説明

スライド式弁装置、及びこれを備えた輸送切替装置

【課題】スライド弁体やこれを収容する弁体ハウジングの磨耗等を効果的に防止し得るとともに、スライド弁体をスムーズにスライドさせ得るスライド式弁装置及びこれを備えた輸送切替装置を提供する。
【解決手段】スライド式弁装置1は、スライド弁体20と、このスライド弁体を略水平方向にスライド可能に収容する中空ガイド部17を有するとともに輸送路2,3,4に連通される開口11,12,12を有した弁体ハウジング10と、前記スライド弁体の下面20aと前記中空ガイド部の底面17aとの間に臨むように設けられたエアー供給口34を有するとともに、これらの間にエアー層が形成されるようにエアーを供給するエアー供給部30と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体材料の輸送路の途中に組み込まれるスライド式弁装置、及びこれを備えた輸送切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の粉粒体材料の輸送路の途中に組み込まれるスライド式弁装置としては、板状のスライド弁体を弁体ハウジングに設けた中空内においてスライドさせることで、輸送路の開閉や切り替えを行うものが知られている。
このようなスライド式弁装置では、スライド弁体が弁体ハウジングの中空内において摺動するため、両者の摺動面において磨耗や焼き付きが生じる場合があった。これらスライド弁体や弁体ハウジングは、一般的に金属製とされており、磨耗により金属粉が発生すれば、輸送路を輸送される粉粒体材料に混入することも考えられる。また、このような問題はこれらの摺動面に潤滑油を塗布したり、供給したりすることで解決することも考えられるが、潤滑油が粉粒体材料に混入することも考えられる。そこで、磨耗し難い材料によってスライド弁体や弁体ハウジング等を形成したり、これらに熱処理を施したり、これらの摺動面に表面処理等を施したりする対策等が採用されているが更なる改善が望まれていた。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、それぞれに導通孔を有する上下の押え板の間に、両導通孔に連通する連通孔を形成したスライダー板を摺動自在に介装してなるスライド弁が提案されている。このスライド弁では、上下の押え板の導通孔口縁近傍に、スライダー板の案内溝と連通した環状凹部を形成し、この環状凹部にリング等のシール体を嵌装させ、このシール体をばね等の押圧手段によってスライダー板に向けて押圧する構成とされている。これによれば、粉粒体材料を輸送する輸送用気体のリークや粉粒体材料の噛み込みが軽減されるものではあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−97171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたスライド弁においても長期の使用によりシール体が徐々に磨耗し、定期的なメンテナンス等を行う必要が生じたり、弁体に圧接するシール体が摩擦抵抗(摺動抵抗)になったりすることも考えられ、更なる改善が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、スライド弁体やこれを収容する弁体ハウジングの磨耗等を効果的に防止し得るとともに、スライド弁体をスムーズにスライドさせ得るスライド式弁装置及びこれを備えた輸送切替装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係るスライド式弁装置は、粉粒体材料の輸送路の途中に組み込まれるスライド式弁装置であって、スライド弁体と、このスライド弁体を略水平方向にスライド可能に収容する中空ガイド部を有するとともに前記輸送路に連通される開口を有した弁体ハウジングと、前記スライド弁体の下面と前記中空ガイド部の底面との間に臨むように設けられたエアー供給口を有するとともに、これらの間にエアー層が形成されるようにエアーを供給するエアー供給部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
上記構成とされた本発明に係るスライド式弁装置によれば、エアー供給部によって、スライド弁体の下面と中空ガイド部の底面との間にエアー層が形成されるようにエアーが供給されるので、スライド弁体やこれを収容する弁体ハウジングの磨耗や焼き付きを効果的に防止することができる。つまり、略水平方向にスライドされるスライド弁体の自重に抗してこのスライド弁体を浮かせるようにして、スライド弁体の下面と中空ガイド部の底面との間にエアー層を形成することで、スライド弁体の下面と中空ガイド部の底面との間の摺動抵抗(摩擦抵抗)を小さくまたは略なくすことができ、磨耗や焼き付き等を効果的に防止することができる。また、これにより、スムーズにスライド弁体をスライドさせることができる。
また、スライド弁体の下面と中空ガイド部の底面との間の摺動抵抗(摩擦抵抗)を小さくまたは略なくすことができるので、これらを形成する材料選択の自由度が高まり、また、熱処理や表面処理等の加工を省略することもでき、材料コストや加工コストの低コスト化を図ることができる。
さらに、スライド弁体の下面と中空ガイド部の底面との間にエアーが供給されるので、これらの間が正圧となり、これらの間に輸送される粉粒体材料や粉塵等が入り込むことを防止することもでき、材料替え等の際に必要となる清掃を省略することもできる。
【0009】
本発明においては、前記エアー供給部のエアー供給口を、前記中空ガイド部の底面に開口するように設けるようにしてもよい。
このような構成とすれば、スライドされるスライド弁体側、つまりは移動側にエアー供給口を設ける場合と比べて簡易な構造とできる。
【0010】
本発明においては、前記スライド弁体の下面及び前記中空ガイド部の底面の少なくともいずれか一方に、前記エアー供給部のエアー供給口から供給されたエアーを受け入れる凹溝をスライド方向に沿って設けるようにしてもよい。
このような構成とすれば、エアー層を形成するためにスライド弁体の下面を中空ガイド部の底面から浮かせる際に必要となる受圧面積を効果的に大きくすることができる。これにより、エアー層を形成するために、つまり、スライド弁体を浮上させるために必要となるエアー供給口の口径を比較的に小さくしたり、エアー供給口を設ける個数を少なくしたりすることができる。
【0011】
本発明においては、前記エアー供給部のエアー供給口に連通して接続されるエアー供給ラインに、流量調整弁を設けるようにしてもよい。
このような構成とすれば、スライド弁体の浮上によってスライド弁体の上面が中空ガイド部の天面に押し付けられたり、接触したりしないように、比較的簡易かつ安定的に調整することができる。つまり、供給するエアーの流量を調整することで、スライド弁体の上面と中空ガイド部の天面との隙間(クリアランス)を確保しながらもスライド弁体を浮上させるように比較的簡易かつ安定的に調整することができる。
【0012】
本発明においては、前記スライド弁体の上面と前記中空ガイド部の天面との間にエアーを供給する上側エアー供給部を更に備えたものとしてもよい。
このような構成とすれば、スライド弁体の浮上によってスライド弁体の上面が中空ガイド部の天面に押し付けられたり、接触したりすることを比較的に簡易な構造で防止することができる。
また、スライド弁体の上面と中空ガイド部の天面との間にエアーが供給されるので、これらの間が正圧となり、これらの間に輸送される粉粒体材料や粉塵等が入り込むことを防止することもできる。
さらに、当該スライド式弁装置の天地を逆にして配置するような場合には、この上側エアー供給部をスライド弁体の下面と中空ガイド部の底面との間にエアー層が形成されるようにエアーを供給するエアー供給部として利用し、上記エアー供給部を上側エアー供給部として利用することもできる。これにより、天地を逆にして配置する必要があるような場合にも共通のスライド式弁装置を用いることができる。
【0013】
上記上側エアー供給部のエアー供給ラインは、スライド弁体の下面側にエアーを供給するエアー供給部のエアー供給ラインを分岐させることで構成するようにしてもよい。また、その分岐ラインに流量調整弁を設けるようにしてもよい。
また、上記上側エアー供給部のエアー供給口は、前記中空ガイド部の天面に開口するように設けるようにしてもよい。
また、スライド弁体の上面及び中空ガイド部の天面の少なくともいずれか一方に、上記上側エアー供給部のエアー供給口から供給されたエアーを受け入れる凹溝をスライド方向に沿って設けるようにしてもよい。
【0014】
本発明においては、前記弁体ハウジングの中空ガイド部のスライド方向両端部のそれぞれに設けられ、前記スライド弁体の各端面に向けて開口する弁体駆動エアー供給口を有するとともに、これら弁体駆動エアー供給口に選択的にエアーを供給する弁体駆動エアー供給部を備えたものとしてもよい。
このような構成とすれば、弁体駆動エアー供給口から供給したエアーによってスライド弁体を中空ガイド部内においてスライドさせることができる。これにより、スライド弁体をスライドさせるためのエアーシリンダー等の弁体駆動部としてのアクチュエーターを設けるためのスペースが不要となり、コンパクト化を図ることができる。
【0015】
本発明においては、前記弁体ハウジングの開口を、一系統の輸送路が連通される第1開口と、二系統の輸送路がそれぞれに連通される2つの第2開口とからなるものとし、前記スライド弁体に、一方側へスライドされた際に前記第2開口のうちの一方と前記第1開口とを連通させる第1貫通孔と、他方側へスライドされた際に前記第2開口の他方と前記第1開口とを連通させる第2貫通孔とを、スライド方向に沿って間隔を空けて設けるようにしてもよい。
この場合、前記弁体ハウジングの第2開口を、前記第1開口に対向するように設けるとともに、スライド方向に沿って間隔を空けて形成された一対のものとし、前記スライド弁体の各貫通孔を、スライド方向に沿って間隔を空けて厚さ方向に沿って斜め状に設けるようにしてもよい。
または、前記弁体ハウジングの第1開口と第2開口のうちの一方とを対向するように設けるとともに、第2開口のうちの他方を、これらの対向方向に略直交する方向に設け、これら開口に対応させた貫通孔をスライド弁体に設ける態様としてもよい。つまり、第1開口及び第2開口のうちの一方を上下側にそれぞれ設けた場合には、側面側に第2開口のうちの他方を設ける態様としてもよい。
【0016】
上記のような構成とすれば、二系統の輸送路のいずれか一方と一系統の輸送路とを選択的に切り替えて連通させることができ、異なる二種類の粉粒体材料を切り替えて輸送することができる。
また、上記のようなスライド弁体は、貫通孔を斜め状や屈曲させるようにして設ける必要があるため、スライド弁体の厚さ寸法が比較的に大きくなる結果、重くなる傾向があり、磨耗や焼き付きが生じ易くなる傾向がある。本発明によれば、エアー供給部によって、上述のようにスライド弁体の下面と中空ガイド部の底面との間にエアー層が形成されるので、このような二つの貫通孔を有したスライド弁体を備えたスライド式弁装置にも好適である。
【0017】
また、本発明に係る輸送切替装置は、複数の本発明に係るスライド式弁装置を、隣接するスライド式弁装置同士の前記第2開口のうちの一方と前記第1開口とを連通させて並設したことを特徴とする。
上記構成とされた本発明に係る輸送切替装置によれば、各スライド式弁装置のスライド弁体をスライド制御することで、並設方向一端側に配設されたスライド式弁装置の第1開口に接続される輸送路に対して、当該スライド式弁装置の第2開口の他方を含み、他のスライド式弁装置の第2開口の他方及び並設方向他端側に配設されたスライド式弁装置の第2開口の一方にそれぞれ接続される輸送路を切り替えて連通させることができる。つまり、1方向対多方向の輸送切替を行うことができる。
また、例えば、従来のロータリーヘッダー型の輸送切替装置等と比べて、複数のスライド式弁装置の各スライド弁体を略同時に切替制御することも容易にでき、比較的に迅速に輸送方向の切り替えを行うこともできる。また、スライド弁体を弁体ハウジング内においてスライドさせて輸送方向の切り替えができるため、従来のロータリーヘッダー型の輸送切替装置等と比べて、粉粒体材料のリークや零れ、噛み込み等を抑制することもできる。
【0018】
また、本発明に係る輸送切替装置は、複数の本発明に係るスライド式弁装置を、隣接するスライド式弁装置同士の前記第2開口のうちの一方と前記第1開口とを連通させて並設した第1切替ユニットと、複数の本発明に係るスライド式弁装置を、隣接するスライド式弁装置同士の前記第2開口のうちの一方と前記第1開口とを連通させて並設した第2切替ユニットとを備え、前記第1切替ユニットの並設方向一端側に配設されたスライド式弁装置の第1開口と前記第2切替ユニットの並設方向一端側に配設されたスライド式弁装置の第1開口とを連通させたことを特徴とする。
上記構成とされた本発明に係る輸送切替装置によれば、上記同様の効果を奏するとともに、各スライド式弁装置のスライド弁体をスライド制御することで、多方向対多方向の輸送切替を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るスライド式弁装置は、上述のような構成としたことで、スライド弁体やこれを収容する弁体ハウジングの磨耗等を効果的に防止することができるとともに、スライド弁体をスムーズにスライドさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)、(b)は、いずれも本発明の一実施形態に係るスライド式弁装置を模式的に示し、図2(a)におけるX1−X1線矢視にそれぞれ対応させた概略縦断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、いずれも同スライド式弁装置を模式的に示し、(a)は、概略平面図、(b)は、概略底面図、(c)、(d)は、概略側面図である。
【図3】(a)、(b)は、いずれも同スライド式弁装置が備えるスライド弁体の一例を模式的に示し、(a)は、概略平面図、(b)は、概略底面図、(c)は、同スライド式弁装置のエアー回路図の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】同スライド式弁装置を備えた輸送切替装置の一例を模式的に示す概略正面図である。
【図5】同輸送切替装置を組み込んだ粉粒体材料の輸送切替システムの一例を模式的に示す概略システム構成図である。
【図6】(a)〜(c)は、いずれも本発明の他の実施形態に係るスライド式弁装置を模式的に示し、(a)、(b)は、図7(a)におけるX2−X2線矢視にそれぞれ対応させた概略縦断面図、(c)は、同スライド式弁装置の概略一側面図である。
【図7】(a)、(b)は、いずれも同スライド式弁装置を模式的に示し、(a)は、概略平面図、(b)は、概略底面図、(c)は、同スライド式弁装置のエアー回路図の一例を模式的に示す説明図である。
【図8】(a)〜(c)は、いずれも本発明の更に他の実施形態に係るスライド式弁装置を模式的に示し、(a)は、図1(a)に対応させた概略縦断面図、(b)は、同スライド式弁装置が備えるスライド弁体の一例を模式的に示す概略平面図、(c)は、同スライド式弁装置のエアー回路図の一例を模式的に示す説明図である。
【図9】(a)〜(c)は、いずれも本発明の更に他の実施形態に係るスライド式弁装置を模式的に示し、(a)は、図1(a)に対応させた概略縦断面図、(b)は、同スライド式弁装置が備える弁体ハウジングの天壁部の一例を模式的に示す概略底面図、(c)は、(a)におけるY部に対応させた一部破断概略拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略し、また、管路や信号線等を、実線や二点鎖線、点線にて模式的に示している。
また、以下の各実施形態において示す前後方向は、図1に示す状態を基準としてエアーシリンダー側を後方とし、そのピストンロッドの伸長方向側を前方として説明し、また、その上下方向等を説明するが、配設態様等によってはこれらの方向は限定されるものではない。
【0022】
図1〜図3は、第1実施形態に係る粉粒体材料のスライド式弁装置を説明するための説明図である。
本実施形態に係るスライド式弁装置1は、図1に示すように、弁体ハウジング10と、この弁体ハウジング10内に収容されたスライド弁体20と、このスライド弁体20をスライドさせる弁体駆動部としてのエアーシリンダー40とを備えている。
このスライド式弁装置1は、粉粒体材料の輸送路2,3,4の途中に組み込まれ、本実施形態では、このスライド式弁装置1を、一系統の輸送路(第1輸送路)2と、二系統の輸送路(第2輸送路3及び第3輸送路4)との間に組み込んだ例を示している。
また、本実施形態では、スライド式弁装置として、スライド弁体20をスライドさせることで、第1輸送路2に対して第2輸送路3及び第3輸送路4を切り替えて連通させる構造とされた切替弁装置1を例示している。
【0023】
これら各輸送路2,3,4を輸送される粉粒体材料としては、粉体・粒体状の材料を指すが、微小薄片状や短繊維片状、スライバー状の材料等を含む。また、上記材料としては、樹脂ペレットや樹脂繊維片等の合成樹脂材料、さらには金属材料や半導体材料、木質材料、薬品材料、食品材料等どのようなものでもよい。
また、このような粉粒体材料を輸送する態様としては、空気輸送(吸引輸送、圧送)する態様としてもよく、または、自重により輸送(移送)する態様としてもよい。
【0024】
弁体ハウジング10は、図1及び図2に示すように略直方体形状とされ、スライド弁体20を略水平方向にスライド可能に収容する中空ガイド部17を有している。本実施形態では、弁体ハウジング10は、スライド方向(前後方向、図例では、長手方向)に略直交する方向(厚さ方向)で上下に対向配置された天壁部13及び底壁部14と、スライド方向に略直交する方向(幅方向)に対向配置された残余の両側壁部15,15と、エアーシリンダー40側(後方側)端部に配置された端部プレート16とによって前方に向けて開口する箱形状とされ、これらによって囲まれた空間が中空ガイド部17とされている。
【0025】
また、弁体ハウジング10は、第1輸送路2が連通される第1開口11と、この第1開口11に対向するように設けられるとともに、スライド方向に沿って間隔を空けて形成され、第2輸送路3及び第3輸送路4がそれぞれに連通される一対の第2開口12,12とを備えている。
本実施形態では、底壁部14に、当該底壁部14の厚さ方向に貫通する第1開口11を設け、天壁部13に、当該天壁部13の厚さ方向にそれぞれ貫通するとともに、スライド方向に沿って間隔を空けて一対の第2開口12,12を設けた例を示している。図例では、これら一対の第2開口12,12と第1開口11とを両側壁部15,15の対向方向に沿って略同位置となるように、つまり、これら各開口11,12,12の孔中心が略同一平面上に位置するように、これら各開口11,12,12を設けた例を示している(図2も参照)。また、図例では、平面視(底面視)において、第1開口11の孔中心が間隔を空けて形成された一対の第2開口12,12間の略中央に位置するようにこれら各開口11,12,12を設けた例を示している。
【0026】
また、図例では、これら各開口11,12,12は、略同径の円形状とされたものを例示している。なお、このような円形状の開口に限られず、矩形状の開口としてもよい。また、図例では、底壁部14及び両側壁部15,15を構成する断面略凹字状の部材と天壁部13を構成するプレート状の部材と端部プレート16とによって弁体ハウジング10を構成した例を示しているが(図2(c)も参照)、このような態様に限られない。例えば、各壁部をプレート状の部材を組み合わせて構成したり、上記した略箱形状に一体的に形成したりした態様としてもよい。また、端部プレート16を、各壁部13,14,15,15に対して容易に着脱できる構造とされたものとしてもよい。これによれば、端部プレート16とともに後記するエアーシリンダー40及びこれに連結されたスライド弁体20を、弁体ハウジング10から容易に取り外すことができ、弁体ハウジング10内やスライド弁体20を容易に清掃等することができる。
【0027】
スライド弁体20は、図1及び図2に示すように、弁体ハウジング10の中空ガイド部17の形状に対応させて、略直方体形状とされている(図3(a)、(b)も参照)。また、このスライド弁体20には、一方側(図例では、前方側)へスライドされた際に、弁体ハウジング10の第1開口11と第2開口12のうちの一方(図例では、後方側の第2開口12)とを連通させる第1貫通孔21と、他方側(図例では、後方側)へスライドされた際に、弁体ハウジング10の第1開口11と第2開口12のうちの他方(図例では、前方側の第2開口12)とを連通させる第2貫通孔22と、がスライド方向(図例では、長手方向)に沿って間隔を空けて設けられている。
これら第1貫通孔21及び第2貫通孔22は、当該スライド弁体20の厚さ方向(上下方向)に貫通して設けられ、厚さ方向に沿って斜め状に設けられている(図3(a)、(b)も参照)。図例では、弁体ハウジング10に設けられた各開口11,12,12に対応させて、これら各貫通孔21,22を下方側から上方側に向けてスライド方向に沿って拡開するように斜め状に設けた例を示している。
【0028】
図例では、当該スライド弁体20を前方側にスライドさせた状態において、第1貫通孔21の下方側開口と弁体ハウジング10の第1開口11とが略整合し、第1貫通孔21の上方側開口と弁体ハウジング10の後方側の第2開口12とが略整合するように第1貫通孔21を形成している(図1(a)参照)。また、この状態において、第2貫通孔22の上下の開口が弁体ハウジング10の天壁部13及び底壁部14によって略閉塞された状態となるように第2貫通孔22を形成している(図1(a)参照)。
一方、当該スライド弁体20を後方側にスライドさせた状態において、第2貫通孔22の下方側開口と弁体ハウジング10の第1開口11とが略整合し、第2貫通孔22の上方側開口と弁体ハウジング10の前方側の第2開口12とが略整合するように第2貫通孔22を形成している(図1(b)参照)。また、この状態において、第1貫通孔21の上下の開口が弁体ハウジング10の天壁部13及び底壁部14によって略閉塞された状態となるように第1貫通孔21を形成している(図1(b)参照)。
【0029】
なお、これら各貫通孔21,22は、貫通方向に直交する断面形状が上記した弁体ハウジング10の各開口11,12,12と略同径の円形状とされたものを例示しているが、このような断面円形状とされた貫通孔に限られず、弁体ハウジング10の各開口11,12,12の形状に対応させて断面矩形状とされた貫通孔としてもよい。
また、図例では、ブロック状体に各貫通孔21,22を貫通形成した例を示しているが、プレート状部材によって略直方体形状とし、上下のプレート状部材に開口を設けるとともに接続管等によってこれら開口を接続することで、上記した各貫通孔21,22を構成するようにしてもよい。
また、上記した弁体ハウジング10及びスライド弁体20は、炭素鋼やステンレス鋼などの金属系材料から形成されたものとしてもよい。
【0030】
エアーシリンダー40は、このスライド弁体20の後方側端部に連結され、このスライド弁体20をスライドさせる弁体駆動部として機能する。このエアーシリンダー40としては、公知のものが適用可能である。図例では、シリンダー本体41と、このシリンダー本体41から伸縮されるピストンロッド43と、このピストンロッド43とスライド弁体20とを連結する連結部材44とを備えたエアーシリンダー40を例示している。
シリンダー本体41には、シリンダー本体41内に収容され、ピストンロッド43の基端部に連結されたピストン42(図3(c)参照)をスライド方向に移動させるためのエアーを導入するポート45,45が設けられている。このエアーシリンダー40は、弁体ハウジング10の端部プレート16に開設された貫通孔にピストンロッド43を挿通させ、この端部プレート16にねじやボルト等の止具によって連結固定するようにしてもよい。
【0031】
このエアーシリンダー40の各ポート45,45には、図3(c)に示すように、コンプレッサー等の圧縮空気源5に接続された駆動エアーライン46が接続される。この駆動エアーライン46は、図例では、圧縮空気ライン6を介して圧縮空気源5に接続されている。圧縮空気ライン6には、手動開閉弁7や供給する圧縮空気の圧力を調整するレギュレーター乃至は減圧弁8、圧力計9が配設されている。
また、この駆動エアーライン46には、電磁弁等の駆動エアーライン切替弁47が配設され、各ポート45,45に向けて選択的に圧縮空気の供給がこの駆動エアーライン切替弁47の下流側ポートのそれぞれに接続された各駆動エアーラインを介してなされ、これにより、ピストンロッド43の伸縮がなされる。なお、図例では、駆動エアーライン切替弁47として、両側ソレノイド型の電磁弁を示しているが、駆動エアーライン46からの圧縮空気を切り替えて各ポート45,45に供給可能なものであればどのような切替弁としてもよく、その他の電磁弁やパイロット操作弁等の切替弁を採用するようにしてもよい。
【0032】
なお、図3(c)において、符号48は、各ポート45,45に分岐して接続された駆動エアーライン46(乃至は各ポート45,45)のそれぞれに配設された逆止弁付きの流量調整弁(スピードコントローラー、速度制御弁)である。
また、このエアーシリンダー40のピストンロッド43のストローク(伸縮)は、図1(a)に示す伸長時に、弁体ハウジング10の第1開口11と後方側の第2開口12とがスライド弁体20の第1貫通孔21によって連通されるように、また、図1(b)に示す縮退時に、弁体ハウジング10の第1開口11と前方側の第2開口12とがスライド弁体20の第2貫通孔22によって連通されるように設定されている。
また、スライド弁体20をスライドさせる弁体駆動部としては、上記したエアーシリンダー40に限られず、その他、油圧式シリンダーや、電動式シリンダー、電動式ネジ軸(ボールネジ等)など、種々のアクチュエーターの採用が可能である。
【0033】
上記構成とされた切替弁装置1においては、図1(a)に示すように、エアーシリンダー40の後端側ポート45を介してシリンダー本体41内に圧縮空気が導入されれば、スライド弁体20が前方に向けて移動し、スライド弁体20の第1貫通孔21によって弁体ハウジング10の第1開口11と後方側の第2開口12とが連通する(図2(a)、(b)も参照)。また、この状態では、弁体ハウジング10の前方側の第2開口12は、スライド弁体20によって略閉塞される。これにより、第1開口11に連通される第1輸送路2と後方側の第2開口部12に連通される第2輸送路3とが連通し、前方側の第2開口12に連通される第3輸送路4は遮断される。
一方、図1(b)に示すように、エアーシリンダー40の前端側ポート45を介してシリンダー本体41内に圧縮空気が導入されれば、スライド弁体20が後方に向けて移動し、スライド弁体20の第2貫通孔22によって弁体ハウジング10の第1開口11と前方側の第2開口12とが連通する(図2(b)も参照)。また、この状態では、弁体ハウジング10の後方側の第2開口12は、スライド弁体20によって略閉塞される。これにより、第1開口11に連通される第1輸送路2と前方側の第2開口12に連通される第3輸送路4とが連通し、後方側の第2開口12に連通される第2輸送路3は遮断される。
【0034】
このように弁体ハウジング10の中空ガイド部17内においてスライド弁体20をスライドさせる構成とされたスライド式弁装置としての切替弁装置1においては、スライド弁体20がスライドされる際に、特にスライド弁体20の下面20aと弁体ハウジング10の中空ガイド部17の底面17aとが摺動し、両者の摺動面において磨耗や焼き付きが生じることが考えられる。
そこで、本実施形態に係る切替弁装置1は、スライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間に臨むように設けられたエアー供給口34を有するとともに、これらの間にエアー層が形成されるようにエアー(圧縮空気)を供給するエアー供給部30を備えている。
【0035】
エアー供給部30は、図3(c)に示すように、エアー供給口34に連通して接続されるエアー供給ライン31を備えている。
このエアー供給ライン31は、本実施形態では、圧縮空気ライン6から分岐して設けられている。なお、このようにエアーシリンダー40に圧縮空気を供給するラインから分岐させてエアー供給ライン31を設ける態様に代えて、当該エアー供給ライン31を直接的に圧縮空気源5に接続するような態様としてもよい。この場合は、適宜、必要に応じてレギュレーター乃至は減圧弁や圧力計などの機器を当該ラインに配設するようにしてもよい。
【0036】
このエアー供給ライン31には、当該エアー供給ライン31の開閉を行うための電磁弁等の開閉弁32と、ニードルバルブ(絞り弁)等からなる流量調整弁33とが下流側に向けてこの順に配設されている。この開閉弁32を開放させることで、圧縮空気源5からの圧縮空気が、エアー供給口34を介してスライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間に供給される。また、流量調整弁33を調整することで、エアー供給口34を介してスライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間に供給される圧縮空気の流量の調整が可能とされている。なお、開閉弁32としては、図例のような単動ソレノイドスプリングリターン型の電磁弁に限られず、エアー供給ライン31の開閉が可能なものであればどのような開閉弁としてもよく、その他の電磁弁やパイロット操作弁等の開閉弁を採用するようにしてもよい。また、流量調整弁33としては、図例のようなニードルバルブに限られず、多段階的乃至は無段階的に比較的に微小な流量の調整が手動操作で可能なものであればどのような流量調整弁を採用するようにしてもよい。
【0037】
エアー供給口34は、本実施形態では、図1及び図2に示すように、弁体ハウジング10の中空ガイド部17の底面17aに開口するように設けられている。図例では、弁体ハウジング10の底壁部14を貫通して複数のエアー供給口34を設けた例を示している。これら複数のエアー供給口34は、スライド弁体20の下面20aに向けて開口しており、中空ガイド部17内においてスライドされるスライド弁体20と常時、上下で整合する位置となるように設けられている。つまり、スライドされるスライド弁体20の下面20aと常時対面する位置となるようにこれら複数のエアー供給口34を設けている。
【0038】
図例では、4つのエアー供給口34を設けた例を示しており、図1及び図2に示すように、スライド方向(図例では、長手方向)に沿って間隔を空けて2つのエアー供給口34を、中空ガイド部17の底面17aの両側端部(両側壁部15,15近傍側端部、幅方向両側端部)のそれぞれに開口するように設けた例を示している。また、これら4つのエアー供給口34のうちの後方側に設けられた2つのエアー供給口34,34は、図1(a)及び図2(b)に示すように、前方側へスライドされたスライド弁体20の後方側端部の下面20aに向けて開口するように設けられ、これら4つのエアー供給口34のうちの前方側に設けられた2つのエアー供給口34,34は、図1(b)及び図2(b)に示すように、後方側へスライドされたスライド弁体20の前方側端部の下面20aに向けて開口するように設けられている。
【0039】
また、本実施形態では、スライド弁体20の下面20aに、エアー供給部30のエアー供給口34から供給された圧縮空気を受け入れる凹溝23をスライド方向(図例では、長手方向)に沿って設けている。
この凹溝23は、本実施形態では、図2(b)及び図3(b)に示すように、スライド方向に沿って間隔を空けて設けられた各貫通孔21,22の幅方向両側に、長手方向に沿って細長凹溝状に設けられている。これら凹溝23,23のそれぞれは、上記のように中空ガイド部17の底面17aの幅方向両側端部のそれぞれに開口した2つのエアー供給口34,34と上下で整合する位置となるように設けられている。つまり、これら凹溝23,23のそれぞれは、当該スライド弁体20の幅方向両側端部に長手方向に沿って設けられており、当該スライド弁体20がスライドされる際に、これら2つのエアー供給口34,34が常時、幅方向両側のそれぞれの凹溝23,23に向けて開口するように設けられている。
【0040】
また、これら凹溝23,23は、図3(b)に示すように、長手方向両端部に、幅広状とされた幅広部を有している。この幅広部は、図2(b)に示すように、当該スライド弁体20が前方側へスライドされた際に、これら凹溝23,23の後方側の幅広部に向けて上記した後方側の2つのエアー供給口34,34が開口するように、また、当該スライド弁体20が後方側へスライドされた際に、これら凹溝23,23の前方側の幅広部に向けて上記した前方側の2つのエアー供給口34,34が開口するように形成されている(図1も参照)。図例では、当該スライド弁体20の幅方向両側端部において、長手方向に沿って細長凹溝状とされた各凹溝23,23の長手両側端部を、当該スライド弁体20の長手方向に直交する方向(幅方向)の中央側に向けて膨出させるようにして幅広部を形成した例を示している。このような幅広部を設けることで、エアー供給口34から供給されたエアーをスムーズに受け入れ、当該凹溝23の長手方向に沿って案内、拡散させることができる。
【0041】
なお、この凹溝23の深さ寸法は、当該スライド弁体20の質量や下面20aの面積、供給される圧縮空気の圧力や流量等にもよるが、1mm未満の比較的に浅い寸法としてもよく、マイクロオーダーの深さ寸法としてもよい。
また、凹溝23は、図例のように幅方向両側端部に長手方向に沿って形成したものに限られず、これら二本の凹溝を長手方向両側端部で連通させるように形成したり、長手方向中央部位において連通させるように形成したりしたものとしてもよい。
【0042】
上記構成とされたエアー供給部30を備えた切替弁装置1においては、開閉弁32を開放させ、各ライン6,31及びエアー供給口34を介して圧縮空気源5からの圧縮空気をスライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間に供給することで、スライド弁体20やこれを収容する弁体ハウジング10の磨耗等を効果的に防止することができるとともに、スライド弁体20をスムーズにスライドさせることができる。
つまり、略水平方向にスライドされるスライド弁体20の自重に抗してこのスライド弁体20を浮かせるようにしてスライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間にエアー層を形成するようにしている。これにより、スライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの摺動抵抗(摩擦抵抗)を小さくまたは略なくすことができ、磨耗や焼き付き等を効果的に防止することができる。また、これにより、スムーズにスライド弁体20をスライドさせることができる。
【0043】
なお、上記エアー層の厚さ寸法、つまりは、スライド弁体20の浮上量は、当該スライド弁体20及び中空ガイド部17の大きさやスライド弁体20の質量、粉粒体材料の輸送態様、粉粒体材料の粒径等に応じて設定するようにしてもよい。例えば、スライド弁体20をスライド可能に収容する弁体ハウジング10とスライド弁体20との間の隙間(クリアランス)、特にスライド弁体20の上面20bと中空ガイド部17の天面17bとの間の隙間(クリアランス)を、スライド弁体20のスライドが可能でかつ当該隙間からの輸送空気のリークや粉粒体材料の噛み込みを効果的に低減できるように、僅かな隙間(例えば、1μm〜50μm程度のマイクロオーダー)となるように設定し、この隙間と同程度の浮上量としてもよい。
また、例えば、当該切替弁装置1自体が大型で、輸送する粉粒体材料の粒径が大きく、また、これを自重で移送する輸送路に組み込まれる場合には、上記した隙間や浮上量が例えばミリオーダーでも然程支障が生じることはない。
【0044】
また、本実施形態に係る切替弁装置1によれば、スライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間の摺動抵抗(摩擦抵抗)を小さくまたは略なくすことができるので、これらを形成する材料選択の自由度が高まり、また、熱処理や表面処理等の加工を省略することもでき、材料コストや加工コストの低コスト化を図ることができる。
さらに、スライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間にエアーが供給されるので、これらの間が正圧となり、これらの間に輸送される粉粒体材料や粉塵等が入り込むことを防止することもでき、材料替え等の際に必要となる清掃を省略することもできる。
【0045】
なお、上記のように開閉弁32を開放させ、スライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間に圧縮空気を供給するタイミングは、当該切替弁装置1の作動中、常時、供給するようにしてもよい。または、スライド弁体20のスライド動作に連動させて、スライド弁体20をスライドさせる際にのみ供給するようにしてもよく、スライド弁体20をスライドさせる前後の時間(例えば、1秒前後または数秒程度)を含みスライドさせる際にのみ供給するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、エアー供給部30のエアー供給口34を、中空ガイド部17の底面17aに開口するように設けている。これにより、スライドされるスライド弁体20側、つまりは移動側にエアー供給口を設ける場合と比べて簡易な構造とできる。
なお、このような態様に代えて、スライド弁体20の下面20aに開口するようにエアー供給部のエアー供給口を設けるようにしてもよい。この場合は、例えば、スライド弁体の前方側端面や後方側端面にエアー供給ラインを接続し、スライド弁体内にエアー供給口までのエアー経路を設けるようにしてもよい。
また、本実施形態では、弁体ハウジング10の第1開口11が設けられた側を下方側に配置した例を示し、それに対応させてエアー供給口34を設けた例を示しているが、弁体ハウジング10の第1開口11が設けられた側が上方側に配置される場合、つまり、図例とは天地逆に当該切替弁装置1が配置される場合には、上記とは逆に、弁体ハウジング10の図示上側の天壁部13を貫通するように、または、スライド弁体20の図示上側の上面20bに開口するようにエアー供給口を設けるようにすればよい。つまり、図示上側の天壁部13を弁体ハウジングの底壁部として把握し、図示上側の上面20bをスライド弁体の下面として把握するようにすればよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、中空ガイド部17の底面17aの幅方向両側端部のそれぞれに、長手方向に沿って間隔を空けて複数のエアー供給口34を設けているので、スライド弁体20を安定的に浮上させることができる。つまりは、スライド弁体20が長手方向や幅方向に傾くようなことを防止でき、略水平方向に沿ってスムーズにスライドさせることができる。
【0048】
さらにまた、本実施形態では、スライド弁体20の下面20aに、エアー供給部30のエアー供給口34から供給されたエアーを受け入れる凹溝23をスライド方向に沿って設けている。これにより、上記エアー層を形成するためにスライド弁体20の下面20aを中空ガイド部17の底面17aから浮かせる際に必要となる受圧面積を効果的に大きくすることができる。つまり、この凹溝23によって、エアー供給口34から供給されたエアーをスライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間にスムーズに案内し、拡散させることができる。この結果、エアー層を形成するために、つまり、スライド弁体20を浮上させるために必要となるエアー供給口34の口径を比較的に小さく(例えば、1mm〜数mm程度)したり、エアー供給口34を設ける個数を少なく(例えば、図例のように4つ程度)したりすることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、スライド弁体20の下面20aに、エアー供給部30のエアー供給口34から供給されたエアーを受け入れる凹溝23をスライド方向に沿って設けた例を示しているが、これに代えて、または加えて、中空ガイド部17の底面17aに、エアー供給部30のエアー供給口34から供給されたエアーを受け入れる凹溝をスライド方向に沿って設けるようにしてもよい。つまりは、中空ガイド部17の底面17aに開口するエアー供給口34を拡開させるような凹溝を中空ガイド部17の底面17aに設けるようにしてもよい。このような態様によっても上記と同様の効果を奏する。また、上記のように当該切替弁装置1が天地逆に配置される場合には、スライド弁体20の図示上側の上面20b及び/または中空ガイド部17の図示上側の天面17bに、エアー供給部30のエアー供給口34から供給されたエアーを受け入れる凹溝をスライド方向に沿って設けるようにしてもよい。
さらには、このような凹溝を設けないようにしてもよい。この場合は、上記エアー層が形成されるように、つまり、スライド弁体20を浮上させることができるように、エアー供給口の口径や形状、個数、設置箇所等を適宜、設定するようにしてもよい。例えば、上記同様の口径のエアー供給口を、多数設けるようにしたり、スライド方向に沿って長尺のスリット状のエアー供給口としたりしてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、エアー供給部30のエアー供給口34に連通して接続されるエアー供給ライン31に、流量調整弁33を設けている。これにより、スライド弁体20の浮上によってスライド弁体20の上面20bが中空ガイド部17の天面17bに押し付けられたり、接触したりしないように、つまり、上記隙間の確保を比較的簡易かつ安定的に調整することができる。
上記のように微小な浮上量とした場合には、浮上量は供給する圧縮空気の流量に略比例し、流量を増加させれば浮上量が大きくなる一方、流量を減少させれば浮上量が小さくなる傾向がある。また、スライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間に供給されたエアーが中空ガイド部17の前方開口や弁体ハウジング10の各開口11,12,12からリークしながらも該エアーを所定流量に調整することで、スライド弁体20を所定の浮上量で浮かせた平衡状態となるように比較的簡易かつ安定的に調整することができる。この結果、流量を調整することで、上記隙間を確保しながらも、比較的簡易かつ安定的に、浮上量を適切な程度となるように調整することができる。
このような流量の調整は、当該切替弁装置1を輸送路の途中に組み込む前や組み込んだ後に、スライド弁体20がスムーズに略無負荷状態で中空ガイド部17内をスライドする状態となるように事前に調整しておくようにしてもよい。また、このように流量の調整を行う場合には、供給するエアーの圧力をレギュレーター乃至は減圧弁等によって一定圧力となるように設定しておくようにしてもよい。
【0051】
なお、上述のように浮上量を比較的に大きくしても支障がないような場合には、例えば、エアー供給ラインに圧力調整弁等を設け、供給するエアーの圧力を調整することで浮上量が適切な程度となるように調整する態様としてもよい。
また、上記のように手動で流量の調整が可能とされた流量調整弁に代えて、自動で流量の増減制御が可能な例えば、開度制御の可能なモーターバルブやダイアフラム弁などの流量調整弁を採用するようにしてもよい。または、開閉制御可能な開閉弁を比較的に高速で開閉制御することで所定時間当りの流量の増減制御を可能とする態様としてもよい。
【0052】
上記のような自動で流量の増減制御が可能な弁を採用した場合には、上記浮上量が適切な程度、つまりは、上記隙間を確保しながらも微小な浮上量となるように、流量を増減制御するようにしてもよい。この場合、弁体ハウジング10の中空ガイド部17の底面17aとスライド弁体20の下面20aとの接触状態と非接触状態とを検出可能な種々の検出手段を設け、この検出手段による非接触状態の検出に基づいて流量を増減乃至はゼロから増加させるように流量の自動調整を実行する態様としてもよい。
例えば、弁体ハウジング10の底壁部14とスライド弁体20とを導電性材料からなるものとし、これらに低電圧等を印加して電流値を検出手段としての電流計等によって検出し、電流値がゼロとなるまで、つまり、上記非接触状態となるまで流量をゼロの状態から増加させる態様としてもよい。
または、上記検出手段として磁気センサー等をこれらの接触面等に埋め込み、この磁気センサーによって上記非接触状態を検出する態様としてもよい。
【0053】
または、例えば、エアー供給口34に供給されるエアーの圧力(背圧)を検出する圧力センサー等を上記検出手段として設け、この圧力センサーの測定値が所定の圧力に低下するまで、つまり、上記非接触状態となり各部からのエアーリークにより所定の圧力に低下するまで、流量を増加させる態様としてもよい。
または、上記非接触状態を検出する光センサーを上記検出手段として設け、この光センサーが上記非接触状態を検出するまで流量を増加させる態様としてもよい。
または、エアーシリンダー40のピストンロッド43等への負荷を検出するセンサーを上記検出手段として設け、この負荷が所定値まで低下するまで、つまり、上記非接触状態となりピストンロッド43等への負荷が所定値に低下するまで、流量を増加させる態様としてもよい。
【0054】
また、弁体ハウジング10の中空ガイド部17の天面17bとスライド弁体20の上面20bとの接触状態と非接触状態とを検出可能な上記と同様の検出手段を更に設け、上記検出手段による検出に加えて、この上側の検出手段による接触状態及び非接触状態の検出に基づいてエアー供給部30の流量を増減させるように流量の自動調整を実行する態様としてもよい。つまり、スライド弁体20の上面20b及び下面20aが中空ガイド部17の天面17b及び底面17aに非接触状態となるように上側及び下側の検出手段による接触状態及び非接触状態の検出に基づいてエアー供給部30の流量を増減制御する態様としてもよい。
なお、上記検出手段としては、上記した例に限られず、その他、種々の検出手段の採用が可能である。
さらには、上記のような種々の流量調整弁や圧力調整弁等を設けずに、適切な浮上量となるように予め供給するエアーの流量や圧力を設定しておく態様としてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、スライド式弁装置として、上記のような切替弁装置1としているので、二系統の輸送路3,4のいずれか一方と一系統の輸送路2とを選択的に切り替えて連通させることができ、異なる二種類の粉粒体材料を切り替えて輸送することができる。
また、このような切替弁装置1に用いられるスライド弁体20は、二つの貫通孔21,22を上述のように斜め状に設ける必要があるため、スライド弁体20の厚さ寸法が比較的に大きくなる結果、重くなる傾向があり、磨耗や焼き付きが生じ易くなる傾向がある。本実施形態によれば、上述のように、エアー供給部30によって、スライド弁体20の下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間にエアー層を形成するようにしているので、このような二つの貫通孔21,22を有したスライド弁体20を備えたスライド式弁装置としての切替弁装置1にも好適である。
【0056】
なお、弁体ハウジング10の各開口11,12,12に連通接続される各輸送路2,3,4としては、粉粒体材料を輸送乃至は自重で移送する配管状やチューブ状とされたものに限られない。例えば、第1開口11に連通接続される計量カップや計量タンクなどの計量部を第1輸送路2として把握するようにしてもよい。このような計量部を第1開口11に連通接続する態様では、例えば、材料タンクや材料ホッパー等の貯留部の下端部を、一対の第2開口12のうちの一方に連通接続される第2輸送路3として把握し、該貯留部から輸送乃至は排出される材料を計量部において貯留させ、上記したようにスライド弁体20をスライドさせて、一対の第2開口12のうちの他方に連通接続された第3輸送路4に向けて計量部に貯留させた材料を輸送するような態様としてもよい。
また、スライド弁体20をスライドさせるタイミングは、粉粒体材料が当該切替弁装置1を通過した後にスライドさせるようにしてもよく、粉粒体材料が当該切替弁装置1を通過中にスライドさせるようにしてもよい。このようなスライド弁体20のスライド態様は、当該切替弁装置1が組み込まれる輸送切替システムの粉粒体材料の種類や輸送元、輸送先の種類に応じて適宜、設定可能である。
【0057】
次に、本実施形態に係る複数の切替弁装置1を並設した輸送切替装置の一例について、図4に基づいて説明する。
本例に係る輸送切替装置50は、複数の切替弁装置1を並設し、輸送先に向けて粉粒体材料を輸送する輸送先側輸送路68に接続される第1切替ユニットとしての輸送先側切替ユニット50Aと、複数の切替弁装置1を並設し、輸送元からの粉粒体材料を輸送する輸送元側輸送路67に接続される第2切替ユニットとしての輸送元側切替ユニット50Bと、を備えている。なお、本例では、輸送元側切り替えユニット50Bの各切替弁装置1は、図1〜図3に基づいて説明した切替弁装置1とは天地逆に配置されており、これら各切替弁装置1には、上述のようにエアー供給口34や凹溝23等が図1〜図3に基づいて説明した切替弁装置1とは天地逆側に設けられている。
【0058】
輸送先側切替ユニット50Aは、複数(図例では4つ)の切替弁装置1の隣接する切替弁装置1,1同士の第1開口11と一対の第2開口12のうちの一方とを連通させて接続している。本例では、これらを接続管57によって接続した例を示している。
また、輸送元側切替ユニット50Bも輸送先側切替ユニット50Aと同様、複数(図例では5つ)の切替弁装置1の隣接する切替弁装置1,1同士の第1開口11と一対の第2開口12のうちの一方とを接続管57によって連通させて接続している。
また、輸送先側切替ユニット50Aの並設方向一端側(図例では、最下段側)に配設された切替弁装置1の第1開口11と、輸送元側切替ユニット50Bの並設方向一端側(図例では最上段側)に配設された切替弁装置1の第1開口11とを連通させて接続しており、本例では、上記同様、これらを接続管58によって接続した例を示している。
【0059】
また、これら輸送先側切替ユニット50A及び輸送元側切替ユニット50Bの並設方向他端側にそれぞれ配設された切替弁装置1,1の各第2開口12,12並びにこれらの間に配設された各切替弁装置1の第2開口12の他方には、接続管56がそれぞれに連通接続されている。
輸送先側切替ユニット50Aの接続管56には、輸送先に向けて粉粒体材料を輸送する輸送先側輸送路68が接続される一方、輸送元側切替ユニット50Bの接続管56には、輸送元からの粉粒体材料を輸送する輸送元側輸送路67が接続される。
【0060】
また、本例に係る輸送切替装置50は、複数の電磁弁等の駆動エアーライン切替弁47(図3(c)参照)を組み合わせて構成された圧縮空気供給切替部52と、この圧縮空気供給切替部52の電磁弁等を切替制御して、各切替弁装置1のエアーシリンダー40(図1等参照)を駆動制御する制御盤51と、これら及び各切替弁装置1が組み込まれる筐体55とを備えている。図例では、二つの圧縮空気供給切替部52,52を設けた例を示している。
これら圧縮空気供給切替部52には、コンプレッサー等の圧縮空気源5に接続された圧縮空気ライン53が分岐して接続されている。この圧縮空気ライン53には、上記したような手動開閉弁や供給する圧縮空気の圧力を調整するレギュレーター乃至は減圧弁、圧力計等からなる空気調整ユニット54が設けられている。また、これら圧縮空気供給切替部52と各切替弁装置1のエアーシリンダー40の各ポート45,45(図1等参照)とは、図示は省略しているが、駆動エアーラインによって接続されている。また、図示は省略しているが、圧縮空気ライン53(乃至は空気調整ユニット54)には、各切替弁装置1のエアー供給部30のエアー供給ライン31(図3(c)参照)が分岐接続されており、上記した開閉弁32の開閉制御が制御盤51に設けられたCPU等によってなされる。
【0061】
制御盤51と圧縮空気供給切替部52及び各切替弁装置1の開閉弁32とは信号線等によって接続されている。この制御盤51には、CPUや所定のプログラム等を格納した記憶部等が設けられており、例えば、輸送先側切替ユニット50Aの各切替弁装置1に接続される輸送先からの粉粒体材料の要求信号等に基づいて各切替弁装置1のエアーシリンダー40を駆動し、スライド弁体20をスライドさせて輸送方向を切替制御する。また、上記のように開閉弁32を開閉制御し、スライド弁体20を浮上させるエアー、つまり、上記エアー層を形成するエアーの供給がなされる。
【0062】
図例では、輸送元側切替ユニット50Bの最下段の切替弁装置1の一対の第2開口12のうちの一方(図示後方側の第2開口12)と、輸送先側切替ユニット50Aの最上段の切替弁装置1の一対の第2開口12のうちの一方(図示後方側の第2開口12)とを、これらの第1貫通孔21及び第1開口11、並びにこれらの間に配設された各切替弁装置1の第1開口11、図示後方側の第2開口12及び第1貫通孔21(図1等参照)を介して連通させた状態を示している。
これら各切替弁装置1のエアーシリンダー40を駆動してスライド弁体20をスライドさせることで、複数の輸送元側輸送路67のうちのいずれかと、複数の輸送先側輸送路68のうちのいずれかとを、選択的に切り替えて連通させることができる。つまり、各切替弁装置1のスライド弁体20をスライド制御することで、多方向対多方向の輸送切替を行うことができる。
【0063】
上記構成とされた輸送切替装置50によれば、例えば、従来のロータリーヘッダー型の輸送切替装置等と比べて、複数の切替弁装置1の各スライド弁体20を略同時に切替制御することも容易にでき、比較的に迅速に輸送方向の切り替えを行うこともできる。また、スライド弁体20を弁体ハウジング10内においてスライドさせて輸送方向の切り替えができるため、従来のロータリーヘッダー型の輸送切替装置等と比べて、粉粒体材料のリークや零れ、噛み込み等を抑制することもできる。
さらに、上記したように本実施形態に係る切替弁装置1によれば、スライド弁体20をスムーズにスライドさせることができるので、安定した切替制御を行うことができる。
また、上記したように上記隙間や浮上量を比較的に小さくすれば、輸送空気のリークを低減でき、本例のように複数の切替弁装置1を並設した場合にも輸送空気のリークによる輸送トラブル(例えば、配管閉塞など)等を防止したり、ブロワー等の輸送空気源を比較的に小容量のものとしたりすることができる。
【0064】
なお、各切替ユニット50A,50Bに設ける切替弁装置1の個数は、図例の個数に限られず、輸送元の数や輸送先の数に応じた個数をそれぞれに設けるようにすればよい。つまり、本例に係る輸送切替装置50によれば、切替弁装置1の個数を増減させることで、輸送元や輸送先の増減に柔軟に対応できる輸送方向切替システムを簡易に構築することができる。
【0065】
また、図例では、複数の輸送先側輸送路68にそれぞれ接続される複数の切替弁装置1を一連に並設した輸送先側切替ユニット50Aと複数の輸送元側輸送路67にそれぞれ接続される複数の切替弁装置1を一連に並設した輸送元側切替ユニット50Bとを備えた輸送切替装置50を例示しているが、このような態様に限られない。例えば、必要とする輸送方向の切替態様に応じて、輸送先側切替ユニット50Aの複数の切替弁装置1の間に、輸送元側輸送路67に接続される切替弁装置1を更に組み込むような並設態様や、輸送元側切替ユニット50Bの切替弁装置1の間に、輸送先側輸送路68に接続される切替弁装置1を更に組み込むような並設態様としてもよい。このような態様によっても輸送方向の切替パターン数は上記した例と比べて少なくなるものの多方向対多方向の輸送切替を行うことができる。
【0066】
さらには、図例では、輸送先側切替ユニット50Aと輸送元側切替ユニット50Bとを備えた輸送切替装置50を示しているが、これらのそれぞれを輸送切替装置50A,50Bとして把握するようにしてもよい。つまりは、複数の切替弁装置1を、隣接する切替弁装置1同士の第1開口11と一対の第2開口12のうちの一方とを連通させて並設した輸送切替装置50A(50B)として把握してもよい。このような輸送切替装置50A(50B)によれば、各切替弁装置1のスライド弁体20をスライド制御することで、並設方向一端側(輸送切替装置50Aの最下段側、輸送切替装置50Bの最上段側)に配設された切替弁装置1の第1開口11に接続される輸送路に対して、当該切替弁装置1の第2開口12の他方を含み、他の切替弁装置1の第2開口12の他方及び並設方向他端側(輸送切替装置50Aの最上段側、輸送切替装置50Bの最下段側)に配設された切替弁装置1の第2開口12の一方にそれぞれ接続される輸送路を切り替えて連通させることができる。つまり、1方向対多方向の輸送切替を行うことができる。
【0067】
次に、本例に係る輸送切替装置50を組み込んだ粉粒体材料の輸送切替システムの一例について図5に基づいて説明する。なお、図5では、輸送切替装置50を簡略化して示している。
本例に係る粉粒体材料の輸送切替システム60は、輸送先としての複数(図例では4台)の成形機63と、輸送元としての複数(図例では5台)の乾燥装置64と、これらの輸送方向を切り替える輸送切替装置50と、当該輸送切替システム60を制御する制御盤61と、空気輸送手段としての吸引空気源62とを備えている。乾燥装置64には、空気輸送管66を介して材料タンク等の材料源65が接続されている。
【0068】
吸引空気源62は、吸引空気に含まれる粉塵等を捕捉するフィルタや吸引ブロワー等を備え、空気吸引管69の一端が接続されている。この空気吸引管69の他端側は、分岐されており、それぞれの分岐管が成形機63上に設置された捕集器に接続されている。
この成形機63上に設置された捕集器は、輸送切替装置50によって切り替えられて輸送先側輸送路68を介して輸送される粉粒体材料を捕集する。また、この捕集器の下方側には、該捕集器において捕集した粉粒体材料を一時的に貯留し、成形機63に供給する貯留部が設置されている。この貯留部には、材料要求信号を出力するレベル計等が設けられており、このレベル計は制御盤61と信号線等によって接続されている。
成形機63は、例えば、樹脂成形品を射出成形する射出成形機や、他の材料用の射出成形機、または押出成形機や圧縮成形機等としてもよい。
【0069】
乾燥装置64は、粉粒体材料を貯留し、乾燥するホッパーや、このホッパーに加熱ガスを供給する加熱ガス供給部、材料源65から空気輸送管66を介して輸送される粉粒体材料を捕集し、ホッパーへ投入する捕集器、ホッパーの下端に設けられた排出バルブなどの材料排出部などを備えている。また、除湿したガスを、加熱ガス供給部を介してホッパーに循環供給する除湿機等を備えたものとしてもよい。
この乾燥装置64の捕集器には、空気源に接続された空気吸引管等が接続されており、ホッパーに設けられたレベル計等の材料要求信号に基づいて適宜、材料源65から捕集器へ、また、捕集器からホッパーへ粉粒体材料が輸送される。なお、乾燥装置64への粉粒体材料の輸送用の空気源を、上記した吸引空気源62と兼用するようにしてもよい。
【0070】
制御盤61は、各部を制御するCPUや所定のプログラム等を格納する記憶部、各種の表示を行う表示部、各種設定等の入力を受け付ける操作部等を備えている。この制御盤61のCPUには、上記した各部が信号線等によって接続されており、所定のプログラムに従って、成形機63上の貯留部のレベル計の要求信号に基づいて、吸引空気源62の駆動制御、輸送切替装置50の輸送方向切替制御、乾燥装置64の材料排出部の排出制御等がなされる。例えば、いずれかの成形機63に向けていずれかの乾燥装置64に貯留した粉粒体材料を輸送する場合には、これらが各輸送路67,68によってそれぞれ接続された輸送切替装置50の切替弁装置1,1の第2開口12,12(図4参照)同士が連通するように、各切替弁装置1のスライド弁体20(図1等参照)をスライドさせる。そして、吸引空気源62を駆動すれば、複数の乾燥装置64のうちの所望の乾燥装置64から、複数の成形機63のうちの所望の成形機63への粉粒体材料の輸送が可能となる。
【0071】
また、このような本例に係る輸送切替システム60において、例えば、成形機63が増設されるような場合には、輸送切替装置50の輸送先側切替ユニット50Aに、切替弁装置1を更に増設し、この切替弁装置1に、図示二点鎖線にて示すように輸送先側輸送路68を接続し、この輸送先側輸送路68を成形機63上の捕集器等に接続するようにすればよい。
また、乾燥装置64が増設されるような場合にも同様、輸送切替装置50の輸送元側切替ユニット50Bに、切替弁装置1を更に増設し、この切替弁装置1に、図示二点鎖線にて示すように輸送元側輸送路67を接続し、この輸送元側輸送路67を乾燥装置64のホッパー下端の材料排出部に接続するようにすればよい。
また、これら成形機63や乾燥装置64の台数が減る場合には、対応する切替弁装置を取り外すようにしてもよく、対応する切替弁装置の第2開口12の他方を遮断させた状態にスライド弁体20をスライドさせておいてもよい。
【0072】
上記構成とされた本例に係る輸送切替システム60によれば、輸送切替装置50を備えているので、輸送先としての成形機63の増減や輸送元としての乾燥装置64(つまりは材料元)の増減に柔軟に対応することができる。
なお、本例では、乾燥装置64からの粉粒体材料を、吸引輸送によって成形機63側に向けて空気輸送する態様を例示しているが、圧送により空気輸送する態様としてもよい。
また、輸送先としては、上述のような成形機63に限られず、複数種の粉粒体材料を所定の配合比で配合する配合装置等の一時貯留部や計量ホッパー等を輸送先としてもよい。
さらに、輸送元としては、上述のような乾燥装置64に限られず、材料タンク等の材料源を輸送元としてもよく、複数種の粉粒体材料を所定の配合比で配合する配合装置等の一時貯留部や計量ホッパー等を輸送元としてもよい。
さらにまた、本例では、複数の輸送元と複数の輸送先とを設けた輸送切替システム60を例示しているが、単一の輸送元と複数の輸送先とを設けた輸送切替システムとしてもよく、複数の輸送元と単一の輸送先とを設けた輸送切替システムとしてもよい。この場合は、上記した輸送切替装置50A,50B等を輸送切替装置50に代えて、適宜、適用するようにしてもよい。
【0073】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図6及び図7は、第2実施形態に係るスライド式弁装置としての切替弁装置について説明するための説明図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
本実施形態に係る切替弁装置1Aは、スライド弁体20をスライドさせる弁体駆動部の構成が上記第1実施形態に係る切替弁装置1とは主に異なる。本実施形態では、エアーシリンダー40に代えて、弁体駆動エアー供給部25を設け、これに対応させて、スライド弁体20にも連結部材等を連結していない。
【0074】
弁体駆動エアー供給部25は、図6及び図7に示すように、弁体ハウジング10Aの中空ガイド部17Aのスライド方向両端部を封止する端部プレート16A,18のそれぞれに、スライド弁体20の各端面20c,20cに向けて開口する弁体駆動エアー供給口29,29を有し、これら弁体駆動エアー供給口29,29に選択的にエアーを供給する構成とされている。また、この弁体駆動エアー供給部25は、図7(c)に示すように、上記同様の圧縮空気ライン6を介して圧縮空気源5に接続された駆動エアーライン26を有している。この駆動エアーライン26には、上記同様の駆動エアーライン切替弁27が配設され、各弁体駆動エアー供給口29,29に向けて選択的に圧縮空気の供給がこの駆動エアーライン切替弁27の下流側ポートのそれぞれに接続された各駆動エアーラインを介してなされる。なお、図7(c)において、符号28は、各弁体駆動エアー供給口29,29に分岐して接続された駆動エアーライン26(乃至は各弁体駆動エアー供給口29,29)のそれぞれに配設された上記同様の逆止弁付きの流量調整弁(スピードコントローラー、速度制御弁)である。
【0075】
上記構成とされた切替弁装置1Aにおいては、図6(a)に示すように、端部プレート16A側(図6(a)における右方側)に設けられた弁体駆動エアー供給口29を介して中空ガイド部17A内に圧縮空気が導入されれば、スライド弁体20が前方(図6(a)における左方側)に向けて移動し、スライド弁体20の第1貫通孔21によって弁体ハウジング10Aの第1開口11と後方側(図6(a)における右方側)の第2開口12とが連通する(図7(a)、(b)も参照)。また、この状態では、弁体ハウジング10Aの前方側の第2開口12は、スライド弁体20によって略閉塞される。これにより、第1開口11に連通される第1輸送路2と後方側の第2開口部12に連通される第2輸送路3とが連通し、前方側の第2開口12に連通される第3輸送路4は遮断される。
【0076】
一方、図6(b)に示すように、端部プレート18側(図6(b)における左方側)に設けられた弁体駆動エアー供給口29を介して中空ガイド部17A内に圧縮空気が導入されれば、スライド弁体20が後方(図6(b)における右方側)に向けて移動し、スライド弁体20の第2貫通孔22によって弁体ハウジング10Aの第1開口11と前方側(図6(b)における左方側)の第2開口12とが連通する(図7(b)も参照)。また、この状態では、弁体ハウジング10Aの後方側の第2開口12は、スライド弁体20によって略閉塞される。これにより、第1開口11に連通される第1輸送路2と前方側の第2開口12に連通される第3輸送路4とが連通し、後方側の第2開口12に連通される第2輸送路3は遮断される。
【0077】
上記構成とされた本実施形態に係る切替弁装置1Aによれば、スライド弁体20をスライドさせるためのエアーシリンダー等の弁体駆動部としてのアクチュエーターを設けるためのスペースが不要となり、コンパクト化を図ることができる。
なお、中空ガイド部17A内においてスライドされるスライド弁体20のスライド方向両端面と中空ガイド部17Aのスライド方向両内壁面との衝突による衝撃や騒音、振動等を緩和するクッション機構を設けるようにしてもよい。このようなクッション機構としては、スライド方向先側の中空ガイド部17A内のエアーのリーク量を調整する機構(エアークッション機構)としたり、ゴム等の弾性体を配設する態様としたり、油等の流動抵抗を利用したショックアブソーバ等としたりしてもよい。
また、本実施形態に係る切替弁装置1Aは、上記した種々の輸送切替装置や輸送切替システムに適用可能である。
【0078】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図8は、第3実施形態に係るスライド式弁装置としての切替弁装置について説明するための説明図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
【0079】
本実施形態に係る切替弁装置1Bは、スライド弁体20Aの上面20bと、弁体ハウジング10Bの中空ガイド部17の天面17bとの間にエアーを供給する上側エアー供給部35を更に備えている点が上記第1実施形態に係る切替弁装置1とは主に異なる。
この上側エアー供給部35は、スライド弁体20Aの上面20bと中空ガイド部17の天面17bとの間に臨むように設けられた上側エアー供給口38を有するとともに、これらの間にエアー層が形成されるようにエアー(圧縮空気)を供給する構成とされている。
この上側エアー供給部35は、図8(c)に示すように、上側エアー供給口38に連通して接続される上側エアー供給ライン36を備えている。
【0080】
この上側エアー供給ライン36は、本実施形態では、上記したエアー供給部30のエアー供給ライン31から分岐して設けられている。図例では、開閉弁32の下流側のエアー供給ライン31に当該上側エアー供給ライン36を分岐接続した例を示している、
なお、このようにエアー供給部30に圧縮空気を供給するラインから分岐させて上側エアー供給ライン36を設ける態様に代えて、当該上側エアー供給ライン36を直接的に圧縮空気源5に接続するような態様としてもよい。この場合は、適宜、必要に応じてレギュレーター乃至は減圧弁や圧力計、開閉弁などの機器を当該ラインに配設するようにしてもよい。
また、この上側エアー供給ライン36には、上記同様のニードルバルブ(絞り弁)等からなる流量調整弁37が配設されている。この流量調整弁37を調整することで、上側エアー供給口38を介してスライド弁体20Aの上面20bと中空ガイド部17の天面17bとの間に供給される圧縮空気の流量の調整が可能とされている。
【0081】
上側エアー供給口38は、本実施形態では、図8(a)、(c)に示すように、弁体ハウジング10Bの中空ガイド部17の天面17bに開口するように設けられている。図例では、弁体ハウジング10Bの天壁部13Aを貫通して複数の上側エアー供給口38を設けた例を示している。これら複数の上側エアー供給口38は、スライド弁体20Aの上面20bに向けて開口しており、上記したエアー供給口34と同様、中空ガイド部17内においてスライドされるスライド弁体20Aと常時、上下で整合する位置となるように設けられている。つまり、スライドされるスライド弁体20Aの上面20bと常時対面する位置となるようにこれら複数の上側エアー供給口38を設けている。
本実施形態では、上記したエアー供給口34と同様、4つの上側エアー供給口38を設けた例を示しており、スライド方向(図例では、長手方向)に沿って間隔を空けて2つのエアー供給口38を、中空ガイド部17の天面17bの両側端部(両側壁部15,15近傍側端部、幅方向両側端部)のそれぞれに開口するように設けている。また、本実施形態では、これら4つの上側エアー供給口38のそれぞれを、上記したエアー供給口34のそれぞれと上下で略整合するように設けている。
【0082】
また、本実施形態では、図8(b)に示すように、スライド弁体20Aの上面20bに、上側エアー供給部35の上側エアー供給口38から供給された圧縮空気を受け入れる上側凹溝24をスライド方向(図例では、長手方向)に沿って設けている。
この上側凹溝24は、上記した凹溝23と略同様の構成であり、中空ガイド部17の天面17bの幅方向両側端部のそれぞれに開口した2つの上側エアー供給口38,38と上下で整合する位置となるように設けられている。
【0083】
上記構成とされた本実施形態に係る切替弁装置1Bにおいては、開閉弁32を開放させることで、上記第1実施形態と同様、エアー供給ライン31及びエアー供給口34を介して圧縮空気源5からの圧縮空気がスライド弁体20Aの下面20aと中空ガイド部17の底面17aとの間に供給される。また、上側エアー供給ライン36及び上側エアー供給口38を介して圧縮空気源5からの圧縮空気がスライド弁体20Aの上面20bと中空ガイド部17の天面17bとの間に供給される。
【0084】
上記のようにスライド弁体20Aの上下の両側にエアーを供給する構成とすることで、スライド弁体20Aの浮上によってスライド弁体20Aの上面20bが中空ガイド部17の天面17bに押し付けられたり、接触したりすることを比較的に簡易な構造で防止することができる。つまり、下側のエアー供給部30から供給されたエアーにより浮上するスライド弁体20Aの過度の浮き上がりを、上側エアー供給部35の上側エアー供給口38から供給させたエアーによって押さえつけるようにして簡易に防止することができる。
また、スライド弁体20Aの上面20bと中空ガイド部17の天面20bとの間にもエアーが供給されるので、これらの間が正圧となり、これらの間に輸送される粉粒体材料や粉塵等が入り込むことを防止することもできる。
【0085】
さらに、当該スライド式弁装置1Bの天地を逆にして配置するような場合には、この上側エアー供給部35をスライド弁体20Aの下面(図示における上面)20bと中空ガイド部17の底面(図示における天面)20bとの間にエアー層が形成されるようにエアーを供給するエアー供給部として利用し、上記したエアー供給部30を上側エアー供給部として利用することもできる。これにより、天地を逆にして配置する必要があるような場合にも共通のスライド式弁装置を用いることができる。
【0086】
また、本実施形態では、上側エアー供給部35のエアー供給口38を、中空ガイド部17の天面17bに開口するように設けているので、上記同様、スライドされるスライド弁体20A側、つまりは移動側にエアー供給口を設ける場合と比べて簡易な構造とできる。
なお、このような態様に代えて、スライド弁体20Aの上面20bに開口するように上側エアー供給部の上側エアー供給口を設けるようにしてもよい。この場合は、例えば、スライド弁体の前方側端面や後方側端面に上側エアー供給ラインを接続し、スライド弁体内にエアー供給口までのエアー経路を設けるようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、上記した下側のエアー供給部30のエアー供給口34と略同様、中空ガイド部17の天面17bの幅方向両側端部のそれぞれに、長手方向に沿って間隔を空けて複数の上側エアー供給口38を設けているので、上記同様、スライド弁体20Aが長手方向や幅方向に傾くようなことを防止でき、略水平方向に沿ってスムーズにスライドさせることができる。
【0087】
さらにまた、本実施形態では、スライド弁体20Aの上面20bに、上側エアー供給部35のエアー供給口38から供給されたエアーを受け入れる上側凹溝24をスライド方向に沿って設けているので、上記した凹溝23を設けたことにより奏される効果と略同様の効果を奏する。
なお、上記第1実施形態と略同様、スライド弁体20Aの上面20bに上側凹溝24を設ける態様に代えて、または加えて、中空ガイド部17の天面17bに、上側エアー供給部35のエアー供給口38から供給されたエアーを受け入れる上側凹溝をスライド方向に沿って設けるようにしてもよい。または、このような上側凹溝を設けないようにしてもよい。
【0088】
また、本実施形態では、上側エアー供給部35の上側エアー供給口38に連通して接続される上側エアー供給ライン36に、流量調整弁37を設けている。これにより、下側のエアー供給部30の流量調整弁33と同様、供給するエアーの流量を調整することで、上記隙間及び浮上量を比較的簡易かつ安定的に調整することができる。
【0089】
なお、これら下側及び上側のエアー供給ライン31,36に配設する流量調整弁33,37としては、上記第1実施形態と略同様、手動で流量の調整が可能とされた流量調整弁に代えて、自動で流量の増減制御が可能な弁を採用するようにしてもよい。このような自動で流量の増減制御が可能な弁を採用した場合には、上記隙間が適切な程度、つまりは、上記浮上量を確保しながらも微小な隙間となるように、流量を増減制御するようにしてもよい。この場合、上記第1実施形態と略同様、弁体ハウジング10Bの中空ガイド部17の天面17b及び底面17aとスライド弁体20Aの上面20b及び下面20aとの接触状態と非接触状態とを検出可能な上記と同様の検出手段を上側及び下側にそれぞれ設け、これら検出手段による接触状態及び非接触状態の検出に基づいて流量を増減させる自動調整を実行する態様としてもよい。つまり、スライド弁体20Aの上面20b及び下面20aが中空ガイド部17の天面17b及び底面17aに非接触状態となるように上下のエアー供給部30,35の流量を増減制御する態様としてもよい。
さらには、上記のような種々の流量調整弁や圧力調整弁等を設けずに、適切な浮上量及び隙間となるように予め供給するエアーの流量や圧力を設定しておく態様としてもよい。
【0090】
なお、本実施形態に係る切替弁装置1Bは、上記した種々の輸送切替装置や輸送切替システムに適用可能である。
また、本実施形態において説明した上側エアー供給部35及びスライド弁体20Aの上面20bの上側凹溝24を、上記第2実施形態に係る切替弁装置1Aに更に設けるようにしてもよい。
【0091】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図9は、第4実施形態に係るスライド式弁装置としての切替弁装置について説明するための説明図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
【0092】
本実施形態に係る切替弁装置1Cは、弁体ハウジング10Cの構成が上記第1実施形態に係る切替弁装置1とは主に異なる。
本実施形態では、図9(a)に示すように、弁体ハウジング10Cの中空ガイド部17の内壁面における各第2開口12,12の周縁近傍に沿ってシール部材19を配設している。
このシール部材19は、図9(b)に示すように、各第2開口12,12の周縁近傍に沿うように設けられ、第2開口12と同心状のリング形状とされている。弁体ハウジング10Cの天壁部13Bには、このシール部材19が収容される環状の収容凹溝13aが形成されている。
シール部材19は、図9(c)に示すように、スライド弁体20の上面20bに摺接するシールリング19aと、このシールリング19aをスライド弁体20側に向けて僅かに付勢する弾性部材19bとを備えている。
【0093】
シールリング19aは、天壁部13Bの収容凹溝13aの溝底(図例では溝天面)に向けて開口する凹溝を周方向に沿って有しており、図例では、断面略凹字状とされたものを示している。このシールリング19aは、天壁部13Bの収容凹溝13aに嵌め込まれるようにして収容される。また、このシールリング19aの凹溝に弾性部材19bが収容される。
なお、このシールリング19aは、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)やテフロン(登録商標)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、フッ素系樹脂等の合成樹脂材料や、青銅やりん青銅等の金属材料など、耐摩耗性や摺動性に優れた材料からなるものとしてもよい。
【0094】
弾性部材19bは、図例では、ゴム等の弾性材料からなる断面略円形状のOリング状とされたものを示している。この弾性部材19bによってシールリング19aがスライド弁体20側に向けて僅かに付勢される。
なお、この弾性部材19bとしては、Oリング状のものに限られず、断面略V字状とされたVリング状のものとしてもよい。また、リング状のものに限られず、シールリング19aの凹溝の周方向に沿って間隔を空けて複数の弾性部材を配設する態様としてもよい。また、ゴム等の弾性部材からなるものに限られず、皿ばねやスプリング等のばね部材からなるものとしてもよい。
【0095】
上記のようなシール部材19を備えた切替弁装置1Cによれば、シール部材19を介して弁体ハウジング10Cの中空ガイド部17の天面17bとスライド弁体20の上面20bとを密着させることができるので、微粉の漏れや粉粒体材料を輸送するための輸送空気等のリークを防止することができる。
また、上記第3実施形態と同様、スライド弁体20の過度の浮き上がりをシール部材19によって防止し、中空ガイド部17の天面17bとスライド弁体20の上面20bとの直接的な接触を簡易な構造で抑制することができる。
なお、本実施形態に係る切替弁装置1Cは、上記した種々の輸送切替装置や輸送切替システムに適用可能である。
また、本実施形態において説明したシール部材19を、上記第2実施形態に係る切替弁装置1Aに更に設けるようにしてもよい。
【0096】
なお、上記各実施形態において説明した弁体ハウジングの開口の位置等は図例のものに限られず、他の位置に設けるようにしてもよい。また、これらの開口位置に応じて、スライド弁体の各貫通孔の形状を適宜、変形するようにすればよい。
また、上記各実施形態では、スライド方向に略直交する断面形状が略正方形状とされた弁体ハウジング及びスライド弁体を示しているが、このような態様に限られず、断面略長方形状とされたものとしてもよい。
【0097】
また、上記各実施形態では、弁体ハウジングの第2開口を、第1開口に対向するように設けるとともに、スライド方向に沿って間隔を空けて形成された一対のものとし、スライド弁体の各貫通孔を、スライド方向に沿って間隔を空けて厚さ方向に沿って斜め状に設けた例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、弁体ハウジングの第1開口と第2開口のうちの一方とを対向するように設けるとともに、第2開口のうちの他方を、これらの対向方向に略直交する方向に設け、これら開口に対応させた貫通孔をスライド弁体に設ける態様としてもよい。つまり、第1開口及び第2開口のうちの一方を上下側にそれぞれ設けた場合には、側面側に第2開口のうちの他方を設ける態様としてもよい。この場合は、スライド弁体の貫通孔の一方を、第1開口と第2開口の一方とを連通させるように、厚さ方向に貫通させるように設け、貫通孔の他方を、第1開口と第2開口の他方とを連通させるように、上下の一方側(第1開口が設けられた側)から側面側に向けて屈曲させるようにして設ける態様としてもよい。この場合において上記第4実施形態にて説明したようなシール部材を設ける場合には、第2開口の他方が設けられた弁体ハウジングの側壁部にシール部材を配設するようにしてもよい。
【0098】
さらには、上記のような開口及び貫通孔を組み合わせ、三系統以上の複数系統の輸送路にそれぞれ連通される3つ以上の第2開口を弁体ハウジングに設けるとともに、この弁体ハウジングの開口に対応させた3つ以上の貫通孔をスライド方向に沿って間隔を空けてスライド弁体に設けた態様とした多方向の切替弁装置としてもよい。つまり、一系統の輸送路に連通される第1開口と三系統以上の複数系統の輸送路にそれぞれ連通される3つ以上の第2開口とを弁体ハウジングに設け、これら開口に対応させた貫通孔をスライド弁体に設けることで、一系統の輸送路に対して三系統以上の複数系統の輸送路を切り替えて連通させ得る態様としてもよい。例えば、弁体ハウジングの下面側及び上面側に上記同様の第1開口及び2つ(または1つ)の第2開口を設けるとともに、側面側にも1つ(または2つ)の第2開口を設け、これら開口に対応させた貫通孔をスライド弁体にスライド方向に沿って間隔を空けて設け、一系統の輸送路に対して三系統の輸送路を切り替えて連通させ得る態様としてもよい。
このような態様とした場合は、弁体ハウジングの各開口とスライド弁体の各貫通孔とが連通するように複数位置でスライド弁体の停止制御が可能な弁体駆動部を採用するようにすればよい。
【0099】
さらにまた、上記各実施形態では、スライド式弁装置として、一系統の輸送路に対して二系統の輸送路を切り替えて連通させる切替弁装置を例示したが、本発明に係るスライド式弁装置は、このような切替弁装置に限られず、種々のスライド式弁装置に適用可能である。例えば、弁体ハウジングの上下のそれぞれに単一の開口を設け、この開口に連通接続される単一の輸送路をスライド弁体によって開閉する開閉シャッター等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0100】
1,1A,1B,1C 切替弁装置(スライド式弁装置)
2 第1輸送路(一系統の輸送路)
3 第2輸送路(二系統の輸送路の一方)
4 第3輸送路(二系統の輸送路の他方)
10,10A,10B,10C 弁体ハウジング
11 第1開口
12 第2開口
17,17A 中空ガイド部
17a 中空ガイド部の底面
17b 中空ガイド部の天面
20,20A スライド弁体
20a スライド弁体の下面
20b スライド弁体の上面
20c スライド弁体の端面
21 第1貫通孔
22 第2貫通孔
23 凹溝
25 弁体駆動エアー供給部
29 弁体駆動エアー供給口
30 エアー供給部
31 エアー供給ライン
33 流量調整弁
34 エアー供給口
35 上側エアー供給部
50 輸送切替装置
50A 輸送先側切替ユニット(輸送切替装置、第1切替ユニット)
50B 輸送元側切替ユニット(輸送切替装置、第2切替ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体材料の輸送路の途中に組み込まれるスライド式弁装置であって、
スライド弁体と、このスライド弁体を略水平方向にスライド可能に収容する中空ガイド部を有するとともに前記輸送路に連通される開口を有した弁体ハウジングと、前記スライド弁体の下面と前記中空ガイド部の底面との間に臨むように設けられたエアー供給口を有するとともに、これらの間にエアー層が形成されるようにエアーを供給するエアー供給部と、を備えていることを特徴とするスライド式弁装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記エアー供給部のエアー供給口は、前記中空ガイド部の底面に開口するように設けられていることを特徴とするスライド式弁装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記スライド弁体の下面及び前記中空ガイド部の底面の少なくともいずれか一方には、前記エアー供給部のエアー供給口から供給されたエアーを受け入れる凹溝がスライド方向に沿って設けられていることを特徴とするスライド式弁装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記エアー供給部のエアー供給口に連通して接続されるエアー供給ラインには、流量調整弁が設けられていることを特徴とするスライド式弁装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記スライド弁体の上面と前記中空ガイド部の天面との間にエアーを供給する上側エアー供給部を更に備えていることを特徴とするスライド式弁装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記弁体ハウジングの中空ガイド部のスライド方向両端部のそれぞれに設けられ、前記スライド弁体の各端面に向けて開口する弁体駆動エアー供給口を有するとともに、これら弁体駆動エアー供給口に選択的にエアーを供給する弁体駆動エアー供給部を備えていることを特徴とするスライド式弁装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項において、
前記弁体ハウジングの開口は、一系統の輸送路が連通される第1開口と、二系統の輸送路がそれぞれに連通される2つの第2開口とからなり、
前記スライド弁体には、一方側へスライドされた際に前記第2開口のうちの一方と前記第1開口とを連通させる第1貫通孔と、他方側へスライドされた際に前記第2開口の他方と前記第1開口とを連通させる第2貫通孔とが、スライド方向に沿って間隔を空けて設けられていることを特徴とするスライド式弁装置。
【請求項8】
請求項7に記載の複数のスライド式弁装置を、隣接するスライド式弁装置同士の前記第2開口のうちの一方と前記第1開口とを連通させて並設したことを特徴とする輸送切替装置。
【請求項9】
請求項7に記載の複数のスライド式弁装置を、隣接するスライド式弁装置同士の前記第2開口のうちの一方と前記第1開口とを連通させて並設した第1切替ユニットと、
請求項7に記載の複数のスライド式弁装置を、隣接するスライド式弁装置同士の前記第2開口のうちの一方と前記第1開口とを連通させて並設した第2切替ユニットとを備え、
前記第1切替ユニットの並設方向一端側に配設されたスライド式弁装置の第1開口と前記第2切替ユニットの並設方向一端側に配設されたスライド式弁装置の第1開口とを連通させたことを特徴とする輸送切替装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−197856(P2012−197856A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62252(P2011−62252)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000146054)株式会社松井製作所 (70)
【Fターム(参考)】