説明

スロッタ、スロッタの切断方法、スロッタナイフ及び刃物台

【課題】製函機のスロッタで段ボールシートの接ぎ代を形成する時に、接ぎ代の任意の形状に対してスロッタ屑とフラップ屑との間に必ず非切断部を形成して、フラップ屑の飛散を防止し、接ぎ代の接着不良やフラップ屑の段ボールシートへの混入を防止する。
【解決手段】上スロッタナイフ10をスロッタナイフ本体12と分割体14とに分割形成し、分割体14とフラップカッタナイフ30が埋設される摺動体26との相対位置を、分割体14の切り刃15の一部に形成された切欠部18とフラップカッタナイフ30の刃先との間隔Lが極小となるように位置決め固定する。これによって、段ボールシート1や接ぎ代5の大きさや形状が異なっても、切欠部18の存在によってスロッタ屑7とフラップ屑8間に非切断部9を必ず形成可能になる。非切断部9の形成で、フラップ屑8をスロッタ屑7と共に除去可能になり、フラップ屑8の飛散、接ぎ代の接着不良等を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形段ボールシートの片側コーナ部を切断除去して、矩形段ボールシートの側辺に接ぎ代を形成するスロッタに関する。
【背景技術】
【0002】
図11に示すように、コルゲータによって製造された段ボールシート1は、長手方向に複数の罫線2a、2bが設けられている。段ボールシート1から、製函機で段ボール箱を製造する。製函機では、まず、印刷部で適宜の印刷が施された後、クリーザで幅方向に罫線3a〜dが形成され、スロッタで切り溝(スロット)4が形成される。これによって、段ボール箱の蓋面及び底面を形成するフラップ6が形成される。
また、スロッタに装着されたフラップカッタナイフによって、長手方向一方のコーナ部が切断除去され、側辺に接ぎ代5が形成される。次に、接ぎ代5に糊付けがなされた後、罫線3a〜dで折り曲げられ、接ぎ代5が他方の側辺に接合されて筒状になり、段ボール箱となる。
【0003】
切り溝4及び接ぎ代5の形成は、製函機中のスロッタで行なわれる。スロッタは、複数の切り溝4を形成するため、段ボールシート1の長手方向に複数の刃物台が配置され、各刃物台にスロッタナイフが装着される。このうち、接ぎ代5を形成する部分のスロッタの一例を図12及び図13により説明する。
【0004】
図12及び図13に示すスロッタ100は、上下に並行に配置した回転軸102、104の夫々に円形の上下刃物台106、108を取り付け、上部刃物台106の端面に幅をもった一対の上スロッタナイフ110を円周方向に所要の間隔をあけて設けている。その上スロッタナイフ110に交差してフラップカッタナイフ112を取り付けている。下部刃物台108には、上スロッタナイフ110の外周下部が嵌合可能な嵌合溝114を形成している。上スロッタナイフ110の外周両側縁が切り刃111とされ、嵌合溝114の開口両側縁を受け刃116としている。また、フラップカッタナイフ112に対応する下部刃物台108の外周面を刃受け面118としている。
【0005】
さらに、スクレーパ120が嵌合溝114に挿入され、スクレーパ120で嵌合溝114に嵌り込んだスロッタ屑を取り除いている。また、回転方向の前側に位置する一方の上スロッタナイフ110は、回転方向の後端に外方に突出する突切り刃122を有し、その突切り刃122で切り溝4の奥端部(図11中、罫線2a、2bとの交点付近)を切断するようになっている。他方の上スロッタナイフ110は、回転方向前端に同様の突切り刃122を有する。
【0006】
スロッタ100は接ぎ代5を形成する位置に対応して設けられ、段ボールシート1が上下両刃物台106、108間に図11又は図12中の矢印方向に供給される。このとき、上下両刃物台106、108は図12に示す矢印方向に回転し、嵌合溝114に上スロッタナイフ110が嵌合することで、段ボールシート1の片側部分に切り溝4を形成する。また、フラップカッタナイフ112が刃受け面118に衝合する作用により切り溝4の奥から段ボールシート1の側縁に至る部分を横方向に切断して、段ボールシート1の片側に図11に示すような接ぎ代5を形成する。
【0007】
また、スロッタ100と段ボールシート1の幅方向同一位置に設けた図示省略のクリーザで罫線3dを形成する。さらに、回転軸102、104にスロッタ100と並列に、段ボールシート1の供給方向と直交する方向に設けられた図示省略の別の刃物台によって切り溝4を形成すると共に、別軸に並設されたクリーザによって罫線3a〜cを形成する。
【0008】
図15又は図16に示すように、上スロッタナイフ110によりスロッタ屑7が切断除去され、切り溝4が形成されると共に、フラップカッタナイフ112により切断線cが形成され、フラップ屑8が切断除去され、接ぎ代5が形成される。
なお、図15は、切り溝4の奥端部と切断線cが位置する場合であり、図16は、切り溝4の奥端部と切断線cとが一致しない場合である。
【0009】
図15又は図16に示すように、切り溝4と切断線c間に不連続部分が形成されると、フラップ屑8が除去されない場合がある。フラップ屑8が除去されないと、糊付け工程でフラップ屑8に接着剤が塗布され、これが段ボールシート1の他の部分と接着し、逆に接ぎ代5の接着が不良になったり、あるいはフラップ屑8が罫線2a〜b、3a〜dに跨って残ると、罫線の折り曲げが困難になったり、製造後の段ボールシートにフラップ屑が混入する等の不都合が生じる。
【0010】
そこで、特許文献1(特開昭60−107327号公報)に開示されたスロッタでは、図14に示すように、上スロッタナイフ110の切り刃111の一部に切欠部124を形成し、これによって、図17に示すように、スロッタ屑7とフラップ屑8との間に非切断部9を形成するようにしている。
スロッタでの切断時、スロッタ屑7は嵌合溝114に押し込まれるが、非切断部9を形成したことにより、フラップ屑8はスロッタ屑7と共に下部刃物台108の下方に移動し、スロッタ屑7と共に、屑処理が確実に行える。
【0011】
そして、フラップ屑8はスロッタ屑7と共に段ボールシート1から完全に分離され、スクレーパ120で下部刃物台108から除去される。そのため、前記不都合を解消できる。なお、切欠部124は、下部刃物台108の嵌合溝114の受け刃116の一部に設けるようにしてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭60−107327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1のスロッタに設けられる切欠部124は、上スロッタナイフ110又は嵌合溝114を直接加工して形成しているので、切欠部124の配置は固定されたものである。一方、接ぎ代5は、段ボールシートによってその形状や大きさが異なる。非切断部9は接ぎ代5の切断線cより外側に配置する必要があるため、非切断部9の位置は、接ぎ代5の切断線cの位置で制限を受ける。
【0014】
そのため、例えば段ボールシートが小型の場合、接ぎ代5の形状や大きさによっては、非切断部9を形成できない場合がある。非切断部9を形成できないと、前述の不都合が再び生じると共に、切り溝4と切断線c間に不連続部分が形成されない場合が生起することで、フラップ屑8がスロッタ屑7から離れて周囲に飛散するという問題がある。
フラップ屑8が飛散して、接着剤を塗布した後の接ぎ代に付着したり、あるいは製函機の印刷工程の段ボールシートに付着し、接ぎ代の接着不良や屑混入問題を引き起こす。
そのため、従来は、製函機の段ボールシートの搬送速度(生産速度)を遅くして、フラップ屑の飛散を低減する等の対策を採らざるを得なかった。
【0015】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、製函機のスロッタで段ボールシートの接ぎ代形成時に、接ぎ代の任意の形状に対して、スロッタ屑とフラップ屑との間に必ず非切断部を形成して、フラップ屑の飛散を防止し、接ぎ代の接着不良及びフラップ屑の段ボールシートへの混入を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的を達成するため、本発明のスロッタの切断方法は、
互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、
該スロッタナイフの外側方の切り刃の一部とそれに対する嵌合溝の受け刃との少なくとも一方に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタの切断方法において、
前記スロッタナイフ又は前記他方の刃物台において、前記切欠部を形成した部位とスロッタナイフ本体又は刃物台本体とを別体に形成して、該切欠部と前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整可能にし、
該フラップカッタナイフの刃先に対して該切欠部を接近配置させるようにしたものである。
【0017】
本発明方法では、スロッタナイフ又は該スロッタナイフの切り刃が挿入される嵌合溝を形成する刃物台において、切欠部を形成した部位とその他の部位とを別体に形成することによって、切欠部とフラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整可能にしたため、段ボールシートや接ぎ代の形状や大きさが異なっても、該切欠部を該フラップカッタナイフの刃先に常に近接配置できるようになる。そのため、接ぎ代の任意の形状に対して、スロッタ屑とフラップ屑間に形成される非切断部を必ず形成できる。従って、フラップ屑の飛散を防止して、フラップ屑による接ぎ代の接着不良や段ボールシートの屑混入問題を解消することができる。
【0018】
また、前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明のスロッタは、
互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、
該スロッタナイフの外側方の切り刃の一部とそれに対する嵌合溝の受け刃との少なくとも一方に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタにおいて、
前記スロッタナイフ又は前記他方の刃物台において、前記切欠部を形成した部位とスロッタナイフ本体又は刃物台本体とを別体に形成し、該切欠部と前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整可能に構成したものである。
【0019】
本発明装置によれば、前記構成により、段ボールシートや接ぎ代の形状や大きさが異なっても、切欠部をフラップカッタナイフの刃先に常に近接配置できるようになる。そのため、スロッタ屑とフラップ屑間に形成される非切断部を常に接ぎ代に近接配置できるので、接ぎ代の任意の形状に対して、該非切断部を必ず形成できる。
【0020】
本発明装置において、前記切欠部を複数箇所設け、フラップ屑とスロッタ屑とを接続する非切断部を複数箇所もうけるようにするとよい。該切欠部を複数箇所設けるようにすれば、スロッタ屑とフラップ屑間に複数の非切断部が形成され、スロッタ屑とフラップ屑との接続を確実にできる。これは、段ボールシートが大型で、切断されるフラップ屑の面積が大きい場合に有効である。
【0021】
また、本発明装置において、フラップカッタナイフと刃物台軸方向同一位置に折れ曲がり線形成用ナイフを設け、該折曲線形成用ナイフによって前記フラップ屑の幅方向に折れ曲がり線を形成するように構成するとよい。
これによって、フラップ屑に折れ曲がり線を付与できるので、フラップ屑が落下途中で狭隘部に係止して残留することがない。そのため、スロッタ屑を確実に除去できる。これは、段ボールシートが大型で、切断されるフラップ屑の面積が大きい場合に有効である。
【0022】
次に、本発明のスロッタナイフは、
互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、
該スロッタナイフの外側方の切り刃の一部に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタであって、該スロッタの一部を構成する前記スロッタナイフにおいて、
前記切欠部を形成した部位とスロッタナイフ本体とが別体に形成され、該切欠部形成部位が前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整して該スロッタナイフ本体に装着可能としたものである。
【0023】
本発明のスロッタナイフは、スロッタに装着された場合、前記構成により、スロッタとフラップ屑間に形成される非切断部を段ボールシートや接ぎ代の形状や大きさが異なっても、該切欠部を該フラップカッタナイフの刃先に常に近接配置できるようになる。そのため、スロッタ屑とフラップ屑間に形成される非切断部を常に接ぎ代に近接配置できるので、接ぎ代の任意の形状に対して、該非切断部を必ず形成できる。
【0024】
本発明の刃物台は、
互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、
該嵌合溝の受け刃に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタであって、該スロッタの一部を構成する前記他方の刃物台において、
前記切欠部を形成した部位と刃物台本体とを別体に形成し、該切欠部形成部位が該切欠部と前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整して該刃物台本体に装着可能としたものである。
【0025】
本発明の刃物台は、前記構成により、スロッタに装着された場合、前記構成により、スロッタ屑とフラップ屑間に形成される非切断部を段ボールシートや接ぎ代の形状や大きさが異なっても、該切欠部を該フラップカッタナイフの刃先に常に近接配置できるようになる。そのため、スロッタ屑とフラップ屑間に形成される非切断部を常に接ぎ代に近接配置できるので、接ぎ代の任意の形状に対して、該非切断部を必ず形成できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のスロッタの切断方法によれば、互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、該スロッタナイフの外側方の切り刃の一部とそれに対する嵌合溝の受け刃との少なくとも一方に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタの切断方法において、前記スロッタナイフ又は前記他方の刃物台において、前記切欠部を形成した部位とスロッタナイフ本体又は刃物台本体とを別体に形成して、該切欠部と前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整可能にし、該フラップカッタナイフの刃先に対して該切欠部を接近配置させるようにしたことにより、段ボールシートや接ぎ代の形状や大きさが異なっても、該切欠部を該フラップカッタナイフの刃先に常に近接配置でき、従って、スロッタ屑とフラップ屑間に形成される非切断部を常に接ぎ代に近接配置できるので、接ぎ代の任意の形状に対して、該非切断部を必ず形成できる。従って、フラップ屑の飛散を防止して、フラップ屑による接ぎ代の接着不良やフラップ屑の段ボールシートへの混入を防止できる。
【0027】
また、本発明のスロッタによれば、互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、該スロッタナイフの外側方の切り刃の一部とそれに対する嵌合溝の受け刃との少なくとも一方に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタにおいて、前記スロッタナイフ又は前記他方の刃物台において、前記切欠部を形成した部位とスロッタナイフ本体又は刃物台本体とを別体に形成し、該切欠部と前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整可能に構成したことにより、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【0028】
また、本発明のスロッタナイフによれば、互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、該スロッタナイフの外側方の切り刃の一部に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタであって、該スロッタの一部を構成する前記スロッタナイフにおいて、前記切欠部を形成した部位とスロッタナイフ本体とが別体に形成され、該切欠部形成部位が前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整して該スロッタナイフ本体に装着可能としたことにより、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【0029】
また、本発明の刃物台によれば、互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、該嵌合溝の受け刃に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタであって、該スロッタの一部を構成する前記他方の刃物台において、前記切欠部を形成した部位と刃物台本体とを別体に形成し、該切欠部形成部位が該切欠部と前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整して該刃物台本体に装着可能としたことにより、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のスロッタナイフの第1実施形態に係る斜視図である。
【図2】前記第1実施形態に係るスロッタナイフの側面図である。
【図3】本発明のスロッタナイフの第2実施形態に係る側面図である。
【図4】本発明のスロッタナイフの分割体の一構成例を示す側面図である。
【図5】本発明のスロッタナイフの分割体の別な構成例を示す側面図である。
【図6】本発明のスロッタナイフの分割体のさらに別な構成例を示す側面図である。
【図7】本発明のスロッタナイフの第3実施形態に係る斜視図である。
【図8】本発明のスロッタナイフの第4実施形態に係り、このスロッタナイフで切り溝加工を行なった段ボールシートの平面図である。
【図9】前記第4実施形態に係るスロッタナイフの正面図である。
【図10】本発明の刃物台の第1実施形態に係る斜視図である。
【図11】スロッタによる切り溝加工後の段ボールシートの平面図である。
【図12】段ボールシートの切り溝加工を行なう従来のスロッタの縦断正面図である。
【図13】図12のスロッタの側面図である。
【図14】従来の別なスロッタ(特許文献1)の斜視図である。
【図15】図12のスロッタで切り溝加工した段ボールシートの接ぎ代部分の拡大平面図である。
【図16】図12のスロッタで別な切り溝加工した段ボールシートの接ぎ代部分の拡大平面図である。
【図17】特許文献1のスロッタで切り溝加工した段ボールシートの接ぎ代部分の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0032】
(実施形態1)
本発明の第1実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る上スロッタナイフ10を示す。上スロッタナイフ10は、スロッタナイフ本体12と該スロッタナイフ本体12と別体に形成された分割体14とで構成されている。該スロッタナイフ本体12には、外方に突出した突切り刃16が一体形成されている。突切り刃16は、嵌合溝114の受け刃116のない切り溝4の奥端部を切断するためのものである。一方、分割体14の切り刃15の一部に切欠部18が刻設されている。
【0033】
図2に示すように、スロッタナイフ本体12の側面下部にはレール20がボルト24によって固設されている。レール20の凹面22には、長方形状の摺動体26の下部支持部28が摺動可能に嵌合されている。摺動体26の上面には、接ぎ代5とフラップ屑8と分離する切断線(図15等の切断線c)を形成するフラップカッタナイフ30の根元が埋設されている。分割体14は、ボルト32で摺動体26の側面に結合されている。
なお、摺動体26には、摺動体26の摺動方向に複数のネジ穴31が列設されており、複数のネジ穴31のひとつを選択することによって、分割体14の摺動体26に対する固定位置を決めることができる。
【0034】
かかる構成において、摺動体26と分割体14との相対位置がフラップカッタナイフ30と切欠部18との間隔Lを極力小さくできる配置となるようにセットした状態で、両者をボルト32で結合する。分割体14は、スロッタナイフ本体12に形成された断面L形の凹部13に収納配置される。
次に、摺動体26をスロッタナイフ本体12に対して摺動させ、切断対象となる段ボールシートや接ぎ代の大きさ及び形状に合う切断線cを形成するように、摺動体26を位置決めする。摺動体26を位置決めした後、摺動体26をスロッタナイフ本体12に固定する。
【0035】
これによって、スロッタ屑7とフラップ屑8間に形成される非切断部9を切断線cに対して近接配置することができる。そのため、小型の段ボールシート等において、フラップ屑8の面積が狭く、非切断部9の配置が困難な場合でも、非切断部9を確実に形成できる。従って、フラップ屑8の飛散を防止して、フラップ屑8による接ぎ代5の接着不良やフラップ屑8の製造後の段ボールシート1への混入を防止できる。
なお、切欠部18の形状は、三角錐状又は円弧状の凹面を有するものなど、適宜に選択できる。
【0036】
さらに、本実施形態では、摺動体26と分割体14とを結合しているため、スロッタナイフ本体12の突切り刃16とフラップカッタナイフ30間の隙間を小さくでき、フラップ屑8の切れ残りをなくすことができる。また、フラップカッタナイフ30を埋設した摺動体26と切欠部18を刻設した分割体14とを一体に結合しているため、間隔Lを保持できると共に、スロッタナイフ本体12に形成された突切り刃16とフラップカッタナイフ30との間隔を自由に変えることができる。
【0037】
(実施形態2)
次に、本発明の第2実施形態を図3により説明する。図3に示すように、本実施形態では、分割体14をボルト36によりスロッタナイフ本体12の凹部13に収納固定している。分割体14には摺動体26の摺動方向に長径が配置された長孔32が穿設されている。該長孔32に対面する凹部13の側面には、長孔32の長径配置方向に合わせて複数のネジ穴34が適宜間隔で穿設されている。なお、図中、図2と同一の部材又は機器には同一符号を付している。
【0038】
かかる構成において、分割体14にもうけられた切欠部18とフラップカッタナイフ30との間隔L(図1参照)ができるだけ小さくなるように、分割体14をスロッタナイフ本体12に対して位置決めする。その状態で、ボルト36を長孔32に通し、ネジ穴34に螺着させる。次に、摺動体26のスロッタナイフ本体12に対して位置決めし固定する。
本実施形態では、分割体14を摺動体26に結合しないので、切欠部18とフラップカッタナイフ30の刃先との間隔を自由に変えることができる。また、分割体14と摺動体26とを分離しているので、摺動体26の重量を軽減でき、摺動体26を摺動させる駆動装置の動力を低減できる。
【0039】
次に、本発明のスロッタナイフの前記分割体14の構成例を図4〜図6により説明する。
図4は、分割体14の断面を長方形とし、スロッタナイフ本体12の厚さtと分割体14の厚さtを等しくしたものである。図5は、分割体14の上端角部を円弧状に切り欠き、スロッタナイフ本体12の厚さtと分割体14の厚さtを等しくしたものである。分割体14の上端角部を円弧状傾斜面38としたことにより、スロッタナイフ本体12の突切り刃16の下方部位の強度を増大できる。
【0040】
図6は、分割体14の断面は図4と同じ長方形であるが、スロッタナイフ本体12の板厚tを分割体14の板厚tより大とした点で、図4の分割体14と異なる。その他の構成は図4の分割体14と同一である。
この例では、スロッタナイフ本体12の板厚tを分割体14の板厚tより大としたことにより、スロッタナイフ本体12の強度を増大させることができる。
【0041】
(実施形態3)
次に、本発明のスロッタナイフの第3実施形態を図7により説明する。図7に示す上スロッタナイフ10は、スロッタナイフ本体12の突切り刃16の下部に柱状部40を設け、柱状部40より上方の傾斜面41を平坦面とした点が前記第1実施形態と異なる。本実施形態では、柱状部40及び柱状部40の上方部に平端な傾斜面41を設けたことにより、突切り刃16の強度を向上できる。
【0042】
(実施形態4)
次に、本発明のスロッタナイフの第4実施形態を図8及び図9により説明する。本実施形態は、図8に示すように、スロッタ屑7とフラップ屑8間に複数の非切断部9をもうけることを可能にしスロッタナイフに係る。図に示すように、接ぎ代5の片側に3個の非切断部9をもうけるために、分割体14の切り刃15に所定間隔で複数の切欠部18をもうけている。さらに、フラップ屑8に複数の折れ曲がり線42をもうけるようにしている。
【0043】
複数の非切断部9をもうけたことにより、段ボールシート1又は接ぎ代5の大きさや形状が異なる場合でも、スロッタ屑7とフラップ屑8間に確実に非切断部9を形成できると共に、スロッタ屑7とフラップ屑8との結合を強固にできる。そのため、フラップ屑8がスロッタ屑7と離れて飛散するのを防止できる。
また、折れ曲がり線42をもうけたことにより、フラップ屑8を折れ曲がり線42で折れやすくでき、これによって、フラップ屑8が落下途中で狭隘部にひっかかることなく、落下させることができる。
【0044】
図9は、段ボールシート1に折れ曲がり線42を付与する装置構成を示す。図9において、摺動体26にフラップカッタナイフ30が埋設されている。フラップカッタナイフ30はバネ部材44を介して摺動体26に取り付けられており、これによって、フラップカッタナイフ30に過剰の負荷が加わるのを防止できる。
また、複数の折れ曲がり線形成用ナイフ46の根元が摺動体26に埋設されている。折れ曲がり線形成用ナイフ46の先端は、フラップカッタナイフ30の先端より低い位置に配置され、これによって、段ボールシート1に折れ曲がり線42を形成する。折れ曲がり線形成用ナイフ46の根元部分にはウレタンなどの弾性材48が埋設され、折れ曲がり線形成用ナイフ46に過剰の負荷が加わるのを防止している。
【0045】
(実施形態5)
次に、本発明の下部刃物台の第1実施形態を図10により説明する。本実施形態は、切欠部を下部刃物台にもうけた例である。図10において、スロッタの回転軸50に円筒形状の下部刃物台52が取り付けられている。下部刃物台52は、下部刃物台本体53と、分割体60a及び60bとからなる。下部刃物台本体53には、上スロッタナイフの切り刃(図示省略3の切り刃111)が嵌合可能な嵌合溝54が刻設されている。嵌合溝54の一方の側面に、下部刃物台本体53と別体に形成された2個の円弧板状の分割体60a及び60bが配置されている。分割体60a及び60bは、夫々ボルト等の結合手段により嵌合溝54の側面に装着される。
【0046】
嵌合溝54の一方の側面と、分割体60a及び60bの一方の側面が、夫々スロッタナイフの切り刃に対応する受け刃56となっている。また、フラップカッタナイフに対応する下部刃物台52の外周面58をフラップカッタナイフの刃受け面としている。
【0047】
かかる構成において、分割体60a、60bを嵌合溝54内で下部刃物台52の円周方向に相対移動させ、切欠部62が上部刃物台に装着されるフラップカッタナイフの刃先に近接配置されるように分割体60a、60bを位置決めする。そして、その位置で分割体60a、60bを下部刃物台52にボルト等の固定手段で固定する。
【0048】
これによって、該切欠部62によって形成される非切断部9を接ぎ代5とフラップ屑8間の切断線cに近接配置できるので、段ボールシート1や接ぎ代5の大きさや形状が変わっても非切断部9を必ず形成できる。従って、フラップ屑8の飛散を防止して、フラップ屑による接ぎ代5の接着不良や、フラップ屑の段ボールシートへの混入を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、段ボール製函機のスロッタで、フラップ屑の飛散を防止して、フラップ屑による接ぎ代の接着不良やフラップ屑の段ボールシートへの混入を防止できる。
【符号の説明】
【0050】
1 段ボールシート
4 切り溝
5 接ぎ代
6 フラップ
7 スロッタ屑
8 フラップ屑
9 非切断部(接続部)
10、110 上スロッタナイフ
12 スロッタナイフ本体
14、60a、60b 分割体
15、111 切り刃
16、122 突切り刃
18、62、124 切欠部
26 摺動体
30 フラップカッタナイフ
42 折れ曲がり線
46 折れ曲がり線形成用ナイフ
52、108 下部刃物台
53 下部刃物台本体
54、114 嵌合溝
56、116 受け刃
58、118 刃受け面
100 スロッタ
106 上部刃物台
c 切断線
L 刃物台円周方向間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、
該スロッタナイフの外側方の切り刃の一部とそれに対する嵌合溝の受け刃との少なくとも一方に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタの切断方法において、
前記スロッタナイフ又は前記他方の刃物台において、前記切欠部を形成した部位とスロッタナイフ本体又は刃物台本体とを別体に形成して、該切欠部と前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整可能にし、
該フラップカッタナイフの刃先に対して該切欠部を接近配置させるようにしたことを特徴とするスロッタの切断方法。
【請求項2】
互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、
該スロッタナイフの外側方の切り刃の一部とそれに対する嵌合溝の受け刃との少なくとも一方に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタにおいて、
前記スロッタナイフ又は前記他方の刃物台において、前記切欠部を形成した部位とスロッタナイフ本体又は刃物台本体とを別体に形成し、該切欠部と前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整可能に構成したことを特徴とするスロッタ。
【請求項3】
前記切欠部を複数箇所設け、フラップ屑とスロッタ屑とを接続する非切断部を複数箇所もうけたことを特徴とする請求項1に記載のスロッタ。
【請求項4】
前記フラップカッタナイフと刃物台軸方向同一位置に折れ曲がり線形成用ナイフを設け、該折れ曲がり線形成用ナイフによって前記フラップ屑の幅方向に折れ曲がり線を形成するように構成したことを特徴とする請求項2又は3に記載のスロッタ。
【請求項5】
互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、
該スロッタナイフの外側方の切り刃の一部に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタであって、
該スロッタの一部を構成する前記スロッタナイフにおいて、
前記切欠部を形成した部位とスロッタナイフ本体とが別体に形成され、該切欠部形成部位が前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整して該スロッタナイフ本体に装着可能としたことを特徴とするスロッタナイフ。
【請求項6】
互いに逆方向に回転する上下一対の刃物台を有し、その一方の刃物台に外周両側縁を切り刃とするスロッタナイフと、該スロッタナイフに交差してフラップカッタナイフとを取付け、他方の刃物台の外周に開口縁両側を受け刃とする嵌合溝を形成すると共に、
該嵌合溝の受け刃に切欠部を設け、該スロッタナイフと該フラップカッタナイフとで該一対の刃物台間に供給した段ボールシートの一側コーナ部をスロッタ屑とフラップ屑間に接続部を残したまま切断除去するようにしたスロッタであって、該スロッタの一部を構成する前記他方の刃物台において、
前記切欠部を形成した部位と刃物台本体とを別体に形成し、該切欠部形成部位が該切欠部と前記フラップカッタナイフの刃先との刃物台円周方向間隔を調整して該刃物台本体に装着可能としたことを特徴とする刃物台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−16274(P2011−16274A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161665(P2009−161665)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】