説明

スパッタリング装置及び膜形成方法

【課題】装置設計や部材配置の煩雑さを回避することができ、量産性に優れたスパッタリング装置及び膜形成方法を提供する。
【解決手段】基板Wを収容可能に設けられ、前記基板Wを成膜する成膜室2と、対向配置されスパッタ粒子5Pを発生可能な一対のターゲットを有し、前記一対のターゲットから生じる前記スパッタ粒子を前記基板側へ向けて放出するスパッタ粒子放出部3と、前記基板Wと前記スパッタ粒子放出部3との間に設けられ、前記スパッタ粒子を選択的に通過させるスリット開口Sを有するスリット部材と、前記基板Wが前記スリット開口S上を通過するように前記成膜室内の前記基板Wを所定方向に搬送する搬送機構と、前記スリット開口S上において、前記基板Wを移動させる基板移動モードと前記基板Wの移動を停止させる基板停止モードとを交互に繰り返すように前記搬送装置に前記基板Wを搬送させる制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング装置及び膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置の光変調手段として用いられる液晶装置は、一対の基板間の周縁部にシール材が配設され、その中央部に液晶層が封止されて構成されている。その一対の基板の内面側には液晶層に電圧を印加する電極が形成され、これら電極の内面側には非選択電圧印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜が形成されている。このような構成によって液晶装置は、非選択電圧印加時と選択電圧印加時との液晶分子の配向変化に基づいて光源光を変調し、表示画像を形成するようになっている。
【0003】
ところで、前述した配向膜としては、側鎖アルキル基を付加したポリイミド等からなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが一般に用いられている。しかし、このようなラビング法は簡便であるものの、物理的にポリイミド膜をこすることでポリイミド膜に対して配向特性を付与するために、種々の不都合が指摘されている。
【0004】
具体的には、(1)配向性の均一さを確保することが困難であること、(2)ラビング処理時の筋跡が残り易いこと、(3)配向方向の制御およびプレチルト角の選択的な制御が可能ではなく、また広視野角を得るために用いられるマルチドメインを使用した液晶パネルには適さないこと、(4)ガラス基板からの静電気による薄膜トランジスタ素子の破壊や、配向膜の破壊が生じ、歩留まりを低下させること、(5)ラビング布からのダスト発生による表示不良が発生しがちであること、などである。
【0005】
また、このような有機物からなる配向膜では、液晶プロジェクタのような高出力光源を備えた機器に用いた場合、光エネルギーにより有機物がダメージを受けて配向不良を生じてしまう。特に、プロジェクタの小型化および高輝度化を図った場合には、液晶パネルに入射する単位面積あたりのエネルギーが増加し、入射光の吸収によりポリイミドそのものが分解し、また、光を吸収したことによる発熱でさらにその分解が加速される。その結果、配向膜に多大なダメージが付加され、機器の表示特性が低下してしまう。
【0006】
そこで、このような不都合を解消するため、対向配置されるターゲットから放出されるスパッタ粒子を1方向から斜めに基板に入射させるようにスパッタリングを実施することにより、基板に対して斜め方向に結晶成長した複数の柱状構造を有する無機配向膜を形成する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
対向ターゲット型のスパッタ装置において、より信頼性の高い無機配向膜を形成できる手法の提供が望まれている。無機配向膜の信頼性を向上させるには、基板に対するスパッタ粒子の入射角度の制御性を高めることが重要とされる。従来の装置においては、スパッタリングを実施する度に、スパッタ粒子の入射角度を調整するための装置設計やターゲットなどの部材の配置を精緻に行うようにしていた。
【特許文献1】特開2007−286401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の装置設計及び部材配置は極めて煩雑であり、作業時間を要するものであったため、量産性の向上の面で不具合が生じる虞があった。
【0009】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、装置設計や部材配置の煩雑さを回避することができ、量産性に優れたスパッタリング装置及び膜形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るスパッタリング装置は、基板を収容可能に設けられ、前記基板を成膜する成膜室と、対向配置されスパッタ粒子を発生可能な一対のターゲットを有し、前記一対のターゲットから生じる前記スパッタ粒子を前記基板側へ向けて放出するスパッタ粒子放出部と、前記基板と前記スパッタ粒子放出部との間に設けられ、前記スパッタ粒子を選択的に通過させるスリット開口を有するスリット部材と、前記基板が前記スリット開口上を通過するように前記成膜室内の前記基板を所定方向に搬送する搬送機構と、前記スリット開口上において、前記基板を移動させる基板移動モードと前記基板の移動を停止させる基板停止モードとを交互に繰り返すように前記搬送装置に前記基板を搬送させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明では、スリット開口によって成膜に寄与するスパッタ粒子が選択されるため、基板を停止させて成膜する場合、基板上には所定値のプレチルト角を有する膜が形成されることとなる。これに加えて、基板を移動させて成膜することにより、膜のプレチルト角は所定値よりも大きくすることができる。
【0012】
このようなスリット開口を備える場合において、基板がスリット開口上を通過する際、基板の移動と基板の停止とを繰り返しながら基板を搬送させつつ成膜することにより、膜のプレチルト角を所定値以上の範囲で所望の値に制御することができる。このように、装置設計や部材配置を変更したりすることなくプレチルト角を制御することができるため、設計等の煩雑さを回避することができ、量産性に優れたスパッタリング装置を得ることができる。
【0013】
上記のスパッタリング装置において、前記制御部は、それぞれの前記基板移動モードについて、一枚の前記基板を処理する際の毎回の移動時間が同一になるように前記基板を搬送させることを特徴とする。
本発明によれば、それぞれの基板移動モードについて、一枚の基板を処理する際の毎回の移動時間を同一にするので、基板移動中に形成される膜のプレチルト角のバラつきを防ぐことができる。これにより、膜質を向上させることができる。
【0014】
上記のスパッタリング装置において、前記制御部は、それぞれの前記基板移動モードについて、一枚の前記基板を処理する際の毎回の移動速度が同一となるように前記基板を搬送させることを特徴とする。
本発明によれば、それぞれの基板移動モードについて、一枚の基板を処理する際の毎回の移動速度を同一とするので、基板移動中に形成される膜のプレチルト角のバラつきを防ぐことができる。これにより、膜質を向上させることができる。
【0015】
上記のスパッタリング装置において、前記制御部は、それぞれの前記基板停止モードについて、一枚の前記基板を処理する際の毎回の停止時間が同一になるように前記基板の移動を停止させることを特徴とする。
本発明によれば、それぞれの基板停止モードについて、一枚の基板を処理する際の毎回の停止時間を同一とするので、基板停止中に形成される膜のプレチルト角のバラつきを防ぐことができる。これにより、膜質を向上させることができる。
【0016】
上記のスパッタリング装置において、前記制御部は、前記スリット開口の寸法に応じて、前記基板の移動時間、前記基板の移動速度及び前記基板の停止時間のうち少なくとも1つを調節することを特徴とする。
本発明によれば、スリット開口の寸法に応じて基板の移動時間、移動速度、停止時間のうち少なくとも1つを調節するので、スリット開口の寸法が異なる場合であっても、形成される膜のプレチルト角を所望の値に調節することができる。これにより、適用範囲の広いスパッタリング装置を得ることができる。
【0017】
本発明に係る膜形成方法は、スパッタリング装置によって基板に膜を形成する膜形成方法であって、前記スパッタリング装置は、基板を収容可能に設けられ、前記基板を成膜する成膜室と、対向配置されスパッタ粒子を発生可能な一対のターゲットを有し、前記一対のターゲットから生じる前記スパッタ粒子を前記基板側へ向けて放出するスパッタ粒子放出部と、前記基板と前記スパッタ粒子放出部との間に設けられ、前記スパッタ粒子を選択的に通過させるスリット開口上を有するスリット部材と、前記基板が前記スリット開口上を通過するように前記成膜室内の前記基板を所定方向に搬送する搬送機構とを備え、前記スリット開口上において、前記基板を移動させる基板移動モードと前記基板の移動を停止させる基板停止モードとを交互に繰り返すように前記基板を搬送することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、基板の移動と基板の停止とを繰り返しながら基板を搬送させつつ成膜することにより、膜のプレチルト角を所定値以上の範囲で所望の値に制御することができる。このように、装置設計や部材配置を変更したりすることなくプレチルト角を制御することができるため、設計等の煩雑さを回避することができ、量産性に優れたスパッタリング装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。なお、以下の図面においては、成膜室内での基板の搬送方向をX方向、基板の厚さ方向をZ方向、XZ方向にそれぞれに直交する方向をY方向、ターゲットの厚さ方向をZa方向、スパッタ粒子の放出方向をXa方向とした。
【0020】
(スパッタリング装置、及び液晶装置の製造装置)
図1(a)は本発明のスパッタリング装置(以下、スパッタ装置と称す)の一実施形態に係る概略構成を示す図であり、図1(b)はスパッタ装置を−Za方向に観察した側面構成図である。
【0021】
図1(a)に示すように、スパッタ装置1は、本発明の液晶装置の製造装置を構成し、液晶装置の構成部材となる基板W上にスパッタ法により無機配向膜を成膜するものである。スパッタ装置1は、基板Wを収容する真空チャンバーである成膜室2と、前記基板Wの表面にスパッタ粒子を放出することにより無機材料からなる配向膜を形成するスパッタ粒子放出部3とを備えている。
【0022】
スパッタ粒子放出部3は、そのプラズマ生成領域に放電用のアルゴンガスを流通させる第1のガス供給手段21を備えており、成膜室2は、内部に収容された基板W上に飛来する配向膜材料と反応して無機配向膜を形成する反応ガスとしての酸素ガスを供給する第2のガス供給手段22を備えている。また、上記成膜室2には、その内部圧力を制御し、所望の真空度を得るための排気制御装置20が配管20aを介して接続されている。
【0023】
前記第2のガス供給手段22は、接続部3Bに関して排気制御装置20と反対側に接続されており、第2のガス供給手段22から供給される酸素ガスは、成膜室2の+X側から基板W上を経由して排気制御装置20側へ図示−X方向に流通するようになっている。
【0024】
また実際のスパッタ装置では、成膜室2の真空度を保持した状態での基板Wの搬入/搬出を可能とするロードロックチャンバーが、成膜室2のX軸方向外側に備えられている。
ロードロックチャンバーにも、これを独立して真空雰囲気に調整する排気制御装置が接続され、ロードロックチャンバーと成膜室2とは、チャンバー間を気密に閉塞するゲートバルブを介して接続されている。かかる構成により、成膜室2を大気に解放することなく基板Wの出し入れを行えるようになっている。
【0025】
スパッタ装置1は、基板Wをその被処理面(成膜面)が水平(XY面に平行)になるようにして保持する基板ホルダ6を有している。この基板ホルダ6には、基板ホルダ6を図示略のロードロックチャンバー(図示せず)側からその反対側へ水平に搬送する搬送装置6aが接続されている。搬送装置6aによる基板Wの搬送方向は、図1においてX軸方向に平行であり、第1、第2のターゲット5a、5bの長さ方向(Y軸方向)と直交する方向となっている。この搬送装置6aは、基板Wを一定速度で搬送可能となっており、後述するようにスパッタ粒子放出部3から放出されるスパッタ粒子5Pにより基板W上に良質な無機配向膜を形成できるようになっている。搬送装置6aは、制御装置CONTによってその搬送動作が制御されるようになっている。
【0026】
スパッタ粒子放出部3は、対向配置される第1、第2のターゲット5a,5bを有する所謂、対向ターゲット型のスパッタ装置を構成するものである。また、スパッタ粒子放出部3は、箱型筐体部3Aと、この箱型筐体部3Aを成膜室2に取付けるための上記接続部3Bと、を備えている。接続部3Bは、箱形筐体部3Aと成膜室2とを接続させるフランジなどにより構成されるものである。
【0027】
図2は、図1(a)に示すスパッタ粒子放出部3の構成を示す図であり、図2(a)はスパッタ粒子放出部3を成膜室2側から見た平面図であり、図2(b)は図2(a)におけるG−G’矢視図である。
【0028】
図1及び図2に示すように、第1電極9a及び第2電極9bは、それらの一端部(−Xa側端部)に接続された側壁部材19と、第1電極9a及び第2電極9bのY軸方向両端部にそれぞれ接続された側壁部材9c、9dとともにスパッタ粒子放出部3の真空チャンバーとなる上記箱形筐体部3Aを構成している。ただし、箱形筐体部3Aを構成する第1電極9a、第2電極9b、及び側壁部材(9c、9d、19)は互いに絶縁された構造である。上記接続部は、その一端側が箱型筐体部3Aに連通されるとともに、他端側が開口部3Bを介して成膜室2の内部と連通されている。これにより、箱形筐体部3Aは、第1電極9a及び第2電極9bの側壁部材19と反対側の端部から上記開口部3Bを介してスパッタ粒子5Pを成膜室2内に放出可能となっている。
【0029】
第1のターゲット5aは略平板状の第1電極9aに装着され、第2のターゲット5bは略平板状の第2電極9bに装着されている。なお、上記電極9a、9bに支持された第1、第2のターゲット5a、5bは、基板W上に形成する無機配向膜の構成物質を含む材料、例えばシリコンからなるものとされる。また、第1、第2のターゲット5a、5bは、図示Y方向に延びる細長い板状のものが用いられており(図2参照)、互いの対向面がほぼ平行になるように設置されている。
【0030】
接続部3Bは、成膜室2内部に収容される基板Wの成膜面法線方向(図3中、破線H)に対し、スパッタ粒子放出部3内に保持されるターゲット5a,5bの面方向が所定の角度θをなすように形成されており、その一端側に接続される箱形筐体部3Aを基板Wに対して所定の角度で斜めに向けて配置している。
【0031】
すなわち、電極9a,9bに装着された第1、第2のターゲット5a,5bは、上述の接続部3Bにより基板Wに対して傾いた状態とされている。第1のターゲット5a(上部ターゲット)は基板W側(+Z方向)に配置され、第2のターゲット5b(下部ターゲット)は第1のターゲット5aに対して下部側(−Z方向)に配置される。
【0032】
このように本実施形態では、スパッタ粒子放出部3は、上記搬送装置6aにより成膜室2内を第1のターゲット5a側から第2のターゲット5b側(すなわち、+X方向)に搬送される基板Wに対しスパッタ粒子5Pを放出して基板W上に無機配向膜を形成する。
【0033】
より具体的には、ターゲット5a,5bは、上記所定角度θとして、基板Wの法線方向に対して10°〜60°傾けられた状態に保持されるのが好ましい。基板Wに対するターゲット5a,5bの傾斜角度を上記範囲内に設定することにより所望の無機配向膜を形成可能となっている。
【0034】
また、上記第1電極9aには直流電源又は高周波電源からなる電源4aが接続され、第2電極9bには直流電源又は高周波電源からなる電源4bが接続されており、各電源4a、4bから供給される電力によりターゲット5a、5bが対向する空間(プラズマ生成領域)にプラズマPzを発生させるようになっている。
【0035】
また、第1電極9aのターゲット5aと反対側にはターゲット5aを冷却するための第1の冷却手段8aが設けられており、第1の冷却手段8aには。第1の冷媒循環手段18aが配管等を介して接続されている。また第2電極9bのターゲット5bと反対側には、ターゲット5bを冷却するための第2の冷却手段8bが設けられており、第2の冷却手段8bには、配管等を介して第2の冷媒循環手段18bが接続されている。第1の冷却手段8aは、図1(b)に示すようにターゲット5aとほぼ同一の平面寸法に形成されており、第1電極9aを介してターゲット5aと平面視で重なる位置に配設されている。また特に図示はしないが、第2の冷却手段8bについても同様にターゲット5bと平面視で重なる位置に配設されている。冷却手段8a、8bは内部に冷媒を流通させる冷媒流路を備えており、かかる冷媒流路に対して冷媒循環手段18a、18bから供給される冷媒を循環させることでターゲット5a、5bの冷却を行うようになっている。
【0036】
図1(a)に示すように、ターゲット5a、5bに挟まれるプラズマ生成領域に対して成膜室2と反対側に配置された側壁部材19には、上記第1のガス供給手段21が接続されており、第1のガス供給手段21から供給されるアルゴンガスは、側壁部材19側からプラズマ生成領域(ターゲット対向領域)に流入し、接続部3Bを介して成膜室2内に流入するようになっている。そして、成膜室2に流入したアルゴンガスは、第2のガス供給手段22から供給されて流通する酸素ガスと合流して排気制御装置20側へ流れるようになっている。
【0037】
また、図1(b)に示すように、平面視矩形状の第1の冷却手段8aを取り囲むようにして矩形枠状の永久磁石、電磁石、これらを組み合わせた磁石等からなる第1の磁界発生手段16aが配設されており、図1(a)に示す第2の冷却手段8bを取り囲む第2の磁界発生手段16bも同様の形状である。
【0038】
なお、冷却手段8a、8bは、導電部材により作製してそれぞれ第1電極9a、9bと電気的に接続してもよく、この場合には冷却手段8a、8bに対しそれぞれ電源4a、4bを電気的に接続することができる。また、第1電極9a、9bの内部に冷媒流路を形成することで第1電極9a、9bが冷却手段を兼ねる構成としてもよい。
【0039】
図1,2に示すように、第1の磁界発生手段16aと第2の磁界発生手段16bとは、対向配置されたターゲット5a、5bの外周部で互いに対向して配置されている。そして、これらの磁界発生手段16a、16bがターゲット5a、5bを取り囲むZa方向の磁界をスパッタ粒子放出部3内に発生させ、かかる磁界によってプラズマPzに含まれる電子をプラズマ生成領域内に拘束する電子拘束手段を構成している。
【0040】
また、基板ホルダ6には、保持した基板Wを加熱するためのヒータ(加熱手段)7が設けられており、さらに、保持した基板Wを冷却するための第3の冷却手段8cが設けられている。ヒータ7は、電源等を具備した制御部7aに接続されており、制御部7aを介した昇温動作により所望の温度に基板ホルダ6を加熱し、これによって基板Wを所望の温度に加熱できるように構成されている。一方、第3の冷却手段8cは、第3の冷媒循環手段18cと配管等を介して接続されており、第3の冷媒循環手段18cから供給される冷媒を循環させることにより所望の温度に基板ホルダ6を冷却し、これによって基板Wを所望の温度に冷却するように構成されている。
【0041】
ところで、基板W上に形成される無機配向膜の品質を向上させるべく、本実施形態に係るスパッタ装置1は、スパッタ粒子放出部3から基板W上に放出されるスパッタ粒子5Pを選択的に通過させるスリット開口Sを有するスリット板(スリット部材)50を、成膜室2内部であってスパッタ粒子放出部3と基板Wとの間に備えている。このスリット板50は、アルミニウム等の非磁性金属からなるもので、不図示の領域において成膜室2の壁部と電気的に導通して接地電位に保持されている。なお、このスリット板50は、後述するようにスパッタ粒子放出部3に対して所定の関係を満たすよう位置決めされている。
【0042】
図3は、スリット板50とスパッタ粒子放出部3との位置関係を説明するための図である。スリット板50は、スリット開口Sによる開口領域にスパッタ粒子5Pを選択的に通過させることで、スパッタ粒子5Pによる成膜状態(膜質)をコントロール可能となっている。スパッタ粒子5Pは、スリットの外まで回り込んで成膜に寄与する。このため、スリット開口S上においてスパッタ粒子5Pが存在する領域(成膜エリア)SAの基板搬送方向の寸法L2は、スリット開口Sの同方向の寸法L1に対して、L2>L1となる。
【0043】
スパッタ装置1により液晶装置の構成部材である基板W上に無機配向膜を形成するには、第1のガス供給手段21からアルゴンガスを導入しつつ、第1電極9a及び第2電極9bにDC電力(RF電力)を供給することで、ターゲット5a、5bに挟まれる空間にプラズマPzを発生させ、プラズマ雰囲気中のアルゴンイオン等をターゲット5a、5bに衝突させることで、ターゲット5a、5bから配向膜材料(シリコン)をスパッタ粒子5Pとしてたたき出し、さらにプラズマPzに含まれるスパッタ粒子5Pのうち、プラズマPzから開口部25側へ飛行するスパッタ粒子5Pのみを成膜室2側へ放出する。
【0044】
そして、基板Wの面上に斜め方向から飛来したスパッタ粒子5Pと、成膜室2を流通する酸素ガスとを基板W上で反応させることで、シリコン酸化物からなる配向膜を基板W上に形成するようになっている。
【0045】
なお、本実施形態では、スパッタ粒子5Pとしてのシリコンを、第2のスパッタガスである酸素ガスと反応させることでシリコン酸化物を基板W上に成膜する場合について説明しているが、ターゲット5a、5bとして例えばシリコン酸化物(SiOx)やアルミニウム酸化物(AlOy等)などを用い、ターゲット5a、5bに対してRF電力を入力してスパッタ動作を行うことで、これらシリコン酸化物やアルミニウム酸化物からなる無機配向膜を基板W上に形成することができる。またこの場合において、第2のスパッタガス(酸素ガス)を成膜室2内に流通させておくことで、形成される無機配向膜の酸化物組成からのずれを防止することができ、無機配向膜の絶縁性を高めることができる。
【0046】
上記構成を備えたスパッタ装置1によれば、対向ターゲット型のスパッタ粒子放出部3を基板Wに対して所定角度(θ:10°〜60°の範囲)傾けて配置しているので、スパッタ粒子放出部3の開口部25から放出されるスパッタ粒子5Pを所定角度で基板Wの成膜面に入射させることができる。
【0047】
このとき、本実施形態では、開口部25と基板Wとの間に配置されたスリット板50に形成されたスリット開口Sを介し、スパッタレートの高いスパッタ粒子5Pの堆積により、一方向に配向した柱状構造を具備した無機配向膜を基板W上に形成することができるようになっている。
【0048】
また、対向ターゲット型のスパッタ粒子放出部3では、開口部25から放出されないスパッタ粒子は、主にターゲット5a、5bに入射して再利用されるため、極めて高いターゲット利用効率を得られるようになっている。さらにスパッタ粒子放出部3においては、ターゲット間隔を狭めることで開口部25から放出されるスパッタ粒子の指向性を高めることができるので、基板Wに到達するスパッタ粒子の入射角は高度に制御されたものとなり、形成される無機配向膜における柱状構造の配向性も良好なものとなる。
【0049】
また、本実施形態に係るスパッタ装置1では、上記成膜動作に際して、スパッタ粒子放出部3のターゲット5a、5bを取り囲む矩形枠状の磁界発生手段16a、16bにより形成される磁界によって、プラズマPzに含まれる電子5rを捕捉ないし反射させることができ、プラズマPzをターゲット5a、5bが対向する領域内に良好に閉じ込めることができるので、前記電子5rが基板Wの成膜面に入射して基板W表面の濡れ性が上昇するのを防止することができる(図1参照)。
【0050】
ところで、磁界発生手段16a、16bからなる電子拘束手段が設けられているものの、この電子拘束手段から電子等が洩れ出て基板Wに到達すると基板W表面の濡れ性が上昇してスパッタ粒子のマイグレーションが生じ、柱状構造の形成が阻害されるおそれがある。そこで、本実施形態では、上述のようにスリット板50を接地電位に保持することで、例えばスパッタ粒子放出部内から漏れ出しプラズマPz中の電子やイオン状物質をスリット板50により捕捉して除去することができ、これにより基板WにプラズマPzの影響が及ぶのを防止することができる。よって、基板W上に信頼性の高い無機配向膜を形成できる。
【0051】
したがって、本実施形態のスパッタ装置1によれば、配向性の良好な無機配向膜を基板W上に容易に形成することができる。
【0052】
さらにスパッタ装置1では、ターゲット5a、5bに細長い板状のものを用いており、スパッタ粒子放出部3からY軸方向に延びるライン状にスパッタ粒子を放出させることができる。そして、基板ホルダ6は前記スパッタ粒子のラインと直交する方向(X軸方向)に基板Wを搬送することができるようになっているので、前記スパッタ粒子のラインにより基板W上を走査するようにして面状に成膜を行うことができ、連続的に基板処理を行うことができ、極めて高い生産効率を実現することができる。
【0053】
また、基板ホルダ6に基板Wを冷却するための第3の冷却手段8cを設けているので、成膜時に第3の冷却手段8cによって基板Wを冷却し、基板Wを室温等の所定温度に保持することができ、スパッタによって基板Wに付着した配向膜材料分子の基板上での拡散(マイグレーション)を抑制することができる。これにより、基板W上における配向膜材料の局所的な成長が促進され、一軸方向に柱状に成長した配向膜を容易に得られるようになる。
【0054】
なお、上記スパッタ装置1は、上述の実施形態に係る構成に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では、箱形筐体の対向する二側壁を成す第1電極9a及び第2電極9bにのみターゲット5a、5bが支持されている構成としているが、対向ターゲット型のスパッタ装置では、図2に示すように、側壁部材9c、9d、19にもそれぞれターゲット5c、5d、5eを配設することができる。このような構成において、各側壁部材9c、9d、19に電源を接続して電極として機能させ、前記各ターゲット5c、5d、5eに電力を供給するならば、これらのターゲット5c、5d、19から放出されるスパッタ粒子を成膜に用いることができるので、成膜速度の向上が期待できる。また、プラズマ生成領域を取り囲むようにしてターゲット5a〜5eが配置されていると、開口部3aから成膜室2へ放出されるスパッタ粒子を除くスパッタ粒子はプラズマPzを取り囲むターゲット5a〜5eに入射して、他のスパッタ粒子の生成等に再利用されるので、ターゲットの利用効率を高めることができる。
【0056】
上記構成においては、ターゲット5c、5d、5eを冷却するための冷却手段を各側壁部材9c、9d、19に隣接して設けることが好ましい。さらには、増設したターゲット5c、5d、5eに対応して電子拘束手段(磁界発生手段)の配置を変更し、プラズマPzとターゲット5a〜5eとの位置関係を最適化することが好ましい。
【0057】
次に、上記スパッタ装置1を用いた膜形成方法(基板W上に無機配向膜を形成する工程)について説明する。基板Wとして、液晶装置用基板としてスイッチング素子や電極等、所定の構成部材が形成された基板を用意する。次いで、基板Wを成膜室2に併設されたロードロックチャンバー内に収容し、ロードロックチャンバー内を減圧して真空状態とする。また、これとは別に、排気制御装置を作動させて成膜室2内を所望の真空度に調整しておく。
【0058】
続いて、基板Wを成膜室2内に搬送し、基板ホルダ6にセットする。そして、配向膜形成の前処理として、基板ホルダ6のヒータ7によって基板Wを例えば250℃〜300℃程度で加熱し、基板Wの表面に付着した吸着水やガスなどの脱水・脱ガス処理を行う。次いで、ヒータ7による加熱を停止した後、スパッタリングによる基板温度の上昇を抑制するため、第3の冷媒循環手段18cを作動させて第3の冷却手段8cに冷媒を循環させることで基板Wを所定温度、例えば室温に保持する。
【0059】
次に、アルゴンガスを第1のガス供給手段21からスパッタ粒子放出部3内に所定流量で導入し、酸素ガスを第2のガス供給手段22から所定流量で成膜室2内に導入するとともに、排気制御装置20を作動させ、所定の操作圧力、例えば10−1Pa程度に調整する。酸素ガスプラズマでは酸素ラジカル、酸素の負イオンが発生するため、本実施形態の製造装置では、プラズマ生成領域であるターゲット5a、5bの前面にはアルゴンガスのみを導入し、酸素ガスは別系統のガス供給路から基板W上へ流入させている。また、成膜中にも必要に応じてヒータ7、第3の冷却手段8cを作動させることにより、基板Wを室温に保持することが好ましい。
【0060】
このように成膜条件を整えた後、移動手段(基板移動手段)6aにより基板Wを図1中のX方向に搬送させてスパッタリング処理を行う。ターゲット5a、5bからは配向膜材料となるスパッタ粒子(シリコン)が放出されるが、対向ターゲット型のスパッタ粒子放出部3では、ターゲット対向方向に進行するスパッタ粒子はプラズマPz内に閉じ込められ、ターゲット面方向に向かって進行するスパッタ粒子5Pのみが開口部25から成膜室2内に放出される。
【0061】
本実施形態では、まず基板Wをスリット板50のスリット開口S上まで移動させる。その後、スリット開口S上の成膜エリアSAを搬送しながら成膜する。スリット開口S上を搬送する際、制御装置CONTは、搬送装置6aに対して基板Wを移動させる基板移動モードと、基板Wの移動を停止させる基板停止モードとを交互に繰り返しながら基板Wを搬送させる。
【0062】
すなわち、制御装置CONTは、まず基板Wを一定速度vで時間t1だけ移動させる(基板移動モード)。その後、制御装置CONTは、基板Wの移動を時間t2だけ停止させる(基板停止モード)。時間t2の経過後、制御装置CONTは、再び基板Wを一定速度vで時間t1だけ移動させ、時間t1経過後は基板Wの移動を時間t2だけ停止させる。各モードを交互に複数回繰り返した後、制御装置CONTは、最後に基板Wを時間t1だけ一定速度vで移動させ、成膜エリアSA上での搬送を完了させる。
【0063】
制御装置CONTは、各基板移動モードについて基板Wの移動時間t1及び基板Wの移動速度vが全て同一となるように基板Wを搬送させる。したがって、基板移動モードを1回行う毎に、基板Wは、t1・vの距離だけ移動することになる。加えて、制御装置CONTは、各基板停止モードについて基板Wの停止時間t2が全て同一となるように基板Wの移動を停止させる。
【0064】
基板Wがスリット開口S上の成膜エリアSAを通過する全時間をTとし、各モードの繰り返し回数をNとすると、
T=t1+N・(t1+t2)
L2=(N+1)・t1・v
という関係を満たす。
【0065】
t1、t2、v、Nの各パラメータについては、予め実験やシミュレーションなどによって最適な値を求めておくことが好ましい。このとき、各パラメータについてそれぞれ複数の最適値を求めておき、これら複数の最適値を組み合わせるようにしても構わない。求めた最適値は、制御装置CONT内の不図示の記憶装置などに記憶させておくことができる。当該実験又はシミュレーションを行う場合、スパッタ粒子5Pの通過量はスリット開口Sの寸法L1に依存するため、当該寸法L1を変化させたときの値についても求めておくことが好ましい。基板Wの用途によって求められる膜のプレチルト角が異なるため、実験又はシミュレーションにおいて、用途に応じて所望のプレチルト角が得られるように各パラメータの最適値を求めておいても構わない。
【0066】
スパッタ粒子5Pは、スリット板50のスリット開口Sに臨む基板Wの成膜面に対してのみ選択的に入射し、基板W上で酸素ガスと反応してシリコン酸化物の被膜を形成する。このように基板Wに対して斜めに傾けて配置されたスパッタ粒子放出部3から放出されたスパッタ粒子5Pは、基板Wの成膜面に対して所定の角度、すなわち角度θで入射するようになる。その結果、基板W上で酸素ガスとスパッタ粒子5Pとの反応を伴って堆積した無機配向膜は、前記の入射角θに対応した角度で傾斜する柱状構造を有した無機配向膜となる。
【0067】
図4は、移動時間t1と停止時間t2のうちt2の占める割合t2/(t1+t2)と、形成される膜のプレチルト角との関係を示す図である。同図に示すように、t2=0の場合は基板Wを単に一定速度vで移動させる動作となり、形成される膜のプレチルト角は所定値θとなる。t2>0の場合、t2の値が大きくなるにつれて(t1がその分小さくなるにつれて)徐々に静止成膜に近い状態が実現される。静止成膜では形成される膜のプレチルト角が0°になることが知られている。したがって、t1、t2、vを組み合わせることにより、0°からθ°の間でプレチルト角を制御することができる。
【0068】
また、図4に示すように、t2/(t1+t2)が0に近づくほどt1とt2の比率の変化がプレチルト角に与える影響が大きくなり、当該比率が1に近づくほどプレチルト角に与える影響が小さくなる。この影響の大小は、スリット開口Sの寸法L1、スリット開口Sの位置、繰り返し数Nによって変化するため、実験やシミュレーション等を行う場合には当該影響が最適となるように寸法L1、スリット開口Sの位置及び繰り返し数Nの最適値を求めておくことが好ましい。
【0069】
このように、本実施形態によれば、スリット開口Sによって成膜に寄与するスパッタ粒子5Pが選択されるため、基板Wを停止させて成膜する場合、基板W上には0°のプレチルト角を有する膜が形成されることとなる。これに加えて、基板Wを移動させて成膜することにより、膜のプレチルト角を0°よりも大きくすることができる。
【0070】
このようなスリット開口Sを備える場合において、基板Wがスリット開口Sの成膜エリアSAを通過する際、基板Wの移動と基板Wの停止とを繰り返しながら基板Wを搬送させつつ成膜することにより、膜のプレチルト角を0°以上θ°以下の範囲で所望の値に制御することができる。このように、装置設計や部材配置を変更したりすることなくプレチルト角を制御することができるため、設計等の煩雑さを回避することができ、量産性に優れたスパッタ装置1を得ることができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、それぞれの基板移動モードについて、一枚の基板Wを処理する際の毎回の移動時間t1、移動速度vを同一にするので、基板Wの移動中に形成される膜のプレチルト角のバラつきを防ぐことができる。また、それぞれの基板停止モードについて、一枚の基板Wを処理する際の毎回の停止時間t2を同一とするので、基板停止中に形成される膜のプレチルト角のバラつきを防ぐことができる。これにより、膜質を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、スリット開口Sの寸法L1に応じて基板Wの移動時間t1、移動速度v、停止時間t2のうち少なくとも1つを調節するので、スリット開口Sの寸法L1が異なる場合であっても、形成される膜のプレチルト角を所望の値に調節することができる。これにより、適用範囲の広いスパッタ装置1を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】スパッタ装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すスパッタ装置の詳細構成を示す図である。
【図3】スリット板とスパッタ粒子放出部との位置関係を説明するための図である。
【図4】移動時間及び停止時間の占有率と膜のプレチルト角との関係を示す図。
【符号の説明】
【0074】
1…スパッタ装置(スパッタリング装置)、2…成膜室、3…スパッタ粒子放出部、5a…第1のターゲット、5b…第2のターゲット、5P…スパッタ粒子、6a…搬送装置、25…開口部、25a…上流側開口端、CONT…制御装置、S…スリット開口、S2…スリット開口端、Pz…プラズマ、W…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容可能に設けられ、前記基板を成膜する成膜室と、
対向配置されスパッタ粒子を発生可能な一対のターゲットを有し、前記一対のターゲットから生じる前記スパッタ粒子を前記基板側へ向けて放出するスパッタ粒子放出部と、
前記基板と前記スパッタ粒子放出部との間に設けられ、前記スパッタ粒子を選択的に通過させるスリット開口を有するスリット部材と、
前記基板が前記スリット開口上を通過するように前記成膜室内の前記基板を所定方向に搬送する搬送機構と、
前記スリット開口上において、前記基板を移動させる基板移動モードと前記基板の移動を停止させる基板停止モードとを交互に繰り返すように前記搬送装置に前記基板を搬送させる制御部と
を備えることを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項2】
前記制御部は、それぞれの前記基板移動モードについて、一枚の前記基板を処理する際の毎回の移動時間が同一になるように前記基板を搬送させる
ことを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
前記制御部は、それぞれの前記基板移動モードについて、一枚の前記基板を処理する際の毎回の移動速度が同一となるように前記基板を搬送させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記制御部は、それぞれの前記基板停止モードについて、一枚の前記基板を処理する際の毎回の停止時間が同一になるように前記基板の移動を停止させる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記スリット開口の寸法に応じて、前記基板の移動時間、前記基板の移動速度及び前記基板の停止時間のうち少なくとも1つを調節する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
スパッタリング装置によって基板に膜を形成する膜形成方法であって、
前記スパッタリング装置は、
基板を収容可能に設けられ、前記基板を成膜する成膜室と、
対向配置されスパッタ粒子を発生可能な一対のターゲットを有し、前記一対のターゲットから生じる前記スパッタ粒子を前記基板側へ向けて放出するスパッタ粒子放出部と、
前記基板と前記スパッタ粒子放出部との間に設けられ、前記スパッタ粒子を選択的に通過させるスリット開口上を有するスリット部材と、
前記基板が前記スリット開口上を通過するように前記成膜室内の前記基板を所定方向に搬送する搬送機構と
を備え、
前記スリット開口上において、前記基板を移動させる基板移動モードと前記基板の移動を停止させる基板停止モードとを交互に繰り返すように前記基板を搬送する
ことを特徴とする膜形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−100870(P2010−100870A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271141(P2008−271141)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】