説明

スーパー導電性ナノ粒子、スーパー導電性ナノ粒子の粉末及びこれを具備したリチウム電池

【課題】スーパー導電性ナノ粒子、及びこれを具備したリチウム電池を提供する。
【解決手段】6個のカーボン原子が六角形状に連結されてなる環が、互いに縮合されて一平面上に配列されている多環ナノシートn枚が、一平面に対して垂直方向に沿って積層された構造を有し、nは2〜100の整数であり、n枚の多環ナノシートのカーボンのうち第1カーボンと第2カーボンとをL≧Lになるように選択し(Lは、第1カーボンと第2カーボンとの間の距離、Lは、第1カーボン及び第2カーボンを除外した任意の第3カーボンと、第1カーボン,第2カーボン及び第3カーボンを除外した任意の第4カーボンとの間の距離)、第1カーボンを三次元座標系の原点A(0,0,0)に位置させるとき、第2カーボンは、座標B(a,b,c)を有し、a及びbは互いに独立して10μm以下であり、cは100nm以下であるスーパー導電性ナノ粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池用材料及びこれを含んだリチウム電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯用小型電子機器の電源として脚光を浴びているリチウム二次電池は、有機電解液を使用することによって、既存のアルカリ水溶液を使用した電池より2倍以上の高い放電電圧を示し、その結果、高いエネルギー密度を示すことができる。
【0003】
リチウム二次電池の正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiMn、LiNi1−xCo(0<x<1)などのように、リチウムイオンのインターカレーションが可能な構造を有するリチウムと遷移金属とからなる酸化物を使用できる。
【0004】
負極活物質としては、リチウムのインターカレーション/デインターカレーションの可能な人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボンを含んだ多様な形態の炭素系材料、及びSiのような非炭素系物質に係わる研究がなされている。このような非炭素系物質は、黒鉛に比べて容量密度が10倍以上であり、非常に高容量を示すことができるが、リチウム充放電時に、体積膨脹収縮によって、サイクル寿命特性が低下しうる。
【0005】
一方、前述のような正極及び/または負極に導電性を提供するために、導電材が使われうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、改善された容量特性及び充放電効率を提供できるスーパー導電性ナノ粒子を提供するものである。
【0007】
本発明はまた、改善された容量特性及び充放電効率を提供できるスーパー導電性ナノ粒子粉末を提供するものである。
【0008】
本発明はまた、前記スーパー導電性ナノ粒子粉末を含み、優秀な容量特性及び充放電効率を有するリチウム電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、6個のカーボン原子が六角形状に連結されてなる環が、互いに縮合されて一平面上に配列されている多環ナノシート(polycyclic nano−sheet)n枚が、前記一平面に対して垂直方向に沿って積層された構造を有するスーパー導電性ナノ粒子であって、前記nは、2ないし100の整数であり、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち第1カーボンと、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち第2カーボンとをL≧Lになるように選択し(ここで、前記Lは、前記第1カーボンと前記第2カーボンとの間の距離を示し、前記Lは、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち前記第1カーボン及び第2カーボンを除外した任意の第3カーボンと、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち、前記第1カーボン,第2カーボン及び第3カーボンを除外した任意の第4カーボンとの間の距離を示す)、前記第1カーボンをx軸,y軸及びz軸を有する三次元座標系の原点A(0,0,0)に位置させるとき、前記第2カーボンは、座標B(a,b,c)を有し、前記a及びbは互いに独立して、10μm以下であり、前記cは、100nm以下であるスーパー導電性ナノ粒子を提供する。
【0010】
前記多環ナノシートの隣接カーボンは、互いにsp結合によって連結されうる。
【0011】
前記多環ナノシートそれぞれの厚みは、カーボン原子直径±1nmの範囲でありうる。
【0012】
前記nは、2ないし10の整数でありうる。
【0013】
前記cは、カーボン原子直径の50倍±10nmの範囲でありうる。
【0014】
前記cは、0.1nmないし50nmでありうる。
【0015】
本発明の他の側面は、6個のカーボン原子が六角形状に連結されてなる環が、互いに縮合されて一平面上に配列されている多環ナノシートn枚が、前記一平面に対して垂直方向に沿って積層された構造を有するスーパー導電性ナノ粒子複数個を含んだスーパー導電性ナノ粒子粉末であって、前記nは、2ないし100の整数であり、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち第1カーボンと、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち第2カーボンとをL≧Lになるように選択し(ここで、前記Lは、前記第1カーボンと前記第2カーボンとの間の距離を示し、前記Lは、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち、前記第1カーボン及び第2カーボンを除外した任意の第3カーボンと、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち、前記第1カーボン,第2カーボン及び第3カーボンを除外した任意の第4カーボンとの間の距離を示す)、前記第1カーボンをx軸,y軸及びz軸を有する三次元座標系の原点A(0,0,0)に位置させるとき、前記第2カーボンが座標B(a,b,c)を有し、前記a及びbのd50は互いに独立して、10μm以下であり、前記cのd50は、100nm以下であるスーパー導電性ナノ粒子粉末を提供する。
【0016】
前記cのd50は、カーボン原子直径の50倍±10nmの範囲でありうる。
【0017】
前記cのd50は0.1nmないし50nmでありうる。
【0018】
本発明の他の側面は、正極活物質を含んだ正極と、負極活物質を含んだ負極と、電解液とを含んだリチウム電池であって、前記正極及び前記負極のうち一つ以上が導電材をさらに含み、前記導電材が前記スーパー導電性ナノ粒子粉末を含んだリチウム電池を提供する。
【0019】
前記導電材は、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛、銅粉末、ニッケル粉末、アルミニウム粉末、銀粉末及びポリフェニレンからなる群から選択された一つ以上の第1物質をさらに含むことができる。
【0020】
前記正極活物質または負極活物質がチタン酸リチウムでありうる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のスーパー導電性ナノ粒子及びスーパー導電性ナノ粒子粉末は、優秀な導電性を有し、これを採用したリチウム電池の容量特性及び充放電効率が改善されうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一具現例によるスーパー導電性ナノ粒子を概略的に図示した図面である。
【図2】図1で、Tで表示された点線の丸部分を分子レベルに拡大した概略図である。
【図3】図1で、Tで表示された点線の丸部分を拡大した概略図である。
【図4】図1で、A位置の第1カーボンを、x軸,y軸及びz軸を有する三次元座標系の原点A(0,0,0)に位置させるとき、図1で、B位置の第2カーボンが座標B(a,b,c)を有することを表した図面であり、原点Aと座標Bとの間の距離が最大距離になる仮想の正六面体を共に図示した図面である。
【図5】本発明の一具現例によるリチウム電池の分解斜視図である。
【図6A】製造例1のスーパー導電性ナノ粒子粉末を観察したSEM(scanning electron microscope)写真である。
【図6B】製造例1のスーパー導電性ナノ粒子を観察したTEM(transmission electron microscope))写真である。
【図7】製造例1のスーパー導電性ナノ粒子粉末のサイズ分散度の結果である。
【図8】実施例1及び比較例1の電池の容量特性を示したグラフである。
【図9】実施例1及び比較例1の電池の充放電効率を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施例について詳細に説明する。
【0024】
図1は、一具現例によるスーパー導電性ナノ粒子10の概略図である。
【0025】
前記スーパー導電性ナノ粒子10は、不規則な形態を有するが、基本的に「板状」の形態を有する。前記スーパー導電性ナノ粒子10の形態は、「板状」を基本とするが、反ったり、末端部がロールされるなど、多様な変形形態を有することができる。前記スーパー導電性ナノ粒子10の形態が、基本的に「板状」であるということは、後述する図1ないし図4を参照したスーパー導電性ナノ粒子10についての説明及び図6A及び図6Bのスーパー導電性ナノ粒子粉末、及びスーパー導電性ナノ粒子を観察した写真から容易に理解することができるであろう。
【0026】
前記スーパー導電性ナノ粒子10は、6個のカーボン原子が六角形状に連結されてなる環が、互いに縮合されて一平面上に配列されている多環ナノシート(polycyclic nano−sheet)n枚が、前記一平面に対して垂直方向に沿って積層された構造を有する。
【0027】
本明細書で、「6個のカーボン原子が六角形状に連結されてなる環」という用語は、六角形環であって、前記六角形の各頂点には、カーボンが位置した環を指すものである。以下、略語として、「六員(6−membered)カーボン環」ともいう。前記多環ナノシートは、複数個の六員カーボン環を有するが、前記複数個の六員カーボン環は互いに縮合され(fused)、蜂の巣状をなしつつ一平面上に配列されている。ここで、「一平面上に配列されている」という用語は、複数個の六員カーボン環が左右に縮合されて配列及び延長されていることを指すものであり、上下に縮合されて配列及び延長されているものは、排除されることを指すのである。前記「6個のカーボン原子が六角形状に連結されてなる環が、互いに縮合されて一平面上に配列されている」というのは、図1で、Tで表示された点線円の部分を分子レベルに拡大した図2を参照すれば、さらに容易に分かるであろう。図2によれば、前記複数個の六員カーボン環は、互いに縮合されており、六員カーボン環間には、別途の空間がなく、蜂の巣状をなしており、これは左右方向に配列及び延長されている。図2で、それぞれの六員カーボン環の頂点にはカーボンが存在し、これは、当業者に容易に分かるであろう。
【0028】
前記多環ナノシートのカーボンのうち隣接したカーボンは、互いにsp結合によって連結されうる。これによって、前記六員カーボン環内の共鳴構造(resonance)が形成され、電子の移動がさらに容易になりうる。
【0029】
前記多環ナノシートは、複数個の六員カーボン環が、互いに縮合されて一平面上に配列された構造を有するので、例えば、前記多環ナノシートの厚みは、カーボン原子直径±1nmの範囲でありうる。ここで、前記多環ナノシートの厚みが、カーボン原子直径の「±1nm」の範囲を有するということは、前記多環ナノシートが反ったり、末端部がロールされた形態を有することがあり、部分的に欠損されうることを反映したものである。
【0030】
前記スーパー導電性ナノ粒子10は、前述のような多環ナノシートn枚が積層された構造を有する。ここで、前記n枚の多環ナノシートは、前記多環ナノシートの複数個の六員カーボン環が、互いに縮合されて配列されている一平面に対して垂直方向に沿って積層されている。
【0031】
前述のところは、図1のTで表示された点線の丸部分を拡大図示した図3及び図2を参照しつつ、さらに容易に分かるであろう。前記n枚の多環ナノシートは、積層された順序によって、第1多環ナノシート、第2多環ナノシート、第3多環ナノシート、…、第n−2多環ナノシート、第n−1多環ナノシート及び第n多環ナノシートと表示されうる。図1のスーパー導電性ナノ粒子10は、nが7であるが、図3によれば、前記スーパー導電性ナノ粒子10は、第1多環ナノシート21、第2多環ナノシート22、第3多環ナノシート23、第4多環ナノシート24、第5多環ナノシート25、第6多環ナノシート26及び第7多環ナノシート27が積層された構造を有することが分かる。ここで、前記第1多環ナノシート21ないし前記第7多環ナノシート27が積層された方向は、図2に図示された複数個の六員カーボン環が、互いに縮合されて配列された一平面の方向である「左−右」方向に対して垂直である「上−下」方向であることが分かる。
【0032】
前記nは、2ないし100の整数、例えば、2ないし80の整数、例えば、2ないし70の整数、例えば、2ないし40の整数、具体的には、2ないし20の整数、さらに具体的には、2ないし10の整数でありうる。
【0033】
前記スーパー導電性ナノ粒子10で、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち第1カーボンと、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち第2カーボンとを、L≧Lになるように選択し、前記第1カーボンを、x軸,y軸及びz軸を有する三次元座標系の原点A(0,0,0)に位置させるとき、前記第2カーボンは、座標B(a,b,c)を有し、前記a及びbは互いに独立して、10μm以下であり、前記cは、100nm以下でありうる。ここで、前記Lは、前記第1カーボンと前記第2カーボンとの間の距離を示し、前記Lは、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち、前記第1カーボン及び第2カーボンを除外した任意の第3カーボンと、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち、前記第1カーボン,第2カーボン及び第3カーボンを除外した任意の第4カーボンとの間の距離を示す。すなわち、前記第1カーボン及び前記第2カーボンは、n枚の多環ナノシートに含まれたカーボンのうち、カーボン間の距離が最長になるように選択された2個のカーボンであると理解することができる。
【0034】
例えば、図1に図示されたスーパー導電性ナノ粒子10の第1カーボンは、A位置に存在し、第2カーボンは、B位置に存在しうる。図4は、前述のように選択された第1カーボンを、x軸,y軸及びz軸を有する三次元座標系の原点A(0,0,0)に位置させるとき、前記第2カーボンが、座標B(a,b,c)を有することを概略的に説明した図面であり、便宜上、原点Aと座標Bとの間の距離が最大になる仮想の正六面体も共に図示したものである。従って、前記「a」、「b」及び「c」は、それぞれ図4に図示された仮想の正六面体の横、縦及び高さに対応するが、前記「a」、「b」及び「c」は、図1に図示されたスーパー導電性ナノ粒子10がコンパクトに込められた仮想の正六面体の横、縦及び高さとも解釈できる。
【0035】
前記a及びbは互いに独立して、10μm以下、例えば、1μmないし10μmでありうる。
【0036】
前記cは、カーボン原子直径の50倍±10nmの範囲でありうる。前記「カーボン原子直径の50倍±10nm」で「カーボン原子直径の50倍」は、前記スーパー導電性ナノ粒子10が多環ナノシートを最大50枚まで含むことができることを反映したものであり、前記「カーボン原子直径の50倍±10nm」で「±10nm」は、前記スーパー導電性ナノ粒子10が反ったり、末端部がロールされたりする形態を有することがあり、部分的に欠損されうることを反映したものである。
【0037】
前記cは、100nm以下、例えば、0.1nmないし100nm、具体的には、0.1nmないし90nm、さらに具体的には、0.1nmないし50nmでありうる。例えば、前記cは、0.1nmないし20nmであるが、これに限定されるものではない。
【0038】
前記スーパー導電性ナノ粒子10のa,b及びcが前述のような範囲を満足することにより、特定理論に限定されようとするものではないが、電子などの伝達が容易になって優秀な導電性を有することができる。
【0039】
前記スーパー導電性ナノ粒子粉末は、複数個の互いに個別的なスーパー導電性ナノ粒子を含む。前記スーパー導電性ナノ粒子粉末に含まれたそれぞれのスーパー導電性ナノ粒子についての説明は、前述のところを参照する。
【0040】
前記スーパー導電性ナノ粒子粉末に含まれた複数個のスーパー導電性ナノ粒子の形態及びサイズは、互いに異なる。従って、前記スーパー導電性ナノ粒子粉末の定義は、前述のようなそれぞれのスーパー導電性ナノ粒子についての説明、及びスーパー導電性ナノ粒子粉末に対して行ったサイズ分散度測定に基いてよい。例えば、前記スーパー導電性ナノ粒子粉末は、前記それぞれのスーパー導電性ナノ粒子について定義された「a」、「b」及び「c」を有するが、前記a,b及びcは、それらのd50として定義されうる。すなわち、前記スーパー導電性ナノ粒子粉末のサイズ測定は粉末のd50を測定することによって行われるが、粉末のa、b、及びcのd50は粒子のa、b、及びcと同じ範囲を有する。前記d50の定義は、当業者に容易に分かるであろう。
【0041】
前記スーパー導電性ナノ粒子粉末のa及びbのd50は互いに独立して、10μm以下、例えば、1μmないし10μmでありうる。
【0042】
前記スーパー導電性ナノ粒子粉末のcのd50は、カーボン原子直径の50倍±10nmの範囲でありうる。前記「カーボン原子直径の50倍±10nm」における「カーボン原子直径の50倍」は、前記スーパー導電性ナノ粒子粉末に含まれたそれぞれのスーパー導電性ナノ粒子が多環ナノシートを最大50枚まで含むことができることを反映したものであり、前記「カーボン原子直径の50倍±10nm」における「±10nm」は、前記スーパー導電性ナノ粒子粉末に含まれたそれぞれのスーパー導電性ナノ粒子が反ったり、末端部がロールされたりする形態を有することがあり、部分的に欠損されうることを反映したものである。
【0043】
前記スーパー導電性ナノ粒子粉末のcのd50は、100nm以下、例えば、0.1nmないし100nm、具体的には、0.1nmないし90nm、さらに具体的には、0.1nmないし50nmでありうる。例えば、前記cのd50は、0.1nmないし20nmであるが、これに限定されるものではない。
【0044】
前述のようなスーパー導電性ナノ粒子粉末の導電性は、例えば、前記スーパー導電性ナノ粒子粉末2.5g/ccを基準に700ないし1,500S/cm、具体的には、1,000ないし1,200S/cmでありうるが、これに限定されるものではない。前述のような導電性範囲は、リチウム電池用導電材として使用するのに適している。
【0045】
前述のようなスーパー導電性ナノ粒子粉末は、黒鉛を出発物質として使用して製造できる。前記スーパー導電性ナノ粒子粉末の製造方法の一例は、黒鉛を膨脹させる段階と、前記膨脹された黒鉛に溶媒を追加した後、前記溶媒中で膨脹された黒鉛を粉砕する段階と、これから収得した粉砕物から溶媒を除去する段階とを含むことができる。これについてさらに詳細に説明すれば、下記の通りである。
【0046】
まず、黒鉛を加熱して膨脹させた後、これから発生したガスを除去する。ここで、出発物質として膨脹黒鉛を使用できるが、これに限定されるものではない。黒鉛膨脹のための温度は、例えば、400℃ないし600℃であり、熱処理時間は、30分ないし2時間であるが、これに限定されるものではない。前記熱処理温度の範囲及び時間を満足する場合、カーボン間の結合が実質的に損傷せずに、前述のような「c」または「cのd50」範囲を満足するスーパー導電性ナノ粒子粉末を得るのに十分なほどに黒鉛が膨脹されうる。
【0047】
この後、選択的に、黒鉛膨脹時に発生したガスを除去できる。前記ガスは、黒鉛に存在する不純物(例えば、カーボン以外の原子、分子など)が酸素などと結合して生成された酸化物でありうる。例えば、前記ガスは、SOであるが、これに限定されるものではない。前記黒鉛膨脹の段階によって、黒鉛に存在する不純物が焼成されて除去される効果を得ることができるので、スーパー導電性ナノ粒子粉末の純度が向上しうる。
【0048】
この後、膨脹された黒鉛に溶媒を追加し、溶媒中で膨脹された黒鉛を粉砕する。前記溶媒としては、膨脹された黒鉛と実質的に反応せずにフロー性を提供できる物質が使われうる。前記溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、エタノール)などが使われうるが、これに限定されるものではない。
【0049】
溶媒中に含まれた膨脹された黒鉛を粉砕する方法としては、ホモゲナイザ(homogenizer)を利用する方法、マイクロフルイダイザ(micro fluidizer)を利用する方法など、多様な方法を利用でき、前記粉砕工程を数回行え、粉砕方法を異ならせて2回以上行える。一方、膨脹された黒鉛の粉砕前、膨脹された黒鉛と任意の酸とを混合できるなど、多様な変形が可能である。例えば、マイクロフルイダイザを利用した粉砕工程の反復回数によって、前記スーパー導電性ナノ粒子のa及び/またはbが制御されうるが、これに限定されるものではない。
【0050】
その次に、前記溶媒を除去してスーパー導電性ナノ粒子粉末を収得する。溶媒除去は、溶媒の沸点のような物性を考慮した多様な方法が利用されうるが、例えば、粉砕結果物を濾過及び洗浄した後、80℃下で熱処理できるなど、多様な方法が利用されうる。
【0051】
他の側面によれば、正極活物質を含んだ正極と、負極活物質を含んだ負極と、電解液とを含んだリチウム電池であって、前記正極及び前記負極のうち一つ以上が導電材をさらに含み、前記導電材が前述のようなスーパー導電性ナノ粒子粉末を含んだリチウム電池が提供される。前記スーパー導電性ナノ粒子粉末は、優秀な導電性を提供でき、前記リチウム電池は、容量特性及び充放電効率が改善されうる。
【0052】
前記スーパー導電性ナノ粒子粉末は、前記正極活物質及び/または負極活物質と単に混合されていたり、前記正極活物質及び/または負極活物質の表面にコーティング(例えば、前記正極活物質及び/または負極活物質の表面の一部または全面にコーティングされうる)されうるなど、多様な形態で正極活物質層及び/または負極活物質層が存在しうる。
【0053】
前記導電材は、前述のようなスーパー導電性ナノ粒子粉末以外に、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛、銅粉末、ニッケル粉末、アルミニウム粉末、銀粉末及びポリフェニレンからなる群から選択された一つ以上の第1物質をさらに含むことができる。
【0054】
前記導電材に、前記第1物質がさらに含まれる場合、前記第1物質:スーパー導電性ナノ粒子粉末の重量比は、1:10ないし10:1でありうる。前記第1物質:スーパー導電性ナノ粒子粉末の重量比は、前述のような範囲内で、達成しようとするリチウム電池の特性を考慮して適切に選択されうる。
【0055】
例えば、前記導電材は、カーボンブラックをさらに含むことができ、カーボンブラック:前記スーパー導電性ナノ粒子粉末の重量比は、1:10ないし10:1、例えば7:3ないし3:7、具体的には、6:4でありうる。
【0056】
前記正極は、集電体及びこの集電体上に形成される正極活物質層を含むことができる。前記正極活物質層を形成するための正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーション(intercalation)及びデインターカレーション(deintercalation)の可能な化合物(リチウム化インターカレーション化合物)を使用できる。具体的な例としては、下記化学式のうち、いずれか一つで表現される化合物を挙げることができる。
【0057】
Li1−b(前記式で、0.95≦a≦1.1及び0≦b≦0.5である);Li1−b2−c(前記式で、0.95≦a≦1.1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE2−b4−c(前記式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiNi1−b−cCoα(前記式で、0.95≦a≦1.1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1−b−cCo2−αα(前記式で、0.95≦a≦1.1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1−b−cCo2−α(前記式で、0.95≦a≦1.1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1−b−cMnα(前記式で、0.95≦a≦1.1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1−b−cMn2−αα(前記式で、0.95≦a≦1.1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1−b−cMn2−α(前記式で、0.95≦a≦1.1、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi(前記式で、0.90≦a≦1.1、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMnGeO(前記式で、0.90≦a≦1.1、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0≦e≦0.1である);LiNiG(前記式で、0.90≦a≦1.1、0.001≦b≦0.1である);LiCoG(前記式で、0.90≦a≦1.1、0.001≦b≦0.1である);LiMnG(前記式で、0.90≦a≦1.1、0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式で、0.90≦a≦1.1、0≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiZO;LiNiVO;Li(3−f)(PO(0≦f≦2);Li(3−f)Fe(PO(0≦f≦2);LiFePO;チタン酸リチウム。
【0058】
前記化学式において、Aは、Ni,Co,Mn及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Xは、Al,Ni,Co,Mn,Cr,Fe,Mg,Sr,V,希土類元素及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Dは、O,F,S,P及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Eは、Co,Mn及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Mは、F,S,P及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Gは、Al,Cr,Mn,Fe,Mg,La,Ce,Sr,V及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Qは、Ti,Mo,Mn及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Zは、Cr,V,Fe,Sc,Y及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Jは、V,Cr,Mn,Co,Ni,Cu及びそれらの組み合わせからなる群から選択されうるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
例えば、前記正極活物質は、チタン酸リチウムでありうる。
【0060】
前記チタン酸リチウムは、結晶構造によって、スピネル(spinel)型チタン酸リチウム、アナターゼ(anatase)型チタン酸リチウム、ラムズデライト(ramsdellite)型チタン酸リチウムなどを含むことができる。
【0061】
具体的には、前記正極活物質は、Li4−xTi12(0≦x≦3)で表示されうる。例えば、前記正極活物質は、LiTi12であるが、これに限定されるものではない。
【0062】
または、前記正極活物質の具体例としては、LiNiCoMn(前記式で、0.90≦a≦1.1、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、e=0であり、例えば、a=1、b=0.5、c=0.2、d=0.3、e=0である)、LiMnなどが使われうるが、これらに制限されるものではない。
【0063】
一方、前記正極として、リチウム電極を使用できるが、これをハーフセルという。
【0064】
もちろん、この化合物の表面にコーティング層を有するものも使用でき、または、前記化合物とコーティング層とを有する化合物を混合して使用することもできる。このコーティング層は、コーティング元素の酸化物、コーティング元素の水酸化物、コーティング元素のオキシ水酸化物、コーティング元素のオキシカーボネート及びコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つのコーティング元素化合物を含むことができる。それらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質でありうる。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはそれらの混合物を使用できる。
【0065】
前記コーティング層の形成工程は、前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法、例えば、スプレーコーティング法、浸漬法などでコーティングすることができれば、いかなるコーティング方法を使用しても差し支えなく、これについては、当分野に従事する当業者に容易に認識されうる内容であるので、詳細な説明は省略する。
【0066】
前記正極活物質層はまた、バインダを含むことができる。
【0067】
前記バインダは、正極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また正極活物質を集電体に十分に付着させる役割を行い、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、エチレン酸化物を含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリル化スチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することが可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
前記集電体としては、Alを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0069】
前記正極は、正極活物質及びバインダ(選択的に、導電材も含まれる)を溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を集電体に塗布して製造できる。このような正極製造方法は、当分野に周知されている内容であるから、本明細書での詳細な説明は省略する。前記溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0070】
前記負極活物質としては、天然黒鉛、シリコン/炭素複合体(SiO)、シリコン金属、シリコン薄膜、リチウム金属、リチウム合金、炭素材またはグラファイトを使用できる。前記リチウム合金の例として、チタン酸リチウムを挙げることができる。前記チタン酸リチウムは、結晶構造によって、スピネル型チタン酸リチウム、アナターゼ型チタン酸リチウム、ラムズデライト型チタン酸リチウムなどを含むことができる。具体的には、前記負極活物質は、Li4−xTi12(0≦x≦3)で表示されうる。例えば、前記負極活物質は、LiTi12であるが、これに限定されるものではない。
【0071】
負極活物質組成物で、バインダ及び溶媒は、正極の場合と同じものを使用することができる。負極活物質組成物に選択的に含まれうる導電材についての説明は、前述のところを参照する。場合によっては、前記正極電極活物質組成物及び負極電極活物質組成物に、可塑剤をさらに付加し、電極板内部に気孔を形成することができる。
【0072】
前記電解液は、非水系有機溶媒とリチウム塩とを含むことができる。
【0073】
前記非水系有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割を行える。
【0074】
このような非水系有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を使用できる。前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、メチルエチルカーボネート(EMC)などが使われ、前記エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ジメチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、デカノリド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)、などが使われうる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使われ、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどが使われうる。また、前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが使われ、前記非プロトン性溶媒としては、R−CN(Rは、C−C20直鎖状、分枝状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含む)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類スルホラン(sulfolane)類などが使われうる。
【0075】
前記非水系有機溶媒は、単独でまたは一つ以上混合して使用され、一つ以上混合して使用する場合の混合比は、目的とする電池性能によって適切に調節でき、これは当分野の当業者には周知である。
【0076】
前記リチウム塩は、有機溶媒に溶解され、電池内で、リチウムイオンの供給源として作用し、基本的なリチウム電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。このようなリチウム塩の例としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(SO、Li(CFSON、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、x及びyは、自然数である)、LiCl、LiI及びLiB(C(リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)からなる群から選択される一つまたは二つ以上を、支持(supporting)電解塩として含むことができる。リチウム塩の濃度は、0.1ないし2.0M範囲内で使用できる。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度及び粘度を有するので、優秀な電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動できる。
【0077】
リチウム電池の種類によって、正極と負極との間にセパレータが存在することも可能である。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンまたはそれらの2層以上の多層膜が使われ、ポリエチレン/ポリプロピレン2層のセパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層のセパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層のセパレータのような混合多層膜が使われうることはいうまでもない。
【0078】
リチウム電池は、使用するセパレータと電解質との種類によって、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池及びリチウムポリマー電池に分類され、形態によって、円筒形、角形、コイン型、ポーチ型などに分類され、サイズによって、バルクタイプと薄膜タイプとに分けられる。併せて、前記リチウム電池は、一次電池または二次電池いずれにも使用可能である。それら電池の製造方法は、この分野に周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0079】
図5は、一具現例によるリチウム二次電池の構造を概略的に示した図面である。図5に図示されているように、前記リチウム二次電池100は、正極114;負極112;前記正極114と負極112との間に配されたセパレータ113;前記正極114、負極112及びセパレータ113に含浸された電解質(図示せず);電池容器120;前記電池容器120を封入する封入部材140を含む。前記図5に図示されたリチウム二次電池100は、正極114、負極112及びセパレータ113を順に積層した後、スパイラル状に巻き取られた状態で電池容器120に収納して構成されたものである。
【実施例】
【0080】
[製造例1]
膨脹黒鉛100gを500℃で1時間加熱して膨脹させた後、ここから発生したガスをオーブンの排気口を介して排気させた後、これから収得した結果物をエタノールに分散させ、ホモゲナイザを利用し、10,000rpmで10分間粉砕した。これから収得した混合物をマイクロフルイダイザを利用してさらに粉砕した後、フィルタリング装備を利用して濾過した後にエタノールで洗浄し、120℃のオーブンで乾燥させてスーパー導電性ナノ粒子粉末を収得した。
【0081】
前記スーパー導電性ナノ粒子粉末を電子走査顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)で観察した写真は、図6Aを参照する。図6Aによれば、スーパー導電性ナノ粒子粉末に含まれた個別スーパー導電性ナノ粒子は、基本的に「板状」の形態を有することを確認することができる。
【0082】
前記スーパー導電性ナノ粒子粉末中のナノ粒子を、透過電子顕微鏡(TEM:transmission electron microscope)で観察した写真は、図6Bを参照する。図6Bで、点線円で表示された部分は、例えば、図1のTで表示された点線円に対応する部分であり、その厚みが約10nmであることを確認することができる。従って、図6Bから、前述のように製造されたスーパー導電性ナノ粒子が、約10nmのc(前記「c」の定義は、図1、図4及び発明の詳細な説明の関連部分を参照)を有することを確認することができる。
【0083】
一方、スーパー導電性ナノ粒子粉末に含まれたスーパー導電性ナノ粒子のサイズ分散度を、Melvern社のHydro2000を利用して評価し、その結果は、図7に示してある。図7によれば、前記スーパー導電性ナノ粒子粉末のaまたはb(前記「a」及び「b」の定義は、図1、図4及び発明の詳細な説明の関連部分を参照)のd10は2.1μm、d50は4.11μm、d90は7.16μmであることを確認することができる。
【0084】
[実施例1]
正極活物質として、LiTi12、バインダとしてポリフッ化ビニリデン、及び導電剤としてカーボンブラック(Denka社製品である)と、前記製造例1のスーパー導電性ナノ粒子粉末との混合物を、90:5:5の重量比で、N−メチルピロリドン溶媒で混合し、正極スラリを製造した。前記カーボンブラックと前記スーパー導電性ナノ粒子粉末との混合物で、前記カーボンブラックと前記スーパー導電性ナノ粒子粉末との重量比は、3:2に調節した。前記正極スラリを90μm厚に、アルミ箔(Al−foil)上にコーティングし、薄極板状にした後、135℃で3時間以上乾燥させた後、70μm厚を有するように圧延(pressing)した。これから得た極板を、13φサイズの円形にパンチングして重さを記録した後、ウェルディング(welding)が可能なように電極を形成し、再び重さを記録した。これから得た結果物を2032コインセル下部にウェルディングした後、250℃の真空オーブンで5時間排気させた。ここに、リチウム電極(負極)、厚み20μmのポリエチレン材質のセパレータ、及び電解液(エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物(EC:EMCの体積比は、3:7である)+1.3MのLiPF)を組立てて電池を製作した。
【0085】
[比較例1]
導電剤として、カーボンブラック及びスーパー導電性ナノ粒子粉末の混合物の代わりに、カーボンブラックだけを使用した点を除いては、前記実施例1と同じ方法で電池を製作した。
【0086】
[評価例]
前記実施例1及び比較例1の電池に対して、常温(25℃)で20時間放置することによって、化成工程を行った。
【0087】
化成工程が行われた実施例1及び比較例1の電池に対して、0.2Cの充放電速度で、0.01V CC(constant current)/CV(constant voltage)0.01Cカットオフ(cut−off)充電した後、0.2Cの充放電速度で1.1Vカットオフ放電するサイクルを1回行った後、容量及び充放電効率を評価した。この後、充放電速度を0.5C、1C、2C、5C及び10Cにそれぞれ変化させて行きつつ、容量及び充放電効率を評価し、その結果を図8及び図9に示した。
【0088】
図8によれば、実施例1の電池は、比較例1の電池に比べて、高率で容量増加の効果を示すことを確認することができる。
【0089】
図9によれば、実施例1の電池が、比較例1の電池に比べて、優秀な充放電効率を示すことが分かる。
【0090】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、それらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明及び添付された図面の範囲内でさまざまに変形させて実施することが可能であり、このもまた、本発明の範囲に属するということはいうまでもない。
【符号の説明】
【0091】
10 スーパー導電性ナノ粒子
21 第1多環ナノシート
22 第2多環ナノシート
23 第3多環ナノシート
24 第4多環ナノシート
25 第5多環ナノシート
26 第6多環ナノシート
27 第7多環ナノシート
100 リチウム電池
112 負極
113 セパレータ
114 正極
120 電池容器
140 封入部材
第1カーボンの位置
第2カーボンの位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6個のカーボン原子が六角形状に連結されてなる環が、互いに縮合されて一平面上に配列されている多環ナノシートn枚が、前記一平面に対して垂直方向に沿って積層された構造を有するスーパー導電性ナノ粒子であり、
前記nは、2ないし100の整数であり、
前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち第1カーボンと、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち第2カーボンとをL≧Lになるように選択し(ここで、前記Lは、前記第1カーボンと前記第2カーボンとの間の距離を示し、前記Lは、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち、前記第1カーボン及び第2カーボンを除外した任意の第3カーボンと、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち、前記第1カーボン,第2カーボン及び第3カーボンを除外した任意の第4カーボンとの間の距離を示す)、前記第1カーボンをx軸,y軸及びz軸を有する三次元座標系の原点A(0,0,0)に位置させるとき、前記第2カーボンは、座標B(a,b,c)を有し、前記a及びbは互いに独立して、10μm以下であり、前記cは、100nm以下であるスーパー導電性ナノ粒子。
【請求項2】
前記多環ナノシートの隣接カーボンは、互いにsp結合によって連結されていることを特徴とする請求項1に記載のスーパー導電性ナノ粒子。
【請求項3】
前記多環ナノシートそれぞれの厚みが、カーボン原子直径±1nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のスーパー導電性ナノ粒子。
【請求項4】
前記nが2ないし10の整数であることを特徴とする請求項1に記載のスーパー導電性ナノ粒子。
【請求項5】
前記cが、カーボン原子直径の50倍±10nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のスーパー導電性ナノ粒子。
【請求項6】
前記cが、0.1nmないし50nmであることを特徴とする請求項1に記載のスーパー導電性ナノ粒子。
【請求項7】
前記cが、0.1nmないし20nmであることを特徴とする請求項1に記載のスーパー導電性ナノ粒子。
【請求項8】
6個のカーボン原子が六角形状に連結されてなる環が、互いに縮合されて一平面上に配列されている多環ナノシートn枚が、前記一平面に対して垂直方向に沿って積層された構造を有するスーパー導電性ナノ粒子複数個を含んだスーパー導電性ナノ粒子粉末であって、
前記nは、2ないし100の整数であり、
前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち第1カーボンと、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち第2カーボンとをL≧Lになるように選択し(ここで、前記Lは、前記第1カーボンと前記第2カーボンとの間の距離を示し、前記Lは、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち、前記第1カーボン及び第2カーボンを除外した任意の第3カーボンと、前記n枚の多環ナノシートのカーボンのうち、前記第1カーボン,第2カーボン及び第3カーボンを除外した任意の第4カーボンとの間の距離を示す)、前記第1カーボンをx軸,y軸及びz軸を有する三次元座標系の原点A(0,0,0)に位置させるとき、前記第2カーボンが座標B(a,b,c)を有し、前記a及びbのd50は互いに独立して、10μm以下であり、前記cのd50は100nm以下であるスーパー導電性ナノ粒子粉末。
【請求項9】
前記多環ナノシートの隣接カーボンは、互いにsp結合によって連結されていることを特徴とする請求項8に記載のスーパー導電性ナノ粒子粉末。
【請求項10】
前記多環ナノシートそれぞれの厚みが、カーボン原子直径±1nmの範囲であることを特徴とする請求項8に記載のスーパー導電性ナノ粒子粉末。
【請求項11】
前記nが、2ないし10の整数であることを特徴とする請求項8に記載のスーパー導電性ナノ粒子粉末。
【請求項12】
前記cのd50が、カーボン原子直径の50倍±10nmの範囲であることを特徴とする請求項8に記載のスーパー導電性ナノ粒子粉末。
【請求項13】
前記cのd50が0.1nmないし50nmであることを特徴とする請求項8に記載のスーパー導電性ナノ粒子粉末。
【請求項14】
前記cのd50が0.1nmないし20nmであることを特徴とする請求項8に記載のスーパー導電性ナノ粒子粉末。
【請求項15】
前記スーパー導電性ナノ粒子粉末2.5g/ccの導電性が700ないし1,500S/cmであることを特徴とする請求項8に記載のスーパー導電性ナノ粒子粉末。
【請求項16】
正極活物質を含んだ正極と、負極活物質を含んだ負極と、電解液とを含んだリチウム電池であって、前記正極及び前記負極のうち一つ以上が導電材を含み、前記導電材が、請求項8ないし請求項15のうち、いずれか1項に記載のスーパー導電性ナノ粒子粉末を含んだリチウム電池。
【請求項17】
前記導電材が、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛、銅粉末、ニッケル粉末、アルミニウム粉末、銀粉末及びポリフェニレンからなる群から選択された一つ以上の第1物質をさらに含んだことを特徴とする請求項16に記載のリチウム電池。
【請求項18】
前記導電材がカーボンブラックをさらに含み、前記カーボンブラック:前記スーパー導電性ナノ粒子粉末の重量比が、1:10ないし10:1であることを特徴とする請求項16に記載のリチウム電池。
【請求項19】
前記正極活物質または負極活物質が、チタン酸リチウムであることを特徴とする請求項16に記載のリチウム電池。
【請求項20】
前記正極活物質が、LiNiCoMn(ここで、0.90≦a≦1.1、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、e=0である)、またはLiMnであることを特徴とする請求項16に記載のリチウム電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−105593(P2011−105593A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257806(P2010−257806)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】