説明

スロットマシン

【課題】スイカ役とチェリー役の各図柄を隣接配置しても、役の抽選結果に基づいて適切にリールを停止制御する。
【解決手段】スイカ役、及び複数種類の1枚役に重複当選し、かつ、左リール31より先に中及び右リール31を停止させる遊技において、スイカ役の図柄が有効ラインに停止するように右リール31を停止させるときに、その後にスイカ役が入賞可能な位置で左リールを停止させると、左リール31のチェリー役の図柄が有効ラインに停止する場合があるときはその位置で右リール31を停止させずに複数種類の1枚役の図柄を有効ラインに停止させる。また、スイカ役の図柄が有効ラインに停止するように右リール31を停止させるときに、その後にスイカ役が入賞可能な位置で左リール31を停止させてもチェリー役の図柄が有効ラインに停止しないときはその位置での右リール31の停止を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単リール入賞役と、PB(引込み率)≠1の役とを別個に設けた場合に、引込み率≠1の役の当選時に、引込み率≠1の役を構成する図柄の近くに単リール入賞役を構成する図柄が存在しても、役の抽選結果に基づく適切なリールの停止制御を可能としたスロットマシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
5号機では、
1)「チェリー」−「any」−「any」のように単リールで入賞が決定する役(単リール入賞役)と、
2)「スイカ」−「スイカ」−「スイカ」のように、当選時には遊技者が目押しをする必要がある役であって、少なくとも1つのリールについて、リールの停止時の最大移動図柄数を超えた間隔で図柄を配置した役(PB≠1の役)と
を別個に設けた場合、左リールでは、「チェリー」の図柄と「スイカ」の図柄とが同時に有効ラインに停止してしまう間隔(例えば、ノーマル5ライン機では2図柄以内)で配置することができない。
【0003】
ここで、4号機では、「スイカ」図柄に隣接して「チェリー」図柄を配置したとしても、リールの停止制御によって、「スイカ」図柄に係る役に当選したときに、「チェリー」図柄に隣接する「スイカ」図柄付近で目押しがなされても、「チェリー」図柄を表示窓枠外に外す停止制御を行うことが可能であったので、何ら問題はなかった。
【0004】
しかし、5号機においては、ストップスイッチが操作された時に、有効ラインに停止(引込み)可能な図柄は必ず停止させる必要があるので、上記の例では、PB≠1に係る役の当選時に、その当選役を構成する「スイカ」図柄を有効ラインに停止可能であるとき、単リール入賞役が近くに存在するか否かにかかわらず停止させる必要が生じてしまう。このため、5号機では、そのような図柄配列をとることができなかった。
【0005】
このため、5号機では、単リール入賞役を設けにくくなっている。
そこで、「チェリー」−「any」−「any」のような単リール入賞役を設けず、例えば「チェリー」−「リプレイ」−「any」のような、2リール(又は3リール)で入賞する役を設けることが多くなっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−197003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述の5号機において、単リール入賞役に代えて、2又は3リール入賞役を設けると、それだけ、入賞割合が低下するという問題がある。特に、ストップスイッチの変則押し(最初に中又は右リールを停止する場合)には、中及び右リールの停止時に、入賞可能な有効ラインが確定するので、その後に左リールを停止したときに、その有効ラインまで「チェリー」図柄を引き込むことができなくなる可能性が高いという問題がある。
そして、これを改善する図柄配列にしようとすると、図柄配列の自由度が低下するという問題がある。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、PB≠1の役の図柄に隣接して単リール入賞役の図柄を配置でき、かつ適切なリールの停止制御を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。なお、かっこ書きにて、対応する実施形態を示す。
請求項1の発明は、役を構成する図柄を表示した複数のリール(31)と、各前記リールの回転を停止させるときに遊技者が操作するストップスイッチ(42)と、役の抽選を行う役抽選手段(61)と、前記ストップスイッチが操作されたときに、前記役抽選手段による役の抽選結果に基づいて、前記ストップスイッチが操作された時から最大移動図柄数(5図柄)の範囲内で前記リールを停止制御するリール制御手段(64)とを備え、前記役抽選手段は、役A(PB≠1である小役2)、役B(単リール入賞役である小役1)、複数種類の役C(小役4A〜4D)を含む役の抽選を行い、役Aの入賞時の遊技媒体の払出し数(12枚)は、役Cの入賞時の遊技媒体の払出し数(1枚)よりも多く設定されており、複数の前記リールは、1つのリールR1(左リール31)と、リールR1以外のリールR2(中及び右リール31)とを備え、役Bは、リールR1の図柄(「チェリー」)のみが定められた役であり、少なくとも1つのリールR2の少なくとも1か所で、役Aを構成する図柄が前記最大移動図柄数を超える間隔で配置されていることにより、前記役抽選手段で役Aに当選した遊技であっても前記リール制御手段により役Aに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることができない場合を有し(PB≠1)、リールR1では、少なくとも1か所で、役Aを構成する図柄と役Bを構成する図柄とが同時にいずれかの有効ラインに停止可能な間隔で配置されており(左リール31の16番と17番)、前記役抽選手段は、役Aの当選時には、複数種類の役Cが重複当選するように役の抽選を行い(小役2、及び小役4A〜4Dの重複当選)、リールR2では、役Aを構成する図柄に対して前記最大移動図柄数の範囲内に複数種類の役Cを構成する図柄が配置されるとともに、役Aを構成する図柄よりも複数種類の役Cを構成する図柄の数が多くなる位置で常にリールR2を停止可能であり、前記リール制御手段は、前記役抽選手段で役A、及び複数種類の役Cに重複当選し、かつ、リールR1より先にリールR2を停止させる遊技において、役Aを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させるときに、その後に役Aが入賞可能な位置でリールR1を停止させると、役Bを構成する図柄がいずれかの有効ラインに停止する場合があるときはその位置でリールR2を停止させずに複数種類の役Cを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させるとともに、役Aを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させるときに、その後に役Aが入賞可能な位置でリールR1を停止させても役Bを構成する図柄がいずれの有効ラインにも停止しないときはその位置でのリールR2の停止を許可するように制御することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のスロットマシンにおいて、前記リール制御手段は、前記役抽選手段で役A、及び複数種類の役Cに重複当選し、かつ、リールR1より先にリールR2を停止させる遊技において、役Aを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させるときに、その後に役Aが入賞可能な位置でリールR1を停止させても役Bを構成する図柄がいずれの有効ラインにも停止しないときは、その位置でリールR2を停止させるか、又はその位置でリールR2を停止させずに複数種類の役Cを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1に記載のスロットマシンにおいて、前記リール制御手段は、前記役抽選手段で役A、及び複数種類の役Cに重複当選し、かつ、リールR1より先にリールR2を停止させる遊技において、役Aを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させるときに、その後に役Aが入賞可能な位置でリールR1を停止させても役Bを構成する図柄が有効ラインに停止しないときは、その位置でリールR2を停止させるとともに、すべてのリールR2の停止時に、役Aと少なくとも1つの役Cとの双方の図柄の組合せが有効ラインに停止可能となったときは、リールR1の停止時には役Aに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることを優先することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1に記載のスロットマシンにおいて、前記リール制御手段は、前記役抽選手段で役A、及び複数種類の役Cに重複当選した遊技において、リールR2よりも先にリールR1を停止させる場合に、役Aを構成する図柄がいずれかの有効ラインに停止可能であり、かつその位置でリールR1を停止させても役Bを構成する図柄が有効ラインに停止しないときは、その位置でリールR1を停止させるとともに、その後にリールR2を停止させるときは、役Aに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることを優先し、リールR1よりも先にリールR2を停止させる場合に、複数種類の役Cを構成する図柄がいずれかの有効ラインに停止可能であるときはその位置でリールR2を停止させるとともに、その後にリールR1を停止させるときは、役Bを構成する図柄が有効ラインに停止しないことを条件に、少なくとも1つの役Cに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることを優先することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のスロットマシンにおいて、リールR1では、複数種類の役Cを構成する図柄は、前記最大移動図柄数を超える間隔で配置されていることを特徴とする。
【0014】
(作用)
本発明においては、役A及び複数種類の役Cに重複当選し、リールR1より先にリールR2を停止させる場合において、役Aを構成する図柄を有効ラインに停止させようとするとき、その後に役Bが入賞してしまう場合(おそれ)があるときは、その時点で、役Aを構成する図柄を有効ラインに停止させずに、複数種類の役Cを構成する図柄を有効ラインに停止させる(個数優先)。
一方、役Aを構成する図柄を有効ラインに停止させようとするとき、その後に役Bが入賞してしまうおそれがないときは、役Aを構成する図柄を有効ラインに停止させることを許可する(枚数優先の許可)。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、PB≠1である小役Aと、単リール入賞役である小役Bとを設け、かつリールR1において両者の図柄を隣接して配置することができる。
そして、小役Aには当選しているが小役Bには当選していないとき、小役Bが入賞してしまうおそれをなくしつつ、役抽選結果に対応する適切なリール停止制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】スロットマシンの制御の概略を示すブロック図である。
【図2】本実施形態におけるリールの図柄配列を示す図である。
【図3】表示窓とリールとの関係、及び有効ラインを示す図である。
【図4】役の種類、払出し枚数等、及び図柄の組合せを示す図である。
【図5】役抽選テーブルを示す図である。
【図6】小役2の当選時に右リールを最初に停止するときの停止形を示す図である。
【図7】小役2の当選時に中リールを最初に停止するときの停止形を示す図である。
【図8】枚数優先と個数優先とを説明する図である。
【図9】右→中→左の順にリールを停止させたときの例を説明する図である。
【図10】「N」番の「スイカ」図柄に対して、「チェリー」図柄を「N±2」番に配置した例を示す図である。
【図11】枚数優先と個数優先とを選択する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態によるスロットマシン10の制御の概略を示すブロック図である。スロットマシン10は、遊技の進行を制御するメイン(遊技)制御手段60と、演出の出力を制御するサブ制御手段70とを備える。
メイン制御手段60は、役の抽選、リール31の駆動制御、入賞時の払出し等を制御する。メイン制御手段60は、メイン制御基板(図示せず)上に設けられており、演算等を行うCPU、遊技の進行等に必要なプログラム等を記憶しておくROM、CPUが各種の制御を行うときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM等を備える。
【0018】
また、サブ制御手段70は、演出の選択や出力等を制御する。サブ制御手段70は、サブ制御基板(図示せず)上に設けられており、上記メイン制御基板と同様に、演算等を行うCPU、演出の出力に必要なプログラム等を記憶しておくROM、CPUが各種の制御を行うときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM等を備える。
また、メイン制御基板とサブ制御基板は、別体で構成されるとともに、メイン制御基板からサブ制御基板に対し、遊技に関する情報(遊技結果等)を送信可能に両者が電気的に接続されている。
【0019】
図1に示すように、メイン制御手段60の入力側(図1中、左側)には、ベットスイッチ40、スタートスイッチ41、及びストップスイッチ42が電気的に接続されている。
ベットスイッチ40は、遊技者が貯留メダルを当該遊技のために投入するときに操作するスイッチである。
なお、メダル投入口43は、実際のメダルを遊技者が投入する部分であり、メダル投入口43からメダルを投入することは、ベットスイッチ40を操作することと同様の役割を果たす。
【0020】
また、スタートスイッチ41は、(左、中、右のすべての)リール31を始動させるときに遊技者が操作するスイッチである。
さらにまた、(左、中、右)ストップスイッチ42は、3つ(左、中、右)のリール31に対応して3つ設けられ、対応するリール31を停止させるときに遊技者が操作するスイッチである。
【0021】
メイン制御手段60の出力側(図1中、右側)には、モータ32が電気的に接続されている。
モータ32は、リール31を回転させるためのものであり、各リール31の回転中心部に連結され、後述するリール制御手段64によって制御される。ここで、リール31は、左リール31、中リール31、右リール31からなり、左リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が左ストップスイッチ42であり、中リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が中ストップスイッチ42であり、右リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が右ストップスイッチ42である。
【0022】
リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄の組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付したものである。図2は、本実施形態におけるリール31の図柄配列を示す図である。図2では、図柄番号を併せて図示している。図2に示すように、本実施形態では、各リール31ごとに、21個の図柄が等間隔で配置されている。
【0023】
また、図3は、スロットマシン10のフロントマスク部(前面扉。図示せず。)に設けられた表示窓(透明窓)11と、各リール31との位置関係を示す図である。各リール31は、本実施形態では横方向に並列に3つ(左リール31、中リール31、及び右リール31)設けられている。さらに、各リール31は、表示窓11から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されている。よって、スロットマシン10の表示窓11から、合計9個の図柄が見えるように配置されている。
【0024】
なお、本明細書では、例えば図3中、左リール31の「スイカ」、中リール31の「チェリー(12番)」、及び右リール31の「チェリー」の各図柄が停止している位置を「上段」と称し、左、中及び右リール31の「赤7」の図柄が停止している位置を「中段」と称し、左リール31の「ベル」、中リール31の「チェリー(10番)」、及び右リール31の「スイカ」の図柄が停止している位置を「下段」と称する。
【0025】
さらにまた、図3に示すように、スロットマシン10の表示窓11を含む部分には、有効ラインL1〜L5が設けられている。
ここで、「有効ライン」とは、リール31の停止時における図柄の並びラインであって図柄の組合せを形成させる図柄組合せラインであり、かつ、いずれかの役に対応する図柄の組合せがそのラインに停止したときに、その役の入賞となるラインである。
【0026】
本実施形態では、図3に示すように、水平方向上段、中段、及び下段の各有効ラインL1、L2及びL3と、斜め右下がり一直線の有効ラインL4と、斜め右上がり一直線の有効ラインL5とから構成されている。
すなわち、本実施形態の有効ラインは、いわゆる5ラインである。
【0027】
なお、有効ラインL1〜L5以外の図柄組合せラインは、本実施形態では、すべて無効ラインである。無効ラインは、図柄組合せラインのうち、有効ラインとして設定されないラインであって、いずれかの役に対応する図柄の組合せがそのラインに停止した場合であっても、その役に応じた利益の付与(メダルの払出し等)を行わないラインである。すなわち、無効ラインは、そもそも図柄の組合せの成立対象となっていないラインである。
【0028】
なお、従来より、メダルの投入枚数に応じて有効ライン数が異なるスロットマシンが知られている。例えば、メダル投入枚数が1枚のときは有効ラインは1本、メダル投入枚数が2枚のときは有効ライン数は3本、メダル投入枚数が3枚のときは有効ライン数は5本に設定すること等が挙げられる。
これに対し、本実施形態では、通常遊技中(特別遊技中以外)は3枚のメダルを投入して遊技を行い、特別遊技中は2枚のメダルを投入して遊技を行うように設定されているが、いずれの遊技中(通常遊技中及び特別遊技中の双方)においても、有効ラインL1〜L5の5本が当該遊技での有効ラインとなる。
【0029】
さらに、図1において、サブ制御手段70の出力側には、ランプ21、スピーカ22、及び画像表示装置23等の演出出力機器が電気的に接続されている。
ランプ21は、スロットマシン10の演出用のランプであり、所定の条件を満たしたときに、それぞれ所定のパターンで点灯する。なお、ランプ21には、各リール31の内周側に配置され、リール31に表示された図柄(表示窓11から見える上下に連続する3図柄)を背後から照らすためのバックランプ(図示せず)や、スロットマシン10の筐体前面に配置され、役の入賞時等に点滅する上部ランプ及びサイドランプ(図示せず)等が含まれる。
【0030】
また、スピーカ22は、遊技中に各種の演出を行うべく、所定の条件を満たしたときに、所定のサウンドを出力するものである。
さらにまた、画像表示装置23は、液晶ディスプレイやドットディスプレイ等からなるものであり、遊技中に各種の演出画像等を表示するものである。
【0031】
図4は、本実施形態における役(後述する役抽選手段61で抽選される役)の種類、払出し枚数等、及び図柄の組合せを示す図である。図4に示すように、役としては、大別して、特別役、小役、及びリプレイが設けられている。
そして、各役に対応する図柄の組合せ及び入賞時の払出し枚数等が定められている。これにより、すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止する(その役が入賞する)と、その役に対応する枚数のメダルの払出し又は自動投入が行われる(ただし、特別役を除く)。
【0032】
役において、まず、特別役とは、通常遊技から特別遊技に移行させる役である。本実施形態では、図4に示すように、特別役として、1BB(第1種ビッグボーナス)、及びRB(レギュラーボーナス)が設けられている。
特別役(1BB又はRB)が入賞すると、それぞれ、当該遊技におけるメダルの払い出しはないが、次遊技から、特別遊技(1BB遊技又はRB遊技)に移行する。これらの特別遊技は、特定の役(本実施形態では小役3)が高確率で当選・入賞する遊技状態であり、出玉率が1を超えるように設定されていることで、遊技者にとって有利な遊技である。
なお、他の特別役として、MB(ミドルボーナス。2BB(第2種ビッグボーナス)ともいう。)やSB(シングルボーナス)が挙げられるが、本実施形態では設けられていない。
【0033】
また、1BBは、本実施形態では1BBA及び1BBBの2種類を備える。同様に、RBは、RBA及びRBBの2種類を備える。1BBAと1BBB、及びRBAとRBBは、いずれも別フラグであり、図柄の組合せも異なる。
【0034】
また、小役とは、予め定められた枚数のメダルが払い出される役であり、本実施形態では、大別して、小役1〜小役4の4種類を備えており、各小役ごとに図柄の組合せが異なるように設定されている。
ここで、小役1における「any」とは、任意の図柄を意味する。すなわち、小役1は、左リール31の図柄(「チェリー」)のみが定められ、中及び右リール31については図柄が定められていない単リール入賞役である。したがって、左リール31の「チェリー」の図柄がいずれかの有効ラインに停止した時点で、中リール31及び右リール31の停止図柄にかかわらず、入賞となる役である。
【0035】
さらにまた、小役4は、小役4A〜4Dの4種類を備える。
ここで、小役4Aと小役4Bとは、左リール31の図柄のみが異なっている。同様に、小役4Cと小役4Dとは、左リール31の図柄のみが異なっている。
さらに、リプレイとは、再遊技役であって、当該遊技で投入したメダル枚数(3枚)を維持した再遊技が行えるようにした役である。
【0036】
上述した各役において、役に当選した遊技でその役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止しなかったときは、次遊技以降に持ち越される役と、持ち越されない役とが定められている。
持ち越される役は、特別役(1BB及びRB)である。特別役に当選したときは、リール31の停止時に、当選した特別役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止するまでの遊技において、特別役の当選を次遊技以降に持ち越すように制御される。
【0037】
このように、特別役の当選は持ち越されるのに対し、特別役以外の小役及びリプレイは、持ち越されない。役の抽選において、小役又はリプレイに当選したときは、当該遊技でのみその当選役が有効となり、その当選は次遊技以降に持ち越されない。すなわち、これらの役に当選した遊技では、その当選した役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止(入賞)可能なようにリール31が停止制御されるが、その当選役の入賞の有無にかかわらず、その遊技の終了時に、その当選役に係る権利は消滅する。
【0038】
なお、特別役に当選していない遊技中(特別役の当選が持ち越されていない遊技中)を、「非内部中」という。また、当該遊技以前の遊技において特別役に当選しているが、当選した特別役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止していない(入賞していない)遊技中(特別役の当選が持ち越されている遊技中)を「内部中」という。
【0039】
遊技の開始時には、遊技者は、ベットスイッチ40を操作して予め貯留されたメダルを投入するか、又はメダル投入口43からメダルを投入し、スタートスイッチ41を操作(オン)する。なお、本実施形態のベットスイッチ40は、当該遊技で投入可能な最大数が投入されるマックス・ベットスイッチである。すなわち、通常遊技中は、ベットスイッチ40を操作すると3枚のメダルが投入され、1BB遊技中及びRB遊技中は2枚のメダルが投入される。
【0040】
そして、スタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御手段60に入力される。メイン制御手段60(具体的には、後述するリール制御手段64)は、この信号を受信すると、すべてのモータ32を駆動制御して、すべてのリール31を回転させるように制御する。このようにしてリール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓11内で上下方向に移動表示される。
【0041】
そして、遊技者は、ストップスイッチ42を押すことで、そのストップスイッチ42に対応するリール31(例えば、左ストップスイッチ42に対応する左リール31)の回転を停止させる。ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御手段60に入力される。メイン制御手段60(具体的には、後述するリール制御手段64)は、この信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を駆動制御して、そのモータ32に係るリール31の停止制御を行う。そして、すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したとき(その役の入賞となったとき)は、入賞した役に対応するメダルの払出し等が行われる。
【0042】
図1に示すように、メイン制御手段60は、以下の役抽選手段61等を備える。なお、本実施形態における以下の各手段は例示であり、メイン制御手段60は、本実施形態で示した手段に限定されるものではない。
【0043】
役抽選手段61は、役(上述した特別役、小役、及びリプレイ)の抽選を行うものである。役抽選手段61は、例えば、役抽選用の乱数発生手段(ハードウェア乱数等)と、この乱数発生手段が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段と、乱数抽出手段が抽出した乱数値に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定する判定手段とを備えている。
【0044】
乱数発生手段は、所定の領域(例えば10進法で0〜65535)の乱数を発生させる。乱数は、例えば200n(ナノ)secで1カウントを行うカウンターが0〜65535の範囲を1サイクルとしてカウントし続ける乱数であり、スロットマシン10の電源が投入されている間は、乱数をカウントし続ける。
【0045】
乱数抽出手段は、乱数発生手段によって発生した乱数を、所定の時、本実施形態では遊技者によりスタートスイッチ41が操作(オン)された時に抽出する。判定手段は、乱数抽出手段により抽出された乱数値を、後述する役抽選テーブル62と照合することにより、その乱数値が属する領域に対応する役を決定する。例えば、抽出した乱数値が1BBAの当選領域に属する場合は、1BBAの当選と判定し、非当選領域に属する場合は、非当選と判定する。
【0046】
役抽選テーブル62は、抽選される役の種類と、各役の当選確率とを定めたものである。図5は、本実施形態における役抽選テーブル62(62A〜62C)を示す図である。役抽選テーブル62は、遊技状態ごとに設けられている。役抽選テーブル62は、それぞれ所定の範囲の抽選領域を有し、この抽選領域は、各役の当選領域及び非当選領域に分けられているとともに、抽選される役が、予め設定された当選確率となるように所定の割合に設定されている。
【0047】
さらに、図5の役抽選テーブル62において、「+」とは、重複(同時)当選を意味する。例えば図5中、「小役2+小役4A+小役4B+小役4C+小役4D」とあるのは、これら5つの役が当該遊技で重複(同時)当選することを意味する。
図5に示すように、小役2及び小役4A〜4Dは、単独で当選する場合はなく、常に同時(重複)当選するように設定されている。
なお、小役2及び小役4以外の役は、単独当選するように設定されている。本実施形態では、例えば特別役と小役やリプレイが重複当選する例は設けていないが、このような重複当選を設けてもよいのはもちろんである。
【0048】
本実施形態の「遊技状態」としては、通常遊技(非内部中)、通常遊技(内部中)、及び特別遊技を備える。
そして、図5に示すように、役抽選テーブル62Aは通常遊技の非内部中で用いられ、役抽選テーブル62Bは通常遊技の内部中で用いられ、役抽選テーブル62Cは特別遊技(1BB遊技及びRB遊技)で用いられる。
【0049】
役抽選テーブル62Bは、内部中で用いられるため、特別役は抽選されない。
さらに、役抽選テーブル62Cは、特別役及びリプレイは抽選されず、小役3の当選確率が高く設定されている。
【0050】
なお、スロットマシン10では、出玉率を定めるための設定値が設けられており、複数の設定値(本実施形態では、設定1〜設定6の6段階)の中からいずれか1つの設定値が設定される。そして、設定値が高いほど、特別役の当選確率が高く設定されている。このため、図5で示した特別役の当選確率(通常遊技の非内部中)は、いずれか1つの設定値の当選確率の例示である。
【0051】
説明を図1に戻す。
当選フラグ制御手段63は、役抽選手段61による役の抽選結果に基づいて、各役に対応する当選フラグ63aのオン/オフを制御するものである。本実施形態では、すべての当選役に対応するように、1BBA、1BBB、RBA、RBB、小役1、小役2、小役3、小役4A、小役4B、小役4C、小役4D、及びリプレイの各当選フラグ63aを備える。そして、役抽選手段61による役の抽選において当選したときは、対応する役の当選フラグ63aをオンにする(当選フラグ63aを立てる)。
【0052】
例えば、通常遊技の非内部中において小役1に単独当選したときは、小役1に係る当選フラグ63aがオンとなり、それ以外の役の当選フラグ63aはオフのままである。また、通常遊技の非内部中又は特別遊技中において小役2+小役4A〜4Dに重複当選したときは、これら5つの当選フラグ63aがオンとなり、それ以外の役に係る当選フラグ63aはオフのままである。
【0053】
さらにまた、上述したように、小役及びリプレイの当選は持ち越されないので、当該遊技で小役又はリプレイに当選し、これらの役の当選フラグ63aがオンにされても、当該遊技の終了時にその当選フラグ63aがオフにされる。
これに対し、特別役の当選は持ち越されるので、当該遊技で特別役に当選し、特別役に係る当選フラグ63aが一旦オンになったときは、その特別役が入賞するまでオンの状態が維持され、特別役が入賞した時点でオフにされる。
【0054】
例えば、役抽選手段61で1BBAに当選したときは、当該遊技では、1BBAの当選フラグ63aがオンにされる。そして、この遊技で1BBAが入賞しなかったときは、1BBAの当選フラグ63aのオンの状態は維持される。
そして、次遊技の内部中遊技で、例えばリプレイに当選したときは、すでにオンである1BBAに係る当選フラグ63aのほか、リプレイの当選フラグ63aがオンにされる。そして、当該遊技の終了時に、1BBAが非入賞の場合は1BBAに係る当選フラグ63aのオンの状態が維持されるとともに、リプレイの当選フラグ63aはオフにされる。
【0055】
図1において、リール制御手段64は、リール31の回転開始命令を受けたとき、特に本実施形態ではスタートスイッチ41が操作されたときに、すべて(3つ)のリール31の回転を開始するように制御するものである。さらに、リール制御手段64は、役抽選手段61により役の抽選が行われた後、当該遊技における当選フラグ63aのオン/オフを参照して当選フラグ63aのオン/オフに対応する停止位置決定テーブル65を選択するとともに、ストップスイッチ42が操作されたときに、ストップスイッチ42が操作されたときのタイミングに基づいて、そのストップスイッチ42に対応するリール31の停止位置を決定するとともに、モータ32を駆動制御して、その決定した位置にそのリール31を停止させるように制御するものである。
【0056】
例えば、リール制御手段64は、少なくとも1つの当選フラグ63aがオンである遊技では、リール31の停止制御の範囲内において、当選役(当選フラグ63aがオンになっている役)に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止可能にリール31を停止制御するとともに、当選役以外の役(当選フラグ63aがオフになっている役)に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させないようにリール31を停止制御する。
【0057】
ここで、「リール31の停止制御の範囲内」とは、ストップスイッチ42が操作された瞬間からリール31が実際に停止するまでのリール31の最大移動図柄数の範囲内を意味し、本実施形態では、ストップスイッチ42が操作された瞬間の図柄からの最大移動図柄数が5図柄に設定されている。いいかえると、ストップスイッチ42が操作された瞬間からリール31が実際に停止するまでの時間は、190ms以内に設定されている。
【0058】
これにより、ストップスイッチ42の操作を検知した瞬間の図柄から数えてリール31の停止制御の範囲内にある図柄のいずれかが有効ラインに停止させるべき図柄であるときは、ストップスイッチ42が操作されたときに、その図柄が有効ラインに停止するように制御されることとなる。
【0059】
すなわち、役の当選時にストップスイッチ42が操作された瞬間に直ちにリール31を停止させると、当選した役に係るその図柄が有効ラインに停止しないときには、リール31の停止時に、リール31の停止制御の範囲内においてリール31を回転移動制御することで、当選した役に係る図柄ができる限り有効ラインに停止させるように制御するものである。
【0060】
また逆に、ストップスイッチ42が操作された瞬間に直ちにリール31を停止させると、当選していない役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止してしまうときは、リール31の停止時に、リール31の停止制御の範囲内においてリール31を回転移動制御することで、当選していない役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止しないように制御する。
【0061】
停止位置決定テーブル65は、当選フラグ63aのオン/オフの状態ごと、すなわち役抽選手段61による役の抽選結果ごとに対応して設けられており、ストップスイッチ42が操作された瞬間のリール31の位置に対する、リール31の停止位置を定めたものである。そして、各停止位置決定テーブル65には、例えば0番の図柄(左リール31であれば「RP」の図柄)が上段を通過する瞬間にストップスイッチ42が操作されたときは、何図柄だけ移動制御して、何番の図柄を上段に停止させる、というように停止位置が定められている。
【0062】
停止位置決定テーブル65は、以下の1BBAテーブル等を備える。
1BBAテーブルは、1BBAの当選フラグ63aのみがオンであるとき、すなわち当該遊技で1BBAに当選したとき、又は当該遊技以前に1BBAに当選し、かつ当該遊技で非当選であることを条件として用いられ、リール31の停止制御の範囲内において、1BBAに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるとともに、1BBA以外の役に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させないように、リール31の停止時の図柄の組合せを定めたものである。
【0063】
1BBBテーブル、RBAテーブル、RBBテーブルについても、1BBAテーブルと同様である。1BBBテーブル、RBAテーブル、RBBテーブルは、それぞれ、1BBAテーブル中、「1BBA」を、「1BBB」、「RBA」、「RBB」と読み替えたものに相当する。
【0064】
小役1テーブルは、小役1(のみ)の当選フラグ63aがオンであるときに用いられ、リール31の停止制御の範囲内において、小役1に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるとともに、小役1以外の役に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させないように、リール31の停止時の図柄の組合せを定めたものである。
【0065】
小役3テーブル、リプレイテーブルについても、小役1テーブルと同様である。小役3テーブル、リプレイテーブルは、それぞれ、小役1テーブル中、「小役1」を、「小役3」、「リプレイ」と読み替えたものに相当する。
【0066】
小役重複当選テーブルは、小役2及び小役4A〜4Dの5つの当選フラグ63aがオンであるとき(小役2及び小役4A〜4Dの重複当選時)に用いられ、リール31の停止制御の範囲内において、小役2、又は小役4A〜4Dのいずれかに対応する図柄の組合せが有効ラインに停止するようにリール31の停止位置を定めている。
【0067】
具体的には、小役重複当選テーブルは、停止するリール31の順序等に応じて、以下ののように各リール31の停止位置が定められている。
先ず、小役1(チェリー)及び小役2(スイカ)において、入賞時の図柄の位置関係について説明する。なお、以下の説明では、小役2(スイカ)の当選フラグ63aがオンであり、かつ小役1(チェリー)の当選フラグ63aはオフであるものとする。
【0068】
最初に、右リール31を最初に停止させたときに、図6(A)に示す位置で停止させたとする。すなわち、上段に「スイカ」図柄が停止した例である。なお、図2に示すように、この停止形の場合は、常に、中段が「ベル」図柄となり、下段が「RP」図柄となる。
【0069】
図6(A)では、次に中リール31を停止させたときに、中段に「スイカ」図柄を停止させた例を示している、よって、この時点で、入賞ラインは有効ラインL5となる。
最後に、左リール31を停止させる場合、小役2を入賞させるためには、下段に「スイカ」図柄を停止させる必要がある。そして、図2に示すように、左リール31の停止時に「スイカ」図柄を下段に停止させたとき、左リール31の「チェリー」の図柄が表示窓11内(いずれかの有効ライン)に停止する場合はない。
よって、小役1には当選しておらず、かつ小役2に当選しているときは、図6(A)に示す停止形をとることが可能である。
【0070】
これに対し、右リール31を最初に停止させたときに、図6(B)に示す位置で停止させたとする(右リール31の9〜11番が表示窓11内に停止)。
この位置で右リール31を停止させると、中段に「スイカ」図柄が停止するため、小役2の有効ラインは、この時点で有効ラインL2に限定される。
【0071】
この場合に、左リール31の停止時に、17番の「スイカ」図柄が有効ラインL2に停止可能なタイミングで左ストップスイッチ42が操作されたときは、その位置で左リール31を停止せざるを得ない。しかし、その場合は16番の「チェリー」図柄が下段(有効ラインL3及びL5)に停止してしまい、当選していない役が入賞してしまうという不合理が生じる。よって、図6(B)の位置で「スイカ」図柄を停止させることはできない。
【0072】
また、右リール31を最初に停止させたときに、図6(C)に示す位置で停止させたとする(右リール31の10〜12番が表示窓11内に停止)。
この位置で右リール31を停止させると、下段に「スイカ」図柄が停止するため、小役2の有効ラインは、この時点では有効ラインL3又はL4となる。
さらに、右リール31の停止時に下段に「スイカ」図柄を停止させると、上段には必ず「チェリー」図柄が停止する(図2中、右リール31の10番と12番、及び18番と20番を参照)。したがって、小役2と重複当選する小役4C及び4Dを構成する右リール31の図柄を停止させることができると同時に、図6(B)のように「スイカ」図柄を中段に停止させない停止形をとることができる。
【0073】
この場合に、次に中リール31を停止させたときに中段に「スイカ」図柄を停止させると(その時点で小役2の有効ラインはL4に確定する)、左リール31の停止時には上段に「スイカ」図柄を停止させる必要がある。しかし、左リール31の停止時に、17番の「スイカ」図柄が上段に停止可能なタイミングで左ストップスイッチ42が操作されたときは、その位置で停止せざるを得ない。しかし、その場合は16番の「チェリー」図柄が中段(有効ラインL2)に停止してしまい、当選していない役が入賞してしまうという不合理が生じる。
【0074】
これに対し、図6(C)に示すように、中リール31の停止時に下段に「スイカ」図柄を停止させると(その時点で小役2の有効ラインはL3に確定する)、左リール31の停止時にも下段に「スイカ」図柄を停止させる必要がある。そして、左リール31の停止時に、下段に「スイカ」図柄を停止させたときは、「チェリー」図柄が有効ラインに停止する場合はない。よって、図6(C)の位置で、右及び中リール31を停止させることが可能となる。
さらに、中リール31の停止時に下段に「スイカ」図柄を停止させると、上段には必ず「RP」図柄が停止する(図2中、中リール31の4番と6番、及び20番と1番を参照)。したがって、有効ラインL3に小役2の図柄の組合せをテンパイさせると同時に、有効ラインL1に小役4C及び4Dの図柄の組合せをテンパイさせることができる。
よって、例えば左リール31の18番〜20番が表示窓11内に位置する瞬間に左ストップスイッチ42が操作されたときは、下段に「スイカ」図柄を停止させることができないが、上記の位置で左リール31を停止させれば、上段に20番の「白7」図柄を停止させることができるので、小役4Dを入賞させることが可能となる。
【0075】
次に、最初に中リール31を停止させる場合について説明する。
図7(A)は、最初の中リール31の停止時に、18番〜20番の図柄を表示窓11内に停止させた例を示している。この時点で、小役2の有効ラインは、有効ラインL1に確定する。しかし、上述したように、この後に左リール31を停止させるとき、左リール31の17番の図柄を上段(有効ラインL1)に停止させると、同時に、16番の「チェリー」図柄が有効ラインL2に停止してしまう。よって、上記の位置で中リール31を停止させることはできない。
【0076】
図7(B)は、最初の中リール31の停止時に、19番〜0番の図柄を表示窓11内に停止させた例を示している。この場合は「スイカ」の図柄が中段に停止するので、この時点での小役2の有効ラインは、有効ラインL2、L4、又はL5の3本である。次に右リール31を停止させる場合において、上段に「スイカ」図柄を停止可能であるときは、その位置に右リール31を停止させる。この時点で、小役2の有効ラインは、有効ラインL5に確定する。
一方、右リール31の停止時に上段に「スイカ」図柄を停止させることができない場合において、中段や下段に「スイカ」図柄を停止可能であっても、その位置には「スイカ」図柄を停止させない。有効ラインL2やL4に小役2の図柄の組合せをテンパイさせてしまうと、上述したように、左リール31の停止時に、小役2を入賞させようとすると「チェリー」図柄が有効ラインに停止する可能性があるからである。
したがって、右リール31の停止時に上段に「スイカ」図柄を停止させることができないときは、上段に「RP」図柄を停止させる。右リール31の「RP」図柄は5図柄以内の間隔で配置されているので、常に「RP」図柄を上段に停止させることができる。これにより、有効ラインL1に、小役4A及び4Bの図柄の組合せをテンパイさせることができる。
【0077】
図7(B)に示すように、小役2の図柄の組合せを有効ラインL5にテンパイさせることができれば、最後に左リール31を停止させるときに、「スイカ」図柄を下段に停止可能であるときは、その位置に左リール31を停止させることができる。左リール31の停止時に下段に「スイカ」図柄を停止させれば、左リール31の「チェリー」図柄が有効ラインに停止してしまうことはない。
また、右リール31の停止時に小役2をテンパイさせることができず、有効ラインL1に、小役4A及び4Bをテンパイさせたとき(右リール31の停止時に上段に「RP」図柄を停止させたとき)は、左リール31の停止時に、上段(有効ラインL1)に「赤7」又は「白」図柄を停止可能であるときは、その位置で左リール31を停止させ、小役4A又は4Bを入賞させるようにする。
【0078】
図7(C)は、最初の中リール31の停止時に、下段に「スイカ」図柄を停止させた例を示している(20番、0番及び1番の図柄、又は4〜6番の図柄が表示窓11内に停止)。この時点で、「スイカ」の図柄は下段に停止するので、小役2の有効ラインは、有効ラインL3に確定する。次に右リール31を停止させる場合において、下段に「スイカ」図柄を停止可能であるときは、その位置に右リール31を停止させる。
【0079】
そして、最後に左リール31を停止させるときに、「スイカ」図柄を下段に停止可能であるときは、その位置に左リール31を停止させることができる。よって、図7(B)と同様に、「チェリー」図柄が有効ラインに停止することなく小役2を入賞させることができる。
【0080】
次に、各リール31の図柄配列について説明する。
左リール31では、6番、8番、12番、及び17番の4か所に「スイカ」図柄が配置されている。一方、2番及び16番に「チェリー」図柄が配置されている。
したがって、6番、8番及び12番の「スイカ」図柄をいずれかの有効ラインに停止させるときは、同時に「チェリー」図柄は有効ラインに停止しない。このため、6番、8番又は12番の「スイカ」図柄を有効ラインに停止可能なタイミングで左ストップスイッチ42が操作されたときは、常に、「チェリー」図柄を回避しつつ「スイカ」図柄を有効ラインに停止させることができる。
【0081】
これに対し、17番の「スイカ」図柄を有効ラインに停止させるときは、16番の「チェリー」図柄が有効ラインに停止しないようにするために、その「スイカ」図柄は、下段にしか停止させることができない。
また、最初に左リール31を停止させるとき(中及び右リール31は回転中)、12番〜14番の図柄が表示窓11を通過する直前に左ストップスイッチ42が操作されたときは、その位置で左リール31を停止させれば、12番の「スイカ」図柄が下段に停止する。
【0082】
さらに、上記の位置から1図柄だけ進んだ瞬間、すなわち13番〜15番の図柄が表示窓11内を通過する瞬間に左ストップスイッチ42が操作されたときは、その位置から5図柄(最大移動図柄数)移動制御して、17番〜19番の図柄を表示窓11内に停止させることができる。これにより、17番の「スイカ」図柄が下段に停止し、16番の「チェリー」図柄は有効ラインに停止しない。
【0083】
なお、左リール31を最初に停止させる場合であっても、「スイカ」図柄は、PB=1ではない。例えば18番〜20番の図柄から、20番〜1番の図柄までが表示窓11内に位置する瞬間に左ストップスイッチ42が操作されたときは、6番の「スイカ」図柄を有効ラインに停止させることはできない。
【0084】
また、最初に左リール31を停止させるときに、「スイカ」図柄ではなく、小役4A〜4Dに係る図柄である「赤7」又は「白7」図柄を有効ラインに停止させたいときは、その「赤7」又は「白7」図柄が有効ラインに停止可能なタイミングで左ストップスイッチ42が操作されれば、「赤7」又は「白7」図柄を有効ラインに停止可能である。なお、「赤7」又は「白7」図柄がいずれかの有効ラインに停止するときは、2番又は16番の「チェリー」図柄が有効ラインに停止してしまうことはない。
【0085】
さらにまた、中リール31では、4番及び20番に「スイカ」図柄が配置されている。そして、「スイカ」図柄の1つ上は「ベル」図柄、さらにその1つ上は「RP」図柄に設定されている。さらに、4番の「スイカ」図柄の3つ下には「RP」図柄が配置されている。また、20番の「スイカ」図柄の2つ下には「RP」図柄が配置されている。すなわち、中リール31では、小役2に係る図柄に対して、最大移動図柄数の範囲内に、複数の小役4に係る図柄が配置されている。
よって、中リール31の停止時に、小役2に係る「スイカ」図柄よりも優先して、小役4A〜4Dに係る「ベル」又は「RP」図柄を停止させることができる。
【0086】
さらに、右リール31では、10番及び18番に「スイカ」図柄が配置されている。そして、「スイカ」図柄の1つ下は「ベル」図柄、さらにその1つ下は「RP」図柄に設定されている。さらに、各「スイカ」図柄の2つ上には「チェリー」図柄、さらにその1つ上には「RP」図柄が配置されている。すなわち、右リール31では、小役2に係る図柄に対して、最大移動図柄数の範囲内に、複数の小役4に係る図柄が配置されている。
よって、右リール31の停止時に、小役2に係る「スイカ」図柄よりも優先して、小役4A〜4Dに係る「RP」又は「チェリー」図柄を停止させることができる。
【0087】
以上をふまえて、小役重複当選テーブルにおける各リール31の停止位置について説明する。
先ず、役の重複当選時におけるリール31の停止位置を定めるときに、払出し枚数の最も多い小役の入賞を優先する「枚数優先」と、当選役に係る図柄の表示数が最も多くなるようにリール31を停止させる「個数優先」とを有する。
【0088】
例えば、小役2+小役4A〜4Dの重複当選時に、払出し枚数の最も多い小役は小役2(12枚)であるから、枚数優先でリール31を停止するときは、小役2に係る「スイカ」図柄を有効ラインに停止させることを優先する。
これに対し、例えば中リール31を停止する場合において、有効ラインに「ベル」図柄を停止可能であるときは、小役4Aと小役4Bの2つの役を構成する図柄を同時に有効ラインに停止可能となるので、「個数優先」では、「スイカ」図柄よりも優先して「ベル」図柄を停止させる。同様に、「RP」図柄を停止可能であるときは、小役4Cと小役4Dの2つの役を構成する図柄を同時に有効ラインに停止可能となるので、「個数優先」では、「スイカ」図柄よりも優先して「RP」図柄を停止させる。
【0089】
また、右リール31を停止する場合において、有効ラインに「RP」図柄を停止可能であるときは、小役4Aと小役4Bの2つの役を構成する図柄を同時に有効ラインに停止可能となるので、「個数優先」では、「スイカ」図柄よりも優先して「RP」図柄を停止させる。同様に、「チェリー」図柄を停止可能であるときは、小役4Cと小役4Dの2つの役を構成する図柄を同時に有効ラインに停止可能となるので、「個数優先」では、「スイカ」図柄よりも優先して「チェリー」図柄を停止させる。
【0090】
そして、本実施形態では、原則として、最初に停止するリール31が左リール31であるときは枚数優先によりリール31を停止制御し、最初に停止するリール31が中又は右リール31であるときは、個数優先によりリール31を停止制御する。
図8(A)は、最初に中リール31を停止させるときの停止位置を説明する図である。なお、図8の例は、小役2+小役4A〜4Dの重複当選時である。
【0091】
図8(A)の右側図に示すように、中リール31の13番〜15番又は17番〜19番の図柄(上から、「青7」、「RP」、「ベル」図柄)を表示窓11内に停止可能な位置で中ストップスイッチ42が操作されたときは、その位置で中リール31を停止させる。ここで、図8(A)の左側図に示すように、18番〜20番の図柄(上から、「スイカ」、「青7」、「RP」図柄)表示窓11内に停止可能であっても、17番〜19番の図柄を表示窓11内に停止させる。
【0092】
枚数優先では、図8(A)の左側図のように停止させることとなるが、個数優先では、右側図のように停止させることとなる。右側図では、「RP」図柄(中段)及び「ベル」図柄(下段)がいずれも有効ラインに停止しているので、小役4A〜4Dの4つの役を構成する図柄を同時に有効ラインに停止できる。
【0093】
次に、図8(B)は、最初に右リール31を停止させるときの停止位置を説明する図である。図8(B)の右側図に示すように、右リール31の8番〜10番又は16番〜18番の図柄(上から、「スイカ」、「ベル」、「RP」図柄)を表示窓11内に停止可能な位置で右ストップスイッチ42が操作されたときは、その位置で右リール31を停止させる。ここで、図8(B)の左側図に示すように、9番〜11番の図柄(上から、「赤7」、「スイカ」、「ベル」図柄)を表示窓11内に停止可能であっても、8番〜10番の図柄を表示窓11内に停止させる。
【0094】
特に、図8(B)の右側図のように個数優先で停止させれば、小役2、小役4A及び4Bの図柄が有効ラインに停止することとなる。
なお、役抽選テーブル62Aにおいて、例えば1BBA(「赤7」)、小役2、及び小役4A〜4Dが重複当選する当選態様を設けたとき、図8(B)の右側図の停止形とすれば、(図8(B)の左側図のように)「赤7」図柄を有効ラインに停止させなくても、小役2、小役4A及び4Bを構成する図柄を有効ラインに停止させているので、個数優先となる。
【0095】
図9は、右→中→左の順にリール31を停止させたときの例を説明する図である。なお、図9も、図8と同様に、小役2+小役4A〜4Dの重複当選時の場合である。
先ず、最初の右リール31の停止時に、10〜12番の図柄(上から、「チェリー」、「赤7」、「スイカ」図柄)を表示窓11内に停止可能な位置で右ストップスイッチ42が操作されたときは、その位置で右リール31を停止させる(図9(A))。
【0096】
この場合には、個数優先によって、右リール31に、小役4C及び4Dを構成する「チェリー」図柄を停止させると同時に、小役2を構成する「スイカ」図柄を下段に停止させることができるので、その後に図6(C)に示す停止形をとることも可能となる。
特に本実施形態では、右リール31の停止時に下段に「スイカ」図柄を停止させると、同時に上段に「チェリー」図柄が停止するように図柄が配列されている。
【0097】
次に、中リール31を停止させる場合において、中段にしか「スイカ」図柄を停止させることができないとき(図9(B1))は、その位置で「スイカ」図柄を停止させない。
中リール31の中段に「スイカ」図柄を停止させると、図9(B1)に示すように、小役2の入賞ラインは有効ラインL4に確定し、その後、左リール31の停止時には、図9(C1)のように上段に「スイカ」図柄を停止させる必要があるからである。そして、左リール31の上段に「スイカ」図柄を停止させると、中段に「チェリー」図柄が停止してしまう場合があるからである。
【0098】
このため、中リール31の中段に「スイカ」図柄を停止せざるを得ない場合には、その位置で「スイカ」図柄を停止させず、図9(B2)のように中段に「RP」図柄を停止させる。中リール31では、5図柄以内の間隔で「RP」図柄が配置されているので、常に、中段に「RP」図柄を停止させることができる。そして、中リール31の停止時に中段に「RP」図柄を停止させれば、小役4C及び4Dが有効ラインL5にテンパイする停止形となるので、個数優先となる。
【0099】
さらに、その後は、左リール31の停止時に、図9(C2)に示すように下段に「赤7」又は「白7」図柄を停止させることができるときはその位置で左リール31を停止させる。これにより、小役4C又は4Dが入賞する。
なお、左リール31において「赤7」と「白7」図柄は、いずれも1か所のみに設けられ、かつ、両者は5図柄を超える間隔で配置されているので、「赤7」又は「白7」図柄が下段に停止するタイミングで左ストップスイッチ42を操作しないと(目押しをしないと)その位置では停止しない。
【0100】
なお、本実施形態では小役4A〜4Dの単独当選を設けていないが、これらの単独当選を設けてもよい。その場合は、図9(B2)に示す停止形となったときは、
1)小役2及び小役4A〜4Dに重複当選しており、左リール31の停止時には「赤7」又は「白7」図柄のいずれも停止可能であるのか、
あるいは、
2)小役4C又は4Dのいずれか一方に単独当選しており、左リール31の停止時には「赤7」又は「白7」図柄のいずれか一方のみが停止可能であるのか
を遊技者は、知ることができないようにすることができる。
【0101】
次に、小役2+小役4A〜4Dの重複当選時の遊技において、最初に左リール31を停止する場合について説明する。
本実施形態では、最初に左リール31を停止させるときは、枚数優先によってすべてのリール31を停止制御しても、個数優先によってすべてのリール31を停止制御しても、いずれでもよい。
【0102】
具体的には、最初に左リール31を停止するときは、以下のように定めることが挙げられる。
1)無条件で、枚数優先とする。
2)無条件で、個数優先とする。
3)枚数優先とするか、個数優先とするかを決定する。
上記3)の場合には、抽選で決定してもよく、あるいは当該遊技の遊技状態等に応じていずれか一方を選択してもよい。
【0103】
枚数優先を行う場合において、先ず、左リール31の6番、8番、及び12番の「スイカ」図柄をいずれかの有効ラインに停止可能であるときは、その位置で左リール31を停止する。これに対し、17番の「スイカ」図柄を有効ラインに停止させるときは、必ず下段に停止させるようにし、16番の「チェリー」図柄を有効ラインに停止させないようにする。
【0104】
第1に、12番〜14番の図柄が表示窓11内に停止可能であるときは、その位置で左リール31を停止させる。例えば、12番〜14番の図柄が表示窓11内を通過する直前に左ストップスイッチ42が操作されたときが挙げられる。
第2に、12番〜14番の図柄が表示窓11内を通過した直後(12番〜14番の図柄を表示窓11内に停止させることができないとき)、例えば13番の「RP」図柄が下段に位置する瞬間に左ストップスイッチ42が操作されたときは、その図柄から数えて最大移動図柄数である5図柄分、移動制御し、17番の「スイカ」図柄を下段に停止させる。
【0105】
より拡張した概念で説明すれば、「スイカ」図柄を「N」番と「N±5」番に配置すれば、両者の図柄間(「N±1」番、「N±2」番、「N±3」番、又は「N±4」番のいずれか)に「チェリー」図柄が配置されていても、「チェリー」図柄を有効ラインに停止させずに、枚数優先によって、常に「N」番又は「N±5」番の「スイカ」図柄を有効ラインに停止させることができる。
【0106】
また、「N」番の「スイカ」図柄に対して、「チェリー」図柄が「N±2」番に配置されているときには、「N±3」番〜「N±6」番のいずれかに「スイカ」図柄を配置すればよい。
図10は、上記の場合を具体的に示す図である。
図10(A)〜(D)は、左リール31であり、いずれも、「N」番に「スイカ」図柄を配置し、その2つ下(「N−2」番)に「チェリー」図柄を配置している。
【0107】
図10(A)に示すように、「N−3」番に「スイカ」図柄を配置したときは、「N−3」〜「N−5」番の図柄を表示窓11内に停止可能であるときはその位置で左リール31を停止させる。その位置が通過した直後に左ストップスイッチ42が操作されたときは、「N+1」〜「N−1」番の図柄を表示窓11内に停止させればよい。
【0108】
また、図10(B)に示すように、「N−4」番に「スイカ」図柄を配置したときは、(A)と同様に、「N−3」〜「N−5」番の図柄を表示窓11内に停止可能であるときはその位置で左リール31を停止させる。その位置が通過した直後に左ストップスイッチ42が操作されたときは、「N+1」〜「N−1」番の図柄を表示窓11内に停止させればよい。
【0109】
さらにまた、図10(C)に示すように、「N−5」番に「スイカ」図柄を配置したときは、(A)と同様に、「N−3」〜「N−5」番の図柄を表示窓11内に停止可能であるときはその位置で左リール31を停止させる。その位置が通過した直後に左ストップスイッチ42が操作されたときは、「N+1」〜「N−1」番の図柄を表示窓11内に停止させればよい。
【0110】
さらに、図10(D)に示すように、「N−6」番に「スイカ」図柄を配置したときは、「N−4」〜「N−6」番の図柄を表示窓11内に停止可能であるときはその位置で左リール31を停止させる。その位置が通過した直後に左ストップスイッチ42が操作されたときは、「N+1」〜「N−1」番の図柄を表示窓11内に停止させればよい。
【0111】
次に、最後の左リール31の停止時に、枚数優先とするか個数優先とするかを決定する場合について説明する。
図11(A)は、左リール31の停止前に、中及び右リール31を停止させたときの停止形の例を示す図である。なお、図11においても、小役2+小役4A〜4Dの重複当選時の場合である。
【0112】
図11(A)に示すように、中リール31で下段に「スイカ」図柄を停止させたときは、常に上段が「RP」図柄、中段が「ベル」図柄となる。
また、右リール31では、「スイカ」図柄を下段に停止させたときは、常に上段が「チェリー」図柄、中段が「赤7」又は「白7」図柄となる。
【0113】
上述したように、左リール31の停止前に中及び右リール31を停止させるときは、枚数優先を行うことができず、個数優先となる。そして、中及び右リール31を停止させた結果、図11(A)の停止形となったときは、小役2(スイカ)が有効ラインL3にテンパイし、有効ラインL1に小役4C及び4Dがテンパイしている。
【0114】
そして、最後の左リール31の停止時に、図11(B1)に示すように、有効ラインL3(下段)に「スイカ」図柄を停止させても小役1が入賞してしまうことはないので、最後の左リール31の停止時に枚数優先に切り替えることも可能となる。
一方、中及び右リール31に続いて、左リール31についてもそのまま個数優先を行うことも可能である。この場合には、図11(B2)に示すように、上段に「赤7」又は「白7」図柄を停止可能であるときは、その位置で左リール31を停止させる。
【0115】
このように、個数優先によって中及び右リール31を停止させた結果、最後の左リール31について、枚数優先と個数優先のいずれでも停止可能となったときは、どちらを採用してもよい。例えば常に枚数優先に切り替えることも可能であるし、先に停止させたリール31と同じ個数優先を維持することも可能である。
あるいは、抽選や遊技状態等に応じていずれか一方に決定してもよい。
以上のように、既に停止したリール31の停止形によっては、残りのリール31の停止態様(枚数優先/個数優先)を切り替えることが可能となる。
【0116】
次に、内部中遊技では、小役又はリプレイの当選時には、当該遊技で当選した小役又はリプレイの入賞が優先される停止位置決定テーブル65が用いられる。
例えば1BBAの内部中遊技において小役1に単独当選したときは、まず、小役1に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることを優先し、小役1に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることができないときは、次に、1BBAに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるように制御する。さらに、1BBAに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることができないときは、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効ラインに停止させないように制御する。
【0117】
なお、これとは逆、すなわち特別役の入賞を優先し、特別役を入賞させることができないときは、当該遊技で当選した小役又はリプレイの入賞を優先する停止位置決定テーブル65とすることも、もちろん可能である。
【0118】
また、非当選テーブルは、すべての当選フラグ63aがオフであるとき(非内部中遊技、1BB遊技、又はRB遊技における役の非当選時)に用いられ、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効ラインに停止しないように、リール31の停止時の図柄の組合せを定めたものである。
【0119】
説明を図1に戻す。
停止図柄判断手段66は、リール31の停止時に、有効ラインに停止したリール31の図柄の組合せが、いずれかの役に対応する図柄の組合せと一致するか否かを判断するものである。停止図柄判断手段66は、例えばモータ32の停止時の角度やステップ数等を検知することにより、有効ライン上の図柄を判断する。
ただし、停止図柄判断手段66は、ストップスイッチ42が操作され、停止位置決定テーブル65を用いて停止位置が決定された時に、そのリール31が停止したか否かにかかわらず、停止図柄を判断することが可能である。
【0120】
払出し手段67は、停止図柄判断手段66により、リール31の停止時に有効ラインに停止した図柄の組合せがいずれかの役に対応する図柄の組合せと一致すると判断され、その役の入賞となったときに、その入賞役に応じて所定枚数のメダルを遊技者に対して払い出すか、又はクレジットの加算等の処理を行うものである。また、リプレイの入賞時には、メダルを払い出すことなく、当該遊技で投入されたメダル枚数を自動投入するように制御する。
【0121】
特別遊技制御手段68は、特別遊技の開始、特別遊技中の遊技の進行、及び特別遊技の終了を制御するものである。
1BBA又は1BBBに対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したときは、それぞれ1BBA又は1BBBの入賞となり、特別遊技制御手段68は、次遊技から1BB遊技を開始するように制御する。
1BB遊技では、上述した役抽選テーブル62Cを用いて役の抽選を行う。
【0122】
また、本実施形態では、1BB遊技の終了条件として、1BB遊技中に払い出されたメダル枚数が450枚以上になったことに設定されている。
このため、特別遊技制御手段68は、1BB遊技では、メダル払出し枚数をカウントし続け、カウント値が上記値になったと判断したときは、当該遊技をもって1BB遊技を終了するように制御する。
【0123】
さらにまた、RBA又はRBBに対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したときは、それぞれRBA又はRBBの入賞となり、特別遊技制御手段68は、次遊技からRB遊技を開始するように制御する。
RB遊技では、上述した役抽選テーブル62Cを用いて役の抽選を行う。
【0124】
また、本実施形態では、RB遊技の終了条件として、役の入賞回数が6回に達したこと、又は遊技回数が8回に達したことに設定されている。
このため、特別遊技制御手段68は、RB遊技では、役の入賞回数及び遊技回数をカウントし続け、カウント値が上記値になったと判断したときは、当該遊技をもってRB遊技を終了するように制御する。
【0125】
図1において、メイン制御手段60は、サブ制御手段70に対し、各種の情報(コマンド)を送信するように制御する。送信される情報としては、メダルが投入された旨の情報、スタートスイッチ41が操作された旨の情報、役の抽選結果(当選役)の情報、リール31の回転が開始された旨の情報、ストップスイッチ42が操作された旨の情報(どのストップスイッチ42が操作されたか)、リール31が停止した旨の情報、各リール31の停止位置(有効ラインに停止した図柄)の情報、入賞役の情報、メダルの払出しの情報、遊技状態の情報等が挙げられる。
【0126】
また、サブ制御手段70は、演出制御手段71を備える。
演出制御手段71は、上述したランプ21、スピーカ22、及び画像表示装置23からの演出の出力を制御するものである。
演出制御手段71は、遊技ごとに、遊技の開始時等に、役抽選手段61による役の抽選結果に基づいて、ソフトウエア乱数を用いた抽選によって演出を選択し、出力する。
【0127】
演出には、遊技の進行に伴って、どのようなタイミングで(スタートスイッチ41の操作時や各ストップスイッチ42の操作時等)、どのような演出を出力するか(ランプ21をどのように点灯、点滅又は消灯させるか、スピーカ22からどのようなサウンドを出力するか、及び画像表示装置23にどのような画像を表示させるか等)を定めている。
【0128】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下のような種々の変形が可能である。
(1)上記実施形態では、小役2と、4種類の小役4A〜4Dを重複当選させたが、これに限らず、小役2と重複当選する小役は、2種類以上であればよい。小役2(1つ)に対して個数優先を行う対象小役は、2つ以上であればよいからである。また、個数優先を行う対象となる2つ以上の小役は、中及び右リール31については同一図柄であってもよい。例えば本実施形態において、小役2、小役4A、小役4Bが重複当選する場合や、小役2、小役4C、小役4Dが重複当選する場合であってもよい。
【0129】
(2)小役2と重複当選する小役4A〜4Dは、小役2の払出し枚数(実施形態では12枚)よりも少ない枚数であれば、何枚でもよい。また、小役2の払出し枚数が15枚であれば、小役4は14枚以下であればよい。さらにまた、小役2と重複当選する複数種類の小役4A〜4Dは、入賞時の払出し枚数が異なっていてもよい。例えば小役4Aの払出し枚数が4枚、小役4Bの払出し枚数が3枚、小役4Cの払出し枚数が2枚、小役4Dの払出し枚数が1枚であっても、個数優先では、小役4A〜4Dの図柄を優先して停止させることができる。
【符号の説明】
【0130】
10 スロットマシン
11 表示窓
21 ランプ
22 スピーカ
23 画像表示装置
31 リール
32 モータ
40 ベットスイッチ
41 スタートスイッチ
42 ストップスイッチ
43 メダル投入口
60 メイン制御手段(遊技制御手段)
61 役抽選手段
62(62A〜62C) 役抽選テーブル
63 当選フラグ制御手段
63a 当選フラグ
64 リール制御手段
65 停止位置決定テーブル
66 停止図柄判断手段
67 払出し手段
68 特別遊技制御手段
70 サブ制御手段
71 演出制御手段
L1〜L5 有効ライン(図柄組合せライン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
役を構成する図柄を表示した複数のリールと、
各前記リールの回転を停止させるときに遊技者が操作するストップスイッチと、
役の抽選を行う役抽選手段と、
前記ストップスイッチが操作されたときに、前記役抽選手段による役の抽選結果に基づいて、前記ストップスイッチが操作された時から最大移動図柄数の範囲内で前記リールを停止制御するリール制御手段と
を備え、
前記役抽選手段は、役A、役B、複数種類の役Cを含む役の抽選を行い、
役Aの入賞時の遊技媒体の払出し数は、役Cの入賞時の遊技媒体の払出し数よりも多く設定されており、
複数の前記リールは、1つのリールR1と、リールR1以外のリールR2とを備え、
役Bは、リールR1の図柄のみが定められた役であり、
少なくとも1つのリールR2の少なくとも1か所で、役Aを構成する図柄が前記最大移動図柄数を超える間隔で配置されていることにより、前記役抽選手段で役Aに当選した遊技であっても前記リール制御手段により役Aに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることができない場合を有し、
リールR1では、少なくとも1か所で、役Aを構成する図柄と役Bを構成する図柄とが同時にいずれかの有効ラインに停止可能な間隔で配置されており、
前記役抽選手段は、役Aの当選時には、複数種類の役Cが重複当選するように役の抽選を行い、
リールR2では、役Aを構成する図柄に対して前記最大移動図柄数の範囲内に複数種類の役Cを構成する図柄が配置されるとともに、役Aを構成する図柄よりも複数種類の役Cを構成する図柄の数が多くなる位置で常にリールR2を停止可能であり、
前記リール制御手段は、
前記役抽選手段で役A、及び複数種類の役Cに重複当選し、かつ、リールR1より先にリールR2を停止させる遊技において、
役Aを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させるときに、その後に役Aが入賞可能な位置でリールR1を停止させると、役Bを構成する図柄がいずれかの有効ラインに停止する場合があるときはその位置でリールR2を停止させずに複数種類の役Cを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させるとともに、
役Aを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させるときに、その後に役Aが入賞可能な位置でリールR1を停止させても役Bを構成する図柄がいずれの有効ラインにも停止しないときはその位置でのリールR2の停止を許可するように制御する
ことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
請求項1に記載のスロットマシンにおいて、
前記リール制御手段は、
前記役抽選手段で役A、及び複数種類の役Cに重複当選し、かつ、リールR1より先にリールR2を停止させる遊技において、
役Aを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させるときに、その後に役Aが入賞可能な位置でリールR1を停止させても役Bを構成する図柄がいずれの有効ラインにも停止しないときは、その位置でリールR2を停止させるか、又はその位置でリールR2を停止させずに複数種類の役Cを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させる
ことを特徴とするスロットマシン。
【請求項3】
請求項1に記載のスロットマシンにおいて、
前記リール制御手段は、
前記役抽選手段で役A、及び複数種類の役Cに重複当選し、かつ、リールR1より先にリールR2を停止させる遊技において、
役Aを構成する図柄が有効ラインに停止するようにリールR2を停止させるときに、その後に役Aが入賞可能な位置でリールR1を停止させても役Bを構成する図柄が有効ラインに停止しないときは、その位置でリールR2を停止させるとともに、すべてのリールR2の停止時に、役Aと少なくとも1つの役Cとの双方の図柄の組合せが有効ラインに停止可能となったときは、リールR1の停止時には役Aに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることを優先する
ことを特徴とするスロットマシン。
【請求項4】
請求項1に記載のスロットマシンにおいて、
前記リール制御手段は、
前記役抽選手段で役A、及び複数種類の役Cに重複当選した遊技において、
リールR2よりも先にリールR1を停止させる場合に、役Aを構成する図柄がいずれかの有効ラインに停止可能であり、かつその位置でリールR1を停止させても役Bを構成する図柄が有効ラインに停止しないときは、その位置でリールR1を停止させるとともに、その後にリールR2を停止させるときは、役Aに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることを優先し、
リールR1よりも先にリールR2を停止させる場合に、複数種類の役Cを構成する図柄がいずれかの有効ラインに停止可能であるときはその位置でリールR2を停止させるとともに、その後にリールR1を停止させるときは、役Bを構成する図柄が有効ラインに停止しないことを条件に、少なくとも1つの役Cに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることを優先する
ことを特徴とするスロットマシン。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のスロットマシンにおいて、
リールR1では、複数種類の役Cを構成する図柄は、前記最大移動図柄数を超える間隔で配置されている
ことを特徴とするスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−205701(P2012−205701A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72836(P2011−72836)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】