つ平坦面又は単一溝129を有するバッキングプレート141をターゲット136が備えた実施例1及び2においては、基板当りのプラズマスパッタリング時間が、各々、20秒及び30秒に制限される。これは、実施例1の場合に160Å、また、実施例2の場合に240Åの堆積厚みを与えた。これに対して、実施例3及び4のように、銅−クロムで作られ且つ複数の溝129を有するバッキングプレート141を備えたターゲット136は、このターゲット136に浸食溝121を形成するおそれなく、40秒より大きな基板当りの長い合計スパッタリングプラズマ処理時間を許容した。これは、実施例3及び4のターゲットが、実施例1及び2のターゲットより、スパッタリング運転中に低い定常温度を与えるからである。その結果、実施例3及び4は、320Åの非常に高い堆積レベルを与え、これは、実施例1及び2のターゲットで与えられる基板当りの合計堆積厚みより約1.5倍から2倍大きいことに対応する。
【0024】
更に別の変形例では、ターゲット136の周囲棚154に保護コーティングが被覆され、例えば、図1に示すように二重ワイヤアークスプレーのアルミニウムコーティング157が被覆される。被覆の前に、周囲棚154が脱脂されて、炭化シリコン円板で研磨され、200から300マイクロインチの粗面度を得る。コーティング157は、スパッタリングプレート137の周囲側壁146及びバッキングプレート141の周囲棚154を覆うように延びる。コーティング151は、最終的粗面度が700±200マイクロインチであり、厚みが約5から約10ミルである。コーティング157は、ターゲット136のエッジを保護し、スパッタされた材料の良好な接着性を与え、且つこれらの面から材料が剥がれるのを減少する。
【0025】
スパッタリングチャンバ100のためのプロセスキット200は、例えば、スパッタリング堆積物を部品の表面から清掃したり、浸食した部品を交換又は修理したり、或いはチャンバを異なるプロセスに適応させたりするために、チャンバ100から取り外すことのできる種々の部品を備えている。1つの変形例において、プロセスキット200は、図8に示すように、基板のオーバーハングエッジ206の手前で終了する基板支持体130の周囲壁139の周りに配置するためのリングアッセンブリ202を備えている。このリングアッセンブリ202は、堆積リング208及びカバーリング212を備え、これらのリングは、支持体130の周囲壁139又は基板104のオーバーハングエッジ206にスパッタ堆積物が形成されるのを減少するように互いに協働する。
【0026】
堆積リング208は、このリングの露出面からスパッタ堆積物を清掃するために容易に取り外すことができ、従って、支持体130を清掃のために分解する必要がない。堆積リング208は、支持体130の露出した側面を保護し、エネルギが与えられたプラズマ種子によるそれらの浸食を減少する。図8に示す変形例では、堆積リング208は、支持体130の周囲壁139の周りに延びてそれを取り巻く環状バンド216を備えている。この環状バンド216は、支持体130の周囲壁139に実質的に平行にこのバンドから横方向に延びる内側リップ218を備えている。この内側リップ218は、基板104のオーバーハングエッジ206の真下で終了する。内側リップ218は、処理中に基板104により覆われない支持体130の領域を保護するために、基板104及び支持体130の周囲を取り巻く堆積リング208の内周を画成する。例えば、内側リップ218は、これがないと処理環境に曝されることになる支持体130の周囲壁139を取り巻き且つ少なくとも部分的に覆い、周囲壁139に対するスパッタ堆積物の堆積を減少し又は完全に排除する。
【0027】
また、堆積リング208の環状バンド216は、このバンド216の中央部分に沿って延びる持ち上がった峰224も有している。この持ち上がった峰224は、平坦な上面228を有し、これは、基板支持体130の受け入れ面138の平面に実質的に平行で、且つカバーリング212から離間され、それらの間に狭いギャップ229を形成する。この狭いギャップは、プラズマ種子がこのギャップ又はギャップの端の領域へ貫通するのを減少するための迷路として働く。内側リップ218と持ち上がった峰224との間には、開いた内側チャンネル230がある。この開いた内側チャンネル230は、半径方向内方に延びて、基板104のオーバーハングエッジ206の下で少なくとも部分的に終了する。この内側チャンネル230は、内側リップ218に隣接する第1の丸み付けされたコーナー232と、持ち上がった峰224に隣接する穏やかに傾斜する面234とを有する。これらの滑らかなコーナー232及び傾斜した面234は、堆積リング208の清掃中にこれらの部分からスパッタ堆積物を除去し易くする。また、堆積リング208は、持ち上がった峰224の半径方向外方に延びてカバーリング212を支持するように働く棚236も有している。従来の設計とは異なり、チャンバへの搬送中にチャンバに基板が正確に位置されるので、基板104がチャンバ100内でスライドし又は誤って配置された場合に基板104を保持するために堆積リング208にピンが必要とされることはない。
【0028】
1つの変形例において、堆積リング208は、酸化アルミニウムのようなセラミック材料を整形及び加工することにより作られる。酸化アルミニウムは、鉄のような望ましくない元素によるチャンバの汚染を減少するために、少なくとも約99.5%の純度を有するのが好ましい。セラミック材料は、均衡プレスのような従来の技術を使用してモデリング及びシンターした後に、そのモデリング及びシンターされてプリフォームされたものを、適当な加工方法を使用して加工し、必要な形状及び寸法を得る。
【0029】
1つの好ましい変形例では、堆積リング208の環状バンド216は、露出面217を備え、この露出は、規定の粗面度レベルを得るためにビード吹き付けされるが、その隣接面は、それら面の偶発的なビード吹き付けを防止するためにマスクされる。ビード吹き付けプロセスでは、酸化アルミニウムのグリットが、グリット吹き付け装置(図示せず)のノズルを通して堆積リングの露出面に向けて吹き付けられる。グリット吹き付け装置は、約20から約45psiの圧力の圧縮ガスを使用してエネルギが与えられる圧力駆動のグリット吹き付け装置でよい。或いは又、サイフォン駆動のグリット吹き付け装置を、約60から約80psiの動作圧力で使用することもできる。グリット吹き付け装置のノズルは、露出面の平面に対して約45°の角度に且つ約4から6インチの距離に維持される。グリット吹き付けは、規定の粗面度を達成するのに適したグリットサイズで実行される。グリット吹き付けされた面の平均粗面度が150±50マイクロインチであると、スパッタされたチタン堆積物を強力に接着するのに適した面となる。
【0030】
平均粗面度とは、露出面に沿った粗面特徴部の山と谷の平均線からの変位の絶対値の平均である。平均粗面度、スキュー度、又は他の特性は、露出面217の上にニードルを通して、表面のざらつきの高さの変動のトレースを発生するプロフィルメータにより決定されてもよいし、或いは表面から反射された電子ビームを使用して表面の映像を発生する走査電子顕微鏡により決定されてもよい。平均粗面度を測定するために、テスト用の堆積リング208の露出面をクーポンにカットし、各クーポンにおいて1つ以上の測定を行うことができる。次いで、それらの測定値を平均化して、露出面217の平均粗面度を決定する。一実施形態では、3つのクーポンを使用し、各クーポンにおいて、粗面の特徴部の山と谷の高さの変化の4つのトレースを行う。
【0031】
リングアッセンブリ202のカバーリング212は、下面219を備え、これは、堆積リング208の持ち上がった峰224から離間され、その上に横たわり且つ少なくとも部分的にそれを覆って、狭いギャップ229を画成し、このギャップは、これを通過するプラズマ種子の移動を妨げる。この狭いギャップ229の抑制された流路は、堆積リング208及びカバーリング212の相手面に低エネルギのスパッタ堆積物が蓄積するのを制限し、このようにしないと、それらの面が互いにくっつくか、又は基板104の周囲オーバーハングエッジ206にくっつくことになる。
【0032】
カバーリング212は、堆積リング208の棚236のような基板支持体130の周りの表面にのせられる足246を有する環状プレート244を備えている。足246は、堆積リング208の棚236を押すようにプレート244から下方に延びる。環状プレート244は、ターゲット136と支持体130との間の処理ゾーン内にスパッタリングプラズマを収容するための境界として働き、多量のスパッタリング堆積物を受け取り、更に、堆積リング208をその陰に隠す。環状プレートは、堆積リング208の持ち上がった峰224の上に横たわる突出縁256で終わる。この突出縁256は、丸み付けされたエッジ258で終わり、カバーリングの下面である平らな底面260を有する。突出縁256は、スパッタリング堆積物が基板のオーバーハングエッジ206に堆積するのを防止すると共に、支持体130の周囲壁139への堆積も減少する。
【0033】
また、カバーリング212は、環状プレート244から下方に延びる一対の円筒壁260a、bも有している。この円筒壁260a、bは、ウェッジ244の足246の半径方向外側に置かれている。内側の円筒壁260aは、外側の壁260bより長さが短い。例えば、内側壁260aの第1長さは、外側壁260bの第2脚の第2長さより少なくとも約10%短くすることができる。これらの壁260a、260bは、周囲エリアへのプラズマ種子及びグロー放電の移動を妨げる更に別の入り組んだ経路265を形成するように離間される。1つの変形例において、内側壁260aは、長さが約0.7インチである。
【0034】
カバーリング212は、スパッタリングプラズマによる浸食に耐え得る材料、例えば、ステンレススチール、チタン又はアルミニウムのような金属材料、或いは酸化アルミニウムのようなセラミック材料から製造される。1つの変形例において、カバーリング212は、ステンレススチールで作られると共に、基板支持体130の受け入れ面138に実質的に平行な露出面247を有している。この露出面247は、175±75マイクロインチの粗面度を得るようにビード吹き付けされる。ビード吹き付けされる面は、希望の粗面度値を達成するようにグリットサイズを適当に変更して、上述した堆積リング208の露出面217に対するビード吹き付けプロセスと同様に準備される。
【0035】
また、プロセスキット200は、チャンバ100の側壁116及び支持体130の下部にスパッタ堆積物が堆積するのを減少するために、図1に示すように、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面及び基板支持対130の周囲エッジ139を包囲するシールドアッセンブリ150を備えることもできる。シールドアッセンブリ150は、支持体130、並びにチャンバ100の側壁116及び底壁120の面を陰に隠すことにより、これらの面へのスパッタ材料の堆積を減少させる。
【0036】
1つの変形例では、図9に示すように、シールドアッセンブリ150は、チャンバ100の壁面及び下部を陰に隠すように互いに協働する上部シールド147及び下部シールド182を備えている。図9Aに示すように、上部シールド147は、チャンバの上部アダプタ186の第1棚185aに載せられる支持リップ183を備えている。上部アダプタ186は、チャンバ100の側壁として働くことができる。図9Aを参照すれば、支持リップ183は、Oリング溝201を含み、これには、Oリング197が入れられて、真空シールを形成する。アイソレータ144が支持リップ183の上に載せられ、上部アダプタ186の第2棚185bへと更に延びる。バッキングプレート141の周囲棚154がアイソレータ144の頂部にのせられる。この周囲棚154は、Oリング溝201を含み、これには、Oリング197が入れられて、真空シールを形成する。ソースフレーム167が、周囲棚154の上面214a及び側面214bにおいて周囲棚154に当接する。ソースフレーム167は、Oリング溝201を含み、これには、Oリング197が入れられて、真空シールを形成する。ソースフレーム167のOリング溝201は、周囲棚154の上面214aの上に置かれる。また、上部シールド147は、環状バンド187も有し、これは、スパッタリングターゲットのスパッタリングプレートを包囲するサイズの第1直径を有する第1の円筒面189と、第1直径より小さなサイズの第1直径を有する第2の円筒面190と、これら第1面189と第2面190との間の傾斜面191とを含む。
【0037】
下部シールド182も、この下部シールド182を支持するために下部アダプタ194の周囲リップ193に載せられる支持棚192を有している。下部シールド182は、上部シールド147の第2円筒面190の下に延びる円筒状の外側バンド195と、この円筒状の外側バンド195の底端から半径方向内方に延びるベースプレート196と、このベースプレート195に接合されて、図8に示すように、基板支持体130を少なくとも部分的に取り巻く円筒状の内側バンド196とを備えている。この内側バンド196は、その高さが外側バンド195より短く、例えば、内側バンド196は、その高さを、外側バンド195の高さの0.8倍に短くすることができる。内側バンド196及び外側バンド195と、カバーリング212の外側壁260b及び内側壁260aとの間のギャップは、この領域へのプラズマ種子の侵入を妨害し妨げるように働く。
【0038】
上部シールド147及び下部シールド182は、例えば、アルミニウムやステンレススチールのような金属の導体から製造される。1つの変形例では、上部シールド147がアルミニウムから作られ、下部シールド182がステンレススチールから作られる。1つの変形例では、これらシールド147、182は、チャンバ100のプラズマゾーン177を各々向いた露出面198、199を有する。これらの露出面198、199は、175±75マイクロインチの粗面度を有するようにビード吹き付けされる。ビード吹き付けされる面は、希望の粗面度値を達成するようにグリットサイズを適当に変更して、上述した堆積リング208の露出面217に対するビード吹き付けプロセスと同様に準備される。
【0039】
プロセスキット200及びターゲット136の部品の設計は、チタンのスパッタリングにおいて清掃のためにプロセスキットを取り外すことなくスパッタリングチャンバ100にプロセスキットを使用できるプロセスサイクルの数及びプロセスオン時間を著しく増加する。また、プロセスキット200及びターゲット136の部品は、チャンバのスパッタリングゾーンにおける電力及び圧力の増加を許容し、上部シールド147及びターゲット136の付近であるダークスペース領域における温度を下げることにより高い堆積スループットを生み出すように設計される。
【0040】
基板104を処理することのできるスパッタリングプロセスチャンバ100の変形例が図9に示されている。チャンバ100は、プラズマゾーン177を包囲するエンクロージャー壁179を備え、この壁は、側壁116、底壁120及び天井124を含む。チャンバ100は、チャンバ177間に基板104を移送するロボットアームメカニズムにより接続された相互接続チャンバのクラスターを有する多チャンバプラットホーム(図示せず)の一部分でよい。図示された変形例では、プロセスチャンバ100は、基板104にチタンをスパッタ堆積することのできる物理気相堆積即ちPVDチャンバとも称されるスパッタリングチャンバで構成される。しかしながら、チャンバ100は、例えば、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、又は窒化タングステンを堆積するといった他の目的で使用することもでき、従って、特許請求の範囲は、本発明を例示するためにここに述べる実施形態に限定されるものではない。
【0041】
チャンバ100は、基板104を支持するための基板支持体130を備え、これは、ペデスタル134を含む。このペデスタル134は、処理中に基板104を受け入れて支持する基板受け入れ面138を有し、この面138は、その平面が頭上のスパッタリングターゲット136のスパッタリング面135と実質的に平行である。また、支持体130は、基板104及び/又はヒータ(図示せず)、例えば、電気抵抗ヒータ又は熱交換器を静電保持するための静電チャック132を備えることもできる。動作中に、基板104は、チャンバ100の側壁116の基板ロード入口(図示せず)を通してチャンバ100に導入されて、基板支持体130に載せられる。この支持体130は、支持体130に基板104を配置する間に支持体130上の基板を上下させるように持ち上げたり下ろしたりすることができる。ペデスタル134は、プラズマ運転中に浮動電位又は接地状態に維持することができる。
【0042】
スパッタリングプロセス中に、ターゲット136、支持体130及び上部シールド147は、電源148により互いに電気的にバイアスされる。ターゲット電源148に接続されたターゲット136、上部シールド147、支持体130、及び他のチャンバ部品は、ガスエナジャイザー171として動作して、スパッタリングガスのプラズマを形成し又は持続する。このガスエナジャイザー171は、ソースコイル(図示せず)も含むことができ、このソースコイルは、これに電流を通流することでエネルギが与えられる。プラズマゾーン177に形成されたプラズマは、ターゲット136のスパッタリング面135にエネルギッシュに衝突して衝撃を与え、面135から基板104へ材料をスパッタさせる。
【0043】
スパッタリングガスは、ガス配送システム160を通してチャンバ100へ導入され、このガス配送システムは、ガス供給源169から、質量流量コントローラのようなガス流量制御バルブ166を有するコンジット164を経て供給し、設定流量のガスを通過させる。ガスは、混合マニホールド(図示せず)に供給され、そこで、希望のプロセスガス組成を形成するように混合されて、チャンバ100にガス出口を有するガス分配器168へ供給される。プロセスガス源169は、ターゲットにエネルギッシュに衝突してそこから材料をスパッタさせることのできるアルゴン又はキセノンのような非反応ガスを含むことができる。また、プロセスガス源169は、スパッタされた材料と反応して基板104に層を形成することのできる1つ以上の酸素含有ガス及び窒素含有ガスのような反応性ガスを含んでもよい。消費されたプロセスガス及び副産物は、チャンバ100から、排気口172を含む排気部170を経て排気され、これは、消費されたプロセスガスを受け入れて、それを排気コンジット174へ通過させ、ここには、チャンバ100内のガスの圧力を制御するためにスロットルバルブ176がある。排気コンジット174は、1つ以上の排気ポンプ178に接続される。通常、チャンバ100内のスパッタリングガスの圧力は、真空環境のような大気圧以下のレベル、例えば、1ミリトールから400ミリトールのガス圧力に設定される。
【0044】
また、チャンバ100は、熱伝達流体を保持できるハウジングを含む熱交換器も備えることができ、これは、ターゲット136の背面に当接するように装着される。ハウジングは、ターゲットの背面の周りでシールされた壁を備えている。冷やした脱イオン水188のような熱伝達流体が入口を経てハウジングへ導入されると共に、ハウジングから出口を経て取り出される。熱交換器は、ターゲットを低い温度に維持するように働いて、ターゲットに浸食溝及びマイクロクラックが生じるおそれを更に減少させる。
【0045】
また、チャンバは、ターゲット136のバッキングプレート141の背面の周りに位置された複数の回転可能な磁石156、159を含む磁界発生装置102も備えることができる。回転可能な磁石156、159は、第1磁束又は磁界配向を有する中央磁石156と、第2磁束又は磁界配向を有する周囲磁石159とを含む1組の磁石を含むことができる。1つの変形例では、第1磁束と第2磁束の比は、少なくとも約1:2であり、例えば、約1:3から約1:8、又は約1:5のこともある。これは、周囲磁石159からの磁界が基板104に向かってチャンバへとより深く延びるのを許容する。一実施例においては、磁界発生装置102は、第1磁界配向を有する1組の中央磁石156を、第2磁界配向を有する1組の周囲磁石159で取り巻いたものを備えている。例えば、第2磁界配向は、周囲磁石159の極性方向が中央磁石156の極性方向と逆になるように周囲磁石159を位置することにより発生することができる。基板104における均一なスパッタリングを達成するために、図示された変形例では、磁界発生装置は、磁石156、159が装着された円形プレート158を回転するためのモータ153及び軸163を備えている。この回転システムは、回転可能な磁石156、159を、約60から約120rpm、例えば、約80から約100rpmで回転させる。1つの変形例では、磁石156、159は、NdFeBで構成される。回転する磁石156、159は、熱交換器のハウジングに熱伝達流体を循環させながら、ターゲットからのスパッタリング率に影響を及ぼすような回転及び変化する磁界をスパッタリングターゲット136のスパッタリング面の周りに与える。
【0046】
ターゲット136に送給される多量の電力に反作用するために、ターゲット136の背部を背側の冷却材チャンバ165にシールしてもよい。冷えた脱イオン水188又は他の冷却液体が冷却材チャンバ165の内部を通して循環されて、ターゲット136を冷却する。磁界発生装置102は、通常、冷却水188に浸漬され、ターゲット回転シャフト163は、ロータリシール181により背部チャンバ165を通過する。
【0047】
チャンバ100は、チャンバ100内で基板104を処理するようにチャンバ100の部品を動作するインストラクションセットを有するプログラムコードを備えたコントローラ180により制御される。例えば、コントローラ180は、基板支持体130及び基板搬送部を動作する基板位置設定インストラクションセット、チャンバ100へのスパッタリングガスの流量を設定するようにガス流量制御バルブ166を動作するガス流量制御インストラクションセット、チャンバ100内の圧力を維持するようにスロットルバルブ174を動作するガス圧力制御インストラクションセット、ガスにエネルギを付与する電力レベルを設定するようにガスエナジャイザー171を動作するガスエナジャイザー制御インストラクションセット、基板104又は壁179の温度を設定するように各々支持体134又は壁179の温度制御システム(図示せず)を制御する温度制御インストラクションセット、及びチャンバ100内のプロセスを監視するプロセス監視インストラクションセットを含むプログラムコードを備えることができる。
【0048】
スパッタリングプロセスは、チタン又はチタン化合物を含む層を基板に堆積するのに使用することができる。チタン層は、それ自体で使用することもできるし、他の層と組み合せて使用することもできる。例えば、スパッタされたチタン層は、バリア層として使用することができ、例えば、Ti/TiNスタック層は、ライナーバリア層としてしばしば使用され、トランジスタのソース及びドレインへの接触部を形成する。別の実施例では、チタン層がシリコンウェハに堆積され、シリコンに接触するチタン層の部分が、アニール処理によりケイ化チタン層に変換される。別の構成では、金属導体の下の拡散バリア層が酸化チタン層を含むが、これは、基板にチタンをスパッタ堆積し、次いで、基板を酸化チャンバへ移送し、酸素環境内で加熱することによりチタンを酸化させて、酸化チタンを生成することにより形成される。また、酸化チタンは、チタンがスパッタされる間にチャンバに酸素ガスを導入することにより堆積することもできる。窒化チタンは、チタンをスパッタする間にチャンバに窒素含有ガスを導入することにより反応スパッタリング方法で堆積することができる。
【0049】
本発明は、幾つかの好ましい変形例を参照して説明したが、他の変形例も考えられる。例えば、ターゲット136のスパッタリングプレート137及びバッキングプレート141は、上述した以外の材料から作ることもでき、また、他の形状及びサイズをもつこともできる。また、プロセスキット200は、当業者に明らかなように、例えば、エッチング及びCVDチャンバのような他の形式の用途にも使用できる。また、他の形状、構成及び製造材料を使用して、堆積リング208、カバーリング212、及びシールドアッセンブリ150を作ることもできる。それ故、特許請求の範囲及びその精神は、上述した好ましい態様及び変形例の説明に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】スパッタリングチャンバに使用することのできるスパッタリングターゲットの側面断面図である。
【図2】図1のスパッタリングターゲットの細部(3)を示す図である。
【図3A1】800kW時のスパッタリングプラズマに露出した後のスパッタリングターゲットのスパッタリング面の写真で、円形浸食溝及びマイクロクラックを示す写真である。
【図3A2】800kW時のスパッタリングプラズマに露出した後のスパッタリングターゲットのスパッタリング面の写真で、円形浸食溝及びマイクロクラックを示す写真である。
【図3A3】800kW時のスパッタリングプラズマに露出した後のスパッタリングターゲットのスパッタリング面の写真で、円形浸食溝及びマイクロクラックを示す写真である。
【図4A】多数のスパッタ処理サイクルに使用した後のスパッタリングターゲットの研磨されたサンプルの側面の写真で、ターゲット表面の浸食溝から下方に延びるマイクロクラックを示す写真である。
【図4B】表面マイクロクラックの拡大図のSEM写真である。
【図5A】背面に単一の溝を有するスパッタリングターゲットの一実施形態の側面断面図である。
【図5B】背面に複数の同心的な環状溝を有するスパッタリングターゲットの一実施形態の側面断面図である。
【図5C】複数の同心的な環状溝を有するスパッタリングターゲットの別の実施形態の背側の上面図である。
【図6A】複数の弓形の半径方向溝を有するスパッタリングターゲットの一実施形態の背側の上面図である。
【図6B】複数のまっすぐな半径方向溝を有するスパッタリングターゲットの一実施形態の背側の上面図である。
【図6B1】図6Bのターゲットの細部領域“a”の側面断面図で、溝の長方形断面を示す図である。
【図6B2】図6Bのターゲットの細部領域“b”の側面断面図で、溝の先端におけるカーブした断面を示す図である。
【図7】複数の溝をもつ背面を有するターゲットについて、二次元定常熱モデルにより発生された断面温度プロフィールの側面断面図である。
【図8】堆積リング、カバーリング、及び基板支持体の周りの下部シールドの一実施形態の側面断面図である。
【図9】スパッタリングチャンバの概略側面断面図で、回転磁気アッセンブリ、スパッタリングターゲット、及びプロセスキット部品を示す図である。
【図9A】スパッタリングチャンバの細部“c”の概略側面断面図で、チャンバのソースフレーム及びアダプタに取り付けられた上部シールドを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
100…チャンバ、106…プラズマゾーン、108…エンクロージャー壁、116…側壁、124…天井、130…基板支持体、134…ペデスタル、135…スパッタリング面、136…スパッタリングターゲット、144…アイソレータ、145…環状リム、146…側壁、147…上部シールド、148…電源、149…ギャップ、152…ガスエナジャイザー、154…周囲棚、155…外側足、160…ガス配送システム、164…コンジット、166…流量制御バルブ、168…ガス分配器、169…ガス源、170…排気部、172…排気口、174…排気コンジット、178…排気ポンプ、180…コントローラ、182…下部シールド、183…支持リップ、185…棚、186…上部アダプタ、189…第1円筒面、190…第2円筒面、191…傾斜面、192…支持棚、193…円筒リップ、194…下部アダプタ、195…円筒状外側バンド、196…ベースプレート/内側バンド、198、199…露出面、200…プロセスキット、202…リングアッセンブリ、208…堆積リング、212…カバーリング
【相互参照】
【0001】
本出願は、(i)2005年11月25日に出願された“TARGET AND PROCESS KIT FOR TITANIUM SPUTTERING CHAMBER”と題するプロビジョナル特許出願第60/739,658号、及び(ii)2006年3月30日に出願された“TARGET AND PROCESS KIT COMPONENTS FOR SPUTTERING CHAMBER”と題するプロビジョナル特許出願第60/788,378号の、35U.S.C.§119(e)のもとでの出願日の利益を請求する。両プロビジョナル特許出願は、その全体を参考としてここに援用する。
【背景】
【0002】
本発明の実施形態は、スパッタリングチャンバのためのターゲットに係る。
【0003】
集積回路及びディスプレイの製造においては、半導体ウェハ又はディスプレイパネルのような基板がプロセスチャンバに入れられ、基板に材料を堆積するか又は基板をエッチングするための処理条件がチャンバにセットされる。典型的なチャンバは、プラズマゾーンを包囲するエンクロージャー壁と、基板を支持するための基板支持体と、チャンバにプロセスガスを供給するためのガス供給源と、基板を処理するためのガスにエネルギを与えるガスエナジャイザーと、ガス圧力を維持するためのガス排気口とを備えている。このようなチャンバは、例えば、スパッタリング(PVD)、化学気相堆積(CVD)、及びエッチングチャンバを含むことができる。スパッタリングチャンバでは、ターゲットがスパッタされて、そのスパッタされたターゲット材料を、ターゲットに対向する基板に堆積させる。スパッタリングプロセスでは、不活性ガス及び/又は反応ガスで構成されたプロセスガスがチャンバへ供給され、ターゲット及び基板が互いに電気的にバイアスされて、エネルギに満ちたイオンを形成し、これらイオンがターゲットに衝撃を与えて、スパッタ材料をターゲットからたたき出し、基板上に膜として堆積させる。マグネトロンスパッタリングチャンバでは、磁界発生装置がターゲットの周りの磁界を整形し、ターゲットのスパッタリングを改善する。
【0004】
これらのスパッタリングプロセスにおいては、ターゲットのある領域が、他の領域よりも高いスパッタリング率でしばしばスパッタリングされ、ターゲット面の不均一なスパッタリングを生じさせる。例えば、不均一なターゲットスパッタリングは、エネルギが与えられたガスイオンをターゲット面の周りに閉じ込め又はかき混ぜるのに使用される輪郭付けされた磁界から生じ得る。この輪郭付けされた磁界は、ターゲット材料をターゲットの特定領域においてより高い率でスパッタリングさせ、多数のプロセスサイクルの運転の後にターゲットにスパッタ溝を形成することになる。このような溝がターゲットに形成されることは、基板にわたりスパッタ材料を実質的に不均一に堆積させるので、望ましくない。ターゲットのスパッタリングプレートがバッキングプレートから熱膨張ストレスのために剥離(debond)するときには、別の問題が生じる。これらのストレス及び剥離の原因は、正確に分かっていない。
【0005】
スパッタリングプロセスにおいて、ターゲットからスパッタされた材料がチャンバの内面、例えば、チャンバ壁及び部品の面に蓄積するのは、望ましくない。というのは、蓄積された堆積物が剥がれ落ちて基板を汚染するか又はチャンバ壁とターゲットとの間に電気的短絡を引き起こす場合がある。従って、スパッタリングチャンバには、基板支持体及びチャンバ側壁の周りに配列されて、ターゲットからのスパッタリング堆積物を受け入れ、これら堆積物がチャンバ壁や他の部品面に蓄積しないようにする部品を有するプロセスキットも含まれる。定期的に、これらプロセスキット部品は、清掃のために分解されてチャンバから取り外される。しかしながら、プロセスキット部品に蓄積するスパッタされた堆積物も、プロセスサイクル中に発生する熱ストレスから、清掃サイクルと清掃サイクルとの間に剥がれ落ちることがある。チャンバ内の剥がれ落ちた堆積物は、基板を汚染し得るので、望ましくない。この問題を解消するために、より短い時間間隔でキット部品を清掃すべくチャンバを停止することができるが、それにより生じるチャンバ休止時間は、処理コストを更に増加させる。従って、大量の蓄積された堆積物を受け入れて許容し、それらが互いに又は基板にくっついたりせず、又は処理中に蓄積した堆積物が剥がれ落ちたりしないように設計されたプロセスキット部品が要望される。また、ターゲットが、プロセスキット部品におけるスパッタ堆積物の形成を減少する形状とされることも要望される。
【0006】
以下の説明、特許請求の範囲、及び添付図面は、種々の特徴の実施形態を例示するもので、これら特徴は、それ自体でも使用できるし又は他の特徴と組み合せて使用することもでき、更に、添付図面に示された例示的形態に限定されるものではない。
【説明】
【0007】
スパッタリングプロセスチャンバに使用して、スパッタされた材料を基板に堆積するのに使用できるスパッタリングターゲット136の一実施形態が図1及び2に示されている。ターゲット136のスパッタリングプレート137のスパッタリング面135は、図9のチャンバ実施形態に示すように、チャンバ100における処理中に基板104に対向するように位置される。1つの変形例では、スパッタリングプレート137は、基板104の平面に平行な平面を形成するスパッタリング面135を有する中央の円柱状メサ143を備えている。環状の傾斜したリム145が円柱状メサ143を取り巻いている。1つの変形例では、環状リム145は、円柱状メサ143の平面に対して、少なくとも約8°、例えば、約10°から約20°、例えば、15°の角度で傾斜されている。段133を有する周囲の傾斜側壁146が環状リム145を取り巻いている。周囲の側壁146は、円柱状メサ143の平面に対して、少なくとも約60°、例えば、約75°から約85°の角度で傾斜されている。1つの変形例では、段133は、突起129とくぼみ131との間に生じ、また、段133は、面129、131を約35°のカットバック角度で接合する。図9及び9Aに示すように、環状の傾斜リム145と、チャンバ100の上部シールド147に隣接する側壁146との複雑な形状は、入り組んだギャップ149を形成し、このギャップは、これを通るスパッタ種子又はプラズマ種子の通過を妨げる迷路として働く。
【0008】
スパッタリングプレート137は、金属又は金属化合物で構成される。例えば、スパッタリングプレート137は、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、コバルト、ニッケル、又はタンタルのような金属でよい。また、スパッタリングプレート137は、例えば、窒化タンタル、窒化タングステン、又は窒化チタンのような金属化合物でもよい。1つの変形例では、スパッタリングプレート137は、チタンを、例えば、少なくとも約99.9%、又は少なくとも約99.99%の高い純度レベルで含む。
【0009】
スパッタリングプレート137は、このスパッタリングプレート137を支持するための支持面151と、スパッタリングプレート137の半径を越えて延びる周囲棚154とを有するバッキングプレート141に装着される。周囲棚154は、チャンバ100のアイソレータ144(図9)に載せられる外部足155を備えている。アイソレータ144は、バッキングプレート141をチャンバ100から電気的に隔離及び分離するもので、通常は、酸化アルミニウムのようなセラミック材料から作られたリングである。周囲棚154は、ターゲット136とアイソレータ144との間のギャップ149を経てスパッタ材料及びプラズマ種子が流れ又は移動するのを防止し、低い角度のスパッタ堆積物がギャップ149へ貫通するのを妨げる形状とされる。
【0010】
1つの変形例では、バッキングプレート141は、ステンレススチール又はアルミニウムのような金属で作られる。別の変形例では、バッキングプレート141は、例えば、約59から約62wt%の量の銅と、約38%から約41%の量の亜鉛とを含む銅−亜鉛で構成される。この銅−亜鉛は、反磁性であり、その抵抗率は、温度と共に変化しない。この銅−亜鉛は、熱伝導率が約130w/mKであり、また、電気抵抗率が約6.8μΩcmである。一実施形態では、2枚のプレート137、141を互いの上に載せて、通常、少なくとも約200℃の適当な温度に加熱することにより、スパッタリングプレート137がバッキングプレート141に拡散ボンディングで装着される。
【0011】
ターゲット136の更に別の変形例では、ターゲットのバッキングプレート141を、高い熱伝導率及び/又は低い電気抵抗率を有する材料から作ることにより、ターゲット136における浸食溝及びマイクロクラックを減少できると決定された。スパッタリングチャンバ100が磁界発生装置102(図9のチャンバの実施形態に示すような)を有する場合に、回転移動する磁界は、図3A1から図3A3に示すように、浸食溝121と、この浸食溝121から下方に延びるマイクロクラック123とを形成させると決定された。図3A1は、3000個の基板のバッチを処理する間に800kW時のプラズマに露出されたスパッタリングターゲットのスパッタリング面135に生じる円形の浸食溝121を示し、図3A2及び3A3は、浸食溝121及びマイクロクラック123を更に詳細に示している。図4Aは、ターゲットの表面上の浸食溝121から下方に延びる複数のマイクロクラック123を有するターゲット136の研磨されたサンプルの写真である。図4Bは、約4181ミクロン深さのマイクロクラック123の1つを示す拡大SEM写真である。マイクロクラック123及び浸食溝121は、多数の基板を処理した後にターゲット135のこれら領域からのスパッタリングを非均一にすると共に、スパッタリング特性を悪化させる場合がある。その結果、ターゲットを、より頻繁に交換しなければならず、例えば、少数の基板104を処理しただけで交換しなければならず、これは、望ましくない。
【0012】
1つの方法において、浸食溝の問題は、スパッタリングプレート137及びバッキングプレート141の両方で形成されるターゲット136に発生する熱を消散するに充分なほど高い熱伝導率を有する材料で作られたバッキングプレート141を使用することにより緩和される。熱は、これらのプレートに生じる渦電流から発生されると共に、プラズマからのエネルギに富んだイオンがターゲット136のスパッタリング面136に衝撃を与えることからも発生される。より高い熱伝導率のバッキングプレートは、ターゲット136に発生する熱を周囲の構造物又は熱交換器へ消散するのを許容し、熱交換器は、バッキングプレート141の後方に装着されてもよいし、又はバッキングプレート141自体の中にあってもよい。例えば、バッキングプレート141は、熱伝達流体を循環するためのチャンネル(図示せず)を備えることができる。バッキングプレート141の適当な高い熱伝導率は、少なくとも約200W/mK、例えば、約220から約400W/mKであると決定されている。このような熱伝導率レベルでは、ターゲットに発生する熱をより効率的に消散することで、より長いプロセス時間周期にわたりターゲットを動作することが許される。
【0013】
また、バッキングプレート141は、浸食溝の発生を減少しつつ、長い時間周期にわたるターゲット136の動作を許容すると分かっている希望の範囲内の電気抵抗率を有するように設計することもできる。電気抵抗率は、スパッタリング中にターゲットを電気的にバイアスし又は荷電するのを許容するには、充分低くなければならない。しかしながら、電気抵抗率は、また、ターゲット136における渦電流の作用を減少するには、充分高くなければならない。というのは、ターゲット136を通る経路に沿って進行する渦電流により発生される熱が、その経路に沿って遭遇する電気抵抗に比例するからである。1つの変形例では、バッキングプレート141の電気抵抗率は、約2から約5μΩcm、又は約2.2から約4.1μΩcmでなければならないと決定されている。
【0014】
所望の熱伝導率及び電気抵抗率を有する金属合金から作られるバッキングプレート141は、例えば、銅−クロムで構成されるバッキングプレート141である。この銅−クロムは、温度と共に変化する電気抵抗率を有する常磁性材料である。このような変化は、望ましくない。というのは、材料の特性を変化させ、ひいては、スパッタリング特性を変化させるからである。しかしながら、銅−クロムの抵抗率は、その温度が、通常のスパッタリングプロセス温度を越えるに充分なほど高い600℃を越えるまで変化しない。C−180000温度は、400℃より高い。1つの変形例において、銅−クロム合金は、銅対クロムの比が約80:1から約165:1である。銅−クロム合金は、約98.5wt%から約99.1wt%の銅と、約0.6wt%から約1.2wt%のクロムで構成される。銅−クロム合金は、熱伝導率が約340W/mKで、電気抵抗率が約2.2μΩcmである。1つの変形例では、銅−クロム合金は、C−18000又はC−18200で構成される。C−18000合金は、熱伝導率が約225W/mKで、電気抵抗率が約4.1μΩcmである。
【0015】
高い熱伝導率及び低い抵抗率を有する材料で作られたバッキングプレート141と組み合せるか、又は別々に及びそれ自体で使用できる別の変形例では、バッキングプレート141は、1つ以上の溝127を有する背面126を備えている。例えば、環状溝である溝127を伴うバッキングプレート141の1つの変形例が図5Aに示されている。この変形例では、溝127は、バッキングプレート141の半径をRとすれば、約0.3Rから約0.8Rまで延びる半径で配置される。この範囲の半径では、溝127は、環状浸食溝121に対応する領域の真向かいのターゲット136の背面141に対応する重要な環状領域に効率的な冷却を与えると決定されている。半径約250mmのサイズのバッキングプレート141の場合に、適当な溝127は、中心半径が約75から約200mmというサイズである。溝127は、溝127の外側半径と内側半径との間の距離rが約2から約10mm、例えば、約6mmである。1つの変形例では、溝127の外側半径からバッキングプレート141の周囲までの距離が約50から約100mmである。
【0016】
別の変形例では、バッキングプレート141は、互いに離間された複数の溝127をもつ背面126を備え、その変形例が図5Bに示されている。1つの変形例では、溝127は、同心的で、環状で、互いに離間され且つ峰129により分離され、これらの峰は、背面141からの熱を良好に消散するように協働的に機能して、ターゲット136全体をスパッタリング処理中に低い温度で動作させる。1つの変形例では、背面126は、少なくとも4つの溝を有し、例えば、約3個から約20個の溝を有し、1つの変形例では、9個の溝を有する。各溝127は、r(特定の溝127の外側半径とその内側半径との間の距離)が約2から約10mm、例えば、約6mmである。峰129は、その巾が約2から約10mm、例えば、約6mmである。図5Bは、5つの溝129が同心的で且つ環状にされ、それらの間に4つの峰127が介在する背面を示している。図5Cは、3つの同心的な環状溝127を有し、それらの間に2つの峰129をもつスパッタリングターゲット136の一実施形態の背面126を示す上面図である。
【0017】
溝127及び峰129は、他のパターン、例えば、長方形の格子パターン、鶏の足パターン、又は背面126を横切って延びる単純な直線を有することもできる。図6Aは、主として半径方向に沿って延びるカーブした半径方向溝127aである複数の溝127を有するスパッタリングターゲットの一実施形態の背側の上面図である。図6Aの変形例では、溝127は、矢印128で示すチャンバ内の回転磁石の方向に対して凸状となるようにカーブしている。図6Bの変形例では、溝127は、まっすぐな半径方向の溝127bであり、半径方向に沿ってまっすぐに向けられる。まっすぐな半径方向の溝127bは、背面126の中心で合流する。図6B1は、図6Bのターゲットの側面断面図であり、溝127の一般的な長方形断面を示している。しかしながら、溝の先端127cは、図6B2に示すように、表面126に到達するときに先細になるカーブした断面を有する。図6A及び6Bにおいて複数の溝127間のエリアは、浸食エリア119である。
【0018】
ターゲット136の異なる実施形態から得られる予期せぬ結果が、モデリング及び実験結果から実証された。テーブル1は、シミュレーションされる定常ターゲット温度、そり及びストレスを決定するために、異なる厚みをもち、異なる材料で作られたバッキングプレート141を有し、且つ溝をもったりもたなかったりするチタンターゲット136で行われたシミュレーションモデリング調査の結果を示す。限定エレメント分析モデリングプログラムを使用して、シミュレーションされるスパッタリングプロセス条件においてターゲットに対する二次元定常熱ストレスモデリングを決定した。モデリングプログラムは、ANSYS10.0であった。コンピュータシミュレーションでテストされる変数は、(1)ターゲットの厚み、(2)バッキングプレートに使用される材料、及び(3)バッキングプレートの特定設計を含む。12.7mm(0.5インチ)、8.89mm(0.35インチ)及び6.35mm(0.25インチ)を含む3つのターゲット厚み値がテストされた。テストされたバッキングプレート141の2つの形式は、銅−亜鉛及び銅−クロムプレートであった。バッキングプレート141は、平坦面、単一の環状溝、又は複数の溝のいずれかを有するものであった。これらの変数は、異なるターゲット最大温度、ターゲット最大そり値、及び最大熱ストレス値を生じた。
【0019】
【表1】
【0020】
バッキングプレート141の特性は、シミュレーションされるスパッタリングプロセスの間にターゲット136が到達する定常温度を著しく変化させることが決定された。例えば、テーブルIに示すように、厚みが12.7mmのターゲット136と、平坦な背面をもつ銅−亜鉛合金で作られたバッキングプレート141とを使用した実施例1は、360℃のターゲット温度、0.88mmのそり、及び97MPaの熱ストレスを与えた。これに対して、銅−クロム合金で作られたバッキングプレート141を、厚みが8.9mmのターゲット136と共に使用し、且つ背面126に複数の溝129を有する実施例9は、232℃の最も低いターゲット温度、0.93mmのそり、及び77MPaの熱ストレスを与えた。従って、実施例1のプレートより薄い8.89mm(0.35インチ)のターゲット厚みを有し、熱伝導性の良い銅−クロムで作られ、且つ背面126に複数の溝129を有した実施例9により、232℃の最も低いターゲット温度が得られた。
【0021】
これらの結果から、銅−亜鉛ではなく銅−クロムで構成されたバッキングプレート141は、他の全ての変数が等しい状態で、非常に低いシミュレーション運転ターゲット温度を生じることが決定された。また、最大ターゲット温度は、平坦面ではなく単一の溝を背面に有するバッキングプレートの場合に低いものであった。また、実施例9のように複数の溝129を有するバッキングプレート141は、実施例7のように単一の溝を有するバッキングプレート141より低いターゲット温度を生じた。従って、ターゲット136の1つの望ましい変形例は、8.9mm(0.35インチ)の厚みを有し、許容レベルのそり及びストレスで驚くほど低いターゲット温度を生じ、銅−クロムで作られたバッキングプレート141を有し、複数の溝129を有するものであった。図7は、銅−クロムで作られたバッキングプレート141を有し、背面126に複数の溝129が設けられた望ましいターゲット136について、同じ二次元定常熱モデルにより発生された断面温度プロフィールを示す。バッキングプレート141の背面126上で、複数の溝129の下に、最も高温のエリア113が生じる。複数の溝129から最も遠く離れたエリアに、最も低音のエリア111が生じる。
【0022】
【表2】
【0023】
テーブルIIは、銅−亜鉛又は銅−クロムから作られたバッキングプレート141を有するターゲット136であって、4つの異なる厚みの1つを有し、且つターゲット136の背面126が平坦であるか、単一の溝129をもつか、又は複数の溝129をもつようなチタンターゲットから得た実際のスパッタリングプロセスデータを示す。チャンバ内で処理される基板のバッチのうちの単一基板にスパッタ堆積するための合計スパッタプロセス時間は、ターゲット136に浸食溝及びマイクロクラックを形成するに充分なほど高い温度にターゲット136が到達しないようにセットされた。従って、銅−亜鉛で作られ且つ平坦面又は単一溝129を有するバッキングプレート141をターゲット136が備えた実施例1及び2においては、基板当りのプラズマスパッタリング時間が、各々、20秒及び30秒に制限される。これは、実施例1の場合に160Å、また、実施例2の場合に240Åの堆積厚みを与えた。これに対して、実施例3及び4のように、銅−クロムで作られ且つ複数の溝129を有するバッキングプレート141を備えたターゲット136は、このターゲット136に浸食溝121を形成するおそれなく、40秒より大きな基板当りの長い合計スパッタリングプラズマ処理時間を許容した。これは、実施例3及び4のターゲットが、実施例1及び2のターゲットより、スパッタリング運転中に低い定常温度を与えるからである。その結果、実施例3及び4は、320Åの非常に高い堆積レベルを与え、これは、実施例1及び2のターゲットで与えられる基板当りの合計堆積厚みより約1.5倍から2倍大きいことに対応する。
【0024】
更に別の変形例では、ターゲット136の周囲棚154に保護コーティングが被覆され、例えば、図1に示すように二重ワイヤアークスプレーのアルミニウムコーティング157が被覆される。被覆の前に、周囲棚154が脱脂されて、炭化シリコン円板で研磨され、200から300マイクロインチの粗面度を得る。コーティング157は、スパッタリングプレート137の周囲側壁146及びバッキングプレート141の周囲棚154を覆うように延びる。コーティング151は、最終的粗面度が700±200マイクロインチであり、厚みが約5から約10ミルである。コーティング157は、ターゲット136のエッジを保護し、スパッタされた材料の良好な接着性を与え、且つこれらの面から材料が剥がれるのを減少する。
【0025】
スパッタリングチャンバ100のためのプロセスキット200は、例えば、スパッタリング堆積物を部品の表面から清掃したり、浸食した部品を交換又は修理したり、或いはチャンバを異なるプロセスに適応させたりするために、チャンバ100から取り外すことのできる種々の部品を備えている。1つの変形例において、プロセスキット200は、図8に示すように、基板のオーバーハングエッジ206の手前で終了する基板支持体130の周囲壁139の周りに配置するためのリングアッセンブリ202を備えている。このリングアッセンブリ202は、堆積リング208及びカバーリング212を備え、これらのリングは、支持体130の周囲壁139又は基板104のオーバーハングエッジ206にスパッタ堆積物が形成されるのを減少するように互いに協働する。
【0026】
堆積リング208は、このリングの露出面からスパッタ堆積物を清掃するために容易に取り外すことができ、従って、支持体130を清掃のために分解する必要がない。堆積リング208は、支持体130の露出した側面を保護し、エネルギが与えられたプラズマ種子によるそれらの浸食を減少する。図8に示す変形例では、堆積リング208は、支持体130の周囲壁139の周りに延びてそれを取り巻く環状バンド216を備えている。この環状バンド216は、支持体130の周囲壁139に実質的に平行にこのバンドから横方向に延びる内側リップ218を備えている。この内側リップ218は、基板104のオーバーハングエッジ206の真下で終了する。内側リップ218は、処理中に基板104により覆われない支持体130の領域を保護するために、基板104及び支持体130の周囲を取り巻く堆積リング208の内周を画成する。例えば、内側リップ218は、これがないと処理環境に曝されることになる支持体130の周囲壁139を取り巻き且つ少なくとも部分的に覆い、周囲壁139に対するスパッタ堆積物の堆積を減少し又は完全に排除する。
【0027】
また、堆積リング208の環状バンド216は、このバンド216の中央部分に沿って延びる持ち上がった峰224も有している。この持ち上がった峰224は、平坦な上面228を有し、これは、基板支持体130の受け入れ面138の平面に実質的に平行で、且つカバーリング212から離間され、それらの間に狭いギャップ229を形成する。この狭いギャップは、プラズマ種子がこのギャップ又はギャップの端の領域へ貫通するのを減少するための迷路として働く。内側リップ218と持ち上がった峰224との間には、開いた内側チャンネル230がある。この開いた内側チャンネル230は、半径方向内方に延びて、基板104のオーバーハングエッジ206の下で少なくとも部分的に終了する。この内側チャンネル230は、内側リップ218に隣接する第1の丸み付けされたコーナー232と、持ち上がった峰224に隣接する穏やかに傾斜する面234とを有する。これらの滑らかなコーナー232及び傾斜した面234は、堆積リング208の清掃中にこれらの部分からスパッタ堆積物を除去し易くする。また、堆積リング208は、持ち上がった峰224の半径方向外方に延びてカバーリング212を支持するように働く棚236も有している。従来の設計とは異なり、チャンバへの搬送中にチャンバに基板が正確に位置されるので、基板104がチャンバ100内でスライドし又は誤って配置された場合に基板104を保持するために堆積リング208にピンが必要とされることはない。
【0028】
1つの変形例において、堆積リング208は、酸化アルミニウムのようなセラミック材料を整形及び加工することにより作られる。酸化アルミニウムは、鉄のような望ましくない元素によるチャンバの汚染を減少するために、少なくとも約99.5%の純度を有するのが好ましい。セラミック材料は、均衡プレスのような従来の技術を使用してモデリング及びシンターした後に、そのモデリング及びシンターされてプリフォームされたものを、適当な加工方法を使用して加工し、必要な形状及び寸法を得る。
【0029】
1つの好ましい変形例では、堆積リング208の環状バンド216は、露出面217を備え、この露出は、規定の粗面度レベルを得るためにビード吹き付けされるが、その隣接面は、それら面の偶発的なビード吹き付けを防止するためにマスクされる。ビード吹き付けプロセスでは、酸化アルミニウムのグリットが、グリット吹き付け装置(図示せず)のノズルを通して堆積リングの露出面に向けて吹き付けられる。グリット吹き付け装置は、約20から約45psiの圧力の圧縮ガスを使用してエネルギが与えられる圧力駆動のグリット吹き付け装置でよい。或いは又、サイフォン駆動のグリット吹き付け装置を、約60から約80psiの動作圧力で使用することもできる。グリット吹き付け装置のノズルは、露出面の平面に対して約45°の角度に且つ約4から6インチの距離に維持される。グリット吹き付けは、規定の粗面度を達成するのに適したグリットサイズで実行される。グリット吹き付けされた面の平均粗面度が150±50マイクロインチであると、スパッタされたチタン堆積物を強力に接着するのに適した面となる。
【0030】
平均粗面度とは、露出面に沿った粗面特徴部の山と谷の平均線からの変位の絶対値の平均である。平均粗面度、スキュー度、又は他の特性は、露出面217の上にニードルを通して、表面のざらつきの高さの変動のトレースを発生するプロフィルメータにより決定されてもよいし、或いは表面から反射された電子ビームを使用して表面の映像を発生する走査電子顕微鏡により決定されてもよい。平均粗面度を測定するために、テスト用の堆積リング208の露出面をクーポンにカットし、各クーポンにおいて1つ以上の測定を行うことができる。次いで、それらの測定値を平均化して、露出面217の平均粗面度を決定する。一実施形態では、3つのクーポンを使用し、各クーポンにおいて、粗面の特徴部の山と谷の高さの変化の4つのトレースを行う。
【0031】
リングアッセンブリ202のカバーリング212は、下面219を備え、これは、堆積リング208の持ち上がった峰224から離間され、その上に横たわり且つ少なくとも部分的にそれを覆って、狭いギャップ229を画成し、このギャップは、これを通過するプラズマ種子の移動を妨げる。この狭いギャップ229の抑制された流路は、堆積リング208及びカバーリング212の相手面に低エネルギのスパッタ堆積物が蓄積するのを制限し、このようにしないと、それらの面が互いにくっつくか、又は基板104の周囲オーバーハングエッジ206にくっつくことになる。
【0032】
カバーリング212は、堆積リング208の棚236のような基板支持体130の周りの表面にのせられる足246を有する環状プレート244を備えている。足246は、堆積リング208の棚236を押すようにプレート244から下方に延びる。環状プレート244は、ターゲット136と支持体130との間の処理ゾーン内にスパッタリングプラズマを収容するための境界として働き、多量のスパッタリング堆積物を受け取り、更に、堆積リング208をその陰に隠す。環状プレートは、堆積リング208の持ち上がった峰224の上に横たわる突出縁256で終わる。この突出縁256は、丸み付けされたエッジ258で終わり、カバーリングの下面である平らな底面260を有する。突出縁256は、スパッタリング堆積物が基板のオーバーハングエッジ206に堆積するのを防止すると共に、支持体130の周囲壁139への堆積も減少する。
【0033】
また、カバーリング212は、環状プレート244から下方に延びる一対の円筒壁260a、bも有している。この円筒壁260a、bは、ウェッジ244の足246の半径方向外側に置かれている。内側の円筒壁260aは、外側の壁260bより長さが短い。例えば、内側壁260aの第1長さは、外側壁260bの第2脚の第2長さより少なくとも約10%短くすることができる。これらの壁260a、260bは、周囲エリアへのプラズマ種子及びグロー放電の移動を妨げる更に別の入り組んだ経路265を形成するように離間される。1つの変形例において、内側壁260aは、長さが約0.7インチである。
【0034】
カバーリング212は、スパッタリングプラズマによる浸食に耐え得る材料、例えば、ステンレススチール、チタン又はアルミニウムのような金属材料、或いは酸化アルミニウムのようなセラミック材料から製造される。1つの変形例において、カバーリング212は、ステンレススチールで作られると共に、基板支持体130の受け入れ面138に実質的に平行な露出面247を有している。この露出面247は、175±75マイクロインチの粗面度を得るようにビード吹き付けされる。ビード吹き付けされる面は、希望の粗面度値を達成するようにグリットサイズを適当に変更して、上述した堆積リング208の露出面217に対するビード吹き付けプロセスと同様に準備される。
【0035】
また、プロセスキット200は、チャンバ100の側壁116及び支持体130の下部にスパッタ堆積物が堆積するのを減少するために、図1に示すように、スパッタリングターゲット136のスパッタリング面及び基板支持対130の周囲エッジ139を包囲するシールドアッセンブリ150を備えることもできる。シールドアッセンブリ150は、支持体130、並びにチャンバ100の側壁116及び底壁120の面を陰に隠すことにより、これらの面へのスパッタ材料の堆積を減少させる。
【0036】
1つの変形例では、図9に示すように、シールドアッセンブリ150は、チャンバ100の壁面及び下部を陰に隠すように互いに協働する上部シールド147及び下部シールド182を備えている。図9Aに示すように、上部シールド147は、チャンバの上部アダプタ186の第1棚185aに載せられる支持リップ183を備えている。上部アダプタ186は、チャンバ100の側壁として働くことができる。図9Aを参照すれば、支持リップ183は、Oリング溝201を含み、これには、Oリング197が入れられて、真空シールを形成する。アイソレータ144が支持リップ183の上に載せられ、上部アダプタ186の第2棚185bへと更に延びる。バッキングプレート141の周囲棚154がアイソレータ144の頂部にのせられる。この周囲棚154は、Oリング溝201を含み、これには、Oリング197が入れられて、真空シールを形成する。ソースフレーム167が、周囲棚154の上面214a及び側面214bにおいて周囲棚154に当接する。ソースフレーム167は、Oリング溝201を含み、これには、Oリング197が入れられて、真空シールを形成する。ソースフレーム167のOリング溝201は、周囲棚154の上面214aの上に置かれる。また、上部シールド147は、環状バンド187も有し、これは、スパッタリングターゲットのスパッタリングプレートを包囲するサイズの第1直径を有する第1の円筒面189と、第1直径より小さなサイズの第1直径を有する第2の円筒面190と、これら第1面189と第2面190との間の傾斜面191とを含む。
【0037】
下部シールド182も、この下部シールド182を支持するために下部アダプタ194の周囲リップ193に載せられる支持棚192を有している。下部シールド182は、上部シールド147の第2円筒面190の下に延びる円筒状の外側バンド195と、この円筒状の外側バンド195の底端から半径方向内方に延びるベースプレート196と、このベースプレート195に接合されて、図8に示すように、基板支持体130を少なくとも部分的に取り巻く円筒状の内側バンド196とを備えている。この内側バンド196は、その高さが外側バンド195より短く、例えば、内側バンド196は、その高さを、外側バンド195の高さの0.8倍に短くすることができる。内側バンド196及び外側バンド195と、カバーリング212の外側壁260b及び内側壁260aとの間のギャップは、この領域へのプラズマ種子の侵入を妨害し妨げるように働く。
【0038】
上部シールド147及び下部シールド182は、例えば、アルミニウムやステンレススチールのような金属の導体から製造される。1つの変形例では、上部シールド147がアルミニウムから作られ、下部シールド182がステンレススチールから作られる。1つの変形例では、これらシールド147、182は、チャンバ100のプラズマゾーン177を各々向いた露出面198、199を有する。これらの露出面198、199は、175±75マイクロインチの粗面度を有するようにビード吹き付けされる。ビード吹き付けされる面は、希望の粗面度値を達成するようにグリットサイズを適当に変更して、上述した堆積リング208の露出面217に対するビード吹き付けプロセスと同様に準備される。
【0039】
プロセスキット200及びターゲット136の部品の設計は、チタンのスパッタリングにおいて清掃のためにプロセスキットを取り外すことなくスパッタリングチャンバ100にプロセスキットを使用できるプロセスサイクルの数及びプロセスオン時間を著しく増加する。また、プロセスキット200及びターゲット136の部品は、チャンバのスパッタリングゾーンにおける電力及び圧力の増加を許容し、上部シールド147及びターゲット136の付近であるダークスペース領域における温度を下げることにより高い堆積スループットを生み出すように設計される。
【0040】
基板104を処理することのできるスパッタリングプロセスチャンバ100の変形例が図9に示されている。チャンバ100は、プラズマゾーン177を包囲するエンクロージャー壁179を備え、この壁は、側壁116、底壁120及び天井124を含む。チャンバ100は、チャンバ177間に基板104を移送するロボットアームメカニズムにより接続された相互接続チャンバのクラスターを有する多チャンバプラットホーム(図示せず)の一部分でよい。図示された変形例では、プロセスチャンバ100は、基板104にチタンをスパッタ堆積することのできる物理気相堆積即ちPVDチャンバとも称されるスパッタリングチャンバで構成される。しかしながら、チャンバ100は、例えば、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、又は窒化タングステンを堆積するといった他の目的で使用することもでき、従って、特許請求の範囲は、本発明を例示するためにここに述べる実施形態に限定されるものではない。
【0041】
チャンバ100は、基板104を支持するための基板支持体130を備え、これは、ペデスタル134を含む。このペデスタル134は、処理中に基板104を受け入れて支持する基板受け入れ面138を有し、この面138は、その平面が頭上のスパッタリングターゲット136のスパッタリング面135と実質的に平行である。また、支持体130は、基板104及び/又はヒータ(図示せず)、例えば、電気抵抗ヒータ又は熱交換器を静電保持するための静電チャック132を備えることもできる。動作中に、基板104は、チャンバ100の側壁116の基板ロード入口(図示せず)を通してチャンバ100に導入されて、基板支持体130に載せられる。この支持体130は、支持体130に基板104を配置する間に支持体130上の基板を上下させるように持ち上げたり下ろしたりすることができる。ペデスタル134は、プラズマ運転中に浮動電位又は接地状態に維持することができる。
【0042】
スパッタリングプロセス中に、ターゲット136、支持体130及び上部シールド147は、電源148により互いに電気的にバイアスされる。ターゲット電源148に接続されたターゲット136、上部シールド147、支持体130、及び他のチャンバ部品は、ガスエナジャイザー171として動作して、スパッタリングガスのプラズマを形成し又は持続する。このガスエナジャイザー171は、ソースコイル(図示せず)も含むことができ、このソースコイルは、これに電流を通流することでエネルギが与えられる。プラズマゾーン177に形成されたプラズマは、ターゲット136のスパッタリング面135にエネルギッシュに衝突して衝撃を与え、面135から基板104へ材料をスパッタさせる。
【0043】
スパッタリングガスは、ガス配送システム160を通してチャンバ100へ導入され、このガス配送システムは、ガス供給源169から、質量流量コントローラのようなガス流量制御バルブ166を有するコンジット164を経て供給し、設定流量のガスを通過させる。ガスは、混合マニホールド(図示せず)に供給され、そこで、希望のプロセスガス組成を形成するように混合されて、チャンバ100にガス出口を有するガス分配器168へ供給される。プロセスガス源169は、ターゲットにエネルギッシュに衝突してそこから材料をスパッタさせることのできるアルゴン又はキセノンのような非反応ガスを含むことができる。また、プロセスガス源169は、スパッタされた材料と反応して基板104に層を形成することのできる1つ以上の酸素含有ガス及び窒素含有ガスのような反応性ガスを含んでもよい。消費されたプロセスガス及び副産物は、チャンバ100から、排気口172を含む排気部170を経て排気され、これは、消費されたプロセスガスを受け入れて、それを排気コンジット174へ通過させ、ここには、チャンバ100内のガスの圧力を制御するためにスロットルバルブ176がある。排気コンジット174は、1つ以上の排気ポンプ178に接続される。通常、チャンバ100内のスパッタリングガスの圧力は、真空環境のような大気圧以下のレベル、例えば、1ミリトールから400ミリトールのガス圧力に設定される。
【0044】
また、チャンバ100は、熱伝達流体を保持できるハウジングを含む熱交換器も備えることができ、これは、ターゲット136の背面に当接するように装着される。ハウジングは、ターゲットの背面の周りでシールされた壁を備えている。冷やした脱イオン水188のような熱伝達流体が入口を経てハウジングへ導入されると共に、ハウジングから出口を経て取り出される。熱交換器は、ターゲットを低い温度に維持するように働いて、ターゲットに浸食溝及びマイクロクラックが生じるおそれを更に減少させる。
【0045】
また、チャンバは、ターゲット136のバッキングプレート141の背面の周りに位置された複数の回転可能な磁石156、159を含む磁界発生装置102も備えることができる。回転可能な磁石156、159は、第1磁束又は磁界配向を有する中央磁石156と、第2磁束又は磁界配向を有する周囲磁石159とを含む1組の磁石を含むことができる。1つの変形例では、第1磁束と第2磁束の比は、少なくとも約1:2であり、例えば、約1:3から約1:8、又は約1:5のこともある。これは、周囲磁石159からの磁界が基板104に向かってチャンバへとより深く延びるのを許容する。一実施例においては、磁界発生装置102は、第1磁界配向を有する1組の中央磁石156を、第2磁界配向を有する1組の周囲磁石159で取り巻いたものを備えている。例えば、第2磁界配向は、周囲磁石159の極性方向が中央磁石156の極性方向と逆になるように周囲磁石159を位置することにより発生することができる。基板104における均一なスパッタリングを達成するために、図示された変形例では、磁界発生装置は、磁石156、159が装着された円形プレート158を回転するためのモータ153及び軸163を備えている。この回転システムは、回転可能な磁石156、159を、約60から約120rpm、例えば、約80から約100rpmで回転させる。1つの変形例では、磁石156、159は、NdFeBで構成される。回転する磁石156、159は、熱交換器のハウジングに熱伝達流体を循環させながら、ターゲットからのスパッタリング率に影響を及ぼすような回転及び変化する磁界をスパッタリングターゲット136のスパッタリング面の周りに与える。
【0046】
ターゲット136に送給される多量の電力に反作用するために、ターゲット136の背部を背側の冷却材チャンバ165にシールしてもよい。冷えた脱イオン水188又は他の冷却液体が冷却材チャンバ165の内部を通して循環されて、ターゲット136を冷却する。磁界発生装置102は、通常、冷却水188に浸漬され、ターゲット回転シャフト163は、ロータリシール181により背部チャンバ165を通過する。
【0047】
チャンバ100は、チャンバ100内で基板104を処理するようにチャンバ100の部品を動作するインストラクションセットを有するプログラムコードを備えたコントローラ180により制御される。例えば、コントローラ180は、基板支持体130及び基板搬送部を動作する基板位置設定インストラクションセット、チャンバ100へのスパッタリングガスの流量を設定するようにガス流量制御バルブ166を動作するガス流量制御インストラクションセット、チャンバ100内の圧力を維持するようにスロットルバルブ174を動作するガス圧力制御インストラクションセット、ガスにエネルギを付与する電力レベルを設定するようにガスエナジャイザー171を動作するガスエナジャイザー制御インストラクションセット、基板104又は壁179の温度を設定するように各々支持体134又は壁179の温度制御システム(図示せず)を制御する温度制御インストラクションセット、及びチャンバ100内のプロセスを監視するプロセス監視インストラクションセットを含むプログラムコードを備えることができる。
【0048】
スパッタリングプロセスは、チタン又はチタン化合物を含む層を基板に堆積するのに使用することができる。チタン層は、それ自体で使用することもできるし、他の層と組み合せて使用することもできる。例えば、スパッタされたチタン層は、バリア層として使用することができ、例えば、Ti/TiNスタック層は、ライナーバリア層としてしばしば使用され、トランジスタのソース及びドレインへの接触部を形成する。別の実施例では、チタン層がシリコンウェハに堆積され、シリコンに接触するチタン層の部分が、アニール処理によりケイ化チタン層に変換される。別の構成では、金属導体の下の拡散バリア層が酸化チタン層を含むが、これは、基板にチタンをスパッタ堆積し、次いで、基板を酸化チャンバへ移送し、酸素環境内で加熱することによりチタンを酸化させて、酸化チタンを生成することにより形成される。また、酸化チタンは、チタンがスパッタされる間にチャンバに酸素ガスを導入することにより堆積することもできる。窒化チタンは、チタンをスパッタする間にチャンバに窒素含有ガスを導入することにより反応スパッタリング方法で堆積することができる。
【0049】
本発明は、幾つかの好ましい変形例を参照して説明したが、他の変形例も考えられる。例えば、ターゲット136のスパッタリングプレート137及びバッキングプレート141は、上述した以外の材料から作ることもでき、また、他の形状及びサイズをもつこともできる。また、プロセスキット200は、当業者に明らかなように、例えば、エッチング及びCVDチャンバのような他の形式の用途にも使用できる。また、他の形状、構成及び製造材料を使用して、堆積リング208、カバーリング212、及びシールドアッセンブリ150を作ることもできる。それ故、特許請求の範囲及びその精神は、上述した好ましい態様及び変形例の説明に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】スパッタリングチャンバに使用することのできるスパッタリングターゲットの側面断面図である。
【図2】図1のスパッタリングターゲットの細部(3)を示す図である。
【図3A1】800kW時のスパッタリングプラズマに露出した後のスパッタリングターゲットのスパッタリング面の写真で、円形浸食溝及びマイクロクラックを示す写真である。
【図3A2】800kW時のスパッタリングプラズマに露出した後のスパッタリングターゲットのスパッタリング面の写真で、円形浸食溝及びマイクロクラックを示す写真である。
【図3A3】800kW時のスパッタリングプラズマに露出した後のスパッタリングターゲットのスパッタリング面の写真で、円形浸食溝及びマイクロクラックを示す写真である。
【図4A】多数のスパッタ処理サイクルに使用した後のスパッタリングターゲットの研磨されたサンプルの側面の写真で、ターゲット表面の浸食溝から下方に延びるマイクロクラックを示す写真である。
【図4B】表面マイクロクラックの拡大図のSEM写真である。
【図5A】背面に単一の溝を有するスパッタリングターゲットの一実施形態の側面断面図である。
【図5B】背面に複数の同心的な環状溝を有するスパッタリングターゲットの一実施形態の側面断面図である。
【図5C】複数の同心的な環状溝を有するスパッタリングターゲットの別の実施形態の背側の上面図である。
【図6A】複数の弓形の半径方向溝を有するスパッタリングターゲットの一実施形態の背側の上面図である。
【図6B】複数のまっすぐな半径方向溝を有するスパッタリングターゲットの一実施形態の背側の上面図である。
【図6B1】図6Bのターゲットの細部領域“a”の側面断面図で、溝の長方形断面を示す図である。
【図6B2】図6Bのターゲットの細部領域“b”の側面断面図で、溝の先端におけるカーブした断面を示す図である。
【図7】複数の溝をもつ背面を有するターゲットについて、二次元定常熱モデルにより発生された断面温度プロフィールの側面断面図である。
【図8】堆積リング、カバーリング、及び基板支持体の周りの下部シールドの一実施形態の側面断面図である。
【図9】スパッタリングチャンバの概略側面断面図で、回転磁気アッセンブリ、スパッタリングターゲット、及びプロセスキット部品を示す図である。
【図9A】スパッタリングチャンバの細部“c”の概略側面断面図で、チャンバのソースフレーム及びアダプタに取り付けられた上部シールドを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
100…チャンバ、106…プラズマゾーン、108…エンクロージャー壁、116…側壁、124…天井、130…基板支持体、134…ペデスタル、135…スパッタリング面、136…スパッタリングターゲット、144…アイソレータ、145…環状リム、146…側壁、147…上部シールド、148…電源、149…ギャップ、152…ガスエナジャイザー、154…周囲棚、155…外側足、160…ガス配送システム、164…コンジット、166…流量制御バルブ、168…ガス分配器、169…ガス源、170…排気部、172…排気口、174…排気コンジット、178…排気ポンプ、180…コントローラ、182…下部シールド、183…支持リップ、185…棚、186…上部アダプタ、189…第1円筒面、190…第2円筒面、191…傾斜面、192…支持棚、193…円筒リップ、194…下部アダプタ、195…円筒状外側バンド、196…ベースプレート/内側バンド、198、199…露出面、200…プロセスキット、202…リングアッセンブリ、208…堆積リング、212…カバーリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタリングチャンバのためのスパッタリングターゲットにおいて、
(a)熱伝導率が少なくとも約200W/mKで、電気抵抗率が約2から約5μΩcmのバッキングプレートと、
(b)上記バッキングプレートに装着されたスパッタリングプレートと、
を備え、該スパッタリングプレートは、
(i)平面を有する円柱状メサ、及び
(ii)上記円柱状メサを取り巻く環状の傾斜リム
を含むものであるスパッタリングターゲット。
【請求項2】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(i)約220から約400W/mKの熱伝導率、又は
(ii)約2.2から約4.1μΩcmの電気抵抗率、
の少なくとも1つを含む請求項1に記載のターゲット。
【請求項3】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(i)銅−クロム合金、又は
(ii)C18000又はC18200で構成される銅−クロム合金、
の少なくとも1つを含む請求項1に記載のターゲット。
【請求項4】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(i)環状溝をもつ背面、
(ii)半径方向溝をもつ背面、及び
(iii)複数の溝をもつ背面、
の少なくとも1つを含む請求項1に記載のターゲット。
【請求項5】
上記環状リムは、上記円柱状メサの平面に対して少なくとも約8°の角度で傾斜される、請求項1に記載のターゲット。
【請求項6】
熱伝達流体を保持できるハウジングを含むと共に、該ハウジング内に複数の回転可能な磁石を含む熱交換器を更に備えた、請求項1に記載のターゲット。
【請求項7】
上記スパッタリングプレートはチタンで構成される、請求項1に記載のターゲット。
【請求項8】
請求項1に記載のスパッタリングターゲットを備えたスパッタリングチャンバにおいて、
(1)請求項1に記載のスパッタリングターゲットが装着され、更に、
(2)上記スパッタリングターゲットに対向した基板支持体と、
(3)上記スパッタリングチャンバにガスを導入するガス分配器と、
(4)上記スパッタリングターゲットをスパッタさせるプラズマを形成するようにガスにエネルギを与えるガスエナジャイザーと、
(5)上記スパッタリングチャンバからガスを排気するガス排気口と、
を備えたスパッタリングチャンバ。
【請求項9】
スパッタリングチャンバのためのスパッタリングターゲットにおいて、
(a)溝をもつ背面を含むバッキングプレートと、
(b)上記バッキングプレートに装着されたスパッタリングプレートと、
を備え、該スパッタリングプレートは、
(i)平面を有する円柱状メサ、及び
(ii)上記円柱状メサを取り巻く環状の傾斜リム
を含むものであるスパッタリングターゲット。
【請求項10】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(i)複数の溝、
(ii)少なくとも約4個の溝、
(iii)同心的な環状溝である溝、及び
(iv)半径方向溝である溝、
の少なくとも1つを含む請求項9に記載のターゲット。
【請求項11】
上記バッキングプレートは、熱伝導率が少なくとも約200W/mKで、電気抵抗率が約2から約5μΩcmである、請求項9に記載のターゲット。
【請求項12】
請求項9に記載のスパッタリングターゲットを備えたスパッタリングチャンバにおいて、
(1)請求項13に記載のスパッタリングターゲットが装着され、更に、
(2)上記スパッタリングターゲットに対向した基板支持体と、
(3)上記スパッタリングチャンバにガスを導入するガス分配器と、
(4)上記スパッタリングターゲットをスパッタさせるプラズマを形成するようにガスにエネルギを与えるガスエナジャイザーと、
(5)上記スパッタリングチャンバからガスを排気するガス排気口と、
を備えたスパッタリングチャンバ。
【請求項13】
(a)前面及び溝をもつ背面を含むバッキングプレートと、該バッキングプレートの前面に装着されたスパッタリングプレートとで構成されたスパッタリングターゲットと、
(b)上記スパッタリングターゲットに対向する基板支持体と、
(c)上記ターゲットの上記背面の周りにあって熱伝達流体を保持できるハウジングを含む熱交換器と、
(d)上記バッキングプレートの上記背面の周りに位置された複数の回転可能な磁石を含む磁界発生装置と、
(e)上記スパッタリングチャンバにガスを導入するガス分配器と、
(f)上記スパッタリングターゲットをスパッタさせるプラズマを形成するようにガスにエネルギを与えるガスエナジャイザーと、
(g)上記スパッタリングチャンバからガスを排気するガス排気口と、
を備えたスパッタリングチャンバ。
【請求項14】
上記磁界発生装置は、次の特性、
(i)磁石が異なる磁束を有する、
(ii)磁石が異なる磁界配向を有する、及び
(iii)磁石が熱交換器のハウジング内にある、
の少なくとも1つを有する複数の回転可能な磁石を備えた、請求項13に記載のチャンバ。
【請求項15】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(i)複数の溝、
(ii)複数の同心的な環状溝、及び
(iii)複数の半径方向溝、
の少なくとも1つを含む請求項13に記載のチャンバ。
【請求項16】
上記バッキングプレートは、熱伝導率が少なくとも約200W/mKで、電気抵抗率が約2から約5μΩcmである、請求項13に記載のチャンバ。
【請求項17】
(a)前面及び溝をもつ背面を含むバッキングプレートと、該バッキングプレートの前面に装着されたスパッタリングプレートとで構成されたスパッタリングターゲットと、
(b)上記スパッタリングターゲットに対向する基板支持体と、
(c)上記ターゲットの上記背面の周りにあって熱伝達流体を保持できるハウジングを含む熱交換器と、
(d)上記バッキングプレートの上記背面の周りに位置された複数の回転可能な磁石を含む磁界発生装置と、
(e)上記スパッタリングチャンバにガスを導入するガス分配器と、
(f)上記スパッタリングターゲットをスパッタさせるプラズマを形成するようにガスにエネルギを与えるガスエナジャイザーと、
(g)上記スパッタリングチャンバからガスを排気するガス排気口と、
を備えたスパッタリングチャンバ。
【請求項18】
上記磁界発生装置は、次の特性、
(a)回転可能な磁石が異なる磁束を有すること、
(b)回転可能な磁石が異なる磁界配向を有すること、又は
(c)回転可能な磁石が熱交換器のハウジング内にあること、
の少なくとも1つを有する複数の回転可能な磁石を備えた、請求項17に記載のチャンバ。
【請求項19】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(a)溝が同心的な環状溝であること、又は
(b)溝が半径方向溝であること、
の少なくとも1つを有する複数の溝を備えた、請求項17に記載のチャンバ。
【請求項20】
スパッタリングチャンバ内で基板支持体の周りに配置するための堆積リングであって、上記基板支持体は、平面を有する基板受け入れ面と、基板のオーバーハングエッジの手前で終わる周囲壁とを含むものである堆積リングにおいて、
(a)上記支持体の周囲壁を取り巻く露出面を有する環状バンドを備え、上記露出面は、その平均粗面度が150±50マイクロインチであり、上記環状バンドは、
(i)上記環状バンドから横方向に延びる内側リップであって、上記支持体の周囲壁に実質的に平行で、且つ上記基板のオーバーハングエッジの下で終わる内側リップと、
(ii)上記基板支持体の上記受け入れ面の平面に実質的に平行な持ち上がった峰と、
(iii)上記内側リップと上記持ち上がった峰との間にあって、上記基板のオーバーハングエッジの下に少なくとも部分的に延びる内側開放チャンネルと、
(iv)上記持ち上がった峰の半径方向外方にある棚と、
を備えた堆積リング。
【請求項21】
上記環状バンドは酸化アルミニウムで構成される、請求項20に記載のリング。
【請求項22】
上記酸化アルミニウムは、純度が少なくとも約99.5%である、請求項21に記載のリング。
【請求項23】
上記環状バンドの露出面は、ビード吹き付けされた面である、請求項20に記載のリング。
【請求項24】
請求項20に記載の堆積リングと、カバーリングとを備え、上記堆積リングの上記環状バンドの持ち上がった峰と、そこから離間され且つその上に横たわる上記カバーリングの下面とで、狭いギャップが画成され、該ギャップを通るプラズマ種子の移動を妨げるようにしたリングアッセンブリ。
【請求項25】
スパッタリングチャンバ内で基板支持体の周りに配置するためのカバーリングであって、上記基板支持体は、平面を有する基板受け入れ面を含むものであるカバーリングにおいて、
(i)上記基板支持体の周りの面に載せられる足と、上記基板支持体の上記受け入れ面に実質的に平行な露出面であって、平均粗面度が175±75マイクロインチである露出面とを含む環状プレートと、
(ii)上記環状プレートから下方に延びる第1及び第2の円筒壁であって、該第1円筒壁の第1長さが該第2円筒壁の第2長さより少なくとも約10%短いような第1及び第2の円筒壁と、
を備えたカバーリング。
【請求項26】
上記環状プレートは、ステンレススチールで構成される、請求項25に記載のカバーリング。
【請求項27】
上記環状プレートの露出面は、ビード吹き付けされた面である、請求項25に記載のカバーリング。
【請求項28】
請求項25に記載のカバーリングと、堆積リングとを備え、上記カバーリングの足が上記堆積リングの棚に載せられて、上記カバーリングが上記堆積リングを少なくとも部分的に覆うようにしたリングアッセンブリ。
【請求項29】
上記カバーリングの上記環状プレートと、上記堆積リングの持ち上がった峰とで、狭いギャップが画成され、該ギャップを通るプラズマ種子の移動を妨げるようにした請求項25に記載のリングアッセンブリ。
【請求項30】
スパッタリングチャンバ内で基板支持体の周りに配置するためのリングアッセンブリであって、上記基板支持体は、平面を有する基板受け入れ面と、基板のオーバーハングエッジの手前で終わる周囲壁とを含むものであるリングアッセンブリにおいて、
(a)上記支持体の周囲壁を取り巻く露出面を有する環状バンドを含む堆積リング備え、上記露出面は、その平均粗面度が150±50マイクロインチであり、上記環状バンドは、
(i)上記環状バンドから横方向に延びる内側リップであって、上記支持体の周囲壁に実質的に平行で、且つ上記基板のオーバーハングエッジの下で終わる内側リップと、
(ii)上記基板支持体の上記受け入れ面の平面に実質的に平行な持ち上がった峰と、
(iii)上記内側リップと上記持ち上がった峰との間にあって、上記基板のオーバーハングエッジの下に少なくとも部分的に延びる内側開放チャンネルと、
(iv)上記持ち上がった峰の半径方向外方にある棚と、
を含むものであり、更に、
(b)上記堆積リングを少なくとも部分的に追おうカバーリングを備え、該カバーリングは、
(i)上記基板支持体の周りの面に載せられる足と、上記基板支持体の上記受け入れ面に実質的に平行な露出面であって、平均粗面度が175±75マイクロインチである露出面とを含む環状プレートと、
(ii)上記環状プレートから下方に延びる第1及び第2の円筒壁であって、該第1円筒壁の第1長さが該第2円筒壁の第2長さより少なくとも約10%短いような第1及び第2の円筒壁と、
を含むものであるリングアッセンブリ。
【請求項31】
スパッタリングチャンバ内で基板支持体に対向するスパッタリングターゲットのスパッタリングプレートを包囲して、上記基板支持体及び上記チャンバの側壁へのスパッタリング堆積物の堆積を減少できるシールドアッセンブリにおいて、
(a)上部シールドを備え、該上部シールドは、
(i)支持リップと、
(ii)上記スパッタリングターゲットの上記スパッタリングプレートを包囲するサイズの第1直径をもつ第1円筒面、上記第1直径より小さいサイズの第2直径をもつ第2円筒面、及び該第1面と第2面との間の傾斜面を有する環状バンドと、
を含み、更に、
(b)下部シールドを備え、該下部シールドは、
(i)支持棚と、
(ii)上記上部シールドの下に延びる円筒状外側バンドと、
(iii)上記円筒状外側バンドの底端から半径方向内方に延びるベースプレートと、
(iv)上記ベースプレートに接合され、上記基板支持体を少なくとも部分的に取り巻く円筒状内側バンドと、
を含むものであるシールドアッセンブリ。
【請求項32】
上記上部シールド及び下部シールドの上記露出面は、平均粗面度が175±75マイクロインチである、請求項31に記載のシールドアッセンブリ。
【請求項33】
上記環状バンドの上記露出面は、ビード吹き付けされた面である、請求項31に記載のシールドアッセンブリ。
【請求項34】
上記上部シールド及び下部シールドはアルミニウムで構成される、請求項31に記載のシールドアッセンブリ。
【請求項35】
上記バッキングプレートは、熱伝導率が少なくとも約200W/mKで、電気抵抗率が約2から約5μΩcmである、請求項17に記載のチャンバ。
【請求項1】
スパッタリングチャンバのためのスパッタリングターゲットにおいて、
(a)熱伝導率が少なくとも約200W/mKで、電気抵抗率が約2から約5μΩcmのバッキングプレートと、
(b)上記バッキングプレートに装着されたスパッタリングプレートと、
を備え、該スパッタリングプレートは、
(i)平面を有する円柱状メサ、及び
(ii)上記円柱状メサを取り巻く環状の傾斜リム
を含むものであるスパッタリングターゲット。
【請求項2】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(i)約220から約400W/mKの熱伝導率、又は
(ii)約2.2から約4.1μΩcmの電気抵抗率、
の少なくとも1つを含む請求項1に記載のターゲット。
【請求項3】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(i)銅−クロム合金、又は
(ii)C18000又はC18200で構成される銅−クロム合金、
の少なくとも1つを含む請求項1に記載のターゲット。
【請求項4】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(i)環状溝をもつ背面、
(ii)半径方向溝をもつ背面、及び
(iii)複数の溝をもつ背面、
の少なくとも1つを含む請求項1に記載のターゲット。
【請求項5】
上記環状リムは、上記円柱状メサの平面に対して少なくとも約8°の角度で傾斜される、請求項1に記載のターゲット。
【請求項6】
熱伝達流体を保持できるハウジングを含むと共に、該ハウジング内に複数の回転可能な磁石を含む熱交換器を更に備えた、請求項1に記載のターゲット。
【請求項7】
上記スパッタリングプレートはチタンで構成される、請求項1に記載のターゲット。
【請求項8】
請求項1に記載のスパッタリングターゲットを備えたスパッタリングチャンバにおいて、
(1)請求項1に記載のスパッタリングターゲットが装着され、更に、
(2)上記スパッタリングターゲットに対向した基板支持体と、
(3)上記スパッタリングチャンバにガスを導入するガス分配器と、
(4)上記スパッタリングターゲットをスパッタさせるプラズマを形成するようにガスにエネルギを与えるガスエナジャイザーと、
(5)上記スパッタリングチャンバからガスを排気するガス排気口と、
を備えたスパッタリングチャンバ。
【請求項9】
スパッタリングチャンバのためのスパッタリングターゲットにおいて、
(a)溝をもつ背面を含むバッキングプレートと、
(b)上記バッキングプレートに装着されたスパッタリングプレートと、
を備え、該スパッタリングプレートは、
(i)平面を有する円柱状メサ、及び
(ii)上記円柱状メサを取り巻く環状の傾斜リム
を含むものであるスパッタリングターゲット。
【請求項10】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(i)複数の溝、
(ii)少なくとも約4個の溝、
(iii)同心的な環状溝である溝、及び
(iv)半径方向溝である溝、
の少なくとも1つを含む請求項9に記載のターゲット。
【請求項11】
上記バッキングプレートは、熱伝導率が少なくとも約200W/mKで、電気抵抗率が約2から約5μΩcmである、請求項9に記載のターゲット。
【請求項12】
請求項9に記載のスパッタリングターゲットを備えたスパッタリングチャンバにおいて、
(1)請求項13に記載のスパッタリングターゲットが装着され、更に、
(2)上記スパッタリングターゲットに対向した基板支持体と、
(3)上記スパッタリングチャンバにガスを導入するガス分配器と、
(4)上記スパッタリングターゲットをスパッタさせるプラズマを形成するようにガスにエネルギを与えるガスエナジャイザーと、
(5)上記スパッタリングチャンバからガスを排気するガス排気口と、
を備えたスパッタリングチャンバ。
【請求項13】
(a)前面及び溝をもつ背面を含むバッキングプレートと、該バッキングプレートの前面に装着されたスパッタリングプレートとで構成されたスパッタリングターゲットと、
(b)上記スパッタリングターゲットに対向する基板支持体と、
(c)上記ターゲットの上記背面の周りにあって熱伝達流体を保持できるハウジングを含む熱交換器と、
(d)上記バッキングプレートの上記背面の周りに位置された複数の回転可能な磁石を含む磁界発生装置と、
(e)上記スパッタリングチャンバにガスを導入するガス分配器と、
(f)上記スパッタリングターゲットをスパッタさせるプラズマを形成するようにガスにエネルギを与えるガスエナジャイザーと、
(g)上記スパッタリングチャンバからガスを排気するガス排気口と、
を備えたスパッタリングチャンバ。
【請求項14】
上記磁界発生装置は、次の特性、
(i)磁石が異なる磁束を有する、
(ii)磁石が異なる磁界配向を有する、及び
(iii)磁石が熱交換器のハウジング内にある、
の少なくとも1つを有する複数の回転可能な磁石を備えた、請求項13に記載のチャンバ。
【請求項15】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(i)複数の溝、
(ii)複数の同心的な環状溝、及び
(iii)複数の半径方向溝、
の少なくとも1つを含む請求項13に記載のチャンバ。
【請求項16】
上記バッキングプレートは、熱伝導率が少なくとも約200W/mKで、電気抵抗率が約2から約5μΩcmである、請求項13に記載のチャンバ。
【請求項17】
(a)前面及び溝をもつ背面を含むバッキングプレートと、該バッキングプレートの前面に装着されたスパッタリングプレートとで構成されたスパッタリングターゲットと、
(b)上記スパッタリングターゲットに対向する基板支持体と、
(c)上記ターゲットの上記背面の周りにあって熱伝達流体を保持できるハウジングを含む熱交換器と、
(d)上記バッキングプレートの上記背面の周りに位置された複数の回転可能な磁石を含む磁界発生装置と、
(e)上記スパッタリングチャンバにガスを導入するガス分配器と、
(f)上記スパッタリングターゲットをスパッタさせるプラズマを形成するようにガスにエネルギを与えるガスエナジャイザーと、
(g)上記スパッタリングチャンバからガスを排気するガス排気口と、
を備えたスパッタリングチャンバ。
【請求項18】
上記磁界発生装置は、次の特性、
(a)回転可能な磁石が異なる磁束を有すること、
(b)回転可能な磁石が異なる磁界配向を有すること、又は
(c)回転可能な磁石が熱交換器のハウジング内にあること、
の少なくとも1つを有する複数の回転可能な磁石を備えた、請求項17に記載のチャンバ。
【請求項19】
上記バッキングプレートは、次の特性、
(a)溝が同心的な環状溝であること、又は
(b)溝が半径方向溝であること、
の少なくとも1つを有する複数の溝を備えた、請求項17に記載のチャンバ。
【請求項20】
スパッタリングチャンバ内で基板支持体の周りに配置するための堆積リングであって、上記基板支持体は、平面を有する基板受け入れ面と、基板のオーバーハングエッジの手前で終わる周囲壁とを含むものである堆積リングにおいて、
(a)上記支持体の周囲壁を取り巻く露出面を有する環状バンドを備え、上記露出面は、その平均粗面度が150±50マイクロインチであり、上記環状バンドは、
(i)上記環状バンドから横方向に延びる内側リップであって、上記支持体の周囲壁に実質的に平行で、且つ上記基板のオーバーハングエッジの下で終わる内側リップと、
(ii)上記基板支持体の上記受け入れ面の平面に実質的に平行な持ち上がった峰と、
(iii)上記内側リップと上記持ち上がった峰との間にあって、上記基板のオーバーハングエッジの下に少なくとも部分的に延びる内側開放チャンネルと、
(iv)上記持ち上がった峰の半径方向外方にある棚と、
を備えた堆積リング。
【請求項21】
上記環状バンドは酸化アルミニウムで構成される、請求項20に記載のリング。
【請求項22】
上記酸化アルミニウムは、純度が少なくとも約99.5%である、請求項21に記載のリング。
【請求項23】
上記環状バンドの露出面は、ビード吹き付けされた面である、請求項20に記載のリング。
【請求項24】
請求項20に記載の堆積リングと、カバーリングとを備え、上記堆積リングの上記環状バンドの持ち上がった峰と、そこから離間され且つその上に横たわる上記カバーリングの下面とで、狭いギャップが画成され、該ギャップを通るプラズマ種子の移動を妨げるようにしたリングアッセンブリ。
【請求項25】
スパッタリングチャンバ内で基板支持体の周りに配置するためのカバーリングであって、上記基板支持体は、平面を有する基板受け入れ面を含むものであるカバーリングにおいて、
(i)上記基板支持体の周りの面に載せられる足と、上記基板支持体の上記受け入れ面に実質的に平行な露出面であって、平均粗面度が175±75マイクロインチである露出面とを含む環状プレートと、
(ii)上記環状プレートから下方に延びる第1及び第2の円筒壁であって、該第1円筒壁の第1長さが該第2円筒壁の第2長さより少なくとも約10%短いような第1及び第2の円筒壁と、
を備えたカバーリング。
【請求項26】
上記環状プレートは、ステンレススチールで構成される、請求項25に記載のカバーリング。
【請求項27】
上記環状プレートの露出面は、ビード吹き付けされた面である、請求項25に記載のカバーリング。
【請求項28】
請求項25に記載のカバーリングと、堆積リングとを備え、上記カバーリングの足が上記堆積リングの棚に載せられて、上記カバーリングが上記堆積リングを少なくとも部分的に覆うようにしたリングアッセンブリ。
【請求項29】
上記カバーリングの上記環状プレートと、上記堆積リングの持ち上がった峰とで、狭いギャップが画成され、該ギャップを通るプラズマ種子の移動を妨げるようにした請求項25に記載のリングアッセンブリ。
【請求項30】
スパッタリングチャンバ内で基板支持体の周りに配置するためのリングアッセンブリであって、上記基板支持体は、平面を有する基板受け入れ面と、基板のオーバーハングエッジの手前で終わる周囲壁とを含むものであるリングアッセンブリにおいて、
(a)上記支持体の周囲壁を取り巻く露出面を有する環状バンドを含む堆積リング備え、上記露出面は、その平均粗面度が150±50マイクロインチであり、上記環状バンドは、
(i)上記環状バンドから横方向に延びる内側リップであって、上記支持体の周囲壁に実質的に平行で、且つ上記基板のオーバーハングエッジの下で終わる内側リップと、
(ii)上記基板支持体の上記受け入れ面の平面に実質的に平行な持ち上がった峰と、
(iii)上記内側リップと上記持ち上がった峰との間にあって、上記基板のオーバーハングエッジの下に少なくとも部分的に延びる内側開放チャンネルと、
(iv)上記持ち上がった峰の半径方向外方にある棚と、
を含むものであり、更に、
(b)上記堆積リングを少なくとも部分的に追おうカバーリングを備え、該カバーリングは、
(i)上記基板支持体の周りの面に載せられる足と、上記基板支持体の上記受け入れ面に実質的に平行な露出面であって、平均粗面度が175±75マイクロインチである露出面とを含む環状プレートと、
(ii)上記環状プレートから下方に延びる第1及び第2の円筒壁であって、該第1円筒壁の第1長さが該第2円筒壁の第2長さより少なくとも約10%短いような第1及び第2の円筒壁と、
を含むものであるリングアッセンブリ。
【請求項31】
スパッタリングチャンバ内で基板支持体に対向するスパッタリングターゲットのスパッタリングプレートを包囲して、上記基板支持体及び上記チャンバの側壁へのスパッタリング堆積物の堆積を減少できるシールドアッセンブリにおいて、
(a)上部シールドを備え、該上部シールドは、
(i)支持リップと、
(ii)上記スパッタリングターゲットの上記スパッタリングプレートを包囲するサイズの第1直径をもつ第1円筒面、上記第1直径より小さいサイズの第2直径をもつ第2円筒面、及び該第1面と第2面との間の傾斜面を有する環状バンドと、
を含み、更に、
(b)下部シールドを備え、該下部シールドは、
(i)支持棚と、
(ii)上記上部シールドの下に延びる円筒状外側バンドと、
(iii)上記円筒状外側バンドの底端から半径方向内方に延びるベースプレートと、
(iv)上記ベースプレートに接合され、上記基板支持体を少なくとも部分的に取り巻く円筒状内側バンドと、
を含むものであるシールドアッセンブリ。
【請求項32】
上記上部シールド及び下部シールドの上記露出面は、平均粗面度が175±75マイクロインチである、請求項31に記載のシールドアッセンブリ。
【請求項33】
上記環状バンドの上記露出面は、ビード吹き付けされた面である、請求項31に記載のシールドアッセンブリ。
【請求項34】
上記上部シールド及び下部シールドはアルミニウムで構成される、請求項31に記載のシールドアッセンブリ。
【請求項35】
上記バッキングプレートは、熱伝導率が少なくとも約200W/mKで、電気抵抗率が約2から約5μΩcmである、請求項17に記載のチャンバ。
【図1】
【図2】
【図3A1】
【図3A2】
【図3A3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6B1】
【図6B2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9A】
【図2】
【図3A1】
【図3A2】
【図3A3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6B1】
【図6B2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9A】
【公開番号】特開2007−146294(P2007−146294A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−314614(P2006−314614)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314614(P2006−314614)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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