説明

スペクトラム拡散無線ネットワークにおける容量拡張を伴うチャンネル選択型中継装置の方法およびシステム

【課題】スペクトラム拡散移動通信システムにおける中継において、ダウンリンクの干渉を抑制した効率的な方法を提供する。
【解決手段】インテリジェント中継装置130の使用を通じて、スペクトラム拡散ベース無線ネットワークの有効エリアおよび通信容量を拡大するシステム100および方法。システム100は、所望の信号だけを中継可能な低コストのチャンネル選択型中継装置130で増大した無線通信ネットワークを備え、それによって望ましくない干渉を抑制するとともにネットワーク容量を増加できる。中継装置130は、既存のネットワークトポロジまたは制御構造への影響を最低限で、既存の無線ネットワークに組み込める。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2001年9月17日に出願され、本明細書で親出願として参照する米国特許出願第09/953,157号、発明の名称「多重アクセス干渉制限されたスペクトラム拡散無線ネットワークの容量およびダウンリンク能力を増加するリモートダウンリンク送信機のための方法およびシステム」の一部継続出願であり、そのすべてを参照により組み込む。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
本発明は一般に無線ネットワークおよび通信システムに関する。より詳細には、本発明の好ましい実施の形態は、スペクトラム拡散通信システムにおいて通信チャンネルおよび信号の選択的増幅をサポートするインテリジェント中継装置を提供する方法およびシステムに関する。
【0003】
関連技術の説明
十年来、スペクトラム拡散無線通信分野が活況を呈している。例えば、1990年2月13日にK.Gilhousen他に対して発行された米国特許第4,901,307号には、典型的な符号分割多重アクセス(CDMA)システムの諸利点が記載されている。数多くの要素がスペクトラム拡散無線ネットワークの容量を決定付けているが、各ネットワークノードにおける受信信号パワーおよび雑音パワーはネットワーク容量を検討する際に重要な要素である。ネットワーク容量を増加するための従来の手法のほとんどは、1)信号パワーを増加する、2)干渉を低減する、または3)より低い信号対干渉雑音比(SINR)に対する耐性を与えるための手段と見ることができる。このような状況において、地方エリア内で、または遮断されたもしくは陰になったエリア内へネットワーク有効範囲を拡大するため、従来型中継装置は、受信信号パワーを増加し、および発信ノードの送信パワー要件を減少するための手段として古典的に用いられてきた。当該技術分野で理解されるように、中継装置とは信号を増幅または再生して送信距離を延長する装置である。しかしながら、ネットワーク利用が、特に都市部の利用者密集エリアにおいて伸び続けるに従って、過剰な多重アクセス干渉(MAI)がネットワーク容量の主たる制限要因となっている。このネットワーク状態は限界容量に達した状態として知られている。従来型中継装置は全受信信号を増幅するため、信号対干渉パワー比はほとんど向上しない。その結果、従来型中継装置は一般に、限界容量の増加に関しては効果がない。当該技術分野で理解されるように、MAIは、CDMAディジタル送信ベースのような、第2世代スペクトラム拡散ベースの無線サービスの実効容量および性能を制限する著しい雑音ソースである。前述のネットワーク容量を増加する手法を利用した、スペクトラム拡散無線システムに関連するMAIを補償する技法が幾つか提案されている。
【0004】
MAIを補償し、および信頼性の高い通信を確実にする最先端の従来技法は、移動局および基地局(BS)の両方からの送信パワーを制御するものである。この技法の幾つかの例は、米国特許第6,119,010号、第6,118,983号、および第6,104,933号に記載されている。第2の技法は、受信および送信アンテナのパターンを制御することによるものである。サービスエリアを独立したセクタに分割することによって、または干渉者を適応的に無効化する(所謂「時空間適応処理」)ことによって、方向的に分解可能な他のユーザからのMAIを大幅に減少できる。米国特許第6,101,399号、第6,078,823号、および第5,953,325号がこの技法の例である。更に別の技法は、米国特許第6,081,516号、第6,014,373号、および第5,956,333号に示すように、受信機内で複雑な非線形アルゴリズムを利用して、多数のユーザからの信号を同時に推定するというものである。マルチユーザ検出(MUD)と称されるこれらのアプローチは、受信機において大量の演算リソースを必要とするため、(BSにおける)アップリンク用途には適するが(移動局での)ダウンリンクには適さない。
【0005】
前述したように、スペクトラム拡散無線通信分野には中継装置の使用も導入されている。従来型中継装置は2つのカテゴリー、すなわちチャンネル変換またはマルチパスシミュレーションのいずれかに該当することが明らかである。チャンネル変換型中継装置は、中継装置で受信した信号を、別の周波数帯または別のチャンネルコード等、代替の無線リソースへ変換する。次世代、すなわち第3世代(3G)CDMAシステムの業界規格団体は、かかる中継装置の一実装をその規格に含めている。機会駆動多重アクセス(ODMA)と称されるその構成は、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)の技術報告書25.924、1.0.0版で検討されている。米国特許第5,887,261号および第6,141,533号等、幾つかの特許は中継装置の使用に関するものである。具体的には、米国特許第5,887,261号は非選択的チャンネル変換型中継装置を記載し、米国特許第6,141,533号は選択したトラフィックおよび制御チャンネルを変換および中継する中継装置設計を記載している。この選択的な設計は、ネットワークインフラへのリンクが典型的なネットワーク音声、および実際のBSへの戻りがトラフィックチャンネルによって行われるという点を除いて、BSの機能性をほぼ有するものとみなせる。これに対し、マルチパスシミュレーション型中継装置は一般に、受信したRF信号全体に対して、数マイクロ秒オーダの遅延を与え、そしてその信号を再送信する。その目的は、中継装置が見たあらゆる信号ダイバーシティを、リンク終了時にRAKE受信機で利用できるように保存しておくことである。米国特許第5,930,293号、第5,652,765号、第5,991,345号、および第6,035,218号がその例である。
【0006】
加えて、米国特許第5,835,848号、第5,812,933号、および第6,108,364号は、周波数変換を行わない中継装置の送信および受信サブシステム間が相当に分離していることの必要性に焦点を当てている。最後に、米国特許第5,936,754号、第5,867,485号、および第5,809,422号等、帯域内無線周波数(RF)送信以外の手段を経由してBSへリンクされて、アップリンクおよびダウンリンクの両方をサポートする遠隔エミッタを提供する特許がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,901,307号
【発明の概要】
【0008】
BSの潜在的に高い演算能力により、精巧な信号処理アルゴリズム(例えば浮動点小数計算、複雑な復調アルゴリズム、および多重アンテナストリーム)を利用して、スペクトラム拡散無線ネットワークにおいて、移動局から基地局への信号(アップリンク、すなわち逆方向リンク)の受信容量およびMAIの緩和能力を増加させることが可能である。しかしながら、基地局から移動局へのリンク(ダウンリンク、すなわち順方向リンク)は、BSと比較して精巧でないのが典型的な、携帯電話等の移動局ハードウェアによる制限を受ける。従って、移動局利用者側にそのような高い演算能力がないために、システム性能の最適化およびシステム容量のバランス化を妨げるネットワークのアンバランスが生じる。
【0009】
前述のタイプの従来型中継装置および遠隔エミッタを使用して、MAIの緩和における上記のネットワークのアンバランスに対応してきた。従来型中継装置は、特定ユーザの放射パワーだけでなく全ての帯域内信号を増加させるのが典型的である。しかしながら、ネットワーク容量制限、すなわち極限容量に達したネットワーク状態は、新たなユーザの干渉を克服するために増加した信号パワーがほとんど役に立たないという点で独特である。信号パワーを増加させようとする際に全ユーザに対する送信パワーが増加するので、MAIレベルがほぼ比例して上昇し、その結果やはり不適正なSINR値になってしまう。このような状況において、従来型中継装置は、特にダウンリンクにおいて、極めて重要なMAI等の干渉を含む帯域内の全エネルギーを非弁別的に増幅してしまうので、効果的でない。
【0010】
結果として、ほとんどの従来型中継装置は、遠距離でまばらな、陰になったユーザを伴う無線ネットワークについては有効範囲および容量の両方を極めて効果的に増加させることが可能な一方、ほとんどのユーザにとってMAIが受信機の雑音に対して支配的であることがよくある、現代の都市部の高密度無線通信ネットワークにおいてはさほど効果的でない。そのため、都市部における従来型中継装置は、無線ネットワークにおいてよく用いられるセル式構造の基本的な地理単位であるネットワークセルの有効範囲のみ増加させ、その容量は実質的に増加させない。これらの従来型中継装置が本発明と異なるのは、それらの非選択的特性である。
【0011】
前述のような従来型のチャンネル変換型中継装置の中には、何を中継するかという点で実際に選択的なものもある。しかしながら、これらの中継装置は、チャンネルを変換することによって余分なネットワーク無線リソースを消費し、そのため全体的なネットワーク計画の中で検討しなければならず、それらのネットワークへの統合を複雑化させている。加えて、これらの中継装置の選択機能は、BSのアクセス、ページングおよびハンドオフ挙動を本質的に模倣することによって達成されている。このアプローチは、かかる中継装置のハードウェアおよびソフトウェア要件を大幅に複雑化させる。これらの従来型中継装置が本発明と異なるのは、それらを全体的な無線ネットワークインフラストラクチャへ統合する際の複雑さである。
【0012】
同様に、前述の従来型遠隔エミッタは、有効エリアを拡大するだけのために通信ダウンリンクおよびアップリンクの両方をサポートしなければならないが、アップリンクのサポートは、ダウンリンクのサポートと比べてはるかに複雑かつコストがかかる。そのため、高密度無線通信エリアにサービスを提供するスペクトラム拡散無線ネットワークのコール容量および有効エリアを、経済的に増加させるニーズが存在する。親出願は、遠隔ダウンリンク送信機(RDT)を利用するデュアルスケールのセル式アーキテクチャの使用を示しており、アップリンクはマクロセルシステムを通過する一方、ダウンリンクはマイクロセルシステムを通過する。RDTおよび関連機能の利用により、アップリンク容量を増加させる種々の解決法を効率的に補完する、実効ダウンリンク容量を数倍に増加させるコスト効果的な解決法が提供されることを示した。親出願はまた、RDT技術の適用により、無線サービスプロバイダが、いかなる既存容量への影響を無視できる程度としつつアップリンク物理層への変更をほとんど要さずに、ネットワークのダウンリンク上で高速なデータダウンロード能力を提供することを可能にする。
【0013】
従って、本発明の好ましい実施の形態は更に、無線スペクトラム拡散ネットワークにおいてユーザの信号対干渉雑音比(SINR)を他のユーザのSINRを低下させることなく増加させることが可能で、そのため全体的なネットワーク容量を増加させる潜在性を有する中継装置技術を開示する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態はまた、所望のチャンネル中の信号だけを中継可能なチャンネル選択型中継装置(CSR)についての方法およびシステムを提供し、それによって望ましくない干渉を抑制するとともに、結果的にネットワーク容量を増加できるCSRは、RDTアーキテクチャの主要な特長を維持しつつインテリジェント中継装置能力やその他の先進的な特長を組み込んだ、すなわち、CSRの既存ネットワークインフラストラクチャへの統合に伴うコストを低く、かつその影響を最低限にした、RDT技術の発展型を表すものである。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態はまた、トラフィックチャンネル別に増幅パワー制御を行って、ネットワーク容量を更に増加させる適応型閉ループロジックを提供し、制御ロジックは、移動装置が報告する情報よりもむしろ、BSおよびCSR間の通信リンクのSINRによって駆動される。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態はまた、既存の無線通信ネットワークインフラストラクチャへの中継装置の統合に伴って生じる影響を最低限にした、低コストのインテリジェント信号中継装置についての方法およびシステムを提供し、中継装置はネットワークへ物理的に接続する必要がなく、既存のネットワーク層トポロジや制御構造の変更もほとんど、あるいは全くない。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態はまた、ネットワークの選択したトラフィックおよび制御信号だけを増幅および中継して、ネットワークの容量および有効範囲を増加させるインテリジェント中継装置を統合した無線通信ネットワークについての方法およびシステムを提供する。各中継装置は、次のタスクの内の1つ以上を実行できる:1)ネットワークの既存BSダウンリンクからのリンクを受動的に観察および捕捉し;2)ディジタル表現から送信用信号を構成して、不必要な干渉および雑音の放出を回避し;3)ネットワークユーザへの送信信号を単純にBS信号の新たなマルチパス成分として送信して、専用の制御機能、新たなネットワーク無線リソースあるいは複雑なネットワーク管理アルゴリズムの要件を回避し;そして、4)アップリンクおよびダウンリンクパスについて別個のモジュール式ソリューションを持つデュアルモードアーキテクチャを組み込む。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態はまた、アップリンクまたはダウンリンクのいずれかにおいて受信する、トラフィック信号のあらゆる組み合わせを自動的に中継する信号中継装置についての方法およびシステムを提供し、全ての帯域内無線周波数信号を中継するアナログモードを含む。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態はまた、チャンネルコードの直交性をほぼ完璧に復元し、および中継装置受信機におけるセル外の干渉パワーを低減することによって、中継装置での中継用に選択したダウンリンク通信チャンネルの要求送信パワーを最小化する方法およびシステムを提供する。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態は加えて、信号中継装置の搬送波位相基準を、適切な標準によって規定されたネットワークの周波数公差内に維持する方法およびシステムを提供する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態はまた、少なくとも1つのインテリジェント中継装置で増大した無線通信ネットワークについての方法およびシステムを提供し、かかる中継装置は:1)中継装置が信号受信、復調、チャンネル選択およびダウンリンク再構成できる範囲で、マルチパス遅延を許容し;2)中継装置がどのダウンリンクチャンネルに対してサービスを提供するのが最善かを、各中継装置が自立的に、かつ確実に決定できるように開発されたアルゴリズムを実装し;3)中継装置の受信機サブシステムおよび送信機サブシステム間の分離を幅広く保護し;4)ネットワークにとって許容可能な公差で、中継装置の周波数参照をBSと合致させ;5)各ダウンリンクトラフィックチャンネルに対する中継装置の利得を最適化してネットワーク容量を増加させ;および/または、6)中継装置が中継しているチャンネルについてBSおよび中継装置間の低パワーリンクを可能にして、更に容量を増加させる設計特長を組み込んでいる。
【0022】
本発明の更なる態様および新規な特長は、その一部を以下に続く説明で提示し、またその一部は開示の検討によって当業者に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】図1Aは、親出願における開示に従うRDTを装備したネットワークアーキテクチャを示す。
【図1B】図1Bは、本発明の実施の形態に従うCSRを装備したネットワーク基準アーキテクチャを示す。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に従うシミュレーション用ネットワークモデルの典型的な単一セル実現形態を示す。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に従うCSRを装備した無線通信ネットワークにおける容量拡張を示す。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に従う時間遅延およびパイロット強度のマルチパス探索窓の図式を示す。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に従う固定利得係数の関数として計算したCSRで拡張したIS−95Bネットワークのアップリンクおよびダウンリンクの予想容量グラフを示す。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に従うチャンネル選択制御ロジックのフロー図を示す。
【図7】図7は、本発明の一実施の形態に従うCSR実装のハイレベル機能ブロック図を示す。
【図8】図8は、図7のブロック図における各機能を実行するための様々なハードウェア構成要素を示す。
【図9】図9は、FPGAに課される各処理タスクのハイレベルビューを示し、各ブロックがFPGAにおいて実行されるアルゴリズムのサブセットを包含している。
【図10】図10は、図9の各RAKEフィンガ内で実施されるロジックの詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好ましい実施の形態を以下の図面によって例示的に説明するが、それらによって限定されることはないものとする。
【0025】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の説明的例示を添付の図面に示し、図面は、選択した通信チャンネルを増幅することによって、都市部の高密度スペクトラム拡散(例えばCDMA)無線ネットワークにおける容量拡張を提供できるインテリジェントチャンネル選択型中継装置(CSR)の方法およびシステムを示す。なお、本明細書でいう選択チャンネルの増幅とは、選択したチャンネル内の信号の増幅を意味する。参照のため、親出願で開示されているRDTを敷設したネットワークアーキテクチャを図1Aに示す。親出願で述べているように、RDTを装備したネットワークにおいて、BSが移動ユーザのアップリンクを継続的に提供し、一方でRDTがダウンリンクを提供している。RDTはまた、本発明のCSRが移動ユーザに対してサービスを提供するのに用いるものとは異なるソースを用いて、選択チャンネルのダウンリンクトラフィックをBSから受信する。RDTを装備したネットワークは、どのユーザをRDTでサービスを提供するのが最良であるかを判断し、その決定を順方向リンクマネジャが利用してRDTを制御する。図1Aと同様のネットワークであって、RDTをCSRで代用したものを図1Bに示す。図1Bは、本発明の実施の形態に従うCSRを装備した無線ネットワークの1セルの基準アーキテクチャ100を示す。本発明を組み込む無線ネットワークは、アーキテクチャ100を有する1つ以上のかかるセルを含み得ることが理解されよう。セル100の基本的な動作は以下の通りである。ユーザ装置(UE)110(例えば携帯電話または無線通信可能なその他の装置)を持つ移動ユーザ1は、セル100内に配置されたCSR130によって彼/彼女が好ましくサービスを提供されるような場所にいる。CSR130は移動ユーザ1を選択し、彼/彼女のUE110のトラフィックチャンネルを反響させる。別の携帯電話等のUE120を持つ移動ユーザ2は、彼/彼女がBS150によって最良にサービスを提供されるような場所にいる。移動ユーザ2のUE120からのリンクは、CSR130で受信できるにもかかわらず、CSR130によって中継されることはない。
【0026】
本発明の実施の形態によれば、CSR130は、個々の選択チャンネル内の信号を復調および復号し、そして当該選択チャンネル内のかかる信号を多重化および再変調することによって、選択したトラフィックチャンネル内の信号を選択的に増幅できる。このようにして、CSR130は、UE110および120の両方への、およびそれらからのリンクを受信できるが、UE110への、およびそれからのリンクだけ反響させる、すなわち中継する。CSRによるチャンネル選択のロジックは後述する。本発明の根底にある思想は、CSR信号をBSの高パワーマルチパス成分のように見せるというものである。そうすることにより、CSRを装備したネットワークにおいて、既存のマルチパス利用アルゴリズムでCSR信号およびBS信号間でユーザをシームレスに遷移できる。
【0027】
CSRを装備したネットワークの容量拡張を確認するため、詳細で高忠実度のネットワークモデルを開発し、それを用いて、1)基準となるIS−95B準拠の都市型ネットワーク、2)従来型アナログ中継装置で強化した基準ネットワーク、および、3)本発明のCRSで強化した基準ネットワークの容量を評価した。当該技術分野で理解されるように、IS−95Bは無線通信産業におけるディジタルCDMA規格である。前述のシミュレーションは、各セルが3セクタ、およびセル半径が2kmの37個のセルで構成されるネットワークに基づいている。現実のネットワークに即した物理層パラメータおよびパワー制約を用いた。各中継装置(従来型アナログ中継装置およびCSR)は、セルの中心とセルの境界との中程に配置した。本発明の実施の形態に従う、BSおよび中継装置を配置したネットワークモデルの単一セルのセクタ化の例を図2に示す。BSは、セルの各セクタの境界を区切る3本の黒線の共通の端点である中央に配置される。各セクタの中継装置は大ドット210として示す。環状の境界230で囲まれた各ドットは、中継装置によってサービスを提供されるネットワーク利用者(すなわち移動ユーザ)を表し、環状境界230の外側の各ドットは、中央のBSによってサービスを提供されるネットワーク利用者を表す。結果として得られた容量を表1に詳細に記載する。表1は、IS−95Bネットワークにおいて種々の構成で維持される最大kbps/セルという観点での、高忠実度ネットワークモデルの分析結果を示す。最大負荷は、ユーザ(すなわち、彼ら/彼女らのUE)の5%以上がサービスを提供されない状態として定義する。
【0028】
【表1】

【0029】

前述したように、従来型ダウンリンク中継装置は、中継装置経由のユーザだけでなく全ユーザに対するトラフィックチャンネルの信号を増幅するため、セル領域の外側における干渉レベルを不必要に増加させてしまう。この事実が、従来型中継装置が都市部の高密度ダウンリンクに対してそれほど容量を増加できないことに対する主な説明である。更なる分析では、セル毎のkbps容量は、特定品質のサービスの混合、すなわち音声対データリンクによっては、ほとんど影響を受けないことが分かった。また、ネットワーク負荷を地理的に集中させて増加した場合は、図3に示すように、CSRの容量拡張はアップリンクおよびダウンリンクパスについて100%を超えることができる。換言すれば、ネットワークセル全体に均等に分散させるのではなく、「ホットスポット」として地理的に集中させてネットワーク負荷を増加した場合に、容量向上の観点でのセルにおけるCSRの利点が顕著になる。
【0030】
本発明のCSRが特定トラフィックチャンネル内の信号を選択的に増幅するのに用いる技法は、CSRの入力および出力間に待ち時間を生じる。これは、CSRが所与の時間制約内に以下の機能の実行を課されるためである。すなわち、1)受信信号内のウォルシュコードの64個の連続チップ(すなわち単一のデータビットで変調され、拡散信号内で用いられるビット)を受信し;2)各受信信号内のスクランブルを発生する短い擬似ランダム雑音(PN)コードまたはシーケンスを除去し;3)各コードチャンネルにより搬送されるビットをコヒーレントに復調し;4)増幅するコードチャンネルを選択してチャンネル別の利得係数を適用し;5)選択したコードチャンネルを合計し;6)適切な短いPNシーケンスでスクランブル化し;そして、7)ダウンリンク搬送波上に再変調する機能である。これには、50μ秒(ウォルシュコード全体の受信に必要な時間)が必要なこともある。演算を行ったところ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)設計は後続の上記ステップ2から7の処理を30μ秒未満で実行し、全体的な遅延は80μ秒未満であった。本発明の一実施の形態によれば、CSRを無線ネットワークに組み込むための待ち時間要件は、IS−95B仕様における1つのネットワークソフトウェアパラメータ、SRCH_WIN_Aの修正により吸収できる。
【0031】
UEは、CSRからの中継信号を適切に処理するために、まずその信号を好適な信号レプリカ(すなわちBS信号のマルチパス成分)として識別でき、そしてかかる信号を、プライマリセル内のBSからの、あるいはUEとソフトハンドオフ関係にある各セルのBSからの受信信号と、コヒーレントに結合できなければならない。当該技術分野で理解されるように、ソフトハンドオフとは、あるセクタから他のセクタへの(すなわち、ある送信機から他の送信機への)セル式送信の切り替えを意味し、UEが同時に複数のBSからの信号を受信および結合することを通常要求する。従って、CSRによる80μ秒(〜100チップ)の遅延によって、UEのRake受信機において中継信号の利用が妨害されることはないことを示さなければならない。当該技術分野で理解されるように、携帯電話等の各UEはRake受信機を用いて、BSから生成される信号のマルチパス成分を処理する。同様に、各BSもRake受信機を用いて、UEから生成される信号のマルチパス成分を処理できる。IS−95B仕様は、各UEが、パイロット信号を探索して求め、それらのうちRake受信機による処理における使用に好適な強度のものを識別することを課される別々の処理素子を維持することを要求している(ANSI/TIA/EIA−95−B−1999、第6.2.2.1項)。そのため、この探索器によるCSRパイロット信号(すなわちCSRパイロットチャンネルからのパイロットビット)の検出を確実にするために、ネットワークにおけるSRCH_WIN_Aパラメータ値を(ANSI/TIA/EIA−95−B−1999、表6.6.6.2.1−1に従って)13に設定するのが望ましい。これによって各UEは強制的に、識別したあらゆるパイロットチャンネルを通じた±113チップの窓を、関連するマルチパス成分を求めて探索することになる。より大きな検索窓でもよいが、IS−95B仕様はこれを超える値の使用はUEに要求していない。UEが初期にCSRパイロットチャンネルまたはBSパイロットチャンネルのいずれに同期していても、UE探索器は両方をUEのRake受信機に取り込む候補として継続的に評価することになる。IS−95B仕様は更に、各UEが、ダウンリンクトラフィックチャンネルを復調できる少なくとも3つの独立した処理素子(Rake相関器またはフィンガ)をサポートすることを規定している。各素子は、関連するRakeフィンガパイロットを用いてこの機能を実行すると想定されている。そのため、Rakeフィンガが、中央のBS、CSR、またはソフトハンドオフ関係にある別のBSのいずれからの信号を処理しても、UEのRake受信機にとっては大差ない。重要な数量を強調した検索窓を概略的に図4に示す。アクティブセットに含まれる各パイロット信号について、探索機能専用の処理素子が、アクティブセットパイロットを中心としてネットワークパラメータSRCH_WIN_Aによって規定される幅を持つ遅延スペースを走査する。全UEが対応しなければならない最大値は、前述したように±113チップに設定されている。
【0032】
遅延した中継信号をUEが実際に検出するであろうと判断した場合、UEのRake受信機は、その程度で遅延された信号を確実に結合できなければならない。IS−95B仕様の第6.6.6.2.7.1項は、UEは150μ秒(192チップ)もの遅延を伴うチャンネルのダイバーシティ結合にも対応することと規定している。そのため、中継信号の遅延が88μ秒(113チップ)以下という要件は、中継信号がRake受信機で処理できることを確実にするのに十分なものである。要約すると、ネットワークパラメータSRCH_WIN_Aの値を13に設定することによって、CSR設計の待ち時間要件に十分対応できるようになる。その結果、ネットワークパラメータの再設定および待ち時間の制御によって、CSRは事実上、「プラグアンドプレイ」のネットワーク追加部品となり、ネットワークオペレータは発生する容量要件を迅速かつ容易に満足できるようになる。
【0033】
本発明の別の実施の形態によれば、CSRの技法および設計は、ネットワークのアップリンクおよびダウンリンク要件および動作条件が異なり得ることを認識した上で、アップリンクとダウンリンクとでチャンネル選択手法が異なるデュアルモード動作を可能にする。モジュール式設計テンプレートを採用することによって、所与のネットワークについてCSRのコストおよび性能を最適化できる。デュアルモード設計の価値を示す例として、表1のシミュレーション結果を検討する。CSRの選択性によってダウンリンク利得は従来型中継装置に対して顕著だった一方、アップリンクではかろうじて得られる選択性のアドバンテージは僅かであった。かかる場合は、アナログ中継モードをアップリンクに使用するデュアルモード設計が望ましいであろう。この場合、アップリンクパスを扱う従来型のアナログ中継装置要素をCSR内で使用し、ダウンリンクパスを扱う本発明のチャンネル選択型要素を同じCSR内で使用すればよい。しかしながら、実装上の制約によって中継装置におけるアップリンク受信機のため高バックローブを除去する能力が制限される可能性がある場合は、チャンネルの選択性をアップリンクにも適用することにより、BSによってサービスを提供されているUEリンクの増幅および送信(すなわち、ネットワーク内のMAIレベルの増加およびそれに伴う容量の低減)を避けられる。この場合は、本発明のチャンネル選択型要素をCSR内で使用してアップリンクおよびダウンリンクパスの両方を扱う。アップリンクのチャンネル選択では、追加の処理モジュールを使用してアップリンク信号の復調をサポートすることが可能である。具体的には、UEのアップリンク信号のスクランブル化に用いた特定のロングコードが提供されなければならない。スクランブルコードの生成に使用した特定のユーザロングコードマスク(各UEにユニーク)をCSRが利用可能としてもよい。それらの情報を得るための方法が存在し、当業者には周知である。このように、アップリンクおよびダウンリンクの独立設計の柔軟性は、従来型中継装置とは一線を画している。
【0034】
本発明の更に別の実施の形態によれば、CSRがセル内のMAIレベルを低減するメカニズムには2つの主要なものがある。第1のメカニズムは、適切な信号だけをインテリジェントに中継するもので、先に検討した。第2のメカニズムは、BSと、CSRの中継信号でサポートされる利用者向けのCSRとの間のリンクに関するものである。このリンクを受信および復号するCSRの能力を低下させることなく、そのリンクに割り当てられる送信パワーを低減させることが可能なすべての手法によって、ネットワーク全体のMAIレベルが低下することになる。CSRによる送信信号レベルは、CSRの利得およびCSRにおける受信信号の強度によって決定される。CSRは、チャンネルを復調して選択機能をサポートする能力を維持できる限り、BSからの低い送信パワーを高い利得で補償することが可能である。すなわち、CSRにおいて高利得アンテナを使用してBSから信号を受信することは、熱雑音およびセクタ外のMAIがCSRの復号性能に影響を与え、それが更に、BSを「ターンダウン」させたりCSRによって中継されるリンクへのパワーを低下させたりするのを抑制するのに効果的である。これは、更に後述するように、CSR適応型パワー制御ロジックにおいても実装可能である。
【0035】
CSR内でチャンネルを復号する前にディジタル等化フィルタを使用することによっても、セクタ内のMAIの影響を大幅に低減し、CSRの利点を拡大できる。セルセクタ内の各ダウンリンクチャンネルは、理想的には直交するチャンネルコードが割り当てられている。しかしながら、BSおよびCSR間の通信チャンネルにおけるマルチパスの存在により、これらのコードの直交性が低下し、それによって、相関する受信機出力において、それらが互いに与える干渉レベルが上昇する。適応型ディジタル等化フィルタをCSR内に組み込むことによって、元々のコードの直交性を復元し、BSからの送信パワーレベルをより低くできる。なお、BSおよびCSR間のリンクがネットワークに全く干渉を与えない限定的な場合には、親出願で開示したように、CSRは本質的に遠隔ダウンリンク送信機(RDT)として作用する。適切な線形タップ遅延フィルタを計算することによってディジタル等化フィルタを実装し、チャンネル分散の影響を排除する無数の方法が、当該技術分野で周知である。例えば、確率的勾配ベースのアルゴリズム(LMS)およびカルマンフィルタベースの技法(逐次最小2乗)等の適応技法を用いて、CSR内にディジタル等化フィルタを形成できる。
【0036】
ソフトハンドオフプロトコルおよび/またはRake受信機を使用する、無線CDMAネットワーク等のスペクトラム拡散無線ネットワークにおいては、移動ユニット、すなわち利用者ユニット内でコヒーレントに結合されることになるいかなるダウンリンク信号を構成するのに用いる搬送波周波数が、他のダウンリンク信号の他の搬送波周波数と高い公差で合致することが重要である。ダウンリンク信号をコヒーレントに結合するために、利用者は、各ダウンリンクチャンネルに関連するパイロットチャンネルの位相を継続的に追跡しなければならない。この追跡レートは、利用者の移動の影響に対応するように設定される。搬送波の周波数オフセットが約108分の1より大きい場合は、利用者ユニット(すなわちUE)が十分速く搬送波の位相変化を追跡できない可能性があるため、利用者ユニットにおける位相基準の推定値が不正確でRAKE性能が低下することになるだろう。残念ながら、この公差を満足する周波数基準は高コストなものになる。この要件を満足するための代替方法は、内部周波数基準に依存するいかなる中継装置のコストも大幅に削減する可能性を秘めている。本発明の実施の形態によれば、中継装置が常にBSのパイロット信号にさらされているという利点を認識することによって、中継装置の周波数基準の緩やかな公差を補償する新規かつ安価な手段が実現可能である。具体的には、相対的に高パワーのBSのパイロットチャンネル信号によって駆動される位相ロックループ(PLL)によって、UEには許容される公差(例えば108分の1よりも1〜数桁緩和された公差)を持つ低コスト周波数基準の周波数ドリフト率を容易に補償できる。かかるディジタルまたはアナログのPLLは、本発明の開示に基づいて当業者により考案および実装できる。
【0037】
CSRのチャンネル選択ロジックを本発明の各種の実施の形態に従って説明する。1つの好ましいCSR設計は、外部のロジックループと協調して、どのチャンネルを中継するように選択すべきかを判定する固定の利得係数を伴う。例えば、どのUEが隣接するセルとソフトハンドオフ関係にあるかを識別する位置特定アルゴリズムを実装してもよい。これらのUEが外部のセルの有効エリア内にあるという結論をもって、それらを選択するとともに、ソフトハンドオフ関係にないUEを除外することが可能である。このアルゴリズムは、本発明の以下の2つの基準に基づいて、当業者により考案可能である。すなわち、1)選択したチャンネルに対して固定の利得係数/値を定義し;および、2)ネットワーク内のソフトハンドオフ関係にあるUE(例えばセル縁部のUE)を識別および選択し、そしてその固定利得係数をそれらのUEの選択チャンネルに適用するとともに、ゼロ利得を非選択UEのチャンネルに適用する。分析を行ったところ、全中継チャンネルを同一の固定利得係数で増幅する固定利得CSRが、図5に示すように、その利得係数値の厳密な選択に対して敏感であり得ることが分かった。図面は、高忠実度ネットワークモデルにおけるアップリンク(上側の黒い曲線)およびダウンリンク(下側の赤い曲線)の両方について、CSRで拡張したIS−95Bネットワークの予想される容量の計算を固定利得係数の関数として示している。図に示すように、可変利得システムの性能(セクタ毎22ユーザ付近)に近いものを示した一方、システムは依然として利得値の厳密な設定に敏感である。
【0038】
固定の所定利得係数が低過ぎる場合には、ネットワークパワー制御アルゴリズムが、BTS−CSRリンク(すなわちCSRで受信される選択ダウンリンクチャンネル)を不必要に高いSINRにし、貴重なネットワークリソースを浪費してしまうことがある。一方、固定の所定利得係数が高過ぎる場合には、ネットワークパワー制御アルゴリズムが、BTS−CSRリンクを、信頼性の高い復調を行うには適正でないSINRにしてしまうことがある。そのため、本発明の別の実施の形態は、各選択チャンネルに対して可変の利得係数をサポートすることによって、前述のような場合に対応できる。本実施の形態では、CSRが、受信したBTS−CSRリンクのSINRを測定するとともに、各リンクに対して適切な個々の固定の利得係数を算出する能力を有する。具体的には、所定利得係数を個々に一度初期調整を行って、受信したSINR値と各リンクの所定目標値との間の差異に対応させることが可能である。本発明の別の実施の形態では、選択手順とリンクの利得制御とを組み合わせて、両方のタスクを遂行する単一の適応型処理にすることが可能である。チャンネル選択機能の実行と、各チャンネルに対する適切な利得係数の設定とを同時に行う、かかる処理のための新規なブラインド適応型ロジックを説明する。
【0039】
本発明の一実施の形態によれば、全てCSR内で動作し、受信および送信CSRパワーを管理するように作用する適応型パワー制御ロジックが提供される。ロジックはソフトウェアで実装可能で、CSRで適切にサポートされないリンクの利得を最小値(ゼロ、すなわち非選択状態にすることも可能)にする一方、CSRでサポートされるべきリンクを「捕捉」および選択できる。ここで、中央のBSと、UEとの間で適切な中継ページングチャンネルを介して、ダウンリンクトラフィックチャンネルが初期に成立していると仮定する。CSRが新たなダウンリンクトラフィックチャンネルを検出し、受信したSINRが初期の閾値を満足すると、そのチャンネルが選択および中継される。初期のSINR閾値が満足されない場合は、そのチャンネルは中継されない。一旦チャンネルが選択されると、ネットワーク閉ループパワー制御ロジックを操作することによって、CSRの中継装置利得を用いて、CSRにおける受信SINRを所定のEb/No、すなわちEb/Io(干渉+雑音エネルギー対ビット毎エネルギー)目標値(例えば10dB)にする。CSRロジックは、以下を含む幾つかの状態および規則を有する。
【0040】
1.チャンネルが選択されたもののCSRにおける受信SINRがEb/Io目標値を下回っている場合は、そのダウンリンクチャンネルに対するCSR利得を所定の増分だけ減少させる。
【0041】
a.CSR信号がUEの受信パワーに対して支配的な場合は、この利得の減少によって、ネットワーク閉ループパワー制御が、BSにおけるダウンリンクパワーを上昇させてCSRにおける受信SINRをEb/Io目標値に至るまで増加させるとともに、UEにおける要求Eb/IoをCSR利得がより低い条件下で復元する。
【0042】
b.しかしながら、CSR信号がUEにおけるRake受信機出力に対して支配的でない場合は、利得の減少によってBS−CSRリンクが改善することはない。CSRは利得を低下させ続けて、利得は予め設定された最低レベルに達することになる。ネットワークは信号を中継しようとするCSRの試行に応答できないため、この時点で、チャンネルが効果的に中継の「選択解除」される。このように、ダウンリンクチャンネルが初期にはCSRで中継可能であっても、中央のBSによってUEがより適切にサービスを提供される場合には、CSRは最終的にその信号を放棄することになろう。
【0043】
2.CSRにおける受信SINRが所定のEb/Io目標値より大きい場合は、そのダウンリンクチャンネルに対するCSR利得を所定の増分だけ増加させる。
【0044】
a.CSR信号がUEの受信パワーに対して支配的な場合は、利得の増加によって、ネットワーク閉ループパワー制御が、CSRにおけるSINRが所定のEb/Io目標値に低下するまで、BSからのダウンリンクパワー(すなわちBS利得)を低下させるとともに、BS利得がより低い条件下で、UEにおける要求Eb/Ioが復元される。定常状態においては、CSRにおける高さおよび等化の増加のUEに対する利点によって、BSによる送信パワーが減少することになる(それらが相当量あることによって、そのチャンネルに対するBSからのダウンリンクパワーが最小値に減少することになる)。
【0045】
b.UEダウンリンクに対してCSRが支配的であるべき(例えば、UEの場所がCSRの場所よりもセル内のはるかに外側にある)時にBSが支配的な場合は、CSRにおける受信SINRが依然として過剰であろう(すなわち、SINR>所定のEb/Io目標値)。CSRは、リンクを制御するようになるまで利得を増加させるように応答する。一旦閉ループネットワークパワー制御がCSR利得によって行われるようになると、BSからのダウンリンクパワーは大幅に減少してCSRにおける受信SINRが所定のEb/Io目標値に低下し、BS利得がより低い条件下でUEにおける要求Eb/Ioが復元される。このように、CSRから制御されるべきであるものの実際にはされていないダウンリンクを持ついかなるUEも、最終的には「捕捉」されるようになる。状態チェックとして、CSRパワー(すなわちCSR利得)がパワー閾値を上回っている場合、CSRは周期的にパワーを減少させてBS−CSRリンクが応答するかをチェックする。応答しない場合は、ダウンリンクはそれ以上CSRによって制御されず、CSRリンクはゆっくりと放棄される。SINRの選択閾値の設定を利用して、セル内のBSに対するCSRの有効範囲を調整できる。
【0046】
3.初期のBSのダウンリンクパワーが低過ぎてCSRのチャンネルの復調をサポートできない(すなわちCSRにおける受信SINRが初期閾値を満足しない)ため、CSRがそもそも中継するチャンネルを選択しない場合、UEはBSによって、より適切にサービスを提供されることが明らかで、その状態は変わらないだろう。CSRの受信利得の利点およびこの閾値の設定能力によって、CSRで中継すべきダウンリンクを中継しない確率をかなり低くできる。チャンネルが中継されるべきでないものの実際にはされている場合であっても、前述のロジックは、条件1で述べたように本質的に「選択解除」されるまで、そのチャンネルに対する利得をターンダウンさせる。
【0047】
上記ロジックの例を概略的に図6に示す。BSの動作については、S61に示すように、無線ネットワークの各セル内のBSが典型的な制御チャンネル(例えばパイロット、同期、およびページングチャンネル)を経由して制御情報を継続的に発信し、権限を与えられたUEが無線ネットワークにアクセスできるようにする。CSRの動作については、S60に示すように、セル内の各CSRがBSからのかかる制御情報を固定の利得レベルで中継する。S63において、BSが新しいダウンリンクトラフィックチャンネルを開始すると、CSRは、S62において、その新チャンネルを検出し、CSRにおける受信SINRが予め設定された閾値を満足する場合は、新チャンネル内の信号を予め設定された初期利得レベルで中継することになる。こうして、新ダウンリンクチャンネルは中継のためCSRによって選択される。S64において、CSRにおける受信SINRは更に、予め設定されたEb/Ioレベル、すなわち目標値と比較される。S66において、SINRが予め設定されたEb/Io目標値を上回る場合は、先に条件2で検討したように、CSRはダウンリンクチャンネルに対する利得を最大レベルに至るまで増加させることになる。CSRからの利得が増加したためSINRが改善したとのUEの報告に応答して、S65において、BSはそのUEに対するパワーを低下させ、それによって、CSRにおける受信ダウンリンクのEb/Ioが、予め設定されたEb/Io目標値を満足するまで低下することになる。しかしながら、S68において、SINRが予め設定されたEb/Io目標値を下回る場合は、先に条件1で検討したように、CSRは、ダウンリンクチャンネルに対する利得を最小レベル、すなわち0まで減少させ、かかるチャンネルからの信号を中継しないようになる。S67において、CSRからの利得が減少したためSINRが減少したとのUEの報告に応答して、BSはそのUEに対するパワーを増加させ、それによって、CSRにおける受信ダウンリンクのEb/Ioが、UEの無線ネットワークへの接続を許容するレベルまで上昇することになる。
【0048】
様々な場合におけるダウンリンクの利得制御ループロジックの挙動を以下に要約する。
【0049】
1)UEがCSRによってサービスを提供されるべきで、かつ実際にされている場合−利得制御ループロジックは可変の利得レベルを適切に設定して、BS−CSRリンクおよびCSR−UEリンクの両方を最適化する。
【0050】
2)UEがBSによってサービスを提供されるべきで、かつ実際にされている場合−CSRにおける受信Eb/Ioが低過ぎる(すなわち、所定のEb/Io目標値より少ない)場合は、CSR利得が低下する。UEはCSRリンクに応答していないため、CSR利得はターンオフされるまで継続的にターンダウンされる。CSRにおける受信Eb/Ioが高過ぎる場合は、CSR利得は最大値に至るまで漸増される。CSRにおける受信Eb/Ioが依然として高い場合は、CSRリンクはターンダウンおよびターンオフされる。この状態は発生する可能性が低いことを再確認されたい。
【0051】
3)UEがBSによってサービスを提供されるべきところ、CSRによってサービスを提供されている場合(ハンドオフ状態)−UEがBSに接近するにつれ、CSRのリンクが劣化する。BSはパワーを増加させ、それに伴ってCSRもパワーを増加させる。やがてCSRのパワーが最大値に達する。CSRにおける受信Eb/Ioが依然として高い場合は、CSRリンクはターンダウンおよびターンオフされ、リンクはハンドオフされる。
【0052】
4)UEがCSRによってサービスを提供されるべきところ、BSによってサービスを提供されている場合(ハンドオフ状態)−UEがCSRに接近するにつれ、BSのリンクが劣化する。BSはパワーを増加させ、それに伴ってCSRもパワーを増加させる。やがてCSRがリンクを捕捉することになる。
【0053】
図7は、本発明の一実施の形態に従うCSR実装の機能ブロック図700を示す。図は、信号の受信されてから送信すなわち「反響」される(中継)までに信号に施される処理を詳細に示している。(BSからダウンリンクまたはUEからアップリンクされ、)受信アンテナ705で傍受されたRF信号は、受信機サブシステム710内で、アナログ−ディジタルコンバータ(A/D)、ローパスフィルタ(LPF)、続いてディジタルダウンコンバータ(DDC)で処理される。その結果発生したディジタルストリームは、全通信(トラフィック/データおよび制御)チャンネルを等化および復調すべく、サブシステム725によって順次処理される。RFキャンセル回路760は、送信機サブシステム750および受信機サブシステム710間の信号分離が適正であることを確実にする。
【0054】
サブシステム725は、携帯電話やその他の無線通信装置に典型的に見られる、入力信号を受信するための回路構成を含む。そのため、サブシステム725は、トラフィックチャンネル検出(ウォルシュコードを適用)、パイロット信号追跡、および最大比合成(MRC)処理等の典型的な機能を提供する。サブシステム725はまた、受信したRF信号内の通信チャンネルに関連するトランスポートチャンネルのビットを復調し、更に、前述のディジタル等化フィルタを含んでもよい。サブシステム725が行う動作は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)内でプログラム可能であるとともに、それによって実行可能である。一般的なプロセッサで実装可能なサブシステム720は、サブシステム725と並行動作して、入力RF信号を監視するとともに前述のチャンネル選択ロジックを実行し、どのチャンネルを送信機サブシステム750内で構成および変形してRFへ戻し、高利得送信機アンテナ795で発信するかを識別する。サブシステム730は、携帯電話やその他の無線通信装置に典型的に見られる、アップリンクまたはダウンリンク信号を処理/生成するための回路構成を含む。本例では、サブシステム730は、サブシステム725によって復調されたトランスポートチャンネルのビットからのDPCCHおよびDPDDHチャンネルの再構成を含む、典型的なトラフィックおよび制御チャンネルのセットアップを提供し、サブシステム720からのチャンネル選択ロジックの結果として選択チャンネルからの信号を送信させる。
【0055】
図8は、図7に示す各機能を実行するための、CSRに含まれる代表的な構成要素のブロック図である。図は、受信から再送信すなわち反響までに、信号に施される処理を詳細に示している。BSおよび/またはUEからのRF信号は、まず受信アンテナ801によって受信され、CDMA無線ネットワークにおいて要求される周波数範囲内の信号だけを保持すべく802においてフィルタ処理され、そして803において増幅される。アンテナ801、フィルタ802、およびRF増幅器803は、図7に示す高利得アンテナ705に対応する。同様に、図7における高利得送信機アンテナ795は、図8におけるアンテナ819、フィルタ818、およびRF増幅器817で表される。図7のRFキャンセル回路760は、(搬送波の生成に用いる局部発信器をも組み込み、)ミキサまたは多重器804および815と連携するアナログキャンセル回路816を含み、当業者によって理解されるように、CSRの受信機側および送信機側間の分離が適正であることを確実にするように機能する。そしてミキサ804の出力は、図7に示す受信機サブシステム710の各部であるLPF805、RF増幅器806、A/Dコンバータ807、およびDDC808へ送られる。DDC808の出力は、図7に示すサブシステム725および730の各機能を扱う、先に検討したFPGA810へ送られる。汎用ディジタル信号プロセッサ(GP DSP)等の汎用コンピュータまたはプロセッサ809は、トラフィックチャンネルの測定基準チェック、およびサブシステム720の適応型チャンネル選択ロジックを扱うのに使用される。CSR機能のための演算の大部分がフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のアーキテクチャと整合するようにロジックを設計すると、かかるアレイをCSR内で使用することによってコスト面および性能面で大幅な利点が得られる可能性がある。チャンネル選択ならびにトラフィックおよび制御チャンネルのセットアップの後に、CSRによって「反響」されるべきチャンネル内の信号は結合され、図7に示す送信機サブシステム750の各部であるディジタルアップコンバータ(DUC)811、D/A812、RF増幅器813、およびフィルタ814へ変調のため出力される。信号は次に、RF増幅器817、フィルタ818、およびアンテナ819によって表される図8の高利得アンテナ795によって送信される。標準的な無線周波数のダウンコンバージョン、フィルタリング、およびアップコンバージョンとは異なり、主要な信号処理はGP DSP809およびFPGA810の両方を用いて実行される。
【0056】
図9は、GP DSP809およびFPGA810間のトップレベルインターフェースを示す。前述したように、GP DSP809は901において、パイロット探索、選択および同調(すなわちパイロット信号追跡)を課され、図8に示すDDC807から受信した入力ベースバンドデータのパイロットオフセットを決定できる。このコードオフセットは、先に説明したようにFPGA810で実装可能なPLLへ転送される。また、GP DSP809は902において、検出したパイロットチャンネルを使用して前述のように適応型ディジタル等化技法を実行し、FPGA801で用いるディジタル等化フィルタのフィルタ加重値を導き出す。GP DSP809は当然、適応型利得ロジック処理を課され、各選択チャンネルコード(すなわちCSRによって増幅および再送信するため選択されたチャンネル)の利得を決定する。先に説明したように、チャンネル選択ロジックに関して、算出した利得は各チャンネルコードの測定振幅値に基づいている。904において、GP DSP809は更に、親出願において既に説明されているように、システム健全性の監視および報告を課される。
【0057】
図10は、FPGA810におけるチャンネル検出、選択、増幅および信号再構成に伴う詳細な信号処理ステップを示す。GP DSP809およびFPGA810間のインターフェースポイントを点線矢印で表す。例えば、GP DSP809からのフィルタ係数または加重値は、ディジタル等化およびPLLフィルタ1010へ送られる。前述したように、周波数公差要件を緩和するために、BSパイロットチャンネルによって(GP DSP809からのコードオフセットを介して)駆動されるPLL1020をFPGA810において実装し、CSRおよびBS間の残存搬送波周波数オフセットを排除する。等化およびPLLフィルタ1010を一旦通過すると、ベースバンドデータはショートコード発生器1015で逆拡散(すなわち、ショートPNコードを除去)され、チャンネルコードw0、w1、w2、…、wnが得られる。ここで、w0は業界標準仕様に従うパイロットチャンネル、wnはn番目のチャンネルコードを表す。各コードチャンネルによって搬送されるトランスポートチャンネルのビットは、パイロットチャンネルw0に基づいてコヒーレントに復調される。各コードチャンネルの振幅はGP DSP809へ戻され、適応型チャンネル選択ロジックに基づいてコード利得の計算が行われる。かかる計算においては、各コード利得1030値をそれぞれ設定することによって、1つ以上のコードチャンネルが選択される。選択されたコードチャンネルは次に、1040において合計すなわち結合され、再拡散(すなわち、ショートコード発生器1015からのショートPNコードとスクランブル化)され、そして図8に示すようにDUC811へ出力される。
【0058】
本発明の上記の実施の形態は、基準スペクトラム拡散無線ネットワーク、すなわちBSだけを持ち遠隔エミッタを持たないネットワークにおけるCSRの実装を対象としている。しかしながら、本発明のCSRは、米国特許出願第09/953,157号に開示されている遠隔ダウンリンク送信機(RDT)で既に増大されている無線ネットワークにおいても実装可能で、RDTおよびCSRが提供する全ての利点をそれらのネットワークに提供できる。これは、RDTがCSRに対してはBSとしての役割を果たし、CSRはRDTの信号とBSの信号とを区別しないからである。RDTで拡張した無線ネットワークにおいて、CSRは各ネットワークセル内の各RDTとBSとの間に追加可能で、RDTとセル縁部との間に配置可能である。CSRはまた、BSとRDTとの間に、あるいはセル内で容量拡張に役立つと考えられるところであればどこにでも、配置可能である。
【0059】
以上、本発明の例示的な実施の形態をほんの幾つか詳細に説明してきたが、これらの例示的な実施の形態において、本発明の新規性のある教示および利点から実質的に逸脱することなく、数多くの修正が可能であることを当業者は容易に理解するであろう。それ故、全てのかかる修正は、以下の各請求項において定義する本発明の特許請求の範囲に含まれることを意図する。更に、各請求項におけるミーンズプラスファンクション項(明確に記載した場合のみ適用する)は、記載の機能を果たすものとして本明細書で説明した構成、ならびにかかる構成の、構成的均等物、均等な構成、およびその他の均等物を含む、かつそれらには限定されない、全ての均等物を網羅することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークであって:
少なくとも1つの指定エリアと;
前記少なくとも1つの指定エリアのそれぞれと関連する1つの基地局であって、前記ネットワークへのアクセスを望む複数のユーザ装置(UE)に対して、ダウンリンク信号を前記UEへ送信することによって無線通信を提供する基地局と;
前記基地局と関連する中継装置であって、前記基地局によって前記UEへ送られた前記ダウンリンク信号を捕捉し、前記UEの内の選択されるひとつへ送信される前記捕捉したダウンリンク信号の内の1つを弁別的に選択可能であるとともに、前記選択したダウンリンク信号を増幅および送信可能な中継装置と;を備える、
無線通信ネットワーク。
【請求項2】
前記中継装置が、前記増幅した選択した信号を前記選択されたUEへ帯域内で送信する、
請求項1の無線通信ネットワーク。
【請求項3】
前記選択したダウンリンク信号が、データ情報および制御情報の両方を含む、
請求項1の無線通信ネットワーク。
【請求項4】
前記中継装置が、前記UEから前記基地局へのアップリンク信号を捕捉可能で、前記アップリンク信号の内の1つを弁別的に選択可能で、ならびに前記選択したアップリンク信号を増幅および送信可能である、
請求項1の無線通信ネットワーク。
【請求項5】
前記選択したアップリンク信号が、データ情報および制御情報の両方を含む、
請求項4の無線通信ネットワーク。
【請求項6】
前記中継装置が、前記UEから前記基地局への全てのアップリンク信号を捕捉可能であるとともに、全ての前記アップリンク信号を非弁別的に増幅および送信可能である、
請求項1の無線通信ネットワーク。
【請求項7】
前記中継装置がまた、全ての前記ダウンリンク信号を非弁別的に増幅および送信可能である、
請求項4の無線通信ネットワーク。
【請求項8】
前記選択されたUEが、前記選択したダウンリンク信号が前記基地局によって送信される時間と、前記選択したダウンリンク信号が前記中継装置によって増幅および送信される時間との間の所定時間遅延を許容可能で;そして前記中継装置が、前記所定時間遅延内に前記選択したダウンリンク信号を選択、増幅および送信可能である、
請求項1の無線通信ネットワーク。
【請求項9】
前記中継装置が、前記中継装置および前記基地局間の通信経路が複数存在することによって発生する干渉を補償する等化フィルタを備える、
請求項1の無線通信ネットワーク。
【請求項10】
前記等化フィルタが適応型等化フィルタである、
請求項9の無線通信ネットワーク。
【請求項11】
前記中継装置が、前記送信した選択したダウンリンク信号の搬送波周波数と、前記基地局が当初送信した前記選択したダウンリンク信号の搬送波周波数とを、前記UEにとって許容可能な公差で合致させる位相ロックループを含む、
請求項1の無線通信ネットワーク。
【請求項12】
インテリジェント無線周波数(RF)信号中継装置であって:
第1のRF信号を受信する第1のアンテナサブシステムと;
前記受信した第1のRF信号をディジタルストリームに変換する第1のサブシステムと;
前記ディジタルストリームを復調し、前記受信した第1のRF信号内の通信情報を引き出す第2のサブシステムと;
前記引き出した通信情報からデータチャンネルおよび制御チャンネルを再構成する第3のサブシステムと;
前記データチャンネルの内の1つを選択し、その中の情報を増幅する第4のサブシステムと;
前記増幅した情報を第2のRF信号に変換する第5のサブシステムと;
前記第2のRF信号を送信する第2のアンテナサブシステムと;を備える、
インテリジェント無線周波数(RF)信号中継装置。
【請求項13】
前記第1および第2のアンテナサブシステムが高利得アンテナサブシステムである、
請求項12のインテリジェントRF信号中継装置。
【請求項14】
前記第2および第3のサブシステムがフィールドプログラムゲートアレイ(FPGA)によって実装される、
請求項12のインテリジェントRF信号中継装置。
【請求項15】
前記第4のサブシステムが汎用プロセッサによって実装される、
請求項12のインテリジェントRF信号中継装置。
【請求項16】
更に、前記第1および第5のサブシステムに結合され、前記第1および第5のサブシステム間の信号分離を提供するアナログキャンセル回路を備える、
請求項12のインテリジェントRF信号中継装置。
【請求項17】
更に、前記第1および第5のサブシステム間の信号分離を提供するディジタルキャンセル回路を備える、
請求項12のインテリジェントRF信号中継装置。
【請求項18】
前記ディジタルキャンセル回路がフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)によって実装される、
請求項17のインテリジェントRF信号中継装置。
【請求項19】
更に、前記受信したRF信号内のマルチパス成分によるチャンネル分散の影響を緩和する適応型ディジタル等化フィルタを備える、
請求項12のインテリジェントRF信号中継装置。
【請求項20】
前記適応型ディジタル等化フィルタがフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)によって実装される、
請求項19のインテリジェントRF信号中継装置。
【請求項21】
RF信号を受信および中継する方法であって:
第1のRF信号を受信するステップと;
前記第1のRF信号を処理してデータチャンネルと制御チャンネルとを弁別するステップと;
所定基準に基づいて前記データチャンネルの内の1つを選択するステップと;
前記選択したデータチャンネルを第1の出力RF信号に増幅および変換するステップと;
前記第1の出力RF信号を帯域内で送信するステップと;を含む、
方法。
【請求項22】
前記制御チャンネルが、パイロット、同期およびページングチャンネルを含む、
請求項21の方法。
【請求項23】
前記第1のRF信号が、無線通信ネットワークにおける1つ以上の利用者ユニットに向けられるものである、
請求項21の方法。
【請求項24】
前記第1のRF信号が、無線通信ネットワークにおける基地局に向けられるものである、
請求項21の方法。
【請求項25】
更に:
前記無線通信ネットワークにおける基地局に向けられた第2のRF信号を受信するステップと;
前記第2の信号を処理してデータチャンネルと制御チャンネルとを弁別するステップと;
前記第2のRF信号からの全ての前記データチャンネルを第2の出力RF信号に増幅および変換するステップと;
前記第2の出力RF信号を送信するステップと;を含む、
請求項23の方法。
【請求項26】
更に:
前記無線通信ネットワークにおける1つ以上の利用者ユニットに向けられた第2のRF信号を受信するステップと;
前記第2のRF信号を処理してデータチャンネルおよび制御チャンネルを弁別するステップと;
前記第2のRF信号からの全ての前記データチャンネルを第2の出力RF信号に増幅および変換するステップと;
前記第2の出力RF信号を送信するステップと;を含む、
請求項24の方法。
【請求項27】
更に:
前記送信したRF信号の時間遅延公差を決定するステップと;
前記処理、選択および変換ステップが前記時間遅延公差内に行われることを保証するステップと;を含む、
請求項21の方法。
【請求項28】
前記受信したRF信号が、複数の利用者ユニットに向けられており、前記時間遅延公差が、前記利用者ユニットの内の1つによるデータチャンネルのダイバーシティ結合を許容する時間遅延を含む、
請求項27の方法。
【請求項29】
前記保証ステップが、前記利用者ユニットを含む無線ネットワークにおいて、前記制御チャンネルの時間参照の内の1つを通じた時間遅延探索窓のソフトウェアパラメータを設定するステップを含む、
請求項27の方法。
【請求項30】
前記第1のRF信号が、無線通信ネットワークにおける1つ以上の利用者ユニットに向けられており、前記方法は更に、前記1つ以上の利用者ユニットへの通信経路が複数存在することによって発生する干渉を補償するステップを含む、
請求項21の方法。
【請求項31】
前記第1のRF信号が、無線通信ネットワークにおける基地局に向けられており、前記方法は更に、前記基地局への通信経路が複数存在することによって発生する干渉を補償するステップを含む、
請求項21の方法。
【請求項32】
更に:
前記第1の出力RF信号の搬送波周波数と、前記第1のRF信号の搬送波周波数とを、許容公差で合致させるステップ;を含む、
請求項21の方法。
【請求項33】
無線通信ネットワークにおいて複数の基地局と複数のUEとの間で通信されるRF信号を選択的に中継する方法であって:
第1の基地局から前記複数のUEへ送信されたRF信号を受信するステップと;
前記受信したRF信号内に埋め込まれた、受信した通信チャンネルを識別するステップと;
前記複数のUEから、前記第1の基地局以外の基地局とソフトハンドオフ関係にある第1のUEを識別するステップと;
前記受信した通信チャンネルの内の第1の通信チャンネルを、ソフトハンドオフ関係にある前記識別したUEと関連付けるステップと;
前記受信した第1の通信チャンネルに所定利得値を適用するステップと;を含む、
方法。
【請求項34】
更に:
前記複数のUEから、前記第1の基地局以外の基地局とソフトハンドオフ関係にある第2のUEを識別するステップと;
前記受信した通信チャンネルの内の第2の通信チャンネルを、ソフトハンドオフ関係にある前記識別した第2のUEと関連付けるステップと;
前記受信した第2の通信チャンネルに前記所定利得値を適用するステップと;を含む、
請求項33の方法。
【請求項35】
更に:
前記受信した第1の通信チャンネルの信号対推論雑音比(SINR)を測定するステップと;
前記受信した第2の通信チャンネルのSINRを測定するステップと;
前記所定利得値を一旦修正して、前記第1の通信チャンネルの前記SINRの前記測定に基づいて第1の固定利得値を生成するステップと;
前記所定利得値を一旦修正して、前記第2の通信チャンネルの前記SINRの前記測定に基づいて第2の固定利得値を生成するステップと;
前記受信した第1の通信チャンネルに前記第1の固定利得値を適用するステップと;
前記受信した第2の通信チャンネルに前記第2の固定利得値を適用するステップと;を含む、
請求項34の方法。
【請求項36】
無線通信ネットワークにおいて基地局と複数のUEとの間で通信されるRF信号を選択的に中継する方法であって:
前記基地局から送信されたRF信号を受信するステップと;
前記基地局から前記複数のUEへのダウンリンク通信に使用される、前記RF信号に埋め込まれた初期通信チャンネルを識別するステップであって、前記初期通信チャンネルのそれぞれに対して、前記基地局によって提供される関連のベース利得が適用されるステップと;
前記通信チャンネルのそれぞれの信号対干渉雑音比(SINR)を監視するステップと;
前記初期通信チャンネルの内の第1の初期通信チャンネルの前記SINRが第1の所定閾値に達したことを検出すると、前記第1の初期通信チャンネル、および前記UEの内の関連する第1のUEを選択し、前記選択した第1の初期通信チャンネルに選択した利得値を適用して、前記第1の初期通信チャンネルの増幅バージョンを中継用に生成するステップと;
第1に、前記第1の初期通信チャンネルの前記増幅バージョンのSINRが第2の所定閾値に達するか判定するステップと;
第2に、前記関連する第1のUEにおいて、前記第1の初期通信チャンネルが前記第1の通信チャンネルの前記増幅バージョンに対して支配的であるか判定するステップと;
前記関連のベース利得および/または前記選択した利得値を変化させて、前記第1の初期通信チャンネルおよび前記第1の初期通信チャンネルの前記増幅バージョンの内の支配的である方の、前記関連する第1のUEにおける前記SINRの所望値を維持するステップと;を含む、
方法。
【請求項37】
前記関連する第1のUEにおける前記第1の初期通信チャンネルの前記SINRが、前記第1の初期通信チャンネルの前記増幅バージョンの前記SINRよりも所定マージンだけ大きい時に、前記第1の初期通信チャンネルが、前記第1の初期通信チャンネルの前記増幅バージョンに対して支配的である、
請求項36の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−165151(P2009−165151A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48055(P2009−48055)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【分割の表示】特願2004−541457(P2004−541457)の分割
【原出願日】平成15年7月11日(2003.7.11)
【出願人】(594137638)サイエンス アプリケイションズ インターナショナル コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】SCIENCE APPLICATIONS INTERNATIONAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】10260 Campus Point Drive,San Diego,California 92121,U.S.A.
【Fターム(参考)】