スロットル装置
【課題】ヒータの要否に合わせてヒータ付きのスロットル装置とヒータ無しのスロットル装置の何れをも製造可能とすること。
【解決手段】スロットル装置は、ボア1を有する樹脂製スロットルボディ2と、ボア1を開閉するためにスロットルボディ2に設けられたスロットルバルブ3とを備える。スロットルボディ2は、スロットルバルブ3を含むバルブ部4とスロットルバルブ3を含まないダクト部5とに分割して形成される。バルブ部4とダクト部5は互いに組み付け可能に設けられる。バルブ部4及びダクト部5には、ヒータ6と金属カラー7が取り付け可能に設けられる。
【解決手段】スロットル装置は、ボア1を有する樹脂製スロットルボディ2と、ボア1を開閉するためにスロットルボディ2に設けられたスロットルバルブ3とを備える。スロットルボディ2は、スロットルバルブ3を含むバルブ部4とスロットルバルブ3を含まないダクト部5とに分割して形成される。バルブ部4とダクト部5は互いに組み付け可能に設けられる。バルブ部4及びダクト部5には、ヒータ6と金属カラー7が取り付け可能に設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンの吸気通路に設けられるスロットル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、例えば、下記の特許文献1に記載の内燃機関用吸気制御装置が知られている。この装置は、樹脂製スロットルボディと、スロットルボディのボアを開閉するスロットルバルブとを備え、スロットルボディのボア内壁近傍にはスロットルバルブ近傍を加熱するためのヒータが埋設されている。
【0003】
【特許文献1】実開平3−17242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の装置では、ヒータがスロットルボディに埋設されていることから、最初からヒータを持ったヒータ付きのスロットルボディしか製造することができず、ヒータを持たないヒータ無しのスロットルボディが必要な場合には、ヒータ無しのスロットルボディを特別に製造しなければならなかった。すなわち、ヒータ無しのスロットルボディが必要な場合は、ヒータ付きのスロットルボディの他に、ヒータ無しのスロットルボディを別途製造しなければならなかった。このため、装置の設計工数が増えるばかりでなく、成形用金型の種類や数も増えることとなり、全体に製造コストが嵩むこととなった。
【0005】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ヒータの要否に合わせてヒータ付きのスロットル装置とヒータ無しのスロットル装置の何れをも製造することを可能としたスロットル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ボアを有する樹脂製スロットルボディと、ボアを開閉するためにスロットルボディに設けられたスロットルバルブとを備えたスロットル装置であって、スロットルボディを、スロットルバルブを含むバルブ部とスロットルバルブを含まないダクト部とに分割して形成すると共に、バルブ部とダクト部を互いに組み付け可能に設け、バルブ部及びダクト部の少なくとも一方にヒータを取り付け可能に設けたことを趣旨とする。
【0007】
上記発明の構成によれば、スロットルボディを、スロットルバルブを含むバルブ部とスロットルバルブを含まないダクト部とに分割して形成し、バルブ部とダクト部を互いに組み付け可能に設け、バルブ部及びダクト部の少なくとも一方にヒータを取り付け可能に設けたので、ダクト部とバルブ部を互いに組み付け、ヒータを取り付けることにより、ヒータ付きのスロットルボディを製造することができる。また、ヒータを取り付けずにダクト部とバルブ部を互いに組み付けることにより、ヒータ無しのスロットルボディを製造することができる。従って、ヒータ付きのスロットルボディ又はヒータ無しのスロットルボディを製造するために、それぞれ同じダクト部とバルブ部を使用することができる。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、バルブ部及びダクト部の少なくとも一方へヒータの熱を伝えるための伝熱材を設けたことを趣旨とする。
【0009】
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、ヒータの熱が伝熱材を介してバルブ部及びダクト部の少なくとも一方へ伝わり易くなる。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、スロットルバルブの上流側にヒータを設けたことを趣旨とする。
【0011】
上記発明の構成によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、スロットルバルブの上流側から侵入する水蒸気をヒータにより加熱することが可能となる。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、ヒータは、PTCヒータであることを趣旨とする。ここで、PTCヒータとは、「Positive Temperature Coefficient Heater」であり、ある温度(キュリー点)に達すると抵抗値の増大する正温度特性を持った感熱抵抗素子を発熱体に用いたヒータを意味する。温水式ヒータに比べて即熱性がある。
【0013】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加え、PTCヒータにより、即熱性をもってバルブ部が加熱される。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、ヒータは、電気抵抗線であることを趣旨とする。
【0015】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加え、電気抵抗線が使用されるので、ヒータに形状的自由度が得られる。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、ヒータは、円筒状コイルヒータであることを趣旨とする。
【0017】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加え、ヒータを広い範囲に配置することが可能となる。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、伝熱材は、前記スロットルボディより熱伝導率のよい材料であることを趣旨とする。
【0019】
上記発明の構成によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、伝熱材にスロットルボディより熱伝導率のよい材料が使用されるので、ヒータの熱が伝わり易くなる。
ここで、スロットルボディは樹脂製であるので、熱伝導率は「約0.6〜0.8×10-3(cal/cm.s.℃)」であり、伝熱材を、例えば金属とすると、熱伝導率は「約0.5〜0.9(cal/cm.s.℃)」となる。このため、伝熱材として金属を使用するのがよい。また、樹脂に伝熱材(金属等)を混入した熱伝導率の大きい樹脂材を使用することもできる。さらに、スロットルボディに使用する樹脂材と異なる種類の熱伝導率の大きい樹脂材を伝熱材に使用することもできる。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の発明において、バルブ部とダクト部を接着により結合したことを趣旨とする。
【0021】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至7の何れかに記載の発明の作用に加え、バルブ部とダクト部との組み付けが、接着により容易となる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、ヒータの要否に合わせてヒータ付きのスロットル装置とヒータ無しのスロットル装置の何れをも製造することができる。この結果、全体としてスロットル装置の製造コストを低減させることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、ヒータによる暖機を効率良く行うことができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、スロットルバルブの上流側から侵入する水蒸気の凍結を防止することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、ヒータによる暖機を更に効率良く行うことができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、ヒータをダクト部とバルブ部の両方にわたる広い範囲に配置することができ、ヒータによる暖機の効率向上に寄与する。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、ヒータによる暖機の効率向上に寄与する。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、ヒータによる暖機を効率良く行うことができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の何れかに記載の発明の効果に加え、バルブ部とダクト部の組み付けを比較的容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
[第1実施形態]
以下、本発明のスロットル装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1に、ヒータ付きのスロットル装置を断面図により示す。図2に、ヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。図3に、ヒータ付きのスロットル装置を分解して断面図により示す。図4に、ヒータ無しのスロットル装置を断面図により示す。
【0032】
図1に示すように、このスロットル装置は、ボア1を有する樹脂製スロットルボディ2と、ボア1を開閉するためにスロットルボディ2に設けられたスロットルバルブ3とを備える。スロットルバルブ3は、図示しない駆動機構により開閉するようになっている。このスロットル装置は、エンジンの吸気通路に設けられてエンジンの吸気量を調節するために使用される。この実施形態では、スロットルボディ2を構成する樹脂材として、例えば、「PPS」を使用することができる。
【0033】
図1〜3に示すように、樹脂製のスロットルボディ2は、スロットルバルブ3を含むバルブ部4と、スロットルバルブ3を含まないダクト部5とに分割して形成される。これらバルブ部4とダクト部5は、それぞれフランジ4a,5aを備え、それらフランジ4a,5aにて互いに接着により結合される。すなわち、バルブ部4とダクト部5は、フランジ4a,5aを接着して結合することで互いに組み付け可能に設けられる。また、ダクト部5には、それぞれ円筒状をなすヒータ6と金属カラー7が取り付けられる。すなわち、ダクト部5の接合面5bには、ヒータ6と金属カラー7を取り付けるための周溝5cが形成される。この周溝5cに金属カラー7とヒータ6が差し込まれて取り付けられる。ヒータ6は、周溝5cの中で、金属カラー7の外周面に取り付けられる。金属カラー7の下半分のスカート部7aは、ダクト部5から突出する。一方、バルブ部4の接合面4bには、ダクト部5の周溝5cに整合する周溝4cが形成される。この周溝4cには、金属カラー7のスカート部7aが挿入可能に設けられる。図1に示すように、金属カラー7は、取り付けられた状態で、スロットルバルブ3の周囲に配置される。金属カラー7は、例えば、アルミより構成され、本発明の伝熱材に相当する。また、この実施形態で、ヒータ6には、PTCヒータが使用される。
【0034】
図1,2に示すように、ヒータ6に設けられた給電用のリード線8は、両フランジ4a,5aの間から外部へ導出される。このリード線8を通じてヒータ6に通電することにより、ヒータ6が発熱する。ヒータ6の熱は、金属カラー7を介してダクト部5とバルブ部4に伝わる。このようにしてダクト部5及びバルブ部4が加熱されることで、スロットルバルブ3の近傍のボア1が暖機される。この暖機は、スロットルバルブ3の氷結対策として使用される。
【0035】
以上説明した本実施形態のスロットル装置の構成によれば、スロットルボディ2を、スロットルバルブ3を含むバルブ部4とスロットルバルブ3を含まないダクト部5に分割して形成し、バルブ部4とダクト部5を互いに組み付け可能に設け、ダクト部5にヒータ6を取り付け可能に、ダクト部5とバルブ部4に金属カラー7を取り付け可能に設けている。これにより、ダクト部5とバルブ部4を互いに組み付け、ヒータ6と金属カラー7を取り付けることにより、図1に示すヒータ付きのスロットルボディ2を製造することができる。また、ヒータ6と金属カラー7を取り付けずにダクト部5とバルブ部4を互いに組み付けることで、図4に示すヒータ無しのスロットルボディ2を製造することができる。従って、ヒータ付きのスロットルボディ2又はヒータ無しのスロットルボディ2を製造するために、それぞれ同じダクト部5とバルブ部4を使用することができる。このため、ヒータ6の要否に合わせて、図1に示すヒータ付きのスロットル装置と、図4に示すヒータ無しのスロットル装置の何れをも、同じダクト部5とバルブ4を使用して製造することができる。このため、スロットル装置の設計工数が増えることがなく、成形用金型の種類や数も増えることがなく、全体としてスロットル装置の製造コストを低減させることができる。
【0036】
この実施形態では、ヒータ6に加えて金属カラー7を設けているので、ヒータ6の熱が金属カラー7を介してバルブ部4に伝わり易くなる。この意味で、ヒータ6による暖機を効率良く行うことができる。
【0037】
また、この実施形態では、ヒータ6としてPTCヒータが使用されるので、比較的に即熱性をもってダクト部5とバルブ部4が加熱されることになる。この意味でも、ヒータ6による暖機を効率良く行うことができる。
【0038】
また、この実施形態では、バルブ部4とダクト部5を接着により結合しているので、両者4,5の組み付けを比較的容易に行うことができる。
【0039】
また、この実施形態では、金属カラー7が金属であることから、樹脂製のスロットルボディ2にあってヒータ6の熱がより伝わり易くなる。この意味でも、ヒータ6による暖機を効率良く行うことができる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。尚、以下に説明する各実施形態(本実施形態を含む)で、第1実施形態と同一部材については同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なった点を中心に説明する。
【0041】
図5に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置を分解して断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ9の構成の点で第1実施形態と異なる。この実施形態では、ヒータ9として、電気抵抗線よりなるコイルヒータが使用される。ヒータ9は、金属カラー7の外周に波状に巻き付けられる。ヒータ9のリード線8は、ダクト部5のフランジ5aから外部に導出される。この実施形態において、その他の構成は、基本的に第1実施形態のそれと同じである。
【0042】
従って、この実施形態でも、基本的に第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、この実施形態では、ヒータ9に電気抵抗線よりなるコイルヒータが使用されるので、ヒータ9に形状的な自由度が得られることとなる。このため、この実施形態のように、ヒータ9を金属カラー7の外周にて、ダクト部5とバルブ部4の両方にわたる広い範囲に配置することができる。このことは、ヒータ9による暖機の効率向上に寄与する。
【0043】
[第3実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
図6に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6と金属カラー7の構成の点で第1実施形態と異なる。この実施形態では、フランジ7bを有する金属カラー7が、ボア1の内壁に沿って露出するようにバルブ部4に取り付けられる。金属カラー7のフランジ7bは、バルブ部4のフランジ4aに接合される。この状態で、金属カラー7のフランジ7bと、ダクト部5のフランジ5aとの間にリング状のヒータ6が挟み込まれたかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0045】
従って、この実施形態でも、基本的に第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、この実施形態では、金属カラー7がボア1の内壁に沿って露出するので、ヒータ6から金属カラー7に伝わる熱によりボア1の内壁を直接的に加熱することができる。更に、この実施形態では、ダクト部5及びバルブ部4に、金属カラー7やヒータ6を取り付けるための周溝を設ける必要がない。
【0046】
[第4実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
図7に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6と金属カラー7の構成の点で第3実施形態と異なる。この実施形態では、フランジを持たない金属カラー7が、ボア1の内壁に沿って露出するようにバルブ部4に取り付けられる。そして、金属カラー7の一端外周に接するようにダクト部5のフランジ5aとバルブ部4のフランジ4aとの間にヒータ6が挟み込まれたかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0048】
従って、この実施形態でも、基本的に第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、金属カラー7がフランジを持たない分だけ、金属カラー7の製造を簡略化することができる。
【0049】
[第5実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
図8に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6と金属カラー7の配置の点で第4実施形態と異なる。この実施形態では、フランジを持たない金属カラー7が、ボア1の内壁に沿って露出するようにダクト部5に取り付けられる。特に、この実施形態では、ダクト部5のボア1の内壁全体が金属カラー7により構成される。そして、金属カラー7の一端外周に接するように、ダクト部5のフランジ5aとバルブ部4のフランジ4aとの間にヒータ6が挟み込まれたかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0051】
従って、この実施形態でも、基本的に第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、ダクト部5のボア1の全体を、金属カラー7を介してヒータ6の熱により直接的に加熱することができ、ヒータ6による暖機効率を向上させることができる。
【0052】
[第6実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第6実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0053】
図9に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主として金属カラーを省略した点で前記各実施形態と異なる。すなわち、この実施形態では、ヒータ6が筒状に形成され、そのヒータ6がボア1の内壁に沿って露出するようにダクト部5に取り付けられる。特に、この実施形態では、ダクト部5のボア1の内壁全体がヒータ6により構成される。そして、ダクト部5のフランジ5aとバルブ部4のフランジ4aとの間の隙間からヒータ6のリード線8を外部へ導出するかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0054】
従って、この実施形態でも、基本的に第5実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、ダクト部5のボア1の全体をヒータ6により直接的に加熱することができ、ヒータ6による暖機効率を更に向上させることができる。更に、金属カラーを省略した分だけ全体構成を簡略化することができる。
【0055】
[第7実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第7実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0056】
図10に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6の配置の点で前記第6実施形態と異なる。すなわち、この実施形態では、ダクト部5を周溝5cを挟んだ二重管構造とし、その周溝5cに筒状のヒータ6が挿入されて取り付けられる。そして、ダクト部5のフランジ5aとバルブ部4のフランジ4aとの間の隙間からヒータ6のリード線8を外部へ導出するかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0057】
従って、この実施形態では、基本的に第6実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、ヒータ6がダクト部5の内部に収容されることから、ヒータ6の防水性を確保することができる。
【0058】
[第8実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第8実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0059】
図11に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6と金属カラー7の構成の点で第4実施形態と異なる。この実施形態では、フランジを持たない金属カラー7が、ボア1の内壁に沿って露出するようにバルブ部4及びダクト部5にわたって取り付けられる。そして、金属カラー7の一端部外周に接するようにダクト部5と金属カラー7との間にヒータ6が挟み込まれたかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0060】
従って、この実施形態でも、基本的に第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、金属カラー7が、バルブ部4及びダクト部5にわたってボア1の内壁に沿って露出するので、ヒータ6の熱をスロットルバルブ3の周囲の広範囲に伝達することができる。
【0061】
[第9実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第9実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0062】
図12に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主として金属カラー7の構成の点で第8実施形態と異なる。この実施形態では、金属カラー7が、ボア1の内壁に沿って露出するようにバルブ部4及びダクト部5にわたって取り付けられる。特に、この実施形態では、ダクト部5のボア1の内壁全体が金属カラー7により構成される。そして、金属カラー7の中央部外周に接するようにダクト部5と金属カラー7との間にヒータ6が挟み込まれたかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0063】
従って、この実施形態でも、基本的に第8実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、ダクト部5のボア1の全体とスロットルバルブ3の周囲とを、金属カラー7を介してヒータ6の熱により直接的に広範囲に加熱することができ、ヒータ6による暖機効率を向上させることができる。
【0064】
[第10実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第10実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0065】
図13に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6と金属カラー7の構成の点で前記1実施形態と異なる。この実施形態では、ヒータ6、金属カラー7及びリード線8が、ダクト部5の内部に一体的にインサート成形されて取り付けられる。金属カラー7は、短円筒状をなしてダクト部5の下部に埋め込まれる。ヒータ6は、金属カラー7の外周の一部に接して埋め込まれる。ヒータ6から延びるリード線8も、ダクト部5に埋め込まれる。そして、ダクト部5とバルブ部4が、互いにフランジ部5aとフランジ部4aを直に接合させて組み付けられる。
【0066】
従って、この実施形態でも、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、ヒータ6、金属カラー7及びリード線8がダクト部5のインサート成形されることから、それらの部材6〜8の防水性を向上させることができる。
【0067】
尚、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
【0068】
例えば、前記第1実施形態では、ヒータ6として円筒状をなすPTCヒータを使用したが、ヒータとして平板状のPTCヒータを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】ヒータ付きのスロットル装置を示す断面図。
【図2】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図3】ヒータ付きのスロットル装置を分解して示す断面図。
【図4】ヒータ無しのスロットル装置を示す断面図。
【図5】ヒータ付きのスロットル装置を分解して示す断面図。
【図6】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図7】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図8】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図9】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図10】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図11】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図12】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図13】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【符号の説明】
【0070】
1 ボア
2 スロットルボディ
3 スロットルバルブ
4 バルブ部
5 ダクト部
6 ヒータ
7 金属カラー(伝熱材)
9 ヒータ
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンの吸気通路に設けられるスロットル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、例えば、下記の特許文献1に記載の内燃機関用吸気制御装置が知られている。この装置は、樹脂製スロットルボディと、スロットルボディのボアを開閉するスロットルバルブとを備え、スロットルボディのボア内壁近傍にはスロットルバルブ近傍を加熱するためのヒータが埋設されている。
【0003】
【特許文献1】実開平3−17242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の装置では、ヒータがスロットルボディに埋設されていることから、最初からヒータを持ったヒータ付きのスロットルボディしか製造することができず、ヒータを持たないヒータ無しのスロットルボディが必要な場合には、ヒータ無しのスロットルボディを特別に製造しなければならなかった。すなわち、ヒータ無しのスロットルボディが必要な場合は、ヒータ付きのスロットルボディの他に、ヒータ無しのスロットルボディを別途製造しなければならなかった。このため、装置の設計工数が増えるばかりでなく、成形用金型の種類や数も増えることとなり、全体に製造コストが嵩むこととなった。
【0005】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ヒータの要否に合わせてヒータ付きのスロットル装置とヒータ無しのスロットル装置の何れをも製造することを可能としたスロットル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ボアを有する樹脂製スロットルボディと、ボアを開閉するためにスロットルボディに設けられたスロットルバルブとを備えたスロットル装置であって、スロットルボディを、スロットルバルブを含むバルブ部とスロットルバルブを含まないダクト部とに分割して形成すると共に、バルブ部とダクト部を互いに組み付け可能に設け、バルブ部及びダクト部の少なくとも一方にヒータを取り付け可能に設けたことを趣旨とする。
【0007】
上記発明の構成によれば、スロットルボディを、スロットルバルブを含むバルブ部とスロットルバルブを含まないダクト部とに分割して形成し、バルブ部とダクト部を互いに組み付け可能に設け、バルブ部及びダクト部の少なくとも一方にヒータを取り付け可能に設けたので、ダクト部とバルブ部を互いに組み付け、ヒータを取り付けることにより、ヒータ付きのスロットルボディを製造することができる。また、ヒータを取り付けずにダクト部とバルブ部を互いに組み付けることにより、ヒータ無しのスロットルボディを製造することができる。従って、ヒータ付きのスロットルボディ又はヒータ無しのスロットルボディを製造するために、それぞれ同じダクト部とバルブ部を使用することができる。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、バルブ部及びダクト部の少なくとも一方へヒータの熱を伝えるための伝熱材を設けたことを趣旨とする。
【0009】
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、ヒータの熱が伝熱材を介してバルブ部及びダクト部の少なくとも一方へ伝わり易くなる。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、スロットルバルブの上流側にヒータを設けたことを趣旨とする。
【0011】
上記発明の構成によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、スロットルバルブの上流側から侵入する水蒸気をヒータにより加熱することが可能となる。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、ヒータは、PTCヒータであることを趣旨とする。ここで、PTCヒータとは、「Positive Temperature Coefficient Heater」であり、ある温度(キュリー点)に達すると抵抗値の増大する正温度特性を持った感熱抵抗素子を発熱体に用いたヒータを意味する。温水式ヒータに比べて即熱性がある。
【0013】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加え、PTCヒータにより、即熱性をもってバルブ部が加熱される。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、ヒータは、電気抵抗線であることを趣旨とする。
【0015】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加え、電気抵抗線が使用されるので、ヒータに形状的自由度が得られる。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、ヒータは、円筒状コイルヒータであることを趣旨とする。
【0017】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加え、ヒータを広い範囲に配置することが可能となる。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、伝熱材は、前記スロットルボディより熱伝導率のよい材料であることを趣旨とする。
【0019】
上記発明の構成によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、伝熱材にスロットルボディより熱伝導率のよい材料が使用されるので、ヒータの熱が伝わり易くなる。
ここで、スロットルボディは樹脂製であるので、熱伝導率は「約0.6〜0.8×10-3(cal/cm.s.℃)」であり、伝熱材を、例えば金属とすると、熱伝導率は「約0.5〜0.9(cal/cm.s.℃)」となる。このため、伝熱材として金属を使用するのがよい。また、樹脂に伝熱材(金属等)を混入した熱伝導率の大きい樹脂材を使用することもできる。さらに、スロットルボディに使用する樹脂材と異なる種類の熱伝導率の大きい樹脂材を伝熱材に使用することもできる。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の発明において、バルブ部とダクト部を接着により結合したことを趣旨とする。
【0021】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至7の何れかに記載の発明の作用に加え、バルブ部とダクト部との組み付けが、接着により容易となる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、ヒータの要否に合わせてヒータ付きのスロットル装置とヒータ無しのスロットル装置の何れをも製造することができる。この結果、全体としてスロットル装置の製造コストを低減させることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、ヒータによる暖機を効率良く行うことができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、スロットルバルブの上流側から侵入する水蒸気の凍結を防止することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、ヒータによる暖機を更に効率良く行うことができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、ヒータをダクト部とバルブ部の両方にわたる広い範囲に配置することができ、ヒータによる暖機の効率向上に寄与する。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、ヒータによる暖機の効率向上に寄与する。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、ヒータによる暖機を効率良く行うことができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の何れかに記載の発明の効果に加え、バルブ部とダクト部の組み付けを比較的容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
[第1実施形態]
以下、本発明のスロットル装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1に、ヒータ付きのスロットル装置を断面図により示す。図2に、ヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。図3に、ヒータ付きのスロットル装置を分解して断面図により示す。図4に、ヒータ無しのスロットル装置を断面図により示す。
【0032】
図1に示すように、このスロットル装置は、ボア1を有する樹脂製スロットルボディ2と、ボア1を開閉するためにスロットルボディ2に設けられたスロットルバルブ3とを備える。スロットルバルブ3は、図示しない駆動機構により開閉するようになっている。このスロットル装置は、エンジンの吸気通路に設けられてエンジンの吸気量を調節するために使用される。この実施形態では、スロットルボディ2を構成する樹脂材として、例えば、「PPS」を使用することができる。
【0033】
図1〜3に示すように、樹脂製のスロットルボディ2は、スロットルバルブ3を含むバルブ部4と、スロットルバルブ3を含まないダクト部5とに分割して形成される。これらバルブ部4とダクト部5は、それぞれフランジ4a,5aを備え、それらフランジ4a,5aにて互いに接着により結合される。すなわち、バルブ部4とダクト部5は、フランジ4a,5aを接着して結合することで互いに組み付け可能に設けられる。また、ダクト部5には、それぞれ円筒状をなすヒータ6と金属カラー7が取り付けられる。すなわち、ダクト部5の接合面5bには、ヒータ6と金属カラー7を取り付けるための周溝5cが形成される。この周溝5cに金属カラー7とヒータ6が差し込まれて取り付けられる。ヒータ6は、周溝5cの中で、金属カラー7の外周面に取り付けられる。金属カラー7の下半分のスカート部7aは、ダクト部5から突出する。一方、バルブ部4の接合面4bには、ダクト部5の周溝5cに整合する周溝4cが形成される。この周溝4cには、金属カラー7のスカート部7aが挿入可能に設けられる。図1に示すように、金属カラー7は、取り付けられた状態で、スロットルバルブ3の周囲に配置される。金属カラー7は、例えば、アルミより構成され、本発明の伝熱材に相当する。また、この実施形態で、ヒータ6には、PTCヒータが使用される。
【0034】
図1,2に示すように、ヒータ6に設けられた給電用のリード線8は、両フランジ4a,5aの間から外部へ導出される。このリード線8を通じてヒータ6に通電することにより、ヒータ6が発熱する。ヒータ6の熱は、金属カラー7を介してダクト部5とバルブ部4に伝わる。このようにしてダクト部5及びバルブ部4が加熱されることで、スロットルバルブ3の近傍のボア1が暖機される。この暖機は、スロットルバルブ3の氷結対策として使用される。
【0035】
以上説明した本実施形態のスロットル装置の構成によれば、スロットルボディ2を、スロットルバルブ3を含むバルブ部4とスロットルバルブ3を含まないダクト部5に分割して形成し、バルブ部4とダクト部5を互いに組み付け可能に設け、ダクト部5にヒータ6を取り付け可能に、ダクト部5とバルブ部4に金属カラー7を取り付け可能に設けている。これにより、ダクト部5とバルブ部4を互いに組み付け、ヒータ6と金属カラー7を取り付けることにより、図1に示すヒータ付きのスロットルボディ2を製造することができる。また、ヒータ6と金属カラー7を取り付けずにダクト部5とバルブ部4を互いに組み付けることで、図4に示すヒータ無しのスロットルボディ2を製造することができる。従って、ヒータ付きのスロットルボディ2又はヒータ無しのスロットルボディ2を製造するために、それぞれ同じダクト部5とバルブ部4を使用することができる。このため、ヒータ6の要否に合わせて、図1に示すヒータ付きのスロットル装置と、図4に示すヒータ無しのスロットル装置の何れをも、同じダクト部5とバルブ4を使用して製造することができる。このため、スロットル装置の設計工数が増えることがなく、成形用金型の種類や数も増えることがなく、全体としてスロットル装置の製造コストを低減させることができる。
【0036】
この実施形態では、ヒータ6に加えて金属カラー7を設けているので、ヒータ6の熱が金属カラー7を介してバルブ部4に伝わり易くなる。この意味で、ヒータ6による暖機を効率良く行うことができる。
【0037】
また、この実施形態では、ヒータ6としてPTCヒータが使用されるので、比較的に即熱性をもってダクト部5とバルブ部4が加熱されることになる。この意味でも、ヒータ6による暖機を効率良く行うことができる。
【0038】
また、この実施形態では、バルブ部4とダクト部5を接着により結合しているので、両者4,5の組み付けを比較的容易に行うことができる。
【0039】
また、この実施形態では、金属カラー7が金属であることから、樹脂製のスロットルボディ2にあってヒータ6の熱がより伝わり易くなる。この意味でも、ヒータ6による暖機を効率良く行うことができる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。尚、以下に説明する各実施形態(本実施形態を含む)で、第1実施形態と同一部材については同一の符号を付して説明を省略し、以下には異なった点を中心に説明する。
【0041】
図5に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置を分解して断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ9の構成の点で第1実施形態と異なる。この実施形態では、ヒータ9として、電気抵抗線よりなるコイルヒータが使用される。ヒータ9は、金属カラー7の外周に波状に巻き付けられる。ヒータ9のリード線8は、ダクト部5のフランジ5aから外部に導出される。この実施形態において、その他の構成は、基本的に第1実施形態のそれと同じである。
【0042】
従って、この実施形態でも、基本的に第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、この実施形態では、ヒータ9に電気抵抗線よりなるコイルヒータが使用されるので、ヒータ9に形状的な自由度が得られることとなる。このため、この実施形態のように、ヒータ9を金属カラー7の外周にて、ダクト部5とバルブ部4の両方にわたる広い範囲に配置することができる。このことは、ヒータ9による暖機の効率向上に寄与する。
【0043】
[第3実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
図6に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6と金属カラー7の構成の点で第1実施形態と異なる。この実施形態では、フランジ7bを有する金属カラー7が、ボア1の内壁に沿って露出するようにバルブ部4に取り付けられる。金属カラー7のフランジ7bは、バルブ部4のフランジ4aに接合される。この状態で、金属カラー7のフランジ7bと、ダクト部5のフランジ5aとの間にリング状のヒータ6が挟み込まれたかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0045】
従って、この実施形態でも、基本的に第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、この実施形態では、金属カラー7がボア1の内壁に沿って露出するので、ヒータ6から金属カラー7に伝わる熱によりボア1の内壁を直接的に加熱することができる。更に、この実施形態では、ダクト部5及びバルブ部4に、金属カラー7やヒータ6を取り付けるための周溝を設ける必要がない。
【0046】
[第4実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
図7に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6と金属カラー7の構成の点で第3実施形態と異なる。この実施形態では、フランジを持たない金属カラー7が、ボア1の内壁に沿って露出するようにバルブ部4に取り付けられる。そして、金属カラー7の一端外周に接するようにダクト部5のフランジ5aとバルブ部4のフランジ4aとの間にヒータ6が挟み込まれたかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0048】
従って、この実施形態でも、基本的に第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、金属カラー7がフランジを持たない分だけ、金属カラー7の製造を簡略化することができる。
【0049】
[第5実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
図8に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6と金属カラー7の配置の点で第4実施形態と異なる。この実施形態では、フランジを持たない金属カラー7が、ボア1の内壁に沿って露出するようにダクト部5に取り付けられる。特に、この実施形態では、ダクト部5のボア1の内壁全体が金属カラー7により構成される。そして、金属カラー7の一端外周に接するように、ダクト部5のフランジ5aとバルブ部4のフランジ4aとの間にヒータ6が挟み込まれたかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0051】
従って、この実施形態でも、基本的に第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、ダクト部5のボア1の全体を、金属カラー7を介してヒータ6の熱により直接的に加熱することができ、ヒータ6による暖機効率を向上させることができる。
【0052】
[第6実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第6実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0053】
図9に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主として金属カラーを省略した点で前記各実施形態と異なる。すなわち、この実施形態では、ヒータ6が筒状に形成され、そのヒータ6がボア1の内壁に沿って露出するようにダクト部5に取り付けられる。特に、この実施形態では、ダクト部5のボア1の内壁全体がヒータ6により構成される。そして、ダクト部5のフランジ5aとバルブ部4のフランジ4aとの間の隙間からヒータ6のリード線8を外部へ導出するかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0054】
従って、この実施形態でも、基本的に第5実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、ダクト部5のボア1の全体をヒータ6により直接的に加熱することができ、ヒータ6による暖機効率を更に向上させることができる。更に、金属カラーを省略した分だけ全体構成を簡略化することができる。
【0055】
[第7実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第7実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0056】
図10に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6の配置の点で前記第6実施形態と異なる。すなわち、この実施形態では、ダクト部5を周溝5cを挟んだ二重管構造とし、その周溝5cに筒状のヒータ6が挿入されて取り付けられる。そして、ダクト部5のフランジ5aとバルブ部4のフランジ4aとの間の隙間からヒータ6のリード線8を外部へ導出するかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0057】
従って、この実施形態では、基本的に第6実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、ヒータ6がダクト部5の内部に収容されることから、ヒータ6の防水性を確保することができる。
【0058】
[第8実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第8実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0059】
図11に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6と金属カラー7の構成の点で第4実施形態と異なる。この実施形態では、フランジを持たない金属カラー7が、ボア1の内壁に沿って露出するようにバルブ部4及びダクト部5にわたって取り付けられる。そして、金属カラー7の一端部外周に接するようにダクト部5と金属カラー7との間にヒータ6が挟み込まれたかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0060】
従って、この実施形態でも、基本的に第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、金属カラー7が、バルブ部4及びダクト部5にわたってボア1の内壁に沿って露出するので、ヒータ6の熱をスロットルバルブ3の周囲の広範囲に伝達することができる。
【0061】
[第9実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第9実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0062】
図12に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主として金属カラー7の構成の点で第8実施形態と異なる。この実施形態では、金属カラー7が、ボア1の内壁に沿って露出するようにバルブ部4及びダクト部5にわたって取り付けられる。特に、この実施形態では、ダクト部5のボア1の内壁全体が金属カラー7により構成される。そして、金属カラー7の中央部外周に接するようにダクト部5と金属カラー7との間にヒータ6が挟み込まれたかたちでダクト部5とバルブ部4とが互いに組み付けられる。
【0063】
従って、この実施形態でも、基本的に第8実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、ダクト部5のボア1の全体とスロットルバルブ3の周囲とを、金属カラー7を介してヒータ6の熱により直接的に広範囲に加熱することができ、ヒータ6による暖機効率を向上させることができる。
【0064】
[第10実施形態]
次に、本発明のスロットル装置を具体化した第10実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0065】
図13に、本実施形態のヒータ付きのスロットル装置の一部を断面図により示す。この実施形態では、主としてヒータ6と金属カラー7の構成の点で前記1実施形態と異なる。この実施形態では、ヒータ6、金属カラー7及びリード線8が、ダクト部5の内部に一体的にインサート成形されて取り付けられる。金属カラー7は、短円筒状をなしてダクト部5の下部に埋め込まれる。ヒータ6は、金属カラー7の外周の一部に接して埋め込まれる。ヒータ6から延びるリード線8も、ダクト部5に埋め込まれる。そして、ダクト部5とバルブ部4が、互いにフランジ部5aとフランジ部4aを直に接合させて組み付けられる。
【0066】
従って、この実施形態でも、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、ヒータ6、金属カラー7及びリード線8がダクト部5のインサート成形されることから、それらの部材6〜8の防水性を向上させることができる。
【0067】
尚、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
【0068】
例えば、前記第1実施形態では、ヒータ6として円筒状をなすPTCヒータを使用したが、ヒータとして平板状のPTCヒータを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】ヒータ付きのスロットル装置を示す断面図。
【図2】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図3】ヒータ付きのスロットル装置を分解して示す断面図。
【図4】ヒータ無しのスロットル装置を示す断面図。
【図5】ヒータ付きのスロットル装置を分解して示す断面図。
【図6】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図7】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図8】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図9】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図10】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図11】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図12】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【図13】ヒータ付きのスロットル装置の一部を示す断面図。
【符号の説明】
【0070】
1 ボア
2 スロットルボディ
3 スロットルバルブ
4 バルブ部
5 ダクト部
6 ヒータ
7 金属カラー(伝熱材)
9 ヒータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボアを有する樹脂製スロットルボディと、前記ボアを開閉するために前記スロットルボディに設けられたスロットルバルブとを備えたスロットル装置であって、
前記スロットルボディを、前記スロットルバルブを含むバルブ部と前記スロットルバルブを含まないダクト部とに分割して形成すると共に、前記バルブ部と前記ダクト部を互いに組み付け可能に設け、前記バルブ部及び前記ダクト部の少なくとも一方にヒータを取り付け可能に設けたことを特徴とするスロットル装置。
【請求項2】
前記バルブ部及び前記ダクト部の少なくとも一方へ前記ヒータの熱を伝えるための伝熱材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項3】
前記スロットルバルブの上流側に前記ヒータを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスロットル装置。
【請求項4】
前記ヒータは、PTCヒータであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のスロットル装置。
【請求項5】
前記ヒータは、電気抵抗線であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のスロットル装置。
【請求項6】
前記ヒータは、円筒状コイルヒータであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のスロットル装置。
【請求項7】
前記伝熱材は、前記スロットルボディより熱伝導率のよい材料であることを特徴とする請求項2に記載のスロットル装置。
【請求項8】
前記バルブ部と前記ダクト部を接着により結合したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のスロットル装置。
【請求項1】
ボアを有する樹脂製スロットルボディと、前記ボアを開閉するために前記スロットルボディに設けられたスロットルバルブとを備えたスロットル装置であって、
前記スロットルボディを、前記スロットルバルブを含むバルブ部と前記スロットルバルブを含まないダクト部とに分割して形成すると共に、前記バルブ部と前記ダクト部を互いに組み付け可能に設け、前記バルブ部及び前記ダクト部の少なくとも一方にヒータを取り付け可能に設けたことを特徴とするスロットル装置。
【請求項2】
前記バルブ部及び前記ダクト部の少なくとも一方へ前記ヒータの熱を伝えるための伝熱材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項3】
前記スロットルバルブの上流側に前記ヒータを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスロットル装置。
【請求項4】
前記ヒータは、PTCヒータであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のスロットル装置。
【請求項5】
前記ヒータは、電気抵抗線であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のスロットル装置。
【請求項6】
前記ヒータは、円筒状コイルヒータであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のスロットル装置。
【請求項7】
前記伝熱材は、前記スロットルボディより熱伝導率のよい材料であることを特徴とする請求項2に記載のスロットル装置。
【請求項8】
前記バルブ部と前記ダクト部を接着により結合したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のスロットル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−63959(P2008−63959A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240046(P2006−240046)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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